説明

商品データ処理方法

【課題】商品識別コードを入力することなく商品を入手するといった不正を、低消費電力及び低コストで実現する。
【解決手段】コード読取りステップにより読取られた商品識別コードが、各種商品の商品識別コード別にそのコードで特定される商品に関する設定データを記憶してなる商品マスタファイルに記憶済か否かを判定する。記憶済であると判定されると、それに応じて当該商品識別コードで特定される商品を撮影する。そして、撮影された商品の画像データを当該商品の商品識別コードと関連付けて記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店等において、客が買上げる商品に関するデータの入力に供せられる商品データ処理装置のデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店におけるレジでの会計業務の簡略化を図るシステムの一例として、通信端末を用いたシステムが考えられている。このシステムでは、商品を収納可能なショッピングカートにバーコードリーダ付の通信端末を取り付ける。そして、カートを使用する買物客は、自身が買上げる商品をカートに収容する際に、その商品に付与されているバーコードを上記バーコードリーダで読取らせる。バーコードは、その商品固有の商品識別コードをバーコード化したものである。上記バーコードリーダでバーコードが読取られると、通信端末では、そのバーコードから得られる商品識別コードに基づいて価格テーブルから当該商品の価格が読み出される。価格は、商品識別コードとともにメモリに記憶される。
【0003】
一方、買物を終えた客は、ショッピングカートとともに店のレジへ行く。レジには、上記通信端末と通信が可能なPOS端末が設置されている。レジでは、通信端末のメモリに記憶されている商品識別コードと価格のデータがPOS端末によって読み出される。これによりPOS端末では、読み込んだ商品識別コードと価格のデータに基づいて商品販売データが処理され、合計が算出される。そして、この算出された合計に基づいて客との会計が処理される。したがって、客自身によって購入する商品の商品識別コードが入力されるので、従来、レジで実施されていた店員による商品識別コードの入力操作を省略することができ、会計業務の簡略化を図ることができる。
【0004】
この種のシステムにおいて、従来、カート内に収容される商品の映像を、バーコードリーダによるバーコードの読取り位置を中心にビデオカメラで撮影し、その撮影した映像をCRTで表示することで、客がバーコードを読取らせることなく商品をカートに収容するといった不正を監視するようにした技術は既に考えられている。さらに、ビデオカメラにて撮影した映像に画像処理を施し、商品がカートに収容される際にバーコードリーダがバーコードを読取ったか否かを検出することで、上記不正を自動的に監視することも考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08-147560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術において、上述したように商品がカートに収容される際にバーコードリーダがバーコードを読取ったか否かを検出するためには、バーコードリーダによるバーコードの読取り位置をビデオカメラによって連続して撮影していなければならない。また、撮影した映像に複雑な画像処理を施さなければならない。このため、消費電力が大きくなる懸念がある上、煩雑な画像処理が要求され、コスト高になるといった問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、客自身が購入する商品の商品識別コードを入力する方式において、商品識別コードを入力することなく商品を入手するといった不正を、低消費電力及び低コストのシステムで抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、客購入対象の商品に付与された商品固有の商品識別コードを読取るコード読取りステップと、各種商品の前記商品識別コード別にそのコードで特定される商品に関する設定データを記憶してなる商品マスタファイルに、コード読取りステップにより読取られた商品識別コードが記憶済か否かを判定するコード判定ステップと、コード読取りステップにより読取られた商品識別コードが商品マスタファイルに記憶済であるとコード判定ステップによって判定されたことに応じて当該商品識別コードで特定される商品を撮影する撮影ステップと、この撮影ステップにより撮影された商品の画像データを当該商品の商品識別コードと関連付けて記憶させるデータ処理ステップとを備えた商品データ処理方法にある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態であるPOSシステムの概略構成を示す模式図。
