説明

商品包装袋及び商品包装袋体の連続製造方法並びにこれに用いる帯状積層フイルム

【課題】多品種少量の包装袋の精細な印刷ができるデジタル印刷を部分的に積層した積層印刷フイルム材料によって、縦方向の寸法が大きい商品包装袋を製造し、優れた美観を有した包装袋を袋体製造に用いるフイルムの使用量を減少させて製造する方法を提供する。
【解決手段】無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルム1を、該帯状デジタル印刷フイルム1の印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを連続製袋設備に連続的に送り出し、ガゼット折り工程において帯状積層フイルムを連続的に折り曲げて、所定の袋体の縦断面構造を形成した後、帯状積層フイルムを、ワンピッチ移動に変換して、溶断又は溶着切断工程において、所定の袋体の巾毎に切断して、袋体を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品包装袋及び商品包装袋体の製造方法並びにこれに用いる帯状積層フイルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、連続製袋工程で製造できる安価な商品包装袋及び商品包装袋体であって、多品種少量生産の商品にも適用できるオンデマンド印刷が可能で、かつ、精細な印刷であるデジタル印刷による印刷を有する商品包装袋及び商品包装袋体の製造方法並びにこれに用いる帯状積層フイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗等では、小物商品の包装の形態として、プラスチックフイルム製の包装袋に商品を収納して展示、販売されている。店頭においては顧客の目を引き寄せるために、商品の宣伝、広告及び取り扱い説明のための商品包装袋表面の印刷には優れた美観を有することが求められる。また、商品が技術的に高度化するにつれ、使用方法、使用上の注意などの詳細な説明を添付する必要がある場合が増えている。この場合に、商品包装袋の表面の限られた印刷スペースに多数の小さい文字を印刷することが要請されるので、印刷の鮮明度が特に要求される。
また、店舗等で販売される商品は多品目に及ぶ、そして同一の商品においても複数の品種を揃えている場合も多い。そのため、印刷の大部分は同一で、品種毎に印刷の一部を変更して、品種毎に包装袋のオンデマンド印刷が要求されることとなる。
オンデマンド方式の印刷として、最近、市販され始めたデジタル印刷機が、印刷鮮明度の良さとともに、好適に使用することができる。このデジタル印刷機は、従来のグラビア印刷などと違い高価な印刷版が不要な点では少量の印刷が簡単にできる。しかし、デジタル印刷は、現時点では設備及びインキ等が高価であるため印刷費用がかかる欠点がある。その上、デジタル印刷は、その印刷方式に起因して、印刷面積316mm×979mm、原反巾最大340mm、最小200mmと制限される欠点がある。
そのため、デジタル印刷された印刷フイルムを商品包装袋の構造を形成する本体フイルムとして使用する場合に、印刷フイルムを、少なくとも2重に重合して袋体を連続製造する連続製袋装置の工程上(特許文献1の場合は3重に重合している)、側縁分離方式の連続製袋装置の場合は、商品包装袋の総高さがデジタル印刷の最大原反巾の半分の170mm以下になり、商品包装袋の上下縁分離方式の連続製袋装置の場合は、商品包装袋の巾がデジタル印刷の最大原反巾の半分の170mm以下になってしまう欠点がある。
すなわち、商品包装袋の連続製袋装置のタイプによって、商品包装袋の高さが170mm以上の商品包装袋又は商品包装袋の巾が170mm以上の商品包装袋をデジタル印刷フイルムで製造することができなかった。
また、一般に、印刷フイルムで製袋する場合は、露出している印刷面が、摩擦によって損傷されるおそれがあり、印刷インキで収納商品が汚れるおそれもある。また、印刷フイルムの印刷層を内側にして、製袋した場合には、製袋時の袋側縁の溶断工程での袋体側縁溶着強度が印刷層によって阻害される欠点があり、袋体の側縁等との溶着部の強度が低くなる欠点が生じる。
これらの欠点を回避するために、従来より、無地プラスチックフイルムを印刷フイルムの印刷面に被せた積層ラミネートフイルムを製袋工程の袋体部を形成する本体フイルムの材料として用いることが広く行われている(特許文献1)。この場合、積層ラミネートフイルムは、裏印刷した印刷フイルムの裏側に全面的に裏貼りして、印刷フイルムを商品包装袋の外面になるように用いて、ラミネート印刷フイルム積層を袋体形成の本体フイルムとして用いる。
