説明

品質検査装置及び品質検査方法

【課題】 打ち抜き加工品の重なりが発生した場合や、打ち抜き加工品に除去残り或いはカス残りと呼ばれる欠陥が発生した場合でも、それらの不具合を検出することが可能な品質検査装置及び品質検査方法を提供する。
【解決手段】 打ち抜き加工品40及びその近傍を撮像することにより得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する検査手段8,9,10を備える。検査手段8,9,10は、打ち抜き加工品40の近傍の画像については、打ち抜き加工品40の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、打ち抜き加工品40における要部R1、R2の画像よりも判定基準が甘い検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打ち抜き加工品の品質検査装置及び品質検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
打ち抜き加工品とは、枚葉印刷物などからプレス機械により打抜かれてなるものである。
【0003】
打ち抜き加工品の具体例としては、折り曲げ加工により包装箱を構成する紙などが挙げられる。
【0004】
打ち抜き加工品の品質検査を行うための従来の装置が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1には、打抜き加工品を撮像する撮像手段と、この撮像手段から出力される多階調の画像データをもとに作成した被検査多階調エリア画像および基準多階調エリア画像を記憶しておく記憶手段と、上記被検査多階調エリア画像における上記打抜き加工品の外方部分についてはマスク処理して検査対象から除去し、上記被検査多階調エリア画像における検査必要部分の各部の濃度レベルを、重要度に応じて精度の異なる判定レベルで上記基準多階調エリア画像の対応する各部の濃度レベルと比較し、この比較結果から各判定レベルにおける許容値をもとに欠陥箇所を判定する判定手段とを備えた打抜き加工品の品質検査装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−311031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、普通は、打ち抜き加工品を1枚ずつ分かれた状態で平置きにして搬送しながら、打ち抜き加工品を撮像手段により撮像し、この撮像により得られる画像データを用いて品質検査を行うが、複数の打ち抜き加工品が重なった状態で撮像を行ってしまうことがある。
【0007】
特許文献1の品質検査装置の場合、上記のように、打抜き加工品の外方部分についてはマスク処理して検査対象から除去するため、複数の打ち抜き加工品が重なった状態で撮像を行った場合でも、その重なりを検出することができないままで品質検査を行ってしまうこととなる。
【0008】
その結果、打ち抜き加工品における欠陥部分が覆われた状態で撮像を行った場合においてその欠陥を検出できないといった問題や、逆に、撮像により得られた画像が基準画像と相違することにより、実際には欠陥が存在しないにもかかわらず誤検出を行ってしまうといった問題が生じることがあった。
【0009】
また、プレス機械による打ち抜きにより打ち抜き加工品を形成する際に、該打ち抜き加工品の周囲の部分を除去しきれない“除去残り”或いは“カス残り”という欠陥が発生することがある。
【0010】
このように“除去残り”或いは“カス残り”と呼ばれる欠陥が発生した場合も、特許文献1の品質検査装置では検査対象から除去するため、その欠陥を検出することができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、打ち抜き加工品の重なりが発生した場合や、打ち抜き加工品に除去残り或いはカス残りと呼ばれる欠陥が発生した場合でも、それらの不具合を検出することが可能な品質検査装置及び品質検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の品質検査装置は、打ち抜き加工品及びその近傍を撮像することにより得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する検査手段を備え、前記検査手段は、前記打ち抜き加工品の近傍の画像については、前記打ち抜き加工品の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、前記打ち抜き加工品における要部の画像よりも判定基準が甘い検査を行うことを特徴としている。
【0013】
本発明の品質検査装置においては、前記打ち抜き加工品の撮像背景は、当該撮像背景の画像と、前記打ち抜き加工品の画像との濃度差が所定値以上となる色に設定されていることが好ましい。
【0014】
本発明の品質検査装置においては、前記検査手段は、前記打ち抜き加工品及びその近傍の画像における画像データと、前記基準画像における画像データと、を画素毎に比較し、両画像データの値の差が所定の閾値を超える場合に、両画像データが一致しないと判定する画素比較部を備え、前記打ち抜き加工品及びその近傍の画像は複数の領域に分けられ、前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品及びその近傍の画像における領域毎に、異なる閾値を用いて、前記判定を行うことが好ましい。
【0015】
本発明の品質検査装置においては、前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品の近傍の領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも大きい閾値を用いて、前記判定を行うことが好ましい。
【0016】
本発明の品質検査装置においては、前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品において加工或いは印刷が高精度であることが求められる領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも小さい閾値を用いて、前記判定を行うことが好ましい。
【0017】
本発明の品質検査装置においては、前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品において、該打ち抜き加工品に対する最終的な加工後は隠れる領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも大きい閾値を用いて、前記判定を行うことが好ましい。
【0018】
本発明の品質検査装置においては、前記画素比較部は、撮像により得られた画像のうち前記打ち抜き加工品でもその近傍でもない領域の画像データについては、前記判定を行わないことが好ましい。
【0019】
また、本発明の品質検査方法は、打ち抜き加工品及びその近傍を撮像する第1の過程と、前記第1の過程により得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する第2の過程と、を備え、前記第2の過程では、前記打ち抜き加工品の近傍の画像については、前記打ち抜き加工品の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、前記打ち抜き加工品における要部の画像よりも判定基準が甘い検査を行うことを特徴としている。
【0020】
本発明の品質検査方法においては、前記打ち抜き加工品の画像との濃度差が所定値以上となる色の撮像背景を背景として、前記第1の過程を行うことが好ましい。
【0021】
また、本発明のプログラムは、コンピュータが実行可能なプログラムにおいて、打ち抜き加工品及びその近傍を撮像することにより得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する処理をコンピュータに実行させ、前記処理には、前記打ち抜き加工品の画像については、前記打ち抜き加工品の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、前記打ち抜き加工品における要部の画像よりも判定基準が甘い検査を行う処理が含まれることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、打ち抜き加工品及びその近傍を撮像することにより得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定するので、打ち抜き加工品の重なりが発生した場合や、打ち抜き加工品に除去残り或いはカス残りと呼ばれる欠陥が発生した場合でも、それら欠陥或いは不具合を検出することができる。
【0023】
また、打ち抜き加工品の近傍の画像については、打ち抜き加工品の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、前記打ち抜き加工品における要部の画像よりも判定基準が甘い検査を行うので、打ち抜き加工品の重なりの発生や、除去残り或いはカス残りの発生については、さほど厳しくない適切な精度で検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
【0025】
図1は実施形態に係る品質検査装置100の構成を示すブロック図である。
【0026】
本実施形態に係る品質検査装置100は、基準となる打ち抜き加工品の画像(以下、基準画像)と、検査対象の打ち抜き加工品の画像(以下、検査画像)とを比較することにより、検査対象の打ち抜き加工品の品質を検査する装置である。
【0027】
図1に示すように、品質検査装置100は、基準となる打ち抜き加工品を撮像することにより基準画像を生成し、検査対象の打ち抜き加工品を撮像することにより検査画像を生成するカメラ1と、基準画像の画像データを格納する基準画像格納フレームバッファ2と、検査画像の画像データを格納する検査画像格納FIFOバッファ3と、カメラ1から出力される画像データを基準画像格納フレームバッファ2又は検査画像格納FIFO3に対して選択的に入力させるための切替スイッチ4と、切替スイッチ4の切替動作を制御するスイッチ切替制御部5と、検査画像の座標を基準画像に対してずらすことにより得られる1以上のズラシ画像並びに検査画像を基準画像とそれぞれ比較するズラシ検査を行うズラシ検査部8と、基準画像格納フレームバッファ2からズラシ検査部8への画像データの読み出しなどに用いられるアドレスを生成するアドレス生成部6と、検査画像格納FIFOバッファ3からズラシ検査部8への画像データの読み出し動作などを制御する読出制御部7と、ズラシ画像並びに検査画像のうち何れの画像を最終的に基準画像と比較する最終検査画像とするかをズラシ検査部8による検査結果に応じて決定する最終検査画像決定部9と、最終検査画像を検査することにより検査対象の打ち抜き加工品における欠陥の有無や検査の不具合を判別する良否判定部10と、良否判定部10による検査により欠陥や不具合が見つかった場合にその旨を報知する報知部11と、を備えている。なお、ズラシ検査部8、最終検査画像決定部9及び良否判定部10により、検査手段が構成される。
【0028】
良否判定部10は、打ち抜き加工品の汚れや印刷ミスを検出する他に、“除去残り”或いは“カス残り”と呼ばれる欠陥も検出する。更に、良否判定部10は、複数の打ち抜き加工品が重なった状態で撮像を行った場合にその重なりも検出する。
【0029】
図2は打ち抜き加工品40の一例を示す平面図である。
【0030】
図2に示すように、打ち抜き加工品40は、例えば、折り曲げ加工するとともに、のりしろを接着材により接着することにより、包装箱を構成するものである。
【0031】
詳細には、打ち抜き加工品40は、例えば、第1正面壁構成部101と、この第1正面壁構成部101に対して折り目120を介してそれぞれ垂直に折り曲げられる左右一対の第1側面壁構成部102,103と、第1正面壁構成部101に対して折り目122を介して垂直に折り曲げられる底面壁構成部104と、この底面壁構成部104に対して折り目124を介して垂直に折り曲げられることにより第1正面壁構成部101に対して平行にされる第1及び第2背面壁構成部109、110と、第1背面壁構成部109に対して折り目125を介してそれぞれ垂直に折り曲げられて第1側面壁構成部102,103の内側の面にそれぞれ接着される一対の第1のりしろ107,108と、これら第1のりしろ107,108に対してそれぞれ垂直に折り曲げられて底面壁構成部104の内側の面に接着される一対の第2のりしろ105,106と、第2背面壁構成部110に対して折り目128を介して垂直に折り曲げられることにより底面壁構成部104に対して平行にされる上面壁構成部113と、上面壁構成部113に対して折り目130を介して垂直に折り曲げられることにより第1正面壁構成部101に対して面一とされて、該第1正面壁構成部101とともに包装箱の正面壁を構成する第2正面壁構成部116と、この第2正面壁構成部116に対して折り目131を介して180度折り曲げられて該第2正面壁116の内側の面に対して接着される第2正面壁補強部119と、第2正面壁構成部116に対して折り目142を介して垂直に折り曲げられることにより第1側面壁構成部102,103とそれぞれ面一とされて、該第1側面壁構成部102,103とともに包装箱の左右の側面壁をそれぞれ構成する左右一対の第2側面壁構成部117,118と、第2背面壁構成部110に対して折り目143を介してそれぞれ垂直に折り曲げられて第2側面壁構成部117,118の内側の面に接着される一対の第3のりしろ111,112と、これら第3のりしろ111,112に対してそれぞれ垂直に折り曲げられて上面壁構成部113の内側の面に接着される一対の第4のりしろ114,115と、を備えて構成されている。
【0032】
なお、第2背面壁構成部110、第3のりしろ111,112、上面壁構成部113、第4のりしろ114,115、第2正面壁構成部116、第2側面壁構成部117,118及び第2正面壁補強部119からなる部分は、包装箱における開閉蓋を構成している。この開閉蓋は、包装箱を形成した後において、折り目126を介して、第1背面壁構成部109、ひいては、包装箱における開閉蓋以外の部分の全体に対して屈曲することにより、開閉可能であり、包装箱の内容物の出し入れを可能とする。
【0033】
このような打ち抜き加工品40には、例えば、その片面に、文字、バーコード、絵柄などの印刷141が所定箇所に施されている。
【0034】
図3は打ち抜き加工品40が搬送される様子を示す平面図である。
【0035】
図3に示すように、打ち抜き加工品40は、搬送機構41により、図3の矢印A方向へ一定速度で搬送される。
【0036】
また、普通は、打ち抜き加工品40は、図3の矢印A方向において、互いに一定間隔となるように、搬送機構41上に供給される。
【0037】
本実施形態では、カメラ1がエリアセンサ式カメラであるものとして、以下の説明を行う。
【0038】
カメラ1は、搬送機構41上の打ち抜き加工品40に向けて配置されている。
【0039】
搬送機構41により打ち抜き加工品40を矢印A方向に搬送しながら、打ち抜き加工品40を含む撮像範囲42の画像をカメラ1により順次に撮像する。
【0040】
