説明

味覚増強組成物並びに味覚増強組成物を含有する、食用菓子製品及びチューインガム製品

【課題】味覚増強組成物並びに味覚増強組成物を含有する食用菓子製品及びチューインガム製品を提供すること。
【解決手段】増強剤組成物は、少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する。味覚増強剤は、封入されることで、摂食時の組成物の放出速度を変える。少なくとも1種の封入された味覚増強剤は、少なくとも1種の有効成分と協働して作用することで、組成物の摂食の時に味覚受容細胞の活性を変調させ、これにより前記少なくとも1種の有効成分の認識を増進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含有させることで有効成分の認識を増進する経口用組成物を含む。詳細には、組成物として、香味料等の有効成分、及び味覚増強剤を挙げることができる。味覚増強剤は、摂食の時の有効成分の認識を高めることができる。菓子製品又はチューインガム製品等の、様々なタイプの経口送達される食用製品に組成物を配合してよい。
【背景技術】
【0002】
ヒトが感じる味覚は、主として、酸味、塩味、甘味、苦味、及び旨味(美味、又はグルタミン酸の味)の5種類に分類される。物質の味覚は、口腔内の舌と口蓋の主に表面上の味蕾にある味覚受容細胞によって感知される。各々の主要な味質は、特別なメカニズムによって感知される。酸味及び塩味は、水素イオンとナトリウムイオンのそれぞれが味蕾細胞にあるイオンチャンネルを通過することによって検知されると考えられる。これが、酸味又は塩味として脳で感知される神経インパルスを誘発する。これに対して、甘味、苦味、及び旨味は、受容体への物理的結合によって認識されると考えられる。通常、甘味、苦味、及び旨味を感知する味覚細胞は、それらの表面にG−蛋白質結合受容体(GPCRs)を有する。これらの受容体は、味物質に結合すると活性化し、これにより、甘味、苦味、又は旨味として脳で感知される神経インパルスを誘発する一連のシグナル伝達が惹起される。
【0003】
ここ数年、味覚認識の研究では多くの進歩が成し遂げられてきた。味覚認識に関与すると考えられる、新規な味覚受容蛋白質、具体的には、G−蛋白質結合受容体の2種類のファミリー(T2Rs及びT1Rs)が哺乳類で同定されている。かかる受容体は、国際公開第WO 02/064631及びWO 03/001876により詳細に述べられている。これらの公開では、特定のT1R受容体の共発現の結果、旨味又は甘味の刺激のそれぞれに応答する旨味又は甘味の味覚受容体が生じることを開示している。
【0004】
味覚認識の理解に関する近年の進歩により、これらの味覚受容体を刺激する新規な化合物の同定に関心が向けられている。特に、甘味又は旨味の認識等、主な味覚認識を増進することができる化合物の同定方法にも研究努力が注がれている。香味を増進させる物質の開発には、特に関心が持たれており、かかる物質は、一般的に味覚増進剤又は香味増進剤、若しくは味覚増強剤又は香味増強剤と呼ばれている。これらの物質は、味、香り、及び感覚因子に寄与するだけでなく、他の香味を増強及び抑制する。他の物質の認識を増進又は向上することから、味覚増進剤又は香味増進剤の活性は、相乗的であると言及されることが多い。
【0005】
特に興味深い味覚増強剤の1つに、甘味を増進させた化合物がある。サッカロース等の天然の炭水化物甘味料は、最も広く用いられている甘味料であるが、高価格及び高カロリー含有という不利益を伴っている。これらの問題を解消する人工甘味料が考案されているが、十分に「サッカロース様の」味を有していないために消費者に拒絶される場合がある。人工甘味料は、サッカロースとは異なる甘味プロファイルを有しており、甘味の認識開始の遅れ、及び/又は不快な後味等の副次的な悪影響を生じることが多い。
【0006】
甘味料と組み合わせると、甘味料の味を変化させる化合物が知られている。かかる化合物は通常、甘味修飾剤又は甘味増強剤と呼ばれている。それらは、甘味料の甘味の認識を増進又は阻害するように作用するか、若しくは任意の方法で甘味プロファイルに影響を及ぼす場合がある。例えば、カナダ特許第1208966号では、いろいろな種類の芳香族化合物を開示されており、それらは甘味修飾剤として請求の範囲に記載されている。
【0007】
ヨーロッパ特許第0132444号及び米国特許第4627987号では、甘味増強剤として3−ヒドロキシ安息香酸(3−HB)が記載されており、これをサッカロース、アスパルテーム、及びサッカリンともにpH2.0〜5.5で用いると、甘味を増進することが例示されている。
【0008】
2,4−ジヒドロキシ安息香酸(2,4−DHB)も、甘味増強剤として記載されているが、その効果に関して文献上では定かではない。米国特許第5232735号では、「実質的に味のない甘味阻害剤」として、それが挙げられているのに対して、カナダ特許第1208966号では、0.2%の2,4−DHBを5%のサッカロースに添加すると甘味を増大させると述べられている。国際公開第WO 99/15032号では、アスパルテームと共に2,4−DHBを用いると甘味を相乗的に増大させ、より「サッカロース様の」味と口当たりをもたらすことが記載されている。別の人工甘味料、アリテーム、Ace−K(アセスルファムカリウム)、サッカリン又はアスパルテームとAce−Kとの混合物であっても2,4−DHBと組み合わせた場合に同様の効果が認められないという点で、前記の組み合わせは独特のものと考えられる。米国特許第6461658号では、2,4−DHBが、スクラロースの甘味が認識される期間を大幅に削減することによって、人工甘味料のスクラロースの甘味送達プロファイルを改善することを主張している。国際公開第WO 99/15032号に鑑みればこれを予測することはできるけれども、同様の効果はアスパルテームでは認められない。本文に記載されているのではないが、米国特許第6461658号の図1及び2並びに表1及び2は、2,4−DHBがスクラロース及びアスパルテームの両方の甘味強度に対してわずかな阻害効果を有することを示唆していると思われる。
【0009】
国際公開第WO 00/69282号では、少なくとも1種の味覚を改良する疎水性酸添加物の添加による、甘味料ネオテームの味と物理化学的特性の改良が記載されている。味覚を改良する疎水性酸添加物は、ネオテームによって付与される少なくとも1種の味覚特性に積極的に影響を与える必要があるといった点においてのみ限定される。これらの特性は、特に開始と後の期間の甘味プロファイルに関連するようにみえるが、実施例にはどのように特性が影響を受けるかは記載されていない。3−HB及び2,4−DHBは、非常に多くのかかる添加物に混じって列挙されている。
【0010】
更に、味覚増強剤として機能する物質の同定方法に関して、近年数多くの開発がなされている。味覚受容体の活性を変化させることによって功を奏する味覚増強剤になりうる標的化合物を同定する様々な試験がおこなわれている。例えば、前記の国際公開第WO 02/064631号及び第WO 03/001876号では、標的化合物の存在下で特定のT1R受容体活性を測定するアッセイ、及びハイスループットスクリーニングを開示している。
【0011】
Adlerらの米国特許第6955887号では、新しく同定した哺乳類の味覚細胞特異的G−蛋白質結合受容体を用いて、味覚増強剤の同定方法を開示している。更に詳細には、米国特許第6955887号では、甘味認識を調節するために使用可能な標的化合物のスクリーニング方法を教示している。
【0012】
味覚増強剤として使用可能な化合物をスクリーニングするための様々な他の方法が、米国特許公開第2005/0287517Al号、第2005/0084932A1号、第2005/0069944A1号、第2005/0032158A1号、第2004/0229239A1号、第2004/0209286A1号、第2004/0191805A1号、第2004/0185469A1号、第2004/0175793A1号、第2004/0175792A1号、第2004/0171042A1号、第2004/0132075A1号、第2004/0072254A1号、第2003/0232407A1号、第2003/0170608A1号、及び第2003/0054448A1号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
新しい味覚増強剤の同定方法の開発が進んでいる状況ではあるが、かかる味覚増強剤を含有する経口組成物、特に菓子がまだ必要とされている。更に、組成物からの味覚増強剤の放出速度を制御する組成物が必要とされている。特に、チューインガム及び他の関連する菓子で、味覚増強剤の放出プロファイルを所望に応じて制御することで、チューインガム製品又は菓子製品の放出プロファイルを管理するものが必要とされている。更に、経口送達される製品中の天然甘味料又は人工甘味料の量を低減させ、それにより製造コストと、経口送達される製品のカロリー含量とを削減するが、香味に対する悪影響は回避する、甘味増強組成物を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ある実施形態では、少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する放出制御性組成物を提供する。
【0015】
ある実施形態では、少なくとも1種の味覚増強剤、及び少なくとも1種の有効成分の封入された混合物を含有する放出制御性組成物を提供する。
【0016】
ある実施形態では、少なくとも1種の封入された有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する放出制御性組成物を提供する。
【0017】
ある実施形態では、少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する放出制御性組成物を提供する。ある実施形態において、放出制御性組成物は、少なくとも1種の封入された有効成分、及び少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する。
【0018】
ある実施形態では、少なくとも1種の高甘味度甘味料、及び少なくとも1種の封入された甘味増強剤を含有する放出制御性組成物を提供する。
【0019】
ある実施形態では、少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する組成物を提供する。
【0020】
ある実施形態では、少なくとも1種の味覚増強剤、及び少なくとも1種の有効成分が封入された混合物を含有する組成物を提供する。
【0021】
ある実施形態では、少なくとも1種の封入された有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する組成物を提供する。
【0022】
ある実施形態では、少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する組成物を提供する。
【0023】
ある実施形態では、少なくとも1種の封入された有効成分、及び少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する組成物を提供する。
【0024】
ある実施形態では、少なくとも1種の高甘味度甘味料、及び少なくとも1種の封入された甘味増強剤を含有する組成物を提供する。
【0025】
ある実施形態では、哺乳類の味覚受容細胞の活性を変調させる組成物であって、前記組成物は、少なくとも1種の有効成分と、少なくとも1種の封入された味覚増強剤と、を含み、前記少なくとも1種の封入された味覚増強剤は、前記少なくとも1種の有効成分と協働して作用することで、組成物の摂食の時に味覚受容細胞の活性を変調させ、これにより前記少なくとも1種の有効成分の認識を増進する組成物を提供する。
【0026】
ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、第一の量は第二の量と同量である組成物を提供する。ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、前記甘味増強組成物は、7%以上のサッカロース相当値を得るために十分な量の、前記第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸及び前記第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する組成物を提供する。
【0027】
ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、前記甘味増強組成物は、8%以上のサッカロース相当値を得るために十分な量の、前記第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸及び前記第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する組成物を提供する。
【0028】
ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、前記甘味増強組成物は、200ppm以上の前記第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸及び200ppm以上の前記第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する組成物を提供する。
【0029】
ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、前記甘味増強組成物は、400ppm以上の前記第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸及び400ppm以上の前記第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する組成物を提供する。
【0030】
ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、前記甘味増強組成物は、500ppm以上の前記第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸及び500ppm以上の前記第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する組成物を提供する。
【0031】
ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、前記甘味増強組成物は、前記第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸の、前記第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸に対する重量比が1:9から9:1の間である組成物を提供する。ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、前記甘味増強組成物は、粉体ブレンドの形状である組成物を提供する。
【0032】
ある実施形態では、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸、及び第三の量の3,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物を提供する。
【0033】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)(i)少なくとも1種の有効成分、及び(ii)少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する組成物と、を含有するチューインガム組成物を提供する。
【0034】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)少なくとも1種のバルク甘味料と、(c)(i)少なくとも1種の有効成分、及び(ii)少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する組成物と、(d)任意成分として少なくとも1種の香味料と、を含有するチューインガム組成物を提供する。
【0035】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)(i)第一の溶解性を有する少なくとも1種の有効成分、及び(ii)第二の溶解性を有する少なくとも1種の味覚増強剤を含有する組成物と、を含み、前記第一の溶解性及び前記第二の溶解性により、同時放出、逐次放出、及び部分的重複放出から選択されるチューインガム組成物の放出制御プロファイルがもたらされるチューインガム組成物を提供する。
【0036】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)少なくとも1種の味覚増強剤及び少なくとも1種の有効成分が封入された混合物を含有する組成物と、を含むチューインガム組成物を提供する。
【0037】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)(i)少なくとも1種の封入された有効成分、及び(ii)少なくとも1種の味覚増強剤を含有する組成物と、を含むチューインガム組成物を提供する。
【0038】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)(i)少なくとも1種の有効成分、及び(ii)少なくとも1種の味覚増強剤を含有する組成物と、を含むチューインガム組成物を提供する。
【0039】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)(i)少なくとも1種の封入された有効成分、及び(ii)少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する組成物と、を含むチューインガム組成物を提供する。
【0040】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)(i)少なくとも1種の高甘味度甘味料、及び(ii)少なくとも1種の封入された甘味増強剤を含有する組成物と、を含むチューインガム組成物を提供する。
【0041】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、更に、(b)(i)第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び(ii)第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物と、を含むチューインガム組成物を提供する。
【0042】
ある実施形態では、(a)ガムベースと、(b)少なくとも1種のバルク甘味料と、(c)(i)第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び(ii)第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を更に含有する甘味増強組成物と、を含むチューインガム組成物を提供する。
【0043】
ある実施形態では、甘味増強組成物を含有する菓子組成物であって、前記甘味増強組成物は、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有しており、前記第一の量は前記第二の量と同量である菓子組成物を提供する。
【0044】
ある実施形態では、甘味増強組成物を含有する菓子組成物であって、前記甘味増強組成物は、第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する菓子組成物を提供する。
【0045】
ある実施形態では、(a)菓子ベースと、(b)(i)第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び(ii)第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を更に含有する甘味増強組成物と、を含む菓子組成物を提供する。
【0046】
ある実施形態では、甘味料系の価格を低減する方法であって、(a)所望の甘味強度をもたらす経口送達される製品中の天然甘味料又は人工甘味料の量を決定する工程と、(b)天然甘味料又は人工甘味料の量を低減する工程と、(c)所望の甘味強度が維持されるように、3−ヒドロキシ安息香酸及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する所定量の甘味増強組成物を添加する工程と、を含む方法を提供する。
【0047】
ある実施形態では、経口送達される製品において所望の甘味強度を維持する方法であって、(a)所望の甘味強度を決定する工程と、(b)所望の甘味強度を下回る甘味強度を供給する所定量の天然甘味料又は人工甘味料を添加する工程と、(c)所望の甘味強度がもたらされるように、3−ヒドロキシ安息香酸及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する所定量の甘味増強組成物を添加する工程と、を含む方法を提供する。
【0048】
ある実施形態では、経口送達される製品の甘味強度を高める方法であって、(a)経口送達される製品に所定量の天然甘味料又は人工甘味料を添加する工程と、(b)前記所定量の天然甘味料又は人工甘味料から引き出される甘味強度を決定する工程と、(c)天然甘味料又は人工甘味料から引き出される甘味強度よりも甘味強度が強くなるように、3−ヒドロキシ安息香酸及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する所定量の甘味増強組成物を添加する工程と、を含む方法を提供する。
【0049】
ある実施形態では、経口送達される製品において天然甘味料又は人工甘味料の量を低減する方法であって、(a)経口送達される製品において所望の甘味強度をもたらす、天然甘味料又は人工甘味料の量を決定する工程と、(b)前記天然甘味料又は人工甘味料の量を低減する工程と、(c)所望の甘味強度が維持されるように、3−ヒドロキシ安息香酸及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する所定量の甘味増強組成物を添加する工程と、あを含む方法を提供する。
【0050】
ある実施形態において、チューインガム製品を調製する方法は、(a)少なくとも1種の封入材料及び少なくとも1種の味覚増強剤を混合して、成分の分散物を形成する工程と、(b)封入された複数の味覚増強剤粒子を混合物から形成する工程と、(c)封入された粒子を、ガムベース及び少なくとも1種の有効成分を含有するチューインガム組成物に添加して、その中に含まれる少なくとも1種の有効成分の認識を増進する工程と、(d)チューインガム組成物からチューインガムの個々のピースを形成する工程と、を含む。
【0051】
ある実施形態では、摂食の時に放出制御性を有する味覚増強組成物を調製する方法であって、(a)少なくとも1種の味覚増強剤を準備する工程と、(b)前記少なくとも1種の味覚増強剤を少なくとも1種の封入材料と混合して、成分が分散した組成物を形成する工程と、(c)組成物から複数の封入された味覚増強剤粒子を形成し、これにより組成物の摂食の時に前記少なくとも1種の味覚増強剤の放出速度を変更する工程と、を含む方法を提供する。
【0052】
ある実施形態では、組成物の放出を制御する方法であって、(a)第一の溶解性を有する少なくとも1種の有効成分を準備する工程と、(b)第二の溶解性を有する少なくとも1種の味覚増強剤を添加する工程と、を含み、前記第一の溶解性及び前記第二の溶解性は、同時放出、逐次放出、及び部分的重複放出から選択される放出制御プロファイルを組成物に付与するように選択される方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】認識される甘味に対する3−ヒドロキシ安息香酸の濃度を示すグラフである。
【図2】認識される甘味に対する2,4−ジヒドロキシ安息香酸の濃度を示すグラフである。
【図3】多くの異なる割合で3−ヒドロキシ安息香酸及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する溶液に対する、サッカロースの低減を示す棒グラフである。
【図4】多くの異なる濃度で3−ヒドロキシ安息香酸及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する溶液に対する、サッカロースの低減を示す棒グラフである。
【図5】被置換安息香酸を含有する多くの溶液に対する、認識される甘味を示す棒グラフである。
【図6】被置換安息香酸を含有する多くの溶液に対する、認識される甘味を示す棒グラフである。
【図7】様々な組み合わせで3−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸及び3,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する多くの溶液に対する、認識される甘味を示す棒グラフである。
【図8】2,4−ジヒドロキシ安息香酸、そのカリウム塩又はそのナトリウム塩を含有するサッカロース溶液のサッカロース濃度に対する、認識される甘味を示すグラフである。
【図9】高甘味度甘味料を含有する溶液に対する、認識される甘味を示す棒グラフである。
【図10】バルク甘味料を含有する溶液に対する、認識される甘味を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書で使用する場合、移行句「comprising(含んでいる)」(「including(含んでいる)」と同義で、「comprises」等も同様)、「containing(含んでいる)」又は「characterized by(特徴とする)」は、包括的すなわちオープンエンド型であり、請求項の前提部又は本文何れでの使用に関わらず、付加的な、記載していない要素又は方法における工程を排除しない。
【0055】
本明細書で使用する場合、「風船ガム」及び「チューインガム」の用語は相互に用いられ、双方とも、如何なるガム組成物も含むことを意味する。
【0056】
本明細書で使用する場合、「菓子ベース」の用語は、菓子組成物の大部分である原形を表すものであって、構造的完全性を備える菓子組成物を提供し、他の成分が添加される、何れの成分又は成分群も包含する。「香味主要成分」の用語は本明細書で使用する場合、香味付オイル等の着香剤を含有する香味成分であり、通常、香味エッセンスを調製するのに用いられる。
【0057】
「香味エッセンス」(「香味ブレンド」、「香味エキス」)の用語は、本明細書で使用する場合、一般的に香味主要成分から調製される香味成分である。
【0058】
本明細書に記載の実施形態は、有効成分の経口送達用の組成物を提供する。例えば、香味料等の、数多くの異なる有効成分を用いてよい。組成物はまた、味覚増強剤も含有してよい。味覚増強剤は、有効成分と共に用いた場合に相乗的に作用することで、摂食の際の有効成分の認識を増進する。更に、ある実施形態では、味覚増強剤を封入することで、放出制御プロファイル、すなわち、摂食時の放出速度の遅延又は増大をもたらすことができる。従って、味覚増強剤は、例えばチューインガム等の製品の摂食中、配合される組成物中に長期間にわたって放出できる。
【0059】
<増強剤組成物>本明細書に記載の実施形態は、少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有しうる組成物を提供する。増強剤組成物は、放出制御特性を有する場合がある。味覚増強剤(単数種又は複数種)は、有効成分(単数種又は複数種)と相乗的に作用して、有効成分(単数種又は複数種)の認識を増進する場合がある。例えば、ある実施形態において、有効成分は甘味料であってよい。少なくとも1種の味覚増強剤と組み合わせた甘味料の送達は、組成物の摂食時の甘味を増進する場合がある。特に、味覚増強剤(単数種又は複数種)は、甘味料と相乗的に機能して、甘味を増進する場合がある。従って、増強剤(単数種又は複数種)の配合により、組成物により与えられる甘味のレベルを損なうことなく、甘味料の量を低減することが可能になる。砂糖等、多くの従来の甘味料に含まれるカロリーを考えると、これらの結果は非常に望まれる場合がある。更に、組成物で用いる甘味料の量の低減に伴い、大幅に費用削減ができる。
【0060】
本明細書に記載のある実施形態にとって、「味覚増強剤」は、組成物の摂食の間に有効成分の認識を増進しうる物質をいう。本明細書に記載のある実施形態にとって、「増進する」の用語は、強化する、補充する、変更する、変調させる又は増強することを意味する。任意の味覚増強剤は、更に具体的には、それらが増進する有効成分のタイプを引用することにより言及してよい。例えば、甘味料(又は甘味)増強剤は、摂食中に甘味料の認識を増進し、香味料増強剤は、摂食中に香味料の認識を増進する。しかし、これらの更に具体的な例は、味覚増強剤の下位集合にすぎず、本明細書で使用する場合、一般的な用語「味覚増強剤」に包含される。
【0061】
味覚増強剤は、有効成分と併用すると、言い換えると、個々の物質単独の味覚効果の総計よりもその全体の効果が強くなるように有効成分の味覚効果を増進すると、相乗的な効果を有する場合がある。更に、任意の味覚増強剤は、それ自体の特徴的な味及び/又は芳香の認識させることはない。
【0062】
ある実施形態において、例えば、味覚増強剤(単数種又は複数種)は、組成物の酸味、甘味、苦味、塩味又は旨味を増進する場合がある。味覚増強剤(単数種又は複数種)は、以下で更に詳細に述べるように、他の有効成分の様々な効果を増進するように機能する場合もある。
【0063】
味覚増強剤として機能する様々な既知物質の何れも、本明細書に記載の組成物に用いてよい。例えば、好適な味覚増強剤としては、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、クロロゲン酸、アラピリデイン、シナリン、ミラクリン、グルピリデイン、ピリジニウム−ベタイン化合物、グルタミン酸一ナトリウム、グルタミン酸一カリウム等のグルタミン酸塩、ネオテーム、タウマチン、タガトース、トレハロース、塩化ナトリウム等の塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム、バニラエキス(エチルアルコール中)、水溶性糖酸、塩化カリウム、重硫酸ナトリウム、水溶性加水分解植物性蛋白質、水溶性加水分解動物蛋白質、水溶性酵母エキス、アデノシン一リン酸(AMP)、グルタチオン、イノシン一リン酸、イノシン酸二ナトリウム、キサントシン一リン酸、グアニル酸一リン酸、アラピリデイン(N−(1−カルボキシエチル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム−3−オール分子内塩等の水溶性ヌクレオチド、甜菜エキス(アルコールのエキス)、サトウキビ葉エッセンス(アルコールのエキス)、クルクリン、ストロジン、マビンリン、ギムネマ酸、2−ヒドロキシ安息香酸(2−HB)、3−ヒドロキシ安息香酸(3−HB)、4−ヒドロキシ安息香酸(4−HB)、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、2,4−ジヒドロキシ安息香酸(2,4−DHB)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸(2,6−DHB)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(3,4−DHB)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5−DHB)、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸(2,3,4−THB)、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸(2,4,6−THB)、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5−THB)、4−ヒドロキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシケイ皮酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、及びそれらの組み合わせ等の水溶性味覚増強剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
他の好適な味覚増強剤は、実質的に、或いは全く水に不溶性であり、シトラスアウランチウム、バニラオレオレジン、水不溶性の糖酸、水不溶性加水分解植物性蛋白質、水不溶性加水分解動物蛋白質、水不溶性酵母エキス、不溶性ヌクレオチド、サトウキビ葉エッセンス、及びそれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない。
【0065】
任意の他の好適な味覚増強剤としては、マルトール、エチルマルトール、バニリン、微水溶性糖酸、微水溶性加水分解植物性蛋白質、微水溶性加水分解動物蛋白質、微水溶性酵母エキス、微水溶性ヌクレオチド、及びそれらの組み合わせ等、水にわずかに溶解しうる物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
更に好適な味覚増強剤としては、甘草グリチルリジン酸、G−蛋白質結合受容体(T2Rs及びT1Rs)に応答する化合物、G−蛋白質結合受容体(T2Rs及びT1Rs)、並びにコクみを付与する、クロダらの米国特許第5679397号(本願に引用してその全体を援用する)に開示された味覚増強組成物が挙げられるが、これらに限定されない。「コクみ」とは、「広がり」及び「こく」を与える物質をいう。コクみを与える組成物は、水溶性、微水溶性又は水不溶性であってよい。
【0067】
上記のとおり、味覚増強剤の1種である甘味増強剤は、甘味を増進する。ある実施形態において、典型的な甘味増強剤としては、グリチルリジン酸モノアンモニウム、甘草グリチルリジン酸、シトラスアウランチウム、アラピリデイン、アラピリデイン(N−(1−カルボキシエチル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム−3−オール)分子内塩、ミラクリン、クルクリン、ストロジン、マビンリン、ギムネマ酸、シナリン、グルピリデイン、ピリジニウム−ベタイン化合物、甜菜エキス、ネオテーム、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、タガトース、トレハロース、マルトール、エチルマルトール、バニラエキス、バニラオレオレジン、バニリン、甜菜エキス(アルコールのエキス)、サトウキビ葉エッセンス(アルコールのエキス)、G−蛋白質結合受容体に応答する化合物(T2Rs及びT1Rs)、2−ヒドロキシ安息香酸(2−HB)、3−ヒドロキシ安息香酸(3−HB)、4−ヒドロキシ安息香酸(4−HB)、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、2,4−ジヒドロキシ安息香酸(2,4−DHB)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸(2,6−DHB)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(3,4−DHB)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5−DHB)、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸(2,3,4−THB)、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸(2,4,6−THB)、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5−THB)、4−ヒドロキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシケイ皮酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
塩味を増強するための増強剤の更なる例としては、本願に引用して援用する、米国特許第6974597号に開示されたもののような酸性ペプチドが挙げられる。酸性ペプチドには、リジン、アルギニン及びヒスチジン等の塩基性アミノ酸よりもアスパラギン酸及びグルタミン酸等の酸性アミノ酸を数多く有するペプチドが挙げられる。酸性ペプチドは、ペプチド合成、又はエンドペプチダーゼを用いて蛋白質を加水分解し、必要に応じて脱アミド化することによって得られる。酸性ペプチド、又は蛋白質の加水分解及び脱アミド化によって得られるペプチドの作製に用いるのに好適な蛋白質としては、植物蛋白質、(例えば小麦グルテン、トウモロコシ蛋白質(例えば、ゼイン及びグルテンミール)、大豆蛋白質単離物)、動物蛋白質(例えば、ミルクカゼイン及びミルク乳清蛋白質等のミルク蛋白質、食肉蛋白質及び魚肉蛋白質等の筋肉蛋白質、卵白蛋白質及びコラーゲン)、並びに微生物蛋白質(例えば、微生物細胞蛋白質及び微生物により産生されるポリペプチド)が挙げられる。
【0069】
本願に引用してその全体を援用する米国特許公開第2003/0072842A1号に記載のように、疎水性甘味料を用いることで温感又は冷感の効果を持続できる。例えば、このような疎水性甘味料としては、以下に述べるような式I−XIのものが挙げられる:
【化1】

