説明

味覚マスクされた薬学的組成物

【課題】チュアブルな薬学的錠剤に圧縮するための味覚マスクされた薬学的組成物を調製すること。
【解決手段】チュアブルな薬学的錠剤に圧縮するための味覚マスクされた薬学的組成物を調製する方法であって、上記方法は、以下の工程:(a)70〜90重量部の、水に不溶性かまたはほんのわずかばかり可溶性であり、不快な味覚を有する薬学的活性薬剤を、10〜30重量部の微晶質セルロース賦形剤組成物とともにブレンドして、上記薬剤と上記賦形剤の乾燥ブレンドを形成する工程;(b)上記ブレンドに、攪拌しながら、100重量部の各乾燥ブレンドについて35〜65重量部の水を添加して、水分が全体に均一に分散した湿潤顆粒を形成する工程;(c)次に、湿潤顆粒を、滑らかで均一の表面を有し、そして粒子サイズが100〜1000μmの範囲である、味覚マスクされた、実質的に球形の粒子中に形成する工程、を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不快な味覚の薬学的活性物質が組成物の物理的な形態によってマスクされる、チュアブル薬品組成物に関する。より詳細には、これは、このような組成物について、およびそれから形成されるチュアブル錠剤に対して、味覚マスク組成物を調製するための簡便で、経済的でかつ効果的な方法に関連する。ここで、この活性物質は、微結晶セルロース組成物と混和し、湿潤顆粒化され、そして味覚マスク球体の中に形成される。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンは広範に用いられる鎮痛薬および解熱薬であり、丸ごとの固形型投与形態を飲み込まない人のためにチュアブル錠に用いるには口当たりは十分よくはない。イブプロフェンは、非常に苦い。チョコレート、アニス、果物の香料などの調味料が、苦い味の薬剤と一緒に用いることが提唱され、そして用いられてきた。しかし、調味料はイブプロフェンに対して確実なマスキング剤ではない、なぜならその苦い特性はかなりの程度へマスクすることが非常に難しいからである。イブプロフェンの味覚をマスキングするのに最も成功した方法は、代表的には、口の中では溶けないが、胃液中では容易に解けるバリヤーまたはコーティングでイブプロフェン粒子をコーティングすることを含んでいた。しかし、咀嚼中の破損に耐える多くのコーティングはまた、薬剤のバイオアベイラビリティーおよび/または放出を遅延させる傾向がある。
【0003】
実質的に40重量%〜70重量%のイブプロフェン、ならびにエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびそれらの混合物から選択された15重量%〜50重量%のセルロース物質、ならびに5重量%〜40重量%のコロイド状シリカを含む噴霧乾燥イブプロフェン粉末の味覚的に中性の治療的粉末形態は、特許文献1に公知である。この粉末は、イブプロフェンおよびセルロース物質の低級アルカノール溶液中に、コロイド状シリカの懸濁物を噴霧乾燥することにより得られる。この工程は、成分の2つの別のスラリーを混合すること、それらを濾過すること、次いで、その2つの濾過物を混合し、そしてその組み合わせたスラリーを噴霧乾燥することを含む。イブプロフェンの苦味をマスキングするためにより単純でより効果的な工程が、高度に所望される。
【0004】
特許文献2は、チュアブル錠剤およびその同じものをマスクするための味覚マスク顆粒について記載している。ここでは、顆粒剤は、ポリビニルピロリドン、スターチグリコレートナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムで活性の回転造粒により調製され、そしてヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物によりコートされる。このコーティングは、味覚マスキングとバイオアベイラビリティーの有益なバランスを獲得するといわれている。微結晶セルロースは、圧縮した咀嚼剤における、顆粒剤のための結合剤として開示される。
【0005】
