説明

哺乳類又は植物のP450のヘム領域及び巨大菌のP450BM3由来のスカフォールド−レダクターゼ領域を含むキメラタンパク質、並びに、その使用

【課題】水溶性キメラタンパク質を提供する。
【解決手段】キメラタンパク質は、哺乳類又は植物のチトクロムP450由来のヘム領域、及び、一般的に電子伝達領域を含有する、巨大菌のP450BM3由来のスカフォールド領域を含む。上記タンパク質は、野生型の哺乳類又は植物P450の膜結合部を含まず、このため水溶性である。上記タンパク質は、酵素として、上記野生型の哺乳類又は植物P450の基質に対して活性であり、電子は電子伝達部、例えばFAD又はFMN等の上記スカフォールド領域の一部に移動される。上記タンパク質は、上記ヘム領域の基質特異性を分析するのに、又は、分析対象物である基質を検出するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる供給源由来の触媒領域及びスカフォールド領域を含むキメラタンパク質に関する。
【背景技術】
【0002】
チトクロムP450(P450)は生物分析分野と深い関連がある(非特許文献1)。P450は、今日使用されている薬剤のほとんどの代謝に重要な組織の全てに存在する酵素で、一大ファミリーを形成しており、薬剤の開発と発見の過程で重要な役割を果たしている(非特許文献2、3)。P450は、酸素分子の原子2つのうち1つが様々な基質(R)の広範囲の場所に挿入されるのを触媒し、同時にもう1つの酸素原子を下記の反応に従って水に還元する反応を引き起こす。
RH+O+2e+2H→ROH+H
【0003】
P450はこのように重要であるにも関わらず、電極表面との相互作用が小さいことや、哺乳類のP450が生体膜と結合することに関わる問題があるため、P450を生物分析分野に応用するのは困難である。それでもやはり、新規の潜在的な薬剤の代謝的変換又は毒性の傾向を高速で大量にスクリーニングするための電極を作成できれば、この酵素を素晴らしく応用できる可能性がある。
【0004】
この目的を達成するために、「取り扱いにおいて安定で可溶性のヒトP450酵素の能力」という問題に焦点を合わせる必要がある。
【0005】
チトクロムP450BM3は、触媒として自給自足できる可溶性の脂肪酸モノオキシゲナーゼであり、巨大菌(Bacillus megaterium)から単離された(非特許文献4、5)。この酵素が多領域構造を有していること、すなわち1048残基からなる119kDaのポリペチド鎖1つに融合している3つの領域、FAD1つ、FMN1つ及びヘム領域1つからなっている点が特に興味深い。更に、P450BM3は、細菌由来であるにも関わらず、ミクロソームに存在する真核生物のP450に代表される、クラスIIのP450酵素に分類される(非特許文献6)。P450BM3は、その配列の30%がミクロソームの脂肪酸w−ヒドロキシラーゼと同一で、35%がミクロソームのNADPH−P450レダクターゼと同一であり、他の細菌P450とは20%の相同性を有するのみである(非特許文献6)。上記の特徴は、P450BM3を哺乳類のP450の代替として使用できる可能性を示唆しており、このことは最近、ウサギP4502C5の構造が解明された際に実証された(非特許文献7)。
【0006】
哺乳類P450酵素は膜に結合している。この酵素をそのままの形でその生理学的供給源から単離し、試験系に用いることは難しい。哺乳類P450酵素(CYP)の例を表Iに示す。
【0007】
【表1】

【0008】
P4502E1(又はCYP2E1)は、多種の哺乳類の肝臓やその他の組織に存在するミクロソームの酵素であり、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、エタノール及びその他のアルコール、多くのN−ニトロソアミン類、小分子のハロゲン化炭化水素類及びビニルモノマー類、並びに、アセトアミノフェン及びクロルゾキサゾン等の薬剤を含む50を超える化合物の酸化を触媒することが分かっている(非特許文献8)。P4502E1は、その基質としてエタノール及び発がん物質である疑いのある多種の物質が挙げられるため、アルコール中毒及び化学的発がんと関連しているのではないかということで、非常に重要な物質であると考えられていた(非特許文献9)。P4502E1の上記以外の基質を表IIに示す。
【0009】
表II
<チトクロムP4502E1の基質(Lieber、1997)>
(アルコール、アルデヒド、ケトン及びニトリル)
アセトアルデヒド、ブタノール、2−ブタノール、エタノール、グリセロール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ペンタノール、1−フェニルエタノール(アセトフェノンに対して)
(芳香族化合物)
アセトアミノフェン(タイレノール)、アニリン、ベンゼン、ブロモベンゼン、カフェイン(テオフィリン及びテオブロミンに対して)、カサイシン(Casaicin)、クロルゾキサゾン(パラフォン(Parafon))、3−ヒドロキシピリジン、イソニアジド、フェノール、ピリジン、p−ニトロフェノール、ピラゾール、スチレン、タモキシフェン、テオフィリン(8−水酸化)(高濃度にて)、トルエン
(エーテル)
ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル
(脂肪酸)
アラキドン酸(w−1及びw−2水酸化)、ラウリン酸(w−1水酸化)
(ハロゲン化及び非ハロゲン化アルカン及びアルケン)
アセト酢酸塩、アセトール、アセトン、アセトニトリル(+カタラーゼ)、アクリロニトリル、1,3−ブタジエン、クロロホルム(グルタチオン複合体に対して)、クロロホルム(低親和性成分)、クロロメタン、ジブロモエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロプロパン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エンフルラン、1,2−エポキシ−3−ブテン、エタン、カルバミン酸エチル、二塩化エチレン、ハロタン、ヘキサン、β,β−イミノジプロピオニトリル、メトキシフルラン、ギ酸メチル、塩化メチレン、N−メチルホルムアミド、ペンタン、セロフルラン(Seroflurane)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエタン(TRI)、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−1(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、チオアセトアミド、チラパザミン(Tirapazamine)、1,1,1−トリクロロエチレン、トリクロロエチレン、塩化ビニル、臭化ビニル
(ニトロソアミン、アゾ化合物)
アゾキシメタン、N,N−ジエチルニトロソアミン、N,N−ジメチルニトロソアミン、メチルアゾキシメタノール、N−ニトロソ−2,2−ジメチルモルフォリン、N−ニトロソメチルベンジルアミン、N−ニトロソピロリジン、N−ニトロソビス(2−オキソプロピル)アミン
(還元可能な基質)
t−ブチルヒドロペルオキシド、四塩化炭素、クロム[Cr(VI)]、クミルヒドロペルオキシド、13−ヒドロペルオキシ−9,11−オクタデカジエン酸、15−ヒドロペルオキシ−5,8,11,13−エイコサテトラエン酸、酸素
【0010】
P450酵素の可溶化を、この酵素の膜への固定に関係すると考えられる推定N末端領域の端を切ることよって行うことを試みたグループがある。しかしタンパク質は依然として膜に結合していることから、よりたくさんの膜との相互作用が存在することが示唆された。しかしながら、最近、アメリカのJonesと同僚ら(非特許文献10)が、可溶性で機能的な、ヒトP4502C9が約50%及び可溶性の細菌P450camが約50%のキメラを構築して発現させることに成功した。上記酵素は、ヒトP4502C9に特徴的な4−クロロトルエンの酸化を、分子酸素を用いて、細菌P450camの生理学的な電子伝達の相手から供給される還元当量で触媒することが分かった。大腸菌において発現させることに成功した人工P450酵素の例を表IIIに示す。
【0011】
【表2】

