説明

周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための方法および装置

【解決手段】周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための方法および装置が提供される。本方法は、スクリーニング電極(7,8)を用いてスクリーニング電位の分布を生成するために、解析される骨、好ましくは長骨の周囲の組織との電気接点に配置された少なくとも4つの電極(1,2,3,4,5,6,7,8)を有するシステムを使用することにある。解析される骨の内部を通って測定電流の流れを生じさせるために、測定電流注入電極(1,2)が使用される。加えて、スクリーニング電極(7,8)は、解析される骨の周囲の組織を通る測定電流の流れを、ほぼ0にまで減少させる。次に、測定電流および測定電流注入電極(1,2)における電位、ならびに測定電流注入電極(1,2)における電位と測定電流との位相差が測定される。測定された電気値に基づいて、骨の構造および化学組成が評価される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成、特に生体インピーダンス測定を用いて長骨の海綿部の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨の構造および化学組成を解析するための既知の技術は、X線を実行することまたは超音波エコースキャンを解析することにある。X線を用いる技術は、非常に良好な特異性および二重エネルギーX線密度測定法(吸光光度分析法)の場合には95%水準の検出感度によって区別される。しかし、これらの技術は時間がかかり、煩雑/不便である。これらの技術には、患者をX線の悪影響にさらすことが含まれ、高価でかなり大きな装置を使用することが必要となる。超音波法は、構造および化学組成を正確には反映しない骨の機械特性の測定に基づくため、あまり信頼性が高くない。
【0003】
英国特許第2449226号に記載された骨の構造を解析するための方法は、2つの測定電極を備えた装置を用いた生体インピーダンス分光計測に関する。この方法は、発生器を用いて波形の決まった少なくとも1つの標準信号を生成することにある。この標準信号は、周辺組織、皮膚および筋肉を介して骨組織に印加される。次に、解析される組織を通って流れる電流により生じた電位差である電気的応答が、同じ電極を用いて測定システムに向けられる。このシステムでは骨組織構造に関するデータが生成される。
【0004】
この装置は、可変で任意に選択された周波数の標準交流電流信号を発生する発生器に接続された2つの電極、および出力データを生成するコンピュータを用いて測定回路の電気的応答を監視するシステムから構成される。電流を供給して骨組織密度に関する応答を監視するために、双方の電極が同時に使用される。この方法は、迅速で非侵襲的かつ無害な生体インピーダンス測定を行うことを可能にする。しかし、この装置は、骨組織単独、特に骨組織の海綿部の電気パラメータを記述する情報を生体インピーダンス信号から区別する可能性をもたらさない。引用した解決方法の発明者らは、海綿部が解析の対象であることを意図していた。この方法は、骨を囲む組織、つまり筋肉、脂肪組織および皮膚を流れる測定電流の流れの大部分がこの場合は診断の観点から重要でないことを考慮しない。加えて、この方法は高インピーダンスによって特徴づけられる骨の外表面の遮蔽効果を補填しない。この遮蔽効果は、骨の内部構造を通る測定電流の流れを著しく減少させうる。
【発明の概要】
【0005】
本願発明に従った方法は、好ましくは長骨である解析される骨の周囲の軟組織を覆う皮膚上に配置された、少なくとも4つの電極を有するシステムを含む。スクリーニング電位場(field)は、スクリーニング電極によって規定される。測定電流の流れは、測定電流注入電極によって解析される骨を通って生成される。加えてスクリーニング電極は、解析される骨の周囲の軟組織を通る測定電流の流れを、実質的に0にまで減少させる。測定電流および電位応答、ならびに電位応答と測定電流との位相差が注入電極にて測定される。次に、測定された電気パラメータに基づいて、骨の構造および化学組成が決定される。
【0006】
注入電極を用いて、周辺組織を通る交流測定電流が解析される骨へと向けられ、加えて、解析される骨の周囲の組織内の交流スクリーニング電位がスクリーニング電極にて生成され、次に、スクリーニング電位の値が測定電流注入電極において測定された電位に比例したレベルにて維持され動的に調節されている間に、測定電流の流れにより生成された電位が測定電流注入電極にて測定され、測定された電位の差が評価されることが有利である。
【0007】
また、測定中に、注入測定電流の周波数が少なくとも1回変化し、加えて注入測定電流の各周波数に対して、測定電流と測定電流注入電極における電位とが測定されることが有利である。
【0008】
測定電流の流れにより生成された電位は、測定電流の流れにより生成された電位を測定する追加的な電極によって測定され、プローブ電極が使用されることによって、解析される骨を囲む組織内部の実際のスクリーニング電位が測定点にて測定されることが有利である。加えて、各追加的な電極における電位が最も近く配置されたプローブ電極における電位に比例するように、スクリーニング電極においてスクリーニング電位が生成されるか、および/または注入電極に対して測定電流が供給され、加えて追加的な電極は、それぞれ異なる注入電極の近傍に配置され、各プローブ電極は異なるスクリーニング電極の近傍に配置される。各追加的な電極における電位が各追加的な電極に最も近いプローブ電極における電位に等しいことが極めて有利であることが明らかにされている。