上記のように、打ち抜き加工品40の搬送速度が一定であり、打ち抜き加工品40の間隔がほぼ一定であるため、カメラ1が所定の時間間隔で順次に撮像することにより、撮像範囲42の画像が順次に撮像される。
【0041】
ここで、搬送機構41において、撮像範囲42内に位置する部分、すなわち、カメラ1による撮像の際に打ち抜き加工品40の背景となる部分(撮像背景)は、その画像の濃度と、打ち抜き加工品40の画像の濃度と、の濃度差が所定値以上となる色に設定されている。具体的には、例えば、打ち抜き加工品40が白を基調とした配色のものであれば、撮像背景の色は、黒色系の色などに設定する。逆に、打ち抜き加工品40が、例えば、黒を基調とした配色のものであれば、撮像背景の色は、白色系の色などに設定する。
【0042】
図4はカメラ1が1回の撮像動作により生成する画像データを模式的に示す図である。
【0043】
カメラ1は、複数の撮像素子をマトリクス状の配置で備えている。具体的には、例えば、横方向(図3では矢印B方向:B方向は、打ち抜き加工品40に対して平行で、且つ、A方向に対して直交する方向)に2048画素分、縦方向(図3では矢印A方向)に2048画素分の、合計で2048×2048個の撮像素子をマトリクス状の配置で備えている。そして、1回の撮像動作により、カメラ1の全撮像素子が画像を取り込む。すなわち、カメラ1は、1回の撮像動作により、例えば、2048×2048画素分の画像データを生成する。
【0044】
ここで、図4に示すように、「H1」は横アドレスが1番地であることを意味し、同様に、「H2」〜「H2048」は、それぞれ横アドレスが2〜2048番地であることを意味する。
【0045】
また、「V1」は縦アドレスが1番地であることを意味し、同様に、「V2」〜「V2048」は、それぞれ縦アドレスが2〜2048番地であることを意味する。
【0046】
また、図4に示すように、1ライン目の画像データを便宜的にA1〜A2048と表し、同様に、2ライン目の画像データをB1〜B2048、3ライン目の画像データをC1〜C2048、4ライン目の画像データをD1〜D2048、5ライン目の画像データをE1〜E2048、2046ライン目の画像データをX1〜X2048、2047ライン目の画像データをY1〜Y2048、2048ライン目の画像データをZ1〜Z2048と表す。
【0047】
図5はカメラ1が発生する信号を示す図である。また、図6は、検査画像格納FIFOバッファ3が発生する1ライン格納信号及び読出制御部7が発生する読出許可信号を説明するための図である。
【0048】
カメラ1は、一定周期のカメラクロック信号(図示略)と、一定周期の撮像タイミングを示すVsync信号(図5)と、一定周期のデータ出力開始タイミングを示すHsync信号(図5)と、DVAL信号(図5:データ有効範囲信号)と、を発生する。
【0049】
一のVsync信号を発生してから、ライン数(本実施形態の場合、2048)のHsync信号を発生した後に、次のVsync信号を発生するようになっている。
【0050】
また、一のHsync信号を発生した後で、所定値X(Xは0又は正の整数)+横方向画素数(本実施形態の場合は2048)のカメラクロック信号を発生した後で、次のHsync信号を発生するようになっている。なお、Xは、カメラ1の形式によって異なる値である。
【0051】
本実施形態の場合、横方向の画素数が2048であるため、Hsync信号の発生タイミングからカメラクロック信号をXクロックだけ発生した後、2048個のカメラクロック信号を発生する期間の間だけ、DVAL信号がアクティブとなる。
【0052】
DVAL信号は、検査画像格納FIFOバッファ3などへの画像データの書き込みを許可する書込許可信号となる。
【0053】
なお、DVAL信号を発生する回路を有するエリアセンサカメラは、近年開発されたものである。DVAL信号の発生回路を有していないような旧式のエリアセンサカメラの場合、Hsync信号、X値及びカメラクロック信号を用いて、DVAL信号に相当する信号を生成する回路を備えている。
【0054】
検査画像格納FIFOバッファ3は、1ライン分の画像データ(例えば、2048画素分の画像データ)を格納可能な記憶容量を有している。
【0055】
検査画像格納FIFOバッファ3が格納する画像は、順次に撮像される撮像範囲42の画像のうち、カメラ1により2番目以降に撮像される撮像範囲42の画像(の一部)である。
【0056】
ここで、スイッチ切替制御部5は、例えば、品質検査装置100のオペレータによる操作に応じて、カメラ1の出力先を切り替える制御を行う。
【0057】
カメラ1により最初に撮像した撮像範囲42の画像データを基準画像格納フレームバッファ2へ入力し終えたら、オペレータがカメラ1の出力を検査画像格納FIFOバッファ3側となるように切替スイッチ4を切り替えるための操作を行い、この操作に応じて、スイッチ切替制御部5は、カメラ1の出力を検査画像格納FIFOバッファ3側に切り替える制御を行う。
【0058】
検査画像格納FIFOバッファ3には、DVAL信号と、カメラクロック信号と、が入力される。
【0059】
検査画像格納FIFOバッファ3は、その書込許可信号としてのDVAL信号がアクティブとなっている期間中に、カメラクロック信号が1つ入力される毎に、カメラ1からの画像データを1画素分ずつ格納(記憶)する。
【0060】
そして、検査画像格納FIFOバッファ3は、1ライン分(本実施形態の場合、2048画素分)の画像データを格納する毎に、1ライン格納信号を発生する(図6参照)。すなわち、DVAL信号の終了タイミングに1ライン格納信号を発生する。
【0061】
読出制御部7には、検査画像格納FIFOバッファ3からの1ライン格納信号と、カメラクロック信号と、が入力される。
【0062】
図6に示すように、読出制御部7は、検査画像格納FIFOバッファ3から1ライン格納信号が入力してから2048個のカメラクロック信号が発生する期間の間だけアクティブとなるような読出許可信号を発生する。
【0063】
図1に示すように、検査画像格納FIFOバッファ3には、読出制御部7からの読出許可信号が入力される。
【0064】
検査画像格納FIFOバッファ3は、読出許可信号がアクティブとなっている期間中に、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、先に記憶した検査画像データから順に、1画素分ずつズラシ検査部8へと出力する。
【0065】
次に、基準画像格納フレームバッファ2は、カメラ1による1回の撮像により生成される画像データ(上記のように、例えば、2048×2048画素分の画像データ)を格納可能な記憶容量を有している。
【0066】
基準画像格納フレームバッファ2が格納する基準画像は、例えば、順次に撮像される撮像範囲42の画像のうち、カメラ1により最初に撮像される撮像範囲42の画像である。
【0067】
このため、スイッチ切替制御部5は、当初、カメラ1から出力される画像データが基準画像格納フレームバッファ2側に入力されるように切替スイッチ4を制御しておき、最初に撮像した撮像範囲42の画像データがカメラ1から基準画像格納フレームバッファ2に入力されるようにする。
【0068】
アドレス生成部6は、基準画像格納フレームバッファ2からの画像データの読出などに用いられるアドレスを生成するものである。
【0069】
図7は、アドレス生成部6及び基準画像格納フレームバッファ2の動作を説明するための図である。
【0070】
アドレス生成部6には、カメラ1からのVsync信号及びカメラクロック信号と、読出制御部7からの読出許可信号と、が入力される。
【0071】
図7に示すように、アドレス生成部6は、一のVsync信号の発生後、1番目の読出許可信号が発生している(最初に読出許可信号がアクティブとなっている)期間中は、カメラクロック信号が1つ発生する毎に、基準画像格納フレームバッファ2が1ライン目の基準画像データ(図4におけるA1〜A2048)をA1から1画素分ずつ順次に出力するように、基準画像格納フレームバッファ2から読み出す画像データのアドレスを生成し、該生成したアドレスを基準画像格納フレームバッファ2に出力する。
【0072】
同様に、アドレス生成部6は、Vsync信号の発生後、2番目の読出許可信号が発生している期間中は、カメラクロック信号が1つ発生する毎に、基準画像格納フレームバッファ2が2ライン目の基準画像データ(図4におけるB1〜B2048)をA1から1つずつ順次に出力するように、基準画像格納フレームバッファ2から読み出す画像データのアドレスを生成及び出力する。
【0073】
以下、同様に、アドレス生成部6は、Vsync信号の発生後、3番目〜2048番目の読出許可信号が発生している期間中は、カメラクロック信号が1つ発生する毎に、基準画像格納フレームバッファ2が3ライン目〜2048ライン目の基準画像データをアドレス順に1つずつ出力するように、基準画像格納フレームバッファ2から読み出す画像データのアドレスを生成及び出力する。
【0074】
基準画像格納フレームバッファ2は、アドレス生成部6から入力されるアドレスの基準画像データを、順次にズラシ検査部8へと出力する。
【0075】
すなわち、図7に示すように、基準画像格納フレームバッファ2は、読出許可信号がアクティブとなっている一連の期間中に、1ライン分の基準画像データを、1カメラクロック毎に1画素分ずつ順次に出力する。
【0076】
なお、このような動作を実現するために、アドレス生成部6は、1ライン分(例えば、2048個)のアドレスを生成する毎に、縦アドレスを1つ繰り上げるように構成されている。
【0077】
こうして、検査画像データが検査画像格納FIFOバッファ3からズラシ検査部8へと読み出される(出力される)タイミングに同期して、基準画像データもズラシ検査部8へと読み出される。
【0078】
なお、1枚の基準画像を複数枚の検査画像と順次に比較するために、一連の検査が終了するまでは、カメラ1により最初に撮像した撮像範囲42の画像データを基準画像データとして基準画像格納フレームバッファ2に格納しておき、この基準画像データを、新たに撮像される検査画像のデータと繰り返し比較する。
【0079】
図9はズラシ検査部8の構成を示すブロック図である。
【0080】
図9に示すように、ズラシ検査部8は、基準画像対象画素抽出部13と、検査画像対象画素群抽出部14と、複数(例えば、9つ)の画素比較部21〜29と、各画素比較部21〜29と1対1で対応する二値化データメモリ群31〜39と、二値化データメモリ群31〜39への二値化データの書込アドレスを生成する書込アドレス生成部210と、を備えている。
【0081】
基準画像対象画素抽出部13は、基準画像格納フレームバッファ2から出力される画像データである基準画像データから、検査画像格納FIFOバッファ3から出力される画像データである検査画像データと比較される1画素分の画像データ(以下、基準画像対象画素データ)を順次に抽出する動作を行うものである。すなわち、基準画像対象画素抽出部13は、基準画像の画像データを1画素分ずつアドレス順に抽出する。
【0082】
また、検査画像対象画素群抽出部14は、検査画像格納FIFOバッファ3より出力される検査画像データから、基準画像対象画素データと比較される複数画素分(例えば、9画素分)の画像データ(以下、検査画像対象画素データ)を順次に抽出する動作を行うものである。すなわち、検査画像対象画素群抽出部14は、検査画像の画像データの中から、基準画像画素抽出部13により抽出される画像データと対応するアドレスの画像データ並びにその周囲の画像データを一度に抽出することを、順次に行う。
【0083】
各画素比較部21〜29には、検査画像対象画素群抽出部14により一度に抽出される画像データのうち、1つずつが入力される。つまり、各画素比較部21〜29は、検査画像対象画素群抽出部14により一度に抽出される各画像データと1対1で対応する。
【0084】
また、基準画像対象画素抽出部13により抽出された1つの画像データは、各画素比較部21〜29に対してそれぞれ入力される。
【0085】
各画素比較部21〜29は、基準画像対象画素抽出部13から入力される基準画像対象画素データと、検査画像対象画素群抽出部14から入力される検査画像対象画素データとの値を比較し、この比較結果を「0」又は「1」に二値化し、この二値化したデータ(以下、二値化データ)を対応する二値化データメモリ群31〜39に出力する。
【0086】
ここで、図10は、ズラシ検査部8が基準画像の各画像データを検査画像の何れの画像データと比較するのかを説明するための模式図である。
【0087】
ズラシ検査部8は、基準画像の各画素の画像データを、検査画像における対応する座標(アドレス)の画素の画像データ及びその周囲の画素の画像データとそれぞれ比較する。
【0088】
すなわち、本実施形態の場合、ズラシ検査部8は、具体的には、例えば、図10に示すように、基準画像におけるB2の画素の画像データ(図10(a))については、検査画像における対応するアドレスであるB2の画素、検査画像における1画素分左上のアドレスであるA1の画素、検査画像における1画素分上のアドレスであるA2の画素、検査画像における1画素分右上のアドレスであるA3の画素、検査画像における1画素分左のアドレスであるB1の画素、検査画像における1画素分右のアドレスであるB3の画素、検査画像における1画素分左下のアドレスであるC1の画素、検査画像における1画素分下のアドレスであるC2の画素、及び、検査画像における1画素分右下のアドレスであるC3の画素の各画像データ(図10(b))とそれぞれ比較する。
【0089】
同様に、基準画像におけるB3〜B2047、C2〜C2047、D2〜D2047、E3〜E2047、・・・、X2〜X2047、Y2〜Y2047の画素の画像データについても、検査画像における対応するアドレスの画素の画像データ及びその周囲(1画素分左上、1画素分上、1画素分右上、1画素分左、1画素分右、1画素分左下、1画素分下、及び、1画素分右下)の画素の画像データとそれぞれ比較する。
【0090】
このような比較動作は、画素比較部21〜29が行う。
【0091】
また、このような比較動作を行うために、検査画像対象画素群抽出部14は、検査画像格納FIFOバッファ3から入力される検査画像データから、基準画像対象画素に対して1画素分左上、基準画像対象画素に対して1画素分上、基準画像対象画素に対して1画素分右上、基準画像対象画素に対して1画素分左、基準画像対象画素と対応するアドレス、基準画像対象画素に対して1画素分右、基準画像対象画素に対して1画素分左下、基準画像対象画素に対して1画素分下、及び、基準画像対象画素に対して1画素分右下の各画像データを抽出する動作を行う。
【0092】
