説明

商品展示体

【課題】ヒートシールタイプであるが、取り外した商品袋が再取付けできるディスプレイストリップに商品袋が取り付けられた商品展示体において、該商品展示体が再取付け可能であることを、顧客にアピールできるものとすること。
【解決手段】低融点ポリマー層111、粘着剤層112、基材層を含むディスプレイストリップ100に取付け個所114にて熱圧着で取り付けられた商品展示体において、前記低融点ポリマー層111が透明であり、前記取付け個所114における前記粘着剤層112の色彩が、他の位置の前記粘着剤層112の色彩と相違させるか、或いは、前記低融点ポリマー層111と粘着剤層112とがともに透明であり、前記商品袋の取り外しに際し、前記粘着剤層112が露出する範囲のうち、少なくとも前記取付け個所114を含む範囲において、前記基材層の色彩を、他の位置の前記基材層の色彩と相違させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品が封入された商品袋を複数並べて取り付けて展示するためのディスプレイストリップを用いた商品展示体に関し、特にヒートシールタイプのディスプレイストリップを用いているにも拘らず、一旦引き剥がした商品袋を再取付け可能な商品展示体に関する。
【背景技術】
【0002】
スナック菓子のようなピロー包装された商品を展示し、販売する方法として、ストリップバッグ展示と呼ばれる、陳列棚を必要としない商品の展示販売方法が知られている。
ストリップバッグ展示とは、ディスプレイストリップと呼ばれる所定巾のテープ材に、商品が封入された袋(商品袋)を複数取り付けて吊り下げるという商品展示体による形態である。
【0003】
上記のようなストリップバッグ展示を行うためのディスプレイストリップの一つとして、片面にヒートシール層を設けることにより、商品が封入された袋を直接ヒートシールして接着することができるディスプレイストリップが提案されている。このディスプレイストリップを用いれば、商品を封入した袋をディスプレイストリップに取り付ける工程を、商品を袋に封入する一連の工程と連続して自動化することが極めて容易である。
【0004】
更に、特許文献1のようにディスプレイストリップのヒートシール層と基材層との間に、またはヒートシール層の一部として基材層と接する内側に、粘着剤層を設けたディスプレイストリップが知られている。かかる様態で粘着剤層を設けると、取付けた商品袋を取り外すまでは粘着剤層が露出しないが、ディスプレイストリップから商品袋を引き剥がすことで粘着剤層が露出し、取り外した商品の購入を止めた場合に、商品袋の再取付けが可能となる利点がある。このようなディスプレイストリップにおいて、前記粘着剤層は、商品袋再取付けの役割とともにヒートシール層と基材層を接着する役割も有する。
【特許文献1】国際公開公報 WO2004/054895
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のディスプレイストリップによる商品展示体を活用するためには、商品を取り外した顧客が、自ら取り外した該商品を再度前記商品展示体の所定位置に取り付けることも可能であるという認識を持っている必要がある。したがって、商品展示体には、その所定位置の存在について顧客に注意喚起する機能があることが好ましい。
【0006】
ここで、特許文献1の技術においては、商品袋取り外しの際に、取付け個所とその近傍のディスプレイストリップ側のヒートシール層は、取り外した商品袋に付着して、該ディスプレイストリップから剥がされるので、顧客に注意喚起する方法としては、例えば仮に前記ディスプレイストリップのヒートシール層を不透明にすることができれば、前記ヒートシール層が剥がされた際に露出する粘着剤層全体、或いは粘着剤層が透明又は半透明の場合には基材層全体を前記ヒートシール層とは異なる色彩を施せば、露出していない部分の粘着剤層または基材層が、前記不透明なヒートシール層に隠蔽されて、商品袋取り外しによって露出した粘着剤層の部分だけが異なる色彩となるので、再取付け可能である商品展示体であることを注意喚起しうるものとすることができるように思える。
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術におけるディスプレイストリップから、剥がされるヒートシール層は、上述の通り商品袋に付着するものであるため、付着したヒートシール層は、商品袋において、できるだけ目立たないことが好ましく、透明であることが求められている。このため前記シーラント層を不透明にして、露出していない粘着剤層または基材層を隠蔽することは、商業的に受け入れられにくい方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために
ディスプレイストリップに、商品が封入された商品袋が取り付けられた商品展示体であって、