【0009】
本願発明に従った装置は、コンピュータと連絡するためのインタフェースと、キーボードおよびディスプレイを備えたマイクロプロセッサ制御システムとを含む。これらは位相検波器を有し検出感度が高い前置増幅器のブロックおよび動的スクリーニング実現システムに並列接続されている。少なくとも2つの電極が、動的スクリーニング実現システムに接続されている。
【0010】
動的スクリーニング実現システムは、測定電流の流れによって生成された電位を測定する2つの電極、2つのプローブ電極、および2つのスクリーニング電極に接続されていることが有利である。
【0011】
プローブ電極と、プローブ電極間に配置されたスクリーニング電極は、測定電流注入電極および測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極を含む測定電極のサブシステムである第1のペアと、測定電流注入電極および測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極を含む測定電極のサブシステムである第2のペアとの間にすべて配置されていることが有利である。
【0012】
第1の測定電流注入電極は、肘頭に隣接する被験者の手首を受け入れるクランプ上に配置され、第2の測定電流注入電極は、肘支持部(elbow support)上に配置され、測定電流の流れによって生成された電位を測定する第1の電極は、手首を受け入れるクランプ上に配置された電極に対向して配置され、測定電流の流れによって生成された電位を測定する第2の電極は、手首を受け入れるクランプ上で肘の近傍に配置され、プローブ地点にて電位を測定する電極およびスクリーニング電位を生成する電流注入電極は、前腕の中央部分を受け入れるバンド(bands)上に配置され、リング状または部分的に開いたリング状であることが極めて有利であることが明らかにされている。
【0013】
第1の測定電流注入電極は、肘頭に隣接する被験者の手首を受け入れるクランプ上に配置され、第2の測定電流注入電極は、肘支持部上に配置され、スクリーニング電極は、前腕の中央部分を受け入れるバンド上に配置され、リング状または部分的に開いたリング状であることが有利である。
【0014】
電極は肢(limb)クランプ電極であって、第2の測定電流注入電極は装置のケース(casing)の一体部分であることが有利である。
【0015】
当業者に理解されるように、本願発明に従った方法は、2つの電極セット、つまり測定電極のセットおよびスクリーニング電極のセットを含む測定システムを用いて、解析される骨の周囲の組織の影響を取り除くことを可能にする。皮膚上に配置された測定電極セットを用いて、異なる種類の組織に囲まれた骨組織を含む解析システムに測定電流が注入される。加えてこの測定電極セットは、注入電流の流れにより生じた電位差を測定するために使用される。
【0016】
少なくとも2つの電極を含む追加的なスクリーニング電極セットは、解析される骨組織の周囲の組織を通る電流の流れを減少させる追加的な電位を組織中で生成する。追加的な電極は、最適な測定条件を提供する、つまり組織を通る診断の観点からは重要でない寄生電流の流れを最小化させる電子的フィードバックシステムを用いて動的に制御される。動的スクリーニングは、骨の海綿部を通って測定電流を流れさせる。測定電流は電気パラメータの決定を可能にする。
【0017】
骨の表層が高インピーダンスであることにより、2つの電極方法では骨の内部の生体電気パラメータを正確に測定することが事実上不可能になる。しかし、動的スクリーニングを用いる場合には、測定結果におけるスクリーニング電流のあらゆる悪影響を効果的に防止することができる。加えて、本願発明に従って骨の組織構造および化学組成を決定するための方法は、構造および化学組成、特に骨粗しょう症および骨減少症の診断において重要な海綿骨の石灰化(mineralization)の程度を迅速かつ正確に決定することを可能にする。これまで使用されてきた他の方法と比較して、本願発明に従った方法は、測定結果において骨組織の周囲の他の組織の影響を取り除くことを可能にする。
【0018】
また当業者に理解されるように、本願発明は、被験者の骨の上に配置可能な電極システムおよび小型サイズのバッテリを動力源とする測定装置を含むポータブル装置を生産する可能性も提供する。この測定装置は、ガルバニ(galvanic)絶縁をもたらし、有線接続または無線接続によりPCに接続可能である。
【0019】
本願発明を実行するための方法および装置の例を、添付の図面を参照してここに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】解析される骨の構造および化学組成を決定するための装置の一般的な概略図を示す。
【図2】前腕における電極の配置を示す。
【図3】8つの電極を用いて解析される骨の概略横断面図を示す。図3は、解析される骨の密度を示す。
【図4】8つの電極を用いて解析される骨の概略横断面図を示す。図4は、測定電流およびスクリーニング電位により生成された電流の方向を示す。
【図5】8つの電極を用いて解析される骨の概略横断面図を示す。図5は、測定電流およびスクリーニング電位により生成された電流の密度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例の説明)
(実施例1)
