説明

周波数測定装置

【課題】従来の測定方式では測定できない被測定信号の測定が可能となるばかりでなく、高い測定精度の結果を比較的安価に得ることができる周波数測定装置を提供する。
【解決手段】この周波数測定装置50は、パルス変調信号1に含まれるキャリアパルス数を計数するプリカウント回路3と、プリカウント回路3により計数されたパルス数に基づいてパルス変調信号1を中間周波に変換するための基準周波数を決定するφL0制御回路4と、φL0制御回路4により決定された基準周波数(φL)とパルス変調信号(RF)1を乗算して中間周波(IF)を生成する乗算器5と、デジタル信号8を計数して演算することにより中間周波の周波数を決定するカウント回路9と、パルス変調信号1の測定すべき位置を抽出するタイミング生成部13と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数測定装置に関し、さらに詳しくは、航空管制帯におけるパルス変調信号のキャリア周波数を測定する周波数測定装置に係る回路構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空管制においては、航空機の運航に際してのコントロールを行うために、各航空機から離散的に送信されるパルス変調信号を管制塔で受信することにより、各航空機の位置を確認している。従って、航空機から送信されるパルス変調信号のキャリア周波数は、電波法で定められた正確な周波数で送信される必要があり、このキャリア周波数が正確であるか否かを測定する測定器も高い精度が要求される。
【0003】
図8は従来の測定器の測定原理を説明するブロック図である。この方式はキャリアカウント方式と呼称した場合、パルス変調信号31は、パルス変調信号31に含まれるノイズをバンドパスフィルタ32により除去されてRF信号となり、RF信号は演算器38により周波数φL0と演算されて中間周波IFを生成する。IFは検波回路39により検波されて復調信号40を生成し、AMP41により増幅されて、タイミング生成部42により復調信号40の立ち上がりで所定幅(例えば1マイクロ秒)のタイミング信号を生成する。一方、RF信号はAMP33により増幅されて矩形波34を生成し、位相同期を行うPLL回路35に入力される。PLL回路35はクロック36に矩形波34を同期させて同期クロック信号を生成してカウント回路37に入力する。また、PLL回路35には、タイミング生成部42により生成されたタイミング信号を入力して、その間に同期動作が行なわれる。そして、カウント回路37により矩形波34のパルス数が計数され、その値からパルス変調信号31の周波数を演算する。
【0004】
他の方式として、図9に示すようにPLL回路35を省略して矩形波34を直接カウント回路37により計数するキャリア周期カウント方式がある。同じ構成要素には図8と同じ参照番号を付して説明する。また、他の方式として、図10に示すように、RF信号を一旦演算器38により中間周波IFに変換し、その中間周波IFをカウント回路37により計数する方式(例えば、キャリア周期カウントと呼ぶ)がある。この方式では、図8及び図9の方式に比べて、カウント回路37で計数する周波数が低いため、カウント回路37の精度を落とすことができる。
また、キャリア周波数を測定する従来技術として特許文献1には、I/Q位相弁別回路を備え、パルス変調された入力RF信号の搬送周波数を測定するデジタル周波数測定装置において、入力RF信号の周波数測定タイミングを入力RF信号レベルが増加したときに発生する周波数測定タイミングにより行なうデジタル周波数測定装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−248066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記で説明したキャリアカウント方式では、キャリア信号周波数が高くなるにつれ、高速に応答するための回路が必要となる。この場合、高周波回路の実装技術や調整技術が必要となり、熟練した能力を要する。また、回路が複雑になり、使用する部品も高価なものとなる。更に、測定精度を高めるために、常に被測定信号(パルス変調信号31)への同期が必要となるために、被測定信号の連続性が要求される。また、キャリア周期カウント方式では、キャリアカウント方式に比べ、比較的低速な処理を行えるために安価な回路構成が可能であるが、被測定信号を低い周波数へ変換している関係上、測定値の精度及び分解能が低下する。これらを改善するためには、測定値の積算と平均化処理が必要となり、そのために、被測定信号の連続性が要求されることとなる。いずれの場合も、被測定信号の入力量が不足した場合は、測定そのものが不可能である。
