説明

周波数変換器を備えるポリシリコンを製造するための反応炉のための給電装置

【課題】 より高性能な給電装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、周波数変換器と、少なくとも1つの入力部であって、結合可能な給電網からの入力電力を受電するための少なくとも1つの入力部と、出力部であって、1または複数の負荷を接続するための接続部がそれぞれ2つ設けられた出力部と、を備えるポリシリコンを製造するための反応炉のための給電装置であって、それぞれの出力部を介して、出力部に接続される1または複数の負荷に出力電力が供給される、給電装置に関する。給電装置は、入力電流をn相の多相交流に変換するための、変圧器のない回路を有し、二次側において、変換のための回路に形成されたn相の交流システムのライン電圧間における相変位は、360°/nであり、nは2以上の自然数であり、給電装置はn個の出力部を備え、該出力部はラインを形成し、各出力部の電圧は、n相交流システムのライン電圧となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変換器と、少なくとも1つの入力部であって、結合可能な給電網からの入力電力を受電するための少なくとも1つの入力部と、出力部であって、1または複数の負荷を接続するための接続部がそれぞれ2つ設けられた出力部と、を備えるポリシリコンを製造するための反応炉のための給電装置に関し、その場合、それぞれの出力部を介して、出力部に接続される1または複数の負荷に出力電力が供給される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、周波数変換器を備え、単相給電網から電気エネルギを供給することが可能である給電装置が知られる。周波数変換器を備える給電装置には、たとえば、シーメンス法に従い真空蒸着によってポリシリコンを製造するためのシリコン反応炉のシリコンバーなどの負荷を接続することが可能である。
【0003】
特許文献1の図3には、直列に接続された2つの負荷に、周波数変換器を備える給電装置から電気エネルギが供給され、周波数変換器を備える給電装置はそれぞれ単相で構成されてなることが示されている。予め定められた電流では、給電装置間の位相は180°である。周波数変換器を備える2つの給電装置によって予め定められた電圧は、したがって、合計において相殺される。
【0004】
特許文献1の出願日後に公開されるべき、出願番号10150728および11164316の欧州特許出願には、周波数変換器を備える給電装置が記載され、該給電装置の出力部には、1つの一次側コイルと2つの二次側コイルとを有する変圧器が接続されている。これら2つの二次側コイルは、巻数が同じである。しかしながら、これらの巻きは互いに反対である。したがって、二次側コイルの出力部には、値は同じだが逆の電圧が隣接することになる。これらの二次側コイルは互いに結合され、これらの結合が中性線を形成し、二次側コイルの他方端部が、二相交流システムの外部導体を形成し、該二相交流システムが、接続される負荷に電力を供給する。
【0005】
負荷は、二相交流システムの外部導体および中性線のそれぞれに接続される。
たとえば特許文献1に記載されるような、相互に結合される、2つの周波数変換器を備える給電装置の利点、欧州特許出願10150728および11164316に記載の、周波数変換器を備える給電装置の利点は、周波数変換器を備える給電装置を介して負荷に給電することに加えて、他の給電装置にも、給電装置同志が互いに影響し合うこともなく、同時に給電することが可能である点である。これについても特許文献1、ならびに、欧州特許出願10150728および11164316に記載されている。
【0006】
特許文献1に記載される、周波数変換器を備える、相互に結合される2つの給電装置の短所は、二相交流システムを実現するために2つの周波数変換器が必要になる点である。欧州特許出願10150728および11164316に記載の、周波数変換器を備える給電装置の短所は、二相交流システムを実現するために、一次側コイルと2つの互いに反対に巻かれた二次側コイルとを必要とする特別な変圧器が必要になる点である。
【0007】