従来の商品包装袋は、袋体フイルム表面に印刷することは必然的である。そして、印刷を施工すれば、その印刷面を保護する無地のフイルムをラミネートすることが必然的となっている。その結果、商品包装袋は、印刷フイルムの印刷面を挟んで、全面的に無地のフイルムで印刷層をカバーして保護している。この場合、本体フイルムには、印刷が施工されていない部分も含めて、全て、印刷フイルムと無地フイルムの積層構造であり、印刷フイルムのみ又は無地フイルムのみの部分は存在しない。
この場合、商品包装袋の構造の本体フイルムの主体は、印刷フイルムであり、無地のフイルムの役割は、印刷保護のためのフイルムであり、商品包装袋の構造の形成フイルムとしての役割は期待されていない。
従来技術の商品包装袋では、商品包装袋の表面の印刷領域が少ない場合に、製袋材料に用いる積層フイルムには、印刷層を保護する必要がない部分まで二重積層となっているため材料フイルムの省資源とならない欠点がある。例えば、印刷面の面積が10%の商品包装袋の場合でも、部分的にラミネートするのは困難であるので、印刷フイルムの全面に無地フイルムがラミネートされている。この場合は、90%のラミネートフイルムは、加工性の観点から無駄に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−160355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術のデシタル印刷では、寸法が小さい商品包装袋しか作れない欠点及び材料フイルムの省資源の課題を、無地のフイルムを袋体本体フイルムとして、無地のフイルムの一部にデシタル印刷フイルムを印刷部分にのみに積層した帯状積層フイルムとして、商品包装袋の連続製造工程に用いることにより、印刷フイルムの原反巾の約2倍高さ又は2倍巾の商品包装袋までを製造可能とするとともに、同時に、フイルムの省資源の課題を達成することを目的とする。
すなわち、多品種少量の商品に対応できる包装袋の精細な印刷ができるデジタル印刷を部分的に積層した積層印刷フイルム材料によって、原反巾で制限されるデジタル印刷の縦方向又は巾方向の寸法より大きい寸法の商品包装袋を製造するとともに、袋体製造に用いる本体フイルムの無地フイルムと印刷フイルムの積層領域を減少してフイルムの使用量を削減させる製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、デジタル印刷した帯状フイルムを印刷面を無地フイルム側に向けて、デジタル印刷フイルムより広い巾の無地の本体フイルムに部分的に積層して、該無地の本体フイルムを連続製袋工程に袋体を形成する本体フイルムとして用いて、これを少なくとも2重に重合する連続製袋工程によって袋体を形成することにより、表面に印刷フイルムによる精細な印刷を施した寸法の大きい包装袋を製造できることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
このとき、無地の本体フイルムに部分的に積層したフイルムは、無地フイルムに、デジタル印刷したフイルムと全く同一の外観となる。該部分的印刷フイルムの積層フイルムは内面に印刷層が存在しないので、溶断及びヒートシール加工性がある1枚の印刷フイルムとみなして、常用の連続製袋工程に本体フイルムとして用いることができる。
すなわち、本発明は、
(1)無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを連続製袋設備に連続的に送り出し、連続製袋設備のガゼット折り工程において前記帯状積層フイルムを連続的に折り曲げて、前記帯状積層フイルムの断面によって所定の袋体の縦断面構造を形成した後、前記帯状積層フイルムを、ワンピッチ移動に変換して、溶断又は溶着切断工程において、所定の袋体の巾毎に切断して、袋体を構成する袋体フイルムの原反巾面積の5〜90%が、印刷フイルムと無地プラスチックフイルムの積層フイルム部分であり10〜95%が無地プラスチックフイルム部分とすることを特徴とする商品包装袋の連続製造方法、
(2)帯状積層フイルムが、接着剤を介して、圧着積層して形成した帯状積層フイルムである上記(1)項記載の商品包装袋の連続製造方法、
(3)帯状積層フイルムが、プラスチック製帯状デジタル印刷フイルムの両縁を無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、溶着固定した帯状積層フイルムである上記(1)項記載の商品包装袋の連続製造方法、
(4)帯状積層フイルムが、無地プラスチックフイルム製帯状フイルムと、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムからなり、プラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムが、帯状積層フイルムの原反巾面積5〜90%の片側の部分に積層されている上記(1)〜(3)項のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法、
