説明

商品粘着支持体及び商品吊り下げ方法

【課題】線状に封止するためのシール装置を必要としないで、大型化で重量の増した商品であっても確実に吊り下げ支持することのできる新規な商品粘着支持体を提供する。
【解決手段】第一シート部と第二シート部とを備え、それらは、それぞれ、着脱自在に粘着する第一粘着面及び第二粘着面を、商品に対向する内表面に有し、第一粘着面は、商品自身を粘着する第一商品粘着領域と、商品の周囲領域を粘着する第一周囲粘着領域と、を備えて、第二粘着面は、商品自身を粘着する第二商品粘着領域と、商品の周囲領域を粘着する第二周囲粘着領域と、を備え、第一商品粘着領域及び第二商品粘着領域が商品に粘着するとともに、第一周囲粘着領域が第二周囲粘着領域に粘着することによって、第一シート部と第二シート部との間で商品を挟持しながら粘着固定し、商品を粘着固定する第一シート部及び第二シート部の上端部に吊り下げ手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を吊り下げた状態で商品の搬送や保存や展示を行うための商品粘着支持体及び商品吊り下げ方法に関し、特に、フィルムやシートや板状体のように比較的平面的な商品を吊り下げ支持するのに好適な商品粘着支持体及び商品吊り下げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品を吊り下げた状態で商品の搬送や保存や展示を行う場合、商品を包装袋に収納したあと、包装袋に設けられたフックや穴等の吊り下げ手段により包装袋を吊り下げることが行われている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−81292号公報
【特許文献2】特開2005−22723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2に示された包装袋は、いずれも、方形形状の包装袋を画定する4つの縁のうち3つの縁(右縁、左縁及び下縁)を線状に封止するとともに、封止されない残り一つの上縁を商品出し入れ用の開口部にするように構成されている。
【0005】
封止されていない上縁はジッパーや粘着剤等の開閉手段によって可逆的に開閉することができるが、残り3つの縁封止部はヒートシールや溶断シール等の線状シール手段によって不可逆的に封止されている。したがって、3つの縁封止部をハサミ等の開封手段で一度開封したならば、開封された該縁封止部を新たな封止に供することができない。
【0006】
また、上記包装形態では、収納された商品の荷重が、線状に封止された下縁封止部で支持されたいわゆる線状封止支持形態であることから、下縁封止部が十分に強い封止強度を備えていなければ、吊り下げられた商品の荷重で下縁封止部を突き破って商品が脱落してしまう危険性がある。そこで、十分に強い封止強度を備えた線状シール手段として、ヒートシールや溶断シールが用いられるが、ヒートシールや溶断シールを行うための加熱シール装置が必要になる。
【0007】
近年、液晶TVやプラズマTV等のディスプレイが大型化し、大型ディスプレイに用いられる各種要素部材も大型化している。例えば、液晶TVに使用される偏光フィルムや拡散フィルム等の光学部材も大型化している。大型の要素部材を上記のようなシール装置でシールしようとすると、シール装置が大掛かりになり、非常に高いコストのものになってしまう。さらに、上述したように、大型化で重量の増した要素部材を下縁封止部だけで支持するので、吊り下げられた商品の荷重で下縁封止部を突き破って商品が脱落してしまう危険性がある。
【0008】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、線状に封止するための加熱シール装置を必要としないで、大型化で重量の増した商品であっても確実に吊り下げ支持することのできる新規な商品粘着支持体及び商品吊り下げ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するために、本発明によれば、以下の商品粘着支持体及び商品吊り下げ方法が提供される。
【0010】
すなわち、本発明の請求項1に係る商品粘着支持体は、
第一シート部と第二シート部とを備え、
第一シート部及び第二シート部は、それぞれ、着脱自在に粘着する第一粘着面及び第二粘着面を、商品に対向する内表面に有し、
第一粘着面は、商品自身を粘着する第一商品粘着領域と、商品の周囲領域を粘着する第一周囲粘着領域と、を備えて、
第二粘着面は、商品自身を粘着する第二商品粘着領域と、商品の周囲領域を粘着する第二周囲粘着領域と、を備え、