微結晶セルロース(圧縮された製剤錠における結合剤として通常、主に用いられる賦形剤)は単独であるいは他の賦形剤、調味料、甘味料または他の一般的な錠剤補助剤と組み合わせて、イブプロフェンまたは他の同様の苦味活性成分の味覚マスキングにおいて、非効果的であることが公知であったか、またはそう考えられていた。
【特許文献1】米国特許第4,835,187号明細書
【特許文献2】米国特許第5,215,755号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、微結晶セルロース賦形剤組成物は、少量の微結晶セルロース組成物が薬剤と湿潤顆粒化され、次いで実質的に滑らかで、平らな表面で、かつ約1000μm以下の平均粒子サイズを有する実質的に球形の粒子を形成する場合、イブプロフェンおよび不快な味覚を有する他の薬学的に活性な薬剤の不快な味覚を容易にマスクすることが今や見出された。
【0007】
本発明において有用なこの微結晶セルロース組成物は、すべて当業者には周知であり、そして微結晶セルロースそれ自体、例えば、FMC Corporation、Philadelphia、PennsylvaniaによってAvicel(登録商標)PH−101という名称で販売されている製品を含む。適切な微結晶組成物はまた、微結晶セルロースと、種々の親水コロイド、有利には適合性の親水コロイド、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびガム(例えば、グアーガム、イナゴマメガム、コンニャク、キサンタン、アルギナートおよびそれらの組み合わせ)との混和物を含む。それらが組み合わせて用いられる場合の微結晶セルロースの親水コロイドに対する重量比は、適切には約80:20〜約99:1の範囲にあり、好ましくは、85:15〜95:5の範囲にある。好ましい微結晶セルロース組成物は、微結晶セルロースと親水性コロイドの同時処理された凝集物であり、好ましくはここでメチルセルロースは、微結晶セルロースとメチルセルロースとの重量比が99:1〜約90:10であり、望ましくは、97.5:2.5〜92.5:7.5である。
【0008】
微結晶セルロースとメチルセルロースとの好ましい同時処置された凝集物は、高薬物充填を有する、より単一型の球の産生のために有用な球状化剤として、PCT出願WO93/12768、公開1993年7月8日に開示される。この特許は、薬物充填球が、放出制御および/または持続的放出薬物送達システムにおいてコーティングおよび封入のための基材として有用であることを示す。
【0009】
上記に示すPCT出願において、より十分に記載されるように(これは本明細書において参考として援用される)、微晶質セルロースとメチルセルロースとの同時処理された凝集体は、公知の様式において調製される。一般的に、微晶質セルロースまたはその水性分散物は、高エネルギーせん断下において、その混合物が平衡に達するまで、親水コロイドの水溶液と合わせられる。混和が完了した後、そのスラリーは、好ましくは、噴霧乾燥によって乾燥され、別々の成分、または2つの成分の単純ブレンドのいずれとも有意に異なる特性を有する、微晶質セルロースおよび親水コロイドの乾燥した同時処理された凝集体を生成する。微晶質セルロース/メチルセルロース凝集体は、例えば、Avicel(登録商標)Sphere Grade(FMC Corporation、Philadelphia、Paより)が、95%微晶質セルロース、5%メチルセルロースを含有する凝集体として、入手可能である。
【0010】
本発明に従って、味覚マスクされた薬学的組成物は、以下によって有利に得られる:(a)70〜90重量部の、水に不溶性か、またはほんのわずかばかり可溶性であり、不快な味覚を有する薬学的活性薬剤を、10〜30重量部の微晶質セルロース賦形剤組成物とともにブレンドして、該薬剤と該賦形剤の乾燥ブレンドを形成する工程;(b)生じたブレンドに、攪拌しながら、100重量部の各ブレンドについて約35〜65重量部の水を添加して、水分が全体に均一に分散した湿潤顆粒を形成する工程;(c)滑らかで均一の表面を有し、そして粒子サイズが1000μmまでの、適切には約100〜約1000μmの範囲内の、好ましくは約250〜約900μmの、顆粒状の味覚マスクされた、実質的に球形の粒子を形成する工程。
