説明

周期処理監視装置、周期処理監視方法及び周期処理監視プログラム

【課題】周期処理時間を保証することのできる周期処理監視装置、周期処理監視方法及び周期処理監視プログラムを提供すること。
【解決手段】周期処理監視装置は、周期処理を行う周期処理実行部と、周期処理の周期時間が登録される周期時間登録部と、周期処理の経過時間を監視する経過時間監視部と、周期処理の処理サイクル数が登録されるサイクル数登録部と、周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定部と、周期時間登録部に登録された周期時間と、経過時間監視部が監視した経過時間と、サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから、周期時間登録部に登録された周期時間内に周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定部と、周期判定部の判定結果に応じて周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クオンタムを動的に分配する周期処理監視装置、周期処理監視方法及び周期処理監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の入出力に基づいてディスク装置の使用をスケジューリングするディスク・タイムシェアリング装置及び方法が開示されている。当該装置及び方法では、競合する入出力に対し割当て時間を順番に切替えるように、ディスク装置の使用がスケジューリングされる。さらに、各入出力の処理の過密具合に応じて、余ったクオンタムの割当時間が不足側のクオンタムに配分される。
【0003】
【特許文献1】特許第3623697号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記装置及び方法のように、処理の過密具合に応じてクオンタムを動的に配分しても、組み込み機器において特に重要な周期処理時間(例えば、音声通話1フレーム20ms、動画1フレーム33.3ms等)は保証されない。
【0005】
本発明の目的は、周期処理時間を保証することのできる周期処理監視装置、周期処理監視方法及び周期処理監視プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、周期処理を行う周期処理実行部と、前記周期処理の周期時間が登録される周期時間登録部と、前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視部と、前記周期処理の処理サイクル数が登録されるサイクル数登録部と、前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定部と、前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間と、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定部と、前記周期判定部の判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配部と、を備えた周期処理監視装置を提供する。
【0007】
上記周期処理監視装置では、前記周期判定部は、前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間とから残周期時間を算出し、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する。
【0008】
上記周期処理監視装置では、前記クオンタム動的分配部は、前記周期判定部が、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定した場合に、前記周期処理に割り当てるクオンタムを動的に増加させる。
【0009】
本発明は、周期処理を行う周期処理実行部と、前記周期処理の周期時間が登録される周期時間登録部と、前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視部と、前記周期処理の処理サイクル数が登録されるサイクル数登録部と、前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定部と、前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定部と、前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間と、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定部と、前記周期判定部の判定結果及び前記キャッシュヒット率測定部の測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配部と、を備えた周期処理監視装置を提供する。
【0010】
上記周期処理監視装置では、前記周期判定部は、前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間とから残周期時間を算出し、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する。
【0011】
上記周期処理監視装置では、前記キャッシュウェイ動的分配部は、前記周期判定部が、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定し、前記キャッシュヒット率測定部で測定されたキャッシュヒット率が所定の閾値以下の場合に、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に増加させる。
【0012】
本発明は、周期処理を行う周期処理実行部と、前記周期処理の周期時間が登録される周期時間登録部と、前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視部と、前記周期処理の処理サイクル数が登録されるサイクル数登録部と、前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定部と、前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定部と、前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間と、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定部と、前記周期判定部の判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配部と、前記周期判定部の判定結果及び前記キャッシュヒット率測定部の測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配部と、前記クオンタム動的分配部によるクオンタムの動的分配、及び前記キャッシュウェイ動的分配部によるキャッシュウェイの動的分配の各実行の有無に関する設定に応じて、前記クオンタム動的分配部及び前記キャッシュウェイ動的分配部の各動作を制御する動的分配実行有無選択部と、を備えた周期処理監視装置を提供する。