(5)帯状積層フイルムが、無地プラスチックフイルム製帯状フイルムと、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムからなり、プラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムが、帯状積層フイルムの原反巾面積の中央部に積層されている上記(1)〜(3)項のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法、
(6)プラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムが、デジタル印刷で印刷された原反巾340mm以下の印刷フイルムである上記(1)〜(5)項のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法、
(7)袋体の外側を、積層フイルムのデジタル印刷フイルム側とする上記(1)〜(6)項のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法、
(8)無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを、連続製袋設備に連続的に送り出し、連続製袋設備のガゼット折り工程において、連続的に帯状積層フイルムの両側を折り返して、両折り返し先端側縁を連続的にヒートシールで溶着し、左右両折り返し縁に断面W字型のカゼット折りを形成して、帯状フイルムをワンピッチ移動に変換して、溶断及び切断工程において、所定の袋体の長さ毎に切断して、袋体を構成する袋体フイルムの原反巾面積の5〜90%が、印刷フイルムと無地プラスチックフイルムの積層フイルム部分であり10〜95%が無地プラスチックフイルム部分とすることを特徴とする商品包装袋の連続製造方法、
(9)無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを、ピロー式連続的包装体の製造工程に送り出す商品包装袋体の連続製造方法、及び
(10)上記(1)〜(9)項のいずれか記載の商品包装袋及び商品包装袋体の連続製造方法に用いる無地プラスチックフイルムの原反巾に、5〜90%に原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを積層した帯状積層フイルム、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の商品包装袋及び商品包装袋体の製造方法によれば、多品種少量の包装袋の場合でも表面に精細デジタル印刷を施すことができ、優れた印刷美観を有した寸法が大きい包装袋を、フイルム材料を節約して効率良く連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明方法により製造される商品包装袋の連続製造工程のガゼット折り工程直後の帯状積層フイルムの断面図である。
【図2】本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
【図3】本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
【図4】本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
【図5】本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
【図6】本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
【図7】本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
【図8】本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
【図9】本発明方法により製造されたピロー式包装体の連続的製造方法の途中の積層フイルムの平面図とその横方向(A−A)及び縦方向(B−B)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の商品包装袋の連続製造方法は、無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを、連続製袋設備に送り出すことができる。
連続製袋設備のガゼット折り工程においては、前記帯状積層フイルムを連続的に折り曲げて、前記帯状積層フイルムの横断面によって所定の袋体の縦断面構造を形成する。その後、前記帯状積層フイルムを、ワンピッチ移動に変換して、溶断又は溶着切断工程において、所定の袋体の巾毎に切断して、所定の断面構造を有する商品包装袋を製造することができる。