さらにまた、非特許文献1からは、変換器、たとえば共振回路変換器、およびAC−AC変換器、たとえばインターサーキットストレージを備えるAC−AC変換器またはマトリックスコンバータが知られ、これらは基本的に、多相交流、特に三相交流の提供に適している。この非特許文献1には、ポリシリコン反応炉のために適しており、提供される給電装置における変換器またはAC−ACコンバータの結合について応用技術的記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2100851号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Dierk Schroeder,“Leistungselektronische Schaltungen”,ISBN 978-3-540-69300-0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、冒頭で述べたタイプの給電装置を改善し、より性能を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、周波数変換器と、少なくとも1つの入力部であって、結合可能な給電網からの入力電力を受電するための少なくとも1つの入力部と、出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)であって、1または複数の負荷(31,32,33)を接続するための接続部(H’’,L1’’,L2’’,L3’’)がそれぞれ2つ設けられた出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)と、を備えるポリシリコンを製造するための反応炉(R)のための給電装置であって、それぞれの出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)を介して、出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)に接続される1または複数の負荷に出力電力が供給される、給電装置(MF)おいて、
給電装置(MF)は、入力電流をn相の多相交流に変換するための、変圧器のない回路を有し、二次側において、変換のための回路に形成されたn相の交流システムのライン電圧間における相変位は、360°/nであり、nは2以上の自然数であり、
給電装置はn個の出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)を備え、
該出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)はラインを形成し、n個の出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)の下には、2つの接続部(L1’’,L2’’)であって、同時にそれぞれに、出力部の内の他の出力部(H’’,L1’’;L2’’,L3’’)が配設された接続部が設けられたn−2個の出力部(L1’’,L2’’)があり、
各出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)の電圧は、n相交流システムのライン電圧となる、ことを特徴とする給電装置(MF)である。
【0012】
また本発明において、nは3以上の自然数であることを特徴とする。
また本発明において、変換のための回路は、AC−AC変換器(1)、特に、中間蓄積回路またはマトリックスコンバータを備えるAC−AC変換器に包含されることを特徴とする。
【0013】
また本発明において、変換のための回路は、インバータ、特に、共振回路インバータに包含されることを特徴とする。
【0014】
また本発明において、AC−AC変換器(1)またはインバータは、周波数変換器を備えることを特徴とする。
【0015】
また本発明において、AC−AC変換器(1)またはインバータには、少なくとも変圧器(2)が次いで接続されることを特徴とする。
また本発明において、変圧器(2)は、n相変圧器であることを特徴とする。
【0016】
また本発明において、n相変圧器(2)は一次側で多角形に接続されていることを特徴とする。
【0017】
また本発明において、n相変圧器(2)の二次側コイル(212,222,232)は、給電装置(MF)の各出力部に対して並列に配設されることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、第1の給電装置(VSC)であって、少なくとも単相変圧器(4)、各二次側コイルごとに3つのタップ(421,422,423,424)を有する三相変圧器(4)またはn相変圧器を有し、各二次側コイル(42)の1つのタップは、二次側の中性導体と結合され、各二次側コイル(42)の残りのタップ(421,422,423)は、それぞれパワーレギュレータ(5)を介して二次側の外部導体と結合され、二次側の各外部導体は、外部導体接続部(L1’’’,L2’’’,L3’’’)と、少なくとも1つの中性導体接続部(N’’’)を有する中性導体とに結合され、各外部導体接続部(L1’’’,L2’’’,L3’’’)は、中性導体接続部(N’’’)の1つと共に、第1の給電装置の出力部を形成し、
1つの給電装置とn個の第2の給電装置との間では、第1の給電装置の各出力部が、第2の給電装置または複数の第2の給電装置の1つの、各出力部からのラインまたは複数のラインの1つに対して並列に接続される、第1の給電装置を備える装置において、
第2の給電装置(MF)または上述の第2の給電装置(MF)が設けられ、第1の給電装置(VSC)の各出力部は、第2の給電装置(MF)または複数の第2の給電装置(MF)の1つの、各出力部からのラインまたは複数のラインの1つに対して並列に接続されることを特徴とする装置である。