【図2】同実施の形態において使用するカート端末の外観構成を示す斜視図。
【図3】同カート端末の要部構成を示すブロック図。
【図4】同カート端末がショッピングカートに取り付けられている状態を示す模式図。
【図5】同カート端末で商品のバーコードを読取り操作している状態を示す模式図。
【図6】同カート端末で撮影された画像の一例を示す模式図。
【図7】同カート端末のCPUが実行する要部処理手順を示す流れ図。
【図8】同実施の形態において、買上商品データ伝文を受信したときの店舗サーバの処理手順を示す流れ図。
【図9】同実施の形態において、取消商品データ伝文を受信したときの店舗サーバの処理手順を示す流れ図。
【図10】同実施の形態において、カート端末別テーブルの一構成例を示す模式図。
【図11】同実施の形態において、端末ID問合せ伝文を受信したときの店舗サーバの処理手順を示す流れ図。
【図12】同実施の形態において使用するPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図13】同POS端末のCPUが実行するスキャニング処理の要部処理手順を示す流れ図。
【図14】同実施の形態において、POS端末のディスプレイに表示される通常の商品登録画面の構成を示す模式図。
【図15】同実施の形態において、POS端末のディスプレイに表示される撮影画像を含む商品登録画面の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、ショッピングカートが導入されているスーパーマーケット等の小売店に構築されるPOSシステムに本発明を適用した場合である。
【0011】
図1は本実施の形態におけるPOSシステムの概略構成を示す模式図である。このPOSシステムは、複数台のカート端末1を備えている。また、各カート端末1と無線を利用したデータ通信が可能な1乃至複数台の無線基地局2と、店のレジ(会計場所)に設置されている1乃至複数台のPOS端末3と、店舗管理の中枢を担う店舗サーバ4とを備えている。店舗サーバ4と各無線基地局2及び各POS端末3とは、LAN(Local Area Network)5で接続されている。
【0012】
店舗サーバ4は、商品マスタファイル6を管理する機能を有している。また、後述するカート端末別テーブル7を適時更新する機能を有している。商品マスタファイル6には、各種商品を識別するために商品毎に付与された商品固有の商品識別コードにそれぞれ対応して、商品名,単価等の商品設定データが予め記憶されている。なお、図5に示すように、店舗で販売されている各種の商品8には、その商品固有の商品識別コードをバーコード化してなるバーコード9が商品本体への印刷あるいはバーコードラベルの貼付け等によって付与されている。
【0013】
図2は前記カート端末1の外観構成を示す斜視図であり、図3は同カート端末1の要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、カート端末1は、筐体10の表面を各種のキー12と表示部13とからなる操作パネル11としている。また、筐体10の前面に、アンテナ14と窓15とを形成している。またカート端末1は、図3に示すように、制御部本体を構成するCPU(Central Processing Unit)16、プログラム等の固定的データが予め格納されたROM(Read Only Memory)17、各種データを一時的に記憶するためのメモリエリアが形成されるRAM(Random Access Memory)18の他、無線を利用して前記店舗サーバと通信を行う通信手段としての無線部19、バーコードを光学的に読取るコード読取り手段としてのバーコードリーダ20、商品を撮影する撮影手段としてのCCDカメラ21を内蔵している。ここに、カート端末1は、本発明の商品データ処理装置として機能する。
【0014】
かかる構成のカート端末1は、図4に示すように、ショッピングカート30における商品収納部30Aの近傍に、窓15を商品収納部30A側に向けた状態で1台ずつ取り付けられている。しかして、図5に示すように、商品8を窓15から所定の距離だけ離した状態で当該商品8に付与されたバーコード9を窓15に向けると、当該カート端末1に内蔵されたバーコードリーダ20によって上記バーコード9がスキャニングされて、バーコードデータが読取られるようになっている。また、それと略同時に、当該カート端末1に内蔵されたCCDカメラ21によって商品8を含む領域が撮影されるようになっている。図6にCCDカメラ21による撮影画像Gの一例を示す。図示するように撮影画像Gには、窓15にバーコード9を向けて商品8をかざしている様子が撮影されている。
【0015】