前記ディスプレイストリップは、シーラント層と基材層とを含んで構成され、前記シーラント層は、商品袋を熱融着で取り付けるための低融点ポリマー層を含む外層と、前記商品袋を再取付けするための粘着剤層を含む内層とを有し、
前記商品袋は、前記ディスプレイストリップの取付け個所において熱圧着で取り付けられている商品展示体において、本発明では
前記低融点ポリマー層が、透明であり、前記取付け個所における前記粘着剤層の色彩を、他の位置の前記粘着剤層の色彩と相違させる、
或いは、前記低融点ポリマー層と粘着剤層とが、ともに透明であり、前記商品袋の取り外しに際し、前記粘着剤層が露出する範囲のうち、少なくとも前記取付け個所を含む範囲において、前記基材層の色彩を、他の位置の前記基材層の色彩と相違させることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の商品展示体によれば、これを利用する顧客は、商品袋取り外しの際に、前記粘着剤層が露出している前記取付け個所、或いは前記取付け個所を含め粘着剤層が露出している個所のみの色彩が、他の個所の色彩とは相違していることを容易に見取ることができるので、自ら手に取った商品袋は、本発明の商品展示体に用いるディスプレイストリップに、再度取付け可能であることを認識できるから、再取付けのための機構を有効に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(商品展示体の基本構造)
図1には、本発明の商品展示体300を構成する、ディスプレイストリップ100と商品袋200の概要を示した。図1に示したようにディスプレイストリップ100は、商品袋200が取り付けられる本体部101を少なくとも具備する。図1の様態では更に、吊り下げるためのホールパンチが設けられたホールパンチ部102も具備する。ホールパンチ部102は、フックHなどで棚などに固定する部位であるから、図1のように、ディスプレイストリップをストリップバッグ展示する際の位置関係において、ホールパンチ部102は、本体部101の上方に設けられる。
【0011】
ディスプレイストリップ100は、融着によってその表面に商品袋を取り付けることのできるものであり、基本的な構成は、商品袋を取り付ける外表面側にシーラント層を有し、その内側(裏側)に基材層を有するものである。
ディスプレイストリップ100は、商品袋200が再取付け可能なディスプレイストリップであるので、前記シーラント層は、低融点ポリマー層111と粘着剤層112を具備し、前記低融点ポリマー層111は、表面外側に形成され、前記粘着剤層112は、内面側、すなわち基材層側に形成される。
なお、粘着剤層112は、必ずしも基材層と直接接している必要はなく、例えば粘着剤層112と基材層の間に、中間層、アンカーコート層、補強層などを設けることもできる。
【0012】
本発明の商品展示体300は、手に取った商品袋200がディスプレイストリップ100に再取付けできることを顧客にアピールするために、商品袋200を取り外して粘着剤層112を露出させたことで商品袋200が再取付け可能となった個所の少なくとも一部を、他の個所とは色彩を異ならせるものである。再取付け可能の個所を他の個所と相違させる方法としては、(1)透明の低融点ポリマー層111を使用し、商品袋200の取付け個所における粘着剤層112の色彩を、他の位置の粘着剤層の色彩と相違させる方法、(2)透明の低融点ポリマー層111と透明の粘着剤層112とを使用し、商品袋100の取り外しに際し、粘着剤層112が露出する範囲のうち、取付け個所を含む範囲において、前記基材層の色彩を、他の位置の前記基材層の色彩と相違させる方法がある。
【0013】
(シーラント層)
〔低融点ポリマー層〕
前記シーラント層の外層として設けられる低融点ポリマー層111に用いられる低融点ポリマーとしては、160℃以下、好ましくは120℃以下の低い温度で溶融する低融点ポリマー層111であって、常温で粘着性を示さず、かつ、充分な溶融接着性を発揮できるものであれば用いることができる。なかでも好適に使用できる低融点ポリマーの具体例としては、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、炭素数4〜12のαオレフィン)との共重合体、低密度ポリエチレン(メタロセン直鎖低密度ポリエチレンを含む)、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸エステル共重合体等からなるものを挙げることができる。また、前記シーラント層は、単層構造であってもよいし、複数の層からなる多層構造を有していてもよい。
本発明における低融点ポリマー層111の色彩は透明である。ディスプレイストリップ100の前記低融点ポリマー層111の一部は、商品袋200を取り外す際に、ディスプレイストリップ100から引き剥がされて、商品袋側に付着するので、商業的に、できるだけ目立たせないことが求められるからである。