即ち、出力信号量が少ないパルス変調システムにおいて、キャリアカウント方式で、キャリア周波数を測定することは、PLL同期に必要な信号を得にくいことから、測定及び精度の維持が困難となっている。実際に、最近の航空管制帯域におけるパルス変調信号では、キャリア周波数の測定が、一般の計測器では出来ないこともある。
また、引用文献1に開示されている従来技術は、周波数測定タイミングを改善する点の発明であり、周波数算出方法の精度を高める内容については記載されていない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、被測定信号をプリカウントして中間周波を生成し、位相の異なる複数のクロック信号により中間周波を並列に計数して演算することにより、従来の測定方式では測定できない被測定信号の測定が可能となるばかりでなく、高い測定精度の結果を比較的安価に得ることができる周波数測定装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、送信装置に不要な機能を装備することがないため、送信装置の価格増加や回路増加による信頼性の低下を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、航空管制帯域におけるパルス変調信号のキャリア周波数を測定する周波数測定装置において、前記パルス変調信号に含まれるキャリアパルス数を計数するパルス計数手段と、該パルス計数手段により計数されたパルス数に基づいて前記パルス変調信号を中間周波に変換するための基準周波数を決定する基準周波数決定手段と、該基準周波数決定手段により決定された基準周波数と前記パルス変調信号を乗算して前記中間周波を生成する乗算器と、前記乗算器により生成された中間周波のパルス数を計数して演算することにより前記中間周波の周波数を決定する周波数測定手段と、前記パルス変調信号の測定すべき位置を抽出するタイミング生成手段と、を備え、前記周波数測定手段は、前記中間周波の1周期を複数の異なる位相のクロック信号により計数し、前記各クロック信号による計数結果の合計値より前記中間周波の周波数を決定することを特徴とする。
高周波のパルスを計数するためには、カウンタの精度を非常に高くすることが望まれる。しかし、精度が高いカウンタは、回路構成が複雑となり、且つ使用する部品が非常に高価なものを使用しなければならない。そこで本発明では、計数するパルスの周波数を低くするために、パルス変調信号を一旦中間周波に変換して、その周波数を計数するようにする。また、1つのカウンタで計数した場合は、クロック周波数に限界があるため、複数のカウンタを並列に構成して、クロック信号の位相に差を設けてカウントすることにより、クロック周波数を高めたのと等価の効果を出すことができる。これにより、安価な回路構成で高周波のキャリア周波数を正確に測定することができる。
【0008】
請求項2は、前記周波数測定手段は、前記クロック信号に異なる位相差を生成させる複数の位相差生成手段と、該位相差生成手段により位相差が生じたクロック信号により前記中間周波の1周期を計数する位相差クロック計数手段と、前記各位相差クロック計数手段により夫々計数された計数結果の合計値にクロック信号周期を位相差数で除算した値を乗算し、該乗算値の逆数から前記中間周波数を決定する演算手段と、を備えていることを特徴とする。
中間周波に変換されたパルス変調信号は、中間周波の周波数差がわかれば元のパルス変調信号からどれ位ずれているかが分かる。そこで本発明では、カウンタのクロック信号として異なる位相差を持たせたクロック信号を複数(例えばn)用意する。夫々のクロック信号毎にn個のカウンタを持ち、同一のパルス変調信号を一斉にカウントすることにより、クロック周波数がn倍の周波数で計数していることと等価となる。そして、各カウンタにより計数された数を合計してカウント数を割り出す。このカウント数にクロック信号周期を位相差数で除算した値を乗算して、周期時間を演算し、その逆数が中間周波数になるので、その値からパルス変調信号のキャリア周波数を得ることができる。これにより、周波数測定手段に使用されるカウンタの部品単価を安価にでき、且つ周波数精度を高めることができる。