【0012】
2E1は、非特許文献11がクローニングして発現させた。
【非特許文献1】Sadeghi,S.J.,Tsotsou,G.E.,Fairhead,M.,Meharenna,Y.T.,Gilardi,G.(2001)Rational design of P450 enzymes for biotechnology.In:Focus on Biotechnology. Physics and Chemistry Basis of Biotechnology. De Cuyper,M.,Bulte,J.(Eds),Kluwer Academic Publisher,in press.
【非特許文献2】Poulos,T.L.(1995)Cytochrome P450.Curr.Opin.Struct.Biol.,5,767−774.
【非特許文献3】Guengerich,F.P.(1999)Cytochrome P450:regulation and role in drug metabolism,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.39,1−17.
【非特許文献4】Narhi,L.O.,Fulco,A.J.(1986)Characterization of a catalytica11y self−sufficient 119,000−Dalton cytochrome P−450 monooxygenase induced by barbiturates in Bacillus megaterium.J.Biol.Chem.,261(16),7160−7169.
【非特許文献5】Narhi,L.O.,Fulco,A.J.(1987)Identification and characterization of two functional domains in cytochrome P−450BM3, a catalytically self−sufficient monooxigenase induced by barbiturates in Bacillus megaterium.J.Biol.Chem.,262(14),6683−6690.
【非特許文献6】Ravichandran,K.G.,Boddupalli,S.S.,Hasemann,C.A.,Peterson,J.A.,Deisenhofer,J.(1993)Crystal structure of hemoprotein domain of P450BM−3, a prototype for microsomal P450s.Science,261,731−736.
【非特許文献7】Williams,P.A.,Cosme,J.,Sridhar,V.,Johnson,E.F.,McRee,D.E.(2000)Mammalian microsomal cytochrome P450 monooxygenase:Structural adaptations for membrane binding and functional diversity.Mol.Cell.,5,121−131.
【非特許文献8】Lieber,C.S.(1997)Cytochrome P450 2E1:its physiological and pathological role.Phys.Rev.77(2),518−538.
【非特許文献9】Gillam E.M.J.,Guo Z.,Guengerich F.P.(1994)Expression of modified human cytochrome P450 2E1 in Escherichia coli, purification, and spectral and catalytic properties.Arch.Biochem Biophys.312,59−66.
【非特許文献10】Shimoji,M.,Yin,H.,Higgins,L.,Jones,J.P.(1998)Design of a novel P450:a functional bacterial−human cytochrome P450 chimera.Biochemistry 37,8848−‘52.
【非特許文献11】Umeno,M.,McBride,W.,Yang,.S.,Gelboin,H.V.,Gonzalez,F.J.(1988)“Human ethanol−inducible P4502E1:complete gene sequence, promoter characterisation, chromosome mapping and cDNA−directed expression.”Biochemistry,27,9006−9013.
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の水溶性キメラタンパク質は、スカフォールド領域及びモノオキシゲナーゼヘム含有領域を含んでおり、上記スカフォールド領域はBM3に由来し、上記ヘム領域は植物又は動物のP450酵素に由来する。
【0014】
本発明において上記ヘム領域は、植物又は動物の、通常は哺乳類のP450酵素から、例えばこの生理学的な酵素の膜結合部位を切断することによって得られる。この部位は疎水性であり、P450を非水溶性にしている。このことから、この部位を切断するとP450を可溶化できる。上記ヘム領域を、自給自足できる細菌性酸化還元タンパク質BM3由来のスカフォールド領域と融合させると、植物又は動物のP450から膜結合部位を切断することによって現れた疎水部分を更に覆うことができ、かつ、他の電子伝達部位と相互作用する領域を与えることができる。
【0015】
好ましくは、上記キメラタンパク質は電子伝達領域を不可欠に含んでおり、この領域は上記キメラタンパク質に機能的コンホメーションにおいて融合している部位である。一般的に、この電子伝達部位は、BM3タンパク質由来の生理学的領域を含む。また、一般的に、上記電子伝達領域はフラボタンパク質である。上記スカフォールド領域は、好ましくは、野生型BM3のN末端領域又はこれに近接する位置から少なくとも200残基を、より好ましくは少なくとも500残基を含む。
【0016】
上記スカフォールド領域は、BM3の野生型ヘム領域、すなわち471番目までの残基を含んではならない。好ましくは、上記スカフォールド領域は、ヘムレダクターゼ領域のFMN部分を含む472〜652番目の残基由来の部分と、FAD領域を含む652番目の残基からおよそN末端までの部分を含む。
【0017】
植物又は動物のP450の上記ヘム含有領域は、一般的に、少なくとも200個の連続する野生型P450酵素由来残基を含み、ここにはヘム結合残基及び触媒残基が位置している。上記触媒残基及びヘム結合残基は、野生型酵素のC末端又はその近傍に存在することが一般的に分かっている。好ましくは、上記ヘム領域は、野生型P450酵素のC末端又はその近傍から少なくとも200個の連続する残基を含む。上記ヘム領域は、好ましくは250個より多くの、より好ましくは300個より多くの連続する残基を含む。好ましくは、上記ヘム領域は、上記表Iに記載されているCYPのうちの1つに由来する。表IIIに記載のCYPがクローニングされているので、これらのCYPのうちの1つに由来する領域を用いることが好ましい。最も好ましくは、上記ヘム領域は2E1に由来する。
【0018】
上記野生型酵素は突然変異していることが望ましいかもしれない場合がある。例えば、上記スカフォールド領域に適切な融合特性を与えるために、又は、上記酵素の活性及び/若しくは基質結合特性に与える変異の効果を分析して調べるために、活性部位に変異を導入することが望ましいかもしれない。本発明は主に生理学的な(すなわち野生型の)酵素の結合部位の調査に用いられることから、変異させたり除去したりする残基は少ない方が好ましく、かつ、変異させた残基はいずれも保存的に置換されることが好ましい。好ましくは、上記野生型酵素に関して20残基だけが変異されていることであり、より好ましくは10個未満の残基が、最も好ましくは5個未満の残基が除去されている又は変えられていることである。
【0019】
本発明において、上記キメラタンパク質が上記触媒モノオキシゲナーゼ領域の基質と、反応混合物中で、酸素の存在下に接触しており、このため上記基質が酸化されて酸化物を生成するような新規の方法も提供される。この方法は、上記反応の生成物を確認することによって、又は、上記ヘム含有領域から電子伝達領域への電子の移動を監視することによって、又は、酸素消費量を監視することによって監視されてよい。上記電子の移動は、NAD(P)Hを反応混合物中に含めることによって、又は、NAD(P)産生を、例えば本発明者らが同時係属中のWO−A−0157236に記載するアッセイを用いて監視することによって監視されてよい。また、上記電子の移動は、上記キメラタンパク質の上記電子伝達領域へ若しくはこの領域から電子を移動させることのできる電極を用いることによって、又は、電子伝達中間成分を用いることによって監視されてよい。この方法は、先行するイギリス出願0119042.0に基づいて2002年8月3日に出願した、本発明者らが同時係属中のPCT出願の中に記載され請求されている。BM3−2E1又はその他の哺乳類キメラについてではなく、野生型BM3についてではあるが、この方法を下記の実施例で説明する。
【0020】
本発明の方法は、分析対象物、すなわち上記基質の存在又は濃度を監視するために用いてよい。上記方法はまた、対象である基質の代謝を監視するために用いてもよい。上記基質は、上記表IIに記載されている化合物のうちのいずれであってもよい。
【0021】
本発明を関連する図によって説明する。
【0022】
図1は、P450BM3を作成して、(A)本発明者らが2002年8月3日の出願の中で請求しているように、電子伝達タンパク質フラボドキシンとの融合を通じて電気化学的に接近できるP450触媒領域を形成すること、及び、(B)ヒト膜結合P4502E1を、触媒として自給自足できるP450BM3の上記スカフォールド領域において選択した部分と融合させることによって、すなわち本発明によって、可溶化すること、を示す。
【0023】
図2は、(A)アラキドン酸結合BMP(BMP−S)の、すなわち図1AのBM3−FLDキメラの、フラボドキシンセミキノン体(FLDsq)による、450nmにおいてストップフロー分光測定法により測定した、一酸化炭素存在下での還元、及び、(B)FLDsqとBMP−Sとの間の反応のイオン強度(I)の平方根に対する限定擬一次速度定数(klim)の値、を示す。
【0024】
図3は、P450のBMPとFLDとの複合体の3Dモデルである。(A)は結合した複合体の側面である。ファン・デル・ワールス表面は、DelPhiを用いて計算した静電電位を示しており、正の電位は最も濃い色で、負の電位は中程度に濃い色で、中性の電位は白で示す(輪郭の縮尺は±5Kcal/mol)。(B)はAと同じ方向から見た複合体のリボン図解である。P450BMPを薄い色で左側に、FLDを濃い色で右側に、FMNをFLDの下部を満たす空間に、ヘムをBMPの中央を満たす空間に示す。(C)は開いた状態の複合体の概観を、Aと同じ方向から見たものではあるが、±90度回転させて開くことによって2つのタンパク質間の境界面を見えるように示す。これらの図は、Gilardi G.ら(2002)に色付きで示されている。
【0025】
図4について、(A)はBMP−FLD融合タンパク質のモデル構造を示すもので、BMP領域を薄い色のリボンで、FLD領域を濃い色のリボンで、ヘムをBMP領域の中央を満たす空間に、システイン400を薄い色でヘム近傍を満たす空間に、FMNを薄い色でFLDの上部を満たす空間に、BMPとFLDの間の連結ループをモデルの下部に示す。(B)は、BMPの遺伝子とFLDの遺伝子を融合してBMP−FLDキメラを作成するための分子生物学的アプローチを示す。NIaIII制限部位は、オリゴヌクレオチド指定突然変異(oligonucleotide directed mutagenesis)によって導入した。これらの図は、Gilardiら(2002)に色付きで示されている。
【0026】
図5は、ガラス質炭素電極における、ネオマイシンの不在下(1、細線)及び存在下(2、太線)での、BMP−FLD融合タンパク質のサイクリックボルタモグラムを示す。一酸化炭素を添加した場合に、ピークが高電位に偏移している(3、点線)。電位は飽和カロメル電極に対して記載している。
【0027】
図6は、上部にクローニングを示す。2E1−BM3のキメラ2E1−BM3/1を発現させるための1つ目のプラスミドpT72E1/BM3を構築するのに用いた方法である。出発プラスミドは、P450BM3の遺伝子(H=ヘム領域、R=レダクターゼ領域)及びヒト2E1をそれぞれ含む、pT7BM3Z及びpCW2E1である。断片I(FRI、BamHI−KpnI)、断片II(FRII、KpnI−AvrII)及び断片III(FRIII、AvrII−EcoRI)は、pBluescriptSK(+/−)ベクターにクローニングし、プラスミドBSI、BSII及びBSIIIをそれぞれ得る。制限部位は、PCR法により変異原性オリゴヌクレオチドを用いて導入した。1つ目の2E1−BM3キメラの遺伝子は、断片I、II及びIIIを連結させることによって作成した。図の下部に、2E1−BM3キメラの発現を、すなわち2E1−BM3キメラの発現を表すSDS−PAGEゲルを示す。矢印は2E1−BM3キメラの位置(118kDa)を示す。レーン1及び8は、分子量マーカー(下から)53、76、116、170、212kDaを示す。レーン2は、BL21(DE3)Cl細胞の溶解物を示す。レーン4は、pT72E1/BM3プラスミドで形質転換し、1mMのIPTGで誘導されたBL21(DE3)Cl細胞(28℃において20時間増殖させた細胞)の溶解物を示す。レーン5はレーン3及び4と同じものを示すが、10,000gで遠心分離して膜画分及び封入体を除去した後のものである。レーン6はレーン3及び4と同じものを示すが、100,000gで遠心分離した後のものである。レーン7は、100,000gで遠心分離した後の沈殿物を示す。