【0019】
また本発明は、シーメンス法に従って、真空蒸着によってポリシリコンを製造するための、反応容器を備える反応炉であって、反応容器には、シリコンバーまたはシリコン細棒のための保持部材(7)が備えられ、保持部材(7)は回路に電気的に結合される反応炉において、
上述の装置が設けられることを特徴とする反応炉である。
【発明の効果】
【0020】
この課題は、給電装置が、入力電流をn相の多相交流に変換するための回路を有することによって解決され、その場合、二次側において、変換のための回路に形成されたn相の交流システムのライン電圧間における相変位は、360°/nであり、この場合nは2以上の自然数であり、給電装置はn個の出力部を備え、これらの出力部はラインを形成し、n個の出力部の下には、2つの接続部であって、同時にそれぞれに、他の出力部が配設された接続部が設けられたn−2個の出力部があり、各出力部の電圧は、n相交流システムのライン電圧となる。
【0021】
好ましくは、給電装置の入力電流は、少なくとも3相を有する多相交流に変換するための回路によって変換される。
【0022】
通常、三相交流システムまたは単相交流システムから取り出される入力電流が分配されることによって、n相交流システムに、周波数変換器を備える十分な性能の給電装置を構築することが可能になる。このことが、発明に従った給電装置によって、特許文献1から知られる給電装置と比較して、多くの数の負荷に給電することを可能にし、同時に回路要素の削減も実現する。発明に従った給電装置は、さらなる利点として、より高い性能を達成することができる。
【0023】
入力電流をn相の多相交流に変換するための回路は、好ましくは、サイリスタ、トライアック、IGBT絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、特に、逆導通IGBT(RC−IGBT)または逆阻止IGBT(RB−IGBT)などの電子的構成要素を備えるAC−AC変換器1、特に、中間蓄積回路またはマトリックスコンバータを備えるAC−AC変換器に包含されることが可能である。変換のための回路は、好ましくは、サイリスタ、トライアック、IGBTなどの電子的構成要素を備える変換器、特に、共振回路変換器を有してもよい。AC−AC変換器または変換器は、好ましくは、n相の多相交流を生じさせることに適している。したがって、欧州特許出願10150728および11164316に記載される給電装置とは反対に、入力電流をn相の多相交流に変圧器なしで変換することが可能となる。
【0024】
かかる変換するための回路は、AC−AC変換器、特に、中間蓄積回路、またはマトリックスコンバータを備えるAC−AC変換器が備えることが可能である。中間蓄積回路を備えるAC−AC変換器の場合、中間蓄積回路としてコンデンサを備えるAC−AC変換器を利用することが可能である。マトリックスコンバータとしては、ダイレクトマトリックスコンバータ(たとえば、従来型のマトリックスコンバータ(CMC),完全なブリッジ回路におけるマトリックスコンバータ)およびインダイレクトマトリックスコンバータ(たとえば、中間回路コンデンサを有さないAC/DC−DC/ACコンバータ,従来型インダイレクトマトリックスコンバータ(IMC),スパースマトリックスコンバータ(SMC,VSMC,USMC),3点マトリックスコンバータ)を利用可能である。
【0025】
しかしながら、パワーエレクトロニクス半導体素子による変換は、回転機械による変換であるほどには有利ではない。
【0026】
かかる変換回路を、インバータ、特に共振回路インバータに包含されることは可能である。
【0027】
好ましくは、AC−AC変換器またはインバータが、周波数変換器を有することである。n相の多相交流に入力電流を変換すること、および周波数を、50〜60Hzから、たとえば0.3〜300MHzまで、好ましくは、20MHz〜200MHzまで上げることが、この回路によって可能になる。
【0028】
AC−AC変換器またはインバータには、給電装置の出力部における電圧を給電プロセスにとって必要な量に上げるために、続いて、少なくとも、変圧器が接続することが可能である。変圧器は、好ましくは、n相変圧器である。
【0029】
このn相変圧器は、一次側で多角形接続することも可能である。n相変圧器の二次側コイルは、好ましくは、給電装置の各出力部に対して並列に配設される。
【0030】
発明に従った給電装置によって、第1の給電装置と、発明に従った給電装置とからなる発明に従った装置を構成することが可能であり、この場合、発明に従った給電装置は、以下において、第2の給電装置と記載する。かかる装置は、以下を有する:
