説明

商品展示体

【課題】複数の商品袋が融着にてディスプレイストリップに取り付けられた商品展示体において、一旦取り外した商品袋を再接着できる商品展示体10を提供すること。
【解決手段】ディスプレイストリップ20は、基材層22とシーラント層24とを具備し、商品袋を構成する包装用フィルム30は、外面シーラント層、基材層33、バリア層34及び内面シーラント層35を具備し、外面シーラント層は、低融点ポリマー層31(外表面側)と粘着剤層32とからなり、包装用フィルム30とディスプレイストリップ20とは、低融点ポリマー層31とシーラント層24とが取付け部で溶融接着することにより結合しており(図2中のHは融着面)、前記取付け部における低融点ポリマー層31が、包装用フィルム30から外れて、粘着剤層32が消費袋の外表面に露出し、ディスプレイストリップに再取り付け可能となるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用フィルムで包装された商品を展示しながら販売するために、商品の入った商品袋がディスプレイストリップに取り付けられている商品展示体に関する。
【背景技術】
【0002】
スナック菓子のようなピロー包装された商品を展示し、販売する方法として、ストリップバッグ展示と呼ばれる、陳列棚を必要としない商品の展示販売方法が知られている。
ストリップバッグ展示とは、ディスプレイストリップと呼ばれる所定幅のテープ材に、商品が封入された袋(商品袋)を複数取り付けて吊り下げるという商品展示体による形態である。図1には、ストリップバッグ展示を行っている商品展示体の概要を示した。図1に示したように、商品袋BがディスプレイストリップSに取り付けられたものが商品展示体である。
【0003】
ストリップバッグ展示のよく知られている具体的形態の一例を挙げると、ディスプレイストリップには、一定の間隔でフックを具備し、一方、商品袋を構成する包装用フィルムには上方の横シール部分の中央などにパンチ穴を形成し、該パンチ穴に前記フックを引っ掛けることで、前記商品袋が前記ディスプレイストリップに取り付けられた商品展示体によるストリップバッグ展示がある。またパンチ穴とフックによる取り付けに替えて、両面粘着テープにてディスプレイストリップに商品袋を取り付けた商品展示体によるストリップバッグ展示も存在する。
【0004】
しかし、上記のような商品展示体では、ディスプレイストリップに商品袋を取り付ける作業は手作業で行うことが一般的であり、自動化することが困難である。自動化を視野に入れたディスプレイストリップとして、ヒートシール法を用いてディスプレイストリップに商品袋を取り付ける手法がある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特公昭44−1589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商品を手に取るために、一旦、商品袋をディスプレイストリップから取り外したが、考え直して元の位置に戻したいという状況はしばしば見受けられるが、ヒートシール法のような溶融接着にて取り付けてあった場合、商品袋を構成する包装用フィルムをディスプレイストリップに再接着するためにはシーラー等を用いる必要があり、店頭などにおいてこれを行うのは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の商品袋がディスプレイストリップに取り付けられた商品展示体では、
前記ディスプレイストリップは、基材層と低融点ポリマーからなるシーラント層とを具備し、
前記商品袋を構成する包装用フィルムは、外面シーラント層、基材層、バリア層及び内面シーラント層を具備し、
前記外面シーラント層は、低融点ポリマー層と粘着剤層とからなり、前記低融点ポリマー層は、前記商品袋の外表面側に設けられ、
前記商品袋を構成する包装用フィルムと前記ディスプレイストリップとは、前記低融点ポリマー層と前記シーラント層とが取付け部で溶融接着することにより結合しており、
前記取付け部における前記低融点ポリマー層が、前記包装用フィルムから外れて、前記粘着剤層が前記商品袋の外表面に露出し、前記ディスプレイストリップに再取り付け可能となるように構成されていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の商品展示体によれば、商品袋を構成する包装用フィルムは溶融接着によってディスプレイストリップに取り付けられているため、自動化が容易であるので工業的な製造が可能であり、かつ一旦ディスプレイストリップから取り外した商品袋であっても、取り付けの際に、商品袋の最表面に露出する包装用フィルムの粘着層によって、ディスプレイストリップへの再取り付けを容易に行うことができる。
【0008】
特に包装用フィルムの低融点ポリマー層にスリットが入れられているものであれば、商品袋取外しに際して、該スリットを境界にしてきれいに低融点ポリマー層のみを取り外すことができる。