【0011】
本発明を実施する最適の形態は、工程(c)において押し出し球状化を使用することを意図するが、以下に示すように、高せん断造粒機または回転造粒機などのような技術を使用する、滑らかな球状形の粒子の形成もまた、高度に有効である。
【0012】
押し出し球状化は、薬物と賦形剤の乾燥ブレンド工程;その乾燥ブレンドの湿潤顆粒化工程;約0.5〜約2.5mm、好ましくは、約0.6〜2.0、最も好ましくは、約0.8〜約1.5mmの開口部を有するふるいを通して、湿潤顆粒化の塊を押し出して、圧縮した円柱状のスパゲッティー様か、またはリボン様のストランドを生成する工程;スフェロナイザー(spheronizer)においてそのストランドを球状化する工程、を包含する。後者は、実質的に、溝付けしたか、または切込みを付けた回転円板を備えたデバイスである。回転円板の転動/引き入れ(roping)様の動作において、円柱状ストランドは小さな断片に破壊され、この断片は平滑化および円形化され、球状体を形成し、次に乾燥される。球状化プロセスのより詳細な記載については、「A New Technique for the Production of Spherical Particles」A.D.Reynolds、Manufacturing Chemist、Aerosol News、V41、(6月)、40〜43ページ、1970において、参照される。
【0013】
押し出し球状化の実施態様に従って、味覚中立的な組成物が、例えば、約70〜約90重量部の活性薬剤、約10〜約30重量部、好ましくは約10〜約15重量部の微晶質セルロースおよびメチルセルロースまたは他の微晶質組成物またはブレンドの乾燥され同時処理された凝集体、そして必要応じて、約4〜約8重量部、好ましくは約4.5〜約7重量部のリン酸二カルシウムを含有する組成物の押し出し球状化によって調製される。活性薬剤および微晶質セルロース組成物粒子は、まず乾燥ブレンド中に、完全に混合されるまで乾燥ブレンドされる。この乾燥ブレンドに、乾燥ブレンド100重量部あたり、約35〜約65重量部の水を添加し、押し出し可能な顆粒生成物が得られるまで混合する。この顆粒生成物は、次に、好ましくは、約0.8mm〜約1.5mmの開口部を有するふるいを通して押し出される。この押し出された物は、次に、滑らかで、均一な表面を有する球体を形成するのに十分な時間の間、スフェロナイザーに配置される。好ましくは球体は、約300〜約800μmの範囲内の平均粒子サイズ直径を有する。この球体は、次に、任意の従来の乾燥手段によって、上昇した温度で、5%未満の、好ましくは3〜5%の水分含有量にまで乾燥される。
【0014】
顆粒化の実施態様に従って、約70〜約85重量部の薬学的活性薬剤、および約15〜約30重量部の微晶質セルロース組成物、ブレンド、または凝集体が、高せん断造粒機において混合が完了するまでブレンドされ、100重量部の各乾燥ブレンドあたり、約35〜約50重量部の水を、スプレーノズルを通して重力で供給することにより造粒機に供給して、刃の速度を増加して、生じた球体が滑らかで均一な表面を有し、そして好ましくは平均粒子サイズが約250〜約900μmの範囲を有するまで顆粒化を続ける。生じた球体は、次に、上昇した温度または他の適切な手段によって乾燥され得る。
【0015】
本発明は、特に、非常に高い薬物充填を有する(例えば、得られる組成物の70重量%〜約90重量%の範囲内)味覚中性な球状組成物の生成について有利である。従って、本発明の組成物の局面は、約70重量部〜約90重量部の薬学的活性成分、約10重量部〜約30重量部の微晶質セルロース組成物、および必要に応じて4重量部〜7重量部のリン酸アルカリ土類金属、好ましくはリン酸二カルシウムのようなリン酸カルシウムを含む、300〜800ミクロンの範囲内の平均粒子サイズを有する味覚中立な球形微粒子組成物を提供する。
【0016】