そして、検査画像対象画素群抽出部14は、基準画像対象画素に対して1画素分左上の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すA1の検査画像データ)は画素比較部21に対して出力し、基準画像対象画素に対して1画素分上の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すA2の検査画像データ)は画素比較部22に対して出力し、基準画像対象画素に対して1画素分右上の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すA3の検査画像データ)は画素比較部23に対して出力し、基準画像対象画素に対して1画素分左の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すB1の検査画像データ)は画素比較部24に対して出力し、基準画像対象画素と対応するアドレスの検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すB2の検査画像データ)は画素比較部25に対して出力し、基準画像対象画素に対して1画素分右の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すB3の検査画像データ)は画素比較部26に対して出力し、基準画像対象画素に対して1画素分左下の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すC1の検査画像データ)は画素比較部27に対して出力し、基準画像対象画素に対して1画素分下の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すC2の検査画像データ)は画素比較部28に対して出力し、基準画像対象画素に対して1画素分右下の検査画像データ(図10の例では、図10(b)に示すC3の検査画像データ)は画素比較部29に対して出力する。
【0093】
図11は検査画像対象画素群抽出部14及びその後段の回路の構成を示す図である。
【0094】
図11に示すように、検査画像対象画素群抽出部14は、検査画像格納FIFOバッファ3から出力される検査画像データを入力し、該検査画像データを1ライン分(2048画素分)遅延させて出力する1ライン遅延部70と、この1ライン遅延部70から出力される画像データを更に1ライン分(2048画素分)遅延させて出力する1ライン遅延部71と、検査画像格納FIFOバッファ3から出力される検査画像データを順次に記憶するシフトレジスタ61、62、63と、1ライン遅延部70から出力される画像データを順次に記憶するシフトレジスタ64、65、66と、1ライン遅延部71から出力される画像データを順次に記憶するシフトレジスタ67、68、69と、を備えている。
【0095】
各シフトレジスタ61〜69は、1画素分の画像データを記憶可能である。
【0096】
1ライン遅延部70は、検査画像格納FIFOバッファ3から出力される画像データを記憶するFIFOメモリからなる。
【0097】
1ライン遅延部70は、1ライン分(例えば、2048画素分)までの画像データを記憶可能である。
【0098】
1ライン遅延部70には、カメラ1からのカメラクロック信号及びDVAL信号と、読出制御部7からの読出許可信号と、が入力される。
【0099】
1ライン遅延部70は、その書込許可信号としてのDVAL信号がアクティブとなっている期間中に、カメラクロック信号が1つ入力される毎に、検査画像格納FIFOバッファ3からの画像データを1画素分ずつ格納(記憶)する。
【0100】
また、1ライン遅延部70は、読出許可信号がアクティブとなっている期間中に、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、先に記憶した検査画像データから順に、後段の1ライン遅延部71及びシフトレジスタ64へと出力する。
【0101】
1ライン遅延部71も、1ライン遅延部70と同様に構成されている。すなわち、1ライン遅延部71は、検査画像格納FIFOバッファ3から出力される画像データを記憶するFIFOメモリからなり、1ライン分(例えば、2048画素分)までの画像データを記憶可能である。
【0102】
1ライン遅延部71にも、カメラ1からのカメラクロック信号及びDVAL信号と、読出制御部7からの読出許可信号と、が入力される。
【0103】
1ライン遅延部71は、その書込許可信号としてのDVAL信号がアクティブとなっている期間中に、カメラクロック信号が1つ入力される毎に、1ライン遅延部70からの画像データを1画素分ずつ格納(記憶)する。
【0104】
また、1ライン遅延部71は、読出許可信号がアクティブとなっている期間中に、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、先に記憶した検査画像データから順に、シフトレジスタ67へと出力する。
【0105】
また、各シフトレジスタ61〜69には、カメラ1からのカメラクロック信号が入力される。
【0106】
シフトレジスタ61は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、検査画像格納FIFOバッファ3から出力される検査画像データを新たに記憶する一方で、それまで記憶していた画像データを後段のシフトレジスタ62へと出力する。
【0107】
シフトレジスタ62は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、シフトレジスタ61から出力される画像データを新たに記憶する一方で、それまで記憶していた画像データを後段のシフトレジスタ63へと出力する。
【0108】
シフトレジスタ63は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、シフトレジスタ62から出力される画像データを新たに記憶する。
【0109】
シフトレジスタ64は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、1ライン遅延部70から出力される画像データを新たに記憶する一方で、それまで記憶していた画像データを後段のシフトレジスタ65へと出力する。
【0110】
シフトレジスタ65は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、シフトレジスタ64から出力される画像データを新たに記憶する一方で、それまで記憶していた画像データを後段のシフトレジスタ66へと出力する。
【0111】
シフトレジスタ66は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、シフトレジスタ65から出力される画像データを新たに記憶する。
【0112】
シフトレジスタ67は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、1ライン遅延部71から出力される画像データを新たに記憶する一方で、それまで記憶していた画像データを後段のシフトレジスタ68へと出力する。
【0113】
シフトレジスタ68は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、シフトレジスタ67から出力される画像データを新たに記憶する一方で、それまで記憶していた画像データを後段のシフトレジスタ69へと出力する。
【0114】
シフトレジスタ69は、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、シフトレジスタ68から出力される画像データを新たに記憶する。
【0115】
そして、シフトレジスタ69に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部21に入力され、シフトレジスタ68に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部22に入力され、シフトレジスタ67に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部23に入力され、シフトレジスタ66に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部24に入力され、シフトレジスタ65に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部25に入力され、シフトレジスタ64に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部26に入力され、シフトレジスタ63に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部27に入力され、シフトレジスタ62に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部28に入力され、シフトレジスタ61に記憶されている画像データが検査画像対象画素データとして画素比較部29に入力されるようになっている。
【0116】
図12は基準画像対象画素抽出部13の構成を示す図である。
【0117】
図12に示すように、基準画像対象画素抽出部13は、基準画像格納フレームバッファ2から入力される基準画像データを1ライン分(2048画素分)遅延させて出力する1ライン遅延部50と、この1ライン遅延部50から出力される基準画像データを順次に記憶するシフトレジスタ51、52と、を備えている。
【0118】
各シフトレジスタ51、52は、1画素分の画像データを記憶可能である。
【0119】
1ライン遅延部50は、1ライン遅延部70、71と同様に構成されている。すなわち、1ライン遅延部50は、基準画像格納フレームバッファ2から出力される画像データを記憶するFIFOメモリからなり、1ライン分(例えば、2048画素分)までの画像データを記憶可能である。
【0120】
1ライン遅延部50にも、カメラ1からのカメラクロック信号及びDVAL信号と、読出制御部7からの読出許可信号と、が入力される。
【0121】
1ライン遅延部50は、その書込許可信号としてのDVAL信号がアクティブとなっている期間中に、カメラクロック信号が1つ入力される毎に、基準画像格納フレームバッファ2からの画像データを1画素分ずつ格納(記憶)する。
【0122】
また、1ライン遅延部50は、読出許可信号がアクティブとなっている期間中に、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、先に記憶した基準画像データから順に、後段のシフトレジスタ51へと出力する。
【0123】
各シフトレジスタ51,52には、カメラ1からのカメラクロック信号が入力される。
【0124】
シフトレジスタ51は、カメラ1からカメラクロックが1つ入力される毎に、1ライン遅延部50から出力される画像データを新たに記憶する一方で、それまで記憶していた画像データを後段のシフトレジスタ52へと出力する。
【0125】
シフトレジスタ52は、カメラ1からカメラクロックが1つ入力される毎に、シフトレジスタ51から出力される画像データを新たに記憶する。
【0126】
そして、基準画像対象画素抽出部13における後段のシフトレジスタ52に記憶されている画像データが、基準画像対象画素データとして各画素比較部21〜29に入力されるようになっている。
【0127】
こうして、検査画像対象画素群抽出部14から各画素比較部21〜29に対してそれぞれ検査画像対象画素データが入力されるのに同期して、基準画像対象画素抽出部13は基準画像対象画素データを各画素比較部21〜29に対して出力する。
【0128】
よって、画素比較部21は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分左上の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるA1の画素とを比較する。
【0129】
同様に、画素比較部22は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分上の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるA2の画素とを比較する。
【0130】
同様に、画素比較部23は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分右上の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるA3の画素とを比較する。
【0131】
同様に、画素比較部24は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分左の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2と検査画像におけるB1の画素とを比較する。
【0132】
同様に、画素比較部25は、入力される各基準画像対象画素データの値を、対応するアドレス(座標)の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるB2の画素とを比較する。
【0133】
同様に、画素比較部26は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分右の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるB3の画素とを比較する。
【0134】
同様に、画素比較部27は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分左下の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるC1の画素とを比較する。
【0135】
同様に、画素比較部28は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分下の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるC2の画素とを比較する。
【0136】
同様に、画素比較部29は、入力される各基準画像対象画素データの値を、1画素分右下の検査画像データの値と比較する。すなわち、図10の例では、基準画像におけるB2の画素と検査画像におけるC3の画素とを比較する。
【0137】
各画素比較部21〜29は、所定の基準に従った比較により、入力される2つの画素が一致するか否かを判定し、その結果を二値化データで表す。
【0138】
ここで、「一致」とは、例えば、2つの画素の濃度差が所定の閾値以下であることを意味する。
【0139】
カメラ1により生成される画像データは多階調の画像データであり、各画素比較部21〜29は、基準画像対象画素データの値と検査画像データの値との差の絶対値を演算し、該演算により求めた値を所定の閾値と比較する。
【0140】
そして、各画素比較部21〜29は、例えば、演算により求めた値が、閾値以下であれば、比較した2つの画素が一致するとみなし、比較結果を示す二値化データを「0」とする一方で、閾値を上回っていれば比較した2つの画素が一致しないとみなし、比較結果を示す二値化データを「1」とする。
【0141】
具体的には、例えば、画像データが「0」〜「255」までの何れかの値をとる256階調のデータであり、所定の閾値が「20」であるとする。この場合に、画素比較部21〜29に入力される一方の画像データの値が「100」だとすると、他方の画像データの値が「80」〜「120」の範囲であれば、画素比較部21〜29は2つの画素が一致するとみなして二値化データを「0」とするが、他方の画像データの値が「0」〜「79」或いは「81」〜「255」の範囲であれば、画素比較部21〜29は2つの画素が一致しないとみなして二値化データを「1」とする。
【0142】