【0028】
図7は、大腸菌細胞の清浄にした溶解物の、亜ジチオン酸ナトリウムで還元して一酸化炭素を気泡注入した後における吸収スペクトルを示す。点線は形質転換していないもの、細線はBMP−FLDプラスミドによって形質転換したもの、太線は1つ目のプラスミド2E1−BM3によって形質転換したもの(2E1−BM3/1)について示す。
【0029】
図8は、実施例中で作成した2種の2E1−BM3キメラ(2E1−BM3/1及び2E1−BM3/2)の構造を図示する。
【0030】
図9−a〜cは、2つ目の2E1−BM3キメラ、すなわち図8で説明したキメラの作成に用いたクローニングの行程を示す。
【0031】
図10は、ヘム基を酸化形態、還元形態及び一酸化炭素存在下における還元形態で持つ、2つ目の2E1−BM3キメラ(2E1−BM3/2)の紫外−可視スペクトルを示す。
【0032】
図11は、2つ目の2E1−BM3キメラ(2E1−BM3/2)のラウリン酸存在下における紫外−可視スペクトルの差を示す。ここで、ラウリン酸の濃度を増加させていった場合の、390nm(高スピンヘム鉄)における吸光度の増加、及び、420nm(低スピンヘム鉄)における減少を示している。
【0033】
図12は、2つ目の2E1−BM3キメラのラウリン酸存在下における酸素消費量を示す。
【0034】
図13は、ヒトCYP2E1の、Umenoら(1988)による、イントロンを含まない配列を示す。
【0035】
図14は、巨大菌P450BM3の配列を示す。P450BM3をコードする遺伝子を含む5kbのDNA断片が、Fulcoとその同僚らによって単離され、その配列が決定された(Ruettingerら(1989))。この塩基配列は、GenBankTM/EMBLデータバンクに受託番号J04832で提出された。P450BM3をコードする部分に加えて、pT7Bm3Z構造上のP450BM3遺伝子に対するいくつかの5’調節領域(Darwishら(1991))を図に示す。
【0036】
3,147bpからなるオープンリーディングフレームを示す。T7RNAφ10プロモーターから始まるpT7Bm3Z構造の5’調節領域についても示す。各塩基トリプレットの上の数字は、初めのMetを0と数えたアミノ酸の通し番号である(Thrは、P450BM3のNH末端においてプロテインシークエンスによって検出された最初の残基である(Ruettingerら(1989))。)。上記配列の右側に、塩基の通し番号を(開始コドンから始まって60塩基毎に)示す。上記遺伝子に特有の制限部位を、下線を付して、対応する塩基の上に示す。また、ヘム領域とレダクターゼ領域との間のArg471〜Lys472の従来の境界、及び、FMN領域とFAD領域との間のAsp652〜Met653の境界についても示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
付随する実施例により、本発明を更に詳しく説明する。
【0038】
<材料と方法>
(P450BM3ヘム領域(BMP)とフラボドキシン(FLD)との間の電子伝達測定)
吸光度の測定は全て、ヒューレット・パッカード社製8452ダイオード・アレイ・スペクトロフォトメーターを用いて行った。D.vulgaris由来の野生型フラボドキシン(FLD、4.9μM)を5mMのリン酸カリウムバッファー(pH7.3)に溶解したものを、2.5μMのデアザリボフラビン(deazariboflavin)(dRf)及び0.85mMのEDTA(犠牲電子供与体)の存在下で、そのセミキノン体に光還元した(FLDsq、結果を記載している部分における反応式[1]及び[2])。アラキドン酸結合BMPの還元を行った後、一酸化炭素雰囲気下で、450nmでの吸光度を長さ1cmのセルを備えたHi−Tech社SF−61ストップフロー装置を用いて23℃において監視し、速度を測定した。アラキドン酸結合BMPの典型的な濃度は1μMであり、FLDの典型的な濃度は2〜20μMに変化した(結果を記載している部分における反応式[3])。全ての溶液について、アルゴンを気泡注入する特別の処置を行うことにより、嫌気状態にした。この方法は、Heering−Hagen(1996)の方法に基づく。
【0039】
(BMP−FLDキメラの構築と発現)
BMP−FLD融合複合体を、NlaIII部位を、pT7BM3ZにおけるP450BM3レダクターゼ遺伝子のループの3’末端(Liら(1991))、及び、pT7FLD遺伝子の5’末端(Kreyら(1988)、Valettiら(1998))に導入することによって構築した。この構築は、表IVに記載している配列番号1及び2の変異原性オリゴヌクレオチドを用いたPCR法によって行った。上記2つの遺伝子は、NlaIIIエンドヌクレアーゼで消化した後、連結段階に供した。野生型(wt)P450BM3及びBMP−FLDキメラの発現及び精製を公知の手順によって行った(各々、Liら(1991)及びSadeghiら(2000a))。
【0040】
(BMP−FLD融合タンパク質における電子伝達の測定)
4μMのBMP−FLD融合タンパク質を、5μMのデアザリボフラビン及び5μMのEDTAを含む100mMのリン酸バッファー(pH7)中で、完全嫌気状態において、定常状態で光還元した。光照射は100Wのランプを用いて行った。レーザー閃光光分解を以前に記載されている通りに行った(Hazzardら(1997))。上記BMP−FLD融合タンパク質(5μM)を、100μMのデアザリボフラビン及び1mMのEDTAを含む、一酸化炭素で飽和させた100mMリン酸バッファー(pH7)中で、完全嫌気状態において保持した。
【0041】
(BMP−FLD融合タンパク質における電気化学実験)
電気化学実験は全て、GPESソフトウェアで制御したAutolab PSTAT10(Eco Chemie社、ユトレヒト、オランダ)を用いて行った。階段状サイクリックボルタンメトリーを、カウンターとして白金線を備えたガラス質炭素ディスクを動作電極として用いたハーゲンセル(Hagan cell)中で行った(Heering、Hagen(1996))。この動作電極を、以前に記載されている通りに活性化して研磨した(Heering、Hagen(1996))。参照電極には、+246mV vs. NHE(標準水素電極)の電位を有する飽和カロメルを用いた。測定は全て、完全嫌気状態において、50mMのHEPESバッファー(pH8.0)中におけるタンパク質の濃度を30μMとして、7℃において行った。
【0042】
(BM3キメラの紫外−可視スペクトル)
50mMのHEPESバッファー(pH8.0)中の5.4nmolのP450BM3を、亜ジチオン酸ナトリウム飽和溶液を1μL添加することによって還元した。その後、一酸化炭素による気泡注入を約1分間穏やかに行った。
【0043】
(分子模型)
模型の実験と計算は全て、Biosym/MSl社製ソフトウェアをSGI社製Indigo2ワークステーションIRIX6.2にインストールしたものを用いて行った。表面静電電位は、DelPhi2.0モジュールを用いてInsight II環境において計算した。DelPhiの計算は、誘電定数を溶質について2.0、溶媒について80とし、100mMのイオン強度で行った。溶媒半径は1.4Å、イオン半径は2.0Åに設定した。ポアゾン−ボルツマンの演算法を、非線形の状態において、反復の限界を2000及び収束の限界を0.00001で、タンパク質を中心とする分解能1.0Å以下の格子(grid)に適用した。分子表面と格子境界との間の距離の最小値は15.0Åであった。形式電荷のみを考慮に入れた。C末端及びN末端、及び、Glu、Asp、Arg及びLys側鎖は完全にイオン化されているものとし、FMNリン酸塩及びヘム鉄(FeII)ついても計算に含んだ。溶媒暴露(solvent exposure)は、Connollyの演算法(Connolly(1983))により、半径1.4Åのプローブを用いて計算した。タンパク質データバンク(pdb)ファイルとしては、酸化型FLD(Wattら(1991))、P450terp(Hasemannら(1994))、P450cam(Poulosら(1986))、P450eryF(Cuppvickery、Poulos(1995))、及び、P450BM3のヘム領域(Ravichandranら(1993);Li、Poulos(1997);Sevrioukovaら(1999))を用いた。上記ヒトP4502E1の模型を、プログラムInsight II 95.0(Byosim/MSI)のアプリケーションHomologyを用いて構築し、仮模型(preliminary model)を最終的に精錬し、Insight IIのモジュールDiscoverに供してエネルギーを最小化した。
【0044】
(2E1−BM3キメラ(1)の構築と発現)
2E1−BM3キメラ(1)の構築に用いたDNA断片を、P450BM3のためのプラスミドpT7BM3Z(Darwishら(1991))及びP4502E1のためのプラスミドpCW2E1(Gillamら(1994))から得た。適切な制限部位を、部位指定突然変異により、PCR酵素VentDNAポリメラーゼ(New England Biolabs社)及び変異原性オリゴヌクレオチドプライマーを用いて挿入した。配列番号3〜8を表IVに示す。適切な制限部位を持つ増幅PCR断片を、図6に示す方法によって、pBluescriptSK(+/−)増幅ベクター(Stratagene社)にクローニングした。pT72E1/BM3プラスミドを、大腸菌BL21(DE3)Cl(Stratagene社)における誘導発現のためのT7プロモーターによって調整しながら発現させた。LB−アンピシリン(100μg/mL)で一晩培養したものを1mL用いて、100mLのLB−アンピシリンを接種した。上記は、37℃において、600nmにおける光学密度(OD600)が1になるまで増殖させた。次に、この培養物を用いて9LのLB−アンピシリンを接種し、IPTG(1mM)及び更なるアンピシリンをOD6000.4〜0.6の時点で添加した。その後、細胞増殖を28℃において21時間継続した。細胞を5000rpmで15分間4℃において遠心分離することにより回収し、細胞沈殿物を100mMリン酸カリウム溶液(pH7.0)(バッファーA)に再度懸濁した後、もう一度沈殿させた。細胞をバッファーA中に、細胞1g当たり1mLのバッファーとなるように再度懸濁し、超音波をかけて溶解した後、10,000rpmで20分間遠心分離した。洗浄した細胞溶解物を38,000rpmで1時間超遠心し、膜画分をサイトゾル(可溶性画分)から分離した。その後この可溶性画分を、あらかじめバッファーAで平衡にしておいたDEAE sepharose fast flowカラム(ファルマシア社)上に載せた。2E1−BM3キメラを100〜500mM勾配のリン酸カリウム溶液(pH7.0)で溶出した。
【0045】
(2E1−BM3キメラ(2)の構築と発現)
2E1−BMRを、既存のクローンを制限酵素で消化して簡単に、すなわち変異原性PCRを要さずに(従ってプライマーを要さずに)作成した。行ったクローニングの行程を図9−a〜cに説明する。構築の工程は以下のように行った。
【0046】
(第1段階:pET30b2E1)
pCW2E1(赤、図中)から開始した。ここから、野生型2E1を市販のpET30bベクターへ移動させた。このpCW2E1は最初から21個のアミノ酸を欠失している(N末端修飾と称する)。
【0047】
(第2段階:pET2E1−BM3/2)
pET30b2E1構造を鋳型として用いて、pT72E1BM3のBamHI−EcoRI断片を挿入した。pT72E1BM3中に含まれるBMRを添加することによって、この断片をpET30b2E1における2E1遺伝子の一部と本質的に置き換えた。こうしてpET2E1/BM3/2構造が得られた。理論上、これで発現の準備ができたことになるであろう。実際は、封入体を与える。
【0048】
(第3段階:pCW2E1−BM3/2)
発現をより良好にするために、2E1−BM3/2構造を、初期のpCW2E1を起源とするpCWベクターにサブクローニングした。このサブクローニングは、BamHIによる切断とC末端における平滑末端連結とを組み合わせることによって行った。このクローンを1つ目の2E1−BM3キメラの場合と同様に発現させた。
【0049】
(基質の存在下における2E1−BM3/2キメラの酸素消費)
100mMのリン酸カリウムバッファー(pH8)940mLを酸素電極チャンバー(Hansatech Instruments社製Oxygraph system)に添加し、10分間25℃において撹拌した(50mM炭酸カリウム溶液に溶解した500mMのラウリン酸を共存させて又は共存させずに)。次に、同様のリン酸バッファー中に含まれた状態のタンパク質50mLをハミルトンシリンジによって添加し(最終タンパク質濃度0.4mM)、その混合物を3分間撹拌した。その後、NADPH5mLを添加し(最終濃度75mM)、酸素濃度を、酸素消費が停止するまで測定した。NADPH5mLを更に添加し(最終濃度75mM)、酸素濃度を、酸素消費が停止するまで測定した。
【0050】
<結果>
(人工酸化還元鎖の作成)
D.vulgaris由来のフラボドキシン(FLD)、及び、巨大菌由来のチトクロムP450BM3(BMP)のヘム領域が、共有結合による多領域構造構築に用いる電子伝達モジュール及び触媒モジュールとして適しているかどうかを試験した。個々のタンパク質間における電子伝達(ET)をストップフロー分光光度法によって調べた。フラボドキシン(FLD)を、嫌気的に、定常状態においてセミキノン体(FLDsq)に還元した。この還元は、ストップフロー装置の1つのシリンジ中で、EDTA存在下での光照射により生成したデアザリボフラビン(dRfH)のセミキノンラジカルを用いて行った。行った反応のスキームを以下の反応式に要約する(Sadeghiら(1999))。
【0051】
【化1】

