説明

味短縮剤としてのイソマルツロース

本発明はイソマルツロースの味短縮剤としての使用及びイソマルツロースにより味持続時間が短縮される甘味物質混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソマルツロース及び少なくとも1種の強力甘味物質を含み、少なくとも1種の強力甘味物質の味持続時間がイソマルツロースによって短縮される甘味物質混合物並びに味短縮剤としてのイソマルツロースの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
強力甘味物質は、飲料及び食品、嗜好品又は医薬品で多用される添加物である。ところが強力甘味物質はしばしば意外に長く持続する後味を有する。
【0003】
スクラロースは、米国で1989年に、欧州連合で2004年に認可された、飲料や食品、嗜好品及び医薬品の甘味づけのためにしばしば使用される強力甘味物質である。
【0004】
当業者にスプレンダ(Splenda)の名称でも知られるスクラロースは、1,6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-β-D-フルクトフラノシル-4-クロロ-4-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシドの一般名である。英国特許第1543167号に記載されたスクラロースは、体内で代謝されず、ノーカロリーであり、歯にやさしい製品に使用することができる。スクラロースは超強力甘味料である。水溶液でスクラロースは砂糖の約600倍の甘味があり、純粋な味覚特性を有する。スクラロースは著しく長く持続する味を示す。これは多くの製品、例えばコーラ、レモネード及び甘味品で消費者が望まない。
【0005】
天然に例えば蜂蜜に存在する還元性二糖ケトース、イソマルツロース(6-0-α-D-グルコピラソシルフルクトース)は当業者にパラチノースとしても知られており、主としてイソマルト、即ちジアステレオマー6-0-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(1,6-GPS)と1-0-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(1,1-GPM)のほぼ等モル混合物の製造のための出発材料として使用される。イソマルツロースはその小さな甘味力とその結果生じる味覚に基づき、主として砂糖代替物及び/又は甘味物質と組み合わせて食品中の甘味料として使用される。イソマルツロースの分解が小腸区域で初めてゆるやかに起こることから、イソマルツロースは酸化代謝を維持するためにスポーツマン用の特殊食品でも使用される。
【0006】
イソマルツロースは一水和物の形で結晶する。イソマルツロースの水への溶解度は水gあたり無水イソマルツロース0.49gである。イソマルツロースはヒト口腔菌叢によってほとんど分解されないから、有利な非う蝕原性を有する。イソマルツロースはもっぱらヒト小腸壁のグルコシダーゼによってゆるやかに分解され、生じる分解産物、グルコース及びフルクトースは吸収される。その結果、消化が早い炭水化物と比較して、血中グルコースが緩やかに上昇する。イソマルツロースは消化が早い高血糖性食品と違って、代謝のためにインスリンをほとんど必要としない。有利な非う蝕原性にかかわらず、これまでイソマルツロースは砂糖代替物、例えばマンニトール、ソルビトール及びイソマルト又は甘味物質例えばシクラマートと対照的に、食品又は飲料中の唯一の糖分又は唯一の甘味料として使用されることがほとんどない。これは特にスクロースと比較して甘味力がはるかに小さいことから、イソマルツロースの味に関連がある。10%イソマルツロース水溶液の甘味力は砂糖の甘味力の約0.4にすぎない。
【0007】
一部でイソマルツロースは他の食品の不快な味を隠蔽するためにも使用される。欧州特許出願公開EP0809939A1は、乳酸菌とビフィズス菌を含み、かつ高い割合の不飽和脂肪酸を有する精製魚油と甘味料、例えばイソマルツロースを含むヨーグルトを記述する。イソマルツロースの添加は典型的な魚の味と魚の臭みの発生を阻止するとのことである。日本特許出願公開JP63152950A2は各種の野菜とゲル化剤を使用した野菜ゼリー製品の製造を記述する。その場合野菜成分の不快な匂いを隠蔽するためにイソマルツロース及びその他の添加物、例えばシナモンが使用される。
【0008】
ドイツ特許DE69000548T2はスクラロースとイソマルツロースを含む甘味物質組成物を記述する。この組成物は相乗効果を有する。即ち単独で加えた場合に甘味物質成分が示す予測甘味力より大きな甘味力を示す。この甘味物質混合物は例えば飲料及び甘味品の製造に使用することができる。
【0009】
米国特許第5,902,628号はタンニン酸の添加によりスクラロースの持続的な甘い後味を短縮することを記述する。
【0010】