当業者は、圧縮された錠剤として飲み込まれるよりもむしろ噛まれる必要があり得るが、患者に不快な味覚を有する多数の薬学的活性薬剤が、本発明の方法に従って味覚マスクされ得ることを理解する。不快な味覚を有することに加え、本発明に従って調製される活性薬剤はまた、十分に水不溶性であり、噛まれる間および飲み込まれる前に、口中で少しばかり延長された時間を可能にするべきである。当業者はまた、特定の薬物において、その組成物のpHは、味覚マスクの所望の程度を得るために、調整される必要があり得ることを理解する。当業者はまた、本発明が、結合剤、甘味料、香料および崩壊剤を含むチュアブル錠剤の調製において通常使用される他のアジュバントの添加が、本発明の球体をチュアブル錠剤中に錠剤化する場合に使用され得ることを意図および包含することを、理解する。
【0017】
従って、本発明は、以下のような活性成分を含有する球体およびチュアブル錠剤の調製のための本発明の使用を包含する:イブプロフェン、ケトプロフェン、カルプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセンおよび/またはこれらの組み合わせ(これは単独か、あるいは他の薬学的活性成分の組み合わせのいずれかである)。
【0018】
・(項目1) チュアブルな薬学的錠剤に圧縮するための味覚マスクされた薬学的組成物を調製する方法であって、上記方法は、以下の工程:
(a)70〜90重量部の、水に不溶性かまたはほんのわずかばかり可溶性であり、不快な味覚を有する薬学的活性薬剤を、10〜30重量部の微晶質セルロース賦形剤組成物とともにブレンドして、上記薬剤と上記賦形剤の乾燥ブレンドを形成する工程;
(b)上記ブレンドに、攪拌しながら、100重量部の各乾燥ブレンドについて35〜65重量部の水を添加して、水分が全体に均一に分散した湿潤顆粒を形成する工程;
(c)次に、湿潤顆粒を、滑らかで均一の表面を有し、そして粒子サイズが100〜1000μmの範囲である、味覚マスクされた、実質的に球形の粒子中に形成する工程、
を包含する、方法。
・(項目2) 請求項1に記載の方法であって、ここで、上記湿潤顆粒が、0.5mm〜2.5mmの開口部を有するふるいを通して押し出され、そしてスフェロナイザーにおいて球状化されて、味覚マスクされた球体を形成する、方法。
・(項目3) 請求項1に記載の方法であって、ここで上記湿潤顆粒が、高せん断造粒機を使用して球体に調製および形成されて、味覚マスクされた球体を形成する、方法。
・(項目4) 請求項1に記載の方法であって、ここで、上記微晶質セルロース賦形剤が、(a)微晶質セルロース、(b)微晶質セルロースと親水コロイドとの重量比が、99:1〜90:10の範囲内である、微晶質セルロースおよび適合性の親水性親水コロイド、ならびに、(c)微晶質セルロースおよび親水コロイドの重量比が99:1〜約90:10である、微晶質セルロースおよび適合性の親水性親水コロイドの乾燥した同時処理された凝集体、からなる群から選択される、方法。
・(項目5) 請求項4に記載の方法であって、ここで上記親水コロイドがメチルセルロースである、方法。
・(項目6) 請求項1、2、3、4または5に記載の方法によって調製された、味覚マスクされた薬学的組成物であって、イブプロフェンおよびケトプロフェンから選択される70重量%〜90重量%の薬学的活性薬剤を含む、薬学的組成物。
・(項目7) 適合性の賦形剤およびアジュバントと混合された請求項6に記載の組成物の薬学的有効量を含有する、味覚マスクされたチュアブル錠剤。
・(項目8) 上記薬学的活性薬剤がイブプロフェンである、請求項7に記載の味覚マスクされたチュアブル錠剤。
・(項目9) 上記薬学的活性薬剤がケトプロフェンである、請求項8に記載の味覚マスクされたチュアブル錠剤。
【実施例】
【0019】
以下の実施例は、本発明のチュアブルなイブプロフェンおよびケトプロフェン組成物、ならびにこれらから作製される錠剤の調製の実施例を用いて本発明を例示する。ここで、活性物の好ましくない香料を実質的に完全に減少し、これは、問題の薬物のバイオアベイラビリティーに実際に悪影響を有さずに、その錠剤の口当たりをよくし、従って、消費者にとって受容可能にする。
【0020】
(実施例1)
(イブプロフェンの顆粒化および球状化)