【0013】
本発明は、周期処理を行う周期処理実行ステップと、前記周期処理の周期時間を登録する周期時間登録ステップと、前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視ステップと、前記周期処理の処理サイクル数を登録するサイクル数登録ステップと、前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定ステップと、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間と、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定ステップと、前記周期判定ステップで得られた判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配ステップと、を備えた周期処理監視方法を提供する。
【0014】
上記周期処理監視方法では、前記周期判定ステップでは、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間とから残周期時間を算出し、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する。
【0015】
上記周期処理監視方法では、前記クオンタム動的分配ステップでは、前記周期判定ステップで、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定された場合に、前記周期処理に割り当てるクオンタムを動的に増加させる。
【0016】
本発明は、周期処理を行う周期処理実行ステップと、 前記周期処理の周期時間を登録する周期時間登録ステップと、前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視ステップと、前記周期処理の処理サイクル数を登録するサイクル数登録ステップと、前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定ステップと、前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定ステップと、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間と、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定ステップと、前記周期判定ステップで得られた判定結果及び前記キャッシュヒット率測定ステップで得られた測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配ステップと、を備えた周期処理監視方法を提供する。
【0017】
上記周期処理監視方法では、前記周期判定ステップでは、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間とから残周期時間を算出し、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する。
【0018】
上記周期処理監視方法では、前記キャッシュウェイ動的分配ステップでは、前記周期判定ステップで、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定され、前記キャッシュヒット率測定ステップで測定されたキャッシュヒット率が所定の閾値以下の場合に、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に増加させる。
【0019】
本発明は、周期処理を行う周期処理実行ステップと、前記周期処理の周期時間を登録する周期時間登録ステップと、前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視ステップと、前記周期処理の処理サイクル数を登録するサイクル数登録ステップと、前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定ステップと、前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定ステップと、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間と、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから、前記周期時間登録ステップで録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定ステップと、前記周期判定ステップで得られた判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配ステップと、前記周期判定ステップで得られた判定結果及び前記キャッシュヒット率測定ステップで得られた測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配ステップと、前記クオンタム動的分配ステップで行われるクオンタムの動的分配、及び前記キャッシュウェイ動的分配ステップで行われるキャッシュウェイの動的分配の各実行の有無に関する設定に応じて、前記クオンタム動的分配ステップ及び前記キャッシュウェイ動的分配ステップの各動作を制御する動的分配実行有無選択ステップと、を備えた周期処理監視方法を提供する。
【0020】