第一商品粘着領域及び第二商品粘着領域が商品に粘着するとともに、第一周囲粘着領域が第二周囲粘着領域に粘着することによって、第一シート部と第二シート部との間で商品を挟持しながら粘着固定し、
商品を粘着固定する第一シート部及び第二シート部の上端部に吊り下げ手段を設けることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る商品粘着支持体では、商品の重量や面粗度に応じて、前記第一粘着面及び第二粘着面の粘着強さを決定することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に係る商品粘着支持体では、粘着強さは、実質的に糊残りの起こらない、微粘着型、弱粘着型又は自己粘着型の中から選択されることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係る商品粘着支持体では、第一シート部と第二シート部との間には、複数個の商品がシート厚み方向に積層配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係る商品粘着支持体では、第一シート部と第二シート部との間には、複数個の商品がシート厚み直交方向に離間配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に係る商品粘着支持体では、商品は、包装袋で包装されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7に係る商品粘着支持体では、第一シート部及び第二シート部は、一枚物のシートを折り畳むことによって形成されることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8に係る商品粘着支持体では、一枚物のシートを折り畳むことによって形成される折り目が、支持体の下端に位置することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項9に係る商品粘着支持体では、吊り下げられた支持体の下端が、支持体の設置される設置面に対して当接するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項10に係る商品吊り下げ方法では、
商品及び商品の周辺領域に対して着脱自在に粘着する粘着面を一面に有する一対のシート部を準備する準備ステップと、
各粘着面が商品に対向するようにして各粘着面の間で商品を挟持する保持ステップと、
各粘着面を商品の表面に密接させるとともに各粘着面における商品周辺領域同士を密接させることにより、各粘着面の間で商品を粘着固定する粘着固定ステップと、
商品を粘着固定した一対のシート部の上端部で当該一対のシート部を吊り下げる吊り下げステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る本発明では、一対のシート部の粘着面が商品粘着領域及び周囲粘着領域をそれぞれ備え、一対の粘着領域によって商品が粘着固定され、周囲粘着領域同士が粘着固定されている。すなわち、一対の粘着面の間で商品が面状に粘着固定されている。商品を面で粘着支持する面粘着支持構造は十分な支持力を備えているので、重量物の商品を吊り下げても、重量物の商品を確実に支持することができる。また、一対の粘着面の粘着力を利用しているので、加熱シール装置を必要としない。そして、粘着面が剥離可能であるので、粘着固定された商品を容易に取り出すことができる。したがって、請求項1に係る本発明は、重量物の商品でも吊り下げ支持が可能であり、線状に封止するための加熱シール装置を必要とせず、商品の取り出しも容易であるという格別な効果を奏する。
【0021】
吊り下げ支持すべき商品(被着体)の重量や面粗度によって、必要とされる粘着力が異なる。商品が重量物であるときや、商品の面粗度が粗いときには、大きな粘着力が必要である。したがって、請求項2に係る本発明は、商品の特性に応じて適切な粘着力を決めるので、一対のシート部を引き離して商品を取り出す作業が容易になるという効果を奏する。
【0022】
本発明は、商品を面で粘着固定して吊り下げ支持する面粘着支持構造に係るものであるから、基本的には、単位面積当たり大きな粘着力を必要としない。必要以上に粘着力が大きいものすなわち強粘着型のものを使用すると、一対のシート部を引き離して商品を取り出す作業が非常に困難になったり、商品への糊残りが起こったりするという問題がある。したがって、請求項3に係る本発明は、取り出し作業の容易化と糊残り防止という効果を奏する。
