説明

品種違い検出・転写位置検査方法および転写位置検査装置

【課題】
転写ラベルの熱転写時において、ラベル品種違いやその向きの検出および被着体に対するラベルの正確な置き位置を検査する方法を提供する。
【解決手段】
個々の転写ラベルについて、キャリアフィルムの余白部の所定の位置にデータ識別コードを印刷し、識別コード印刷済みの転写ラベルの入ったラベルカセットを熱転写機にセットし、ラベル識別用コードリーダでラベルに印刷された識別コードを読み取り、このコード読み取り過程において、読み取ったデータが生産指示データと一致すれば熱転写機の次の動作を継続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ラベルの熱転写時において、ラベル品種違いやその向きの検出および被着体に対するラベルの正確な置き位置を検査する方法に関し、この検査法を実施するための比較的安価な転写位置検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱転写ラベルの転写作業では、指定された温度、圧力、時間の転写条件を守り、且つ顧客の指定する位置に正確に転写することが重要である。これらの条件の中で、温度、圧力、時間の転写条件は、熱転写機における必要項目を一度設定すれば、転写作業時に変動することなく安定している。しかしながら、転写位置に関して、手作業の場合には、作業者の置き方のばらつきで不正確になりやすく、ラベルカセットからの自動搬送の場合には、カセットの状態や通風などの周囲環境によって適切な位置からずれることがあり、不正確でずれた状態で転写されることがある。
【0003】
現在、転写ラベルの熱転写作業は、多品種少量の場合には、実公昭54−8711号に示すような熱転写機において、転写ラベルを手でTシャツのような被着材の上に置く方法で行われている。また、転写枚数がある程度多量になる場合には、転写ラベルをラベルカセットに入れて、該カセットから自動搬送で被着材の上に置く方法で転写されている。ラベル転写作業のような単純作業は、昨今の生産ラインの海外シフト化に伴い、賃金の安い海外または人口過疎地で行われることが多く、低い製造コストを維持するために作業者教育も充分に行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭54−8711号公報
【特許文献2】特開2003−132335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業教育を充分に受けていない未熟な作業者がラベル転写作業を行うと、ラベル品種を交換する際に間違った品種に交換したり、ラベルの向きを上下反対または裏表反対にするといった単純なトラブルが発生しやすい。ラベル転写に失敗すると、衣服などの被着体自体が不良品になってしまい、その失敗が度重なると被着体の製造コストを著しく引き上げてしまう。
【0006】
一方、ラベルの品種や向きの間違いまたは位置ずれを確認できる装置として、例えば、特開2003−132335号などで開示するように、再帰性反射材で形成された被認識体を認識するための画像認識装置が存在する。この画像認識装置は、電子部品などの生産工程においても汎用されており、多少の変更を加えると熱転写機における転写ラベルの向きの間違いや位置ずれの確認にも利用できる。
【0007】
しかしながら、この種の画像認識装置では、少なくとも1組のビデオカメラとライトを装備している。この画像認識装置は、ビデオカメラに安価なものを使用しても、コンピュータ処理を行うので数百万円が普通であり、非常に高価な装置である。また、カメラを利用した画像認識装置では、画像処理をコンピュータで行うため、ラベル品種(認識画像)が変わると、画像認識のスキルを持った技術者が設定変更を行わなければならない。また、この種の画像認識装置は、ラベル転写の作業者自身が容易に設定変更することができず、画像認識の技術者が少ない生産工場で多品種少量生産であると、設定変更だけに相当な時間を要して非常に不便である。
【0008】