【0014】
〔スリット〕
低融点ポリマー層111には、溶融接着により結合された前記商品が封入された袋を取り外すときに、前記低融点ポリマー層111が確実に破壊して粘着剤層112が露出するように、前記商品が封入された袋が結合される部位の近傍にスリット113を設けることが好ましい。スリット113の間隔としては特に制限されるものではないが、ディスプレイストリップの大きさ、用途などに応じて、1〜10mmの間隔範囲で適宜選択されることが好ましい。
スリット113は、前記低融点ポリマー層111の領域を区画して、該スリット113の位置を境界として、ディスプレイストリップ100と商品袋200の融着部である取付け個所114を含む、所定領域の低融点ポリマー層111のみが確実に切り離される補助となりうるために設けるものであり、そのためには、スリット113は商品袋の長さ方向に対して、縦および/または横方向に直線的に入れられていることが好ましい。例えばジグザグ状の線で入れることも可能であるが、ジグザグ線の場合、該ジグザグの頂点から、低融点ポリマー層111以外の部位に裂け目が発生する可能性がある。
前記低融点ポリマー層111の形状としては、特に制限されるものではないが、連続線または破線とすることが簡便であり、取り付けられた商品袋に封入される商品重さとの関係で、適宜選択することができる。
【0015】
またスリット113の深さは、低融点ポリマー層111を越えて粘着剤層112までは達するが、該粘着剤層112を貫通しない深さに制御されることが好ましい。例えば、粘着剤層112の厚さが20μmの場合、スリット113は、低融点ポリマー層111を貫通するが、粘着剤層112の1/4の深さである、5μmを超えないように、その深さを制御することが、より好ましい。更に、前記低融点ポリマー層111と粘着剤層112のちょうど界面でスリット113が終了していることが最も好ましい。スリット113の深さが不十分で、低融点ポリマー層111への切込みが不十分であるため、実質的に低融点ポリマー層111が連続しているような場合には、商品袋を取り外すときに、低融点ポリマー層111が、スリット113部分で切断されることなく、スリット113の下方の全面にわたって剥がれてくる場合がある。一方、スリット113が粘着剤層112を貫通し、基材層まで達する深さであると、ディスプレイストリップ100本体が、切断される可能性があるからである。
【0016】
このようにスリット113の深さを制御することで、前記粘着剤層112は確実にディスプレイストリップ100側に残して、該スリット113を境界とする所定領域の低融点ポリマー層111のみを切り離すことができる。このため、前記スリット113を入れる方法は特に限定されるものではないが、なかでもスリット113深さの正確な制御ができるトムソン刃、レーザ加工またはロール上に配置されたダイカット方式によって、前記スリット113が入れられることが好ましい。
【0017】
〔粘着剤層〕
前記シーラント層の内層として設けられる粘着剤層112は、常温で粘着性を示す粘着剤を含有する。粘着剤としては常温で粘着性を示すものであれば特に限定されないが、ゴム系粘着剤又はアクリル系粘着剤であることが好ましい。
【0018】
また粘着剤層112の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は300μmである。10μm未満であると、いったん取り付けられた袋を引き剥がした際に、前記シーラント層とともに粘着剤層112も剥れてしまい、商品袋200の再接着ができなくなることがある。300μmを超えると、粘着強度が高すぎて、いったん取り付けられた商品袋200を引き剥がしにくくなる。
【0019】
〔粘着剤層の印刷〕
本発明の商品展示体において、取付け個所における前記粘着剤層112の色彩を、他の位置の前記粘着剤層と相違させる場合には、感熱インキ或いは感圧インキを含有させた粘着剤によって粘着剤層112を積層させることが好ましい。粘着剤層112に感熱インキまたは感圧インキを含有させると、ディスプレイストリップ100の取付け個所114において商品袋200を熱圧着する際に、該取付け個所のみの色彩だけを他の個所と相違させることを容易に行えるからである。
【0020】
感熱インキや感圧インキとしては、一定の温度または圧力を超えると、着色、消色或いは変色し、一旦着色、消色或いは変色が生じた後は、前記一定の温度又は圧力を下回っても、変化した色が元に戻らない性質を持つ、公知の感熱インキを用いることができる。具体的には特許文献2に記載されているようなマイクロカプセル粒子を含有するインキや、特許文献3に記載されているようなロイコ染料に顕色剤または消色剤を加えたインキなどを挙げることができる。また感熱インキや感圧インキを混合して用いてもよい。