【0023】
包装袋中に1個の商品本体を含む商品を一対の粘着面の間で粘着固定して商品の搬送や保存や展示を行うことも可能であるが、効率が良くない。そこで、請求項4に係る本発明は、商品の搬送等の効率化を図るという効果を奏する。
【0024】
比較的小型の商品を一対の粘着面の間で個別に粘着固定して商品の搬送や保存や展示を行うことも可能であるが、商品の搬送等が非効率的である。したがって、請求項5に係る本発明は、商品の搬送等の効率化を図るという効果を奏する。
【0025】
商品は、商品の周囲領域を粘着する第一周囲粘着領域及び第二周囲粘着領域によって囲繞されているので、周囲粘着領域によってホコリや異物の侵入から保護されている。また、粘着剤の商品への糊残りが問題とならない商品もある。このような商品では、商品を包装袋によって包装することは不要である。しかしながら、わずかなホコリや異物の侵入を嫌う商品や粘着剤の糊残りが問題になる商品もある。したがって、請求項6に係る本発明は、ホコリや異物の侵入防止及び粘着剤の糊残り防止という効果を奏する。
【0026】
第一シート部及び第二シート部を、別体のシートすなわち2枚のシートから構成することもできる。しかしながら、第一シート部及び第二シート部が2枚のシートから構成されていると、2枚のシートを正しく位置決めして重ね合わせること、あるいは第一粘着面及び第二粘着面を商品に対して正しく対面させることが容易でないこともある。したがって、請求項7に係る本発明は、第一シート部及び第二シート部の位置決めを容易にするという効果を奏する。
【0027】
上述したように、本願発明は、いわば面粘着支持構造を用いた発明であるので、商品の脱落にも抗する十分な粘着支持力を備えている。しかしながら、万が一の商品落下事故を防止する構成を備えることは、使用者に安心感を与える。したがって、請求項8に係る本発明は、商品の落下事故防止という効果を奏する。
【0028】
吊り下げられた支持体の下端が、支持体の設置される設置面から離れていると、商品のフラツキ(バタツキ)が起こったり、吊り下げ手段に大きな荷重が負荷されたりする。したがって、請求項9に係る本発明は、商品のフラツキ防止や吊り下げ手段への負荷低減という効果を奏する。
【0029】
請求項10に係る発明は、商品と商品の周辺領域を覆う粘着面を有する一対のシート部の間に商品を挟持して、対向する一対の粘着面で商品を粘着固定する面粘着支持方法に関し、重量物の商品でも吊り下げ可能であり、線状に封止するための加熱シール装置を必要としないという格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第一実施形態に係る商品粘着支持体を作成する様子を説明する図である。
【図2】図1に示した商品粘着支持体の正面図である。
【図3】図2に示した商品粘着支持体の縦方向断面図である。
【図4】図2に示した商品粘着支持体を収納箱に収納する様子を説明する図である。
【図5】図2に示した商品粘着支持体を収納箱に収納する様子を上から見た説明図である。
【図6】図2に示した商品粘着支持体の商品取り出し部を拡大した図である。
【図7】図6に示した吊り下げ部分の開封タブを用いて開封する様子を説明する図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係る商品粘着支持体を作成する様子を説明する図である。
【図9】図8に示した商品粘着支持体の正面図である。
【図10】図9に示した商品粘着支持体の縦方向断面図である。
【図11】本発明の第三実施形態に係る商品粘着支持体の正面図である。
【図12】図11に示した商品粘着支持体を吊り下げる様子を説明する部分断面図である。
【図13】図11に示した商品粘着支持体の吊り下げ部分を拡大した図である。
【図14】本発明の第四実施形態に係る商品粘着支持体を作成する様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の第一実施形態に係る商品粘着支持体10を、図1乃至7を参照しながら詳細に説明する。なお、本願発明において、粘着シートやシート部やシート体やシート状というシートに関係した表現は、シートだけに特別に限定するような記載がなければ、厚みの厚い板状体から、シート体、厚みの薄いフィルム体までを含んでいる。。
【0032】