【0052】
擬一次飽和条件下では、FLDsq/(BMP−S)ox酸化還元対のETの経過は、450nmにおける吸光度の増加を示した(図2A)。このことは、450nmにおける吸光度を左右する一酸化炭素付加体を迅速に形成する(BMP−S)oxの還元と一致する。擬一次速度定数(kobs)を、データ値を単純指数の成分に合わせることによって計算した。FLDsqの濃度が2〜20μMで変化する場合、kobsは、2つのタンパク質間での複合体の形成と一致して飽和することが分かった。FLDsqの濃度に対するkobsのデータ値を双曲関数に合わせることにより、10mMリン酸バッファー(pH7.3)中においてイオン強度250mMで、限定速度定数klim43.77±2.18s−1、及び、見かけの解離定数Kapp1.23±0.32μMを得た。
【0053】
効率のよいETを得るための重要な要因は、酸化還元対間におけるETコンピテント複合体の形成である。BMPとFLDとの間の複合体の形成における静電気力の効果を、タンパク質溶液のイオン強度を変化させることによって調べた。得られたKlim値をイオン強度Iの平方根に対して示したが、これは図2Bに示すように円錐形となる傾向を示した。これは通常、複合体の形成に関わる疎水的及び静電的相互作用によるものである(Sadeghiら(2000b))。このことは、図3に示すように2つのタンパク質の表面電位を計算することによって確認された。
【0054】
選択したタンパク質モジュールの3D構造が有用であるため、可能性のある複合体の3Dモデルの構築に用いる計算方法が使用できる。このようなモデルの構造は、本研究において、ここに記載する共有結合による集合体を合理的に設計するために重要である。
【0055】
上記FLD/BMP複合体のモデル(図3B)を、FLDの3D構造を短小化P450BM3の3D構造に重ね合わせることによって作成した(Sevrioukovaら(1999))。この複合体の酸化還元中心間の距離は18Åであり、上記短小化P450BM3の構造におけるものと同程度であった(Sevrioukovaら(1999))。しかしながら、FLDのFMN領域が、近接したBMP表面の、ヘムの配位子であるシステイン400周辺の正に荷電しているくぼみに結合している場合は、代替モデルを用いることも可能である。このモデルは、12Å未満という近い距離に2つの補因子を有している。上記の可能性のある2つのモデルは、天然P450−レダクターゼ複合体についても仮定されている、上記ETコンピテント複合体の形成及び再編成を伴う動的現象の存在を示しているのかもしれない(Williamsら(2000))。
【0056】
上記ETコンピテント複合体のモデルを用いて、BMP−FLDの共有結合による複合体を形成した。この形成は、図4Bに示す遺伝子融合で導入した順応性のある接続ループを結合させることによって行った。この方法は、2つの酸化還元領域を動的形態に保つという利点がある。BMP−FLDシステムの融合は、DNAレベルで、BMP遺伝子(1〜470残基)とFLD遺伝子(1〜148残基)とをP450BM3のレダクターゼ領域の天然ループ(471〜479残基)を通して結合させることによって行った。この融合タンパク質の3Dモデルを図4Aに示す。遺伝子融合は、図4Bに示すように、関連するDNA配列を合成NlaIII制限部位と連結させることによって行った。
【0057】
融合遺伝子は、大腸菌BL21(DE3)CIのポリペプチド1本鎖において非相同的に発現した。精製したキメラタンパク質の吸収スペクトルは、ヘムとFMNが1:1の割合で組み込まれていることを示唆した。また、還元されたタンパク質は、450nmにおける吸光度が特徴的な一酸化炭素付加体を形成できただけでなく、419nmから397nmという低スピンから高スピンへの予想された偏移を示す基質(アラキドン酸)へ結合できたが、このことはこの共有結合による複合体が確かに機能的P450であることを示している。上記BMP−FLD融合タンパク質の完全な二次構造をCD光度法によって確認したが(データは図示せず)、おそらく人工ループを添加したために、α−ヘリックス含量がBMPと比較して2%までの範囲で増加していた。光度法によるデータは、上記融合タンパク質が確かに、可溶性で折りたたみ構造を持った機能的タンパク質として発現していることを示す(Sadeghiら(2000a))。
【0058】
上記BMP−FLD融合タンパク質において、FMN含有領域からヘム含有領域への分子内部でのETが基質存在下で起こるかどうかを、定常状態の条件下で調べた。フラビン領域を、デアザリボフラビンによって、EDTAの存在下、嫌気状態において光還元した。続いて起こるフラビン領域からヘム領域へのETを、ヘムの吸光度を397nmから450nmに移動させて、一酸化炭素飽和雰囲気下で追跡した。上記BMP−FLD融合タンパク質における分子内部でのETの速度を、トランジェント吸光光度法によって調べた。実験設備において、FMNからヘムへのETが、FLDsqの580nmにおける吸光度が減少したことによって分かった。ETの速度を測定したところ、370s−1であった。この値は、FAD領域を除去した短小化P450BM3の、タンパク質内部でのFMN領域からヘム領域へのETを測定した値(250s−1)と同程度である(Hazzardら(1997))。これらの結果は、上記BMP−FLD融合タンパク質の機能が生理学的タンパク質の機能と同等であることを示すもので、極めて心強いものである。
【0059】
上記BMP−FLD融合タンパク質についての予備的な電気化学的実験を、ガラス質炭素電極を用いて行った。上記BMP−FLD融合タンパク質とBMPとのサイクリックボルタモグラム(cv)を図5に示す。むき出しのガラス質炭素電極上のP450BM3酵素には電流は観察されなかったが、上記BMP−FLDは測定可能な規模の酸化還元活性を示している(図5、細線)。特に、上記BMP−FLD融合タンパク質と電極との間に、ネオマイシンの存在下でより多い電流が測定されたことから(図5、太線)、この間の相互作用が向上している。ネオマイシンは正に荷電したアミノグリコシドであり、負に荷電したFLDと負に荷電した電極表面との間の静電的反発を克服すると考えられている(Heering、Hagen(1996))。ネオマイシンの存在下でBMP−FLDについて観察された電流の増加は、FLDが電極とBMPとの間の電気化学的な接触を補助しているという仮説を裏付けるものである。現在、酸化試験で確認される電流の低下と電気化学的セル内で漏出した酸素量とが一致するというように、電気化学的に完全に可逆とするための試みがなされている。この結果はP450ヘムの電気化学的応答と一致しているということが、一酸化炭素を添加した後のcvにおける高い電位での偏移によって裏付けられる(図5、点線)。
【0060】
この節で示したデータは、BMP触媒モジュールとFLD電子伝達モジュールとの間における非生理学的な電子伝達が実際に可能であること、及び、共有結合している多領域構造BMP−FLDがよりよい電気化学的特性を示すことを証明している。
【0061】
(ヒト/細菌P450酵素2E1−BM3の組み立て、2E1−BM3/1)
この節では、巨大菌由来P450BM3とヒトP4502E1とのヒト/細菌キメラP450(2E1−BM3)を設計、構築及び発現させて、可溶性構造を得ることについて報告する。このキメラを、ヒトP4502E1の一部とP450BM3の一部とを、上記2つのタンパク質の3D構造/モデルの合理的設計の手法に従って、図1Bのスキームに示すように融合することにより得た。可溶性チトクロムP450BM3のヘム領域及び短小化形態の3D構造はX線タンパク質結晶学によって公知であるが(Ravichandranら(1993);Li、Poulos(1997);Sevrioukovaら(1999))、ヒト2E1酵素は膜に結合しており、構造についての情報は何も得られていない。この理由から、2E1の触媒要素を保持していて、かつ、BM3の可溶性部分で置き換えられることで2E1の膜結合N末端部分が除去されているキメラの合理的設計を補助するために、P4502E1の3Dモデルを構築した。この3Dモデルの設計に用いた方法は以下の通りである。(1)X線構造が公知である関連のあるタンパク質4種(P450terp、P450cam、P450eryF、及び、P450BM3のBMP領域)を選択し、構造が保存された領域(SCR)を用いて、それらの配列をP4502E1の配列と共に並べた。(2)構造が変わり得る領域(VR)の配位を、相同性の程度により各VRに対してそれぞれ異なる鋳型を用いて割り当てた(VRの長さが異なる場合は、ループを調査することにより配位を割り当てた)。(3)可能性のある初期の側鎖のコンホメーションを調査し、より順応性のあるN末端及びC末端領域の配位を任意に割り当てた。(4)正確でない立体の接触(隆起)を、関連する回転異性体を手作業で正しい向きにすることによって修正した。(5)上記モデルを精錬してエネルギーを最小化した。