かかるスリットは、縦および/または横方向に直線的に入れられていることによって、取外しに際してスリットの途中から該スリットとは異なる部位に裂け目が入ることがなく、また、取り外される低融点ポリマー層がきれいに分離されて、より確実にスリットを境界に取外しができる。
またスリットの横方向長さが、ディスプレイストリップの横幅に相当する長さであれば、再度の取り付けも容易である。
そのようなスリットは、トムソン刃による加工またはレーザ加工を制御下に行うことにより形成されることで、低融点ポリマー層の部分のみに一定の深さでスリットを入れることができ、粘着剤層との分離を容易にし、スリットが包装フィルム内部にまで及ぶことがないため、包装用フィルムとしての密閉性や遮蔽性などの本来的な機能に影響を与えることなく、商品袋の取り外しやすさを達成できる。
またスリットを連続線で構成すれば、スリットを境界として取り外される確率が一層高くなり、一方、破線で構成すれば、荷重のある商品の商品袋を取り付けたとしても、該商品袋が自重でディスプレイストリップから落下することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(商品展示体)
本発明の商品展示体は、複数の商品袋がディスプレイストリップに取り付けられたものであって、該商品袋は、取付け部において、商品袋を構成する包装用フィルムが溶融接着されることによって、ディスプレイストリップに取り付けられている。通常は商品袋上方の横シール部分またはその近傍のいずれかの位置に取付け部を設けると、包装用フィルムの本来的機能を損なうことなく、ディスプレイストリップに取り付け、取り外しすることができる。
【0010】
本発明の商品展示体10の取付け部40における概略断面図を図2に示した。図2において上方が商品展示体の正面であり、下方が背面である。本発明の商品展示体10では、複数の商品袋がディスプレイストリップ20に取り付けられており、前記ディスプレイストリップ20は、基材層22と低融点ポリマーからなるシーラント層24とを具備する。
一方、前記商品袋を構成する包装用フィルム30は、外面シーラント層、基材層33、バリア層34及び内面シーラント層35を具備し、前記外面シーラント層は、低融点ポリマー層31と粘着剤層32とからなり、前記低融点ポリマー層31は、前記包装用フィルム30の外表面側に設けられている。
前記包装用フィルム30と前記ディスプレイストリップ20とは、包装用フィルム30の低融点ポリマー層31とディスプレイストリップ20のシーラント層24とが、取付け部40で溶融接着(融着)することにより結合しているものである。図2において、ディスプレイストリップ20と包装用フィルム30との溶融接着している面(融着面)Hは、一点鎖線にて示した。
【0011】
(ディスプレイストリップ)
本発明で用いるディスプレイストリップ20は、基材層22と、溶融接着にて結合することができる低融点ポリマーからなるシーラント層24とを具備している。
【0012】
〔シーラント層〕
前記シーラント層24を構成する低融点ポリマーとしては、160℃以下、好ましくは120℃以下の低い温度で溶融する低融点のポリマーであって、常温で粘着性を示さず、かつ、充分な溶融接着性を発揮できるものであれば用いることができる。なかでも好適に使用できる低融点ポリマーの具体例としては、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、炭素数4〜12のαオレフィン)との共重合体、低密度ポリエチレン(メタロセン直鎖低密度ポリエチレンを含む)、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸エステル共重合体等からなるものを挙げることができる。また、前記シーラント層24は、単層構造であってもよいし、複数の層からなる多層構造を有していてもよい。
【0013】
前記低融点ポリマーがエチレン酢酸ビニル共重合体である場合、前記シーラント層24は、更に、粘着性付与剤を含有することが好ましい。粘着性付与剤としては特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂及び芳香族系炭化水素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂が好適に用いられる。
【0014】
前記ロジン樹脂としては特に限定されず、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ロジンエステル、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、2量化ロジン、重合ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのフェノール性変性ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