各カート端末1のROM17には、当該カート端末1固有の端末IDがプリセットされている。また、この端末IDのバーコードが印刷されたバーコードラベル22が、操作パネル11の表面に貼り付けられている。端末IDは、カート端末1毎に異なるように予め割当られたデータであり、各カート端末1の識別情報として機能する。
【0016】
図7は上記カート端末1のCPU16が実行する要部処理手順を示す流れ図である。先ず、CPU16は、ST(ステップ)1として操作パネル11のいずれかのキー12が操作入力されたか否かを判断する。そして、キー12が操作入力されていないと判断すると、ST2としてバーコードリーダ20によりバーコードが読取られたか否かを判断する。そして、バーコードが読み取られていないと判断すると、ST1の処理に戻る。すなわちCPU16は、キー12が入力されるか、バーコードが読取られるのを待機している。
【0017】
ここで、キー12が操作入力されたことを検知した場合には(ST1のYES)、CPU16は、ST3として操作入力されたキー12の種類を調べる。そして、操作キーが取消キーであった場合には(ST3のYES)、CPU16は、ST4としてRAM18のフラグエリアに取消フラグをセットする。操作キーが取消キー以外のキーであった場合には、そのキーの種類に応じた処理を実行する。その後、ST1の処理に戻る。
【0018】
一方、バーコードリーダ20によりバーコードが読取られたことを検知した場合には(ST2のYES)、CPU16は、ST5としてバーコード問合せ伝文を作成する。この伝文には、バーコードリーダ20によって読取られたバーコードデータが含まれる。そして、このバーコード問合せ伝文を無線部19から店舗サーバ4を宛先として無線送信する。
【0019】
無線送信された問合せ伝文は、いずれかの無線基地局2で受信され、LAN5を経由して店舗サーバ4に伝送される。これにより、店舗サーバ4では、受信した問合せ伝文からバーコードデータを取得しこれを解析する。その結果、バーコードデータが各種商品にそれぞれ付与される商品識別コードのバーコードデータであった場合には、その商品識別コードで商品マスタファイル6を検索する。そして、当該商品識別コードに対応して予め設定されている商品名,単価等の商品設定データを商品マスタファイル6から読み出す。そして、この商品識別コード及び商品設定データを含む商品データ応答伝文を作成し、LAN5経由で所定の無線基地局2に伝送する。これにより、この商品データ応答伝文が無線基地局2から無線送信され、問合せ伝文送信元のカート端末1によって受信される。
【0020】
なお、バーコードデータが商品識別コードのバーコードデータでなかった場合、あるいは該当する商品識別コードが商品マスタファイル6に設定されていなかった場合には、上記商品データ応答伝文は送信されない。
【0021】
このように、カート端末1のバーコードリーダ20で読取られたバーコードデータに対応する商品識別コードが商品マスタファイル6に設定されていた場合には、店舗サーバ4から商品データ応答伝文が返信される。しかし、設定されていない場合には上記商品データ応答伝文が返信されない。そこで、カート端末1のCPU16は、バーコード問合せ伝文を送信後、ST6として上記商品データ応答伝文を受信したか否かを判断する(コード判定手段)。そして、所定時間内に商品データ応答伝文を受信できなかった場合には、他の処理を実行する。
【0022】
これに対し、所定時間内に上記商品データ応答伝文を受信した場合には(ST6のYES)、CPU16は、ST7としてRAM18のフラグエリアに前記取消フラグがセットされているか否かを判断する。セットされていない場合には、客が購入する商品のバーコードがバーコードリーダ20によって読取られたものとみなす。
【0023】
この場合、CPU16は、ST8としてCCDカメラ21に対してカメラ撮影信号を出力する(撮影手段)。これにより、CCDカメラ21が撮影動作を行うので、CPU16は、ST9としてCCDカメラ21から撮像データを取得する。そして撮影データを取得できたならば、CPU16は、ST10としてバーコードリーダ20から読取り確定音を鳴動させる(報知手段)。次いで、CPU16は、ST11として買上商品データ伝文を作成する。この伝文には、受信した応答伝文に含まれる商品データ(商品識別コード,商品名,単価)と、CCDカメラ21によって撮影された画像データと、ROM17に記憶されている端末IDとが含まれる。すなわち、CCDカメラ21によって撮影された商品の画像データが、当該商品の商品識別コードと関連付けられて処理される(データ処理手段)。しかる後、CPU16は、ST12としてこの買上商品データ伝文を無線部19から店舗サーバ4を宛先として無線送信する。
【0024】
一方、RAM18のフラグエリアに前記取消フラグがセットされていた場合には(ST7のYES)、客が購入を取り止めた商品のバーコードがバーコードリーダ20によって読取られたものとみなす。