しかしタンニンのようなタンニン酸は苦味を有し、それが飲料や食品、嗜好品又は医薬品で邪魔になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明の根底にあるのは、消費者が邪魔又は異質と感じるような影響を味質に与えることなく、強力甘味物質、特にスクラロースの持続する後味が短縮された飲料、食品、嗜好品又は医薬品を提供するという技術的課題である。さらに当該の製品のスクラロース又は甘味料の甘味力又は甘味強度を減少させずに、甘い後味の持続時間だけを短縮することを意図する。
【0012】
さらに本発明の根底にあるのは、食品、嗜好品又は医薬品や飲料中の強力甘味物質、特にスクラロースの持続する後味を前記のように短縮する方法及び製品、特に甘味物質混合物を提供するという技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はイソマルツロースを味短縮剤として使用することによって、発明の根底にある技術的課題を解決する。特に本発明は少なくとも1種の強力甘味物質、特にスクラロース、即ち1,6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-β-D-フルクトフラノシル-4-クロロ-4-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシドの味の持続時間短縮のためにイソマルツロースを使用することによって、発明の根底にある技術的課題を解決する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に関連して、味とは、食品を感知し区別する人間の化学的感覚を意味する。人間はおおむね4つの味質、即ち甘味、酸味、苦味及び鹹味(塩味)を区別することができる。味物質の分子が受容体分子に付加して味細胞を活性化することにより、味覚刺激が生じる。味覚刺激は、その質、例えば甘味、酸味、苦味、鹹味又はその混合のいずれかや、その強度、即ち味の濃さにおいても、その持続時間においても、現われ方が異なる。味の強さと味の持続時間の間に必ずしも関連はない。味の強さ、例えば甘味力の減少は必ずしも同時に味の持続時間の短縮を意味せず、またその逆も同様である。味の持続時間の短縮は必ずしも味の強さの変化、特に減少を意味しない。
【0015】
味の持続時間の1つの構成部分は、後味、即ち製品の消費の後に残存する又は持続する味の持続時間又は最終味覚段階である。一部で後味は長く持続することがある。
【0016】
好ましくは、味短縮剤としてイソマルツロースを使用することによって、強力甘味物質の残存する、特に長く持続する後味が短縮され、それによって味の強度、質即ち甘味力、又はその他の味質が変更されること、特に減少又は強化されることはない。好ましくは、イソマルツロースは甘味料の溶解度に無関係な効果によって強力甘味物質の味、特に後味の持続時間を短縮する。即ちイソマルツロースはスクラロース又はその他の強力甘味物質の溶解度を変えない。最も好ましくは、イソマルツロースは強力甘味物質、特にスクラロースの後味、即ち味覚の最終段階だけを短縮し、主段階即ち飲食時の味を短縮することはない。また初期の味覚にも何ら影響しないことが好ましい。
【0017】
本発明に関連して、「甘味料」という用語は、甘味力を有し、例えば甘味を付与するために食品又は飲料に添加される物質を意味する。本発明に関連して、「甘味料」は、ボディーと甘味力を付与する「糖類」例えばイソマルツロース、スクロース、グルコース又はフルクトースと、「甘味物質」、即ち糖類でないが、それでも甘味力を有する物質とに分けられ、甘味物質はさらに「砂糖代替物」即ち甘味力に加えてボディーと生理的熱量を有する甘味料(身体に吸収される甘味物質)と、「強力甘味物質」、即ち通常極めて高い甘味力を有するが、ボディーがなく、通常生理的熱量をまったく又は僅かしか持たない物質に分けられる。強力甘味物質は例えばスクラロースである。
【0018】
本発明は味短縮剤としてのイソマルツロースの使用に関する。イソマルツロースの使用において、本発明に基づきイソマルツロースが少なくとも1種の強力甘味物質、特にスクラロースの味の持続時間を短縮することが好ましい。
【0019】
本発明に基づき、イソマルツロースを少なくとも1種の強力甘味物質、特にスクラロースの後味の持続時間、又は持続する後味、特に甘い後味又は持続する甘い後味の持続時間の短縮のために使用することが好ましい。
【0020】
本発明に基づき、甘味物質混合物中での、好ましくはイソマルツロースと少なくとも1種の強力甘味物質、特にスクラロースを含む甘味物質混合物中での本発明に基づくイソマルツロースの使用が好ましい。特に甘味物質混合物はイソマルツロースとスクラロースだけからなることが好ましいが、場合によっては別の成分、例えばその他の甘味料が存在することも可能である。但し甘味物質混合物はグルコース、フルクトース及び/又はスクロースを含まないことが好ましい。
【0021】