本発明は、従来の画像認識装置を用いたラベル位置確認法に内在する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、ラベルの生産指示データの変更が容易であるので、転写すべきラベルの変更が容易な品種違い検出・転写位置検査方法を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、部品数が比較的少なく、転写作業が容易な転写位置検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る品種違い検出・転写位置検査方法では、個々の転写ラベルについて、キャリアフィルムの余白部の所定の位置にデータ識別コードを印刷する。本発明方法は、識別コード印刷済みの転写ラベルの入ったラベルカセットを熱転写機にセットし、ラベルが被着体上に自動搬送された直後に、ラベル識別用コードリーダでラベルに印刷された識別コードを読み取り、このコード読み取り過程において、読み取ったデータが生産指示データと一致すれば熱転写機の次の動作を継続させ、一方、読み取ったデータが生産指示のデータと不一致であったり、ラベルのコード位置が指定位置と異なる場合には、コントローラから熱転写機に異常信号を発信して、熱転写機の動作を停止させる
【0010】
本発明に係る品種違い検出・転写位置検査方法において、転写ラベルに印刷されるデータ識別コードが、バーコードまたはQRコードである。また、熱転写ラベルに印刷されるデータ識別コードは、熱転写機において被着材に転写されずにキャリアフィルムに残存することを要する。
【0011】
本発明に係る転写位置検査装置は、転写ラベルを被着体に熱転写する熱転写機と、該熱転写機の受け台近傍に取り付けるラベル識別用コードリーダと、転写作業前に転写すべきラベルから生産指示データを認識する生産指示用コードリーダと、両コードリーダに接続したコードリーダーコントローラとで構成し、ラベル識別用コードリーダによって個々の転写ラベルのデータ識別コードを転写セット時に読み取り、コードリーダーコントローラにおいて、ラベル識別用コードリーダからの識別コードを生産指示用コードリーダからの生産指示データと比較し、熱転写機における被着体へラベル載置した後の次の動作を決定する。
【0012】
本発明に係る転写位置検査装置において、生産指示用コードリーダは、熱転写機およびコードリーダーコントローラから独立した据置型であると好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る品種違い検出・転写位置検査方法では、生産管理者が指示した材料である転写ラベルのデータを入力且つ保存し、転写すべきラベルの識別コードと比較してラベルの良否を判断するだけである。本発明方法は、データ識別コードとしてバーコードを使用する場合、バーコード仕様が国際規格で統一されているので、転写機に設定された規格のバーコードであれば、バーコードが変わるたびの設定変更は不要である。この結果、本発明方法を利用すると、画像認識のスキルを持った技術者がいなくても、スーパーマーケットのレジ作業のように、国内海外を問わずにどの作業者でもいつでもどこでも簡単に検査操作が可能である。
【0014】
本発明に係る転写位置検査装置は、通常の熱転写機に加えて、2台のコードリーダおよびコードリーダーコントローラを使用するだけである。本発明の転写位置検査装置について、データ識別コードとしてバーコードを使用する場合、バーコードリーダは市場に非常に安く供給されているので、5万円から20万円で読み取り装置(コントローラを除く)を製作することができる。これに対し、カメラを利用した画像認識装置は、読み取り装置に安価なカメラを利用しても約100万円必要であり、本発明はコスト的に非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】バーコード付きの転写ラベルの一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明に係る転写位置検査装置であるバーコード認識装置を示す概略斜視図である。
【図3】ラベル識別用バーコードリーダのレーザー光が転写ラベルのバーコードを正しく照射した状態を示す部分平面図である。
【図4】(1)、(2)、(3)は、ラベル識別用バーコードリーダのレーザー光が転写ラベルのバーコードに対して位置ずれした状態をそれぞれ示す部分平面図である。
【図5】熱転写機に着脱自在に取り付けるラベルカセットの拡大斜視図である。