【0062】
上記3Dモデルの性質を、Biotech Validation Suite for Protein Structures(Laskowskiら(1993);http://biotech.ebi.ac.uk:8400)を用いて、解像度2.5Åで調べた。ラマチャンドランプロットの統計により、上記残基の92.4%が上記プロットの最も好ましい領域にあることが分かった。また、全体のG因子、すなわち上記モデルの立体化学的特性(ねじれ角及び共有結合の幾何配置)の性質の尺度は、−0.51であった。これらのパラメーターは、本研究における目標を設定するため、すなわちP450BM3と融合するヒト2E1酵素の残基を同定して可溶化を達成するために、現在の2E1モデルが適切であることを示唆する。上記モデルは現在更に改良が進んでおり、これにより、基質結合特性及び触媒特性に関連する将来の詳細な構造/機能研究が可能になるであろう。
【0063】
上記野生型P4502E1のモデルから得られた情報を、アイソザイムについての以前の研究(Shimojiら(1998);Pernecky(1995);Nelson、Strobel(1998);Jenkins、Waterman(1998))と共に上記キメラチトクロムP450、2E1−BM3を設計するために用いた。これを基にして、P450BM3のN末端の最初の54残基(断片I)、P4502E1の81番目の残基からC末端までの配列(断片II)、及び、P450BM3のレダクターゼ領域全部(断片III)を、DNAレベルで、上記可溶性2E1−BM3キメラの作成のために融合させる部分として選択した。この目的のために、親であるP450のBM3遺伝子及び2E1遺伝子を、プラスミドpT7BM3Z及びpCW2E1から、表Iに記載の適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、図6で説明している方法によって増幅した。
【0064】
断片Iを、上記P450BM3遺伝子の全配列を含むpT7BM3プラスミドから分離した。BamHI制限部位及びKpnI制限部位をそれぞれその末端に挿入した。断片IIを上記ヒトP4502E1遺伝子の配列を含むpCW2E1ベクターから分離し、KpnI制限部位及びAvrII制限部位をその末端に挿入した。KpnIで消化した断片を、あらかじめKpnI/EcoRVで消化したpBluescriptにクローニングした。断片IIIを、断片Iの場合に使用したのと同じpT7BM3ベクターから分離した。AvrII部位及びEcoRI部位をその末端に挿入し、EcoRIで消化した断片を、あらかじめEcoRV酵素及びEcoRI酵素で消化したpBluescriptにクローニングした。
【0065】
PCR法によって増幅した後、3つの断片を、それぞれのpBluescriptベクターから、設計した制限部位(それぞれ、断片IについてBamHI/KpnI、断片IIについてKpnI/AvrII、断片IIIについてAvrII/EcoRI)を用いて分離した。断片II及びIIIの配列を、pBluescriptに途中で連結した。上記3つの断片を共に含む1350塩基対の構造全体を、最終的にpT7ベクターに連結し、大腸菌における誘導発現のためのpT72E1/BM3プラスミドを得た。
【0066】
上記2E1−BM3キメラ2E1−BM3/1を、可溶性の形態で、大腸菌BL21(DE3)Cl細胞を用いて発現させることに成功した。発現実験の結果を図6に示す。図6中矢印で示した118kDaの2E1−BM3の発現をレーン3に示す。上記2E1−BM3キメラが細胞溶解物を超遠心した後の可溶性画分(レーン5及び6)に存在し、かつ、不溶性膜画分(レーン7)には存在しないということから、上記タンパク質が確かに可溶性であり、正しいサイズであることが分かる。高温(37℃)で増殖させると封入体が生成することが分かったため、至適増殖温度は28℃であることが分かった。清浄にした溶解物を還元するために亜ジチオン酸ナトリウムを添加し、一酸化炭素を添加する際に紫外−可視スペクトルを測定した。その結果を図7に示す。正しく折りたたまれていてかつ活性型のP450酵素に特有の450nmにおける吸光度を、上記2E1−BM3キメラを発現している大腸菌細胞由来の清浄にした溶解物について測定した(図7、太線)。450nmにおける同程度の吸光度が、上記BMP−FLDキメラが前の段階に記載しているように発現しているポジティブコントロールの実験においても見られた(図7、細線)。また、非形質転換大腸菌細胞溶解物についてのネガティブコントロールの実験においては、同じ実験条件で450nmにピークを示さなかった(図7、点線)。これらのことは、大腸菌は内性P450酵素を発現しておらず、かつ、2E1−BM3/1キメラが確かに折りたたみ構造の形態かつ活性型の形態で発現している、という公知の事実と一致する。これらの結果により、2E1−BM3キメラは、確かに可溶性の形態で大腸菌のサイトゾルにおいて発現しており、かつ、活性型のP450酵素のフィンガープリントを示すということが示唆される。
【0067】
(2E1−BM3/2)
図10に示す、酸化形態、還元形態及び一酸化炭素で還元した形態の紫外−可視スペクトルによって正しく理解できるように、上記キメラの2つ目のものは補因子のヘム、FAD及びFMNをより容易に含む。濃さがわずかに減少している。455〜485nmにおける肩状の部分は、フラビンが還元されているため、もはや存在しない。一酸化炭素を気泡注入した後では、ソーレーピークは完全に449nmにシフトしている。挿入物において、500〜600nmの領域は拡大している。亜ジチオン酸塩による還元後、535nm及び568nmにおいてはっきりとしたバンドが確認できる。タンパク質/一酸化炭素複合体の形成後、上記2本のバンドは、550nmまでのより広いバンドによって置き換えられる。
【0068】
最も示唆的なピークは、一酸化炭素によって還元されて複合体になったヘムに対する450nmにおける遷移、及び、上記酸化型タンパク質中のFAD及びFMNに特有の455〜485nmにおける肩状の部分(上記還元型FAD及び還元型FMNのスペクトルから予想されるように、これらの肩状の部分は上記還元型タンパク質においては消滅している)である。また、図11のスペクトルの差は、上記キメラがこの基質に容易に結合することを示す。図中、矢印はラウリン酸の濃度を増加させたことによる効果を示す。ラウリン酸存在下における上記2E1−BM3/2キメラの酸素消費を試験した結果から、このキメラが分子酸素と活発に反応して、基質を水酸化物に変えるということが分かる。この結果は、1回目のNADPHの添加(75nmol)については、毎分2.9nmolの酸素が基質の非存在下で消費され(22分間で63nmolの消費)、毎分3.8nmolの酸素が500mMのラウリン酸の存在下で消費された(16.5分間で62nmolの消費)ことを示す。2回目のNADPHの添加(75nmol)については、毎分1.45nmolの酸素が基質の非存在下で消費され(40分間で58nmolの消費)、毎分1.8nmolの酸素が500mMのラウリン酸の存在下で消費された(33分間で55nmolの消費)ことを示す。
【0069】
これらのデータ及び野生型BM3の公知の構造から、FAD及びFMNは、ヘムレダクターゼ部分を含む上記キメラに含まれる一部としてスカフォールド領域に貢献しているBM3に結合していることが想定される。更に、ヘムは2E1成分に結合しているということが予想される。
【0070】
<結論>
要するに、細菌P450BM3及びヒト2E1に対する分子Legoアプローチの可能性が証明された。非生理学的な2者間の、P450モジュールを含む効果的な電子伝達が首尾よく達成され、その遺伝子融合キメラタンパク質の活性型での発現に成功した。また、ヒトP4502E1を可溶化することができ、その還元型は一酸化炭素存在下で、450nmにおける特有の、折りたたみ構造のP450酵素に特徴的な吸収ピークを示した。
【0071】
この結果は、生物分析分野のための生体−分子ツールの構築へ続く段階を表しており、例えば、将来バイオレメディエーション的、薬理学的及びバイオセンシング的に応用するための人工酸化還元鎖に使用できる新規P450触媒モジュールを提供するものである。
【0072】
BM3−FLDキメラの構築、及び、電極への電子伝達に関連する方法におけるこのキメラの使用の構築に成功したこと、並びに、BM3スカフォールドを有する活性型可溶性哺乳類CYPキメラの形成に成功したことから、哺乳類CYP由来のヘム領域、BM3由来のスカフォールド部分、及び、電子を移動させて電極を形成するのに適切な電子伝達部分を含むキメラを構築できることが信じられる。
【0073】
【表3】