この二値化データは、各ズラシ画像並びに検査画像と、基準画像と、の比較結果であり、各ズラシ画像並びに検査画像におけるどの座標の画素が基準画像と一致し、どの座標の画素が基準画像と一致しないのかを示す。
【0143】
ここで、各画素比較部21〜29は、撮像範囲42に含まれる各画像データに対する上記判定に用いられる閾値として、撮像範囲42における領域毎に異なる値を用いて、入力される2つの画素の画像データが一致するか否かの判定を行う。
【0144】
すなわち、具体的には、例えば、印刷などが高精度であることが求められる、或いは、少しの汚れも許容できない領域については、上記閾値を小さい値(例えば、10)に設定し、印刷などが普通以上の精度であることが求められる、或いは、ある程度以上の汚れについては許容できない領域については、上記閾値を中間の値(例えば、20)に設定し、さほどの精度が求められない、或いは、よほど大きな汚れでなければ許容できる領域については、上記閾値を大きい値(例えば、30)に設定し、実質的に検査を行わない領域については上記閾値を(階調数−1の値)(例えば、255)に設定する、4段階の閾値を領域毎に切り替える。
【0145】
以下では、各画素比較部21〜29に入力される2つの画素の画像データが一致するか否かの判定を、上記閾値を小さい値に設定して行うことを「厳しい検査(厳しい判定基準での検査)」、上記閾値を中間の値に設定して行うことを「普通の検査(普通の判定基準での検査)」、上記閾値を大きい値に設定して行うことを「甘い検査(判定基準が甘い検査)」、上記閾値を(階調数−1)に設定して行うことを「非検査」と称する。
【0146】
図13は、「厳しい検査」、「普通の検査」、「甘い検査」、「非検査」の領域分けの一例を示す模式図である。
【0147】
図13に示すように、例えば、バーコードなどが印刷されている第1側面壁構成部103(図2参照)と対応する領域R1については、印刷が高精度であることが求められるため、「厳しい検査」を行う。
【0148】
また、包装箱の表側の面を構成する部分のうち、第1側面壁構成部103を除く部分と対応する領域R2については、「普通の検査」を行う。
【0149】
領域R2は、具体的には、例えば、第1正面壁構成部101、第1側面壁構成部102、底面壁構成部104、第1及び第2背面壁構成部109、110、上面壁構成部113、第2正面壁構成部116、第2側面壁構成部117,118と対応する領域である。
【0150】
また、領域R2及びR1の外周に沿うある程度の幅の領域であって、領域R1、R2の何れにも含まれない領域R3については、「甘い検査」を行う。
【0151】
領域R3は、具体的には、例えば、打ち抜き加工品40が包装箱となった際に、内側に隠れて見えなくなる第1のりしろ107,108、第2のりしろ105,106、第2正面壁補強部119、第3のりしろ111,112、第4のりしろ114,115と対応する領域を含む他に、打ち抜き加工品40の近傍の所定範囲と対応する領域も含む。
【0152】
また、撮像範囲42のうち、領域R1〜R3の何れでもない領域R4と対応する画像データについては、「非検査」とする。
【0153】
次に、図14及び図15を用いて、画素比較部21〜29についてより詳細に説明する。
【0154】
図14は後述する閾値データが付された基準画像データのデータ構成を示す図、図15は各画素比較部21〜29の構成を示すブロック図である。
【0155】
以下では、簡単のため、カメラ1により生成される画像データが256階調のモノクロデータであるものとして説明を行う。従って、画像データは1画素分につき8ビットが必要である。
【0156】
ここで、基準画像格納フレームバッファ2に記憶されている基準画像データは、オペレータの操作に応じて図示しないコンピュータで読み書きできるようになっている。
【0157】
そして、基準画像格納フレームバッファ2にカメラ1からの基準画像データが全て格納された後で、オペレータが該基準画像データをコンピュータにより読み出し、該読み出した基準画像データに対して各画素毎に閾値データを付属させた上で、基準画像格納フレームバッファ2に再び記憶させる処理を行う。
【0158】
なお、このように、基準画像データに閾値データを付属させた上で、基準画像格納フレームバッファ2に基準画像データを記憶する処理を行うために、1回の撮像動作により生成した全ての画像データ(基準画像データ)を基準画像格納フレームバッファ2に入力し終えた後は、一旦、カメラ1による撮像動作及び搬送機構41による搬送動作を停止しておき、閾値データを付属させた基準画像データを基準画像格納フレームバッファ2に記憶させた後で、カメラ1による撮像動作及び搬送機構41による搬送動作を再開すると良い。
【0159】
ここで、閾値データとは、上記4つの閾値のうちの何れかを特定するための2ビットのデータ(0,1、2、3のいずれかの値をとるデータ)であり、例えば、閾値データの値が「0」であれば閾値「255」と対応し、閾値データの値が「1」であれば閾値「30」と対応し、閾値データの値が「2」であれば閾値「20」と対応し、閾値データの値が「3」であれば閾値「10」と対応するものとする。
【0160】
なお、閾値データが2ビットデータであり、閾値データを除く画像データが8ビットデータであるため、基準画像格納フレームバッファ2は、1画素につき16ビットの記憶容量を有しているものとする(16ビット−10ビット=6ビット分は空きビット)。
【0161】
図15に示すように、各画素比較部21〜29は、各々閾値を記憶した第1乃至第4閾値レジスタ201、202、203、204と、これら閾値レジスタ201〜204に記憶された閾値のうちの何れか1つの閾値を閾値データに従って選択するセレクタ205と、基準画像格納フレームバッファ2より入力される基準画像データの値から検査画像格納FIFOバッファ3より入力される検査画像データの値を引き算する引算計算回路206と、この引き算計算回路206による計算結果の絶対値を計算する絶対値計算回路207と、この絶対値計算回路207による計算結果をセレクタ205により選択された閾値と比較することにより二値化データを生成する比較器208と、を備えている。
【0162】
例えば、第1閾値レジスタ201は予め閾値「255」を記憶し、第2閾値レジスタ202は予め閾値「30」を記憶し、第3閾値レジスタ203は予め閾値「20」を記憶し、第4閾値レジスタ204は予め閾値「10」を記憶している。
【0163】
基準画像格納フレームバッファ2は、各アドレスのデータのうち、閾値データを示す2ビット分のデータについてはセレクタ205に出力し、基準画像データを示す8ビット分のデータについては引き算計算回路206に出力する。なお、基準画像格納フレームバッファ2は、6ビット分の空きビットのデータについては出力しない。
【0164】
セレクタ205は、基準画像格納フレームバッファ2から入力される閾値データの値に応じて、閾値レジスタ201〜204のうちの何れか1つから入力される閾値を選択的に比較器208へと出力する。すなわち、閾値データの値が「0」であれば第1閾値レジスタ201から入力される閾値「255」を、閾値データの値が「1」であれば第2閾値レジスタ202から入力される閾値「30」を、閾値データの値が「2」であれば第3閾値レジスタ203から入力される閾値「20」を、閾値データの値が「3」であれば第4閾値レジスタ204から入力される閾値「10」を、それぞれ比較器208へ出力する。
【0165】
引算計算回路206には、基準画像格納フレームバッファ2からの基準画像データ(8ビット)の他に、検査画像格納FIFOバッファ3からの検査画像データ(8ビット)も入力されるようになっており、引算計算回路206は、基準画像格納フレームバッファ2より入力される基準画像データの値から検査画像格納FIFOバッファ3より入力される検査画像データの値を引き算した結果を絶対値計算回路207へ出力する。
【0166】
絶対値計算回路202は、引き算計算回路206による計算結果の絶対値を計算した結果を比較器208に出力する。
【0167】
比較器208は、絶対値計算回路202から入力される値とセレクタ205から入力される閾値と比較することにより二値化データを生成する。
【0168】
比較器208は、例えば、絶対値計算回路202による計算結果が、セレクタ205から入力される閾値以下であれば(比較した2つの画素が一致すれば)比較結果を示す二値化データを「0」とする一方で、閾値を上回っていれば(比較した2つの画素が一致しなければ)比較結果を示す二値化データを「1」とする。
【0169】
具体的には、例えば、セレクタ205から入力される閾値が「20」である場合に、引算計算回路206に、値が「100」の基準画像対象画素データが入力されるとともに、値が「110」の検査画像対象画素データが入力される場合、引算計算回路206は「100−110」の計算結果である「−10」を絶対値計算回路207へ出力する。また、絶対値計算回路207は、「−10」の絶対値である「10」を比較器208へ出力する。また、比較器208は、絶対値計算回路207から入力される値である「10」を閾値である「20」と比較する結果、2つの画素が一致することを意味する二値化データである「0」を出力する。
【0170】
また、例えば、セレクタ205から入力される閾値が「20」である場合に、引算計算回路206に、値が「100」の基準画像対象画素データが入力されるとともに、値が「130」の検査画像対象画素データが入力される場合、引算計算回路206は「100−130」の計算結果である「−30」を絶対値計算回路207へ出力する。また、絶対値計算回路207は、「−30」の絶対値である「30」を比較器208へ出力する。また、比較器208は、絶対値計算回路207から入力される値である「30」を閾値である「20」と比較する結果、2つの画素が一致しないことを意味する二値化データである「1」を出力する。
【0171】
なお、セレクタ205から入力される閾値が「255」である場合には、引き算計算回路206に入力される基準画像対象画素データ及び検査画像対象画素データの値にかかわらず、絶対値計算回路207の出力値が閾値を上回ることがないため、比較器208は、常に、2つの画素が一致することを意味する二値化データである「0」を出力する。つまり、実質的には、閾値を「255」に設定した画素については、検査を行わないこととなる。
【0172】
また、各画素比較部21〜29は、比較の結果として順次に生成する二値化データを、対応する二値化データメモリ群(二値化データメモリ群31〜39のうちの対応する1つのメモリ群)に対して出力する。
【0173】
各二値化データメモリ群31〜39は、対応する画素比較部21〜29から順次に入力される二値化データをアドレス順に記憶(格納)する。
【0174】
二値化データメモリ群31〜39のうち、二値化データメモリ群31は、検査画像を1画素分左上にずらしたズラシ画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものである。また、二値化データメモリ群32は、検査画像を1画素分上にずらしたズラシ画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものであり、二値化データメモリ群33は、検査画像を1画素分右上にずらしたズラシ画像と基準画像の各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものであり、二値化データメモリ群34は、検査画像を1画素分左にずらしたズラシ画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものであり、二値化データメモリ群35は、検査画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものであり、二値化データメモリ群36は、検査画像を1画素分右にずらしたズラシ画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものであり、二値化データメモリ群37は、検査画像を1画素分左下にずらしたズラシ画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものであり、二値化データメモリ群38は、検査画像を1画素分下にずらしたズラシ画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものであり、二値化データメモリ群39は、検査画像を1画素分右下にずらしたズラシ画像と基準画像との各画素の比較結果を示す二値化データを格納するものである。
【0175】
図16は、各二値化データメモリ群31〜39の構成を模式的に示す図である。
【0176】
図16に示すように、各二値化データメモリ群31〜39は、二値化データ(「1」か「0」の値のデータ)を格納する二値化データメモリ81を、カメラ1の撮像素子と同じ数だけ備えている。
【0177】
すなわち、各二値化データメモリ群31〜39は、例えば、図16に示すように、1ライン分につき2048個の二値化データメモリ81を、2048ライン分だけ備えている。
【0178】
各二値化データメモリ群31〜39は、各二値化データメモリ81毎に、データの書き込みと読み出しを同時に行うことが可能なフレームバッファからなる。
【0179】
例えば、図10に示すように、基準画像対象画素データがB2のときには、各二値化データメモリ群31〜39は、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、アドレスB2の二値化データメモリ81に記憶する。
【0180】
同様に、基準画像対象画素データがB3〜B2047、C2〜C2047、D2〜D2047、・・・、Y2〜Y2047のときには、各二値化データメモリ群31〜39は、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、それぞれアドレスB3〜B2047、C2〜C2047、D2〜D2047、・・・、Y2〜Y2047の二値化データメモリ81に記憶する。
【0181】
すなわち、各二値化データメモリ群31〜39は、対応する画素比較部21〜29から出力される二値化データを二値化データメモリ81にアドレス順に記憶する。
【0182】
つまり、各二値化データメモリ群31〜39は、書込アドレス生成部210から入力されるアドレスに従って、対応する画素比較部21〜29から出力される二値化データを記憶する。
【0183】
書込アドレス生成部210には、カメラ1からのVsync信号及びカメラクロック信号と、読出制御部7からの読出許可信号と、が入力される。
【0184】
書込アドレス生成部210は、Vsync後3つ目以降の読出許可信号と同期してアクティブとなるメモリ書込信号を生成する。
【0185】
そして、書込アドレス生成部210は、以下に説明するように、アドレスを生成する。
【0186】
先ず、1つ目のメモリ書込信号がアクティブの期間中には、該期間中における3つ目のカメラクロック信号のタイミングにおいて各二値化データメモリ群31〜39のアドレスB2の二値化データメモリ81へ二値化データが書き込まれるように、アドレスを生成する。その後は、1カメラクロック毎に、各二値化データメモリ群31〜39の1ライン目のアドレスB3以降の二値化データメモリ81へ二値化データが書き込まれるように、アドレスを生成する。
【0187】