前記テルペン樹脂としては特に限定されず、例えば、テルペン、フェノール性テルペン、変性テルペン、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール共重合体等が挙げられる。
前記脂肪族系炭化水素樹脂としては特に限定されず、例えば、1−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の炭素数4〜5のモノ又はジオレフィンを主成分とする重合体等が挙げられる。
前記脂環族系炭化水素樹脂としては特に限定されず、例えば、スペントC4−C5留分中のジエン成分を環化2量体化したものを重合させた樹脂、シクロペンタジエン等の環状モノマーを重合させた樹脂、水素添加ジシクロペンタジエン樹脂、水素添加石油樹脂等が挙げられる。
前記芳香族系炭化水素樹脂としては特に限定されず、例えば、ビニルトルエン、インデン、スチレン重合体、α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。
また、前記粘着性付与剤としては、例えば、下記特許文献2に記載されたもの等の市販のものも用いることができる。
【特許文献2】USP6117945号
【0015】
〔基材層〕
ディスプレイストリップ20の基材層22に用いる素材は特に限定されないが、多数の商品を取り付けて吊り下げる用途から充分な強度を有し、かつ、溶融接着時に溶融したり劣化したりしない耐熱性を有することが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の一軸または二軸延伸フィルム、金属箔、紙、不織布、織布又はこれらの積層物等が好適である。なかでも、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム又は紙が好ましいが、基材層22がさらに補強されていることが望まれる場合には、上記フィルムまたは紙にさらに織布、不織布(ランダム配列型・1軸または2軸配列型)を積層されたものを基材層とすることが好ましい。積層は、接着剤または押出しポリエチレンを介して行うことができる。また、2枚のフィルムまたは紙に間に補強用の織布・不織布を挿入してもよい。このようにすることによって、ディスプレイストリップ20の機械的強度が極めて高くなるため、例えば、ディスプレイストリップ20に吊り下げ用のホールパンチを形成し、該ホールパンチにフックを引っ掛けた場合であっても、ホールパンチ強度を高くすることができるため、上記ホールパンチ部分で破損が生じ難くなる。
【0016】
前記織布としては特に限定されないが、従来から補強材等として用いられている糸篠を平織、綾織、もじり織等の従来公知の方法により織成してなるものが用いられる。
前記織布の織り密度としては特に限定されないが、6〜20本/インチ程度が好適である。縦糸間又は横糸間に適当な間隔があれば、上記樹脂フィルムと積層したときに、樹脂フィルムを構成する樹脂の一部が織布の経糸・緯糸の空隙に侵入して一体化することにより、織布と樹脂フィルムとの接着性が向上する。
前記織布の素材としては特に限定されないが、なかでもポリエチレン、ポリプロピレン等の延伸ポリオレフィン糸からなるものが、ディスプレイストリップ20に求められる機械的性能及び上記樹脂フィルムとの接着性等の点から好適である。
前記ポリオレフィン糸は、単独の樹脂からなるものであってもよいが、必要に応じて、高融点ポリマーと低融点ポリマーとを複合化した複合糸であってもよい。このような複合糸を用いれば、優れた機械的強度と樹脂フィルムとの接着性とを両立することができる。
前記ポリオレフィン糸としては特に限定されず、例えば、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、フラットヤーン、スプリットヤーン等を用いることができる。なかでも、フラットヤーン、スプリットヤーンが好適である。ここでフラットヤーンとは、押出成形法等により成形されたフィルムを所定幅にスリットした後、延伸処理及び熱処理を施すことにより形成された糸である。また、スプリットヤーンとは、フラットヤーンに更に割織処理を施した糸である。フラットヤーン及びスプリットヤーンは、極めて高い引張強度及び引裂強度を有することが知られている。
前記ポリオレフィン糸の繊度としては特に限定されず、通常使用される100〜5000d程度のものを用いることができる。
【0017】
ディスプレイストリップ20の前記基材層22の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は30μm、好ましい上限は500μmである。30μm未満であると、充分なホールパンチ強度が得られずに展示時や商品を封入した袋を取り外す際に破損する恐れがあり、500μmを超えると、基材層22が断熱材の役割をして溶融接着時にシーラント層24に充分に熱が伝わらないことがある。