周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための方法は、解析される骨の周囲の組織に測定電流注入電極1,2によって供給される交流測定電流Iを生成することにある。加えて、解析される骨を通る測定電流の流れIを生じさせる交流スクリーニング電位が、スクリーニング電極7,8にて生成される。スクリーニング電位の値は、動的に制御され、測定電流注入電極1,2において測定された電位に比例したレベルにて維持される。印加された測定電流の周波数は、測定中に250Hz〜250kHzの範囲で等間隔にて少なくとも9回変化する。測定電流注入電極1,2における電位、測定電流Iの値および測定電流注入電極1,2と測定電流Iとの位相差は、10個の注入測定電流の周波数のそれぞれに対して測定される。測定された電気値に基づいて、骨組織の構造および化学組成が評価される。
【0022】
(実施例2)
周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための方法は、測定電流Iの流れにより生成された電位が、測定電流の流れにより生成された電位を測定する電極3,4を用いて測定され、プローブ地点における電位がプローブ電極5,6を用いて測定される点において違う以外は、実施例1と同様に実行される。注入された電気信号周波数は、数回変化する。測定電流の流れにより生成された電位を測定する電極3,4における電位、測定電流Iおよび測定電流の流れにより生成された電位を測定する電極3,4における電位と測定電流Iとの位相差は、注入された8つの測定電流Iの周波数に対してそれぞれ測定される。測定された電気値に基づいて、骨組織の構造および化学組成が評価される。
【0023】
(実施例3)
骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための装置は、コンピュータ9と連絡するインタフェースに接続されたキーボードおよびディスプレイを備えたマイクロプロセッサ制御システム12を含む。キーボードおよびディスプレイを備えたマイクロプロセッサ制御システム12は、2つの測定電流注入電極1,2に接続された測定電流生成ブロック13に接続されている。位相検波器を備えた高検出感度前置増幅器のブロック10、および高速前置増幅器と高速出力増幅器とを含む動的スクリーニング実現システム11は、インターフェースに並列接続されている。インターフェースは、コンピュータ9と、キーボードおよびディスプレイを備えたマイクロプロセッサ制御システム12と通信する。2つのスクリーニング電極7,8は、動的スクリーニング実現システム11に接続されている。
【0024】
(実施例4)
骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための装置は、測定電流の流れによって生成された電位を測定する2つの追加的な電極3,4と、2つのプローブ電極5,6とが、動的スクリーニング実現システム11に接続されている点が違う以外は、実施例3と同じである。スクリーニング電極サブシステムを構成するプローブ電極5,6とスクリーニング電極7,8は、測定電流注入電極1および測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極3を含む測定電極サブシステムである第1のペアと、測定電流注入電極2および測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極4を含む測定電極サブシステムである第2のペアと、の間に配置されている。スクリーニング電極サブシステムでは、スクリーニング電極7,8はプローブ電極7,8の間に配置されている。
【0025】
(実施例5)
骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための装置は、測定電流注入電極1が肘頭近傍の手首を受け入れるクランプ上に配置され、測定電流注入電極2が肘支持部(support)上に配置され、測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極3が電極1に対向して手首を受け入れるクランプ上に配置され、プローブ電極5,6およびスクリーニング電極7,8が前腕の中央部分を受け入れるバンド上に配置されている間、測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極4が肘の近傍にて腕を受け入れるクランプ上に配置される点が違う以外は、実施例4と同じである。電極7,8は、部分的に開いたリング形状である。
【0026】
(実施例6)
骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための装置は、測定電流注入電極1が肘頭近傍の手首を受け入れるクランプ上に配置され、第2の測定電流注入電極2が装置のケースの一体部分である肘支持部上に配置されている点が違う以外は、実施例3と同じである。スクリーニング電極7,8は部分的に開いたリング形状であって、電極1,7,8は肢(limb)クランプ電極である。
【0027】