【0025】
この場合、CPU16は、ST13としてバーコードリーダ20から読取り確定音を鳴動させる。次いで、CPU16は、ST14として取消商品データ伝文を作成する。この伝文には、受信した応答伝文に含まれる商品データ(商品識別コード,商品名,単価)と、ROM17に記憶されている端末IDとが含まれる。しかる後、CPU16は、ST15としてこの取消商品データ伝文を無線部19から店舗サーバ4を宛先として無線送信する。また、ST16としてRAM18のフラグエリアから前記取消フラグをリセットする。
【0026】
さて、カート端末1から無線送信された買上商品データ伝文または取消商品データ伝文は、いずれかの無線基地局2で受信され、LAN5を経由して店舗サーバ4に伝送される。これにより、店舗サーバ4では、図8または図9の流れ図で示す処理が実行される。
【0027】
図8は、買上商品データ伝文を受信したときの店舗サーバ4の処理手順を示す流れ図である。すなわち店舗サーバ4は、ST21として受信した買上商品データ伝文から端末IDを検出する。次いで、ST22としてこの端末IDが設定されたカート端末別テーブル7を既に所持しているか否かを判断する。そして、該当するカート端末別テーブル7をまだ所持していない場合には(ST23のNO)、店舗サーバ4は、ST24として当該端末IDが設定された新規のカート端末別テーブル7を作成して所持する。
【0028】
図10はカート端末別テーブル7の一構成例を示す模式図である。図示するように、カート端末別テーブル7は、1種類の端末IDに対して、商品識別コード,商品名,単価,点数及び金額からなる商品販売データを撮像データとともに複数蓄積可能であるとともに、上記点数及び金額の各合計データを算出可能となっている。ここに、端末IDは、カート端末1のデータ処理手段により商品識別コードと関連付けられて処理された画像データを識別するデータ識別情報として機能する。
【0029】
次いで、店舗サーバ4は、ST25として受信した買上商品データ伝文から取得した端末IDが設定されているカート端末別テーブル7に、同買上商品データ伝文中の商品データ(商品識別コード,商品名,単価)及び点数=1,金額=単価の販売データと、撮像データとを対にして書き込む。また、ST26としてこのカート端末別テーブル7の販売データから点数及び金額の合計データを算出する。そして、ST27としてこの合計データが含まれる処理完了応答伝文を作成し、LAN5経由で所定の無線基地局2に伝送する。これにより、この処理完了応答伝文が無線基地局2から無線送信され、前記買上商品データ伝文送信元のカート端末1によって受信される。
【0030】
図9は、取消商品データ伝文を受信したときの店舗サーバ4の処理手順を示す流れ図である。すなわち店舗サーバ4は、ST31として受信した取消商品データ伝文から端末IDを検出する。次いで、ST32としてこの端末IDが設定されたカート端末別テーブル7を既に所持しているか否かを判断する。そして、該当するカート端末別テーブル7を既に所持している場合には(ST33のYES)、店舗サーバ4は、ST34としてそのカート端末IDテーブル7に、当該取消商品データ中の商品データ(商品識別コード,商品名,単価)と一致するデータが格納されているか否かを判断する。
【0031】
ここで、該当する商品データが格納されている場合には、この端末IDテーブル7からその商品データ及びそれに対応して記憶されている点数及び金額の販売データと撮像データとを削除する。しかる後、ST37としてこの端末IDテーブル7の商品販売データから点数及び金額の合計データを算出する。そして、ST38としてこの合計データが含まれる処理完了応答伝文を作成し、LAN5経由で所定の無線基地局2に伝送する。これにより、この処理完了応答伝文が無線基地局2から無線送信され、前記取消商品データ伝文送信元のカート端末1によって受信される。
【0032】
なお、受信した取消商品データ伝文から検出された端末IDが設定されたカート別テーブル7が存在しない場合(ST33のNO)、あるいは受信した取消商品データ伝文から検出された端末IDが設定されたカート端末別テーブル7に、同取消商品データ伝文中の商品データと一致するデータが記憶されていない場合(ST35のNO)には、ST39として取消不可応答伝文を作成し、LAN5経由で所定の無線基地局2に伝送する。これにより、この取消不可応答伝文が無線基地局2から無線送信され、前記取消商品データ伝文送信元のカート端末1によって受信される。
【0033】