同様に、2つ目のメモリ書込信号がアクティブの期間中には、該期間中における3つ目のカメラクロック信号のタイミングにおいて各二値化データメモリ群31〜39のアドレスC2の二値化データメモリ81へ二値化データが書き込まれるように、アドレスを生成する。その後は、1カメラクロック毎に、各二値化データメモリ群31〜39の2ライン目のアドレスC3以降の二値化データメモリ81へ二値化データが書き込まれるように、アドレスを生成する。
【0188】
以後は同様に、3つ目以降のメモリ書込信号がアクティブの期間中においても、各期間中における3つ目のカメラクロック信号のタイミングにおいて各二値化データメモリ群31〜39の3ライン目以降における横アドレスH3の二値化データメモリ81へ二値化データが書き込まれ、以後は1カメラクロック毎に、各二値化データメモリ群31〜39の3ライン目以降における横アドレスH4以降の二値化データメモリ81へ二値化データが書き込まれるように、アドレスを生成する。
【0189】
また、各二値化データメモリ群31〜39は、読出許可信号がアクティブとなっている期間には、アドレス生成部6により生成されるアドレスに従って、記憶している二値化データを1カメラクロック毎に1つずつ良否判定部10(の後述するセレクタ90)へと出力する。
【0190】
図17は最終検査画像決定部9の構成を示すブロック図である。
【0191】
図17に示すように、最終検査画像決定部9は、各二値化データメモリ群31〜39の二値化データを集計する二値化データ集計部85と、二値化データ集計部85による集計結果に応じて、各ズラシ画像並びに検査画像のうち、何れの画像を最終検査画像とするかを決定する決定部86と、を備えている。
【0192】
二値化データ集計部85は、各二値化データメモリ群31〜39毎に、「1」のデータの数を集計し、集計結果を決定部86に出力する。
【0193】
決定部86は、「1」のデータが最も少ない二値化データメモリ群31〜39が何れであるかを判定し、最も「1」のデータが少ない二値化データメモリ群(二値化データメモリ群31〜39の何れか)と対応する画像(各ズラシ画像並びに検査画像のうちの何れか)を最終検査画像に決定する。
【0194】
更に、決定部86は、最終検査画像がどの画像であるかを示すデータを良否判定部10へ出力する。
【0195】
なお、最終検査画像決定部9の処理は、ハードウェア処理ではなく、ソフトウェア処理により実現することができる。
【0196】
図18は良否判定部10の構成を示す図である。
【0197】
図18に示すように、良否判定部10は、各二値化データメモリ群31〜39から入力される二値化データのうち、何れか1つの二値化データメモリ群からの二値化データを選択的に出力するセレクタ90と、セレクタ90から出力される二値化データを1ライン分(2048画素分)遅延させて出力する1ライン遅延部95と、セレクタ90から出力される二値化データを順次に記憶するシフトレジスタ91、92と、1ライン遅延部95から出力される二値化データを順次に記憶するシフトレジスタ93、94と、シフトレジスタ91,92,93,94に記憶された二値化データの論理積をとるAND回路96と、AND回路96の出力値に応じて最終検査画像における欠陥或いは不具合点を検出する欠陥検出部97と、を備えている。
【0198】
セレクタ90には、アドレス生成部6が生成するアドレスに従って各二値化データメモリ群31〜39から出力される二値化データが入力される。
【0199】
また、セレクタ90には、最終検査画像決定部9の決定部86から、最終検査画像がどの画像であるかを示すデータが入力され、このデータに従い、最終検査画像と対応する二値化データメモリ群(二値化データメモリ群31〜39のうちの何れか1つのメモリ群)から入力される二値化データを選択して後段(1ライン遅延部95及びシフトレジスタ91)に出力する。
【0200】
1ライン遅延部95は、1ライン遅延部50,70,71と同様のものである。すなわち、1ライン遅延部95は、セレクタ90から出力される二値化データを記憶するFIFOメモリからなり、1ライン分(例えば、2048個)までの二値化データを記憶可能である。
【0201】
1ライン遅延部95には、カメラ1からのカメラクロック信号及びDVAL信号と、読出制御部7からの読出許可信号と、が入力される。
【0202】
1ライン遅延部95は、その書込許可信号としてのDVAL信号がアクティブとなっている期間中に、カメラクロック信号が1つ入力される毎に、セレクタ90からの二値化データを1個ずつ格納(記憶)する。
【0203】
また、1ライン遅延部95は、読出許可信号がアクティブとなっている期間中に、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、先に記憶した二値化データから順に、シフトレジスタ93へと出力する。
【0204】
各シフトレジスタ91〜94には、カメラクロック信号が入力される。
【0205】
各シフトレジスタ91〜94は、二値化データを1個ずつ記憶可能である。
【0206】
すなわち、シフトレジスタ91は、1カメラクロック毎に、セレクタ90から順次に出力される二値化データを記憶する一方で、それまで記憶していた二値化データを後段のシフトレジスタ92に出力する。
【0207】
シフトレジスタ92は、1カメラクロック毎に、シフトレジスタ91から順次に出力される二値化データを記憶する。
【0208】
また、シフトレジスタ93は、1カメラクロック毎に、1ライン遅延部95から順次に出力される二値化データを記憶する一方で、それまで記憶していた二値化データを後段のシフトレジスタ94に出力する。
【0209】
シフトレジスタ94は、1カメラクロック毎に、シフトレジスタ93から順次に出力される二値化データを記憶する。
【0210】
各シフトレジスタ91〜94に記憶された二値化データはAND回路96に入力される。
【0211】
AND回路96は、シフトレジスタ91〜94の出力の論理積を欠陥検出部97へ出力する。
【0212】
AND回路96の出力が「1」となると、すなわち、シフトレジスタ91〜94から出力される各二値化データが全て「1」となると、欠陥検出部97は最終検査画像に欠陥或いは不具合点があることを検出する。
【0213】
欠陥検出部97は、最終検査画像に欠陥或いは不具合点があることを検出すると、その旨を示す欠陥検出信号を報知部11(図1)に出力する。
【0214】
報知部11は、例えば、スピーカやランプなどからなり、良否判定部10の欠陥検出部97から欠陥検出信号を受けると、発音や発光などにより報知を行う。
【0215】
次に、動作を説明する。
【0216】
搬送機構41により、図3のA方向において一定間隔且つ一定速度で打ち抜き加工品40を搬送しながら、カメラ1により各打ち抜き加工品40を一定時間間隔毎に撮像する。これにより、カメラ1は、順次に撮像範囲42を撮像する。
【0217】
カメラ1は、1回の撮像動作により、1つの撮像範囲42を撮像し、該撮像範囲42の画像データを生成する。すなわち、例えば、図4に示すように、2048×2048画素分の画像データを生成する。
【0218】
上述のように、カメラ1は、一定周期のカメラクロック信号と、一定周期の撮像タイミングを示すVsync信号と、一定周期のデータ出力開始タイミングを示すHsync信号と、、DVAL信号と、を発生する。
【0219】
カメラ1による画像データの出力は、Hsync信号の発生をトリガとして、1ラインずつ行われる。
【0220】
すなわち、Vsync信号の発生後、1個目のHsync信号を発生した後、X個のカメラクロック信号を発生してから、1ライン目の画像データを、A1から順に、1カメラクロック毎に、A2048まで、1画素分ずつ出力する。
【0221】
同様に、Vsync信号の発生後、2個目のHsync信号を発生した後、X個のカメラクロック信号を発生してから、2ライン目の画像データを、B1から順に、1カメラクロック毎に、B2048まで、1画素分ずつ出力する。
【0222】
以下、同様に、3個目〜2048個目のHsync信号の発生した後、それぞれX個のカメラクロック信号を発生してから、3ライン目〜2048ライン目の画像データを、順次に出力する。
【0223】
こうして、カメラ1は、1回の撮像動作により生成した全ての画像データを出力することを、撮像動作の回数だけ繰り返し行う。
【0224】
上述のように、スイッチ切替制御部5は、当初、カメラ1から出力される画像データが基準画像格納フレームバッファ2に入力されるように、切替スイッチ4を制御しておき、カメラ1により最初に撮像した撮像範囲42の画像データを基準画像格納フレームバッファ2へ入力し終えたら、カメラ1の出力が検査画像格納FIFOバッファ3側となるように切替スイッチ4を切り替える制御を行う。
【0225】
これにより、カメラ1による1回目の撮像動作により得られる画像データは、基準画像格納バッファ2に入力される一方で、カメラ1による2回目以降の撮像動作により得られる画像データは、検査画像格納FIFOバッファ3に入力される。
【0226】
基準画像格納フレームバッファ2は、最初に撮像した打ち抜き加工品40の画像データ、すなわち、基準画像の画像データを記憶する。
【0227】
検査画像格納FIFOバッファ3は、その書込許可信号としてのDVAL信号がアクティブとなっている期間中に、カメラクロック信号が1つ入力される毎に、カメラ1から出力される検査画像データを1画素分ずつ格納(記憶)する。
【0228】
また、検査画像格納FIFOバッファ3は、読出許可信号がアクティブとなっている期間中に、カメラ1からカメラクロック信号が1つ入力される毎に、先に記憶した検査画像データから順に、1画素分ずつズラシ検査部8へと出力する。
【0229】
図19はズラシ検査部8が備える検査画像対象画素群抽出部14の動作を説明するための図である。
【0230】
検査画像格納FIFOバッファ3から出力される画像データは、ズラシ検査部8の検査画像対象画素群抽出部14の1ライン遅延部70及びシフトレジスタ61に入力される。
【0231】
1ライン遅延部70は、検査画像格納FIFOバッファ3から入力される画像データを、1ライン分(例えば、2048画素分)遅延させて、1ライン遅延部71及びシフトレジスタ64に出力する。
【0232】
1ライン遅延部71は、1ライン遅延部70から入力される画像データを、1ライン分遅延させて、シフトレジスタ67に出力する。
【0233】
シフトレジスタ61は、新たに画像データが検査画像格納FIFOバッファ3から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶するとともに、それまで記憶していた画像データをシフトレジスタ62に出力する。
【0234】
また、シフトレジスタ62は、新たに画像データがシフトレジスタ61から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶するとともに、それまで記憶していた画像データをシフトレジスタ63に出力する。
【0235】
また、シフトレジスタ63は、新たに画像データがシフトレジスタ62から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶する。
【0236】
同様に、シフトレジスタ64は、新たに画像データが1ライン遅延部70から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶するとともに、それまで記憶していた画像データをシフトレジスタ65に出力する。
【0237】
また、シフトレジスタ65は、新たに画像データがシフトレジスタ64から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶するとともに、それまで記憶していた画像データをシフトレジスタ66に出力する。
【0238】
また、シフトレジスタ66は、新たに画像データがシフトレジスタ65から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶する。
【0239】
同様に、シフトレジスタ67は、新たに画像データが1ライン遅延部71から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶するとともに、それまで記憶していた画像データをシフトレジスタ68に出力する。
【0240】
また、シフトレジスタ68は、新たに画像データがシフトレジスタ67から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶するとともに、それまで記憶していた画像データをシフトレジスタ69に出力する。
【0241】
また、シフトレジスタ69は、新たに画像データがシフトレジスタ68から入力されると、該入力された新たな画像データを記憶する。
【0242】
シフトレジスタ61〜69には、カメラ1からのカメラクロックが入力されるようになっており、カメラクロックが1つ入力されるたびに、画像データを1つずつ後段へとシフトする。
【0243】
図19(a)に模式的に示すのは、検査画像の画像データのうち、図4に示すV1のラインにおける先頭の3画素分の画像データ、すなわちA1、A2、A3の画像データが検査画像対象画素群抽出部14に入力された状態である。
【0244】
図19(a)の状態では、1ライン遅延部70には、A1〜A3の画像データが記憶され、シフトレジスタ63にはA1の画像データが、シフトレジスタ62にはA2の画像データが、シフトレジスタ61にはA3の画像データが、それぞれ記憶されている。
【0245】
従って、図19(a)の状態では、A1の画像データが画素比較部27に入力され、A2の画像データが画素比較部28に入力され、A3の画像データが画素比較部29に入力される。
【0246】
図19(b)に模式的に示すのは、図19(a)に示す状態から、更に1ライン分の画像データが検査画像対象画素群抽出部14に入力された状態である。すなわち、図19(b)に示すのは、検査画像の画像データのうち、V1のラインの全ての画像データと、V2のラインにおける先頭の3画素分の画像データ(B1〜B3)が、検査画像対象画素群抽出部14に入力された状態である。
【0247】
図19(b)の状態では、1ライン遅延部70には、A4〜A2048、及び、B1〜B3の画像データが記憶されている。また、シフトレジスタ66にはA1の画像データが、シフトレジスタ65にはA2の画像データが、シフトレジスタ64にはA3の画像データが、シフトレジスタ63にはB1の画像データが、シフトレジスタ62にはB2の画像データが、シフトレジスタ61にはB3の画像データが、それぞれ記憶されている。
【0248】
従って、図19(b)の状態では、A1の画像データが画素比較部24に入力され、A2の画像データが画素比較部25に入力され、A3の画像データが画素比較部26に入力され、B1の画像データが画素比較部27に入力され、B2の画像データが画素比較部28に入力され、B3の画像データが画素比較部29に入力される。
【0249】
図19(c)に模式的に示すのは、図19(b)に示す状態から、更に1ライン分の画像データが検査画像対象画素群抽出部14に入力された状態である。すなわち、図19(c)に示すのは、検査画像の画像データのうち、V1及びV2のラインの全ての画像データと、V3のラインにおける先頭の3画素分の画像データ(C1〜C3)が、検査画像対象画素群抽出部14に入力された状態である。