【特許文献2】特開2001−335729号公報
【特許文献3】特開2003−313453号公報
【0021】
前記感熱インキや感圧インキを含む粘着剤層112は、商品袋を熱圧着するに際し、取付け個所114にのみ特異的に、熱及び圧力が与えられる。この熱や圧力を利用すると、粘着剤層の所定の部分のみ着色したインキを塗布するなどの面倒な方法を経ることなく、取付け個所114のみ、他の範囲と相違する色彩の商品展示体300を容易に得ることができる。
【0022】
粘着剤層112に着色した場合の例である、ディスプレイストリップ100の概略図を図2Aに示した。模様を付した部分が着色した部分である。図2Bの様態では、商品袋200の取付け個所114のみが着色している様態である。
【0023】
〔中間層〕
基材層と粘着剤層112とは、ポリエチレンからなる中間層を介して積層されていることが好ましい。ポリエチレンは柔軟で引張伸度が高いことから、前記ポリエチレンからなる中間層を有することによりディスプレイストリップ100全体の強度やホールパンチ強度を向上させたりすることができる。
前記ポリエチレンからなる中間層は、前記基材層と粘着剤層112との間にポリエチレンを押出成形しながら積層することにより行うことができる。なお、ポリエチレンの他、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマーを用いてもよい。
【0024】
前記ポリエチレン層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は50μmである。5μm未満であると、充分な強度の向上効果が得られないことがあり、50μmを超えるとディスプレイストリップ100全体の厚さが厚くなってしまい、断熱効果によりヒートシール性が損なわれてしまうことがある。
【0025】
〔アンカーコート層〕
また、基材層と粘着剤層112との間にアンカーコート層が形成されていることが好ましい。基材層と粘着剤層112との間の接着力が優れたものとなり、基材層と粘着剤層112との間で剥離が生じにくくなる。前記アンカーコート層としては特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート/ポリエステル系2液硬化型接着剤等の従来公知のアンカーコート剤からなるもの等が挙げられる。かかるアンカーコート剤を粘着剤がコートされる樹脂フィルム面にコートすることによりアンカーコート層が形成される。
【0026】
また前記シーラント層は、必要に応じて、更にワックス、紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、顔料、染料などの通常用いられる添加物を含有してもよい。
【0027】
(基材層)
本発明のディスプレイストリップに採用する基材層は、商品が封入された多数の商品袋200を取り付けて吊り下げる用途から、充分な強度を有し、かつ、溶融接着時に溶融したり劣化したりしない耐熱性を付与するために、紙及び/または延伸フィルムを含むものである。
延伸フィルムとしては、特に限定されないが、好ましい延伸フィルムの例として、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。これらは単層であっても複層であっても良い。
【0028】
前記基材層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は30μm、好ましい上限は500μmである。30μm未満であると、充分なホールパンチ強度が得られずに展示時や商品を封入した袋を引き剥がす際に破損する恐れがあり、500μmを超えると、基材層が断熱材の役割をして溶融接着時に前記シーラント層の低融点ポリマー層111まで充分に熱が伝わらないことがある。
【0029】
〔アイマーク〕
本発明のディスプレイストリップ100の、基材層の所定位置にのみ、他の部分と異なる色彩を付する場合は、予め基材層を構成するフィルムに、予めアイマーク115が設けられることが好ましい。
このアイマーク115は、ディスプレイストリップ100の基材層に印刷を行う位置を正確に指示するとともに、ディスプレイストリップ100に、商品袋200を取り付ける位置を正確に指示する役割を果たすことができる。
【0030】
〔基材層の印刷〕
本発明の商品展示体300において、粘着剤層112自体透明であって、着色も行わない場合、基材層は、商品袋200の取り外しに際し、粘着剤層112が露出する範囲のうち、少なくとも前記取付け個所114を含む範囲において、基材層他の範囲と相違する色彩とすることができる。