第1の給電装置。該第1の給電装置は、少なくとも単相交流変圧器、各二次側コイルごとに3つのタップを有する三相交流変圧器またはn相変圧器を有し、各二次側コイルの1つのタップは、二次側の中性導体と結合され、各二次側コイルの残りのタップは、それぞれパワーレギュレータを介して二次側の外部導体と結合され、二次側の各外部導体は、外部導体接続部と、少なくとも1つの中性導体接続部を有する中性導体とに結合され、各外部導体接続部は、中性導体接続部の1つと共に、第1の給電装置の出力部を形成し、
1つの給電装置とn個の第2の給電装置との間では、第1の給電装置の各出力部が、第2の給電装置または複数の第2の給電装置の1つの、各出力部からのラインまたは複数のラインの1つに対して並列に接続される。
【0031】
第1の給電装置は、二次側コイルのタップに接続されたパワーレギュレータを電圧制御において駆動する制御装置を備えてもよく、これについては、たとえば、AEG Power
Solutions GmbHのいくつかの特許出願明細書にすでに記載している。
【0032】
このような装置は、シーメンス法に従って、真空蒸着によってポリシリコンを製造するための、反応容器を備える反応炉であって、反応容器には、シリコンバーまたはシリコン細棒のための保持部材が備えられ、保持部材は、回路に電気的に結合された反応炉において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】単相交流システムから電気エネルギが供給される、発明に従った装置を示している。
【図2】三相交流システムから電気エネルギが供給される、発明に従った装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に従った装置および給電装置の実施形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1に示す、発明に従った装置は、第1の給電装置VSCと第2の給電装置MFとを備え、これらの給電装置は、これら装置に接続される負荷に電気エネルギを給電するために共同で設けられているものである。負荷は、シーメンス法に従った蒸着によってポリシリコンを製造するための反応炉内に配設されるシリコンバー3である。
【0036】
反応炉の反応炉容器には、保持部材7が配設され、該保持部材がシリコンバー3を一方側で保持し、他方側では、シリコンバー3と反応炉の電気的接続部との間の電気接点を形成している。
【0037】
第1の給電装置VSCは、入力部を備え、該入力部は、単相交流システムの外部導体L1と中性導体Nに接続されている。第1の給電装置VSCは、単相交流変圧器4を備え、該単相交流変圧器4の一次側コイル41は、第1の給電装置VSCの入力部と結合されている。変圧器4の二次側コイル42は、4つのタップ421,422,423,424を備え、それらの内の3つのタップ421,422,423は、パワーレギュレータ51,52,53を介して、第1の給電装置の出力部の外部導体接続部L1’’’と結合されている。それに対して、第4のタップ424は、第1の給電装置VSCの出力部の中性導体出力部N’’’と結合されている。第4のタップ424は二次側コイル42の端部にある。
【0038】
パワーレギュレータ51,52,53は、サイリスタパワーレギュレータであり、これらは、2つの逆並列に接続されたサイリスタによって形成される。パワーレギュレータ51,52,53は電圧シーケンス制御で駆動される。
【0039】
電圧シーケンス制御は、制御部9によって実現され、該制御部9は、パワーレギュレータ51,52,53のサイリスタ、さらにまた制御されるべき構成要素、および/または電流、電圧その他を検出するセンサに結合されるが、これについてはより詳細な説明は記載していない。
【0040】
第2の給電装置MFも同様に入力部を備え、該入力部は、第1の給電装置VSCと同じ単相交流システムの外部導体L1と中性導体Nに接続される。この第2の給電装置MFは、AC−AC変換器1を備え、該AC−AC変換器は、第2の給電装置MFの入力部に接続される。
【0041】
このAC−AC変換器1は、マトリックスコンバータであって、これによって、50〜60Hzの周波数を有するAC−AC変換器1の入力部における単相交流が、20〜200MHzの周波数を有する三相交流に変換される。したがって、AC−AC変換器1は、入力電流を三相交流に変換するための回路と周波数変換器である。AC−AC変換器1の出力部では、3つの外部導体L1’,L2’,L3’を介して三相交流を自由に使用することができる。
【0042】
AC−AC変換器1の出力部は三相交流変圧器2と結合され、該三相交流変圧器2の一次側コイル211,212,213は三角形に接続される。二次側コイル212,222,232は、接続部H’’,L1’’,L2’’,L3’’と結合され、接続部H’’,L1’’,L2’’,L3’’は、第2の給電装置MFの出力部対を形成する。これらの出力部にはシリコンバー3が接続され、この場合、第1のシリコンバー31が接続部H’’,L1’’と結合され、接続部H’’,L1’’は第1の出力部を形成し、第2のシリコンバー32は接続部L1’’,L2’’と結合され、接続部L1’’,L2’’は、第2の出力部を形成し、第3のシリコンバー33は接続部L2’’,L3’’と結合され、接続部L2’’,L3’’は、第2の給電装置MFの第3の出力部を形成する。これら3つの出力部は1つのラインを形成する。外部導体間には120°の位相角があるがゆえに、接続部H’’と接続部L3’’との間では、対称的負荷の場合、シリコンバー31,32,33を通じて電圧の低下はないように調整される。