甘味物質混合物中のイソマルツロースの本発明に基づく使用において、本発明に基づき甘味物質混合物が1〜99%重量%、特に40〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、さらに好ましくは80〜95重量%(甘味物質混合物の全乾燥物重量に対して)のイソマルツロースを含むことが好ましい。
【0022】
甘味物質混合物中の特に上記数量範囲のイソマルツロースの本発明に基づく使用において、本発明に基づき甘味物質混合物が0.0005〜3重量%、特に0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.02〜0.1重量%(甘味物質混合物の全乾燥物重量に対して)の強力甘味物質を含むことが好ましい。
【0023】
本発明に基づき、イソマルツロースを食品、嗜好品又は医薬品もしくは飲料に使用することが好ましい。また本発明に基づき食品、嗜好品又は医薬品もしくは飲料に本発明に基づく甘味物質混合物を使用することが好ましい。
【0024】
本発明に基づき、食事療法食にイソマルツロースを使用することが好ましい。また本発明に基づき食事療法食に本発明に基づく甘味物質混合物を使用することが好ましい。
【0025】
本発明に基づき、飲料、食品、嗜好品又は医薬品での本発明に基づく甘味物質混合物の使用において、飲料、食品、嗜好品又は医薬品が1〜99重量%、特に20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは40〜55重量%(飲料、食品、嗜好品又は医薬品の全乾燥物重量に対して)の甘味物質混合物を含むことが好ましい。特定の実施形態では、飲料、食品、嗜好品又は医薬品はグルコース、フルクトース及び/又はスクロースを含まない。しかし本発明に基づき、別の実施形態では、グルコース、フルクトース、スクロース及び/又はその他の甘味料を含むこともできる。
【0026】
また本発明は、イソマルツロースと少なくとも1種の強力甘味物質、好ましくはスクラロースを含み、少なくとも1種の強力甘味物質、好ましくはスクラロースの味持続時間がイソマルツロースによって変更され、好ましくは短縮される甘味物質混合物に関する。また本発明はイソマルツロースと少なくとも1種の強力甘味物質、好ましくはスクラロースを含み、少なくとも1種の強力甘味物質、好ましくはスクラロースの持続する、好ましくは甘い後味がイソマルツロースによって変更され、好ましくは短縮される甘味物質混合物に関する。また本発明はイソマルツロースとスクラロースを含み、強力甘味物質好ましくはスクラロースの味持続時間がイソマルツロースによって変更され、好ましくは短縮される甘味物質混合物に関する。
【0027】
本発明に基づく甘味物質混合物は、本発明に基づき、1〜99重量%、特に40〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、さらに好ましくは80〜95重量%(甘味物質混合物の全乾燥物重量に対して)のイソマルツロースを含むことが好ましい。
【0028】
本発明に基づく甘味物質混合物は、本発明に基づき、0.0005〜3重量%、特に0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.02〜0.1重量%(甘味物質混合物の全乾燥物重量に対して)の強力甘味物質を含むことが好ましい。
【0029】
また本発明は、本発明に基づきイソマルツロースが使用される飲料、食品、嗜好品又は医薬品に関する。また本発明は本発明に基づきイソマルツロースが使用される食事療法食に関する。
【0030】
また本発明は少なくとも1種の強力甘味物質、好ましくはスクラロースの味、特に持続する、好ましくは甘い後味の持続時間がイソマルツロースによって短縮される飲料、食品、嗜好品又は医薬品に関する。
【0031】
飲料とは、例えば非アルコール飲料、清涼飲料、コーラ含有飲料、スポーツ飲料、飲料原料及び粉末飲料を意味する。
【0032】
本発明に関連して、「食品」という用語は、主としてヒトの栄養のために利用され、不変の又は調理した又は加工した状態でヒトが消費する固体、液体、溶解もしくは懸濁状の形態の製品又は物質混合物を意味する。食品は天然成分のほかに天然又は合成起源のその他の成分を含むことができる。食品は固形でも液状でも存在する。「嗜好品」とは、消費の際にヒト又は動物の身体に楽しみを与える、固体、液体、溶解もしくは懸濁状の形態の物質又は物質混合物を意味する。
【0033】
発明の好ましい実施形態では、本発明に基づく食品は乳又は乳製品、例えばチーズ、バター、ヨーグルト、ケフィア(kefir)、クヴァルク(quark)、サワーミルク、バターミルク、クリーム、コンデンスミルク、ドライミルク、ホエー、ミルク混合製品、ハーフファットミルク、ホエー混合製品、乳糖、乳タンパク質及び乳脂製品である。発明の別の好ましい実施形態では本発明に基づく食品は焼いた食品、特にクッキーを含むパン及び焼いた保存食品を含むケーキ類である。発明の別の実施形態では、本発明に基づく食品はパンのスプレッド、マーガリン製品、ショートニング、インスタント製品及びブロス製品である。発明の別の実施形態では、本発明に基づく食品は果実製品、特にジャム、マーマレード、ゼリー、缶詰の果実、果肉、果実ピューレ、果汁、濃縮果汁、果実ネクター及び果実粉末である。本発明に基づく製品を含む食品は、本発明に基づき野菜製品、特に缶詰の野菜、野菜ジュース及び野菜ピューレであることも可能である。