請求項3は、前記基準周波数決定手段は、前記周波数測定手段により測定された中間周波数に基づいて前記中間周波の周波数を変更可能とした構成を有することを特徴とする。
パルス変調信号を中間周波に絞り込む場合、周波数差が大きいほどプリカウント回路が簡易に構成できる。そこで本発明では、最初のパルス変調信号からラフな中間周波を生成し、その中間周波の信頼性を確認した後に、次のパルス変調信号から中間周波を変更してパルス数を計数する。これにより、中間周波の信頼性を維持しながらパルス計数手段の回路を簡易に構成することができる。
【0009】
請求項4は、前記パルス計数手段は、入力した複数の前記パルス変調信号のパルス数を合計して平均化する平均化処理手段を更に備えたことを特徴とする。
パルス計数手段によるプリカウントの精度が高いほど中間周波を計数する精度も高くなる。そこで本発明では、プリカウントを行うパルス計数手段の精度を高めるために、パルス変調信号をパルス計数手段により計数する回数を複数回行い、その値を平均化処理する。これにより、簡単な回路構成によりプリカウントを行うパルス計数手段の精度を高めることができる。
請求項5は、前記タイミング生成手段は、前記パルス変調信号又は前記乗算器の出力信号の何れかを検波することにより生成された信号の立ち上がりを基準として、所定の時間幅の信号を生成することを特徴とする。
中間周波のパルス数から周波数を演算するためには、計算が容易にするために一定の時間幅(例えば1マイクロ秒)のパルス数を計数することが必要である。そこで本発明では、パルス変調信号又は乗算器の出力信号の立ち上がりをトリガーとして、一定の時間幅のパルスを生成する。これにより、パルス変調信号又は乗算器の出力信号に同期したパルスを正確に計数することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、計数するパルスの周波数を低くするために、パルス変調信号を一旦中間周波に変換して、その周波数を計数するようにする。また、1つのカウンタで計数した場合は、クロック周波数に限界があるため、複数のカウンタを並列に構成して、クロック信号の位相に差を設けてカウントすることにより、クロック周波数を高めたのと等価の効果を出すことができるので、安価な回路構成で高周波のキャリア周波数を正確に測定することができる。
また、カウンタのクロック信号として異なる位相差を持たせたクロック信号を複数(例えばn)用意し、夫々のクロック信号毎にn個のカウンタを持ち、同一のパルス変調信号を一斉にカウントして、各カウンタにより計数された数を合計して合計カウント数より中間周波の一周期時間を得る。この周期時間の逆数が中間周波数となり、その値からパルス変調信号のキャリア周波数が得られるので、周波数測定手段に使用されるカウンタの部品単価を安価にでき、且つ周波数精度を高めることができる。
また、最初のパルス変調信号からラフな中間周波を生成し、その中間周波の信頼性を確認した後に、次のパルス変調信号から中間周波を変更してパルス数を計数するので、中間周波の信頼性を維持しながらパルス計数手段の回路を簡易に構成することができる。
また、プリカウントを行うパルス計数手段の精度を高めるために、パルス変調信号をパルス計数手段により計数する回数を複数回行い、その値を平均化処理するので、簡単な回路構成によりプリカウントを行うパルス計数手段の精度を高めることができる。
また、パルス変調信号又は乗算器の出力信号の立ち上がりをトリガーとして、一定の時間幅のパルスを生成するので、パルス変調信号又は乗算器の出力信号に同期したパルスを正確に計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る周波数測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のカウント回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】測定IF周波数と分解能の関係を表す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る周波数測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る周波数測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】平均処理時の測定改善例を表す図(その1)である。
【図7】平均処理時の測定改善例を表す図(その2)である。