Hobartミキサーのボール中に、1700グラムのイブプロフェン(Albemarle Corp.)、200グラムのAvicel(登録商標)(Sphere Grade、FMC Corporation)、および100グラムのリン酸二カルシウムを配置した。この乾燥混合物に対して、800グラムの脱イオン水を、撹拌しながら添加した。次に、顆粒化物を0.8mmの開口部を有するふるいを通して押し出した。この押し出した物を、800rpmに操作されたスフェロナイザー中に15分間配置した。生じた球体を、次に、オーブン中で、50℃で12時間乾燥した。これらの球体を味見した場合、イブプロフェンの好ましくない味覚は、約75〜80%まで減少し、完成した球体は、受容可能であり口当たりの良いものとなった。
【0021】
この球体を、粒子サイズの2つの画分に分画した。第1の画分は、Number 20 US Standard Sieveを通過したが、Number 30 US Standard Sieve(590〜840ミクロン)を通過せず、第2の画分は、Number 35 Standard Sieveを通過したが、Number 50 Standard Sieve(297〜500ミクロン)を通過しなかった。
【0022】
(実施例2)
(イブプロフェンチュアブル錠剤)
実施例1で生成された第2の画分(336.4グラム)および357.2グラムのモノステアリン酸グリセリン(Myvaplex(登録商標)600、Eastman Chemical Co.)を、ツインシェルブレンダー中に配置し、そして10分間混合した。この時間の終わりに、285.8グラムのPregelatinized Starch(Starch 1500、Colorcon)、857.4グラムのマンニトール、14.2グラムのアスパルテーム(The NutraSweet Co.)、20グラムのクエン酸、20グラムのAvicel(登録商標)CE(FMC Corporation)、20グラムのProSweet、57.02グラムのGolden Punch durarome 730104番(Firminich、Inc.)、および14.2グラムのパンチベリー(punch berry)(65863317P Firminich、Inc.)を、ツインシェルブレンダーの内容物に添加し、さらに15分間混合を続けた。最後に、20グラムのステアリン酸マグネシウムを混合物に添加し、さらに5分間混合した。この混合物は、このブレンダーに各物質を添加する前に、Number 30 US Standard sieve(ASTM E 11)を通過させた。この混合物は、次に、錠剤に圧縮された。イブプロフェンの味覚は、即座に噛まれ、そして摂取された場合、実質的に検出されなかった。
【0023】
(実施例3)
(イブプロフェンの湿潤顆粒化)
高せん断造粒機中に、2250グラムのイブプロフェン(Albemarle Corp.)および750グラムのAvicel(登録商標)(Sphere Grade、FMC Corporation)を配置した。成分を混合するために、刃を300rpmで3分間操作し、クロススクリューを1800rpmで操作した。この混合が完了した後、1147.5グラムの脱イオン水を、スプレーノズルを通して重力によって、造粒機に供給した。この水が完全に添加された後、ボールをこすり、次に、刃の速度を600rpmまで増加した。7分後、ボールを再度こすった。この顆粒化の全時間は、44分であった。次に、得られた球体を、オーブンで50℃で12時間乾燥した。このプロセスによって作製された粒子は、いくぶん丸く、840ミクロン(20メッシュ)未満〜250ミクロン(60メッシュ)を超える範囲の粒子サイズを有した。これらの顆粒を味見した場合、イブプロフェンの好ましくない味覚は、大幅に減少した。
【0024】
(実施例4)
(湿潤顆粒化イブプロフェンからのチュアブル錠剤の調製)