【0250】
図19(c)の状態では、1ライン遅延部70には、B4〜B2048、及び、C1〜C3の画像データが記憶され、1ライン遅延部71には、A4〜A2048、及び、B1〜B3の画像データが記憶されている。また、シフトレジスタ69にはA1の画像データが、シフトレジスタ68にはA2の画像データが、シフトレジスタ67にはA3の画像データが、シフトレジスタ66にはB1の画像データが、シフトレジスタ65にはB2の画像データが、シフトレジスタ64にはB3の画像データが、シフトレジスタ63にはC1の画像データが、シフトレジスタ62にはC2の画像データが、シフトレジスタ61にはC3の画像データが、それぞれ記憶されている。
【0251】
従って、図19(c)の状態では、図11に示すように、A1の画像データが画素比較部21に入力され、A2の画像データが画素比較部22に入力され、A3の画像データが画素比較部23に入力され、B1の画像データが画素比較部24に入力され、B2の画像データが画素比較部25に入力され、B3の画像データが画素比較部26に入力され、C1の画像データが画素比較部27に入力され、C2の画像データが画素比較部28に入力され、C3の画像データが画素比較部29に入力される。
【0252】
図20はズラシ検査部8が備える基準画像対象画素抽出部13の動作を説明するための図である。
【0253】
基準画像格納フレームバッファ2から出力される画像データは、ズラシ検査部8の基準画像対象画素抽出部13の1ライン遅延部50に入力される。
【0254】
1ライン遅延部50は、基準画像格納フレームバッファ2から入力される画像データを、1ライン分(例えば、2048画素分)遅延させて、シフトレジスタ51に出力する。
【0255】
シフトレジスタ51は、新たに画像データが1ライン遅延部50から出力されると、該出力された画像データを記憶するとともに、それまで記憶していた画像データをシフトレジスタ52に出力する。
【0256】
また、シフトレジスタ52は、新たに画像データがシフトレジスタ51から出力されると、該出力された新たな画像データを記憶する。
【0257】
シフトレジスタ51、52には、カメラ1からのカメラクロックが入力されるようになっており、カメラクロックが1つ入力されるたびに、画像データを1つずつ後段へとシフトする。
【0258】
また、シフトレジスタ52に記憶されている画像データは各画素比較部21〜29に入力される。
【0259】
図20(a)に模式的に示すのは、基準画像の画像データのうち、図4に示すV1のラインにおける先頭の3画素分の画像データ、すなわちA1、A2、A3の画像データが基準画像対象画素抽出部13に入力された状態である。
【0260】
図20(a)の状態では、1ライン遅延部50には、A1〜A3の画像データが記憶されている。
【0261】
図20(b)に模式的に示すのは、図20(a)に示す状態から、更に1ライン分の画像データが基準画像対象画素抽出部13に入力された状態である。すなわち、図20(b)に示すのは、基準画像の画像データのうち、V1のラインの全ての画像データと、V2のラインにおける先頭の3画素分の画像データ(B1〜B3)が、基準画像対象画素抽出部13に入力された状態である。
【0262】
図20(b)の状態では、1ライン遅延部50には、A4〜A2048、及び、B1〜B3の画像データが記憶されている。また、シフトレジスタ52にはA2の画像データが、シフトレジスタ51にはA3の画像データが、それぞれ記憶されている。
【0263】
従って、図20(b)の状態では、A2の画像データが各画素比較部21〜29に入力される。
【0264】
図20(c)に模式的に示すのは、図20(b)に示す状態から、更に1ライン分の画像データが基準画像対象画素抽出部13に入力された状態である。すなわち、図20(c)に示すのは、基準画像の画像データのうち、V1及びV2のラインの全ての画像データと、V3のラインにおける先頭の3画素分の画像データ(C1〜C3)が、基準画像対象画素抽出部13に入力された状態である。
【0265】
図20(c)の状態では、1ライン遅延部50には、B4〜B2048、及び、C1〜C3の画像データが記憶されている。また、シフトレジスタ52にはB2の画像データが、シフトレジスタ51にはB3の画像データが、それぞれ記憶されている。
【0266】
従って、図20(c)の状態では、B2の画像データが各画素比較部21〜29に入力される。
【0267】
アドレス生成部6は、図19に示す要領で検査画像対象画素抽出部14へと検査画像データが1画素ずつ入力されるのに同期して、基準画像対象画素抽出部13に対して基準画像データが1画素ずつ入力されるように、基準画像格納フレームバッファ2から基準画像対象画素抽出部13への画像データの読出用(入力用)のアドレスを生成する。
【0268】
具体的には、図19(a)の状態のタイミングで図20(a)の状態となり、図19(b)の状態のタイミングで図20(b)の状態となり、図19(c)の状態のタイミングで図20(c)の状態となるように、アドレス生成部6はアドレスを生成する。
【0269】
検査画像対象画素群抽出部14が図19(c)の状態である一方で、基準画像対象画素抽出部13が図20(c)の状態のときには、画素比較部21〜29は、基準画像におけるB2の画素を、検査画像におけるA1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3の画素とそれぞれ比較する。
【0270】
各画素比較部21〜29による画素の比較は、上述のように、2つの画素の濃度差が所定の閾値を超えるか否かを判定することによって、2つの画素が一致するか否かを判定することにより行う。
【0271】
また、上述のように、各画素比較部21〜29は、図10の領域R1については「厳しい検査」を、図10の領域R2については「普通の検査」を、図10の領域R3については「甘い検査」を、それぞれ行い、図10の領域R4については「被検査」とする。
【0272】
そして、各画素比較部21〜29は、この判定(検査)の結果として、上述のように、二値化データを生成する。
【0273】
各二値化データメモリ群31〜39は、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、アドレスの順番に記憶していく。
【0274】
すなわち、各二値化データメモリ群31〜39は、各画素比較部21〜29により比較される基準画像対象画素データがB2のときには、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、アドレスB2の二値化データメモリ81に記憶し、同様に、基準画像対象画素データがB3〜B2047、C2〜C2047、D2〜D2047、・・・、Y2〜Y2047のときには、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、それぞれアドレスB3〜B2047、C2〜C2047、D2〜D2047、・・・、Y2〜Y2047の二値化データメモリ81に記憶する。
【0275】
図21は最終検査画像決定部9の動作を示すフローチャートである。
【0276】
先ず、最終検査画像決定部9の二値値集計部85は、一の検査画像について生成された全ての二値化データが、二値化データメモリ群31〜39に記憶されたか否かを判定する(ステップS11)。
【0277】
一の検査画像について生成された全ての二値化データが、二値化データメモリ群31〜39に記憶されたら(ステップS11のYes)、二値値集計部85は、各二値化データメモリ群31〜39毎に、値が「1」の二値化データの数を集計し、その集計結果を最終検査画像決定部9の決定部86に出力する(ステップS12)。
【0278】
決定部86は、値が「1」の二値化データの数が最も少ない二値化データメモリ群と対応する画像を最終検査画像に決定する(ステップS13)。
【0279】
これにより、ズラシ画像並びに検査画像のうち、基準画像と最も良く一致する画像が、最終検査画像に決定される。
【0280】
次に、決定部86は、決定した結果、すなわち、最終検査画像がどの画像であるかを示すデータを良否判定部10に出力する(ステップS14)。
【0281】
良否判定部10のセレクタ90は、決定部86から出力されるデータ(最終検査画像がどの画像であるかを示すデータ)に従い、最終検査画像と対応する二値化データメモリ群(二値化データメモリ群31〜39のうちの何れか1つのメモリ群)から入力される二値化データを選択して1ライン遅延部95及びシフトレジスタ91に出力する。
【0282】
すなわち、各二値化データメモリ群31〜39は、記憶した二値化データをアドレス順に良否判定部10のセレクタ90に出力するが、セレクタ90は、決定部86から出力されるデータにより指定される何れか1つの二値化データメモリ群から出力される二値化データのみを、1ライン遅延部95及びシフトレジスタ91へ順次に出力する。
【0283】
1ライン遅延部95は、セレクタ90から出力される二値化データを1ライン分(2048画素分)遅延させてシフトレジスタ93に出力する。
【0284】
シフトレジスタ91は、セレクタ90から二値化データが出力される度に、この二値化データを記憶すると共に、それまで記憶していた二値化データをシフトレジスタ92に出力する。
【0285】
シフトレジスタ92は、シフトレジスタ91から二値化データが出力される度に、この二値化データを記憶する。
【0286】
シフトレジスタ93は、1ライン遅延部95から二値化データが出力される度に、この二値化データを記憶すると共に、それまで記憶していた二値化データをシフトレジスタ94に出力する。
【0287】
シフトレジスタ94は、シフトレジスタ93から二値化データが出力される度に、この二値化データを記憶する。
【0288】
このため、シフトレジスタ91〜94は、最終検査画像における2×2=4画素分のまとまった画像データと対応する二値化データを記憶する。すなわち、例えば、図18に示すように、シフトレジスタ94にはB2の画像データと対応する二値化データ、シフトレジスタ93にはB3の画像データと対応する二値化データ、シフトレジスタ92にはC2の画像データと対応する二値化データ、シフトレジスタ91にはC3の画像データと対応する二値化データが、それぞれ記憶されるといった状態をとる。
【0289】
また、各シフトレジスタ91〜94に記憶されている二値化データは、それぞれAND回路96に出力され、AND回路96は、これら4つの二値化データの論理積をとる。
【0290】
すなわち、AND回路96は、各シフトレジスタ91〜94に記憶されている二値化データの全てが「1」であれば、「1」のデータを欠陥検出部97に出力し、その他の場合は、「0」のデータを欠陥検出部97に出力する。
【0291】
つまり、最終検査画像と基準画像との各画素の比較の結果、2×2のまとまった範囲の画素が不一致となった場合に限り、AND回路96の出力値が「1」となる。
【0292】
欠陥検出部97は、AND回路96の出力値を監視し、この出力値が「1」となった場合に、その旨を示す欠陥検出信号を報知部11に出力する。
【0293】
報知部11は、欠陥検出信号を受けると、発音や発光などにより報知を行う。
【0294】
この報知により、オペレータは、検査対象物に欠陥或いは不具合点が見つかったことを認識することができる。
【0295】
ここで、本実施形態においては、打ち抜き加工品40が位置すると想定される領域のみならず、その近傍の領域についても、検査画像と基準画像とが一致するか否かの検査を行うので、図22に示すように打ち抜き加工品40に重なりが発生した場合や、図23に示すように打ち抜き加工品40に除去残り或いはカス残りと呼ばれる欠陥150が重なりが発生した場合でも、それら不具合や欠陥を検出することができる。
【0296】
1枚の検査画像についての検査の終了後は、上記と同様の処理を順次に繰り返すことにより、他の検査画像についての検査を行う。これにより、各打ち抜き加工品40の品質検査を行うことができる。
【0297】
図8は、カメラ1、検査画像格納FIFOバッファ3、読出制御部7、基準画像格納フレームバッファ2、アドレス生成部6、1ライン遅延部70,71,50、書込アドレス生成部210及び二値化データメモリ群31〜39の全体の動作タイミングを示す図である。
【0298】
図8に示すように、1つ目の検査画像の撮像タイミングを示すVsync信号の発生後、1回目のDVAL信号がアクティブの期間中には、検査画像格納FIFOバッファ3は、1ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつアドレス順に格納する。
【0299】
検査画像格納FIFOバッファ3は、1ライン目の検査画像データを格納し終えると、1回目の1ライン格納信号を発生する。よって、読出制御部7は、1回目の読出許可信号をアクティブにする。
【0300】
1回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、検査画像格納FIFOバッファ3が1ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部70及びシフトレジスタ61へとアドレス順に出力するのに同期して、基準画像格納フレームバッファ2は1ライン目の基準画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部50へとアドレス順に出力する。
【0301】
ここで、1回目の読出許可信号がアクティブとなってから、3つめのカメラクロック信号が発生した時点では、検査画像対象画素群抽出部14は図19(a)の状態となり、基準画像対象画素抽出部13は図20(a)の状態となる。
【0302】
なお、1回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、1ライン遅延部70,71,50も、それぞれ1カメラクロック毎にデータを後段へと出力するが、未だ画像データを記憶していないため、不定値を出力する。
【0303】
また、1回目の読出許可信号が非アクティブとなる前に、2回目のDVAL信号がアクティブとなり、検査画像格納FIFOバッファ3は、2ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつアドレス順に格納し始める。
【0304】
検査画像格納FIFOバッファ3は、2ライン目の検査画像データを格納し終えると、2回目の1ライン格納信号を発生するので、読出制御部7は、2回目の読出許可信号をアクティブにする。
【0305】
2回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、検査画像格納FIFOバッファ3が2ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部70及びシフトレジスタ61へとアドレス順に出力するのに同期して、基準画像格納フレームバッファ2は2ライン目の基準画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部50へとアドレス順に出力する。
【0306】