【0018】
〔積層方法;ディスプレイストリップの製造方法〕
前記シーラント層24と前記基材層22とは、公知のドライラミネート法により接着剤26を介して積層してもよいし、溶剤を用いないサーマルラミネート法により積層してもよい。積層に用いる接着剤としては、ポリエーテル/ポリウレタンを主成分とする2液溶液型、芳香族ポリエーテル系、芳香族ポリエステル系、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ポリウレタン系、脂肪族ポリエーテル系のポリマーを溶剤に溶かした接着剤、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタアクリレート共重合体、エチレーアクリレート共重合体等の熱溶融型の接着剤を用いることができる。
【0019】
また、本発明で用いるディスプレイストリップ20においては、前記基材層22と前記シーラント層24とは、ポリエチレンからなる中間層を介して積層されていてもよい。
前記ポリエチレンからなる中間層は、前記基材層22と前記シーラント層24との間にポリエチレンを押出成形しながら積層することにより行うことができる。なお、ポリエチレンの他、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーを用いてもよい。
【0020】
前記ポリエチレン層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は50μmである。5μm未満であると、積層が不安定になることがあり、50μmを超えるとディスプレイストリップ20全体の厚さが厚くなってしまい、断熱効果により溶融接着性が損なわれてしまうことがある。
【0021】
〔その他の層〕
前記基材層22と前記シーラント層24との間に、更に、他の機能を担保する層を有していてもよい。このような層としては、例えば、印刷層等が挙げられる。特に基材層22としてポリマーが用いられる場合には、印刷層は基材層22とシーラント層24との間に設けられることが好ましく、基材層22として紙が用いられる場合には、紙の積層されていない面に印刷を行うことが好ましい。
【0022】
〔ディスプレイストリップの形態〕
ディスプレイストリップ20の形態としては特に限定されないが、通常は、図1に示すようにテープ形状をしており、ディスプレイストリップには、縦方向に複数の商品袋が取り付けられてディスプレイストリップと商品袋とからなる商品展示体が構成される。商品袋が取り付けられたディスプレイストリップは、その上端に設けられた吊り下げ孔(ホールパンチ)が固定具に引っ掛けられて、吊り下げられることで、ストリップバッグ展示がなされる。
【0023】
(包装用フィルム)
本発明で用いる商品袋を構成する包装用フィルム30を構成するフィルムは、外面シーラント層、基材層33、バリア層34及び内面シーラント層35を具備する。ただし、これら以外の有用な層を付加的に設けることを禁じるものではなく、なかでも実際の包装用フィルムには、印刷層が含まれているのが一般的である。
【0024】
〔外面シーラント層〕
上記のとおり、本発明に用いる包装用フィルム30を構成するフィルムは、包装用フィルム用のフィルムとして一般的に具備されている包装用フィルム内側のシーラント層(内面シーラント層35)だけでなく、ディスプレイストリップとの溶融接着のために、包装用フィルム外側にもシーラント層を設ける(外面シーラント層)。更に本発明における外面シーラント層は、低融点ポリマーにより構成される低融点ポリマー層31のみならず、粘着剤層32も具備する。
【0025】
〔低融点ポリマー層〕
前記外面シーラント層の低融点ポリマー層31は、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種からなるものを好適に用いることができる。なかでもヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)フィルムからなるものが好適である。ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)フィルムとは、通常、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)の表面に、薄い低融点ポリマー層、好ましい例としては、プロピレン‐エチレン‐ブテン3元共重合体等の溶融接着性を有する樹脂からなるごく薄いターポリマー層を設けることにより溶融接着性を付与したものを意味し、とりわけ欧米では袋材に多く採用されている。
【0026】
また前記低融点ポリマー層31は、常温では粘着性を示さないことから、前記低融点ポリマー層31の内側に形成された粘着剤層32を被覆するマスク層としての役割をも有する。このようなマスク層を有することにより、本発明の商品展示体10は、加熱前には粘着性を示さず、ディスプレイストリップ20と商品袋を構成する包装用フィルム60を溶融接着する工程を容易に自動化することができる。