ツインシェルブレンダー中に、369.6グラムの乾燥した実施例3の湿潤顆粒、369.6グラムのモノステアリン酸グリセリン(Myvaplex(登録商標)600、Eastman Chemical Co.)、33.2グラムのアスパルテーム(The NutraSweet Co.)、21.6グラムのアップルシナモンdurarome 860.310/TD 05.91番(Firminich Inc.)、および27.6グラムの人工特別化合物香料(Firminish Inc.)を配置した。この混合物を10分間ブレンドし、その後、138.6グラムのPregelatinized Starch(Starch 1500 Colorcon)、969.8グラムの顆粒マンニトール、および27.6グラムの架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(AccelerateTM、FMC Corporation)を、ブレンダーに添加した。混合をさらに10分間続け、次に19.4グラムのステアリン酸マグネシウムをブレンダーに添加した。混合を5分間で完了した。この混合物は、ブレンダーに各物質を添加する前に、Number 30 US Standard Sieveを通した。この混合物を、次に、錠剤に圧縮した。この処方物において使用した顆粒の粒子サイズ分布を、Sonic Sifter(U.S. Standard Sieveの振動される積み重ねであり、ここで各連続するふるいは、1つ上のものよりメッシュが細かい)を使用することにより決定した。各ふるいに保持される産物の量は、そのふるいよりも大きいが、次のより高いふるいよりも小さな粒子の割合を提供する。各メッシュ範囲におけるサイズを有する粒子は:48.23% >297ミクロン(>50メッシュ);29.657% 177〜297ミクロン(50〜80メッシュ);5.39% 149〜177ミクロン(80〜100メッシュ);13.57% 74〜149ミクロン(100〜200メッシュ);3.17% 53〜74ミクロン(200〜270メッシュ);および5.00% <53ミクロン(<270メッシュ)である。この物質のゆるんだ全体の密度は0.6164グラム/mLであった。顆粒の含水量は、1.50%であった。チュアブル錠剤の特性としては、錠剤の厚さ(3.25mm、0.1279インチ)、硬度(5.37キロポンド)、および37℃の精製水中の崩壊時間(184秒)が挙げられる。これら測定の全ては、6錠の錠剤を使用した崩壊時間を除いて、10錠の錠剤において行われた。イブプロフェンの好ましくない香料は、他の賦形剤と組み合わせた湿潤顆粒の使用により、有効にマスクされた。
【0025】
(実施例5)
(ケトプロフェンの顆粒化および球状化)
Powerex造粒機のボール中に、2400グラムのケトプロフェン、420グラムのAvicel(登録商標)(Sphere Grade、FMC Corporation)、75グラムのMethocel(登録商標)A15LV(Dow Chemical Co.)、60グラムのリン酸ナトリウム(2塩基)、および15グラムのラウリル硫酸ナトリウムを配置した。この乾燥混合物を5分間ブレンドした。Polysorbate80の15グラムの溶液を100mLの脱イオン水中に調製し、次にこれを1100mLの脱イオン水と混合した。造粒機を150rpmの刃速度、および1800rpmのクロススクリュー速度で操作した。水溶液を75mL/分で、造粒機にポンプで添加した。次に、この顆粒化物を1mmの開口部を有するふるいを通して、押し出した。この押し出した物を、800rpmで操作するスフェロナイザー中に、15分間配置した。次に、得られた球体を、オーブンで65℃で1時間、乾燥した。これらの球体を味見した場合、ケトプロフェンの好ましくない味覚は、約75〜80%減少され、このことにより完成した球体が受容可能でありかつ口当たりの良いものとなった。
【0026】
(実施例6)
(ケトプロフェンのチュアブル錠剤)