式中、X、Y及びZは、CH、O及びSからなる群より選択され;
【化2】

式中、X及びYは、S及びOからなる群より選択され;
【化3】

式中、Xは、S又はOであり;Yは、O又はCHであり;Zは、CH、SO又はSであり;Rは、OCH、OH又はHであり;Rは、SH又はOHであり、Rは、H又はOHであって;
【化4】

式中、Xは、C又はSであり;Rは、OH又はHであり、Rは、OCH又はOHであって;
【化5】

式中、R、R及びRは、OH又はHであり、RはH又はCOOHであって;
【化6】

式中、Xは、O又はCHであり、Rは、COOH又はHであって;
【化7】

式中、Rは、CHCH、OH、N(CH3)又はClである;
【化8】

【化9】

【化10】

;並びに
【化11】

【0070】
本願に引用してその全体を援用する米国特許第6159509号に記載のとおりに、ペリラルチンを添加してよい。
【0071】
上記列挙した味覚増強剤の何れも、単独、又は組み合わせて使用してよい。
【0072】
ある実施形態では、例えば、互いに相乗的に作用する2種以上の味覚増強剤を含んでよい。例えば、ある実施形態では、互いに相乗的に作用する2種以上の甘味増強剤を含有する甘味増強組成物を提供してもよい。甘味増強組成物は、それが配合される製品の甘味を増進することができる。そうすることで、サッカロースと同程度の甘味強度をもたらすのに必要なサッカロースの量を低減できる。甘味増強剤の組み合わせの甘味増進効果は、個々に用いた場合の何れの化合物の効果よりも大きい場合がある。
【0073】
更に具体的には、ある実施形態によれば、3−ヒドロキシ安息香酸(3−HB)、及び2,4−ジヒドロキシ安息香酸(2,4−DHB)、又はその食塩を含有する甘味増強組成物を提供する。
【0074】
食塩としては、酸(すなわちカルボン酸塩)塩及び/又はヒドロキシル化塩、特にナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアンモニウム塩等が挙げられる。望ましくは、ある実施形態では、甘味増強組成物として、酸、ナトリウム塩又はカリウム塩の形態の3−HB及び/又は2,4−DHBを用いる。
【0075】
3−HB及び2,4−DHBは個々に研究されているが、組み合わせて使用されていない。本発明者らは、双方の化合物を甘味料と組み合わせて用いた場合に、驚くほど強い甘味増進効果が認められることを発見した。この効果は、何れかの化合物を個々に使用することにより予測されるものよりも強い。更に、ある実施形態において、十分な量の3−HB及び2,4−DHBを甘味増強組成物に用いると、約7%以上、より具体的には、約8%以上のサッカロース相当値が得られる。
【0076】
通常、3−HB及び2,4−DHBの使用量は、約200ppm、400ppm又は500ppmであってよい。同じか又は異なる量で、3−HB及び2,4−DHBを甘味増強組成物に配合してよい。
【0077】
ある実施形態において、甘味増強組成物は、1:9から9:1まで、更に具体的には2:8から8:2まで、更に一層具体的には4:6から6:4まで、最も具体的には1:1の質量比で、3−HB及び2,4−DHBを含有する。
【0078】
甘味増強組成物は、更なる甘味増強剤を含有してよい。例えば、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(3,4−DHB)又はその食塩を用いてよい。
【0079】
ある実施形態において、甘味増強組成物は、予備混合粉体又は予備混合液体として提供してよく、これを別の組成物に添加してよいが、また他の実施形態では、甘味増強組成物の個々の成分を個々の物質として別の組成物に添加してよい。
【0080】
ある実施形態では、組成物からの味覚増強剤(単数種又は複数種)の放出速度や、組成物自体の放出プロファイル全体を制御することが望ましい場合がある。組成物を配合させる最終製品のタイプ、及びその摂食時間に依存して、異なる放出速度であることが望ましい場合がある。例えば、チューインガム製品は、約15〜約120分の間の何れの範囲でも、異なる咀嚼プロファイルを有してよい。選択するチューインガムによって、異なる放出速度が望ましい。ヌガー、キャラメル、フラッペ及びタフィーを含む硬質キャンディ等の他の菓子の形態も、異なる放出速度を有することができる。
【0081】
ある実施形態において、放出速度は、味覚増強剤(単数種又は複数種)が水溶性か否かに依存する場合がある。具体的な溶解性を選択することで、組成物全体だけでなく、味覚増強剤(単数種又は複数種)の放出プロファイルを制御してよい。更に具体的には、味覚増強剤は、様々な水に対する溶解性を有する。これらの成分のいくつかは水溶性であり、すなわち、実質的に、又は完全に水に溶解できるが、その他のものは水に対する溶解性が低いか、溶解しない。ある実施形態において、例えば、1種以上の水溶性の低い味覚増強剤を、低い水溶性を呈することが知られている有効成分と組み合わせて選択することが望ましい場合がある。極めて高い不溶性を示す味覚増強剤は、その特性ゆえに、有効成分もゆっくりとそれらから放出するように組成物の摂食の間中、維持できる。或いは、比較的高い水溶性を示す増強剤を比較的高い水溶性を示す有効成分との対にしてよい。これらの例の両方で、味覚増強剤及び有効成分を、それらの放出プロファイルが類似するか又は重複するように、溶解性に基づいて選択してよい。
【0082】
他の実施形態では、例えば、増強剤が組成物から逐次的に放出されうるように、水に対する溶解性の異なるいくつかの味覚増強剤を選択することが望ましい場合がある。別の例では、同様に、水に対する溶解性の異なる複数の有効成分と共に、複数の逐次的に放出する味覚増強剤を含有してよい。異なる溶解性を有する味覚増強剤の多くの他の組み合わせも、組成物に対する異なる放出プロファイルをもたらすために用いてよい。これらに鑑み、味覚増強剤(単数種又は複数種)の溶解性や、それらと有効成分(単数種又は複数種)との組み合わせを用いて、組成物全体の放出プロファイルを制御及び適合調整してよい。
【0083】
従って、本明細書に記載のある実施形態にとって、「放出制御」の用語は、放出の期間又は態様をある程度管理又は変更して、所望の放出プロファイルを提供することを意味する。更に具体的には、例えば、放出制御は、少なくとも以下の放出プロファイル:放出開始の遅延;間欠的放出;緩徐な放出;初期高放出;持続的放出;逐次放出;及びそれらの組み合わせを含む。
【0084】
異なる溶解性及び/又は放出プロファイルを有する味覚増強剤及び有効成分を、多くの異なる実施形態で組み合わせて、多くの異なる全体的な放出プロファイルを有する組成物を提供してよい。例えば、以下の放出プロファイルの何れかを有する1種以上の味覚増強剤を、以下の放出プロファイルの何れかを有する1種以上の有効成分と、如何なるように組み合わせてよい:放出開始の遅延(「DOR」);間欠的放出(「PR」);緩徐な放出(「GR」);初期高放出(「HIR」);及び持続的放出(「SUR」)。更に、味覚増強剤及び/又は有効成分に、他の放出制御プロファイルと同様に、これらを付与する他の技術を用いてよい。例えば、本明細書において更に詳細に後述する封入技術を用いてよい。更に、味覚増強剤(単数種又は複数種)及び封入されていない有効成分(「遊離」成分と称される場合がある)(単数種又は複数種)を、封入された形態等の他の形態の成分と組み合わせて、増強剤組成物の放出プロファイルを適合調整してよい。仮説的な組み合わせのサンプリングを以下の表1に示すが、表中、P−Pは異なる味覚増強剤を表し、A−Aは異なる有効成分を表す。P−P及びA−Aは、それらの遊離型、及び/又は封入型として用いてよい。
【0085】
【表1】