前記低融点ポリマー層31の粘着剤層32側の面には、シリコン処理が施されていることが好ましい。本発明の商品展示体10は、ディスプレイストリップ20のシーラント層24と包装用フィルム30の外面シーラント層が、取付け部40において、溶融接着により取り付けられており、商品袋を取り外すと、前記取付け部40における包装用フィルム30の外面シーラント層が該包装用フィルム30から引き剥がされて、ディスプレイストリップ20側に残るようになっている。このような本発明の商品展示体10においては、前記外面シーラント層と粘着剤層32との間の接着力を調整することは極めて重要である。前記外面シーラント層の粘着剤層32側の面にシリコン処理が施されていることで、前記外面シーラント層と粘着剤層32との間の接着力を自由に調整することが可能となる。
【0027】
前記シリコン処理としては特に限定されず、例えば、離型性を要求される用途に用いられる市販のシリコン処理剤等のシリコン材料を前記低融点ポリマー層31の粘着剤層側面に塗布する方法等が挙げられる。
また、前記シリコン処理は、前記外面シーラント層の前記粘着剤層側の面の全面に施されていていてもよいが、海島構造になるように施されていることが好ましい。前記シリコン処理が前記外面シーラント層の前記粘着剤層側の面に海島構造で施されている場合、前記シリコン材料は、1cmあたり好ましい下限は10ドット、好ましい上限は100ドット程度である。
【0028】
〔粘着剤層〕
外面シーラント層の粘着剤層32は、本発明の商品展示体10において、一旦ディスプレイストリップ20から取り外した商品袋が、再度ディスプレイストリップ20に取り付け可能となるようにするための層である。
上記粘着剤層32は、常温で粘着性を示す粘着剤を含有する。前記粘着剤としては常温で粘着性を示すものであれば特に限定されないが、天然ゴム、ブチルゴム等のゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤であることが好ましい。
【0029】
前記粘着剤層32の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は300μmである。10μm未満であると、いったん取り付けられた袋を取り外した際に、低融点ポリマー層31とともに粘着剤層32も剥れてしまい、商品袋の再接着ができなくなることがある。300μmを超えると、粘着強度が高すぎて、いったん取り付けられた商品袋を取り外しにくくなる。
【0030】
前記包装用フィルム30の粘着剤層32は、前記包装用フィルム30を構成するフィルム全面に、形成されていてもよいが、前記取付け部40を含む部分にのみ形成されていてもよい。少なくとも取付け部40に粘着剤層32が存在すれば、再取り付けが可能だからである。粘着剤層32の部分形成は、商品袋の長さを予め設定しておけば、所定間隔で包装用フィルム30上に形成されるべき粘着剤層の位置を予測することが可能であるので、その領域のみに粘着剤を部分コートすることが可能になる。
【0031】
〔スリット〕
包装用フィルム30の溶融接着によって取り付けられた商品袋をディスプレイストリップ20から取り外す際に、前記外面シーラント層の低融点ポリマー層31と粘着剤層32の間が破壊して、低融点ポリマー層の必要領域のみが分離して、前記粘着剤層32が露出するように、前記低融点ポリマー層31にはスリットが入れられていることが好ましい。
スリットは、前記包装用フィルム30から切り離される低融点ポリマー層31の領域を区画して、該スリット位置を境界として、確実に該領域の低融点ポリマー層31のみが切り離されるようにするための補助となりうるために設けるものであり、そのためには、スリットは商品袋の長さ方向に対して、縦および/または横方向に直線的に入れられていることが好ましいが、ジクザク状の線で入れることも可能である。
【0032】
また前記取付け部40が、商品袋の上方の横シール位置に設けられた場合、スリットの位置としても、上方の横シール位置のなかで、前記取付け部の近傍に設けることが好ましい。この場合にも、作製される商品袋の使用に応じて、予め包装用フィルム30における取りつけ位置を予測して、スリットを設けることが好ましい。したがって、スリット形成は、包装用フィルム30の製造過程だけでなく、包装用フィルム30を包装機に供給する段階で行ってもよい。
またスリットの深さは、低融点ポリマー層31までの深さにする必要ことが好ましい。低融点ポリマー層31を越えて、粘着剤層32や包装用フィルム30の基材層33までスリットが入ってしまうと、たとえ横シール位置に設けたとしても、粘着剤層32が低融点ポリマー層31に移行したり、包装用フィルム30の本来的な性質である密封性や遮蔽性を低下させてしまうおそれがあるからである。このため、前記スリットは、トムソン刃またはレーザ加工によって、スリット深さが制御されつつ、入れられることが好ましい。