本発明は、コンピュータに上記周期処理監視方法の各ステップを実行させるための周期処理監視プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る周期処理監視装置、周期処理監視方法及び周期処理監視プログラムによれば、クオンタムの動的分配又はキャッシュウェイの動的分配を行うことによって周期処理時間を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の周期処理監視装置を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態の周期処理監視装置は、周期処理実行部101と、周期時間登録部102と、経過時間監視部103と、サイクル数登録部104と、消費サイクル数測定部105と、周期判定部106と、クオンタム動的分配部107とを備える。
【0024】
周期処理実行部101は、音声通話処理や動画処理等で周期的に行われる周期処理を実行する。なお、周期処理実行部101には、周期処理毎の書き換え可能なクオンタム設定値が設定されている。クオンタム設定値は、周期処理実行部101が周期処理を実行可能な時間である。周期時間登録部102は、周期処理の周期時間が登録されている。経過時間監視部103は、周期処理の経過時間を監視する。サイクル数登録部104は、周期処理の実行に必要な処理サイクル数が登録されている。消費サイクル数測定部105は、周期処理の消費サイクル数を測定する。
【0025】
周期判定部106は、周期処理毎に、周期時間登録部102に登録された周期時間と経過時間監視部103に登録された経過時間とから残周期時間を算出し、サイクル数登録部104に登録された処理サイクル数と消費サイクル数測定部105に登録された消費サイクル数とから残サイクル数を算出する。さらに、周期判定部106は、算出した残周期時間及び残サイクル数から、周期処理が周期時間登録部102に登録された周期時間内に動作可能かを判定する。
【0026】
クオンタム動的分配部107は、周期判定部106によって算出された残サイクル数が周期判定部106によって算出された残周期時間内に実行不可能と判定された場合に、周期処理に割り当てるクオンタムを動的に増加させる。なお、クオンタムの動的な分配は、クオンタム動的分配部107が、周期処理実行部101に設定されているクオンタム設定値を再設定することによって行われる。
【0027】
以下、第1の実施形態の周期処理監視装置の動作について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示した第1の実施形態の周期処理監視装置の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS101では、周期時間登録部102に、周期処理の周期時間が登録される。次に、ステップS102では、サイクル数登録部104に、周期処理の実行に必要な処理サイクル数が登録される。次に、ステップS103では、周期処理実行部101が周期処理を開始する。次に、ステップS104では、周期処理実行部101による周期処理が停止されるまで、以下説明するステップS105〜ステップS110の処理を繰り返す。
【0028】
ステップS105では、経過時間監視部103が、周期処理実行部101による周期処理の経過時間を監視する。次に、ステップS106では、サイクル数登録部104が、周期処理実行部101による周期処理の消費サイクル数を測定する。次に、ステップS107では、周期判定部106は、ステップS101で周期時間登録部102に登録された周期時間とステップS105で経過時間監視部103が監視した経過時間とから残周期時間を算出する。次に、ステップS108では、周期判定部106は、ステップS102でサイクル数登録部104に登録された処理サイクル数とステップS106でサイクル数登録部104が測定した消費サイクル数とから残サイクル数を算出する。
【0029】
ステップS109では、周期判定部106は、ステップS107で算出した残周期時間内にステップS108で算出した残サイクル数を実行可能か否かを判定する。ステップS109で実行不可能と判定された場合にはステップS110に進み、実行可能と判定された場合にはステップS110を行わずにステップS104に戻る。ステップS110では、クオンタム動的分配部107は、ステップS107で算出した残周期時間内にステップS108で算出した残サイクル数が実行可能となるように、周期処理に割り当てるクオンタムを動的に増加させる。
【0030】
本実施形態によれば、残周期期間に対する残サイクル数の関係に応じて周期処理に割り当てるクオンタムを動的に増加させるため、周期処理時間を保証することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態の周期処理監視装置を示すブロック図である。図3に示すように、第2の実施形態の周期処理監視装置は、第1の実施形態の周期処理監視装置が備える周期時間登録部102、経過時間監視部103、サイクル数登録部104及び消費サイクル数測定部105と、周期処理実行部201、キャッシュヒット率測定部202と、周期判定部206と、キャッシュウェイ動的分配部207とを備える。なお、図3において、図1と共通する構成要素には同じ参照符号が付されており、本実施形態での説明を省略する。
【0032】
周期処理実行部201は、音声通話処理や動画処理等で周期的に行われる周期処理を実行する。なお、周期処理実行部201には、周期処理毎の書き換え可能なキャッシュウェイ設定値が設定されている。キャッシュウェイ設定値は、周期処理実行部101が周期処理を実行する際に用いられるキャッシュのウェイ数である。
【0033】
キャッシュヒット率測定部202は、周期処理実行部101が行う周期処理のキャッシュヒット率を測定する。
【0034】
周期判定部206は、第1の実施形態の周期判定部106と同様に、周期処理毎に、周期時間登録部102に登録された周期時間と経過時間監視部103に登録された経過時間とから残周期時間を算出し、サイクル数登録部104に登録された処理サイクル数と消費サイクル数測定部105に登録された消費サイクル数とから残サイクル数を算出する。さらに、周期判定部206は、算出した残周期時間及び残サイクル数から、周期処理が周期時間登録部102に登録された周期時間内に動作可能かを判定し、キャッシュヒット率測定部202が測定したキャッシュヒット率と予め設定された閾値とを比較してその大小関係を判定する。
する。
【0035】
キャッシュウェイ動的分配部207は、周期判定部106によって残サイクル数が残周期時間内に実行不可能と判定され、かつ、キャッシュヒット率測定部202が測定したキャッシュヒット率が閾値以下であった場合に、周期処理の実行のために用いられるキャッシュウェイを動的に増加させる。なお、キャッシュウェイの動的な分配は、キャッシュウェイ動的分配部207が、周期処理実行部101に設定されているキャッシュウェイ設定値を再設定することによって行われる。
【0036】