【0086】
放出制御特性はまた、例えば、前記の封入技術による等、他の方法にて、本明細書に記載の組成物に付与してよい。封入することで、上記の様々な放出プロファイルの何れかを付与してよい。ある実施形態では、味覚増強剤(単数種又は複数種)、及び/又は有効成分(単数種又は複数種)を封入して、組成物からの増強剤及び/又は有効成分の放出速度を制御してよい。例えば、ある実施形態では、3−HB及び/又は2,4−DHBをそれらに封入する型で使用してよい。
【0087】
例えば、ある実施形態では、少なくとも1種の封入された味覚増強剤、及び少なくとも1種の封入されていない有効成分、すなわち、その遊離型のものを含有してよい。他の実施形態では、少なくとも1種の封入されていない味覚増強剤、及び少なくとも1種の封入された有効成分を含有してよい。更に、ある実施形態では、味覚増強剤(単数種又は複数種)、及び有効成分(単数種又は複数種)の双方を封入してよい。かかる実施形態では、味覚増強剤(単数種又は複数種)、及び有効成分(単数種又は複数種)を一緒に封入しても、別々に封入してもよい。味覚増強剤(単数種又は複数種)及び有効成分(単数種又は複数種)が別々に封入された実施形態では、成分を封入するのに使用する材料は、同じでも、異なっていてもよい。更に、これらの実施形態の何れかでは、1種以上の材料を使用して、味覚増強剤(単数種又は複数種)又は有効成分(単数種又は複数種)を封入してよい。
【0088】
上記の実施形態の何れにおいても、味覚増強剤(単数種又は複数種)又は有効成分(単数種又は複数種)の封入型を、その遊離型、すなわち、非封入型と同じ成分の所定量と組み合わせて用いてよい。遊離成分と、封入された成分との双方を使用することによって、長期間にわたり有効成分の認識の増進をもたらすことができ、及び/又は消費者による有効成分の認識を増強できる。例えば、ある実施形態では、封入された味覚増強剤をその非封入型である同じ味覚増強剤の所定量と組み合わせて含有してよい。或いは、封入されていない味覚増強剤は、封入された増強剤と異なる味覚増強剤であってよい。これにより、ある実施形態では、一方は封入型であって、他方はその遊離型である、異なる2種の味覚増強剤の混合物を含有してよい。有効成分(単数種又は複数種)に関しても、これらの変更を採用してよい。
【0089】
封入は、成分の分散、スプレードライ、スプレーコーティング、流動床乾燥、吸収、吸着、コアセルベーション、複合体生成、又は他の標準技術によりおこなうことができる。通常、味覚増強剤(単数種又は複数種)、及び/又は有効成分(単数種又は複数種)は、封入材料によって封入してよい。本明細書に記載のある実施形態にとって、「封入材料」の用語は、完全に、又は部分的に別の物質を被覆又は外装できる材料を意味する。封入はまた、別の物質へのある物質の吸着、2つの物質間での凝集物又は集塊の形成が含まれることを意味する。
【0090】
食品において封入材料として従来から使用されている何れの材料を用いてよい。例えば、ある実施形態では、例えば、疎水性封入材料等の、味覚増強剤(単数種又は複数種)の放出を遅延させる封入材料を使用することが望ましい場合がある。これに対し、他の実施形態では、例えば親水性材料等の封入材料を使用することにより、放出の速度を上昇させることが望ましい場合がある。更に、2種以上の封入材料を使用してよい。例えば、味覚増強剤又は有効成分を、2種以上の封入材料の混合物によって封入して、放出の速度を適合調整してよい。
【0091】
味覚増強剤は、有効成分と協働して作用し、それらの活性が増進されると考えられる。従って、ある実施形態では、増強剤(単数種又は複数種)の放出を制御して、それが実質的に、組成物中に含有される有効成分(単数種又は複数種)の放出と同時に発生するようにするのが望ましい場合がある。上記のとおり、ある味覚増強剤は放出速度が速いが、他の味覚増強剤は放出速度が遅い。一方、ある有効成分は放出速度が速いが、その他のものは放出速度が遅い。ある実施形態では、味覚増強剤(単数種又は複数種)を封入するのに使用される材料を、組成物中で一緒に使用するために選択される、増強剤(単数種又は複数種)及び有効成分(単数種又は複数種)の双方の放出プロファイルに基づく増強剤(単数種又は複数種)の放出速度を加減するために選択してよい。
【0092】
更に具体的には、ある実施形態において、組成物中に含有される有効成分(単数種又は複数種)は、同じ組成物中で使用するために選択される味覚増強剤(単数種又は複数種)よりも遅い放出プロファイルを有してよい。従って、組成物からの味覚増強剤(単数種又は複数種)の放出を、実質的に有効成分(単数種又は複数種)と同時に放出するように遅延させるのが望ましい場合もある。対応する放出プロファイルは、摂食の間中、有効成分(単数種又は複数種)の認識を増進する際に、味覚増強剤(単数種又は複数種)の有効性を高める場合がある。
【0093】
遅延型放出の実施形態での使用に好適な封入材料としては、ポリビニルアセテート、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
ある実施形態において、上記のとおり、味覚増強剤(単数種又は複数種)は水溶性であってよい。例えば、以下の味覚増強剤は水溶性である:ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、クロロゲン酸、アラピリデイン、シナリン、ミラクリン、グルピリデイン、ピリジニウム−ベタイン化合物、グルタミン酸一ナトリウム、グルタミン酸一カリウム等のグルタミン酸塩、ネオテーム、タウマチン、タガトース、トレハロース、塩化ナトリウム等の塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム、バニラエキス(エチルアルコール中)、水溶性糖酸、塩化カリウム、重硫酸ナトリウム、水溶性加水分解植物性蛋白質、水溶性加水分解動物蛋白質、水溶性酵母エキス、アデノシン一リン酸(AMP)、グルタチオン、イノシン一リン酸、イノシン酸二ナトリウム、キサントシン一リン酸、グアニル酸一リン酸、アラピリデイン(N−(1−カルボキシエチル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム−3−オール分子内塩等の水溶性ヌクレオチド、甜菜エキス(アルコールのエキス)、サトウキビ葉エッセンス(アルコールのエキス)、クルクリン、ストロジン、マビンリン、ギムネマ酸、2−ヒドロキシ安息香酸(2−HB)、3−ヒドロキシ安息香酸(3−HB)、4−ヒドロキシ安息香酸(4−HB)、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、2,4−ジヒドロキシ安息香酸(2,4−DHB)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸(2,6−DHB)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(3,4−DHB)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5−DHB)、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸(2,3,4−THB)、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸(2,4,6−THB)、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5−THB)、4−ヒドロキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシケイ皮酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、及びそれらの組み合わせ。それらの水に対する溶解性に起因して、かかる味覚増強剤は、それらが配合された組成物から迅速に放出する傾向を示す場合がある。このように、ある実施形態では、前掲のような増強剤(単数種又は複数種)の放出を遅延させる封入材料によって、水溶性味覚増強剤を封入してもよい。
【0095】
他の実施形態では、組成物からの味覚増強剤(単数種又は複数種)の放出を高めることが望まれる場合がある。例えば、組成物に配合される味覚増強剤(単数種又は複数種)は、それと組み合わせて使用するために選択される有効成分(単数種又は複数種)よりも放出速度が遅い場合がある。この放出速度の差が、味覚増強剤(単数種又は複数種)の有効性を低減させる場合がある。従って、このような味覚増強剤を増強剤の放出の速度を高める封入材料で封入してよい。これによって、増強剤(単数種又は複数種)及び有効成分(単数種又は複数種)の放出を、摂食の間、実質的に一致させることができる。
【0096】
放出を増大する実施形態での使用に好適な封入材料としては、シクロデキストリン、糖アルコール、デンプン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ゼラチン、グアーガム、フルクトース、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
ある実施形態において、上記のとおり、味覚増強剤(単数種又は複数種)は、実質的に、又は完全に水に不溶性であってよい。例えば、以下の味覚増強剤は、実質的に又は完全に水に対して不溶性である:シトラスアウランチウム、バニラオレオレジン、水不溶性の糖酸、水不溶性加水分解植物性蛋白質、水不溶性加水分解動物蛋白質、水不溶性酵母エキス、不溶性ヌクレオチド、サトウキビ葉エッセンス、及びそれらの組み合わせ。かかる味覚増強剤は、水に対する溶解性が低いため、組成物からゆっくりと放出する傾向を示す場合がある。このように、ある実施形態では、実質的に又は完全に水に対して不溶性の味覚増強剤を、前掲のような増強剤(単数種又は複数種)の放出を高める封入材料によって封入してよい。上記に従って、封入された味覚増強剤は、味覚増強剤及び封入材料を含有してよい。味覚増強剤の所望の放出プロファイルに基づいて封入材料を選択してよい。ある実施形態において、味覚増強剤(単数種又は複数種)の含有量は、組成物の約0.01質量%〜約10質量%、更に具体的には組成物の約0.1質量%〜約2質量%であってよい。
【0098】
ある実施形態において、封入材料の含有量は、組成物の約1質量%〜約95質量%、更に具体的には組成物の約5質量%〜約30質量%であってよい。
【0099】
ある実施形態において、封入された物質、すなわち封入された味覚増強剤(単数種又は複数種)又は有効成分(単数種又は複数種)は、約448.2bar(約6500psi)以上のような高引張強度を有してよい。更に具体的には、引張強度は、約448.2bar〜約13790bar(約6,500psi〜約200,000psi)であってよい。かかる引張強度は、長期間にわたって味覚増強剤(単数種又は複数種)及び/又は有効成分(単数種又は複数種)の放出を一貫して制御するのに好適でありうる。封入された物質の引張強度は、米国特許公開第2005/0112236A1号に更に詳細に記載されており、その内容を本願に引用して援用する。
【0100】
ある実施形態において、増強剤組成物に配合される有効成分(単数種又は複数種)の量は、組成物の約1質量%〜約95質量%、更に具体的には組成物の約5質量%〜約30質量%であってよい。
【0101】
有効成分(単数種又は複数種)は、1種以上の味覚増強剤の存在によって、何らかの方法にてその認識が増進される、任意の成分であってよい。好適な有効成分としては、香味、甘味、酸味、旨味、コクみ、美味、塩味、冷感、温感又は刺激感をもたらす化合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な有効成分としては、口腔ケア剤、栄養補助有効成分及び医薬有効成分が挙げられる。有効成分の組み合わせを用いてもよい。
【0102】
使用可能な香味をもたらす化合物(香味料又は香味剤)、としては、天然香料及び人工香料等、当業者にそれらの香味がすでに知られているものが挙げられる。これらの香味料を合成香味油、及び着香芳香剤及び/又は着香芳香油、植物、葉、花、フルーツ等由来のオレオレジン及びエキス等、並びにこれらの組み合わせから選択してよい。限定しない代表的な香味油としては、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーンの油(メチルサリチレート)、ペパーミント油、和種はっか油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズクの油、オールスパイス、セージの油、メース、クヘントウの油、及びケイヒ油が挙げられる。更に有用な香味料としては、バニラ、及びレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチを含む柑橘類油分、及びアップル、西洋ナシ、モモ、グレープ、ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、スイカ、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、ウメ、チェリー、ラズベリー、ブラックベリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤ等を含有するフルーツエッセンス等の人工、天然及び合成フルーツがある。使用できる他の香味料としては、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、及びヨーグルトフレーバー;バニラフレーバー;緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、及びコーヒーフレーバー等のティ又はコーヒー香味料、;ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、及び和種はっかフレーバー等のミント香味料;アサフェティーダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンゼリカフレーバー、フェンネルフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェーフレーバー、クミンフレーバー、チョウジフレーバー、コショウフレーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレーバー、キダチハッカフレーバー、山椒フレーバー、エゴマフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ショウガフレーバー、スターアニスフレーバー、セイヨウワサビフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、トウガラシフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー、及びワサビ(日本ワサビ)フレーバー等の香辛香味料;ワインフレーバー、ウィスキーフレーバー、ブランディフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、及びリキュールフレーバー等のアルコール香味料;フローラル香味料;並びに、オニオンフレーバー、ガーリックフレーバー、キャベツフレーバー、キャロットフレーバー、セロリフレーバー、マッシュルームフレーバー、及びトマトフレーバー等の植物香味料が挙げられる。これらの香味料は、液体又は固体の形状で用いてよく、個々に又は混合物として用いてよい。一般に用いられる香味料としては、ペパーミント、メントール、スペアミント等のミント、人工バニラ、シナモン誘導体、及び様々なフルーツ香味料が挙げられ、個々に又は混合物として用いられる。特にミント香味料等の香味料は、清涼剤と組み合わせて用いると息清涼化特性をももたらすことができる。
【0103】
他の有用な香味剤としては、酢酸シンナミル、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、酢酸ジヒドロカルビル、ギ酸オイゲニル、p−メチルアニソール等の、アルデヒド及びエステルが挙げられる。通常、National Academy of SciencesによるChemicals Used in Food Processing出版1274、63−258頁に記載されたもの等の、香味料又は食品添加剤の何れも用いてよい。この出版物は、本願に引用して援用する。アルデヒド香味剤の更なる例としては、アセトアルデヒド(アップル)、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、アニスアルデヒド(カンゾウ、アニス)、ケイヒアルデヒド(シナモン)、シトラール、すなわち、アルファ−シトラール(レモン、ライム)、ネラール、すなわち、ベータ−シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ、すなわち、ピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、アルファ−アミルシンナムアルデヒド(スパイシーなフルーツ様の香味)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(修飾型、多くの型)、デカナール(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−8(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−9(シトラスフルーツ)、アルデヒドC−12(シトラスフルーツ)、2−エチルブチルアルデヒド(ベリーフルーツ)、ヘキサナール、すなわち、トランス−2(ベリーフルーツ)、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、ベラトルムアルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプタナール、すなわち、メロナール(メロン)、2,6−ジメチルオクタナール(緑色フルーツ)、及び2−ドデセナール(シトラス、マンダリン)、チェリー、グレープ、ストロベリーショートケーキ、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
ある実施形態において、香味剤は、液体形状及び/又は乾燥形状の何れかにて用いてよい。後者の形状で用いる場合、油の噴霧乾燥等の好適な乾燥手段を用いてよい。或いは、香味剤はセルロース、デンプン、砂糖、マルトデキストリン、アラビアガム等の水溶性材料に吸収させても、又は封入してよい。かかる乾燥形状を調製するための実際の技術は、よく知られている。
【0105】
ある実施形態において、香味剤は、香味の初期噴出及び/又は香味の認識の持続をもたらすように、当該技術分野でよく知られている多くの別異の物理的形状で用いてよい。かかる物理的形状としては、スプレードライ、粉体、ビーズ形状等の遊離形状、封入形状、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
甘味をもたらす化合物(甘味料又は甘味剤)としては、砂糖類等のバルク甘味料、シュガーレスバルク甘味料等、又はそれらの混合物を挙げることができる。
【0107】
好適な糖甘味料としては、通常、サッカロース(砂糖)、デキストロース、マルトース、デキストリン、キシロース、リボース、グルコース、ラクトース、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、転化糖、フラクトオリゴ糖シロップ、部分的に水素化したデンプン、コーンシロップ固体、イソマルチュロース等の単糖、二糖及び多糖、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
好適なシュガーレスバルク甘味料としては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、水素化イソマルチュロース、(イソマルト)、ラクチトール、エリスリトール、水素化デンプンの加水分解物、ステビア、及びそれらの混合物等の糖アルコール類(又はポリオール類)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
好適な水素化デンプン加水分解物としては、米国特許第4279931号に開示されたもの、及び種々の水素化グルコースシロップ及び/又はソルビトール、マルチトール、水素化二糖、三糖以上の水素化多糖、若しくはそれらの混合物を含有する粉体が挙げられる。水素化デンプン加水分解物は、主に、コーンシロップの制御された接触水素化によって調製される。得られる水素化デンプン加水分解物は、モノマー、ダイマー、及びポリマー多糖の混合物である。これらの糖類の比が異なることによって、異なる性質の異なる水素化デンプン加水分解物が得られる。フランスのRoquette Freres製造の市販品LYCASIN(登録商標)、及びNew Castle, DelawareのSPI Polyols, Inc.製造の市販品HYSTAR(登録商標)等の、水素化デンプン加水分解物の混合物も有用である。
【0110】
ある実施形態では、高甘味度甘味料を用いてもよい。特定の甘味料に限定することなく、代表的な分類及び例を以下に挙げる:(a)ジヒドロカルコン、モネリン、ステビア、ステビオシド、レバウジオシドA、グリチルリジン、ジヒドロフラベノール等の水可溶性甘味剤、及びソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール類、並びにL−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミドで、米国特許第4619834号に開示のもの等(この開示は本願に引用して援用する)、並びにこれらの混合物;(b)可溶性サッカリン塩等の水可溶性人工甘味料、すなわち、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム又はカルシウムサッカリン塩、シクラメート塩、ナトリウム、アンモニウム又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)等、サッカリンの遊離酸型、及びこれらの混合物;(c)L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、及び米国特許第3492131号に記載の物質等のL−アスパラギン酸由来甘味料、L−アルファアスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、N−[N−(3,3−ジメチルブチル)−L−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル(ネオテーム)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン;L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、及びこれらの混合物等のジペプチド系甘味料;(d)普通の砂糖(サッカロース)の塩素化誘導体等の水可溶性甘味料を生じる天然由来の水可溶性甘味料、例えば、スクラロースの品名で知られている、例えばクロロデオキシサッカロース又はクロロデオキシガラクトサッカロースの誘導体等といったクロロデオキシ糖誘導体;クロロデオキシサッカロース及びクロロデオキシガラクトサッカロース誘導体の例として、限定しないが、以下のものが挙げられる:1−クロロ−1’−デオキシサッカロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−アルファ−D−フラクトフラノシド、又は4−クロロ−4−デオキシガラクトサッカロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトサッカロース;1’,6’−ジクロロ−1’,6’−ジデオキシサッカロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,1’,6’−トリクロロ−4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトサッカロース;6,1’,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシサッカロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−アルファ−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,6,1’,6’−テトラクロロ−4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−サッカロース;及び4,6,1’,6’−テトラデオキシ−サッカロース、及びこれらの混合物;(e)タウマッコスダニエリ(タウマチンI及びII)及びタリン等の蛋白質系甘味料、(f)甘味料モナチン(2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸)及びその誘導体;並びに(g)甘味料Lo han guo(羅漢果)「Lo han kuo」と称されることもある)。
【0111】
高甘味度甘味剤は、当該技術分野でよく知られた多くの異なる物理的形態で用いることで、甘味の初期噴出及び/又は甘味の持続的な認識を与えることができる。かかる物理的形態としては、スプレードライ、粉体、ビーズ型等の遊離型、封入型、及びこれらの混合形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
酸味をもたらす化合物は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酪酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グリコン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸及びこれらの組み合わせ等の酸味料を含んでよい。
【0113】
旨味又は美味の香味をもたらす化合物は、グルタミン酸一ナトリウム(MSG)、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、遊離アミノ酸、IMP(5’−イノシン一リン酸二ナトリウム及びGMP(5’−グアノシン一リン酸二ナトリウム)、T1R1及びT1R3受容体を刺激する化合物、キノコ香味料、発酵魚香味料、並びにビーフ、チキン、ポーク、ダチョウ、シカ及びバッファロー等の筋香味料を含んでよい。
【0114】
コクみを与える物質は、上記したKurodaらの米国特許第5679397号に開示の、(1)ゼラチン及びトロポミオシン及び/又はトロポミオシンペプチド;(2)ゼラチン及びパラミオシン;並びに(3)トロポニン及びトロポミオシン及び/又はトロポミオシンペプチドから選択される混合物を含んでよい。
【0115】
塩味をもたらす化合物は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、l−リジン等の従来の塩、及びそれらの組み合わせを含んでよい。
【0116】