【図6】コードリーダーコントローラにおける熱転写機の処理工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る品種違い検出・転写位置検査方法において、データ識別コードは、バーコードまたはQRコード(登録商標)が一般的である。このバーコードは、一般的な商品で使われるものは、日本がJANコード、ヨーロッパがEAN、北米がUPCであり、物流用途ではITFコード、CODE39、CODE128、NW−7などが使用され、郵便事業ではカスタマバーコードなどが使われる。殆どのバーコードリーダは、これらの規格のいずれかまたは複数の規格に対応している。
【0017】
データ識別コードに関して、バーコードは横方向にのみ意味があり、表すデータも数列や文字列であって、どちらも一次元である。現在では、QRコードのように、ドットを縦横に配列した二次元コードもかなり普及し、さらにカラージップコード(登録商標)のような三次元コードも存在する。バーコードは横方向にしか情報を持たないのに対し、QRコードは縦横に情報を持つ。そのため、格納できる情報量が多く、数字だけでなく英字や漢字など多言語のデータも格納できる。
【0018】
本発明で用いる転写ラベルには、その非転写領域であるキャリアフィルム2の周囲の余白部7において、データ識別コードの全体を印刷することを要する。このデータ識別コードは、通常、ラベル本体3の印刷と同時または別個に形成すればよく、同時であればラベル本体3の図柄層の印刷と同時に白色インクと黒色インクとで印刷するが、非転写であるので接着層を設けない。このデータ識別コードは、ラベル本体3の印刷と別個に、ラベル本体3の印刷前またはその後に印刷してもよい。
【0019】
通常の転写ラベル1は、転写されるラベル本体3から外側に約5mmの余白部7を持っており、この余白部7の所定の位置にデータ識別コード例えばバーコード8を印刷すればよい。このデータ識別コードは、余白部7の内部に形成するから該余白部よりも小さい大きさであり、図1のような横余白部に加えるかまたは単独に、縦余白部に印刷することも可能である。一方、転写ラベルにおいて非転写のデータ識別コードの印刷が普遍化すれば、それ専用に余白部を大きくした転写ラベルを提案してもよく、この場合にはQRコードなどが使用可能となり、さらにラベル識別用コードリーダの構造や取付位置も図2に示すものと異なってくる。
【0020】
本発明の転写位置検査装置は、転写ラベルを被着体に熱転写する熱転写機12と、ラベル識別用コードリーダと、生産指示データを認識する生産指示用コードリーダと、両コードリーダに接続したコードリーダーコントローラとで構成し、これらの機器はそれ自体は公知である。このコードリーダは、バーコードの場合にはバーコードリーダであり、バーコードリーダはバーコードスキャナとも称する。
【0021】
熱転写機12には、図1に示すようにラベルカセット20を着脱自在に取り付け、該ラベルカセットに識別コード印刷済みの転写ラベル1を多数枚収納している。ラベルカセット20は交換式であるが、転写ラベル1を適宜補充する固定型のラベル供給装置を使用することも可能である。ラベルカセット20またはラベル供給装置は、収納した多数枚の転写ラベル1を1枚ずつ受け台22つまり被着体上へ送り出す。
【0022】
転写ラベル1にバーコード8が印刷された場合、ラベル識別用コードリーダはバーコードリーダ14であり、生産指示用コードリーダはバーコードリーダ16である。ラベル識別用コードリーダは、通常、熱転写機12において下向きまたは斜め下向きに設置することにより、ラベル受け台22の近傍に配置し、投入した転写ラベルの識別コードを正確に読み取れることを要する。生産指示用コードリーダは、転写ラベルにおける識別コード位置に応じて、着脱または上下移動を可能としたり、レーザ光の放射角度が変更可能になっている。
【0023】
生産指示用コードリーダは、任意の場所で使用できる独立した据え置き型であると好ましいが、熱転写機12やコードリーダーコントローラに付設することも可能である。また、コードリーダーコントローラは、CPU、RAMやレジスタなどを有し、ラベル識別用コードリーダで読み取った識別コードを生産指示データと比較する。
【0024】