以下、第2の実施形態の周期処理監視装置の動作について、図4を参照して説明する。図4は、図3に示した第2の実施形態の周期処理監視装置の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS201では、周期時間登録部102に、周期処理の周期時間が登録される。次に、ステップS202では、サイクル数登録部104に、周期処理の実行に必要な処理サイクル数が登録される。次に、ステップS203では、周期処理実行部101が周期処理を開始する。次に、ステップS204では、周期処理実行部101による周期処理が停止されるまで、以下説明するステップS205〜ステップS211の処理を繰り返す。
【0037】
ステップS205では、経過時間監視部103が、周期処理実行部101による周期処理の経過時間を監視する。次に、ステップS206では、サイクル数登録部104が、周期処理実行部101による周期処理の消費サイクル数を測定する。次に、ステップS207では、周期判定部106は、ステップS201で周期時間登録部102に登録された周期時間とステップS205で経過時間監視部103が監視した経過時間とから残周期時間を算出する。次に、ステップS208では、周期判定部106は、ステップS202でサイクル数登録部104に登録された処理サイクル数とステップS206でサイクル数登録部104が測定した消費サイクル数とから残サイクル数を算出する。
【0038】
ステップS209では、周期判定部106は、ステップS207で算出した残周期時間内にステップS208で算出した残サイクル数を実行可能か否かを判定する。ステップS209で実行不可能と判定された場合にはステップS210に進み、実行可能と判定された場合にはステップS210を行わずにステップS204に戻る。ステップS210では、キャッシュヒット率測定部202がキャッシュヒット率を測定し、測定したキャッシュヒット率が閾値以下であるか否かを判定する。
【0039】
ステップS210でキャッシュヒット率が閾値以下と判定された場合にはステップS211に進み、閾値より大きいと判定された場合にはステップS211を行わずにステップS204に戻る。ステップS211では、キャッシュウェイ動的分配部207は、ステップS207で算出した残周期時間内にステップS208で算出した残サイクル時間が実行可能となるように、周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に増加させる。
【0040】
本実施形態によれば、残周期期間に対する残サイクル数の関係とキャッシュヒット率に応じて周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に増加させるため、キャッシュヒット率が上がり、キャッシュフェイルによる周期処理性能の低下を防止することができる。すなわち、周期処理性能が向上するため、周期処理時間が保証される。
【0041】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の周期処理監視装置は、第1の実施形態で説明したクオンタムの動的分配機能及び第2の実施形態で説明したキャッシュウェイの動的分配機能の両方を有し、各機能の実行の有無を選択可能である。図5は、第3の実施形態の周期処理監視装置を示すブロック図である。図5に示すように、第3の実施形態の周期処理監視装置は、第1の実施形態の周期処理監視装置が備える周期時間登録部102、経過時間監視部103、サイクル数登録部104、消費サイクル数測定部105及びクオンタム動的分配部107と、第1の実施形態の周期処理監視装置が備えるキャッシュヒット率測定部202、周期判定部206及びキャッシュウェイ動的分配部207と、周期処理実行部301と、動的分配実行有無選択部302とを備える。なお、図5において、図1又は図3と共通する構成要素には同じ参照符号が付されており、本実施形態での説明を省略する。
【0042】
周期処理実行部301は、音声通話処理や動画処理等で周期的に行われる周期処理を実行する。なお、周期処理実行部301には、周期処理毎の書き換え可能なクオンタム設定値及びキャッシュウェイ設定値が設定されている。クオンタム設定値は、周期処理実行部301が周期処理を実行可能な時間である。また、キャッシュウェイ設定値は、周期処理実行部301が周期処理を実行する際に用いられるキャッシュのウェイ数である。
【0043】
動的分配実行有無選択部302は、ユーザの指定に従ってクオンタム動的分配部107及びキャッシュウェイ動的分配部207の実行の有無を判断する。
【0044】
以下、第3の実施形態の周期処理監視装置の動作について、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は、図5に示した第3の実施形態の周期処理監視装置の動作を示すフローチャートである。図6に示したフローチャートでは、クオンタム動的分配処理の実行の有無に応じて図2に示したステップS104以降のステップの実行の要否を判断する。図6に示すステップS301では、ユーザは、動的分配実行有無選択部301にクオンタム動的分配処理の実行の有無を設定する。次に、ステップS302では、動的分配実行有無選択部301は、クオンタム動的分配処理の実行が有効と設定されている場合に、図2のステップS104以降の処理を行い、クオンタム動的分配処理を実行する。一方、クオンタム動的分配処理の実行が無効と設定されている場合は、図2のステップS104以降の処理を行わず、クオンタム動的分配処理を実行しない。
【0045】
図7に示したフローチャートでは、キャッシュウェイ動的分配処理の実行の有無に応じて図4に示したステップS204以降のステップの実行の要否を判断する。図7に示すステップS401では、ユーザは、動的分配実行有無選択部301にキャッシュウェイ動的分配処理の実行の有無を設定する。次に、ステップS402では、動的分配実行有無選択部401は、キャッシュウェイ動的分配処理の実行が有効と設定されている場合に、図4のステップS204以降の処理を行い、キャッシュウェイ動的分配処理を実行する。一方、クオンタム動的分配処理の実行が無効と設定されている場合は、図4のステップS204以降の処理を行わず、キャッシュウェイ動的分配処理を実行しない。
【0046】
本実施形態によれば、ユーザによって指定されたクオンタム動的分配処理及びキャッシュウェイ動的分配処理の実行の有無に応じて、各処理が実行される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る周期処理監視装置は、周期処理時間及び周期処理性能を保証することができるため、厳密な周期処理が求められる組み込み機器等において特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施形態の周期処理監視装置を示すブロック図
