説明

商品包装材

【課題】商品を脱落させずに包装することが可能な商品包装材を提供する。
【解決手段】商品包装材10は、正面シート11と背面シート12とが横方向に連なって構成されるシート本体13と、正面シートおよび背面シートの双方から縦方向に伸びる係合シート14,15とを備える。また、係合シートの先端には、折り曲げ自在となる係合片21,31が形成される。この係合シートは、正面シートや背面シートに対して折り曲げられ、商品Xを包装する際には係合シートが正面シートと背面シートとの間に配置される。さらに、係合シートの係合片は上方に向けて折り返された状態となっており、包装時には商品の布地Xa,Xbに対して係合片のそれぞれが食い込んだ状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材料を折り曲げて形成される商品包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーや百貨店等においては、トランクス、ショーツ、ガードル等の商品をコンパクトに見栄え良く陳列するため、これらの商品を包装材によって包装するとともに陳列棚に吊り下げて販売することが多い(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された包装材にあっては、表側から見たときのデザインと裏側から見たときのデザインとの差異を無くすことにより、商品陳列時の見栄えを向上させるようにしている。
【特許文献1】特開2002−293391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載された包装材にあっては、商品を上下に折り畳んだ状態で陳列する構造となっているため、商品の全体形状が分かり難いという問題がある。このような問題を解消するため、トランクス等の商品を上下に折り畳むことなく上部を保持して吊り下げようとすると、商品が包装材から脱落し易くなるという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、商品を脱落させずに包装することが可能な商品包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の商品包装材は、シート材料を折り曲げて形成され、商品の包装に使用される商品包装材であって、前記商品の一部を一方側から覆う第1シートと、前記第1シートに連なって前記商品の一部を他方側から覆う第2シートとを備えるシート本体と、前記第1シートと前記第2シートとの少なくともいずれか一方に連なって設けられ、先端に折り曲げ自在となる係合片を備える係合シートとを有し、前記係合シートを折り曲げて前記第1シートと前記第2シートとの間に配置し、前記係合シートの前記係合片を折り返して前記商品に係合させることを特徴とする。
【0006】
本発明の商品包装材は、前記係合シートは前記第1シートと前記第2シートとの双方に設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の商品包装材は、前記係合シートの側部には前記商品に係合する滑り止め部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品を挟み込む第1シートと第2シートとの間に係合シートを配置し、折り返された係合シートの係合片を商品に対して係合させるようにしたので、商品包装材から脱落させずに商品を包装することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である商品包装材10を展開した状態で示す平面図であり、図2は商品包装材10の使用状態を示す斜視図である。
【0010】
図1に示すように、紙や樹脂等のシート材料を用いて形成される商品包装材10は、略長方形状の正面シート(第1シート)11と背面シート(第2シート)12とが横方向に連なって構成されるシート本体13と、正面シート11および背面シート12の双方から縦方向に伸びる係合シート14,15とを備えている。このようなシート状の商品包装材10を折り曲げることにより、図2に示すように、トランクスやスパッツ等の商品Xの上部を保持しながら包装することが可能となっている。また、商品包装材10にはフック部材16が取り付けられており、陳列棚の棒状部材17に商品Xを吊り下げることが可能となっている。
【0011】
図1に示すように、正面シート11から縦方向に延びる係合シート14は、正面シート11に連なる基板20と、この基板20に連なる係合片21とを備えている。また、係合片21の先端には波形に形成された食い込み部21aが形成されており、基板20の両側端には波形に形成された滑り止め部20aが形成されている。さらに、正面シート11と係合シート14とに跨るように、正面シート11と係合シート14とには商品Xの一部を露出させるための開口部22が形成されている。
【0012】
また、正面シート11の横方向の一端側には側壁部23を介して舌片24が連結されており、正面シート11の横方向の他端側には側壁部25を介して背面シート12が連結されている。さらに、背面シート12には円弧状の切り込み26が形成されており、商品包装材10を組み立てる際には、正面シート11と背面シート12とを対面させるように折り曲げた後に、背面シート12の切り込み26に対して舌片24が挿入されるようになっている。また、背面シート12から縦方向に延びるように、背面シート12には天壁部27を介して係合シート15が連結されている。この係合シート15は、正面シート11に連なる基板30と、この基板30に連なる係合片31とを備えている。前述した係合シート14と同様に、係合片31の先端には波形に形成された食い込み部31aが形成されており、基板30の両側端には波形に形成された滑り止め部30aが形成されている。さらに、背面シート12と係合シート15との間に設けられる天壁部27には、フック部材16を取り付けるための取付孔32が形成されている。
【0013】