また、1ライン遅延部70は、2回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、1ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部71及びシフトレジスタ64へとアドレス順に出力する。
【0307】
同様に、1ライン遅延部50は、2回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、1ライン目の基準画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつシフトレジスタ51へとアドレス順に出力する。
【0308】
2回目の読出許可信号がアクティブとなってから、3つめのカメラクロック信号が発生した時点では、検査画像対象画素群抽出部14は図19(b)の状態となり、基準画像対象画素抽出部13は図20(b)の状態となる。
【0309】
なお、2回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、1ライン遅延部71も、1カメラクロック毎にデータを後段へと出力するが、未だ画像データを記憶していないため、不定値を出力する。
【0310】
また、2回目の読出許可信号が非アクティブとなる前に、3回目のDVAL信号がアクティブとなり、検査画像格納FIFOバッファ3は、3ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつアドレス順に格納し始める。
【0311】
検査画像格納FIFOバッファ3は、3ライン目の検査画像データを格納し終えると、3回目の1ライン格納信号を発生するので、読出制御部7は、3回目の読出許可信号をアクティブにする。
【0312】
3回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、検査画像格納FIFOバッファ3が3ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部70及びシフトレジスタ61へとアドレス順に出力するのに同期して、基準画像格納フレームバッファ2は3ライン目の基準画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部50へとアドレス順に出力する。
【0313】
また、1ライン遅延部70は、3回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、2ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部71及びシフトレジスタ64へとアドレス順に出力する。
【0314】
また、1ライン遅延部71は、3回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、1ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつシフトレジスタ67へとアドレス順に出力する。
【0315】
また、1ライン遅延部50は、3回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、2ライン目の基準画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつシフトレジスタ51へとアドレス順に出力する。
【0316】
3回目の読出許可信号がアクティブとなってから、3つめのカメラクロック信号が発生した時点では、検査画像対象画素群抽出部14は図19(c)の状態となり、基準画像対象画素抽出部13は図20(c)の状態となる。
【0317】
二値化データメモリ群31〜39は、3回目の読出許可信号がアクティブとなってから、3つめのカメラクロック信号が発生した時点で、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、それぞれ2ライン目のアドレスB2の二値化データメモリ81に記憶する。二値化データメモリ群31〜39は、以後、1カメラクロック毎に、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、図16に示すように2ライン目の二値化データメモリ81にアドレス順に記憶する。
【0318】
以下、同様に、4回目〜2048回目のDVAL信号からの動作も繰り返し行う。2048回目の読出許可信号がアクティブとなってから、3つ目のカメラクロック信号が発生した時点では、二値化データメモリ群31〜39は、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、それぞれ2047ライン目のアドレスY2の二値化データメモリ81に記憶する。二値化データメモリ群31〜39は、以後、1カメラクロック毎に、対応する画素比較部21〜29から入力される二値化データを、図16に示すように2047ライン目の二値化データメモリ81にアドレス順に記憶する。
【0319】
こうして、基準画像と1つ目の検査画像との比較結果を示す二値化データが、二値化データメモリ群31〜39に記憶される。
【0320】
なお、図21のステップS11の判定がYesとなるタイミングは、図8におけるタイミングT1である。
【0321】
次に、2つ目の検査画像の撮像タイミングを示すVsync信号の発生後、1回目のDVAL信号がアクティブの期間中には、検査画像格納FIFOバッファ3は、2つ目の検査画像における1ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつアドレス順に格納する。
【0322】
検査画像格納FIFOバッファ3は、2つ目の検査画像における1ライン目の検査画像データを格納し終えると、1回目の1ライン格納信号を発生する。よって、読出制御部7は、1回目の読出許可信号をアクティブにする。
【0323】
1回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、検査画像格納FIFOバッファ3が1ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部70及びシフトレジスタ61へとアドレス順に出力するのに同期して、基準画像格納フレームバッファ2は1ライン目の基準画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部50へとアドレス順に出力する。
【0324】
1回目の読出許可信号がアクティブとなってから、3つめのカメラクロック信号が発生した時点では、検査画像対象画素群抽出部14は図19(a)の状態となり、基準画像対象画素抽出部13は図20(a)の状態となる。
【0325】
なお、1回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、1ライン遅延部70は、前回(1つ目)の検査画像における2048ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつ1ライン遅延部71及びシフトレジスタ64へとアドレス順に出力する。
【0326】
また、1ライン遅延部71は、1回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、前回(1つ目)の検査画像における2047ライン目の検査画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつシフトレジスタ67へとアドレス順に出力する。
【0327】
また、1ライン遅延部50は、1回目の読出許可信号がアクティブの期間中には、前回(1つ目)の検査画像における2048ライン目の基準画像データを1カメラクロック毎に1画素分ずつシフトレジスタ51へとアドレス順に出力する。
【0328】
以下、同様に、2回目〜2048回目のDVAL信号からの動作についても、1つ目の検査画像に対する処理と同様に行う。
【0329】
更に、3つ目以降の検査画像に対する処理についても、1つ目及び2つ目の検査画像に対する処理と同様に行う。
【0330】
なお、図21の処理は、上述のように、例えば、ソフトウェア処理により行うが、1つ目の検査画像に対するステップS12〜S14までの処理は、図8におけるタイミングT1以後に開始し、2つ目の検査画像に対して生成した二値化データを二値化データメモリ群31〜39に記憶するまでの間に行う。
【0331】
また、上述のように、二値化データメモリ群31〜39に記憶されている二値化データを良否判定部10のセレクタ90に出力する動作は、読出許可信号がアクティブとなっている期間中において、アドレス生成部6により生成されるアドレスに従って行われる。ただし、1つ目の検査画像に対する二値化データを二値化データメモリ群31〜39からセレクタ90に出力し始めるタイミングは、2つ目の検査画像に対する検査画像データを検査画像格納FIFOバッファ3から出力し始めるタイミングである。つまり、検査画像に対する二値化データを二値化データメモリ群31〜39からセレクタ90に出力するタイミングは、検査画像データを検査画像格納FIFOバッファ3から出力するタイミングよりも、Vsync信号1つ分だけ遅れている。
【0332】
図24は、品質検査装置100の動作が結果的に何を目的としているのかを、概念的に説明するための図である。
【0333】
なお、図24では、簡単のため、打ち抜き加工品40の形状を円形としている。
【0334】
例えば、基準画像が、図24(a)に示すように中心に打ち抜き加工品40の画像が位置するような画像であるとする。
【0335】
ただし、図24(f)に示すように、検査画像においては、打ち抜き加工品40の画像の座標が、図24(a)に示す基準画像における打ち抜き加工品40の画像に対してずれているものとする。更に、検査画像には、図24(f)に示すように、汚れなどの欠陥99が存在するものとする。
【0336】
また、図24(b)は検査画像を左上にずらしたズラシ画像を示し、図24(c)は検査画像を上にずらしたズラシ画像を示し、図24(d)は検査画像を右上にずらしたズラシ画像を示し、図24(e)は検査画像を左にずらしたズラシ画像を示し、図24(g)は検査画像を右にずらしたズラシ画像を示し、図24(h)は検査画像を左下にずらしたズラシ画像を示し、図24(i)は検査画像を下にずらしたズラシ画像を示し、図24(j)は検査画像を右下にずらしたズラシ画像を示す。
【0337】
なお、上記においては、検査画像を1画素分だけずらした画像をズラシ画像とする旨の説明をしているが、図24(b)〜(e)、(g)〜(j)においては、図面を用いた説明を分かり易くするため、画像のずらし量を誇張している。
【0338】
画素比較部21は、図24(a)の基準画像と図24(b)のズラシ画像との比較結果を各座標の画素毎に二値化データにするものであると言える。同様に、画素比較部22は、図24(a)の基準画像と図24(c)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部22は、図24(a)の基準画像と図24(c)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部23は、図24(a)の基準画像と図24(d)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部24は、図24(a)の基準画像と図24(e)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部25は、図24(a)の基準画像と図24(f)の検査画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部26は、図24(a)の基準画像と図24(g)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部27は、図24(a)の基準画像と図24(h)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部28は、図24(a)の基準画像と図24(i)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであり、画素比較部29は、図24(a)の基準画像と図24(j)のズラシ画像との比較結果を二値化データにするものであると言える。
【0339】
図24(k)は、図24(a)の基準画像と図24(b)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示す。言い換えると、図24(k)は、二値化データメモリ群31の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0340】
同様に、図24(l)は、図24(a)の基準画像と図24(c)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群32の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0341】
同様に、図24(m)は、図24(a)の基準画像と図24(d)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群33の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0342】
同様に、図24(n)は、図24(a)の基準画像と図24(e)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群34の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0343】
同様に、図24(o)は、図24(a)の基準画像と図24(f)の検査画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群35の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0344】
同様に、図24(p)は、図24(a)の基準画像と図24(g)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群36の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0345】
同様に、図24(q)は、図24(a)の基準画像と図24(h)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群37の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0346】
同様に、図24(r)は、図24(a)の基準画像と図24(i)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群38の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0347】
同様に、図24(s)は、図24(a)の基準画像と図24(j)のズラシ画像との比較の結果、一致しない部分を示すとともに、二値化データメモリ群39の二値化データメモリ81のうち、値が「1」となるものの位置を示す。
【0348】