【0033】
また前記スリットの横方向長さは、前記ディスプレイストリップ20の横幅に相当する長さとすることが好ましい。ディスプレイストリップ20の横幅に相当する長さよりも長いスリットを設けて、低融点ポリマー層31を引き剥がすと、露出した粘着剤層32がディスプレイストリップ20の幅を超えるので、商品袋をディスプレイストリップ20に再取り付けした際に、はみ出した粘着剤層32は露出したままで、塵や埃が付着してしまうからである。またディスプレイストリップ20の横幅に相当する長さよりも短いスリットの場合は、ディスプレイストリップ20との粘着面積が狭くなるため、再取り付けした商品袋とディスプレイストリップ20の接着力が、不十分になる可能性がある。
前記スリットの形状としては、特に制限されるものではないが、連続線または破線とすることが簡便であり、商品袋に封入される商品重さとの関係で、適宜選択することができる。
【0034】
本発明の商品展示体10において、ディスプレイストリップ20に取り付けてあった商品袋を取り外したために、前記スリットを境界として、前記粘着剤層32が露出した商品袋Bの例を図4に示す。図4にはディスプレイストリップ20と商品袋Bを構成する包装用フィルムが溶融接着されていた位置である、前記取付け部40であった位置を点線で囲んで示している。
【0035】
〔基材層〕
商品袋を構成する包装用フィルム30の基材層33は、商品袋を形成する主体となることから、引張強度が高く、適度な硬さを有し、袋形成時のヒートシールに耐える耐熱性があるものであればいずれの材料でもよいが、なかでも、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリアミドフィルム、または、紙により構成することが好ましく、さらに好ましくは、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)または二軸延伸ポリエステルフィルムである。基材層33の厚みとしては、15〜50μmの範囲が好ましい。
【0036】
商品袋を構成する包装用フィルム30の前記基材層33と前記外面シーラント層の粘着剤層32との間には、アンカーコート層が形成されていることが好ましい。前記基材層33と前記粘着剤層32との間の接着力が優れたものとなり、基材層33と粘着剤層32との間で剥離が生じにくくなる。前記アンカーコート層としては特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート/ポリエステル系2液硬化型接着剤等の従来公知のアンカーコート剤からなるもの等が挙げられる。かかるアンカーコート剤を粘着剤がコートされる樹脂フィルム面にコートすることによりアンカーコート層が形成される。
【0037】
〔バリア層〕
商品袋を構成する包装用フィルム30のバリア層34は、水、酸素に対して内部の食品を保護する層であり、アルミニウム、鉄、マグネシウムなどの金属、または、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの酸化セラミックなどを蒸着して構成することが好ましい。前記バリア層34の好ましい厚みは、300〜1500Åである。厚みが300Å未満であると、光線遮断性と酸素・水蒸気遮断性に劣る。また無用にバリア層34の厚みを厚くすることはないので、厚み1500Åを超えて積層する必要もない。前記バリア層34を蒸着にて形成する場合、蒸着層は、内面シーラント層35または基材層33のいずれかに形成される。また、前記バリア層34は、前記の蒸着層に替えて、または蒸着層と組み合わせて、エチレンビニルアルコールフィルム、還元鉄やコバルトを含むフィルムで形成してもよい。
【0038】
〔内面シーラント層〕
内面シーラント層35は、160℃以下、好ましくは120℃以下の低い温度で溶融する低融点ポリマーであることが好ましい。このようなポリマーとして、一般的に、無延伸ポリプロピレン(CPP)またはメタロセン触媒で重合された直鎖低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレンなどが用いられているが、この他、ヒートシーラブル2軸延伸ポリプロピレン(OPH)などを用いることもできる。無延伸ポリプロピレンおよびヒートシーラブル2軸延伸ポリプロピレンのヒートシーラブル層には、低融点で溶融することができるように、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、ブテン等)との共重合体、低密度ポリエチレン(メタロセン触媒で重合した直鎖低密度ポリエチレン等)、エチレン酢酸ビニル共重合体が含まれていることが好ましい。