冷却感をもたらす化合物は、生理的清涼剤を含んでよい。様々な周知の清涼剤を用いてよい。例えば、とりわけ有用な冷感剤としては、キシリトール、エリスリトール、デキストロース、ソルビトール、メンタン、メントン、ケタール、メントンケタール、メントングリセロールケタール、置換p−メンタン、非環状カルボキサミド、モノメンチルグルタレート、置換シクロヘキサミド、置換シクロヘキサンカルボキサミド、置換ウレア及びスルホンアミド、置換メンタノール、p−メンタンのヒドロキシメチル及びヒドロキシメチル誘導体、2−メルカプト−シクロ−デカノン、2〜6の炭素数のヒドロキシカルボン酸、シクロヘキサミド、メンチルアセテート、サリチル酸メンチル、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、イソプレゴール、3−(1−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(1−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−2,3−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、6−イソプロピル−9−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−2−メタノール、メンチルスクシネート及びそのアルカリ土類金属塩、トリメチルシクロヘキサノール、N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、和種はっか油、ペパーミント油、3−(1−メントキシ)エタン−1−オール、3−(1−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(1−メントキシ)ブタン−1−オール、1−メンチル酢酸N−エチルアミド、1−メンチル−4−ヒドロキシペンタノエート、1−メンチル−3−ヒドロキシブチレート、N,2,3−トリメチル−2−(1−メチルエチル)−ブタンアミド、n−エチル−t−2−c−6ノナジエンアミド、N,N−ジメチルメンチルスクシンアミド、置換p−メンタン、置換p−メンタン−カルボキサミド、2−イソプロパニル−5−メチルシクロヘキサノール(Hisamitsu Pharmaceuticals、以下「イソプレゴール」);メントングリセロールケタール(FEMA 3807、商品名FRESCOLAT(登録商標)タイプMGA);3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール(Takasago、FEMA 3784);及びメンチルラクテート;(Haarman & Reimer、FEMA 3748、商品名FRESCOLAT(登録商標)タイプML)、WS−30、WS−14、ユーカリエキス(p−メンタ−3,8−ジオール)、メントール(その天然又は合成誘導体)、メントールPGカーボネート、メントールEGカーボネート、メントールグリセリルエーテル、N−tertブチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、P−メンタン−3−カルボン酸グリセロールエステル、メチル−2−イソプリル−ビシクロ(2.2.1)、ヘプタン−2−カルボキサミド;及びメントールメチルエーテル、及びメンチルピロリドンカルボキシレート等が挙げられる。これらの清涼剤や他の好適な清涼剤は、以下の米国特許に更に記載されており、それら全ての全体を、本願に引用して援用する:米国特許第4230688号;第4032661号;第4459425号;第;4136163号;第5266592号;第6627233号。
【0117】
温かみをもたらす化合物(温感剤)を、個々の使用者に温感信号をもたらすことが知られている多種多様な化合物から選択してよい。これらの化合物は、特に口腔内で温かみを認知する感覚を与え、香味料、甘味料、及びその他の感覚刺激性成分の認知を増強する場合が多い。有用な温感剤としては、口腔内の受容体に結合しうる少なくとも1種のアリルビニル成分を有するものが挙げられる。好適な温感剤の例として、限定しないが:Takasago Perfumary Company Limited、東京、日本により供給されるバニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000)や、バニリルアルコールn−プロピルエーテル;バニリルアルコールイソプロピルエーテル;バニリルアルコールイソブチルエーテル;バニリルアルコールn−アミノエーテル;バニリルアルコールイソアミルエーテル;バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル;バニリルアルコールメチルエーテル;バニリルアルコールエチルエーテル;ジンゲロール;ショウガオール;パラドール;ジンゲロン;カプサイシン;ジヒドロカプサイシン;ノルジヒドロカプサイシン;ホモカプサイシン;ホモジヒドロカプサイシン;エタノール;イソプロピルアルコール;イソ−アミルアルコール;ベンジルアルコール;グリセリン;クロロホルム;オイゲノール;シナモン油;ケイ皮アルデヒド;それらのリン酸塩誘導体;及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
刺激感覚を与える化合物も知られており、「刺激剤」と称されている。刺激剤は、使用者に刺激を与える、刺痛を与える又は麻痺する知覚をもたらすのに用いるとよい。刺激剤としては、限定しないが:有効成分がスピラントールであるジャンブーオレオレジン又はパラクレス(Spilanthes sp.);サンショール−I、サンショール−II及びサンショーアミドとして知られる成分を含有するサンショウエキス(Zanthoxylum peperitum);カビシン及びピペリンの有効成分を含有する黒コショウエキス(piper nigrum);エキナセアエキス;キタサンショウ(Northern Prickly Ash)エキス;及び赤コショウオレオレジンが挙げられる。ある実施形態では、ジャンブー又はサンショール等の物質から抽出したアルキルアミドを含んでもよい。更に、ある実施形態において、感覚は発泡によって引き出される。かかる発泡性は、塩基性物質を酸性物質と合わせることによって生み出され、これらの一方又両方が封入されてよい。ある実施形態において、塩基性物質は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びそれらの混合物を含んでよい。ある実施形態において、酸性物質は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酪酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グリコン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸及びそれらの組み合わせを含んでよい。「刺激」型感覚剤の例は、米国特許第6780443号に見出すことができ、その内容全体を、あらゆる目的で本願に引用して援用する。刺激剤は、Nakatsuらの米国特許第6780443号、McLaughlinらの米国特許第5407665号、Johnsonらの米国特許第6159509号、及びNakatsuらの米国特許第5545424号に記載されており、これらの各々はその全体を、本願に引用して援用する。
【0119】
使用可能な口腔ケア剤としては、界面活性剤、息清涼剤、抗微生物剤、抗菌剤、歯石予防剤、プラーク予防剤、口臭制御剤、フッ化物化合物、第4級アンモニウム化合物、再石灰化剤、及びそれらの組み合わせ等の当業者に知られた有効成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
好適な界面活性剤としては、C−C24からなる群より選択される脂肪酸の塩、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エレオステリン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リシノース酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、硫酸ブチルオレエート、中鎖及び長鎖脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、フマル酸の塩、カリウムグロメート、モノグリセリド及びジグリセリドの有機酸エステル、クエン酸ステアリルモノグリセリジル、スクシステアリン、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセロールトリステアレート、レシチン、ヒドロキシル化レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチル化モノグリセリド、スクシニル化モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、エトキシル化モノ及びジグリセリド、ソルビタンモノステアレート、カルシウムステアリル−2−ラクチレート、ナトリウムステアリルラクチレート、グリセロール及びプロピレングリコールの乳酸化脂肪酸エステル、C−C24脂肪酸のグリセロール−ラクトエステル、C−C24脂肪酸のポリグリセロールエステル、アルギン酸プロピレングリコール、サッカロースC−C24脂肪酸エステル、モノ及びジグリセリドのジアセチル酒石酸及びクエン酸エステル、トリアセチン、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤、タウレート界面活性剤、プルロニック、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、プロピレンオキシドとエチレンジアミンの反応産物とエチレンオキシドの縮合物由来の産物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
好適な抗菌剤としては、クロロヘキシジン、アレキシジン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(トリクロサン)、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
好適なフッ化物化合物としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
好適な歯石予防剤としては、ピロホスフェート、トリホスフェート、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ジアルカリ金属リン酸塩、テトラアルカリポリリン酸塩、テトラナトリウムホスフェート、テトラカリウムピロホスフェート、ナトリウムトリポリホスフェート、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
好適な抗微生物剤としては、塩化セチルピリジニウム、亜鉛化合物、銅化合物、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
好適な再石灰化剤としては、カゼインホスホペプチド−非晶質リン酸カルシウム、カゼインホスホプロテイン−リン酸カルシウム複合体、カゼインホスホペプチド−安定化リン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
当業者に知られた他の口腔ケア有効成分は、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0127】
医薬有効成分としては、薬物又は薬品、息清涼剤、ビタミン及び他の栄養補助食品、ミネラル、カフェイン、ニコチン、フルーツジュース等、及びそれらの混合物が挙げられる。有用な薬物の例としては、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗高コレステロール血症薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、止瀉薬調剤、解毒薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗炎症薬、抗脂質薬、抗躁薬、制吐薬、抗卒中薬、抗甲状腺薬製剤、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、挫創薬、アルカロイド、アミノ酸調剤、鎮咳薬、抗尿酸血症薬、抗ウイルス薬、アナボリック調剤、全身及び非全身抗感染薬、抗移植的新組織形成薬、抗パーキンソン病薬、抗リウマチ薬、食欲刺激剤、生物学的応答修飾剤、血液修飾薬、骨代謝調節剤、心血管薬、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害薬、避妊薬、鬱血除去薬、栄養補助食品、ドーパミンレセプター作用薬、子宮内膜症管理薬、酵素、シルデナフィルクエン酸塩等の勃起機能障害治療薬(現在、Viagra(登録商標)として流通)、不妊治療薬、胃腸薬、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症及び低カルシウム血症管理薬、免疫変調薬、免疫抑制薬、片頭痛薬調剤、動揺病治療薬、筋肉弛緩薬、肥満管理薬、骨粗鬆症薬調剤、子宮収縮薬、副交感神経遮断薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン、精神治療薬、呼吸器作用薬、鎮静薬、ブロモクリプチン又はニコチン等の禁煙補助薬、交感神経遮断薬、振戦薬調剤、尿管作用薬、血管拡張薬、緩下薬、制酸薬、イオン交換樹脂、抗発熱薬、食欲抑制薬、去痰薬、抗不安薬、抗潰瘍薬、抗炎症性物質、冠動脈拡張薬、脳拡張薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、刺激薬、抗高血圧薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗生物質、精神安定薬、抗精神病薬、抗腫瘍薬、抗凝固薬、抗血栓薬、睡眠薬、鎮吐薬、抗嘔吐薬、抗痙攣薬、神経筋肉作用薬、高糖血症及び低糖血症薬、甲状腺及び抗甲状腺薬調剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、肥満抑制薬、赤血球生成薬、抗喘息薬、鎮咳剤、粘液溶解薬、DNA及び遺伝的修飾薬、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0128】
ある実施形態において、味覚増強剤又は有効成分は単独で封入されるのでなく、少なくとも1種の有効成分と少なくとも1種との味覚増強剤の混合物が封入される。上記と同様に、成分の混合物の放出速度を遅延させたり高めたりするために、封入材料を選択してよい。上記の封入材料の何れを用いてよい。
【0129】
例えば、ある実施形態において、有効成分(単数種又は複数種)は、少なくとも1種の高甘味度甘味料であってよい。高甘味度甘味料(単数種又は複数種)は、少なくとも1種の味覚増強剤と混合してもよく、味覚増強剤は、高甘味度甘味料(単数種又は複数種)の甘味を高めるように選択される。このような成分の混合物をその後封入してよい。好適な高甘味度甘味料の例としては、ネオテーム、アスパルテーム、アセスルファム−K、スクラロース、サッカリン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
有効成分(単数種又は複数種)と増強剤(単数種又は複数種)とを封入された混合物を含有する実施形態において、有効成分(単数種又は複数種)の含有量は、組成物に対して約1質量%〜約95質量%、更に具体的には約5質量%〜約30質量%であってよい。味覚増強剤(単数種又は複数種)の含有量は、組成物に対して約0.01質量%〜約12質量%、更に具体的には約0.1質量%〜約5質量%であってよい。封入材料の含有量は、組成物に対して約1質量%〜約95質量%、更に具体的には約10質量%〜約60質量%であってよい。
【0131】
上記のとおり、ある実施形態では、少なくとも1種の封入された味覚増強剤と、少なくとも1種の遊離型の味覚増強剤との混合物を含んでよい。封入される味覚増強剤と封入されない味覚増強剤は、同じでも異なっていてもよい。封入される味覚増強剤(単数種又は複数種)は、上記の材料の何れかによって封入されてよい。封入された味覚増強剤と封入されていない味覚増強剤との混合物は、1種以上の有効成分と組み合わせて増強剤組成物を提供してよい。
【0132】
ある他の実施形態では、哺乳動物の味覚受容細胞の活性を変調させる組成物を提供する。かかる組成物は、上記のように少なくとも1種の有効成分と少なくとも1種の味覚増強剤を含有してよい。これらの成分は、やはり上記したとおり、封入しても封入しなくてもよい。味覚増強剤(単数種又は複数種)は、組成物の摂食に際して味覚受容細胞の活性を変調できる。更に具体的には、味は、味蕾に局在する感覚細胞を通じて認識される。異なるシグナル伝達機構が、塩味、酸味、甘味、苦味及び旨味といった主要な味覚を感じる。最終的に、脳で誘発された神経インパルスをこれらの主要な味覚の1つとして感じる。
【0133】
味覚増強剤は、この味覚シグナル伝達経路のあるポイントで味覚受容細胞の活性を変調させることによって機能する。例えば、場合によっては、味覚増強剤は、例えば甘味受容体等の味覚受容体に結合することにより甘味の認識を増進する。他の実施形態において、例えば、味覚増強剤は、例えば苦味受容体等の味覚受容体をブロックし、これが苦味の認識を抑制することにより甘味の認識を増進できる。従って、味覚増強剤(単数種又は複数種)は、哺乳動物の味覚受容細胞の活性を変調させることにより特定の味の認識を増進する。この活性は、味覚増強剤と併せて摂食すると、その組成物に含まれる有効成分の認識を増進できる。
【0134】
<食用の経口送達される製品>ある実施形態において、増強剤組成物は、少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する、如何なる経口送達される製品にも配合してよい。
【0135】
経口送達される製品は、食料品、医薬品又はパーソナルケア製品であってよい。好ましい食料品としては、チョコレート、ハードボイリング及びその他の砂糖ベースキャンディ等の菓子、ゼリー、軟質キャンディ、食用フィルム、舐剤、圧縮錠剤、シリアルバー、チューインガム等が挙げられる。錠剤、カプセル剤、液剤、チンキ剤、リンクタス剤又はシロップ剤の形態で医薬品を送達してよい。菓子及び固体の医薬品の送達形態は、随意に被覆されてよい。パーソナルケア製品としては、練り歯磨き、口内噴霧剤、及び洗口剤が挙げられる。
【0136】
ある実施形態において、経口送達される製品は、冷凍であっても、又は冷蔵/生鮮製品であってもよい。かかる冷凍又は冷蔵した食料品としては、冷凍デザート、冷凍菓子、ヨーグルト、プディング、冷凍焼成品、及び泡立てたトッピングを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0137】
更なる他の実施形態において、経口送達される加糖製品としては、ジャム、ゼリー、ピーナッツバター、焼成品、シロップ、トッピング、並びに炒った加糖ナッツ、ケトルコーン、バーベキューポテトスナック等の、甘味及び塩味のスナック等を挙げることができる。
【0138】
ある実施形態において、経口送達される製品は、菓子ベース又はガムベース、並びに本明細書に記載の増強剤組成物の何れかを含有してよい。ある実施形態では、任意又は全ての、有効成分及び/又は味覚増強剤を、遊離型(例えば非封入型)で用いてよい。或いは、製品は、任意又は全ての、封入型の有効成分及び/若しくは味覚増強剤を含有してよい。更なる選択肢として、製品は、任意の遊離型の有効成分及び/又は味覚増強剤と、任意の封入型の有効成分及び/又は味覚増強剤を含有してよい。ある実施形態において、製品は、2種以上の増強剤組成物を含有してよい。ある実施形態において、経口送達される製品で用いる増強剤組成物は、3−HB及び/又は2,4−DHBを含有する甘味増強組成物であってよい。上記のとおり、3−HBと2,4−DHBは互いに相乗的に作用して、増強剤配合の経口送達される製品の甘味を増進する。
【0139】
飲料製品及び菓子製品に対する3−HBの濃度は、遊離酸の形態で計算すると、経口送達される製品中で、通常1500ppm以下、更に具体的には100〜1500ppmの範囲、更にまた具体的には200〜1000ppmの範囲、更に一層具体的には300〜800ppmの範囲、そして最も具体的には400〜600ppmの範囲にある。
【0140】
飲料製品及び菓子製品に対する2,4−DHBの濃度は、遊離酸の形態で計算すると、製品中で通常1500ppm以下、更に具体的には100〜1500ppmの範囲、更にまた具体的には200〜1000ppmの範囲、更に一層具体的には300〜800ppmの範囲、そして最も具体的には400〜600ppmの範囲にある。
【0141】
通常、3−HBと2,4−DHBとを合わせた濃度は、飲料及び菓子中で1500ppm以下であってよい。
【0142】
チューインガムに対する3−HB及び/又は2,4−DHBの濃度は、遊離酸の形態で計算すると、製品中で、通常5000ppm以下、更に具体的には100〜5000ppmの範囲、更にまた具体的には1000〜5000ppmの範囲、更に一層具体的には2000〜5000ppmの範囲、そして最も具体的には3000〜5000ppmの範囲にある。
【0143】
当然、必要な濃度は、甘味を加えるべき経口送達される製品の性質、必要な甘味のレベル、製品中の甘味料(単数種又は複数種)の性質、及び必要な増進の程度に依存する。
【0144】
<菓子組成物>経口送達される製品が菓子組成物である場合、製品は限定しないが、硬質キャンディ、軟質キャンディ、中心充填キャンディ、綿菓子、圧縮錠剤、食用フィルム、舐剤等の形態から選択される食料品であってよい。
【0145】
菓子組成物は、菓子ベース、並びに少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有できる上記増強剤組成物の何れかを含有してよい。菓子組成物はまた、更に詳細に後述する様々な任意の添加物を含有してよい。摂食すると、有効成分(単数種又は複数種)及び味覚増強剤(単数種又は複数種)を含有する組成物は、含有する有効成分(単数種又は複数種)を菓子から放出させて、その認識の増進をもたらす。
【0146】
例えば、ある実施形態において、有効成分は、糖甘味料、シュガーレスバルク甘味料、高甘味度甘味料又はそれらの組み合わせの何れか等の、少なくとも1種の甘味料であってよい。通常、有効成分(単数種又は複数種)の含有量は、菓子組成物の約0.0001質量%〜約75質量%であってよい。高甘味度甘味料以外の有効成分を含有する、ある実施形態において、有効成分(単数種又は複数種)の含有量は、菓子組成物の約25質量%〜約75質量%であってよい。味覚増強剤(単数種又は複数種)の含有量は、菓子組成物の約0.01質量%〜約10質量%であってよい。
【0147】
ある実施形態は、一般的に菓子とも呼ばれる、舐剤又はキャンディの形態の食料品に関する。かかる菓子組成物は、砂糖及びシュガーレスバルク甘味料等のバルク甘味料、又はそれらの混合物を含有する菓子ベースを含んでよい。バルク甘味料の含有量は、通常、組成物の約0.05質量%〜約99質量%である。
【0148】
有効な量の、着色剤、抗酸化剤、保存剤、甘味料等の様々な慣用の添加剤も、菓子に配合してよい。所望の色を生じさせるのに有効な量の着色剤を使用してよい。着色剤としては、色素を挙げることができる。ガム組成物の質量に対して約6質量%以下の色素を配合してよい。例えば、ガム組成物の約2質量%以下、好ましくは約1質量%未満の量の二酸化チタンを配合してよい。着色剤としては、天然食品着色料、並びに食品、薬物及び化粧品での適用に好適な染料も挙げることができる。これらの着色剤は、F.D.&C.染料及びレーキ類として知られている。上記の使用を容認できる材料は、好ましくは水溶性である。例示できる限定的でない例として、5,5−インジゴスズジスルホン酸の二ナトリウム塩である、F.D.&C.Blue No.2として知られるインジゴイド染料が挙げられる。同様に、F.D.&C.Green No.1として知られる染料としては、トリフェニルメタン染料が挙げられ、4−[4−(N−エチル−p−スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホニウムベンジル)−デルタ−2,5−シクロヘキサジエンイミン]の一ナトリウム塩がある。全てのFD&C着色剤、及びそれらの対応する化学構造の完全な詳説は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、857〜884頁に示され、この本文を本明細書に引用して援用する。
【0149】
例えば硬質キャンディの実施形態等、食料品の滑らかさを向上させるために、ある実施形態では、滑沢剤を添加してもよい。滑らかさもまた、摂食の時に水和の認識を強くさせる特性である。好適な滑沢剤としては、脂肪、油、アロエベラ、ペクチン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
同様に、ある実施形態において、食料品は滑らかな縁部を有してよい。かかる実施形態において、食料品は四角形、円形又は菱形等、如何なる形状であってよいが、その縁部は平滑な食料品を提供するために丸められる。食料品に滑らかさを与える別の方法としては、製造工程中に型の中に食料品組成物を沈着させる方法がある。従って、ある実施形態において、食料品は更に詳細に後述するように沈着させる。
【0151】
ある実施形態において、菓子組成物は更に、羅漢果、ステビア、モナチン及びそれらの組み合わせから選択される甘味料を含んでよい。
【0152】
当業者に知られた他の従来からある添加物も、菓子組成物で使用してよい。
【0153】
ある実施形態において、菓子組成物をバッチ法によって製造してよい。直火調理器、押出調理器、及び/又は真空調理器等の従来からある装置を使用してかかる菓子を調製してよい。ある実施形態では、バルク甘味料(砂糖又はシュガーレス)及び溶剤(例えば、水)を混合容器で混合することでスラリーを形成する。スラリーを約70℃〜120℃に加熱して、甘味料の結晶又は粒子を全て溶かすことで水溶液をつくる。溶解すれば、加熱して、且つ真空に付してバッチを調理し、残存水分が約4%未満になるまで水を煮沸除去する。バッチは、結晶から非晶質、又はガラス状の相に変化する。次いで増強剤組成物を、着色剤、香味剤等の他の任意の添加物と共に、機械的混合操作によってバッチに混ぜ合わせてよい。次いで約50℃〜10℃にバッチを冷却して、半固体又はプラスチック様の粘稠度とする。
【0154】
硬質菓子製造の際の、有効成分、増強剤、及び他の添加物を均一に混合するのに必要とされる至適な混合は、均一に分散した材料を得るのに必要な時間によって決定する。通常、4〜10分の混合時間が適合することが見出されている。キャンディ塊が一旦適切にこねられれば、それを摂食可能な大きさにカットするか、又は正しい重量及び寸法を有する所望の形状に成形してよい。望まれる最終製品の、形状及びサイズによって、種々の形成技術を利用してよい。一旦望ましい形状が成形されれば、冷風をかけて食料品を均一に固化させ、その後それらを包装及び梱包する。
【0155】
或いは、増強剤組成物を含有する成分の配合のために、薄膜蒸発器及びインジェクションポートを利用する種々の連続調理工程が当該技術分野で知られており、これらを使用するとよい。
【0156】
ある実施形態に係る有用な装置は、菓子製造技術でよく知られた調理及び混合装置を含み、特定の装置の選択は、当業者にとって明らかである。
【0157】
更に、ある実施形態では、複数の領域を備えた様々な菓子構造を用いてよい。これらの構造としては、液体中心充填物、粉体中心充填物、硬質コーティング、軟質コーティング、薄層、層状、及び外装を挙げることができるが、これらに限定されない。ある実施形態において、増強剤組成物は、製品の1領域に含めても、又は複数領域に含有させてもよい。
【0158】
<軟質菓子組成物>ある実施形態において、経口デリバリー製品は、様々な軟質菓子形式の形状をとってよい。軟質菓子形式としては、ヌガー、キャラメル、タフィー、グミ及びゼリーが挙げられるが、これらに限定されない。軟質菓子組成物は、菓子ベースと、少なくとも1種の有効成分及び少なくとも1種の味覚増強剤と、を含有できる前記増強剤組成物の何れかを含んでよい。軟質菓子組成物はまた、菓子組成物について記載している上掲の項に述べた添加物の何れか等、様々な任意の添加物を含んでもよい。摂食すると、有効成分(単数種又は複数種)及び味覚増強剤(単数種又は複数種)を含有する組成物は、軟質菓子から放出されて、その中に含有される有効成分(単数種又は複数種)の認識の増進をもたらす。