本発明の商品包装袋の袋体を構成する袋体フイルムの面積の5〜90%が、印刷フイルムと無地プラスチックフイルムの積層フイルム部分であり、10〜95%が無地プラスチックフイルムの部分のみとなっている。
本発明の商品包装袋の10〜95%の無地プラスチックフイルムの部分の面積部分は、従来の商品包装袋では印刷フイルムと無地フイルムが積層されていた積層部分の面積に相当する。
本発明では、従来技術の商品包装袋の本体フイルムと対比すると、従来技術の上記積層部分の面積の印刷フイルム層が削除された本体フイルムと成っている。結局、従来技術の積層印刷フイルムの印刷されていない面積のフイルムが節約されたことになる。従って、無地プラスチックフイルムの部分の面積部分が大きければ大きい程、フイルムの節約量は大きくなる。また、無地プラスチックフイルムの部分の面積部分が大きい程、デジタル印刷フイルムの原反巾に対する商品包装袋の寸法が大きくすることが可能となる。
本発明の無地プラスチックフイルムの部分の面積は、10〜95%が適宜用いられるが外観上の印刷面積の位置と無地部分の必要性から見て、好ましくは、20〜90%、さらに好ましくは、30〜85%の範囲で適宜用いることができる。また、この範囲に対応して、デジタル印刷フイルムの原反巾は、無地フイルムの巾に対して、5〜90%、好ましくは、10〜80%、さらに好ましくは、15〜70%を適宜用いることができる。
そして、無地フイルムのデシタル印刷フイルムの原反巾に対する倍率が、デジタル印刷フイルムのみで製造した商品包装袋の高さ又は巾の倍率とほぼ同じである。すなわち、袋体フイルムの面積の50%が、印刷フイルムと無地プラスチックフイルムの積層フイルム部分であれば、2重に重合する袋体の側縁溶断連続工程においては、本発明で製造される商品包装袋の高さは、印刷フイルムのみで製造した場合の商品包装袋の高さの約2倍の高さとなる。
本発明の無地フイルムとは、デシタル印刷されていないフイルムという意味であり、積層されるデジタル印刷フイルムの印刷模様を阻害しない限り、例えば、デジタル印刷の色と反対色のベタ印刷や、淡色の模様パターンを印刷したフイルムも本発明の無地フイルムとして用いることができる。
【0009】
本発明に用いる帯状デジタル印刷フイルムとは、デジタル印刷がされている長尺のプラスチックフイルムである。そして、デジタル印刷とは、デジタル処理によって作成された、文字、カラー模様、映像、画像等のデータからダイレクトに印刷する方式である。本発明に用いるデジタル印刷の方式は、レーザー露光で電子版上に画像を形成し、電子版に流体トナーを付着させ、電子版からブランケットにインクを移し、フイルムに転写させる印刷方式であり、高精細で高速な印刷をすることができる。
すなわち、デジタル処理によって、文字、カラー模様、映像、画像をデジタル化して、オンデマンドで、デジタル出力して、流体トナーの印刷インキで印刷する方式であり、従来のグラビヤ印刷、凸版印刷等の印刷とは、印刷版を必要としない点で印刷方式が基本的に異なる。また、印刷版を必要としないオンデマンド印刷ができるインクジェトとは、印刷方式が異なり、印刷速度及び印刷の精密度と点でデジタル印刷が優れている。
しかし、デジタル印刷は、電子版の大きさに寸法が制限されて、原反巾の大きさが340mm以下に制限されるという大きい欠点がある。
具体的には、デジタル印刷機としては、市販のHP Indigo WS6000 Digital Press、WS4500等の同シリーズ[日本ヒューレットパッカード(株)製]を使用することができる。
デジタル印刷は、小さな文字でも鮮明に印刷でき、版がないため、オンデマンドで出力を変更できるので、商品包装袋の印刷方式として、少量多品種の商品の場合に最適な印刷方法である。しかし、印刷フイルムの巾が340mm以下に制限されているので、これを連続製袋工程の本体フイルムとして、商品包装袋を製造する場合に、印刷フイルムの巾の半分である170mm以上の高さ又は巾の商品包装袋を作製できないことは前述の通りである。
【0010】
本発明に用いるプラスチックフイルムとしては、塩ビ(PVC)、PE(ポリエチレン)PP(ポリプロピレン)、PO(ポリオレフィン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、合成紙が挙げられる。好ましくは、印刷フイルムにはPP(ポリプロピレン)、本体フイルムには、PP(ポリプロピレン)又はPET(ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。また、印刷フイルムの厚さは、15μm〜20μm、無地の本体フイルムの厚さは、印刷フイルムより厚い20〜50μmが好ましい厚さとして使用することができる。
無地の本体フイルムとしては、2種以上の積層のラミネートフイルムを必要に応じて、従来より商品包装袋の本体フイルムとして使用していたフイルムを用いることができる。例えば、ポリオレフンとガスバリヤーフイルムのラミネートフイルムは、食品用の商品包装袋に好適に用いることができる。