本システムは、測定電流I、測定電流注入電極1,2における電位、および測定電流注入電極1,2における電位と測定電流Iとの位相差が、測定電極およびスクリーニング電極として機能する2つのサブシステムから構成される電極1,2,7,8を用いて、解析される骨組織の周囲の組織に接触して測定されるように作動する。1組の測定電流注入電極1,2を用いて測定電流Iが注入され、測定電流の流れによって生成された電位を測定する1組の電極3,4を用いて、解析される骨組織の周囲の組織を通る測定電流Iの流れによって生成された電位差が測定される。1組のプローブ電極5,6を用いて、定められたプローブ地点における電位が測定される。1組のスクリーニング電極7,8を用いて、スクリーニング電位を生じさせる電流が注入される。電位が反対である測定電流の流れにより生成された電位を測定する電極3,4の群間に配置されるように、スクリーニング電極7,8の位置が決められる。組織中で測定電流Iの流れの仮の経路(assumed path)を得るために、高速増幅器を含む動的スクリーニング実現システム11が使用される。
【0028】
骨髄で充填された海綿骨(SB)を囲む硬骨(HB)、好ましくは長骨である骨が、筋肉を覆う皮膚の上から解析するために選択された。この骨の上に、測定電流注入電極1,2および電位が反対である測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極3,4の群間にて、プローブ電極5,6およびスクリーニング電極7,8の相互配置(mutual configuration)を含めてすべての電極を配置しうる。
【0029】
加えて、硬骨(HB)層の絶縁作用によってあらゆる悪影響なしに海綿骨(SB)を解析するためにスクリーニング電極7,8が使用可能となるように、骨が選択される。好ましくは、人体で解析に最も適した領域は前腕である。前腕においてプローブ電極5,6が、前腕の中央部分において締め付けリング形状のスクリーニング電極7,8が配置される。一方、測定電流注入電極1,2およびの測定電流の流れの電位を測定する電極3,4は、それぞれ手首および肘に近い肘頭近傍の皮膚上に配置される。
【0030】
図4の矢印および線の方向は、測定電流Iの流れと解析される組織中を流れるスクリーニング電位により生成された電流Iとの解析方向、および電流密度I,I(図5)に対応し、スクリーニング電位が周囲の組織を含まない解析される骨組織を通って測定電流Iを流れさせることを明瞭に示す。一方、外層の絶縁特性によるスクリーニング電位の電流Iは、骨の内部には流れない。図5の灰色の色調は、電流密度値を示す。つまり、より明るい色調は高い値に対応し、より暗い色調は低い値に対応する。
【0031】
解析される骨組織の電気パラメータが10%変化した場合に観察される、電気値の測定値の相対変化として規定された本願発明に従った装置の検出感度が、表中に示されている。
【0032】
【表1】

【0033】
表中に示されるように、周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成を解析する本願発明に従った装置は、既知の装置の検出感度を100倍以上も上回る非常に高い検出感度によって特徴づけられる。
【符号の説明】
【0034】
1.測定電流注入電極
2.測定電流注入電極
3.測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極
4.測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極
5.プローブ電極
6.プローブ電極
7.スクリーニング電極
8.スクリーニング電極
9.追加的なコンピュータと協働するインターフェース
10.位相検波器を備えた高検出感度前置増幅器のブロック
11.動的スクリーニング実現システム
12.キーボードとディスプレイを備えたマイクロプロセッサ制御システム
13.測定電流生成ブロック
:測定電流
:スクリーニング電流
HB:硬骨
SB:海綿骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成を非侵襲的に解析するための方法であって、
好ましくは長骨である解析される骨の周囲の組織に接触して配置された少なくとも4つの電極(1,2,3,4,5,6,7,8)を含む電極セットを用いるステップであって、スクリーニング電極(7,8)を用いてスクリーニング電位の分布を規定し、測定電流注入電極(1,2)を用いて測定電流(I)の流れを解析される骨の内部を通って生じさせ、加えてスクリーニング電極(7,8)を用いて解析される骨の周囲の組織を通る測定電流(I)の流れを実質的に0にまで減少させるステップと、
次に、測定電流(I)および測定電流注入電極(1,2)における電位、ならびに測定電流注入電極(1,2)における電位と測定電流(I)との位相差を測定するステップと、
次に、測定された電気値に基づいて、骨組織の構造および化学組成を評価するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
測定電流注入電極(1,2)を用いて、交流測定電流(I)を周辺組織を通じて解析される骨へと間接的に供給するステップと、
加えて、解析される骨の周囲の組織内の交流スクリーニング電位をスクリーニング電極(7,8)にて生成するステップと、
次に、スクリーニング電位の値が、測定電流注入電極(1,2)において測定された電位に比例したレベルにて維持され、動的に調節されている間に、測定電流(I)の流れにより生成された電位を測定電流注入電極(1,2)にて測定し、測定された電位の差を評価するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
注入測定電流(I)の周波数が測定中に少なくとも1回変化し、注入電流の各周波数に対して、測定電流(I)と測定電流注入電極(1,2)における電位とが測定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