【0159】
例えば、ある実施形態において、有効成分は、糖甘味料、シュガーレスバルク甘味料、高甘味度甘味料、又はそれらの組み合わせの何れか等の、少なくとも1種の甘味料であってよい。通常、有効成分(単数種又は複数種)含有量は、軟質菓子組成物の約0.0001質量%〜約75質量%であってよい。高甘味度甘味料以外の有効成分を含有するある実施形態において、有効成分(単数種又は複数種)の含有量は、軟質菓子組成物の約25質量%〜約75質量%であってよい。味覚増強剤(単数種又は複数種)の含有量は、軟質菓子組成物の約0.01質量%〜約10質量%であってよい。
【0160】
任意の軟質菓子組成物としては、ハイボイルドキャンディ及びフラッペの2種の主要な成分を含有できる、ヌガー組成物が挙げられる。例を挙げると、卵白又はその代用品を水と合わせてかき混ぜ、軽い泡を形成させる。砂糖及びグルコースを水に添加して、通常、約130℃〜140℃の温度で沸騰させ、得られる沸騰産物を混合機に注いで、クリーム状になるまで撹拌する。撹拌した卵白及び着香剤をそのクリーム状の産物と合わせ、その後、合わせたものを十分に混合する。
【0161】
ある実施形態において、キャラメル組成物としては、砂糖(又は砂糖の代用品)、コーンシロップ(又はポリオールシロップ)、部分的に硬化した脂肪、乳固形分、水、バター、風味料、乳化剤、及び塩を挙げることができる。キャラメルを調製するには、砂糖/砂糖代用品、コーンシロップ/ポリオールシロップ、及び水を一緒に混合して、熱をかけて溶解させる。その後、塊に乳固形分を混ぜ込み、均一な混合物を形成させる。次に、低温加熱しながら微量成分を混ぜ込んでよい。次いで、加熱温度を上げて沸騰させてよい。一旦水を十分に除いて色/風味が出たら、塊をある程度冷まして、取り出す前に熱に弱い成分(任意の増強剤を含む)を混ぜ込み、形成/成型/仕上げた製品の包装を行ってよい。
【0162】
ある実施形態において、タフィー組成物としては、砂糖(又は砂糖の代用品)、コーンシロップ(又はポリオールシロップ)、部分的に硬化した脂肪、水、風味料、乳化剤、及び塩を挙げることができる。タフィーを調製するための工程は、キャラメルの場合と同様であり、任意に、最終のタフィーの塊を所望のテクスチャが出るように引っ張ってよい。
【0163】
ある実施形態において、グミ組成物としては、砂糖(又は砂糖の代用品)、コーンシロップ(又はポリオールシロップ)、ゼラチン(又は好適な親水コロイド)、風味料、着色料、及び任意に酸を挙げることができる。グミは、ゼラチン又は好適な親水コロイドを水和させ、砂糖/コーンシロップ(砂糖の代用品/ポリオールシロップ)を加熱して、その2種の成分を加熱しながら合わせることによって調製してよい。合わせた混合物が、その最終温度又は好適な固形砂糖レベルに達すれば、香味料、着色料等の成分を混合物に配合するとよく、型に流して、冷却、包装、及び仕上げを行ってよい。固着を低減するため、ワックス又は脂肪の塗布等、様々な表面処理を適用してよい。
【0164】
ある実施形態において、ゼリー組成物としては、デンプンベースのゼリー又はペクチンベースのゼリーを挙げることができる。グミと同様に、ゼリー製品は親水コロイドを水和して、水和した混合物を、温めたシロップ成分と合わせることによって調製してよい。混合物は次いで、最終水分含量となるように温めて、微量成分を配合してよい。グミと同様に、ゼリーキャンディも、デンプン型等の型に注いでよい。グミと同様に、脂肪又はワックス等の表面処理を施してよい。更に、ゼリーキャンディは砂状の砂糖、酸、トッピングシュガー(nonpareils)等をまぶす等して乾燥表面処理を行ってよい。
【0165】
更に、ある実施形態では、複数の領域を備えた様々な軟質菓子の構成を用いてよい。これらの構成としては、液体中心充填、粉体中心充填、硬質コーティング、軟質コーティング、積層、層形成及び外装が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、増強剤組成物は製品の一領域に配合しても、又は複数領域に配合してもよい。
【0166】
<チューインガム組成物>ある実施形態では、上記増強剤組成物の送達のためのチューインガム組成物を提供する。かかるチューインガム組成物は、ガムベース、及び上記増強剤組成物の何れかを含有してよく、増強剤組成物は、少なくとも1種の有効成分及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有してよい。チューインガム組成物はまた、更に詳細に後述するように、様々な任意添加物も含有してよい。有効成分(単数種又は複数種)及び味覚増強剤(単数種又は複数種)を含有する組成物は、摂食時に、チューインガムから放出し、その中に含有される有効成分(単数種又は複数種)の認識を増進させる。
【0167】
既に詳説したとおり、ある実施形態において、増強剤組成物は通常、少なくとも1種の有効成分及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する。ある実施形態において、味覚増強剤(単数種又は複数種)及び/又は有効成分(単数種又は複数種)は前記のように封入されてもよく、或いは有効成分(単数種又は複数種)と味覚増強剤(単数種又は複数種)との混合物が封入されてもよい。これらの成分は、上記したものの何れかから選択してよい。例えば、ある実施形態において、有効成分は、糖甘味料、シュガーレスバルク甘味料、高甘味度甘味料、又はそれらの組み合わせの何れか等、少なくとも1種の甘味料であってよい。通常、有効成分(単数種又は複数種)の含有量は、チューインガム組成物の約0.0001質量%〜約75質量%であってよい。高甘味度甘味料以外の有効成分を含有するある実施形態において、有効成分(単数種又は複数種)の含有量は、チューインガム組成物の約25質量%〜約75質量%であってよい。味覚増強剤(単数種又は複数種)の含有量は、チューインガム組成物の約0.01質量%〜約10質量%であってよい。
【0168】
ある実施形態において、チューインガム組成物は複数種の味覚増強剤を含有してよい。味覚増強剤は、封入されても、又は封入されなくてもよく、同じものでも異なるものでもよい。ある実施形態において、複数種の味覚増強剤は異なっていてよい。任意のチューインガム組成物は、例えば、封入されていない1種以上の異なる味覚増強剤と組み合わせて、封入されている1種以上の味覚増強剤を含有してよい。ある実施形態では、2種の異なる封入された味覚増強剤をチューインガム組成物に用いてよい。或いは、ある他の実施形態において、チューインガム組成物は、その封入型及び遊離型において同じ味覚増強剤の組み合わせを含有してよい。
【0169】
チューインガム組成物は、ガムベースも含有してよい。ガムベースは、チューインガム技術で知られている任意の成分を含有してよい。かかる成分は、水溶性でも、水不溶性でも、又はそれらの組み合わせであってよい。例えば、ガムベースとしては、エラストマー、増量剤、ワックス、エラストマー溶剤、乳化剤、可塑剤、充填剤及びそれらの混合物を挙げることができる。ガムベースに用いられるエラストマー(ゴム類)は、所望のガムベースのタイプ、所望のガム組成物の粘稠度、及び最終的なチューインガム製品を作るため組成物に使用される他の成分等の様々な要因に応じて大幅に変更される。エラストマーは、当該技術分野で知られている何れの水不溶性ポリマーでもよく、チューインガム及び風船ガムに利用されるようなガムポリマーが含まれる。ガムベースに好適なポリマーとしては、天然エラストマー及び合成エラストマーの双方が例示できる。例えば、ガムベース組成物で好適なそれらポリマーとしては、チクル、天然ゴム、クラウンガム、ニスパロ、ロシジンハ、ジェルトン、ペリロ、ニガーグッタ、ツヌ、バラタ、グッタペルカ、レチ−カプシ、ソルバ、グッターカイ等の天然物(植物由来)等、及びそれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。合成エラストマーの例としては、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリビニルアセテート等、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
ガムベースに用いるエラストマーの量は、使用するガムベースのタイプ、所望のガム組成物の粘稠度、及び最終的なチューインガム製品を作るために組成物中で使用する他の成分等の様々な因子に応じて変動してよい。通常、エラストマーは、ガムベース中に約10質量%〜約60質量%、望ましくは約35質量%〜約40質量%含まれる。
【0171】
ある実施形態において、ガムベースはワックスを含有してよい。ワックスは、ポリマーエラストマー混合物を軟化させ、且つガムベースの弾力性を向上させる。ワックスが存在する場合、使用するワックスの融点は、約60℃以下、好ましくは約45℃〜約55℃の間である。低融点ワックスは、パラフィンワックスであってよい。ガムベース中のワックスの含有量は、ガムベースの約6質量%〜約10質量%、好ましくは約7質量%〜約9.5質量%であってよい。
【0172】
低融点ワックスに加えて、高融点を有するワックスをガムベースに対して約5質量%以下の量で、ガムベースに使用してもよい。かかる高融点ワックスとしては、ビーズワックス、植物性ワックス、カンデリラロウ、カルナウバロウ、殆どの石油ワックス等、及びそれらの混合物が挙げられる。上記の成分に加えて、ガムベースは、エラストマー溶剤、乳化剤、可塑剤、充填剤、及びそれらの混合物から選択される成分等、種々の他の成分を含有してよい。
【0173】
ガムベースは、エラストマー成分の軟化を補助するエラストマー溶剤を含有してよい。かかるエラストマー溶剤としては、当該技術分野で知られているエラストマー溶剤、例えば、アルファ−ピネン又はベータ−ピネンのポリマー等のテルピネン樹脂、ロジンのメチル、グリセロール及びペンタエリスリトールエステル並びに水素化、二量化及び重合ロジン等の修飾されたロジン及びガム、並びにそれらの混合物が挙げられる。本発明での使用に好適なエラストマー溶剤の例としては、部分的に水素化したウッド及びガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッド及びガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのグリセロールエステル、部分的に二量体化したウッド及びガムロジンのグリセロールエステル、重合したウッド及びガムロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、ウッド及びガムロジン並びに部分的に水素化したウッド及びガムロジンのグリセロールエステル、並びにウッド及びロジンの部分的に水素化したメチルエステル等、並びにそれらの混合物を挙げることができる。エラストマー溶剤は、ガムべースの約2質量%〜約15質量%、好ましくは約7質量%〜約11質量%の量をガムベースに用いてよい。
【0174】
ガムベースは、単一安定系に非混和性の成分を分散させることを補助する乳化剤を含有してもよい。本発明において有用な乳化剤としては、グリセリルモノステアレート、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、プロピレングリコールモノステアレート等、及びそれらの混合物が挙げられる。乳化剤の含有量は、ガムベースの約2質量%〜約15質量%、更に具体的には、約7質量%〜約11質量%であってよい。
【0175】
ガムベースは、可塑剤又は軟化剤を含有することで、様々な所望の食感と粘稠特性をもたらしてもよい。可塑剤及び軟化剤は、低分子量であるので、ガムベースの基本構造に侵入して、ガムベースに可塑性を与え、且つ低粘度にさせることができる。有用な可塑剤及び軟化剤としては、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルトリアセテート、グリセリルレシチン、グリセリルモノステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、アセチル化モノグリセリド、グリセリン等、及びそれらの混合物が挙げられる。ワックス、例えば、天然及び合成ワックス、水素化植物油、ポリウレタンワックス等の石油ワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、脂肪ワックス、ソルビタンモノステアレート、獣脂、プロピレングリコール、それらの混合物等も、ガムベースに配合してよい。可塑剤及び軟化剤は通常、ガムベースの約20質量%以下、更に具体的にはガムベースの約9質量%〜約17質量%の量でガムベースに用いられる。
【0176】
可塑剤としては、大豆油及び綿実油等の水素化植物油も挙げられ、これらは単独でも、又は組み合わせて用いてもよい。これらの可塑剤により、ガムベースに良好な食感及び柔らかい噛感特性がもたらされる。通常、ガムベースの約5質量%〜約14質量%、更に具体的には約5質量%〜約13.5質量%の、これらの可塑剤及び軟化剤を用いる。
【0177】
市販の米国薬局方(USP)等級等の無水グリセリンもまた、軟化剤として用いてよい。グリセリンは、甘く好ましい味のシロップ状の液体であり、甘蔗糖の約60%の甘味を有する。グリセリンは吸湿性があるため、チューインガム組成物の調製の間中、無水グリセリンを無水条件下に保つとよい。
【0178】
ある実施形態において、ガムベースは、充填剤及び食感向上剤として働きうる、有効な量の無機質アジュバント等の増量剤を含有してもよい。有用な無機質アジュバントとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム等、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの充填剤又はアジュバントは、ガムベース組成物において様々な量で使用してよい。充填剤を用いる場合、充填剤の好ましい量は、ガムベースの約15質量%〜約40質量%まで、更に望ましくは約20質量%〜約30質量%であってよい。
【0179】
有効な量の、香味剤、着色剤、抗酸化剤、保存剤等の様々な慣用の添加剤を、任意にガムベースに配合してよい。例えば、二酸化チタン、並びにF.D.&C.染料として知られている食品、薬品及び化粧品用途に好適な他の染料を利用してもよい。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、及びそれらの混合物等の酸化防止剤を配合してもよい。チューインガム技術の当業者に知られている他の従来からあるチューインガム添加物をガムベースに用いてもよい。チューインガム組成物としては、甘味剤、可塑剤、軟化剤、乳化剤、ワックス、充填剤、増量剤(担体、エクステンダー、増量甘味料)、無機質アジュバント、香味剤及び着色剤、抗酸化剤、酸味料、増粘剤、薬品や、再石灰化剤、抗微生物剤及び「Tooth Whitening Compositions and Delivery Systems Therefor」の名称で2004年7月29日に出願の共係属中である本願譲受人による米国特許公開第10/901511号(その全体を本願に引用して援用する)に記載の歯のホワイトニング剤等といった口腔ケア有効成分、並びにそれらの混合物からなる群より選択される従来からある添加物を所定量含有してよい。これらの添加物のいくつかは、1種以上の目的を果たす場合がある。例えば、シュガーレスガム組成物において、マルチトール又は他の糖アルコール等の甘味料は、増量剤としても機能できる。
【0180】
バルク甘味料としては、砂糖類、シュガーレスバルク甘味料等、又はそれらの混合物が挙げられる。バルク甘味料は通常、チューインガム組成物に対して約5質量%〜約99質量%存在する。好適な糖甘味料及びシュガーレスバルク甘味料だけでなく、高甘味度甘味料も増強剤組成物の説明で記載したとおりである。
【0181】
通常、有効な量の高甘味度甘味料を利用することで、所望のレベルの甘味をもたらしてよく、この量は選択した甘味料によって変動してよい。高甘味度甘味料の含有量は、使用する甘味料又は甘味料の組み合わせに応じ、チューインガム組成物の約0.001質量%〜約3質量%であってよい。かかるタイプの甘味料の量の正確な範囲は、当業者によって選択されうる。
【0182】
ある実施形態において、チューインガム組成物としては、羅漢果、ステビア、モナチン及びそれらの組み合わせから選択される甘味料を挙げることができる。
【0183】
増強剤組成物での使用に好適であるとして上記した香味剤の何れも、チューインガム組成物で使用してよい。チューインガム組成物における香味剤の含有量は、通常、組成物に対して約0.02質量%〜約5質量%、更に具体的には約0.1質量%〜約4質量%、更に一層具体的には約0.8質量%〜約3質量%であってよい。所望の色を生じさせるのに有効な量の着色剤を用いてよい。着色剤としては色素を挙げることができ、色素は、ガム組成物の質量に対して約6質量%以下の量を配合してよい。例えば、二酸化チタンは、ガム組成物の約2質量%以下、好ましくは約1質量%未満の量を配合してよい。着色料としては、天然食品着色料、並びに食品、薬物及び化粧品での適用に好適な染料を挙げることができる。好適な着色剤は、菓子組成物の説明で上記したとおりである。
【0184】
ガムベースでの使用に好適であるものとして上記した可塑剤、軟化剤、無機質アジュバント、ワックス及び抗酸化剤も、チューインガム組成物で使用してよい。使用可能な従来からある他の添加物の例としては、レシチン及びグリセリルモノステアレート等の乳化剤、単独で又は他の軟化剤と組み合わせて用いられる、メチルセルロース、アルギネート、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、イナゴマメ、トラガント、ローカストビーン、及びカルボキシメチルセルロース等の増粘剤、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、及びそれらの混合物等の酸味料、並びに、無機質アジュバントの分類で上記したような充填剤が挙げられる。
【0185】
チューインガム技術分野の当業者に知られた他の従来からあるガム添加物も、チューインガム組成物で使用してよい。
【0186】
ある実施形態において、チューインガム組成物に含まれる増強剤組成物は、第一の溶解性を有する少なくとも1種の有効成分、及び第二の溶解性を有する少なくとも1種の味覚増強剤を含有してよい。第一の溶解性と第二の溶解性とは、実質的に類似していても、又は異なっていてもよく、選択することで、チューインガム組成物に放出制御プロファイルをもたらす。詳細には、選択される溶解性によって、以下の放出プロファイル、すなわち同時放出、逐次放出又は部分的重複放出の1つがもたらされる。
【0187】
ある実施形態は、チューインガム製品を調製する方法に及ぶ。当業者に知られた標準技術及び装置を用いて製品を調製してよい。本明細書に記載の実施形態で有用な装置は、チューインガム製造の技術分野でよく知られた、混合装置及び加熱装置を含む。従って特定の装置の選択は、当業者に明らかである。一般的なチューインガムの調製工程については、Hopkinsらの米国特許第4271197号、Cherukuriらの第4352822号及びCherukuriらの第4497832号(これらは各々、その全体を本願に引用して援用する)を参照されたい。
【0188】
更に詳細には、ある実施形態に従って、少なくとも1種の封入材料及び少なくとも1種の味覚増強剤を混合して、成分の分散物を形成してよい。詳細には、封入材料(単数種又は複数種)を高剪断ミキサー中で高温にて融解してよい。融解した封入材料に増強剤(単数種又は複数種)を添加して、高剪断下で混合することで成分を完全に分散してよい。約50〜150℃の高温で成分を混合してよい。得られる成分の混合物を冷却してよい。続いて、複数の封入された味覚増強剤粒子を混合物から形成してよい。粒子は要望に応じて、通常、平均粒子径範囲約50μm〜約800μmの適切なサイズに形成するとよい。これは、粒子の細切、粉砕、摩砕又は研削等の任意の好適な手段により遂行してよい。
【0189】
或いは、封入粒子をスプレードライ法によって調製してよい。更に詳細には、封入材料(単数種又は複数種)を水に溶解してよい。ある実施形態では、この溶液を撹拌式装置内で調製してよい。その後、溶液中に味覚増強剤(単数種又は複数種)を分散してよい。溶液、又は懸濁液は、霧化用ノズルを取り付けた噴霧乾燥器を用いて高温で噴霧乾燥することで、封入粒子を形成してよい。
【0190】
他の実施形態では、封入粒子を当該技術分野で知られている任意の好適なスプレーコーティング方法によって調製してよい。好適な工程の1つは、Wursterプロセスである。この工程は、個々の微粒子材料の封入方法を提供する。先ず、通常はスプレーノズルの正面で循環流をもたらす流動式空気流中に、封入されるべき粒子を懸濁化する。スプレーノズルは、コーティング溶液を霧状にスプレーする。霧状のコーティング溶液は、封入材料(単数種又は複数種)及び好適な溶剤を含有してよい。霧状のコーティング溶液がノズルから運び出されて粒子と衝突することで、粒子がコーティング溶液でコーティングされる。被覆されるべき粒子を懸濁化させるのにも役立つ流動式空気流の温度は、コーティング溶液が粒子と接触した後すぐに溶媒が蒸発するように調整してよい。これは粒子上でのコーティングの固化に役立ち、その結果、所望の封入された粒子が得られる。
【0191】
ある実施形態では、プロセスの第一工程において、少なくとも1種の有効成分を、封入材料(単数種又は複数種)及び味覚増強剤(単数種又は複数種)と合わせて、全成分の分散物を形成してよい。このように、有効成分(単数種又は複数種)を味覚増強剤(単数種又は複数種)と共に封入することで、成分の封入された混合物を形成してよい。
【0192】
封入粒子が得られれば、それらをチューインガム組成物に添加してよい。かかる封入粒子を菓子組成物に添加することで、前記菓子製品の何れかを調製してもよい。チューインガム組成物を上記のような標準技術及び装置を使用して調製してよい。チューインガム組成物に封入粒子を添加することで、その中に含まれる少なくとも1種の、有効成分の認識を増進してもよく、この有効成分は、上記した任意の有効成分であってよい。封入粒子をチューインガム組成物に混ぜ込めば、チューインガム技術分野で知られた標準技術を用いて個々のチューインガムを形成してよい。例えば、チューインガムピースは、スラブ、ペレット、スティック、中心充填ガム、沈着、圧縮チューインガム又は他の好適な様式何れかの形状に調製してよい。
【0193】
例えば、中心充填チューインガムの実施形態は、液体又は粉体又は他の固体であってよい中心充填領域、及びガム領域を含有してよい。ある実施形態では、通常、最初に噛んだ時にガムピースにクランチ性をもたらす、外側ガムコーティング又は殻も含有してよい。外側コーティング又は外殻は、少なくとも部分的にガム領域を取り囲んでよい。上記の増強剤組成物を、中心充填チューインガムの領域のどこでも、すなわち中心充填領域、ガム領域及び/又はガムの外側コーティングの何れにでも配合してよい。或いは、有効成分(単数種又は複数種)を中心充填ガムの異なる領域に組み込ませる一方、味覚増強剤(単数種又は複数種)を一領域に配合してよい。摂食すると、ガムが咀嚼されるにつれて味覚増強剤(単数種又は複数種)及び有効成分(単数種又は複数種)が異なる領域から放出して混ぜ合わされる。中心充填チューインガム及びその調製方法は、双方とも「Liquid−Filled Chewing Gum Composition」の名称で、2004年8月24日に出願の共係属中である本願譲受人による米国特許公開第10/925822号及び2005年8月24日に出願の共係属中である本願譲受人による米国特許公開第11/210954号(双方を本願に引用して援用する)に更に十分に記載されている。
【0194】
いくつかの他のチューインガム実施形態は、例えば、加圧錠剤ガム等の圧縮ガム様式であってよい。かかる実施形態は、微粒子チューインガムベースを含んでよい。微粒子チューインガムベースとしては、圧縮可能ガムベース組成物及び打錠用粉体、並びに上記した任意の増強剤組成物を挙げることができる。かかる実施形態において、増強剤組成物は粉体形状であってよい。圧縮チューインガムは、「Compressible Gum System」の名称で、2005年11月8日に出願の共係属中である本願譲受人による米国仮出願第60/734680号(その内容を本願に引用して援用する)に更に十分に記載されている。
【0195】
ある実施形態において、チューインガムはその上にコーティングを有してよい。かかるコーティングされたチューインガムは、通常ペレットガムと称される。外側のガムコーティングは固くても、又はクランチタイプでもよい。当業者に知られた好適なコーティング材料の何れも、用いてよい。通常、外側コーティングとしては、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルト、エリスリトール、及び他の結晶性ポリオールを挙げることができ、サッカロースも使用してよい。更に、コーティング自体を通してチューインガム組成物が見えなくなるように、コーティングは何層かの不透明層を含有してよく、これらを審美的、食感的及び保護目的で更に1つ以上の透明層で任意に被覆することもできる。外側コーティングは、少量の水及びアラビアガムを含有してよい。コーティングを更に、ワックスでコーティングできる。コーティングは、各コーティングの間で乾燥しながらコーティング溶液を連続的に施すことによる従来法にておこなってよい。コーティングが乾燥するにつれ、通常、それは不透明になり、普通は白色となるが、他の着色剤を添加してもよい。ポリオールコーティングは、更にワックスコーティングが可能である。コーティングは、着色薄片又はスペックルを更に含有できる。組成物がコーティングを含有する場合には、コーティング全体に1種以上の口腔ケア有効成分を分散させることができる。これは特に、1種以上の口腔ケア有効成分が単一相組成物中で有効成分の他のものと非相溶性である場合に好ましい。独自の製品特性を生じさせるために、香味料も添加してよい。
【0196】
所望の特性を実現するために、コーティングに他の材料を添加してもよい。これらの材料としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ゼラチン、キサンタンガム及びアラビアガムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0197】
コーティング組成物は、上記方法を含め、当該技術分野で知られている方法の何れによってもコーティングしてよい。コーティング組成物の含有量は、チューインガムピースに対して約2質量%〜約60質量%、更に具体的には約25質量%〜約45質量%であってよい。
【0198】
同様に、ある実施形態は、摂食に伴う放出制御を有する味覚増強組成物の調製方法に及ぶ。この方法によれば、少なくとも1種の味覚増強剤を先ず準備してよい。味覚増強剤(単数種又は複数種)を封入材料と混合することで、成分が分散した組成物を形成できる。成分が十分に分散すれば、複数の封入された味覚増強剤粒子を上記のとおりに組成物から形成してよい。封入の結果、増強剤(単数種又は複数種)の放出速度は変更されることになる。封入材料として使用する材料は、摂食時の増強剤(単数種又は複数種)の放出速度の、遅延又は増大の何れかをもたらすように選択してよい。
【0199】
本発明の特徴及び利点を、以下の実施例によって更に十分に示す。これら実施例は、例示を目的として提供するもので、本発明を多少なりとも限定するものとして解釈されるべきでない。
【実施例】
【0200】
実施例1<表2:封入された水溶性味覚増強剤>
【表2】