図1に示すように、一方の面に粘着面21,31を有する一枚の粘着シート10を折り目17で折り曲げて第一シート部2と第二シート部3とを形成し、第一シート部2の内表面と第二シート部3の内表面の間にシート状の商品5(被着体)を配置して、それらの間でシート状の商品5を挟持する。第一シート部2は、商品5を着脱自在に粘着する第一粘着面21を、商品5に対向する内表面に有する。第二シート部3も、商品5を着脱自在に粘着する第二粘着面31を、商品5に対向する内表面に有する。商品5を着脱自在に粘着するというのは、商品5を粘着したり剥離したりすることが可逆的に可能であることを意味する。
【0033】
第一シート部2及び/又は第二シート部3の外表面を不図示の押圧手段(例えば、作業者の指先やスタンピング装置)で面状に押圧することにより、商品5と第一粘着面21及び第二粘着面31とが粘着するとともに、第一粘着面21と第二粘着面31とが粘着する。その結果、商品5が第一粘着面21と第二粘着面31との間で粘着固定される。なお、粘着シート10は、粘着固定された商品5を吊り下げ支持して搬送や保存や展示を行うためのものであるから、商品5の吊り下げ支持が視認できるように、透明又は透光性の樹脂材料からできていることが好適であるが、不透明であってもよい。
【0034】
商品5は、商品本体52を包装する包装袋51が無い形態や、商品本体52を包装袋51の中に収納した形態で提供される。すなわち、商品本体52が粘着剤の付着(糊残り)を問題にしない場合には、包装袋51無しの形態で提供される。また、商品本体52が粘着剤の付着(糊残り)を嫌う場合には、包装袋51有りの形態で提供される。包装袋51有りの場合、包装袋51に一つの商品本体52を収納したり、シート厚み方向に複数個の商品本体52を積層した状態で包装袋51に収納したりすることができる。そして、一つの包装袋51に複数個の商品本体52をシート厚み方向に積層状態で収納する場合、各商品本体52の間にスペーサ材(不図示)を介在させた状態で複数個の商品本体52を包装袋51に収納した形態や、包装袋51の無い形態が利用可能である。
【0035】
包装袋51は、収納された商品本体52が外部環境から各種ダメージを受けることを防止するためのものであり、商品本体52よりも一回り大きなサイズの袋体である。商品本体52を包装袋51の開口部から収納したあと、開口部が一時的に封止される。商品本体52がホコリや汚れを嫌う場合には、包装袋51への商品本体52の包装作業がクリーンルーム内で行われる。
【0036】
本願発明において対象となる商品5は、好適には厚みの薄いフィルムやシートや板状体であるが、厚みの厚いものであってもよいことは言うまでもない。厚みの薄い商品を例示すると、液晶ディスプレイ用の各種光学部材(反射防止フィルム、反射板、偏光フィルム、偏光板、位相差フィルム、拡散フィルム、拡散板、輝度向上フィルム等)や、フラットパネルディスプレイ用基板(プラズマディスプレイ用ガラス基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ用ガラス基板やプラスチック基板)、太陽電池用基板(単結晶シリコン基板、ガラス基板、ステンレス基板、プラスチックフィルム)、フレキシブルプリント基板、半導体用基板(シリコンウエハー、炭化ケイ素単結晶ウェハ)、自動車ガラス等である。なお、本願発明において対象となる商品5は、平面的なものに限られず、自動車のフロントガラスのような湾曲的なものであってもよい。さらに、三次元的な立体形状のもの(例えば、大略形状が、球体、正方体、直方体であるもの)も本願発明の対象となる商品である。この場合、商品51と第一粘着面21及び第二粘着面31との間での商品を介した間接粘着割合が小さくなって、第一シート部2と第二シート部3との間での粘着面21,31同士の直接粘着割合が大きくなる。すなわち、後述するように、周囲粘着領域が実質的に粘着固定機能を担うことになる。
【0037】
例えば、偏光板(厚みが約0.3mm、比重が1.67)の場合、サイズが13インチであれば、重さが約24gであり、一つの包装袋に100枚積層して収納したときのトータル重量が約2.4kgになる。また、サイズが65インチであれば、重さが約585gであり、一つの包装袋に5枚積層して収納したときのトータル重量が約2.9kgになる。
【0038】
さらに、拡散板(厚みが約2mm、比重が1.2)の場合、サイズが13インチであれば、重さが約113gであり、一つの包装袋に30枚積層して収納したときのトータル重量が約3.4kgになる。また、サイズが65インチであれば、重さが約2800gであり、一つの包装袋に5枚積層して収納したときのトータル重量が約14kgになる。
【0039】