なお、ディスプレイストリップ100に前記スリットを設けた場合などには、前記取付け個所114と商品袋200の取り外しに際し、粘着剤層112が露出する範囲は必ずしも一致しない。そこで、基材層に着色する場合、粘着剤層112に着色する場合と異なり、取付け個所114のみならず、粘着剤層112が露出する範囲の一部または全部を着色できる。基材層の着色は、予めアイマーク115の制御による印刷などによって行われ、ディスプレイストリップ100と商品袋200の熱圧着の際の熱などを利用して着色するものではないからである。また、取付け個所114のみならず、粘着剤層112が露出する範囲の一部または全部を着色することで、或いは露出していない部分を着色することで、顧客に対して効果的な注意喚起が可能となる。
【0031】
基材層に着色した場合の例である、ディスプレイストリップ100の概略図を図2Bに示した。模様を付した部分が着色した部分である。図2Bでは、透明である粘着剤層112を通して、着色された基材層が見える。図2Bの様態では、商品袋200の取り外しに際し、粘着剤層112が露出する範囲の全部にあたる基材層の範囲について着色した様態である。
基材層の所定範囲のみを着色する方法としては、スクリーン印刷法など公知の印刷方法により形成することができる。また、基材層の材料が、紙などの吸収面を有する材料とした場合、所定位置の印刷には、インクジェット法などを用いることもできる。
【0032】
(ディスプレイストリップの形態)
本発明のディスプレイストリップ100の形態としては特に限定されず、例えば、テープ状、シート状等が挙げられる。
また、本発明のディスプレイストリップ100は、吊り下げるためのホールパンチが設けられたホールパンチ部102を有するものの場合、商品展示体としては、図1に示すようにフックのような固定具Hに吊るして展示されることが通常である。
なお、ホールパンチを有するホールパンチ部102は、本体部101の上方にのみ設けられていることが好ましい。本体部101の下方にもホールパンチ部102が設けられると、商店等において商品展示体を逆さまに吊り下げられることがある。
【0033】
(ディスプレイストリップの製法)
商品袋200の再取付けが可能なヒートシールタイプのディスプレイストリップ100を作製するには、公知の手段を利用することができる。具体的には、基材層にアンカーコート層などを介して、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する。これに、低融点ポリマー層を公知の方法で積層することにより、再取付けが可能なディスプレイストリップを得ることができる。
さらに前記ディスプレイストリップを、本発明の商品展示体300に用いるディスプレイストリップ100とするには、後述の方法などで、粘着剤層112或いは基材層の所定の範囲のみ、他の部位と異なる色彩にすることが必要とされる。
【0034】
(商品袋)
本発明の商品展示体に取り付けられる商品袋200の材料としては、一般的に包装用フィルムとして用いられるものが、いずれも使用できる。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)層/ポリエチレン(PE)層/無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの、透明蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層/印刷層/無延伸ポリプロピレン(CPP)層からなるもの等の袋の表面が二軸延伸ポリマーであるものや、最外層にヒートシール可能なシーラント層を有するもの等が使用される。最外層にヒートシール可能なシーラント層を有するものとしては、例えば、米国においては、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層/印刷層/ポリエチレン(PE)層/アルミニウム蒸着ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層からなるものが用いられており、このような商品袋200は本発明のディスプレイストリップ100に好適に取り付けることができる。
【0035】
(商品袋の製造)
前記商品袋200自体は、一般的に使用されている商品袋なので、その作製は、公知の製袋方法を利用することができる。一例を挙げると次のようである。
まず包装フィルムを包装機に供給する。供給された包装フィルムが、前記包装機ショルダー部からフォーマ部へ移行する過程において、前記包装フィルムが筒状に成形される。続いて、フィルム縦方向両端部が重ね合わされながら縦シールが行われ、次いで、所定間隔毎に横シールが行われ切断されて、商品袋200が形成される。
【0036】
(商品展示体の製造方法)