本発明に用いる圧着積層して形成した帯状積層フイルムとは、前記の無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に単に圧着して重ねたものである。
本発明の帯状積層フイルムは、接着剤を介して、圧着積層し形成した帯状積層フイルムを常用のラミネートフイルムとすることができる。
また、本発明に用いる帯状積層フイルムが、帯状デジタル印刷フイルムの両縁を無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、溶着固定した帯状積層フイルムとすることができる。ラミネート又は両端融着によって、積層をより安定的に固定することは商品包装袋の強度及び、連続製造工程を円滑に遂行するために望ましい。
本発明の帯状積層フイルムは、目的とする商品包装袋の印刷領域に対応して、帯状デジタル印刷フイルムを帯状積層フイルムの片側又は中央部に積層することができる。
【0011】
以下、図面により説明をする。
図1は、本発明方法により製造される商品包装袋の連続製造工程の2重に重合したガゼット折り工程直後の帯状積層フイルムの断面図である。この図1の状態から、ヘッダー部10の下縁の四層を一体として連続的にヒートシールして、商品包装袋の側縁を溶断すれば、ヘッダー部10のみにデジタル印刷があり、袋体部は透明で商品の外観がよく見える商品包装袋が製造できる。
図1に用いる積層フイルムは、本体フイルム2の一部にデジタル印刷フイルム1を、印刷面を内側にしてラミネート積層させた態様となっている。デジタル印刷フイルム1は、ヘッダー部10の原反巾の印刷インキを無地フイルムの原反巾の中央部に積層することができる。これの積層によって、ヘッダー部のデジタル印刷フイルム1のみ印刷がされた本体フイルム2となる。その他の本体フイルム2は無地で商品を収納する袋体部分となっている。商品収納部分は、印刷がないので、商品全体の外観が良く見える利点がある。そして、袋体部分の積層部のフイルムが節約できる。従来、図1の態様の商品包装袋の場合、ヘッダー部10のみに印刷するとき袋体部分についても全てラミネートフイルムを使用していた。
そして、商品説明の印刷スペースが少ない場合、文字を小さくしても、デジタル印刷の鮮明度があれば、例えば、取り扱い説明をヘッダーの少ないスペースに小さい文字で密着して記載しても判読することができるので、図1のタイプの商品包装袋における印刷面積の減少の欠点を解消することができる。
図1を経由して常用の連続製袋工程によって製造された商品包装袋は、下方の開口部から商品を挿入し、剥離紙9を剥がし粘着剤層3により封口して包装することができる。
本発明図1の商品包装袋は、無地フイルムの原反巾面積の中央部のヘッダー対応部分にのみデジタル印刷フイルムをラミネート積層した積層フイルムを、連続的にガゼット工程に送り出し、図1の断面構造の帯状フイルムを形成して、ヘッダー部10の下縁を4枚の積層フイルムを一体として連続的にヒートシールして、溶断工程において、商品包装袋の側縁を溶断して製造することができる。また、図1の断面構造を経由して、製造される商品包装袋の場合、印刷フイルムの両端は、ヘッダー部10の下縁となるので、単に、印刷フイルムと無地フイルムを重ねただけの積層フイルムを用いても、印刷フイルムの両端を溶着した場合と同一の商品包装袋の強度が得られる。
【0012】
図2は、本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
商品包装袋の片方の面全体に印刷が施された態様である。本体フイルム2で形成された袋の表及び裏のいずれか一方の面に印刷フイルム1が重ねられている。
この断面構造をガゼット折りで形成した後、溶断工程によって、袋体側縁を所望の巾に溶断して、巾広又は巾狭の各種の巾の商品包装袋を製造することができる。この場合のフイルムの積層部の節約は、約50%となり、寸法拡大の倍率は約2倍となり、収納部分の容積が倍増する。そして、ヘッダー部がないので、収納部分の容積は大きくなりラミネート部のフイルムの節約は約50%に達する。この商品包装袋は、デジタル印刷フイルム1が本体フイルム2の片側面積に積層されている積層フイルムを用いて、常用の連続製袋工程によって製造することができる。
例えば、正方形の平形袋体を、印刷面を上に向けて、載置陳列する場合に、消費者が裏を返せば、商品細部まで確認できて便利である。
図3は、本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。図2の商品包装袋にヘッダー部10(図示なし)を形成した商品包装袋であって、ヘッダー部10に合成紙4を使用し、吊り下げることができる態様となっている。本体フイルム2で形成された袋体の表及び裏のいずれか一方の片面にデジタル印刷フイルム1が重ねられている。そして、ヘッダー部10には本体フイルム2の内側に合成紙4が挟まれている。該ヘッダー部10の下方を熱シール5で固定している。製造工程は、上述の連続製袋工程によって製造することができる。