このように、カート端末1から店舗サーバ4に買上商品データ伝文または取消商品データ伝文が無線送信されると、通常は、店舗サーバ4から合計データを含む処理完了応答伝文が返信される。そこで、カート端末1のCPU16は、ST17としてこの処理完了応答伝文を待機する。そして、所定時間内に処理完了応答伝文を受信したならば(ST17のYES)、この伝文中の合計データである点数及び金額のデータを操作パネル11の表示部13に表示させる。しかる後、ST1の処理に戻るようになっている。
【0034】
このように構成されたカート端末1を備えた本実施の形態においては、買物客は当該カート端末1が取り付けられたショッピングカート30を押しながら店内を回る。そして、購入を希望する商品8があると、その商品8を手に持ち、バーコード9が付与されている面をカート端末1の窓15にかざす。
【0035】
これにより、当該カート端末1に内蔵されたバーコードリーダ20によって上記バーコード9が読取られる。そして、このバーコードの問合せ伝文が店舗サーバ4に送信される。これにより、店舗サーバ4では、当該バーコードに対応する商品識別コードが商品マスタファイル6に記憶されているか否かが判定される。その結果、記憶されていた場合には、この商品識別コードに対応して商品マスタファイル6に設定されている商品名,単価等の商品設定データを含む商品データ応答伝文が店舗サーバ4から無線伝送される。
【0036】
この商品データ応答伝文は、問合せ伝文送信元のカート端末1によって受信される。そして、この商品データ応答伝文を受信したカート端末1においては、CCDカメラ21が自動的に撮影動作する。これにより、図6に示すように、バーコード9を向けて商品8をかざしている様子がCCDカメラ21によって撮影される。撮影後、バーコードリーダ20から読取り確定音が発せられる。そこで買物客は、窓15にかざした商品8をカート30の商品収納部30Aに収納する。
【0037】
また、カート端末1においては、CCDカメラ21によって撮影された画像データと、その直前にバーコードリーダ20によって読取られたバーコードから変換された商品識別コードとが関連付けられて買上商品データ伝文が作成される。そして、この買上商品データ伝文が店舗サーバ4に無線送信される。これにより、店舗サーバ4においては、当該カート端末1固有の端末ID別に形成されたカート端末別テーブル7に、商品識別コード,商品名,単価,点数,金額の商品販売データと画像データとが対応付けられて格納される。
【0038】
したがって、客自身が購入する商品8のバーコード9を1品ずつカート端末1のバーコードリーダ20で読取らせることによって、その商品8毎に、商品識別コードを含む商品販売データと、その商品8をバーコードリーダ20にかざしている様子を撮影した画像データとが関連付けられて、当該カート端末1の端末IDが設定されたカート端末別テーブル7に蓄積保存される。
【0039】
なお、一旦、カート30の商品収納部30Aに収納した商品8の購入を会計前に取り止める場合には、カート端末1の取消キーを操作入力した後、この商品8のバーコード9をバーコードリーダ20で読取らせる。そうすると、当該カート端末1の端末IDが設定されたカート端末別テーブル7から当該商品に関する販売データ及び画像データが削除される。
【0040】
さて、買物客は買物を終えると、会計のためにカート30を押してレジへ行く。レジには、本発明のPOSシステムにおいて決済装置として機能するPOS端末3が設置されている。
【0041】
図12はPOS端末3の要部構成を示すブロック図である。POS端末3は、CPU31,ROM32及びRAM33の他、現在日時を計時する時計部34、LAN5を介して接続された店舗サーバ4等とのデータ通信を制御する通信インターフェイス35、テンキーや締めキー等が配設されたキーボード36、オペレータ用のディスプレイ37、客用のディスプレイ38、レシート印字等を行うためのプリンタ39及びバーコードリーダ40を備えている。
【0042】
かかる構成のPOS端末3は、入力手段を構成するバーコードリーダ40によってバーコードが読取られると、CPU31が図13の流れ図に示すスキャニング処理を実行するようにプログラム構成されている。
【0043】
すなわちCPU31は、先ず、ST51としてバーコードリーダ40で読取られたバーコードが、各カート端末1に貼り付けられているバーコードラベル22のバーコード、すなわち端末IDのバーコードか否かを判断する。そして、端末IDのバーコードであった場合には、CPU31は、ST52としてこのバーコードを解析して得た端末IDを含む問合せ伝文を作成し、通信インターフェイス35を介して店舗サーバ4に送信する。
【0044】
これにより、店舗サーバ4においては、図11の流れ図で示す処理が実行される。すなわち店舗サーバ4は、ST41として受信した問合せ伝文から端末IDを検出する。そして、ST42としてこの端末IDが設定されたカート端末別テーブル7が存在するか否かを判断する。ここで、該当する端末IDが設定された端末別テーブル7が存在する場合には(ST43のYES)、店舗サーバ4は、ST44としてこのカート端末別テーブル7に蓄積保存されている商品販売データ及びそれに対応する画像データを読み出す。そして、これらのデータを含む応答伝文を作成し、問合せ伝文送信元のPOS端末3に、LAN5を経由して送信する。しかる後、このカート端末別テーブル7を削除する。