【図2】第1の実施形態の周期処理監視装置の動作を示すフローチャート
【図3】第2の実施形態の周期処理監視装置を示すブロック図
【図4】第2の実施形態の周期処理監視装置の動作を示すフローチャート
【図5】第3の実施形態の周期処理監視装置を示すブロック図
【図6】第3の実施形態の周期処理監視装置の動作を示すフローチャート
【図7】第3の実施形態の周期処理監視装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0049】
101,201,301 周期処理実行部
102 周期時間登録部
103 経過時間監視部
104 サイクル数登録部
105 消費サイクル数測定部
106,206 周期判定部
107 クオンタム動的分配部
202 キャッシュヒット率測定部
207 キャッシュウェイ動的分配部
302 動的分配実行有無選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期処理を行う周期処理実行部と、
前記周期処理の周期時間が登録される周期時間登録部と、
前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視部と、
前記周期処理の処理サイクル数が登録されるサイクル数登録部と、
前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定部と、
前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間と、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定部と、
前記周期判定部の判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配部と、
を備えたことを特徴とする周期処理監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の周期処理監視装置であって、
前記周期判定部は、
前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間とから残周期時間を算出し、
前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、
前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定することを特徴とする周期処理監視装置。
【請求項3】
請求項1記載の周期処理監視装置であって、
前記クオンタム動的分配部は、
前記周期判定部が、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定した場合に、前記周期処理に割り当てるクオンタムを動的に増加させることを特徴とする周期処理監視装置。
【請求項4】
周期処理を行う周期処理実行部と、
前記周期処理の周期時間が登録される周期時間登録部と、
前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視部と、
前記周期処理の処理サイクル数が登録されるサイクル数登録部と、
前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定部と、
前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定部と、
前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間と、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定部と、
前記周期判定部の判定結果及び前記キャッシュヒット率測定部の測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配部と、
を備えたことを特徴とする周期処理監視装置。
【請求項5】
請求項4に記載の周期処理監視装置であって、
前記周期判定部は、
前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間とから残周期時間を算出し、
前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、
前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定することを特徴とする周期処理監視装置。
【請求項6】
請求項4記載の周期処理監視装置であって、
前記キャッシュウェイ動的分配部は、
前記周期判定部が、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定し、前記キャッシュヒット率測定部で測定されたキャッシュヒット率が所定の閾値以下の場合に、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に増加させることを特徴とする周期処理監視装置。
【請求項7】
周期処理を行う周期処理実行部と、
前記周期処理の周期時間が登録される周期時間登録部と、
前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視部と、
前記周期処理の処理サイクル数が登録されるサイクル数登録部と、
前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定部と、
前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定部と、
前記周期時間登録部に登録された周期時間と、前記経過時間監視部が監視した経過時間と、前記サイクル数登録部に登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定部が測定した消費サイクル数とから、前記周期時間登録部に登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定部と、
前記周期判定部の判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配部と、
前記周期判定部の判定結果及び前記キャッシュヒット率測定部の測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配部と、