【図8】従来のキャリアカウント方式の構成を示すブロック図である。
【図9】従来のキャリア周期カウント方式1の構成を示すブロック図である。
【図10】従来のキャリア周期カウント方式2の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0013】
図1は本発明の第1の実施形態に係る周波数測定装置の概略構成を示すブロック図である。この周波数測定装置50は、パルス変調信号(被測定信号)1に含まれる不要周波数を除去するバンドパスフィルタ2と、パルス変調信号1に含まれるキャリアパルス数を計数するプリカウント回路(パルス計数手段)3と、プリカウント回路3により計数されたパルス数に基づいてパルス変調信号1を中間周波に変換するための基準周波数を決定するφL0制御回路(基準周波数決定手段)4と、φL0制御回路4により決定された基準周波数(φL)とパルス変調信号(RF)1を乗算して中間周波(IF)を生成する乗算器5と、中間周波に含まれる不要周波数を除去するバンドパスフィルタ6と、その出力信号を増幅してデジタル信号8に変換するAMP7と、デジタル信号8(乗算器5により生成された中間周波の1周期のパルス)を計数して演算することにより中間周波の周波数を決定するカウント回路(周波数測定手段)9と、パルス変調信号(RF)又は中間周波(IF)を検波して検波信号11を生成する検波回路10と、その信号を増幅してデジタル化するAMP12と、パルス変調信号1の測定すべき位置を抽出するタイミング生成部(タイミング生成手段)13と、を備えて構成されている。そして、カウント回路9は、中間周波の1周期を複数の異なる位相のクロック信号により計数し、各クロック信号による計数結果の合計値から周期を得ることにより中間周波の周波数を演算する。
【0014】
次に、周波数測定装置50の動作例について以下に説明する。
パルス変調信号1(例えば、1030MHz、0.8μs幅)をキャリアカウント方式のプリカウント回路3を使用して、2MHz間隔の領域に絞り込む。次に、絞り込んだ周波数によりφL0制御回路の内蔵発振器の周波数(φL0)を1MHzステップで設定する。次にパルス変調信号(RF)1と内蔵発信器の信号(φL)とを乗算器5に印加することにより、中間周波(IF≒6MHz)に周波数変換を行う。また、検波回路10により復調した信号11から、測定すべきキャリア信号が存在する位置を抽出する。このとき、IFを復調する方法と、直接RFを復調する方法とがある。ここでは、パルス幅0.6μs以上でIF±1MHzの間を測定できる条件とする。次に複数(例えば、8個)の位相の測定用クロック信号(400MHz)を生成する。これにより元のクロック信号の8倍の分解能(400MHz×8=3200MHz)を得ることが出来る。そして、タイミング16を利用して、中間周波の信号周期を測定用クロック信号でそれぞれ測定する。入力信号が、1029MHzでは、中間周波数は5MHzとなり、1031MHzでは、中間周波数は7MHzとなる。測定した信号周期を加算し、その逆数より中間周波数を得る。また、測定した周波数の分解能と精度を高めるために、複数回(N回)の平均化処理を行う。
中間周波数が5MHzの場合、カウンタの分解能は、≒7.8kHzとなり、7MHzの場合は、≒15.4kHzとなる。相関のある信号では、N回の平均化により、1/√NのS/N改善が行われるので、平均回数によりそれぞれ図6のようになる。
【0015】
このように、中間周波数の選択が、被測定信号のパルス幅、測定分解能及び精度に大きく影響する。パルス幅が狭くなれば、中間周波数を高くし、平均回数を増やすことにより測定分解能と精度を保つことができる。また、パルス幅が広くなれば、中間周波数を低くし、少ない回数で必要な測定分解能と精度を得ることが出来る。
図6から分かるとおり、入力周波数が低くなると分解能が良く(細かく)なり、逆に高くなると分解能が悪く(大きく)なる。そこで、図3に示すとおり、測定周波数から、システムが許す範囲で、平均回数を動的に変更することにより、測定範囲内において、分解能を一定以下に保つことも可能である。何れも本発明の利用分野では、十分な性能を安価に実現できる。