【0074】
<参照文献>
Barnes,H.J.,M.P.Arlotto,M.R.Waterman(1991).“Expression and enzymatic activity of recombinant cytochrome P450 17 alpha−hydroxylase in Escherichia coli.”Proceedings of the National Academy of Sciences 88:5597−5601.
Connolly,M.L.(1983)Solvent−accessible surfaces of proteins and nucleic acids.Science,221,709−713.
Cosme,J.,E.F.Johnson(2000).“Engineering Microsomal Cytochrome P450 2C5 to be a soluble, monomeric enzyme.”The Journal of Biological Chemistry 275(4);2545−2553.
Cuppvickery,J.R.,Poulos,T.(1995)Structure of P450eryF involved in erythromycin biosynthesis.Nature Struct.Biol.2(2),144−153.
Darwish,K.,Li,H.,Poulos,T.L.(1991)Engineering proteins, subcloning and hyperexpressing oxidoreductase genes.Prot.Engineering.,4,701−708.
Doray,B.,C.D.Chen,B.Kemper(1999).“Substitutions in the C−terminal portion of the catalytic domain partially reverse assembly defects introduced by mutations in the N−terminal linker sequence of cytochrome P450 2C2.”Biochemistry 38:12180−12186.
Ellis,S.W.,P.Y.Hayhurst,T.Lightfoot,G.Smith,J.Harlow,K.Rowland−yeo;C.Larsson,J.Mahling,C.K.Lim,C.R.Wolf,M.G.Blackburn,M.S.Lennard,G.T.Tucker(2000).“Evidence that serine 304 is not a key ligand−binding residue in the active site of cytochrome P450 2D6.”Biochemical Journal 345:565−571.
Gilardi,G.Meharenna,Y.T.,Tsotsou,G.E.,Sadeghi,S.J.,Fairhead,M.,Giannini,S.(2002)“Molecular Lego:design of molecular assemblies of P450 enzymes for nanobiotechnology”Biosens.Bioelec.17,133−145.
Gillam,E.M.J.,T.Baba,B.R.Kim,S.Ohmori,F.P.Guengerich(1993).“Expression of modified human cytochrome P450 3A4 in Escherichia coli and purification and reconstitution of the enzyme.”Archives of Biochemistry and Biophysics 305(1):123−131.
Gillam,E.M.J.,R.M.Wunsch,Y.F.Ueng,T.Schimada,P.E.B.Reily,T.Kamtaki,F.P.Guengerich(1997).“Expression of cytochrome P4503A7 in Escherichia coli:Effects of 5’modification and catalytic characterization of recombinant enzyme expressed in bicistronic format with NADPH−cytochrome P450 reductase.”Archives of Biochemistry and Biophysics 346(1):81−90.
Gillam E.M.J.,Guo Z.,Guengerich F.P.(1994)Expression of modified human cytochrome P450 2E1 in Escherichia coli, purification, and spectral and catalytic properties.Arch.Biochem Biophys.312,59−66.
Guengerich,F.P.(1999)Cytochrome P450:regulation and role in drug metabolism,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.39,1−17.
Hanna,I.H.,J.R.Reed,F.P.Guengerich,P.F.Hollenberg(2000).“Expression of human cytochrome P450 2B6 in Escherichia coli:Characterization of catalytic activity and expression levels in human liver.”Archives of Biochemistry and Biophysics 376(1):206−216.
Hasemann,C.A.,Ravichandran,K.G.,Peterson,J.A.,Deisenohofer,J.(1994)Crystal structure and refinement of cytochrome P450terp at 2.3Å resolution.J Mol Biol 236,1169−1185.
Hazzard,J.T.,Govindaraj,S.,Poulos,T.L.,Tollin,G.(1997)Electron transfer between the FMN and haem domains of cytochrome P450 BM3.J.Biol.Chem.,272,7922−7926.
Heering,H.A.,Hagen,W.R.(1996)Complex electrochemistry of flavodoxin at carbon−based electrodes:results from a combination of direct electron transfer,flavin−mediated electron transfer and comproportionation.J.Electroanal.Chem.,404,249−260.
Hosny,G.,L.J.Roman,M.H.Mostafa,B.S.S.Masters(1999).“Unique properties of purified, Escherichia coli−expressed constitutive cytochrome P450 4A5.”Archives of Biochemistry and Biophysics 366(2):199−206.
Jenkins,C.M.,Waterman,M.R.(1998)NADPH−flavodoxin reductase and flavodoxin from Escherichia coli as a soluble microsomal P450 reductase.Biochemistry,37,6106−6113.
Krey,G.D.,Vanin,E.F.,Swenson,R.P.(1988)Cloning,nucleotide sequence and expression of the flavodoxin gene from D.vulgaris(Hildenborough).J.Biol.Chem.,263,15436−15443.
Laskowski,R.A.,MacArthur,M.W.,Moss,D.S.,Thornton,J.M.(1993)PROCHECK:a programme to check the stereochemical quality of protein structure.J.Appl.Cryst.26,283−291.
Li,H.,Poulos,T.L.,(1997)The structure of the cytochrome P450 BM−3 haem domain complexed with the fatty acid substrate, plamitoleic acid.Nature Str.Biol.,4,140−146.
Li,H.,Darwish,K.,Poulos,T.(1991)Characterisation of recombinant B.megaterium cytochrome P450 BM3 and its functional domains.J.Biol.Chem.,266,11909−11914.
Licad−Coles,E.,K.HE,H.Yin,M.A.Correia(1997).“Cytochrome P450 2C11:Escherichia coli expression, purlification, functional characterization, and mechanism−based interaction of the enzyme.” Archives of Biochemistry and Biophysics 338(1):35−42.
Lieber,C.S.(1997)Cytochrome P450 2E1:its physiological and pathological role.Phys.Rev.77(2),518−538.
Narhi,L.O.,Fulco,A.J.(1986)Characterization of a catalytically self−sufficient 119,000−Dalton cytochrome P−450 monooxygenase induced by barbiturates in Bacillus megaterium.J.Biol.Chem.,261(16),7160−7169.
Narhi,L.O.,Fulco,A.J.(1987)Identification and characterization of two functional domains in cytochrome P−450 BM3, a catalytically self−sufficient monooxigenase induced by barbiturates in Bacillus megaterium.J.Biol.Chem.,262(14),6683−6690.
Nelson,D.R.,Strobel,H.W.(1998)On the membrane topology of vertebrate cytochrome P−450 proteins.J.Biol Chem.,263,6038−6050.
Pernecky,S.J.,Olken,N.M.,Bestervelt,L.L.,Coon,M.J.(1995)Subcellular localisation, aggreagtion state and catalytic activity of microsomal P450 cytochromes modified in the N−terminal region and expressed in E.coli.Arch.Biochem.Biophys.318(2),446−456.
Poulos,T.L.(1995)Cytochrome P450.Curr.Opin.Struct.Biol.,5,767−774.
Poulos,T.L.,Finzel,B.C.,Howard,A.J.(1986)Crystal structure of substrate−free Pseudomonas putida cytochrome P450.J Am Chem Soc 25,5314−5322.
Ravichandran,K.G.,Boddupalli,S.S.,Hasemann,C.A.,Peterson,J.A.,Deisenhofer,J.(1993)Crystal structure of hemoprotein domain of P450BM−3, a prototype for microsomal P450s.Science,261,731−736.