【0045】
一方、該当するカート端末別テーブル7が存在しない場合には(ST43のNO)、CPU31は、ST46としてエラー応答を問合せ伝文送信元のPOS端末3に、LAN5を経由して送信する。この場合は、カート端末別テーブル7を削除しない。
【0046】
そこで、端末IDの問合せ伝文を送信したPOS端末3のCPU31は、ST53として店舗サーバ4からの応答を待機する。そして、所定時間内に通信インターフェイス35を介して商品販売データ及びそれに対応する画像データを含むデータ応答伝文を受信したならば、この受信伝文から商品販売データ及びそれに対応する画像データを取得する(データ取得手段)。そして、ST54として画像データの一覧を含む商品登録画面を編集し、オペレータ用ディスプレイ37及び客用ディスプレイ38に表示する(表示手段)。その後、ST55としてキーボード36の確認キーが操作入力されたことを検知した場合には、CPU31は、オペレータ用ディスプレイ37及び客用ディスプレイ38の画面を通常の商品登録画面に戻す。そして、次処理,例えば不足商品の追加登録処理や商取引の決済処理に移行する。
【0047】
当初、オペレータ用ディスプレイ37及び客用ディスプレイ38には、図14に示すようなレイアウトの通常の商品登録画面60が表示されている。この画面60には、客が購入する商品の商品名,単価,点数,金額の商品明細エリア61と、その合計点数,値引合計額,小計金額,外税額,請求金額,預り金額及び釣銭額の取引明細エリアとが形成されている。
【0048】
この状態で、ショッピングカート30に取り付けられているカート端末1のバーコード(端末ID)がバーコードリーダ40で読取られると、店舗サーバ4から当該端末IDに対応するカート端末別テーブル7に蓄積保存されている商品販売データ及び画像データが読み出される。そして、このデータに基づいて、図15に示すようなレイアウトの撮影画像を含む商品登録画面70がオペレータ用ディスプレイ37及び客用ディスプレイ38に表示される。すなわち、この画面70には、商品明細エリア61に代えて、カート端末別テーブル7に蓄積保存されていた各画像データの撮影画像71が、当該画像データに対応する商品名72とともに一覧表示される。
【0049】
各撮影画像71は、図6に示すように、バーコード9を向けて商品8をかざしている様子を示すものである。そして、この撮影画像71に撮影されている商品8は、前述したように客が正しくその商品のバーコード9を読取操作していれば、ショッピングカート30の商品収納部30Aに収納されているはずである。そこで、レジ担当の店員は、各撮影画像71に撮影されている商品とショッピングカート30の商品収納部30A内に収容されている商品とを比較照合する。
【0050】
そして、商品収納部30A内に収容されている商品の撮影画像71が存在する場合には、その商品の商品識別コードは入力済であると認識する。これに対し、商品収納部30A内に収容されている商品の撮影画像71が存在しない場合には、その商品は商品識別コードが未入力であると認識する。逆に、撮影画像71が残っているものの商品収納部30Aに存在しない商品は、取消漏れの商品と認識する。
【0051】
比較照合を終えたならば、店員はキーボード36の確認キーを押下する。そうすると、オペレータ用ディスプレイ37及び客用ディスプレイ38の画面が、図14に示した通常の商品登録画面60に戻る。そして、この登録画面60の明細エリア61に、各撮影画像71の画像データに対応する商品販売データの商品名,単価,点数及び金額が表示される。
【0052】
そこで店員は、商品識別コードが未入力の商品については追加登録操作を行う。また、取消漏れの商品については取消操作を行う。かくして、客の買上商品が確定するので、締めキーを操作して当該客との商取引を終了させる。
【0053】
このように本実施の形態においては、カート端末1のバーコードリーダ20を用いて客が自身で購入対象商品8のバーコード9を読取り操作した際に、その様子がCCDカメラ21によって撮影され、その画像が、当該客の会計の際にPOS端末3のオペレータ用ディスプレイ37に表示されるので、たとえバーコード9を読取り操作することなくショッピングカート30に収容された商品があっても、レジで容易に検出することができる。したがって、客自身が購入する商品のバーコードを入力する方式において、バーコードを入力することなく商品を入手するといった不正を防ぐことができる。また、バーコードをかざしている様子が客用ディスプレイ38にも表示されるので、不正の抑止効果も大きい。