即ち、高周波のパルスを計数するためには、カウンタの精度を非常に高くすることが望まれる。しかし、精度が高いカウンタは、回路構成が複雑となり、且つ使用する部品が非常に高価なものを使用しなければならない。そこで本実施形態では、計数するパルスの周波数を低くするために、パルス変調信号1を一旦中間周波IFに変換して、その周波数を計数するようにする。また、1つのカウンタで計数した場合は、クロック周波数に限界があるため、複数のカウンタを並列に構成して、クロック信号の位相に差を設けてカウントすることにより、クロック周波数を高めたのと等価の効果を出すことができる。これにより、安価な回路構成で高周波のキャリア周波数を正確に測定することができる。
【0016】
図2は本発明のカウント回路の構成例を示すブロック図である。このカウント回路9は、クロック信号15に異なる位相差を生成させる複数の位相差生成手段22(φ1位相出力〜φ7位相出力)と、位相差生成手段22により位相差が生じたクロック信号を計数する複数の位相差クロック計数手段21(φ0カウンタ〜φ7カウンタ)と、各位相差クロック計数手段21により夫々計数された計数結果の合計値より周期時間を演算し、周期時間の逆数から中間周波数を演算する演算回路(演算手段)23と、を備えている。尚、φ0カウンタ〜φ7カウンタにはIFをロジックレベル化した信号8を共通に入力し、各イネーブル端子(E)には、タイミング生成部13の出力16が接続され、出力16がハイのときに各カウンタが動作可能となる。従って、クロック信号の周期をt、演算回路23によりカウントされたクロック数の合計をN、周波数値をFとすると、F=(t/8×N)-1により演算することができる。
即ち、中間周波IFに変換されたパルス変調信号は、中間周波の周波数差がわかれば元のパルス変調信号からどれ位ずれているかが分かる。そこで本実施形態では、カウンタのクロック信号として異なる位相差を持たせたクロック信号を複数φ1位相出力〜φ7位相出力(例えば7)用意する。夫々のクロック信号毎にカウンタφ0カウンタ〜φ7カウンタを持ち、同一の中間周波を一斉にカウントすることにより、クロック周波数が8倍の周波数で計数していることと等価となる。そして、各カウンタにより計数された数を合計した値にクロック周期を8で除算した値を乗算することにより周期時間を割り出す。この周期時間の逆数が中間周波数となる。この中間周波数がわかれば、パルス変調信号のキャリア周波数がどの位ずれているかを判定することができる。これにより、周波数測定手段に使用されるカウンタの部品単価を安価にでき、且つ周波数精度を高めることができる。
【0017】
図4は本発明の第2の実施形態に係る周波数測定装置の概略構成を示すブロック図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。図4が図1と異なる点は、φL0制御回路4は、カウント回路9により測定された周波数に基づいて中間周波の周波数を変更可能とした構成を有する。
次に、周波数測定装置51の動作例について以下に説明する。
最初のパルス変調信号(例えば、1090MHz、0.45μs幅)1をキャリアカウント方式のプリカウンタを使用して、おおまかに15MHz間隔の領域に絞り込む。次に、絞り込んだ周波数よりφL0制御回路4内の内蔵発振器の周波数(φL0)を設定しIFを15MHzになるように設定する。そして、パルス変調信号(RF)1と内蔵発信器の信号(φL0)とを乗算器5に印加することにより、中間周波数(IF≒15MHz)に周波数変換を行う。次のパルス変調信号1で、そのIF周波数をキャリア周期カウント方式で測定し、IF≒15MHzの信頼性を確認した上で、IFが8MHzになるように、内蔵発振器の周波数(φL0)を設定する。そして、復調した信号11から、測定すべきキャリア信号が存在する位置を抽出する。ここでは、パルス幅0.4μs以上でIF±0.5MHzの間を測定できる条件とする。次に、複数(8個)の位相の測定用クロック信号(400MHz)を生成する。これにより、元のクロック信号の8倍の分解能(400MHz×8=3200MHz)を得ることが出来る。信号11のタイミングを利用して、中間周波の信号周期を8個のクロック信号でそれぞれ測定する。入力信号が、1089.5MHzでは、中間周波数は7.5MHzとなり、1090.5MHzでは、中間周波数は8.5MHzとなる。
【0018】
測定した信号周期を演算し、その逆数より中間周波数を得る。測定した周波数の分解能と精度を高めるために、複数回(N回)の平均化処理を行う。
測定分解能と改善例については、図7に示す。何れも、本発明の利用分野では、十分な性能を安価に実現できる。第1の実施形態と比較すると、分解能が悪く(大きく)なっているのは、中間周波数を高くしたためであるが、クロック(400MHz)を高めることにより、分解能を良く(細かく)できる。要求される分解能により選定すればよい。