前記クオンタム動的分配部によるクオンタムの動的分配、及び前記キャッシュウェイ動的分配部によるキャッシュウェイの動的分配の各実行の有無に関する設定に応じて、前記クオンタム動的分配部及び前記キャッシュウェイ動的分配部の各動作を制御する動的分配実行有無選択部と、
を備えたことを特徴とする周期処理監視装置。
【請求項8】
周期処理を行う周期処理実行ステップと、
前記周期処理の周期時間を登録する周期時間登録ステップと、
前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視ステップと、
前記周期処理の処理サイクル数を登録するサイクル数登録ステップと、
前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定ステップと、
前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間と、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップで得られた判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配ステップと、
を備えたことを特徴とする周期処理監視方法。
【請求項9】
請求項8に記載の周期処理監視方法であって、
前記周期判定ステップでは、
前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間とから残周期時間を算出し、
前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、
前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定することを特徴とする周期処理監視方法。
【請求項10】
請求項8記載の周期処理監視方法であって、
前記クオンタム動的分配ステップでは、
前記周期判定ステップで、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定された場合に、前記周期処理に割り当てるクオンタムを動的に増加させることを特徴とする周期処理監視方法。
【請求項11】
周期処理を行う周期処理実行ステップと、
前記周期処理の周期時間を登録する周期時間登録ステップと、
前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視ステップと、
前記周期処理の処理サイクル数を登録するサイクル数登録ステップと、
前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定ステップと、
前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定ステップと、
前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間と、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップで得られた判定結果及び前記キャッシュヒット率測定ステップで得られた測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配ステップと、
を備えたことを特徴とする周期処理監視方法。
【請求項12】
請求項11に記載の周期処理監視方法であって、
前記周期判定ステップでは、
前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間とから残周期時間を算出し、
前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから残サイクル数を算出し、
前記残周期時間及び前記残サイクル数に基づいて、前記周期時間登録ステップで登録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定することを特徴とする周期処理監視方法。
【請求項13】
請求項11記載の周期処理監視方法であって、
前記キャッシュウェイ動的分配ステップでは、
前記周期判定ステップで、前記残周期時間内に前記残サイクル数を実行不可能と判定され、前記キャッシュヒット率測定ステップで測定されたキャッシュヒット率が所定の閾値以下の場合に、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に増加させることを特徴とする周期処理監視方法。
【請求項14】
周期処理を行う周期処理実行ステップと、
前記周期処理の周期時間を登録する周期時間登録ステップと、
前記周期処理の経過時間を監視する経過時間監視ステップと、
前記周期処理の処理サイクル数を登録するサイクル数登録ステップと、
前記周期処理の消費サイクル数を測定する消費サイクル数測定ステップと、
前記周期処理のキャッシュヒット率を測定するキャッシュヒット率測定ステップと、
前記周期時間登録ステップで登録された周期時間と、前記経過時間監視ステップで監視された経過時間と、前記サイクル数登録ステップで登録された処理サイクル数と、前記消費サイクル数測定ステップで測定された消費サイクル数とから、前記周期時間登録ステップで録された周期時間内に前記周期処理を実行可能か否かを判定する周期判定ステップと、
前記周期判定ステップで得られた判定結果に応じて前記周期処理のクオンタムを動的に分配するクオンタム動的分配ステップと、
前記周期判定ステップで得られた判定結果及び前記キャッシュヒット率測定ステップで得られた測定結果に応じて、前記周期処理の実行に用いられるキャッシュウェイを動的に分配するキャッシュウェイ動的分配ステップと、
前記クオンタム動的分配ステップで行われるクオンタムの動的分配、及び前記キャッシュウェイ動的分配ステップで行われるキャッシュウェイの動的分配の各実行の有無に関する設定に応じて、前記クオンタム動的分配ステップ及び前記キャッシュウェイ動的分配ステップの各動作を制御する動的分配実行有無選択ステップと、
を備えたことを特徴とする周期処理監視方法。
【請求項15】
コンピュータに、請求項8〜14のいずれか一項に記載の各ステップを実行させるための周期処理監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−175924(P2009−175924A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12412(P2008−12412)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】