商品袋200をディスプレイストリップ100に取り付けて本発明の商品展示体を製造するための製造装置の一例は、特許文献4などに記載されている。具体的には、ディスプレイストリップ100を供給ロールから繰り出しながら、取付け装置に供給する過程に、検出センサーを設け、ディスプレイストリップ100のアイマーク115を検出する。アイマーク115の検出信号を該装置の制御装置に送り、該制御装置は、ディスプレイストリップ100所定の取付け個所114が、該装置のヒータ面に到達するタイミングに合わせて、商品袋200の取付け個所が該ヒータ面に到達するように、商品袋200を掴むアームの動きを制御し、かつ、該商品袋200がヒータ面上で、該ディスプレイストリップ100の所定の位置に押し圧されるように、押し圧体が該ヒータ面に達するタイミングを制御する。
かくして、商品袋200がディスプレイストリップ100の所定の位置に押し圧されながら、取り付けられた商品展示体300を製造できる。
【特許文献4】特開2004−90949号
【0037】
本発明の商品展示体300において、取付け個所における前記粘着剤層の色彩を、他の位置の色彩と相違させる前記(1)の様態の場合、前記粘着剤に感熱インキまたは感圧インキの少なくともいずれかを含ませることで、商品袋200をディスプレイストリップ100に熱圧着させる工程において、自動的に前記取付け個所の色彩のみを他の位置の色彩と相違させることができる。
【0038】
一方、本発明の商品展示体300において、商品袋200の取り外しに際し、粘着剤層112が露出する範囲のうち、少なくとも取付け個所を含む範囲において、前記基材層の色彩を、他の位置の色彩と相違させる前記(2)の様態の場合、予めアイマーク115及び所定部分を着色した基材層を含むフィルムを用いて製造することも勿論可能である。
【0039】
しかし近年の多品種小ロットの傾向から、予めアイマーク及び所定部分を着色した基材層を用いる製造方法では、商品袋200の取付け個所114の変更や着色色彩の変更などが困難である。したがって、基材層の部分的着色工程は、製袋工程に組み込むことが望ましい。具体的には次のような方法を採ることができる。
まずディスプレイストリップ100の原材料となる積層フィルムとして、シーラント層と基材層とを含んで構成され、前記シーラント層は、低融点ポリマー層を含む外層と粘着剤層を含む内層とを有する、予め所定間隔でアイマークが印刷されている、前記印刷個所を除き透明である積層フィルムを用いる。
前記積層フィルムが、供給ロールから繰り出され、商品袋が熱圧着されるまでの過程において、前記アイマークの制御によって、前記積層フィルムの前記基材層側、すなわち、商品展示体300に形成された場合の背面側から、前記商品袋の取り外しに際し、前記粘着剤層が露出する範囲のうちの所定範囲のみ、或いは前記所定範囲以外の部分のみ印刷を行う。
その後、前記工程を経て前記積層フィルムから得られたディスプレイストリップ100に、商品袋200を熱圧着するに際し、前記所定範囲のなかの決められた位置で熱圧着を行なう。このような工程を経ることで、取付け個所114を含む範囲の前記基材層の色彩と、他の位置の前記基材層の色彩とが相違する商品展示体300を得ることができる。
【0040】
ディスプレイストリップ100に商品袋200を取り付けるための溶融接着の方法としては、ヒートシール法の他に、超音波シール法や高周波シール法でも行うことができる。
【0041】
前記溶融接着によって商品展示体を作製する手順としては、特に限定されるものではないが、例えば図3に示す手順により取り付けることが好ましい。この方法では、まず、商品袋200の表側がディスプレイストリップ100に接するようにして商品を封入した該商品袋200を置き、次いで商品袋200を構成する包装用フィルムの上部を溶融接着して、該包装用フィルムをディスプレイストリップ100に結合させる(図3a)。
所定の数の商品袋200をディスプレイストリップ100に溶融接着にて取り付けたところで、商品袋200における取付け個所を軸に、ディスプレイストリップ100を上下反転させて、商品袋200の表面がディスプレイストリップ100とは反対側になるようにする(図3b)。この状態でディスプレイストリップ100の片端をフックH等に吊り下げて展示すれば、商品袋200とディスプレイストリップ100との取付け個所は図3cのようになっていることから、取付け個所を下方向に引っ張れば、前記区画領域内における、前記シーラント層のみが商品袋200に付着した状態で、該取付け個所を含む領域を引き剥がすことができる商品展示体とすることができる。
【0042】
本発明の商品展示体において、商品袋200とディスプレイストリップ100とのシール強度としては特に限定されないが、好ましい下限は1N/30mm、好ましい上限は50N/30mmである。1N/30mm未満であると、商品の重量によっては自重により商品が落下してしまうことがあり、50N/30mmを超えると、吊り下げた状態で商品袋を引っ張ってもはずれないことがある。より好ましい下限は5N/30mmであり、より好ましい上限は30N/30mmである。