また、内面シーラント層35を構成するポリプロピレンまたはポリエチレンは単層でも複層でもよい。複層の例としては、ポリプロピレンの場合には、プロピレン‐エチレン‐ブテン3元共重合体の単独層とポリプロピレンとプロピレン‐エチレン‐ブテン3元共重合体との混合物層との2層構造、ポリエチレンの場合には、上記の直鎖低密度ポリエチレン層と低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンとの共押出成形物などが挙げられる。シーラント層24は、上記のようなポリオレフィンだけでなく、低融点ポリエステルで形成されていてもよい。低融点ポリエステルとしては、例えばイーストマンコダック社のエチレンテレフタレートとシクロヘキサンジオールとの共重合ポリエステルを挙げることができる。前記シーラント層24の厚みとしては、20〜50μmが好ましい。
【0039】
〔積層方法;包装用フィルムの製造方法〕
商品袋を構成する包装用フィルム30は、前記内面シーラント層35のフィルム、前記基材層33のフィルム、前記外面シーラント層31のフィルムを積層することによって得られる。なお、前記内面シーラント層35のフィルムと前記基材層33のフィルムとの積層、または前記基材層33のフィルムと前記外面シーラント層31のフィルムとの積層は、いずれを先に行ってもよいが下記の手順にて行うことが簡便であり、かつ商品袋をディスプレイストリップ20から取り外した際に、低融点ポリマー層31と粘着剤層32との界面にて、該低融点ポリマー層31のみが商品袋を構成する包装用フィルム30から剥がれ、粘着剤層32が露出する確実性が高くなる。
【0040】
まず、基材層33の内面シーラント層側に蒸着法によりバリア層34を形成する。この場合、基材層33の内面シーラント層側に印刷層を形成し、接着剤による処理を行った後、この面に蒸着を行ってバリア層34を形成することができる。次に基材層33のバリア層34を設けた面とは反対の面に、粘着剤をコーティングし、粘着剤層32を形成する。基材層33上に粘着剤層32を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、前記低融点ポリマー層31にグラビア法、カレンダー法により常温で粘着性を示す粘着剤を含有する粘着剤ペーストを所定の厚みとなるようにコートして粘着剤層32を形成する方法が挙げられる。
次いで、上記により形成した粘着剤層32の粘着力を利用して、低融点ポリマー層31を構成することになる低融点ポリマーフィルムを貼りあわせる。低融点ポリマー層31にスリットを設ける場合には、この段階でトムソン刃またはレーザ加工にて設けてもよいし、包装用フィルム30を包装機に供給するときに設けてもよい。上記のようにして、低融点ポリマーフィルムを貼りあわせた積層フィルムを第1フィルムとする。
一方、内面シーラント層35を構成する低融点ポリマーを含む第2フィルムとすると、前記第1フィルムのバリア層34側の面に、第2フィルムを貼り合わせて積層することで、商品袋を構成する包装用フィルム30を作製できる。
【0041】
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層の方法としては、接着剤36を介して積層を行なうドライラミネートや、積層フィルム間にポリエチレンを10〜30μm程度の薄さで押出しながら積層を行なうサンドイッチラミネートを挙げることができる。積層に用いる接着剤としては、ポリエーテル/ポリウレタンを主成分とする2液溶液型、芳香族ポリエーテル系、芳香族ポリエステル系、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ポリウレタン系、脂肪族ポリエーテル系のポリマーを溶剤に溶かした接着剤、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタアクリレート共重合体、エチレーアクリレート共重合体等の熱溶融型の接着剤を用いることができる。
【0042】
(ディスプレイストリップと包装用フィルムの溶融接着)
ディスプレイストリップ20に商品袋を取り付けるため、ディスプレイストリップ20と商品袋を構成する包装用フィルム30は、取付け部40において溶融接着され、本発明の商品展示体10が作製される。溶融接着の方法としては、ヒートシール法の他に、超音波シール法や高周波シール法でも行うことができる。溶融接着による、商品袋のディスプレイストリップ20への取りつけは、下記特許文献3に示されている装置などにより行うことができる。
なお、前記包装用フィルム30に前記スリットを設ける場合には、溶融接着に先立ってスリットを設けるほうが簡便である。スリットは前記取付け部40の近傍に設ける必要があるため、ヒートシール後にスリットを設けるとなると、ディスプレイストリップ20が邪魔になるからである。
【特許文献3】特開2004−90949号公報
【0043】