この商品包装袋は、デジタル印刷フイルム1が本体フイルム2の片側面積に積層されているラミネート積層フイルムを用いて、常用の連続製袋工程によって製造することができる。
【0013】
図4は、本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
ヘッダー部10(図示なし)の下方に商品投入口を設けた態様となっている。この袋体フイルムは、無地フイルムの原反巾面積の中央部に印刷フイルムを積層して積層フイルムを用いて、常用の連続製袋工程によって製造することができる。
図5は、本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
袋体上部に開口部を設けた態様となっている。ヘッダー部10(図示なし)に合成紙4の芯材が設けられ、その芯材を挟むように、積層フイルムの先端を折り返し線8で折り返して、粘着剤層3で開口部を封口して、包装する商品包装袋である。芯材となる合成紙4に設けた吊り下げ穴6によって、吊り下げて陳列する商品包装袋である。この商品包装袋は、片側にデジタル印刷フイルム1を両側溶着により積層した積層フイルムを用いることができる。
図6は、本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
デジタル印刷フイルム1を複数箇所に重合し、表本体及び裏本体の各々に印刷を行うことができる態様となっている。
図7は、本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
デジタル印刷フイルム1を袋内面に重合させ、ヘッダー部10(図示なし)にデジタル印刷フイルム1を設けた態様となっている。
図8は、本発明方法により製造された包装袋の一態様の断面図である。
チャック付き袋のチャックテープ部7を袋体内面に溶着した態様となっている。
この袋は、下方の商品投入口11から商品を収納後、熱シールで封口し、ヘッダーの下縁のミシン目12で切断して、チャックテープ部7を手で外して収納商品を出し入れできる商品包装袋である。これはヘッダー部に印刷フイルムを積層した本体フイルムを用いて、製造することができる。
【0014】
図9は、本発明方法により製造された商品包装袋の平面図とその縦方向及び横方向の断面図である。この商品包装袋は、図1〜8の商品包装袋では、最後の袋体毎の分離工程が袋体の巾毎に切断する方式であるのに対して、所定の袋体の長さ毎に分離するタイプの常用の連続製袋工程によって製造される。すなわち、図9の商品包装袋は、最後の袋体毎の分離工程で、本体フイルムの流れの方向に対して垂直に、商品包装袋の上縁及び下縁を切断して形成する点で異なる。この方式は、袋体の側縁に縦方向にガゼット折りを形成する場合に用いられる常用の袋体の製造方法である。製造方法としては、図1〜8の商品包装袋の製造方法では、工程の途中で、商品包装袋の縦断面図を形成するところを商品包装袋の横断面図を形成する点が異なる。図9の商品包装袋では、本体フイルムの中央部に印刷フイルムがある積層フイルムを用いて、背貼り袋の袋体表面にデジタル印刷フイルム1を重合した商品包装袋を製造することができる。
図9の商品包装袋は、無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを作成して、帯状積層フイルム連続製袋設備に連続的に送り出し、連続製袋設備のガゼット折り工程において、連続的に帯状積層フイルムをの両側を折り返して、両折り返し先端側縁を連続的にヒートシールで溶着し、左右両折り返し縁に断面W字型のカゼット折りを形成して、帯状フイルムをワンピッチ移動に変換して、溶断及び切断工程において、所定の袋体の長さ毎に切断して、袋体を構成する連続製袋工程によって製造することができる。
また、図9のタイプの商品包装袋に商品を収納した商品包装体を、常用のピロー式包装体の連続的製造方法に、本発明のデシタル印刷部がある本体フイルムに適用することによって、連続的に製造することができる。
無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを、常用のピロー式連続的包装体の製造工程に送り出すことによって、図9のタイプの商品包装袋に商品を収納した商品包装袋体を連続的に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明方法により製造された包装袋は、優れた美観を有し、表面に精細な印刷を施すことができる。
【符号の説明】
【0016】
1 デジタル印刷フイルム
2 本体フイルム
3 粘着剤層
4 合成紙
5 熱シール
6 吊り下げ穴
7 チャックテープ部
8 折り返し線