増強剤組成物を、上記の表2の配合組成に従って調製する。
【0201】
ポリビニルアセテートを、高剪断ミキサーにて約90℃の温度で融解する。一軸若しくは二軸押出機、シグマミキサー又はバンバリミキサーを使用してよい。硬化油及びグリセロールモノステアレートを、融解したポリビニルアセテートに添加する。得られた混合物に、水溶性味覚増強剤であるネオヘスペリジンジヒドロカルコン(NHDC)を添加して高剪断下で混合し、成分を完全に分散させる。こうして得られた充填ポリマー融液を冷却して、420ミクロン未満の粒子径に粉砕する。封入粒子によって、NHDCの放出遅延がもたらされる。チューインガム等の摂食可能な製品に配合するまで、35℃未満の低湿度下に密封容器内で粒子を保存する。
【0202】
実施例2<表3:味覚増強剤と甘味料との封入された混合物>
【表3】

増強剤組成物を、上記の表3の配合組成に従って調製する。
【0203】
ポリビニルアセテートを、高剪断ミキサーにて約90℃の温度で融解する。一軸若しくは二軸押出機、シグマミキサー又はバンバリミキサーを使用してよい。硬化油及びグリセロールモノステアレートを、融解したポリビニルアセテートに添加する。得られた混合物に、水溶性味覚増強剤であるNHDC、及びアスパルテームを添加して高剪断下で混合し、成分を完全に分散させる。こうして得られた充填ポリマー融液を冷却して、420ミクロン未満の粒子径に粉砕する。封入粒子によって、NHDC及びアスパルテームの混合物の、放出の遅延及び両者の同時放出がもたらされる。チューインガム等の摂食可能な製品に配合するまで、35℃未満の低湿度下に密封容器内で粒子を保存する。
【0204】
実施例3<表4:封入された低水溶性味覚増強剤>
【表4】