転写位置検査装置を稼動して識別コードの正否を判定するには、転写作業前に、生産指示用コードリーダに製造指図書などの生産指示コードをセットし、所定の生産指示データをコードリーダーコントローラへ送信して保存する。生産指示コードは、通常、被着体に接着する転写ラベルが変更されるごとに交換して常に最適のデータをコードリーダーコントローラを送信する。また、熱転写機12に電源を投入し、可動の上ゴテを所望の温度まで加熱しておくと、熱転写機12における任意の設定により、転写温度、転写圧力、転写時間は安定する。
【0025】
作業者は、識別コード印刷済みの転写ラベルを収納したラベルカセット20を熱転写機12にセットし、所定の転写作業を行えばよい。作業者が、被着体の所定の個所を受け台22の上に載置すると、転写ラベルが被着体上に自動搬送され、その直後に、ラベル識別用コードリーダが転写ラベルに印刷された識別コードを読み取る。この結果、生産指示コードと異なる識別コードや、図4(1)〜(3)に例示するように、識別コード位置が適切な位置でない場合は、コードリーダーコントローラから熱転写機本体に異常の信号を発信して、熱転写機の動作を停止させる。生産指示コードと一致する識別コードを読み取れば、熱転写機の次の動作を継続させる。
【0026】
本発明に係る品種違い検出・転写位置検査方法では、生産管理者が指示した材料である転写ラベルのデータと、生産指示を受けた作業者が準備した転写ラベルが間違っていれば、ラベル識別用コードリーダで自動的に発見して熱転写機を停止し、正しい転写ラベルが投入されていても、ラベル束の中で1枚が裏向きや上下反対または何らかの原因で転写ラベルの位置がずれれば、熱転写機の動作を自動的に停止する。本発明の転写位置検査装置は、データ識別コードとしてバーコード8を使用する場合、バーコードリーダは市場に非常に安く供給されているので、5万円から20万円で読み取り装置(コントローラを除く)を製作することができる。これに対し、カメラを利用した画像認識装置は、読み取り装置に安価なカメラを利用しても約100万円必要であり、本発明はコスト的に非常に有利である。
【0027】
本発明に係る品種違い検出・転写位置検査方法では、データ識別コードとしてバーコード8を使用する場合、バーコード仕様が国際規格で統一されているので、転写機に設定された規格のバーコードであれば、バーコードが変わるたびの設定変更は不要である。この結果、本発明方法を利用すると、画像認識のスキルを持った技術者がいなくても、スーパーマーケットのレジ作業のように、国内海外を問わずにどの作業者でもいつでもどこでも簡単に検査操作が可能である。これに対し、カメラを利用した従来の画像認識・画像処理方法は、転写ラベルの品種つまり認識画像が変わると、画像認識のスキルを持った技術者が設定変更を行わなければならず、画像認識の技術者が少ない生産工場で多品種少量生産であると、設定変更だけに相当な時間を要して非常に不便である。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。通常の転写ラベル1は、図1に示すように、キャリアフィルム2つまり剥離シートの上に転写本体3を有しており、該転写本体は保護層、図柄層、最上層の接着層5などを順次積層して構成し、さらに中間層やバックアップ層などを設けることもある。
【0029】
通常の転写ラベル1において、キャリアフィルム2は、熱転写される転写本体3の矩形周縁から外側に約5mmの余白部7を持っている。バーコード8は、キャリアフィルム2の横余白部7の所定の位置に形成する。この所定の位置は、ラベル識別用バーコードリーダ14が放射するレーザ光が作業者の手で遮られにくい位置であり、例えば、図1においてキャリアフィルム2の上方余白部の中心に定めると好ましい。
【0030】
転写ラベル1において、バーコード8は加熱転写時に被着体転写されず、キャリアフィルム2に残存させることを要する。このため、バーコード8は転写本体3の図柄層の印刷と同時に印刷され、且つ接着層を設けていない。バーコード8の寸法は、高さ0.8mm、幅44.7mmである。
【0031】
一方、転写位置検査装置であるバーコード認識装置10を図2に示す。バーコード認識装置10は、転写ラベルを被着体に熱転写する熱転写機(商品名:T100、ジャパンポリマーク製)12と、該熱転写機に取り付けたラベル識別用バーコードリーダ(キーエンス製)14と、生産指示データを認識する生産指示用バーコードリーダ(FKシステム製)16と、両バーコードリーダに電気接続したバーコードリーダーコントローラ(ミツビシ製シーケンサ)18とで構成する。