【0034】
用語「嗜好品」は、例えば甘味品、特にチョコレート製品、ハードキャラメル、ソフトキャラメル、フォンダン製品、ゼリー製品、リコリス、ホイップシュガー製品、ココナッツフレーク、ドラジェ、圧縮製品、フルーツキャンデー、クロカン、ヌガー製品、アイスキャンデー、マジパン、チューインガム、グラノーラバー及びアイスクリーム又はアルコールもしくは非アルコール甘味飲料である。
【0035】
本発明に関連して、「食事療法食」とは、所定の栄養目的を満足させるための食品であり、一定の栄養素の供給、又は所定の割合又は所定の状態で生理学的効果をもたらすその他の栄養物質の供給を行う。食事療法食はその組成又は性質が、比較可能な種類の食品と決定的に相違する。食事療法食は、病疾、機能障害又は個々の食品もしくはその成分に対するアレルギー反応に基づき特定の栄養要求を満たさなければならない場合に使用することができる。食事療法食は固体状でも液体状でも存在することができる。
【0036】
本発明に基づく飲料、食品、嗜好品又は医薬品は本発明に基づき1〜99重量%、特に20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは40〜55重量%(飲料、食品、嗜好品又は医薬品の全乾燥物重量に対して)の本発明に基づく甘味物質混合物を含むことが好ましい。
【0037】
また本発明は、少なくとも1種の強力甘味物質、好ましくはスクラロースの味持続時間の短縮のための方法であって、少なくとも1種の強力甘味物質にイソマルツロースを添加することを特徴とする方法に関する。
【0038】
本発明に基づき、少なくとも1種の強力甘味物質、好ましくは、スクラロースの持続する、好ましくは甘い後味の持続時間の短縮方法であって、少なくとも1種の強力甘味物質にイソマルツロースを添加する方法が好ましい。
【0039】
また本発明は本発明に基づく方法によって得られる、特に得られた、イソマルツロースと強力甘味物質、好ましくはスクラロースの混合物に関する。
【0040】
発明のその他の有利な実施態様は請求項から明らかである。
【実施例】
【0041】
下記の実施例と付属の図に基づいて発明を詳述する。
【0042】
実施例1:
体によって吸収される甘味物質としてイソマルツロース(パラチノース(商標))又は砂糖代替物を含むスクラロース含有ミルクチョコレートを調製した。このミルクチョコレートをスクラロースに典型的な後味について官能的に評価した。
【表1】

【0043】
「スクラロースを含むチョコレートの試料が貴方の前にあります。スクラロースは著しく長く持続する後味があります。次の試料は、この味を認識できるか否か、できるとしたら、どの程度認識できるか、を評価するためのものです。
【0044】
1片(1個の「四角片」)のチョコレートを取って、しゃぶってください。試料を噛み砕いたり、飲み込まないようにお願いします。さもなければ味が完全には現れないからです。次に試料の味を評価してください。
【0045】
味を中和するために、用意したお茶と白パンをお召し上がりください。」
【表2】

【0046】
試料:
・イソマルツロースを含むスクラロース含有ミルクチョコレート
・トレハロースを含むスクラロース含有ミルクチョコレート
・ラクチトールを含むスクラロース含有ミルクチョコレート
・マルチトールを含むスクラロース含有ミルクチョコレート
・エリスリトールを含むスクラロース含有ミルクチョコレート
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0047】
スクラロース含有チョコレートの官能評価を12〜17人の被験者で行った。
【0048】
チョコレートを完全にしゃぶり尽くした後にスクラロースの後味を判定した。
【0049】
結果:
図1で明らかなように、イソマルツロースは、スクラロース含有チョコレートで、この甘味物質の長く持続する後味を短縮する。このことは他の砂糖代替物、特に例えばエリスリトールを含むスクラロース含有ミルクチョコレートと比較するときわめて顕著である。
【0050】
実施例2:
甘味物質としてイソマルツロース、マルトデキストリン又はスクロースを含むスクラロース含有水溶液を調製した。すべての溶液がさらにスクラロースを含んでいた。溶液をスクラロースに典型的な後味について官能的に評価した。被験者のために使用した検査用紙は、実施例1で説明したものと同じであった。
【0051】
試料:
・マルトデキストリン溶液:7.916%マルトデキストリン;0.004%スクラロース;92.080%水。
【0052】