Richardson,T.H.,F.Jung,K.J.Griffin,M.Wester,J.L.Raucy,B.Kemper,L.M.Bornheim,C.Hassett,C.J.Omiencinski and E.F.Johnson(1995).“A universal approach to the expression of human & rabbit cytochrome P450’s of the 2C subfamily in Escherichia coli.”Archives of Biochemistry and Biophysics 323(1):87−96.
Ruettinger,R.T.,Wen,L−P,Fulco,A.J.(1989)“Coding nucleotide, 5’regulatory, and deduced amino acid sequences of P450 BM3, a single peptide cytochrome P450:NADPH−P450 reductase from Bacillus megaterium”J.Biol.Chem.264(19),10987−10995.
Sadeghi,.S.J.,Meharenna,Y.T.,Gilardi,G.(1999)Flavodoxin as a module for transferring electrons to different c−type and P450 cytochromes in artificial redox chains.In:Ghisla,S.,Kroneck,P.,Macheroux,P.,Sund,H.(Eds.),Flavins and flavoproteins.Agency for Scient.Publ.,Berlin,pp.163−166.
Sadeghi,S.J.,Meharenna,Y.T.,Fantuzzi,A.,Valetti,F.,Gilardi,G.(2000a)Engineering artificial redox chains by molecular Lego,Faraday Discuss.,116,135−153.
Sadeghi,S.,Valetti,F.,Cunha,C.A.,Romao,M.J.,Soares,C.M.,Gilardi,G.(2000b)Ionic strength dependence of the non−physiological electron transfer between flavodoxin and cytochrome c553 from D.vulgaris,J.Biol.Inorg.Chem.5(6),730−737.
Sadeghi,S.J.,Tsotsou,G.E.,Fairhead,M,,Meharenna,Y.T.,Gilardi,G.(2001)Rational design of P450 enzymes for biotechnology,In:Focus on Biotechnology.Physics and Chemistry Basis of Biotechnology.De Cuyper,M.,Bulte,J.(Eds),Kluwer Academic Publisher,in press.
Sagara,Y.,H.J.Barnes,M.R.Waterman(1993).“Expression in Escherichia coli of functional cytochrome P450C17 lacking its hydrophobic amino−terminal signal anchor.”Archives of Biochemistry and Biophysics 306(1):272−278.
Sandhu,P.,T.Baba,F.P.Guengerich(1993).“Expression of modified cytochrome P4502C10(2C9)in Escherichia coli, Purification and reconstitution of catalytic activity.”Archives of Biochemistry and Biophysics 306(2):443−450.
Sandhu,P.,Z.Guo,T.Baba,M.W.Martin,R.H.Tukey,F.P.Guengerich(1994).“Expression of modified human cytochrome P4501A2 in Escherichia coli:stabilization, purification, spectral characterization and catalitic activities of the enzyme.”Archives of Biochemistry an Biophysics 309(1):168−177.
Schimada,T.,R.M.Wunsch,I.H.Hanna,T.R.Sutter,F.P.Guengerich,E.M.J.Gillam(1998).“Recombinant human cytochrome P4501B1 expression in Escherichia coli.”Archives of Biochemistry and Biophysics 357(1):111−120.
Schumyantsena,V.V.,T.V.Bulko,N.N.Alexandrova Sokolov,R.D.Schmid,T.Bachmann,A.I.Archakov(1999).“N−terminal truncated cytochrome P450 2B4:catalytic activities and reduction with alternative electron sources.”Biochemical and Biophysical Research Communications.263:678−680.
Sevrioukova,I.F.,Hazzard,J.T.,Tollin,G.,Poulos,T.L.(1999)The FMN to Heme Electron Transfer in Cytochrome P450BM−3.J.Biol.Chem.,274(51),36097−36106.
Shimoji,M.,Yin,H.,Higgins,L.,Jones,J.P.(1998)Design of a novel P450:a functional bacterial−human cytochrome P450 chimera.Biochemistry 37,8848−‘52.
Soucek,P.(1999).“Expression of cytochrome P450 2A6 in Escherichia coli:Purification, spectral and catalytic characterization and preparation of polyclonal antibodies.”Archives of Biochemistry and Biophysics 370(2):190−200.
Strobel,S.M.,J.R.Halpert(1997).“Reassessment of cytochrome P4502B2:Catalytic specificity and identification of four active site residues.”Biochemistry 36:11697−11706.
Sueyosh,T.,L.J.Park,R.Moore,R.V.Juvonen,M.Neigishi(1995).“Molecular engineering of microsomal P450 2a−4 to a stable, water−soluble enzyme.”Archives of Biochemistry and Biophysics 323(1):265−271.
Szklarz,G.D.,Y.A.HE,J.R.Halpert(1995).“Site−directed mutagenesis as a tool for molecular modeling of cytochrome P450 2B1.”Biochemistry 34(14312−14323).
Tsotsou,G.E.,Cass,A.E.G.,Gilardi,G.(2002)High−throughput assay for cytochrome P450 BM3 for screening libraries of substrates and combinatorial mutants.Biosensors & Bioelectronics,17,119−130.
Umeno,M.,McBride,W.,Yang,.S.,Gelboin,H.V.,Gonzalez,F.J.(1988)“Human ethanol−inducible P4502E1:complete gene sequence, promoter characterisation, chromosome mapping and cDNA−directed expression”Biochemistry,27,9006−9013.
Valetti,F.,Sadeghi,S.J.,Meharenna,Y.,Gilardi,G.(1998)Engineering multi−domain redox proteins containing flavodoxin as bio−transformer:preparatory studies by rational design.Biosens.Bioelectron.13,675−685.
Watt,W.,Tulinsky,A.,Swenson,R.P.,Watenpaugh,K.D.(1991)Comparison of the crystal structures of a flavodoxin in its three oxidation states at cryogenic temperatures.J.Mol.Biol.,218,195−208.
Williams,P.A.,Cosme,J.,Sridhar,V.,Johnson,E.F.,McRee,D.E.(2000)Mammalian microsomal cytochrome P450 monooxygenase:Structural adaptations for membrane binding and functional diversity.Mol.Cell.,5,121−131.
Woods,S.T.,J.Sadleir,T.Downs,T.Triantopoulos,M.J.Headlam,R.C.Tuckey(1998).“Expression of catalytically active human cytochrome P450scc in Escherichia coli and mutagenesis of isoleucine−462.”Archives of Biochemistry and Biophysics 353(1):109−115.
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、P450BM3を作成して、(A)本発明者らが2002年8月3日の出願の中で請求しているように、電子伝達タンパク質フラボドキシンとの融合を通じて電気化学的に接近できるP450触媒領域を形成すること、及び、(B)ヒト膜結合P4502E1を、触媒として自給自足できるP450BM3の上記スカフォールド領域において選択した部分と融合させることによって、すなわち本発明によって、可溶化すること、を示す。
【図2】図2は、(A)アラキドン酸結合BMP(BMP−S)の、すなわち図1AのBM3−FLDキメラの、フラボドキシンセミキノン体(FLDsq)による、450nmにおいてストップフロー分光測定法により測定した、一酸化炭素存在下での還元、及び、(B)FLDsqとBMP−Sとの間の反応のイオン強度(I)の平方根に対する限定擬一次速度定数(klim)の値、を示す。
【図3】図3は、P450のBMPとFLDとの複合体の3Dモデルである。(A)は結合した複合体の側面である。(B)はAと同じ方向から見た複合体のリボン図解である。P450BMPを薄い色で左側に、FLDを濃い色で右側に、FMNをFLDの下部を満たす空間に、ヘムをBMPの中央を満たす空間に示す。(C)は開いた状態の複合体の概観を、Aと同じ方向から見たものではあるが、±90度回転させて開くことによって2つのタンパク質間の境界面を見えるように示す。