即ち、パルス変調信号1を中間周波に絞り込む場合、周波数差が大きいほどプリカウント回路3の回路が簡易に構成できる。そこで本実施形態では、最初のパルス変調信号からラフな中間周波を生成し、その中間周波の信頼性を確認した後に、次のパルス変調信号から中間周波を変更してパルス数を計数する。これにより、中間周波の信頼性を維持しながらプリカウント回路3の回路を簡易に構成することができる。
【0019】
図5は本発明の第3の実施形態に係る周波数測定装置の概略構成を示すブロック図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。図5が図1と異なる点は、プリカウント回路3は、入力した複数のパルス変調信号のパルス数を合計して平均化する平均化処理回路(平均化処理手段)25を更に備えた点である。即ち、プリカウント回路3によるプリカウントの精度が高いほど中間周波を計数する精度も高くなる。そこで本実施形態では、プリカウントを行うプリカウント回路3の精度を高めるために、パルス変調信号1をプリカウント回路3により計数する回数を複数回行い、その値を平均化処理回路25により平均化処理する。これにより、簡単な回路構成によりプリカウントを行うプリカウント回路3の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 パルス変調信号、2 バンドパスフィルタ、3 プリカウント回路、4 φL0制御回路、5 乗算器、6 バンドパスフィルタ、7 AMP、8 デジタル信号、9 カウント回路、10 検波回路、11 検波信号、12 AMP、13 タイミング生成部、14 測定値、15 クロック信号、25平均化処理回路、50 周波数測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空管制帯域におけるパルス変調信号のキャリア周波数を測定する周波数測定装置において、
前記パルス変調信号に含まれるキャリアパルス数を計数するパルス計数手段と、
該パルス計数手段により計数されたパルス数に基づいて前記パルス変調信号を中間周波に変換するための基準周波数を決定する基準周波数決定手段と、
該基準周波数決定手段により決定された基準周波数と前記パルス変調信号を乗算して前記中間周波を生成する乗算器と、
前記乗算器により生成された中間周波のパルス数を計数して演算することにより前記中間周波の周波数を決定する周波数測定手段と、
前記パルス変調信号の測定すべき位置を抽出するタイミング生成手段と、
を備え、
前記周波数測定手段は、前記中間周波の1周期を複数の異なる位相のクロック信号により計数し、前記各クロック信号による計数結果の合計値から演算することにより前記中間周波の周波数を決定することを特徴とする周波数測定装置。
【請求項2】
前記周波数測定手段は、前記クロック信号に異なる位相差を生成させる複数の位相差生成手段と、該位相差生成手段により位相差が生じたクロック信号により前記中間周波の1周期を計数する位相差クロック計数手段と、前記各位相差クロック計数手段により夫々計数された計数結果の合計値から周期を演算し、該周期の逆数から前記中間周波数を決定する演算手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の周波数測定装置。
【請求項3】
前記基準周波数決定手段は、前記周波数測定手段により測定された中間周波数に基づいて前記中間周波の周波数を変更可能とした構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の周波数測定装置。
【請求項4】
前記パルス計数手段は、入力した複数の前記パルス変調信号のパルス数を合計して平均化する平均化処理手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の周波数測定装置。
【請求項5】
前記タイミング生成手段は、前記パルス変調信号又は前記乗算器の出力信号の何れかを検波することにより生成された信号の立ち上がりを基準として、所定の時間幅の信号を生成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の周波数測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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