前記溶融接着によって商品展示体10を作製する手順としては、特に限定されるものではないが、例えば図3に示す手順により取り付けることが好ましい。この方法では、まず、商品袋の表側がディスプレイストリップ201に接するようにして商品を封入した該商品袋Bを置き、次いで商品袋Bを構成する包装用フィルムの上部を溶融接着して包装用フィルムをディスプレイストリップ20に結合させる(図3a)。このとき、包装用フィルムに前記取付け部を区画するスリットを設ける場合は、前記取付け部40は、前記区画内に配する必要がある。
所定の数の商品袋Bをディスプレイストリップ20に溶融接着にて取り付けたところで、商品袋Bにおける取付け部40を軸に、ディスプレイストリップ20を上下反転させて、商品袋Bの表面がディスプレイストリップ20とは反対側になるようにする(図3b)。この状態でディスプレイストリップ20の片端をフック等に吊り下げて展示すれば、商品袋Bとディスプレイストリップ20との取付け部40は図3cのようになっていることから、取付け部40を下方向に引っ張れば、前記区画領域内における、外面シーラント層の低融点ポリマー層31のみをディスプレイストリップ20に残した状態で、該取付け部40を含む領域を取り外すことができる商品展示体10とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ストリップバッグ展示を行っている商品展示体を示す概略図である。
【図2】本発明の商品展示体の取付け部における概略断面図である。
【図3】商品袋をディスプレイストリップへ取り付ける手順を示す概略図である。
【図4】ディスプレイストリップから取り外した商品袋の外観を示す概略図である。
【符号の説明】
【0045】
10 商品展示体
20 ディスプレイストリップ
22 (ディスプレイストリップの)基材層
24 シーラント層
26 接着剤
30 (商品袋を構成する)包装用フィルム
31 外面シーラント層の低融点ポリマー層
32 外面シーラント層の粘着剤層
33 (包装用フィルムの)基材層
34 バリア層
35 内面シーラント層
36 接着剤
40 取付け部
H ディスプレイストリップと包装用フィルムの融着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品袋がディスプレイストリップに取り付けられた商品展示体であって、
前記ディスプレイストリップは、基材層と低融点ポリマーからなるシーラント層とを具備し、
前記商品袋を構成する包装用フィルムは、外面シーラント層、基材層、バリア層及び内面シーラント層を具備し、
前記外面シーラント層は、低融点ポリマー層と粘着剤層とからなり、前記低融点ポリマー層は、前記商品袋の外表面側に設けられ、
前記商品袋を構成する包装用フィルムと前記ディスプレイストリップとは、前記低融点ポリマー層と前記シーラント層とが取付け部で溶融接着することにより結合しており、
前記取付け部における前記低融点ポリマー層が、前記包装用フィルムから外れて、前記粘着剤層が前記商品袋の外表面に露出し、前記ディスプレイストリップに再取り付け可能となるように構成された、商品展示体。
【請求項2】
前記包装用フィルムの粘着剤層は、前記商品袋を構成する包装用フィルム全面に、または前記取付け部を含む部分にのみ形成されている、請求項1に記載の商品展示体。
【請求項3】
前記商品袋を前記ディスプレイストリップから取り外すとき、前記取付け部における前記低融点ポリマー層が、前記粘着剤層から分離しやすいように、前記低融点ポリマー層にスリットが入れられている、請求項1に記載の商品展示体。
【請求項4】
前記スリットは、商品袋の長さ方向に対して、縦および/または横方向に直線的に入れられている、請求項3に記載の商品展示体。
【請求項5】
前記スリットの横方向長さが、前記ディスプレイストリップの横幅に相当する長さである、請求項3に記載の商品展示体。
【請求項6】
前記スリットは、トムソン刃またはレーザ加工により入れられている、請求項4記載の商品展示体。
【請求項7】
前記スリットの形状が、連続線または破線である、請求項3に記載の商品展示体。
【請求項8】
前記商品袋を構成する包装用フィルムは、前記バリア層が形成された基材層の面とは反対側の面に粘着剤をコートして形成された粘着剤層の上に、低融点ポリマー層を構成する低融点ポリマーフィルムを貼りあわせた第1フィルムと、前記包装用フィルムの前記内面シーラント層を構成する低融点ポリマーを含む第2フィルムとを積層することにより形成されている、請求項3に記載の商品展示体。
【請求項9】
前記商品袋の前記ディスプレイストリップへの取り付けが、ヒートシール、超音波シールまたは高周波シールで行われる、請求項1に記載の商品展示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−150086(P2008−150086A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341213(P2006−341213)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】