9 剥離紙
10 ヘッダー部
11 商品投入口
12 ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを連続製袋設備に連続的に送り出し、連続製袋設備のガゼット折り工程において前記帯状積層フイルムを連続的に折り曲げて、前記帯状積層フイルムの断面によって所定の袋体の縦断面構造を形成した後、前記帯状積層フイルムを、ワンピッチ移動に変換して、溶断又は溶着切断工程において、所定の袋体の巾毎に切断して、袋体を構成する袋体フイルムの原反巾面積の5〜90%が、印刷フイルムと無地プラスチックフイルムの積層フイルム部分であり10〜95%が無地プラスチックフイルム部分とすることを特徴とする商品包装袋の連続製造方法。
【請求項2】
帯状積層フイルムが、接着剤を介して、圧着積層して形成した帯状積層フイルムである請求項1記載の商品包装袋の連続製造方法。
【請求項3】
帯状積層フイルムが、プラスチック製帯状デジタル印刷フイルムの両縁を無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、溶着固定した帯状積層フイルムである請求項1記載の商品包装袋の連続製造方法。
【請求項4】
帯状積層フイルムが、無地プラスチックフイルム製帯状フイルムと、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムからなり、プラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムが、帯状積層フイルムの原反巾面積5〜90%の片側の部分に積層されている請求項1〜3のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法。
【請求項5】
帯状積層フイルムが、無地プラスチックフイルム製帯状フイルムと、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムからなり、プラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムが、帯状積層フイルムの原反巾面積の中央部に積層されている請求項1〜3のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法。
【請求項6】
プラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムが、デジタル印刷で印刷された原反巾340mm以下の印刷フイルムである請求項1〜5のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法。
【請求項7】
袋体の外側を、積層フイルムのデジタル印刷フイルム側とする請求項1〜6のいずれか記載の商品包装袋の連続製造方法。
【請求項8】
無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを、連続製袋設備に連続的に送り出し、連続製袋設備のガゼット折り工程において、連続的に帯状積層フイルムの両側を折り返して、両折り返し先端側縁を連続的にヒートシールで溶着し、左右両折り返し縁に断面W字型のカゼット折りを形成して、帯状フイルムをワンピッチ移動に変換して、溶断及び切断工程において、所定の袋体の長さ毎に切断して、袋体を構成する袋体フイルムの原反巾面積の5〜90%が、印刷フイルムと無地プラスチックフイルムの積層フイルム部分であり10〜95%が無地プラスチックフイルム部分とすることを特徴とする商品包装袋の連続製造方法。
【請求項9】
無地プラスチックフイルム製帯状フイルムに、該無地プラスチックフイルムの原反巾の5〜90%の原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを、該帯状デジタル印刷フイルムの印刷面を内側に重ねて、圧着積層して形成した帯状積層フイルムを、ピロー式連続的包装体の製造工程に送り出す商品包装袋体の連続製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載の商品包装袋及び商品包装袋体の連続製造方法に用いる無地プラスチックフイルムの原反巾に、5〜90%に原反巾のプラスチックフイルム製帯状デジタル印刷フイルムを積層した帯状積層フイルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−96826(P2012−96826A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245020(P2010−245020)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(390036629)株式会社ヤマガタグラビヤ (30)
【Fターム(参考)】