また、反射板(厚みが約0.26mm、比重が0.27)の場合、サイズが13インチであれば、重さが約3gであり、一つの包装袋に100枚積層して収納したときのトータル重量が約0.3kgになる。また、サイズが65インチであれば、重さが約82gであり、一つの包装袋に30枚積層して収納したときのトータル重量が約2.5kgになる。
【0040】
また、フレキシブルプリント基板(厚みが約0.05〜0.4mm、サイズが150mm以下)の場合、重さが数g〜数10gである。図14に示すように、複数のフレキシブルプリント基板が、離間して平面的に(すなわちシートの厚み直交方向に)並べて配置される。
【0041】
また、太陽電池用基板(厚みが約2mm、サイズが150mm×150mm)の場合、重さが約105gである。太陽電池用基板(厚みが約2mm、サイズが101mm×101mm)の場合、重さが約48gである。図14に示すように、複数の太陽電池用基板が、離間して平面的に(すなわちシートの厚み直交方向に)並べて配置される。
【0042】
第一シート部2と第二シート部3との間で商品5を粘着固定すると、図2に示すように、商品51が、中央粘着領域15(商品粘着領域)において第一粘着面21及び第二粘着面31によって粘着固定されている。中央粘着領域15(商品粘着領域)は、第一シート部2の第一粘着面21の一部分であって商品5に粘着する第一商品粘着面と、第二シート部3の第二粘着面31の一部分であって商品5に粘着する第二商品粘着面と、から構成される。商品粘着領域は、商品5をシート部2,3に粘着固定する機能を有する。商品5の表面が粗面である(光沢面ではない)場合、商品5の表面が濡れにくい(表面エネルギーが小さい)場合、商品5が軽量物である場合等、中央粘着領域15(商品粘着領域)が粘着固定機能を発揮しないか又は粘着固定機能を必要としないので、後述する周囲粘着領域が実質的に粘着固定機能を担うことになる。
【0043】
商品5を粘着固定する中央粘着領域15(商品粘着領域)の周囲には、中央粘着領域15(商品粘着領域)の外周縁から第一シート部2及び第二シート部3の外周縁までのある幅を持った周囲粘着領域が形成されている。周囲粘着領域は、上粘着領域11と下粘着領域12と右粘着領域13と左粘着領域14とから構成されている。図1等に例示した商品5が方形形状をしているので周囲粘着領域が4つの粘着領域から構成されているが、商品5が円形をしているならば周囲粘着領域が大略円環形状をした粘着領域から構成される。上粘着領域11と下粘着領域12と右粘着領域13と左粘着領域14の幅は、商品5を粘着支持するための粘着支持力に関係するので、吊り下げる商品5の重量に応じて適宜決定される。
【0044】
上粘着領域11と下粘着領域12と右粘着領域13と左粘着領域14は、第一シート部2の第一粘着面21の一部分であって対向する第二周囲粘着面に粘着する第一周囲粘着面と、第二シート部3の第二粘着面31の一部分であって対向する第一周囲粘着面に粘着する第二周囲粘着面と、から構成される。商品5は、上粘着領域11と下粘着領域12と右粘着領域13と左粘着領域14で囲繞されているので、商品5が上粘着領域11と下粘着領域12と右粘着領域13と左粘着領域14でいわば粘着封止されている。当該粘着封止は、ヒートシール(熱融着)と同程度に封止力を有しており、外部からホコリや異物が侵入することを防止する。したがって、周囲粘着領域11,12,13,14は、商品5の粘着支持機能と異物侵入防止機能とを備えている。
【0045】
商品粘着支持体1は、下端側において折り目17で折り畳まれているとともに、上端側において第一シート部2の上縁23と第二シート部3の上縁33とが重ね合わさって第一シート部2と第二シート部3との間で商品5を挟持しながら粘着支持した構成である。上縁23,33が重ね合わさった上端部には、商品5を含むシート部2,3を支持するための吊り下げ手段が配設されている。吊り下げ手段は、第一シート部2と第二シート部3を保持する保持部材7と、保持部材7を介して商品5を含むシート部2,3の吊り下げに供する棒状の吊り下げ部材6と、から構成される。
【0046】