測定電流(I)の流れにより生成された電位は、測定電流(I)の流れにより生成された電位を測定する追加的な電極(3,4)によって測定され、
解析される骨を囲む組織内部の実際のスクリーニング電位は、プローブ地点にてプローブ電極(5,6)によって測定されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
各追加的な電極(3,4)における電位が最も近いプローブ電極(5,6)における電位に比例するように、スクリーニング電極(7,8)におけるスクリーニング電位が生成されるか、および/または測定電流注入電極(1,2)に対して測定電流(I)が供給され、
追加的な電極(3,4)は、それぞれ異なる測定電流注入電極(1,2)の近傍に配置され、各プローブ電極(5,6)は異なるスクリーニング電極(7,8)の近傍に配置されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各追加的な電極(3,4)における電位は、最も近いプローブ電極(5,6)における電位に等しいことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
周辺組織の影響を取り除いて骨組織の構造および化学組成を解析するための装置であって、
ケース中に、コンピュータと通信するインターフェースに接続されたキーボードおよびディスプレイが備え付けられたマイクロプロセッサ制御システムを含み、
マイクロプロセッサ制御システムは、測定電流を注入する2つの電極に接続された測定電流生成ブロックに接続され、
コンピュータと通信するインターフェース(9)およびキーボードとディスプレイを備えたマイクロプロセッサ制御システム(12)は、位相検波器を備えた高検出感度前置増幅器のブロック(10)と動的スクリーニング実現システム(11)とに並列接続され、
少なくとも2つの電極(1,2,3,4,5,6,7,8)は、動的スクリーニング実現システム(11)に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
測定電流フロー(3,4)により生成された電位を測定する2つの電極、2つのプローブ電極(5,6)、および2つのスクリーニング電極(7,8)は、動的スクリーニング実現システム(11)に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
プローブ電極(5,6)およびプローブ電極(5,6)間に配置されたスクリーニング電極(7,8)は、測定電流注入電極(1)および測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極(3)を含む測定電極のサブシステムである第1のペアと、測定電流注入電極(2)および測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極(4)を含む測定電極のサブシステムである第2のペアとの間に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
第1の測定電流注入電極(1)は、肘頭に隣接する解析される被験者の手首を受け入れるクランプ上に配置され、
第2の測定電流注入電極(2)は、肘支持部上に配置され、
測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極(3)は、手首を受け入れるクランプ上に配置された電極(1)に対向して配置され、
測定電流の流れによって生成された電位を測定する電極(4)は、手首を受け入れるクランプ上で肘の近傍に配置され、
プローブ地点にて電位を測定する電極(5,6)およびスクリーニング電位を生成する電流注入電極(7,8)は、前腕の中央部分を受け入れるバンド上に配置され、リング状または部分的に開いたリング状であることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
第1の測定電流注入電極(1)は、肘頭に隣接する解析される被験者の手首を受け入れるクランプ上に配置され、
第2の測定電流注入電極(2)は、肘支持部上に配置され、
スクリーニング電極(7,8)は、前腕の中央部分を受け入れるバンド上に配置され、リング状または部分的に開いたリング状であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項12】
電極(1,3,4,5,6,7,8)は肢クランプ電極であって、第2の測定電流注入電極(2)は装置のケースの一体部分であることを特徴とする請求項10または11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−520225(P2013−520225A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553838(P2012−553838)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/PL2011/000014
【国際公開番号】WO2011/102743
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512215406)ボーン ヴィータイ エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】