増強剤組成物を、上記の表4の配合組成に従って調製する。
【0205】
マルチトールを、高剪断ミキサーにて約140℃の温度で融解する。一軸若しくは二軸押出機、シグマミキサー又はバンバリミキサーを使用してよい。グリセロールモノステアレートを、融解したマルチトールに添加する。得られた混合物に、水溶性の低い甘味増強剤を添加して高剪断下で混合し、成分を完全に分散させる。こうして得られた融液を冷却して、590ミクロン未満の粒子径に粉砕する。封入によって、甘味増強剤の摂食時の放出速度の増大がもたらされる。チューインガム等の摂食可能な製品に配合するまで、35℃未満の低湿度下に密封容器内で封入粒子を保存する。
【0206】
実施例4<表5:封入された低水溶性味覚増強剤>
【表5】

増強剤組成物を、上記の表5の配合組成に従って調製する。
【0207】
マルチトール及びアセチル化モノグリセリドを、撹拌式装置内で約70℃の温度の水に溶解させる。得られた溶液に、低水溶性の甘味増強剤を分散させる。溶液、又は懸濁液は、霧化用ノズル(固定式又は回転式)を取り付けた噴霧乾燥器を用いて約105℃で噴霧乾燥して、封入粒子を形成させる。封入によって、実質的に水に不溶性な甘味増強剤の摂食時の放出速度の増大がもたらされる。チューインガム等の摂食可能な製品に配合するまで、35℃未満の低湿度下に密封容器内で封入粒子を保存する。
【0208】
実施例5<表6:封入された低水溶性味覚増強剤>
【表6】

増強剤組成物を、上記の表6の配合組成に従って調製する。
【0209】
β−シクロデキストリンを、約60℃の温度の水に溶解させる。低水溶性の甘味増強剤をエタノールに完全に溶解させ、得られた溶液をβ−シクロデキストリン溶液に添加して約3時間撹拌する。得られたβ−シクロデキストリン複合体の溶液を、霧化用ノズル(固定式又は回転式)を取り付けた噴霧乾燥器を用いて約60℃で噴霧乾燥して、封入粒子を形成させる。封入によって、実質的に水に不溶性な甘味増強剤の摂食時の放出速度の増大がもたらされる。チューインガム等の摂食可能な製品に配合するまで、35℃未満の低湿度下に密封容器内で封入粒子を保存する。
【0210】
実施例6<表7:封入された味覚増強剤を含有するチューインガム>
【表7】