ここで、図24の例では、最終検査画像決定部9は、各二値化データメモリ群31〜39において値が「1」の二値化データメモリの数を集計することにより、その集計値が最も少ない二値化データメモリ群は、二値化データメモリ群39であると判定することができる。すなわち、図24(s)に示すように、図24(a)の基準画像は、図24(j)のズラシ画像と最も良く一致することが分かる。
【0349】
よって、図24の例では、最終検査画像決定部9の決定部86は、検査画像を右下にずらしたズラシ画像(図24(j))を最終検査画像に決定する。
【0350】
検査画像の打ち抜き加工品40に欠陥(汚れ、印刷ミス、除去残りなど)が存在せず、重なりも発生していない場合、最終検査画像と基準画像とは一致することが期待できるので、これら2つの画像を比較して一致しない部分が所定以上の大きさ(例えば、2×2画素の大きさ)でまとまって存在していれば、検査画像の打ち抜き加工品40に欠陥或いは重なり(不具合)があるものとみなす。
【0351】
図24に示す欠陥99の大きさが、2×2画素以上の大きさであるとすると、図24の例では、この欠陥99に含まれる2×2画素分の画像データと対応する二値化データが良否判定部10の各シフトレジスタ91〜94に入力されたタイミングで、良否判定部10のAND回路96の出力が「0」から「1」に切り替わり(不良と判定し)、欠陥検出部97は欠陥検出信号を報知部11へ出力する。
【0352】
その結果、報知部11が報知を行う。
【0353】
なお、欠陥99が2×2画素よりも小さければ、欠陥検出部97は、最終検査画像と基準画像とが一致するとみなして欠陥検出信号を報知部11へ出力しないので(良と判定するので)、報知部11は報知を行わない。
【0354】
以上のような実施形態によれば、打ち抜き加工品40及びその近傍の領域を撮像することにより得られた検査画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定するので、打ち抜き加工品40の重なりが発生した場合や、打ち抜き加工品40に除去残り或いはカス残りと呼ばれる欠陥が発生した場合でも、それら欠陥或いは不具合を検出することができる。
【0355】
また、打ち抜き加工品40の近傍の領域の画像については、打ち抜き加工品40の画像よりも判定基準が甘い検査を行うので、打ち抜き加工品40の重なりの発生や、除去残り或いはカス残りの発生を、適切な精度で検査することができる。
【0356】
また、上記の実施形態では、品質検査装置100の全ての構成を、シフトレジスタ、フレームバッファ、FIFOバッファ、メモリなどのハードウェア構成により実現することができ、CPUなどのプロセッサとその動作用プログラムを用いたソフトウェア処理を必要としない。このため、1枚の画像における画素数が大きくても、全ての処理を非常に高速に行うことができる。
【0357】
なお、上記の実施形態では、説明を簡単にするため、各ズラシ画像が、検査画像を1画素分だけ左上、上、右上、左、右、左下、下、右下にずらしたものである例(ズラシ量が1画素である例)を示したが、ズラシ量は任意であり、必要に応じて増やすと良い。
【0358】
ただし、ズラシ量の増加に応じて、ズラシ検査部8の構成を変更する必要がある。具体的には、検査画像対象画素群抽出部14により一度に抽出できる画素数を増やしたり、基準画像対象画素抽出部13により遅延させる画素数を増やす必要がある。
【0359】
すなわち、左右方向のズラシ量を増やすには、検査画像格納FIFOバッファ3から出力される画像データを順次に記憶するシフトレジスタの段数と、1ライン遅延部70、71から出力される画像データを順次に記憶するシフトレジスタの段数をそれぞれ増やす必要がある。更に、必要に応じて、基準画像対象画素抽出部13の1ライン遅延部50の後段に設けられたシフトレジスタの段数n(nは正の整数)を増やす必要がある。更に、画素比較部並びに二値化データメモリ群の数を検査画像対象画素群抽出部14のシフトレジスタと同じ数に増やす必要がある。
【0360】
また、上下方向のズラシ量を増やすには、検査画像対象画素群抽出部14における1ライン遅延部の段数p(pは正の整数)を増やすとともに、増加した1ライン遅延部の後段にも、これら1ライン遅延部から出力される画像データを順次に記憶するシフトレジスタ群を設ける必要がある。更に、必要に応じて、基準画像対象画素抽出部13の1ライン遅延部の段数m(mは正の整数)を増やし、このうち最終段の1ライン遅延部の後段に、該1ライン遅延部から出力される画像データを順次に記憶するシフトレジスタ群を設ける必要がある。
【0361】
また、上記の実施形態では、領域R1、R2が打ち抜き加工品40の要部に相当するものとし、打ち抜き加工品40が最終的に加工されて包装箱となった際には隠れて見えなくなる第1のりしろ107,108、第2のりしろ105,106、第2正面壁補強部119、第3のりしろ111,112、第4のりしろ114,115と対応する領域については、甘い検査を行う例(打ち抜き加工品40の近傍の画像については、打ち抜き加工品40における要部(R1、R2)の画像よりも判定基準が甘い検査を行う例)を示しているが、これら第1のりしろ107,108、第2のりしろ105,106、第2正面壁補強部119、第3のりしろ111,112、第4のりしろ114,115についても、普通の検査を行い、打ち抜き加工品40の近傍の所定範囲と対応する領域の画像についてのみ甘い検査を行うようにしても良い。すなわち、打ち抜き加工品40の近傍の画像については、打ち抜き加工品40の画像よりも判定基準が甘い検査を行うようにしても良い。
【0362】
また、上記の実施形態では、印刷が高精度であることが求められる領域R1について、厳しい検査を行う例(打ち抜き加工品40において印刷が高精度であることが求められる領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも小さい閾値を用いて判定を行う例)を示しているが、この例に限らず、加工の精度が高精度であることが求められる領域について、厳しい検査を行うようにしても良い。すなわち、打ち抜き加工品40において加工が高精度であることが求められる領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも小さい閾値を用いて判定を行うようにしても良い。
【0363】
また、上記の実施形態では、良否判定部10は、欠陥或いは不具合点が2×2画素分以上の大きさでまとまって存在した場合に、欠陥或いは不具合点があると判定する例を説明したが、良否判定部10における1ライン遅延部の段数r(rは正の整数)やシフトレジスタの段数q(qは正の整数)を適宜に変更することにより、検出すべき欠陥或いは不具合点の大きさも任意に設定することができる。
【0364】
また、撮像対象物が連続ウェブである例を説明したが、撮像対象物は何でも良く、例えば、枚葉式のものであっても良く、
上記の実施形態では、カメラがエリアセンサ式カメラである例を説明したが、カメラはラインセンサ式カメラであっても良い。
【0365】
また、上記の実施形態では、品質検査装置100の全ての構成をハードウェア構成により実現する例を説明したが、CPUなどのプロセッサとその動作用プログラムを用いたソフトウェア処理により実現しても良い。すなわち、打ち抜き加工品40及びその近傍の領域を撮像することにより得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する処理をコンピュータに実行させ、その処理には、打ち抜き加工品40の近傍の領域の画像については、打ち抜き加工品40の画像よりも判定基準が甘い検査を行う処理が含まれるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0366】
【図1】実施形態に係る品質検査装置のブロック図である。
【図2】打ち抜き加工品の一例を示す平面図である。
【図3】打ち抜き加工品が搬送される様子を示す平面図である。
【図4】カメラが1回の撮像動作により生成する画像データを模式的に示す図である。
【図5】カメラが発生する信号のタイミングを示す図である。
【図6】読出制御部が発生する読出許可信号のタイミングを説明するための図である。
【図7】アドレス生成部及び基準画像格納フレームバッファの動作のタイミングを説明するための図である。
【図8】カメラ、検査画像格納FIFOバッファ、その読出制御部、基準画像格納フレームバッファ、アドレス生成部、1ライン遅延部、書込アドレス生成部及び二値化データメモリ群の動作のタイミングを示す図である。
【図9】ズラシ検査部の構成を示すブロック図である。
【図10】ズラシ検査部が基準画像の各画像データを検査画像の何れの画像データと比較するのかを説明するための模式図である。
【図11】ズラシ検査部が備える検査画像対象画素群抽出部及びその後段の回路の構成を示す図である。
【図12】基準画像対象画素抽出部の構成を示す図である。
【図13】厳しい検査、普通の検査、甘い検査、非検査の領域分けの一例を示す模式図である。
【図14】閾値データが付された基準画像データのデータ構成の模式図である。
【図15】画素比較部の構成を示すブロック図である。
【図16】二値化データメモリ群の構成を模式的に示す図である。
【図17】最終検査画像決定部の構成を示すブロック図である。
【図18】良否判定部の構成を示す図である。
【図19】検査画像対象画素群抽出部の動作を説明するための図である。
【図20】基準画像対象画素抽出部の動作を説明するための図である。
【図21】最終検査画像決定部の動作を示すフローチャートである。
【図22】2枚の打ち抜き加工品が重なった状態を示す平面図である。
【図23】除去残り(カス残り)が発生した打ち抜き加工品を示す平面図である。
【図24】品質検査装置の動作の目的を概念的に説明するための図である。
【符号の説明】
【0367】
1 カメラ
2 基準画像格納フレームバッファ
3 検査画像格納FIFOバッファ
8 ズラシ検査部(検査手段を構成する)
9 最終検査画像決定部(検査手段を構成する)
10 良否判定部(検査手段を構成する)
13 基準画像対象画素抽出部
14 検査画像対象画素群抽出部
21、22、23、24、25、26、27、28、29 画素比較部
31、32、33、34、35、36、37、38、39 二値化データメモリ群
50 1ライン遅延部
51、52 シフトレジスタ
61、62、63、64、65、66、67、68、69 シフトレジスタ
70、71 1ライン遅延部
81 二値化データメモリ
85 二値値集計部
86 決定部
90 セレクタ
91、92、93、94 シフトレジスタ
95 1ライン遅延部
96 AND回路
97 欠陥検出部
40 打ち抜き加工品
100 品質検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち抜き加工品及びその近傍を撮像することにより得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する検査手段を備え、
前記検査手段は、
前記打ち抜き加工品の近傍の画像については、前記打ち抜き加工品の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、前記打ち抜き加工品における要部の画像よりも判定基準が甘い検査を行うことを特徴とする品質検査装置。
【請求項2】
前記打ち抜き加工品の撮像背景は、当該撮像背景の画像と、前記打ち抜き加工品の画像との濃度差が所定値以上となる色に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の品質検査装置。
【請求項3】
前記検査手段は、前記打ち抜き加工品及びその近傍の画像における画像データと、前記基準画像における画像データと、を画素毎に比較し、両画像データの値の差が所定の閾値を超える場合に、両画像データが一致しないと判定する画素比較部を備え、
前記打ち抜き加工品及びその近傍の画像は複数の領域に分けられ、
前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品及びその近傍の画像における領域毎に、異なる閾値を用いて、前記判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の品質検査装置。
【請求項4】
前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品の近傍の領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも大きい閾値を用いて、前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の品質検査装置。
【請求項5】
前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品において加工或いは印刷が高精度であることが求められる領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも小さい閾値を用いて、前記判定を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の品質検査装置。
【請求項6】
前記画素比較部は、前記打ち抜き加工品において、該打ち抜き加工品に対する最終的な加工後は隠れる領域の画像データについては、普通の判定基準での検査が要求される領域よりも大きい閾値を用いて、前記判定を行うことを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載の品質検査装置。
【請求項7】
前記画素比較部は、撮像により得られた画像のうち前記打ち抜き加工品でもその近傍でもない領域の画像データについては、前記判定を行わないことを特徴とする請求項3乃至6の何れか一項に記載の品質検査装置。
【請求項8】
打ち抜き加工品及びその近傍を撮像する第1の過程と、
前記第1の過程により得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する第2の過程と、
を備え、
前記第2の過程では、前記打ち抜き加工品の近傍の画像については、前記打ち抜き加工品の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、前記打ち抜き加工品における要部の画像よりも判定基準が甘い検査を行うことを特徴とする品質検査方法。
【請求項9】
前記打ち抜き加工品の画像との濃度差が所定値以上となる色の撮像背景を背景として、前記第1の過程を行うことを特徴とする請求項8に記載の品質検査方法。
【請求項10】
コンピュータが実行可能なプログラムにおいて、
打ち抜き加工品及びその近傍を撮像することにより得られた画像を基準画像と比較し、双方の画像が一致する場合には良、一致しない場合には不良と判定する処理をコンピュータに実行させ、
前記処理には、前記打ち抜き加工品の画像については、
前記打ち抜き加工品の画像よりも判定基準が甘い検査を行うか、又は、前記打ち抜き加工品における要部の画像よりも判定基準が甘い検査を行う処理が含まれることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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