【図4】図4について、(A)はBMP−FLD融合タンパク質のモデル構造を示すもので、BMP領域を薄い色のリボンで、FLD領域を濃い色のリボンで、ヘムをBMP領域の中央を満たす空間に、システイン400を薄い色でヘム近傍を満たす空間に、FMNを薄い色でFLDの上部を満たす空間に、BMPとFLDの間の連結ループをモデルの下部に示す。(B)は、BMPの遺伝子とFLDの遺伝子を融合してBMP−FLDキメラを作成するための分子生物学的アプローチを示す。
【図5】図5は、ガラス質炭素電極における、ネオマイシンの不在下(1、細線)及び存在下(2、太線)での、BMP−FLD融合タンパク質のサイクリックボルタモグラムを示す。一酸化炭素を添加した場合に、ピークが高電位に偏移している(3、点線)。電位は飽和カロメル電極に対して記載している。
【図6】図6は、上部にクローニングを示す。2E1−BM3のキメラ2E1−BM3/1を発現させるための1つ目のプラスミドpT72E1/BM3を構築するのに用いた方法である。図の下部に、2E1−BM3キメラの発現を、すなわち2E1−BM3キメラの発現を表すSDS−PAGEゲルを示す。矢印は2E1−BM3キメラの位置(118kDa)を示す。レーン1及び8は、分子量マーカー(下から)53、76、116、170、212kDaを示す。レーン2は、BL21(DE3)Cl細胞の溶解物を示す。レーン4は、pT72E1/BM3プラスミドで形質転換し、1mMのIPTGで誘導されたBL21(DE3)Cl細胞(28℃において20時間増殖させた細胞)の溶解物を示す。レーン5はレーン3及び4と同じものを示すが、10,000gで遠心分離して膜画分及び封入体を除去した後のものである。レーン6はレーン3及び4と同じものを示すが、100,000gで遠心分離した後のものである。レーン7は、100,000gで遠心分離した後の沈殿物を示す。
【図7】図7は、大腸菌細胞の清浄にした溶解物の、亜ジチオン酸ナトリウムで還元して一酸化炭素を気泡注入した後における吸収スペクトルを示す。点線は形質転換していないもの、細線はBMP−FLDプラスミドによって形質転換したもの、太線は1つ目のプラスミド2E1−BM3によって形質転換したもの(2E1−BM3/1)について示す。
【図8】図8は、実施例中で作成した2種の2E1−BM3キメラ(2E1−BM3/1及び2E1−BM3/2)の構造を図示する。
【図9−a】図9−aは、2つ目の2E1−BM3キメラ、すなわち図8で説明したキメラの作成に用いたクローニングの行程を示す。
【図9−b】図9−bは、2つ目の2E1−BM3キメラ、すなわち図8で説明したキメラの作成に用いたクローニングの行程を示す。
【図9−c】図9−cは、2つ目の2E1−BM3キメラ、すなわち図8で説明したキメラの作成に用いたクローニングの行程を示す。
【図10】図10は、ヘム基を酸化形態、還元形態及び一酸化炭素存在下における還元形態で持つ、2つ目の2E1−BM3キメラ(2E1−BM3/2)の紫外−可視スペクトルを示す。
【図11】図11は、2つ目の2E1−BM3キメラ(2E1−BM3/2)のラウリン酸存在下における紫外−可視スペクトルの差を示す。
【図12】図12は、2つ目の2E1−BM3キメラのラウリン酸存在下における酸素消費量を示す。
【図13−a】図13−aは、ヒトCYP2E1の、Umenoら(1988)による、イントロンを含まない配列を示す。
【図13−b】図13−bは、ヒトCYP2E1の、Umenoら(1988)による、イントロンを含まない配列を示す。
【図14−a】図14−aは、巨大菌P450BM3の配列を示す。P450BM3をコードする部分に加えて、pT7Bm3Z構造上のP450BM3遺伝子に対するいくつかの5’調節領域(Darwishら(1991))を図に示す。3,147bpからなるオープンリーディングフレームを示す。T7RNAφ10プロモーターから始まるpT7Bm3Z構造の5’調節領域についても示す。各塩基トリプレットの上の数字は、初めのMetを0と数えたアミノ酸の通し番号である(Thrは、P450BM3のNH末端においてプロテインシークエンスによって検出された最初の残基である(Ruettingerら(1989))。)。上記配列の右側に、塩基の通し番号を(開始コドンから始まって60塩基毎に)示す。上記遺伝子に特有の制限部位を、下線を付して、対応する塩基の上に示す。
【図14−b】図14−bは、巨大菌P450BM3の配列を示す。P450BM3をコードする部分に加えて、pT7Bm3Z構造上のP450BM3遺伝子に対するいくつかの5’調節領域(Darwishら(1991))を図に示す。3,147bpからなるオープンリーディングフレームを示す。各塩基トリプレットの上の数字は、初めのMetを0と数えたアミノ酸の通し番号である(Thrは、P450BM3のNH末端においてプロテインシークエンスによって検出された最初の残基である(Ruettingerら(1989))。)。上記配列の右側に、塩基の通し番号を(開始コドンから始まって60塩基毎に)示す。上記遺伝子に特有の制限部位を、下線を付して、対応する塩基の上に示す。
【図14−c】図14−cは、巨大菌P450BM3の配列を示す。P450BM3をコードする部分に加えて、pT7Bm3Z構造上のP450BM3遺伝子に対するいくつかの5’調節領域(Darwishら(1991))を図に示す。3,147bpからなるオープンリーディングフレームを示す。各塩基トリプレットの上の数字は、初めのMetを0と数えたアミノ酸の通し番号である(Thrは、P450BM3のNH末端においてプロテインシークエンスによって検出された最初の残基である(Ruettingerら(1989))。)。上記配列の右側に、塩基の通し番号を(開始コドンから始まって60塩基毎に)示す。上記遺伝子に特有の制限部位を、下線を付して、対応する塩基の上に示す。また、ヘム領域とレダクターゼ領域との間のArg471〜Lys472の従来の境界についても示す。
【図14−d】図14−dは、巨大菌P450BM3の配列を示す。P450BM3をコードする部分に加えて、pT7Bm3Z構造上のP450BM3遺伝子に対するいくつかの5’調節領域(Darwishら(1991))を図に示す。3,147bpからなるオープンリーディングフレームを示す。各塩基トリプレットの上の数字は、初めのMetを0と数えたアミノ酸の通し番号である(Thrは、P450BM3のNH末端においてプロテインシークエンスによって検出された最初の残基である(Ruettingerら(1989))。)。上記配列の右側に、塩基の通し番号を(開始コドンから始まって60塩基毎に)示す。上記遺伝子に特有の制限部位を、下線を付して、対応する塩基の上に示す。また、FMN領域とFAD領域との間のAsp652〜Met653の境界についても示す。
【図14−e】図14−eは、巨大菌P450BM3の配列を示す。P450BM3をコードする部分に加えて、pT7Bm3Z構造上のP450BM3遺伝子に対するいくつかの5’調節領域(Darwishら(1991))を図に示す。3,147bpからなるオープンリーディングフレームを示す。各塩基トリプレットの上の数字は、初めのMetを0と数えたアミノ酸の通し番号である(Thrは、P450BM3のNH末端においてプロテインシークエンスによって検出された最初の残基である(Ruettingerら(1989))。)。上記配列の右側に、塩基の通し番号を(開始コドンから始まって60塩基毎に)示す。上記遺伝子に特有の制限部位を、下線を付して、対応する塩基の上に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スカフォールド領域及びモノオキシゲナーゼヘム含有領域を含み、前記スカフォールド領域はBM3由来であり、前記ヘム含有領域は植物又は動物のP450酵素に由来する
ことを特徴とする水溶性キメラタンパク質。
【請求項2】
電子を前記ヘム含有領域に移動させることができる電子伝達領域を不可欠に更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
前記電子伝達領域は、好ましくはBM3由来の、フラボタンパク質である
ことを特徴とする請求項2に記載のタンパク質。
【請求項4】
前記ヘム含有領域はヒトP450酵素、好ましくは2E1に由来する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項に記載のタンパク質。
【請求項5】
前記ヘム含有領域は野生型P450酵素又はその活性型(モノオキシゲナーゼ)変異体の連続する少なくとも200残基を含み、このうち20残基だけが除去又は変えられている
ことを特徴とする請求項4に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記ヘム含有領域は、前記野生型P450酵素のC末端を含有する、又は、前記C末端から50残基だけ内側から、少なくとも250個の、好ましくは少なくとも300個の残基を含む
ことを特徴とする請求項5に記載のタンパク質。
【請求項7】
前記野生型P450酵素に関して、10残基だけ、好ましくは5残基だけが除去又は変えられている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のタンパク質。
【請求項8】
前記スカフォールド領域が、野生型BM3タンパク質又はその変異体のN末端から少なくとも25残基、好ましくは少なくとも50残基を含み、このうち10残基だけが除去又は変えられている
ことを特徴とする前記いずれかの請求項に記載のタンパク質。
【請求項9】
スカフォールド領域及びモノオキシゲナーゼヘム含有領域を含み、前記スカフォールド領域はBM3由来であり、前記ヘム含有領域は植物又は動物のP450酵素に由来するキメラタンパク質が、反応混合物中で酸素の存在下に基質と接触しており、前記基質が酸化されて酸化物を生成する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記タンパク質が、電子を前記ヘム含有領域に移動させることができる電子伝達領域を不可欠に更に含み、電子を前記ヘム含有領域に移動させる行程において、前記電子伝達領域がその酸化形態に変えられる
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子伝達領域が、NAD(P)H又は電極からの電子の移動によってその還元形態に戻される
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基質が分析対象物であり、前記酸化反応の程度を測定し、これによって前記反応混合物中の分析物の存在又は濃度を決定する
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
電子の移動がNAD(P)Hからであり、前記酸化反応の程度がNAD(P)産生を監視することによって決定される
ことを特徴とする請求項11及び12に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化反応の程度が酸素消費を監視することによって決定される
ことを特徴とする請求項11及び12に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載のタンパク質を合成するために形質転換された細菌。
【請求項16】
大腸菌である
ことを特徴とする請求項15に記載の細菌。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれかに記載のタンパク質を発現させることができる遺伝子を含むプラスミド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9−a】
image rotate

【図9−b】
image rotate

【図9−c】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13−a】
image rotate

【図13−b】
image rotate

【図14−a】
image rotate

【図14−b】
image rotate

【図14−c】
image rotate

【図14−d】
image rotate

【図14−e】
image rotate


【公開番号】特開2008−220385(P2008−220385A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140087(P2008−140087)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【分割の表示】特願2003−519471(P2003−519471)の分割
【原出願日】平成14年8月8日(2002.8.8)
【出願人】(504044126)ナノバイオデザイン リミテッド (2)
【Fターム(参考)】