・パラチノース(商標)溶液:7.916%イソマルツロース;0.004%スクラロース;92.080%水。
【0053】
・スクロース溶液:5.603%スクロース;0.004%スクラロース;94.393%水。
【0054】
スクラロース含有溶液の官能試験を5人の被験者で行った。
【0055】
スクラロースの後味をスクラロース含有溶液の飲用の直後に判定した。
【0056】
結果:
図2で明らかなように、イソマルツロースは、スクラロース含有溶液で、マルトデキストリン又はスクロースを含む溶液と比較して、この甘味物質の長く持続する後味を短縮する(0=後味を確認できない;2=後味をはっきり感知できる)。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】スクラロース含有ミルクチョコレートの官能評価を示すグラフである。
【図2】スクラロース含有溶液の官能評価を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
味短縮剤としてのイソマルツロースの使用。
【請求項2】
イソマルツロースにより少なくとも1種の強力甘味物質の味が短縮される、請求項1に記載のイソマルツロースの使用。
【請求項3】
強力甘味物質がスクラロースである、請求項1又は2に記載のイソマルツロースの使用。
【請求項4】
イソマルツロースにより強力甘味物質の持続する後味が短縮される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
強力甘味物質の持続する味が甘い後味である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
甘味物質混合物での請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
食品、嗜好品又は医薬品における特に請求項6に記載の甘味物質混合物の請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
飲料での特に請求項6に記載の甘味物質混合物の請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
甘味物質混合物が1〜99重量%、特に40〜99重量%、好ましくは70〜98重量%(甘味物質混合物の全乾燥物に対して)のイソマルツロースを含む、請求項7又は8に記載の使用。
【請求項10】
甘味物質混合物が0.0005〜3重量%、特に0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%(甘味物質混合物の全乾燥物に対して)の強力甘味物質を含む、請求項7又は8に記載の使用。
【請求項11】
飲料、食品、嗜好品又は医薬品が1〜99重量%、特に20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%(飲料、食品、嗜好品又は医薬品の全乾燥物に対して)の甘味物質混合物を含む、請求項9又は10に記載の使用。
【請求項12】
イソマルツロース及びスクラロースを含む強力甘味物質混合物において、スクラロースの味持続時間がイソマルツロースによって変更されることを特徴とする、甘味物質混合物。
【請求項13】
スクラロースの味持続時間がイソマルツロースによって短縮される、請求項12に記載の甘味物質混合物。
【請求項14】
スクラロースの持続する甘い後味が短縮される、請求項12又は13に記載の甘味物質混合物。
【請求項15】
少なくとも1種の強力甘味物質にイソマルツロースを添加することを特徴とする、少なくとも1種の強力甘味物質の味の持続時間の短縮方法。
【請求項16】
スクラロースの味の短縮のための請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スクラロースの持続する後味の短縮のための請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法で得られるイソマルツロースと強力甘味物質、好ましくはスクラロースの混合物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−541709(P2008−541709A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512693(P2008−512693)
【出願日】平成17年12月24日(2005.12.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/014026
【国際公開番号】WO2006/128493
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(500175772)ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト (47)
【Fターム(参考)】