【0043】
なお、商品袋200とディスプレイストリップ100との溶融接着の状態や剥離の状態については、溶融接着の方法や条件によっても大きく変化し得るものである。溶融接着がヒートシール法の場合、その条件は、溶融接着時の温度やシールジョーの接触時間、接触圧力等によって変化する他、シールジョーの形状によっても変化し得る。従って、前記ディスプレイストリップ100の低融点ポリマー層111を構成する樹脂組成物の種類や、商品袋の表面層の素材に応じて、最適のシール条件を選択することが好ましい。シールジョーの幅については、ディスプレイストリップ100と商品袋表面との接着面の所望の長さに応じて選ばれるが、この長さが、ディスプレイストリップ100から袋を剥がすときの剥離の始まりから剥離の完了までの距離を実質的に決定する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ストリップバッグ展示を行っている本発明の商品展示体を示す概略図である。
【図2A】本発明に用いるディスプレイストリップの正面概略図である。
【図2B】図2Aとは別の様態の本発明に用いるディスプレイストリップの正面概略図である。
【図3】商品袋をディスプレイストリップへ取り付ける手順を示す概略図である。
【符号の説明】
【0045】
100 ディスプレイストリップ
101 本体部
102 ホールパンチ部
111 低融点ポリマー層
112 粘着剤層
113 スリット
114 取付け個所
115 アイマーク
200 商品袋
300 商品展示体
H フック(固定具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイストリップに、商品が封入された商品袋が取り付けられた商品展示体であって、
前記ディスプレイストリップは、シーラント層と基材層とを含んで構成され、前記シーラント層は、商品袋を熱融着で取付けるための低融点ポリマー層を含む外層と、前記商品袋を再取付けするための粘着剤層を含む内層とを有し、
前記商品袋は、前記ディスプレイストリップの取付け個所において熱圧着で取り付けられており、
前記低融点ポリマー層が、透明であり、
前記取付け個所における前記粘着剤層の色彩が、他の位置の前記粘着剤層の色彩と相違することを特徴とする商品展示体。
【請求項2】
前記ディスプレイストリップの粘着剤層に、感熱インキ或いは感圧インキの少なくともいずれかを含み、
前記取付け個所における、前記粘着剤層に含まれる前記インキの変色によって、前記取付け個所における前記粘着剤層の色彩が、他の位置の前記粘着剤層の色彩と相違する請求項1記載の商品展示体。
【請求項3】
ディスプレイストリップに、商品が封入された商品袋が取り付けられた商品展示体であって、
前記ディスプレイストリップは、シーラント層と基材層とを含んで構成され、前記シーラント層は、商品袋を熱融着で取り付けるための低融点ポリマー層を含む外層と、前記商品袋を再取付けするための粘着剤層を含む内層とを有し、
前記商品袋は、前記ディスプレイストリップの取付け個所において熱圧着で取り付けられており、
前記低融点ポリマー層と粘着剤層とが、ともに透明であり、
前記商品袋の取り外しに際し、前記粘着剤層が露出する範囲のうち、少なくとも前記取付け個所を含む範囲において、前記基材層の色彩が、他の位置の前記基材層の色彩と相違することを特徴とする商品展示体。
【請求項4】
請求項3記載の商品展示体を製造する方法であって、
シーラント層と基材層とを含んで構成され、前記シーラント層は、低融点ポリマー層を含む外層と粘着剤層を含む内層とを有する、予め所定間隔でアイマークが印刷されている、前記印刷個所を除き透明である積層フィルムを用いて、
前記積層フィルムが、供給ロールから繰り出され、商品袋が熱圧着されるまでの過程に、前記アイマークの制御によって、前記積層フィルムの前記基材層側から、前記商品袋の取り外しに際し、前記粘着剤層が露出する範囲のうちの所定範囲のみ、或いは前記所定範囲以外の部分のみ印刷を行う工程と、
前記工程を経て前記積層フィルムから得られたディスプレイストリップに、商品袋を熱圧着するに際し、前記所定範囲のなかの決められた位置で熱圧着が行われる工程とを含むことで、取付け個所を含む範囲の前記基材層の色彩と、他の位置の前記基材層の色彩とが相違する商品展示体を得る、商品展示体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−296921(P2008−296921A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141675(P2007−141675)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】