実施例5において生成された球体(92.6グラム)および296.2グラムの濃縮モノステアリン酸グリセリン(Myvaplex(登録商標)600、Eastman Chemical Co.)をツインシェルブレンダー中に配置して、10分間混合した。この時間の終わりに、148グラムのStarch 1500(Colorcon)、888.6グラムのマンニトール、42グラムのアスパルテート(The NutraSweet Co.)、296.2グラムのAvicel(登録商標)PH−102(FMC Corporation)、12グラムのFirmenich特別化合物(香料剤)、71グラムのTutti Fruiti Flavor、29.6グラムのクロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標)、FMC Corporation)、100グラムのAvicel(登録商標)CE−15を、ツインシェルブレンダーの内容物に添加して、さらに15分間混合を続けた。最後に24グラムのステアリン酸マグネシウムを混合物に添加し、さらに5分間混合した。このブレンダーに各物質を添加する前に、30メッシュ US Standard sieveを通過させた。次に、この混合物を、11.1mm(0.438インチ)の円形、平坦表面ツールを装着したStokes B−2錠剤プレスを使用して、圧縮された。1063.12Kgの上部圧縮力、および982Kgの下部圧縮力を使用した。生成された錠剤は、平均重量0.3376グラムおよび平均厚さ4.27mm(0.1682インチ)を有した。ケトプロフェンの味覚は、最終錠剤処方物に含有された他の賦形剤と組み合わせられた球状化された処方物の効果のために、実質的にマスクされた。
【0027】
(実施例7)
(メチルセルロースおよび微晶質セルロースを使用するイブプロフェンの顆粒化および球状化)
Hobartミキシングボール中に、750グラムのイブプロフェン、12.5グラムのMethocel(登録商標)A15LV(Dow Chemical Co.)、および237.5グラムの微晶質セルロース(Avicel(登録商標)PH−101、FMC Corporation)を5分間乾燥ブレンドした。次に、少なくとも15分間、混合を連続しながら、ボールの内容物に、水(450グラム)を添加した。この様式において生成された湿潤顆粒化物を、次に、0.8mmの開口部を有するふるいを通して、50rpmの供給速度、および25rpmの撹拌速度で押し出した。この押し出した物を、最小のパージ空気圧を使用し、500rpmの速度で、2〜5分間スフェロナイザー中に配置した。収集した球体を、50℃オーブン中で、12時間乾燥した。これらの球体を味見した場合、味覚マスキングは、実施例1において生成されたものに匹敵した。
【0028】
(実施例8)
(微晶質セルロースを使用するイブプロフェンの顆粒化および球状化)
Hobartミキシングボール中に、750グラムのイブプロフェン、および250グラムの微晶質セルロース(Avicel(登録商標)PH−101、FMC Corporation)を5分間乾燥ブレンドした。次に、少なくとも15分間、混合を連続しながら、ボールの内容物に、水(600グラム)を添加した。次に、この様式において生成された湿潤顆粒化物を、0.8mmの開口部測定を有するふるいを通して、50rpmの供給速度、および25rpmの撹拌速度で押し出した。この押し出した物を、最小のパージ空気圧を使用し、500rpmの速度で、2〜5分間スフェロナイザー中に配置した。収集した球体を、50℃オーブン中で、12時間乾燥した。これらの球体を味見した場合、味覚マスキングは、実施例1において生成されたものに匹敵した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チュアブルな薬学的錠剤に圧縮するための味覚マスクされた薬学的組成物を調製する方法。

【公開番号】特開2007−137902(P2007−137902A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54935(P2007−54935)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【分割の表示】特願2000−514622(P2000−514622)の分割
【原出願日】平成10年9月30日(1998.9.30)
【出願人】(501477831)アール.ピー. シェーラー テクノロジーズ インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】