続いて、前述した商品包装材10による商品Xの包装手順について説明する。図3(A)〜(C)および図4(A)〜(C)は商品包装材10による商品Xの包装手順を示す説明図である。まず、図3(A)〜(C)に示すように、正面シート11に対して係合シート14の基板20が折り返され(矢印a1)、この係合シート14の基板20に対して係合片21が折り返される(矢印a2)。同様に、背面シート12に対して係合シート15の基板30が折り返され(矢印b1)、この係合シート15の基板30に対して係合片31が折り返される(矢印b2)。そして、折り返された係合シート14を商品Xのウェスト部内に挿入するように商品Xが配置される。このとき、正面シート11によって商品Xの上部が正面側から覆われた状態となっている。次いで、図4(A)〜(C)に示すように、商品Xの側部を折り返しながら商品Xの上部を背面側から覆うように、背面シート12および係合シート15が折り返される(矢印c1)。また、商品Xの側部を折り返しながら舌片24が折り曲げられ(矢印d1)、背面シート12の切り込み26に対して舌片24が挿入される。なお、図4(B)に示すように、舌片24を折り返す際には、商品Xのウェスト部を横方向に引っ張りながら係合シート14,15に対して巻き掛けることが好ましい。
【0014】
次いで、商品包装材10による商品Xの保持状態について説明する。ここで、図5は図2のA−A線に沿って商品包装材10の保持構造を示す断面図である。また、図6は図5のA−A線に沿って商品包装材10の保持構造を示す断面図であり、図7は図5のB−B線に沿って商品包装材10の保持構造を示す断面図である。まず、図5および図6に示すように、正面シート11と背面シート12との間には2つの係合シート14,15が配置されており、商品Xのウェスト部に挿入される一方の係合シート14によって表側の布地Xaが保持され、商品Xのウェスト部に対向して配置される他方の係合シート15によって裏側の布地Xbが保持されるようになっている。このように、係合シート14,15の先端に設けられる係合片21,31を上方に向けて折り返し、この係合片21,31によって布地Xa,Xbのそれぞれを下方から支持するようにしたので、商品包装材10によって商品Xを確実に保持することが可能となる。また、図5および図7に示すように、係合シート14,15の側部を囲うように商品Xの側部を折り返したので、係合シート14,15の滑り止め部20a,30aに対して商品Xを係合させることが可能となり、商品包装材10からの脱落を確実に防止することが可能となる。
【0015】
これまで説明したように、係合シート14,15を折り返した状態のもとで商品包装材10の上に商品Xを配置し、背面シート12を折り返すとともに舌片24を切り込み26に挿入するだけの作業で商品Xを簡単に包装することが可能となる。しかも、係合シート14,15に対して折り返される係合片21,31を形成するとともに、係合シート14,15の基板20,30に対して波形の滑り止め部20a,30aを形成するようにしたので、包装された商品Xの脱落を防止することが可能となる。また、シート材料を打ち抜くだけで商品包装材10を形成することができるため、商品包装材10の製造コストを引き下げることが可能となる。さらに、図1に示すように、展開された商品包装材10の形状はほぼ長方形状であるため、歩留まり良く商品包装材10を製造することが可能となっている。さらに、正面シート11に対して開口部22を形成するようにしたので、包装された商品Xのウェスト部を露出させることができ、顧客に対して商品Xをアピールすることも可能となる。
【0016】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。図示する場合には、2つの係合シート14,15を正面シート11と背面シート12とに対して設けるようにしているが、これに限られることはなく、1つの係合シートを正面シート11または背面シート12に対して設けるようにしても良い。また、滑り止め部20a,30aや食い込み部21a,31aは波形に形成されているが、この形状に限られることはなく、十分に商品Xに対して係合可能な形状であれば他の形状であっても良いことはいうまでもない。さらに、シート本体13に対してフック部材16を取り付けるようにしているが、これに限られることはなく、背面シート12や係合シート15に対してフック形状に切り込みを形成することにより、切り込まれたフック部材を折り返して使用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態である商品包装材を展開した状態で示す平面図である。
【図2】商品包装材の使用状態を示す斜視図である。
【図3】(A)〜(C)は商品包装材の組立手順を示す説明図である。
【図4】(A)〜(C)は商品包装材の組立手順を示す説明図である。
【図5】図2のA−A線に沿って商品包装材の保持構造を示す断面図である。
【図6】図5のA−A線に沿って商品包装材の保持構造を示す断面図である。
【図7】図5のB−B線に沿って商品包装材の保持構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0018】
10 商品包装材
11 正面シート(第1シート)
12 背面シート(第2シート)
13 シート本体
14 係合シート
15 係合シート
20a 滑り止め部
21 係合片
30a 滑り止め部
31 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料を折り曲げて形成され、商品の包装に使用される商品包装材であって、
前記商品の一部を一方側から覆う第1シートと、前記第1シートに連なって前記商品の一部を他方側から覆う第2シートとを備えるシート本体と、
前記第1シートと前記第2シートとの少なくともいずれか一方に連なって設けられ、先端に折り曲げ自在となる係合片を備える係合シートとを有し、
前記係合シートを折り曲げて前記第1シートと前記第2シートとの間に配置し、前記係合シートの前記係合片を折り返して前記商品に係合させることを特徴とする商品包装材。
【請求項2】
請求項1記載の商品包装材において、
前記係合シートは前記第1シートと前記第2シートとの双方に設けられることを特徴とする商品包装材。
【請求項3】
請求項1または2記載の商品包装材において、
前記係合シートの側部には前記商品に係合する滑り止め部が形成されることを特徴とする商品包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−285174(P2008−285174A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129019(P2007−129019)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(593187364)ト−タルプリント豊工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】