【0032】
熱転写機12には、その前面のほぼ中間高さにラベルカセット(ジャパンポリマーク製)20を着脱自在に取り付ける。ラベルカセット20には、バーコード印刷済みの転写ラベル1を多数枚収納しており、該ラベルカセットを熱転写機12にセットし、収納したラベルが無くなればカセットを交換する。ラベルカセット20は、図5に示すように、左右の取付ガイド30,32の横幅が異なることにより、該カセットを熱転写機12に逆向きにセットすることを防止する。また、カセット内部に三角コーナー棒34を垂直に固着することにより、コーナーカットした転写ラベル1を収納すると、該ラベルを逆向きに入れることを未然に防止できる。
【0033】
熱転写機12の下方には、固定のラベル受け台22を水平に配置し、該受け台の上方に加熱上ゴテ(図示しない)を上下動自在に設置し、該上ゴテは受け台22に対して上方から接近する。ラベルカセット20は、収納した多数枚の転写ラベル1を1枚ずつ受け台22つまり被着体上へ送り出す。
【0034】
また、ラベル識別用バーコードリーダ14は、熱転写機12の下方支柱24において斜め下向きに設置することにより、ラベル受け台22の近傍に配置している。生産指示用バーコードリーダ16は、独立した据え置き型であり、作業者が望む任意の場所に配置して使用できる。バーコードリーダーコントローラ18の前面では、図2に示すように、バーコードリーダ14で転写ラベル1のバーコード8を判別した結果をLEDやライトによって表示すると好ましい。
【0035】
バーコード認識装置10を稼動してバーコードの正否を判定するには、転写作業前に、生産指示用バーコードリーダ16に製造指図書などの生産指示バーコード26をセットし、バーコードリーダ16で読み取った生産指示データをバーコードリーダーコントローラ18へ送信して保存する。コントローラ18では、図6に示すフローチャートに従って熱転写機12の稼動を処理する。次に、熱転写機12に電源を投入し、可動の上ゴテを所望の温度まで加熱しておくと、熱転写機12における任意の設定により、転写温度、転写圧力、転写時間は安定している。
【0036】
次に、作業者は、バーコード印刷済みの転写ラベル1を収納したラベルカセット20を熱転写機12にセットする。作業者が、被着体の所定の個所を受け台22の上に載置すると、転写ラベル1が被着体上に自動搬送され、その直後に、ラベル用バーコードリーダ14が転写ラベル1に印刷されたバーコード8を読み取る。読み取ったデータはバーコードリーダーコントローラ18へ送信され、該コントローラにおいて生産指示用バーコードリーダ16からの生産指示データと比較する。この結果、指定された転写ラベルと異なるラベルのバーコードや、バーコードの位置が適切な位置でない場合には、コントローラ18から熱転写機12に異常の信号を発信し、熱転写機12の動作を停止させる。バーコードリーダ14で読み取ったバーコード8のデータが生産指示データと一致すれば、熱転写機12の次の動作を継続させる。
【0037】
ラベル用バーコードリーダ14では、レーザー光28(図3)の高さを0.2mm、幅を53.7mm(バーコードの左右側に空白部のクワイエットゾーン約4mmが必要)に設定して、ラベルの位置ずれを判別し、約4mmのクワイエットゾーンが無いと読み取りできない。この際に、転写ラベル1のバーコード8は高さが0.8mm、幅が44.7mmである。この組み合わせ態様において、図3のようにレーザー光28がバーコード8の上下左右の中心にセットされ、該バーコードの全体を照射すると、バーコードリーダ14から許可信号がコントローラ18へ送られ、熱転写機12の次の動作を継続させる。この照射の際に、縦方向に0.3mm以上のずれまたは横方向に0.5mm以上のずれが生じると、レーザー光28の中にバーコード8が入らず、バーコードを読み取ることができない。
【0038】
図4(1)、(2)、(3)は、転写ラベル1のバーコード8の位置ずれの例をそれぞれ示している。図4(1)は転写ラベル1のバーコード8の縦ずれを示す。図4(2)は転写ラベル1のバーコード8の横ずれを示し、バーコード8の左側で約4mmのクワイエットゾーンを検出できない。図4(3)は転写ラベル1のバーコード8の斜めずれを示している。これらの場合には、バーコードリーダ14から停止信号がコントローラ18へ送られ、該コントローラから熱転写機12に異常信号を発信して、熱転写機12の動作を停止させる。