【0054】
しかも、本実施の形態では、カート端末1においてバーコード9の読取りが確定したタイミング、すなわちバーコードに対応する商品識別コードが商品マスタファイル6に記憶されていることが判定されたタイミングでのみ、CCDカメラ21による撮影動作を行っている。したがって、ビデオカメラによって連続して撮影していなければならない従来技術と比較して消費電力を大幅に低減できる効果を奏する。
【0055】
また、CCDカメラ21による撮影が終わった後にバーコードの読取り確定音を発するようにしたので、撮影が終わる前に客が商品8をカート30に入れてしまうような不具合も防止することができる。
【0056】
CCDカメラ21によって撮影された画像をそのまま保持し、POS端末3で表示しているので、撮影した映像に複雑な画像処理を施す必要もない。したがって、複雑な画像処理が要求される従来技術と比較してコストを低減できる効果も奏する。
【0057】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0058】
例えば前記実施の形態では、本発明の商品データ処理装置をカート端末1として説明したが、セルフチェックアウトシステムにおけるスキャナ装置に本発明を適用してもよい。また、コード読取り手段によって読取られる商品識別コードはバーコードに限定されるものではなく、二次元データコードや文字列等であってもよい。また、各商品にそれぞれ固有のIDを記憶したRFIDタグを付して商品を個体管理する方式が導入される場合においては、RFIDタグのデータを非接触で読取るRFIDタグリーダをコード読取り手段として適用することができる。
【0059】
また、前記実施の形態では、撮像手段を構成するCCDカメラ21がカート端末1の本体に内蔵されている場合を示したが、CCDカメラ21をカート端末1とは別体とし、客が商品8のバーコード9を読取り操作している様子を的確に撮影できる位置にCCDカメラ21を取り付けるようにしてもよい。
【0060】
また、前記実施の形態では、各カート端末1で処理された商品の画像データと当該商品の販売データとを、店舗サーバ4で一元的に記憶管理するようにしたが、カート端末1毎にメモリで記憶保持するようにし、POS端末3が各カート端末1から直接メモリのデータを読み出して決済処理するようにしてもよい。また、各カート端末1から所定のモニタに無線伝送して、バーコードをかざしている様子をその商品データとともにリアルタイムに表示するようにしても、不正防止の抑止効果として大きいものとなる。
【0061】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…カート端末、2…無線基地局、3…POS端末、4…店舗サーバ、6…商品マスタファイル、7…カート端末別テーブル、30…ショッピングカート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
客購入対象の商品に付与された商品固有の商品識別コードを読取るコード読取りステップと、
各種商品の前記商品識別コード別にそのコードで特定される商品に関する設定データを記憶してなる商品マスタファイルに、前記コード読取りステップにより読取られた商品識別コードが記憶済か否かを判定するコード判定ステップと、
前記コード読取りステップにより読取られた商品識別コードが前記商品マスタファイルに記憶済であると前記コード判定ステップによって判定されたことに応じて当該商品識別コードで特定される商品を撮影する撮影ステップと、
この撮影ステップにより撮影された商品の画像データを当該商品の商品識別コードと関連付けて記憶させるデータ処理ステップと、
を備えたことを特徴とする商品データ処理方法。
【請求項2】
前記データ処理ステップが前記商品の画像データと当該商品の商品識別コードとを関連付けて記憶させる領域は、装置固有のIDで特定される記憶領域であることを特徴とする請求項1記載の商品データ処理方法。
【請求項3】
前記記憶領域は、前記商品マスタファイルを管理するサーバに形成されることを特徴とする請求項2記載の商品データ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−190488(P2012−190488A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144372(P2012−144372)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2006−172944(P2006−172944)の分割
【原出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】