【0043】
AC−AC変換器1は、制御部8によって制御されるが、これについての詳細は述べない。
【0044】
第1の給電装置の出力部L1’’’,N’’’に並列に、第2の給電装置の出力部H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’のラインが接続される。
【0045】
要するに、接続部H’’とL3’’とを、第2の給電装置MFに影響を与えることなく結合することが可能である。二次側コイル212,222,232は、三角形に接続されるであろう。しかしながら、第1の給電装置の出力部を形成する、第1の給電装置VSCの外部導体接続部L1’’’と中性導体接続部N’’’を短絡させるので、これら2つの接続部H’’,L3’’の間の結合はされない。これはしかしながら望ましいことではない。
【0046】
第2の給電装置MFの接続部H’’,L3’’間において電圧の低下はなく、したがって、第1の給電装置VSCの出力部の接続部L1’’’,N’’’間においても第2の給電装置MFによって提供される電圧は低下せず、第2の給電装置MFは、対称負荷によって、シリコンバー31,32,33を通じて、第1の給電装置VSCに電流を流すことができない。
【0047】
第1の給電装置VSCが第2の給電装置MFに逆行することを防止するために、第2の給電装置MFの出力部に、第1の給電装置VSCの出力電圧が通過することができないハイパスフィルタを組み込んでもよい。
【0048】
図1に示した装置、特に第2の給電装置MFは、複数の出力部への複数のシリコンバーの接続を可能にするために、拡張していくことができない。このためには、三相交流システムのための出力部を有するAC−AC変換器の代わりに、三相以上の、たとえば、四相、五相、または六相の多相交流システムのための出力部を適用することが可能であるAC−AC変換器を利用することが可能である。
【0049】
図1に示された装置は、図2に示した方法においても拡張することが可能である。この拡張は、一つには、第2の給電装置MFの3倍、および三相交流システムに対する給電装置VSCの拡張に該当し、単相交流変圧器は三相交流変圧器4’で代用され、その二次側コイルには、パワーレギュレータ5が、図1に従った装置によって知られる方法で接続され、シリコンバー3と結合される。第1の給電装置VSCの各出力部には、図1に従った装置によって知られるように、第2の給電装置MFが配設される。
【0050】
図2に示す装置も拡張可能であって、たとえば、第1の給電装置VCにおいて、三相以上の交流用変圧器が利用される、および/または第2の給電装置MFにおいてAC−AC変換器1が、第2の給電装置の入力電流を三相交流に変換するために利用される。
【符号の説明】
【0051】
1 AC−AC変換器
2 三相交流変圧器
211,212,213 一次側コイル
212,222,232 二次側コイル
3,31,32,33 シリコンバー
4 単相交流変圧器
41 一次側コイル
42 二次側コイル
421,422,423,424 タップ
4’ 三相交流変圧器
5,51,52,53 パワーレギュレータ
7 保持部材
8,9 制御部
VSC 第1の給電装置
MF 第2の給電装置
L1,L1’,L2’,L3’ 外部導体
N 中性導体
H’’,L1’’,L2’’,L3’’ 接続部
L1’’’ 外部導体接続部
N’’’ 中性導体接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変換器と、少なくとも1つの入力部であって、結合可能な給電網からの入力電力を受電するための少なくとも1つの入力部と、出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)であって、1または複数の負荷(31,32,33)を接続するための接続部(H’’,L1’’,L2’’,L3’’)がそれぞれ2つ設けられた出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)と、を備えるポリシリコンを製造するための反応炉(R)のための給電装置であって、それぞれの出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)を介して、出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)に接続される1または複数の負荷に出力電力が供給される、給電装置(MF)おいて、