【0039】
この実施例のバーコード認識装置10では、生産管理者が指示した材料の転写ラベルと、指示を受けた作業者が準備した転写ラベル1とが間違っていれば、この間違いを自動的に見つけて熱転写機12の動作を停止する。正しい転写ラベル1が投入されても、カセット20内のラベル束の中で1枚が裏向きや上下反対になっていれば、これらを自動的に見つけて熱転写機12の動作を停止する。また、正しい転写ラベル1が正しい向きで投入されても、何らかの原因でラベルの位置がずれていれば、これを自動的に見つけて熱転写機12の動作を停止する。
【0040】
バーコード認識装置10は、バーコードリーダが市場に非常に安価で供給されているため、ラベル識別用バーコードリーダ14および生産指示用バーコードリーダ16、この2つの読み取り装置を5万円から20万円で製作できる。一方、カメラを利用した画像認識・画像処理装置の場合には、読み取り装置に安価なカメラを利用しても100万円程度必要であり、非常にコスト高である。また、また、カメラを利用した画像認識・画像処理では、認識画像のラベル品種が変わると画像認識のスキルを持った技術者が設定変更を行わなければならず、人員の少ない中小企業では経済的負担が大きい。バーコード認識装置10では、バーコード仕様が国際規格で統一されているために、該装置に設定された規格のバーコードであれば、バーコードが変わるたびに設定変更することは不要である。
【符号の説明】
【0041】
1 転写ラベル
2 キャリアフィルム
3 転写本体
5 接着層
7 余白部
8 バーコード
10 バーコード認識装置
12 熱転写機
14 ラベル識別用バーコードリーダ
16 生産指示用バーコードリーダ
18 バーコードリーダーコントローラ
20 ラベルカセット
22 ラベル受け台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の転写ラベルについて、キャリアフィルムの余白部の所定の位置にデータ識別コードを印刷し、識別コード印刷済みの転写ラベルの入ったラベルカセットを熱転写機にセットし、ラベルが被着体上に自動搬送された直後に、ラベル識別用コードリーダでラベルに印刷された識別コードを読み取り、このコード読み取り過程において、読み取ったデータが生産指示データと一致すれば熱転写機の次の動作を継続させ、一方、読み取ったデータが生産指示のデータと不一致であったり、ラベルのコード位置が指定位置と異なる場合には、コントローラから熱転写機に異常信号を発信して、熱転写機の動作を停止させる品種違い検出・転写位置検査方法。
【請求項2】
転写ラベルに印刷されるデータ識別コードが、バーコードまたはQRコードである請求項1記載の方法。
【請求項3】
熱転写ラベルに印刷されるデータ識別コードは、熱転写機において被着材に転写されずにキャリアフィルムに残存する請求項1記載の方法。
【請求項4】
転写ラベルを被着体に熱転写する熱転写機と、該熱転写機の受け台近傍に取り付けるラベル識別用コードリーダと、転写作業前に転写すべきラベルから生産指示データを認識する生産指示用コードリーダと、両コードリーダに接続したコードリーダーコントローラとで構成し、ラベル識別用コードリーダによって個々の転写ラベルのデータ識別コードを転写セット時に読み取り、コードリーダーコントローラにおいて、ラベル識別用コードリーダからの識別コードを生産指示用コードリーダからの生産指示データと比較し、熱転写機における被着体へラベル載置した後の次の動作を決定する転写位置検査装置。
【請求項5】
生産指示用コードリーダは、熱転写機およびコードリーダーコントローラから独立した据置型である請求項4記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−43671(P2013−43671A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182171(P2011−182171)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(391002513)ジャパンポリマーク株式会社 (6)
【Fターム(参考)】