アスパルテーム、アセスルファム−K及び/又はスクラロース
実施例1より前記表7の配合組成に従ってチューインガム組成物を調製する。
【0211】
ガムベースをミキサー内で融解する。融解したガムベースに、表7に挙げる残りの成分を添加する。融解したガムベースと、添加した成分とを混合して、成分を完全に分散させる。得られたチューインガム組成物を冷ます。冷ましたチューインガム組成物をサイズ調整して約1週間順化させ、従来の技術を用いて個々のチューインガムピースに成形し、梱包する。
【0212】
実施例7<サッカロース相当値(SEV)>
【0213】
溶液の認識される甘味を測定する方法の1つとしては、それを既知濃度のサッカロース保存溶液に合致する方法がある。本実験では、5%サッカロースを含有するpH3.2の緩衝液に所定濃度の目的化合物を添加する。その後、多くの実験パネルメンバーがその溶液の味をみて、それを増分1%で3%〜15%の範囲の一連のサッカロース保存溶液と比較する。各パネルメンバーは、どのサッカロース溶液が、目的化合物を含有する溶液と同等の甘さかを判定する。次いで、平均値をSEVとして報告する。結果は、小数点以下1桁まで報告する。
【0214】
<3−ヒドロキシ安息香酸に対する用量応答曲線>
【0215】
この方法論に従って、5%サッカロースを含有するpH3.2の緩衝液に3−HBを添加して増分100ppmで0〜1000ppmの3−HBを含有する溶液を作製する。各溶液に対するSEVをグラフにプロットして用量応答曲線(図1)を作ったところ、かかる範囲内でサッカロース溶液の甘味を3−HBが促進することが見てとれる。図1から、3−HBの用量が増えるにつれて、得られる溶液の甘味も増大することは明らかである。しかし、その効果は、各増分の添加に対して効果は漸減し、直線的ではない。得られる甘味の最高値は、(5%サッカロース溶液に基づき)約7.9%SEVであるらしい。
【0216】
実施例8<2,4−ジヒドロキシ安息香酸に対する用量応答曲線>
【0217】
3−HBの代わりに2,4−DHBを用いて、実施例1に記載のものと同じ方法を繰り返して、2,4−DHBに対する用量応答曲線を作成した(図2)。図2から、2,4−DHBもやはりサッカロース溶液の甘味を促進することが見てとれるが、400ppm溶液(SEV6.5%)と1000ppm溶液(SEV6.7%)の間で少し差がある。得られる甘味の最高値は、(5%サッカロース溶液に基づき)約6.7%SEVであるらしい。
【0218】
実施例9<サッカロース低減方法>
【0219】
認識される甘味を測定する代替方法としては、目的化合物を使用して、甘味の喪失を何ら認識することなくどのくらいのサッカロースが置換可能であるかを定量する方法がある。本実験では、対照は10%サッカロースを含有するpH3.2の緩衝液とした。増分0.5%で5%〜10%のサッカロースを含有する多くのサッカロース溶液に、目的化合物を所定濃度添加する。各パネルメンバーは溶液の各々の味をみて、それを対照試料と比較し、どの溶液が同等の甘さかを判定する。例えば、目的化合物を含有する8%サッカロース溶液が対照と同等の甘さである場合には、目的化合物によって成し遂げられるサッカロースの低減は20%である。
【0220】
<3−HB、2,4−DHB混合物についてのサッカロース低減に対する相対的濃度の効果>
【0221】
総濃度1000ppmの3−HB及び2,4−DHBを含有する一連のサッカロース溶液を調製した。上記のサッカロース低減方法を用いて各溶液を評価することで、甘味の顕著な喪失なしにどのくらいのサッカロースが置換可能であるかを定量した。その結果を図3に示す。
【0222】
図3に示すとおり、同量の3−HB及び2,4−DHBを用いた場合に、最も大きな低減が観察される。この比率は、45%と非常に大幅なサッカロースの低減をもたらす。それぞれ1000ppmの3−HB又は2,4−DHBの使用で、それぞれ25%及び15%の低減しかもたらされないことを考えると、これは極めて驚くべき結果である。他の3−HB:2,4−DHBの比(8:2、6:4、4:6及び2:8)もまた非常に有効であり、各々の組み合わせで35%以上のサッカロースの低減がもたらされる。
【0223】
実施例10<1:1の3−HB:2,4−DHB混合物についてのサッカロース低減に対する濃度の効果>
【0224】
総濃度200、400、600、800及び1000ppmの、3−HBと2,4−DHBとを同量含有する一連のサッカロース溶液を調製した。実施例9に上記したサッカロース低減方法を用いて各溶液を評価し、甘味の顕著な喪失なしにどのくらいのサッカロースが置換可能であるかを定量した。その結果を図4に示す。
【0225】
1:1の比を保って3−HB及び2,4−DHBの総量を増加させると、甘味増進効果が増大する。上記のとおり、500ppmの3−HB+500ppmの2,4−DHBで、甘味を喪失することなくサッカロースの45%の置換がもたらされる。しかし、3−HB及び2,4−DHBの組み合わせは、非常に低い濃度でも有効である。3−HB及び2,4−DHBの各々を200ppm使用しただけで、サッカロース含量を22%低減することが可能になる。
【0226】
実施例11<様々な安息香酸誘導体及びそれらの組み合わせに対するサッカロース相当値>
【0227】
5%サッカロースを含有するpH3.2の緩衝液に500ppmの甘味増強剤を添加し、得られた溶液のSEVを求めた。その結果を表8に示す。
【0228】
【表8】

【0229】
次いで、500ppmの3−HBを含有する5%のサッカロース溶液に500ppmの甘味増強剤を添加して、一連の溶液を作製した。各溶液に対するSEVを求め、その結果を図5に示す。図5に示すように、一実施形態の組成物(斜線)は、8.7%のSEVと、他の組み合わせの何れよりもかなり有効性が高い。500ppmの3−HBのみの使用では、6.9%のSEVが得られるが、2種(2,4−DHB及び3,4−DHB)以外の全ての場合には、第二甘味増強剤の添加によってSEVはわずか変化するか、或いは減少する場合すらある。これは、全ての増強剤が5%を上回るSEVを有することが示されている点を考えると、極めて驚くべきことである。
【0230】
上記方法を繰り返して、500ppmの2,4−DHB及び500ppmの第二甘味増強剤を含有する一連の溶液を作製した。各溶液に対するSEVを求め、その結果を図6に示す。
【0231】
この場合も先と同様に、3−HB及び2,4−DHBの組み合わせ(斜線)は、非常に大きな甘味増進をもたらす。3−HBの代わりに2−HB又は4−HBを使用できることが予想されうるが、これらの組み合わせでは、SEVがそれぞれわずか6.3%及び6.2%しかない溶液が得られる。500ppmの2,4−DHB単独の使用で、SEVが6.5%の溶液が得られる。第二甘味増強剤の添加は、殆どの場合でその効果を阻害するようであり、3−HBの添加のみで、有意なプラス効果が得られる。500ppmの3−HB、500ppmの2,4−DHB及び500ppmの3,4−ジヒドロキシ安息香酸(3,4−DHB)を、5%サッカロースを含有するpH3.2の緩衝液に添加して、SEVを求めた。その結果を、比較用に3−HB、2,4−DHB及び3,4−DHBの他の組み合わせと共に、図7に示す。3−HB及び2,4−DHBの組み合わせ(斜線)を含有する溶液のSEV(8.7%)は、3,4−DHBと3−HBの組み合わせ(7.6%)、又は3,4−DHBと2,4−DHBの組み合わせ(6.8%)の何れかよりもかなり高い。実施形態の三元の組み合わせ(斜線)は、SEVが9.8%と更に良好である。
【0232】
実施例12<異なる形態の2,4−DHBでの比較>
【0233】
0%、3%、5%、7%及び9%サッカロースを含有するpH3.2緩衝液を調製した。500ppmの2,4−DHB酸、500ppmの2,4−DHBのナトリウム塩、及び500ppmの2,4−DHBのカリウム塩を、サッカロース溶液の各々にそれぞれ添加した。その後、溶液の各々に対するSEVを求めた。その結果を図8に示す。
【0234】
図8に示すとおり、2,4−DHBの添加は、元のサッカロース溶液であるか、又は酸、ナトリウム塩若しくはカリウム塩の何れが用いられたかに関わらず、あらゆる場合でサッカロース溶液の甘味を増進する。酸、ナトリウム塩及びカリウム塩に対する結果はほぼ一致しており、甘味増強組成物は、酸から、及び/又はそれらの食料品塩から調製してよいことが示唆される。
【0235】
実施例13<非サッカロース甘味料に対する3−HB及び2,4−DHBの甘味増進効果>
【0236】
得られる溶液のSEVが約5%になるように、十分量の非サッカロース甘味料を含有するpH3.2の溶液を調製した。次いで、500ppmの3−HBの添加、500ppmの2,4−DHBの添加、並びに500ppmの3−HB及び2,4−DHBの両者の添加の後に、各甘味料溶液のSEVを評価した。その結果を図9及び10に示す。
【0237】
図9は、3−HB、2,4−DHB及びそれらの組み合わせと、様々な高甘味度甘味料の結果を示す。図9に示すとおり、3−HB及び2,4−DHBの組み合わせとアスパルテームとを混合したものは、SEVに対して有意な効果を有しており、これは3−HB又は2,4−DHBの何れかを別々に使用した場合よりも強い。同様に、3−HB及び2,4−DHBの組み合わせは、アセスルフェーム−K、アスパルテーム/アセスルフェーム−K、スクラロース、スクラロース/アセスルフェーム−K、サッカリン及びネオテーム溶液の、認識される甘味を増進する。しかし、サッカリン溶液に関しては、3−HBは、2,4−DHBとの組み合わせよりも単独の方が大幅に甘味を増進する。
【0238】
図10は、3−HB、2,4−DHB及びそれらの組み合わせと、様々なバルク甘味料の結果を示す。図10で認められるように、3−HB及び2,4−DHBの組み合わせは、サッカロース、フルクトース、タガトース、マルチトール又はグルコースと共に用いた場合に、3−HB又は2,4−DHBの何れかを別々に用いた場合よりも大幅に、得られる溶液のSEVを高める。
【0239】
実施例14<アミノ安息香酸誘導体に対するサッカロース相当値>
【0240】
500ppmの3−アミノ安息香酸及び500ppmの4−アミノ安息香酸を、5%サッカロースを含有する別々のpH3.2の緩衝液に個々に添加して、得られる溶液のSEVを求めた。3−アミノ安息香酸のSEVは約7%であり、すなわち、5%サッカロースの甘み強度を約7%に高めた。4−アミノ安息香酸のSEVは約5.5〜6%であり、すなわち、5%サッカロースの甘み強度を約5.5〜6%に高めた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも1種の封入された味覚増強剤を含有する組成物であって、
前記封入された味覚増強剤は、味覚増強剤、及び封入材料を含有し、
前記封入材料は、前記組成物の摂取の時に前記味覚増強剤の放出を制御させ、
前記味覚増強剤は、シトラスアウランチウム、水不溶性の糖酸、水不溶性加水分解植物性蛋白質、水不溶性加水分解動物蛋白質、水不溶性酵母エキス、不溶性ヌクレオチド、サトウキビ葉エッセンス、グリチルリジン酸モノアンモニウム、甘草グリチルリジン酸、アラピリデイン、アラピリデイン(N−(1−カルボキシエチル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム−3−オール)分子内塩、ミラクリン、クルクリン、ストロジン、マビンリン、ギムネマ酸、シナリン、グルピリデイン、ピリジニウム−ベタイン化合物、ネオテーム、タウマチン、タガトース、トレハロース、マルトール、エチルマルトール、バニラエキス、バニラオレオレジン、バニリン、甜菜エキス、サトウキビ葉エッセンス、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシケイ皮酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、微水溶性糖酸、微水溶性加水分解植物性蛋白質、微水溶性加水分解動物蛋白質、微水溶性酵母エキス、微水溶性ヌクレオチド、G−蛋白質結合受容体(T2Rs及びT1Rs)に応答する化合物、G−蛋白質結合受容体(T2Rs及びT1Rs)、並びにコクみを付与する化合物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の有効成分、及び少なくとも2種の封入された味覚増強剤を含有する組成物であって、
前記少なくとも2種の封入された味覚増強剤は、3−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物であって、
前記封入材料は、ポリビニルアセテート、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の組成物であって、
前記封入材料は、シクロデキストリン、糖アルコール、デンプン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ゼラチン、グアーガム、フルクトース、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の有効成分は封入されている請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の味覚増強剤と、少なくとも1種の有効成分との封入された混合物を含有する組成物。
【請求項7】
前記有効成分は、香味、甘味、酸味、旨味、コクみ、美味、塩味、冷感、温感又は刺激感をもたらす化合物、口腔ケア剤、医薬有効成分、栄養補助有効成分、及び高甘味度甘味料からなる群より選択される化合物を含有する請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
封入されていない味覚増強剤を更に含有する請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記封入されていない味覚増強剤は、前記封入された味覚増強剤と同じ味覚増強剤を含有する請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の封入された有効成分、及び少なくとも1種の味覚増強剤を含有する組成物。
【請求項11】
封入されていない有効成分を更に含有する請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の封入された味覚増強剤は、前記少なくとも1種の有効成分と協働して作用することで、前記組成物の摂食の時に味覚受容細胞の活性を変調させ、これにより前記少なくとも1種の有効成分の認識を増進する請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
菓子組成物又はチューインガム組成物である請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
コーティングを更に含む請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物であって、
前記第一の量は200ppm以上であり、且つ、第一の量及び第二の量が同量であるか、
前記第二の量は200ppm以上であるか、
3−ヒドロキシ安息香酸又は2,4−ジヒドロキシ安息香酸の少なくとも1種が封入され、
或いは、羅漢果、ステビア、モナチン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される甘味料を更に含有する組成物。
【請求項16】
第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、及び第二の量の3,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物。
【請求項17】
第一の量の3−ヒドロキシ安息香酸、第二の量の2,4−ジヒドロキシ安息香酸、及び第三の量の3,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する甘味増強組成物。
【請求項18】
3−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、又は3,4−ジヒドロキシ安息香酸の少なくとも一部が封入されている請求項15、16又は17に記載の甘味増強組成物。
【請求項19】
前記第一の量の前記第二の量に対する質量比が1:9から9:1の間である請求項15又は16に記載の甘味増強組成物。
【請求項20】
粉体ブレンドの形状である請求項15、16、又は17に記載の甘味増強組成物。
【請求項21】
経口送達される製品の甘味強度を高める方法であって、
(a)経口送達される製品に所定量の天然甘味料又は人工甘味料を添加する工程と、
(b)前記所定量の天然甘味料又は人工甘味料から引き出される甘味強度を決定する工程と、
(c)前記天然甘味料又は人工甘味料から引き出される甘味強度よりも前記甘味強度が強くなるように、3−ヒドロキシ安息香酸と、2,4−ジヒドロキシ安息香酸又は3,4−ジヒドロキシ安息香酸の少なくとも1種と、を含有する所定量の甘味増強組成物を添加する工程と、を含む方法。
【請求項22】
経口送達される製品において天然甘味料又は人工甘味料の量を低減する方法であって、
(a)経口送達される製品において所望の甘味強度をもたらす、天然甘味料又は人工甘味料の量を決定する工程と、
(b)前記天然甘味料又は人工甘味料の量を低減する工程と、
(c)所望の甘味強度が維持されるように、3−ヒドロキシ安息香酸と、2,4−ジヒドロキシ安息香酸又は3,4−ジヒドロキシ安息香酸の少なくとも1種と、を含有する所定量の甘味増強組成物を添加する工程と、を含む方法。
【請求項23】
摂食の時に放出制御性を有する味覚増強組成物を調製する方法であって、
(a)少なくとも1種の味覚増強剤を準備する工程と、
(b)前記少なくとも1種の味覚増強剤を少なくとも1種の封入材料と混合することで、成分が分散した組成物を形成する工程と、
(c)組成物から複数の封入された味覚増強剤粒子を形成し、これにより組成物の摂食の時に少なくとも1種の味覚増強剤の放出速度を変更する工程と、を含む方法。
【請求項24】
チューインガム製品を調製する方法であって、
(a)少なくとも1種の封入材料及び少なくとも1種の味覚増強剤を混合することで、成分の分散物を形成する工程と、
(b)封入された複数の味覚増強剤粒子を混合物から形成する工程と、
(c)封入された粒子を、ガムベース及び少なくとも1種の有効成分を含有するチューインガム組成物に添加して、その中に含まれる少なくとも1種の有効成分の認識を増進する工程と、
(d)チューインガム組成物から個々のチューインガムピースを形成する工程と、を含む方法。
【請求項25】
工程(a)は、約50℃〜約150℃の温度で成分を混合する工程を更に含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
封入粒子を形成する前に成分の混合物を冷却する工程を更に含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
工程(b)は、混合物を研削することで封入粒子を形成する工程を含む請求項24に記載の方法。
【請求項28】
混合工程(a)は、溶媒を更に含むことで溶液にする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
工程(b)は、溶液を噴霧乾燥することで封入粒子を形成する工程を含む請求項24に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−67225(P2011−67225A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5606(P2011−5606)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【分割の表示】特願2008−513721(P2008−513721)の分割
【原出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(507265133)キャドバリー アダムス ユーエスエー エルエルシー (55)
【Fターム(参考)】