給電装置(MF)は、入力電流をn相の多相交流に変換するための、変圧器のない回路を有し、二次側において、変換のための回路に形成されたn相の交流システムのライン電圧間における相変位は、360°/nであり、nは2以上の自然数であり、
給電装置はn個の出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)を備え、
該出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)はラインを形成し、n個の出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)の下には、2つの接続部(L1’’,L2’’)であって、同時にそれぞれに、出力部の内の他の出力部(H’’,L1’’;L2’’,L3’’)が配設された接続部が設けられたn−2個の出力部(L1’’,L2’’)があり、
各出力部(H’’,L1’’;L1’’,L2’’;L2’’,L3’’)の電圧は、n相交流システムのライン電圧となる、ことを特徴とする給電装置(MF)。
【請求項2】
nは3以上の自然数であることを特徴とする、請求項1に記載の給電装置(MF)。
【請求項3】
変換のための回路は、AC−AC変換器(1)、特に、中間蓄積回路またはマトリックスコンバータを備えるAC−AC変換器に包含されることを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置(MF)。
【請求項4】
変換のための回路は、インバータ、特に、共振回路インバータに包含されることを特徴とする請求項1または2に記載の給電装置(MF)。
【請求項5】
AC−AC変換器(1)またはインバータは、周波数変換器を備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の給電装置(MF)。
【請求項6】
AC−AC変換器(1)またはインバータには、少なくとも変圧器(2)が次いで接続されることを特徴とする、請求項1〜5の1項に記載の給電装置(MF)。
【請求項7】
変圧器(2)は、n相変圧器であることを特徴とする、請求項6に記載の給電装置(MF)。
【請求項8】
n相変圧器(2)は一次側で多角形に接続されていることを特徴とする、請求項7に記載の給電装置(MF)。
【請求項9】
n相変圧器(2)の二次側コイル(212,222,232)は、給電装置(MF)の各出力部に対して並列に配設されることを特徴とする、請求項7または8に記載の給電装置(MF)。
【請求項10】
第1の給電装置(VSC)であって、少なくとも単相変圧器(4)、各二次側コイルごとに3つのタップ(421,422,423,424)を有する三相変圧器(4)またはn相変圧器を有し、各二次側コイル(42)の1つのタップは、二次側の中性導体と結合され、各二次側コイル(42)の残りのタップ(421,422,423)は、それぞれパワーレギュレータ(5)を介して二次側の外部導体と結合され、二次側の各外部導体は、外部導体接続部(L1’’’,L2’’’,L3’’’)と、少なくとも1つの中性導体接続部(N’’’)を有する中性導体とに結合され、各外部導体接続部(L1’’’,L2’’’,L3’’’)は、中性導体接続部(N’’’)の1つと共に、第1の給電装置の出力部を形成し、
1つの給電装置とn個の第2の給電装置との間では、第1の給電装置の各出力部が、第2の給電装置または複数の第2の給電装置の1つの、各出力部からのラインまたは複数のラインの1つに対して並列に接続される、第1の給電装置を備える装置において、
第2の給電装置(MF)または請求項1〜9のいずれか1項に記載の第2の給電装置(MF)が設けられ、第1の給電装置(VSC)の各出力部は、第2の給電装置(MF)または複数の第2の給電装置(MF)の1つの、各出力部からのラインまたは複数のラインの1つに対して並列に接続されることを特徴とする装置。
【請求項11】
シーメンス法に従って、真空蒸着によってポリシリコンを製造するための、反応容器を備える反応炉であって、反応容器には、シリコンバーまたはシリコン細棒のための保持部材(7)が備えられ、保持部材(7)は回路に電気的に結合される反応炉において、
請求項10記載の装置が設けられることを特徴とする反応炉。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−27305(P2013−27305A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161022(P2012−161022)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【出願人】(511011861)
【氏名又は名称原語表記】AEG Power Solutions B.V.
【住所又は居所原語表記】Weerenweg 29 Zwanenburg The Netherlands
【Fターム(参考)】