保持部材7の一例が、図6に示されている。保持部材7は、短冊状で横長のシート状の保持基体71と、接合保持部73と、ミシン目75と、を有する。保持基体71の上端部と下端部には接合保持部73がそれぞれ形成されており、各接合保持部73は、重ね合わさった第一シート部2の上端部及び第二シート部3の上端部に接合される。接合保持部73による接合保持方法は、接合保持部73に粘着剤を塗布した粘着固定や複数のステープラ用つづり針で貫通固定したステープラ固定や複数のクリップで挟持したクランプ固定等がある。保持基体71の中央部には、長手横方向に並行に延在する2つのミシン目75が形成されている。図7に示すように、2つのミシン目75の間に形成された細長いタブ76を強く引っ張ることにより、タブ76が保持基体71から引き離されて、保持基体71が2つに分断される。第一シート部2と第二シート部3との間で粘着支持された商品5を取り出すときの開口形成手段としてタブ76が使用される。なお、商品5を含むシート部2,3の実質的に全荷重が保持部材7に負荷されるので、当該荷重に持ちこたえるように保持部材7の材質や厚みや引張強度が適宜調整されている。2つのミシン目75を設ける代わりに、作業者がカッターナイフ等の切断手段で、長手横方向に延在する切り目を入れることにより、保持基体71を2つに分断する形態であってもよい。
【0047】
保持部材7がU字状又はV字状に折り曲げられて、折り曲げられた湾曲空間に吊り下げ部材6が挿通される。吊り下げ部材6は長手横方向に延在する棒状体であり、左右の下端部にそれぞれ引っ掛け凹部63を有する。左右の引っ掛け凹部63は、それぞれ、左右の商品吊り下げ支柱9の上端と係合する。図4に示すように、設置される設置面から立設された左右の商品吊り下げ支柱9に対して商品粘着支持体1の吊り下げ部材6を立て掛けることにより、商品粘着支持体1が吊り下げ支持される。
【0048】
吊り下げられた商品粘着支持体1の下端が、支持体1の設置される設置面から離れていてもよいが、その場合には、商品5のフラツキ(バタツキ)が起こったり、商品吊り下げ支柱9や吊り下げ部材6に多大な荷重が負荷される。そこで、吊り下げられた商品粘着支持体1の下端が、支持体1の設置される設置面に対して当接するように構成すると、商品吊り下げ支柱9や吊り下げ部材6に負荷される荷重を低減することができる。また、商品5のフラツキ(バタツキ)防止のために、左右の商品吊り下げ支柱9の下端部に、揺動防止部材がそれぞれ配設される。
【0049】
図5に示すように、少なくとも一つの商品粘着支持体1が左右の商品吊り下げ支柱9に対して並行に吊り下げ支持される。商品粘着支持体1の厚みや重さに応じて、吊り下げられる商品粘着支持体1の数量が適宜決められる。図5に例示したものでは、4個の商品粘着支持体1が並列配置されている。また、図4及び5に示すように、外部からホコリや異物が侵入することを防止したり、隣接配置される他の商品粘着支持体1との干渉を防止したりするために、紙製やプラスチック製のダンボール箱8に収納することが好適である。ダンボール箱8の一端が開口した開口部81を通じて、商品5の出し入れが行われる。
【0050】
本願発明は、面で粘着固定された商品5を吊り下げ支持する面粘着支持構造を特徴とするものであるから、基本的には、単位面積当たり大きな粘着力を必要としない。第一シート部2及び第二シート部3として、適度な粘着性及び可撓性を有する様々な樹脂製のフィルムやシートが使用可能であるが、必要以上に粘着力が大きいものすなわち強粘着型貼着を使用すると、一対のシート部を引き離して商品5を取り出す作業が非常に困難になったり、商品5への糊残りが起こったりするという問題がある。すなわち、強粘着型貼着は、粘着が可能であるが剥離が不可であるから、着脱自在ではない。そこで、粘着支持すべき商品5の特性に応じて適切な粘着性及び剥離性を持った、自己粘着型や微粘着型や弱粘着型のものが好適である。
【0051】
自己粘着型貼着というものは、粘着剤を使わずに、フィルムやシート自身の粘着力で粘着可能であるとともに剥離も可能であり、剥離した後に糊残りが全く無いという特徴を有している。すなわち、自己粘着型貼着は、粘着及び剥離が可逆的に可能である着脱自在という特徴を有している。自己粘着性を有するフィルムやシートとして、塩化ビニル樹脂(polyvinyl chloride:PVC)や、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(Ethylence-Vinyl Acetate:EVA)や、ポリエチレン樹脂(PE)等が使用可能である。自己粘着型貼着の単位面積当たりの粘着力それ自体は、必ずしも大きくない。しかしながら、商品5の周囲領域を粘着する周囲粘着領域11,12,13,14の面積を拡大させることにより、全体の粘着力を大きくすることができ、商品5を面で粘着支持することができる。
【0052】
市販されている自己粘着型シートの製品を例示すると、アキレス製のアキレスハイタック(軟質塩化ビニル樹脂)、スミロン社製のE−75M(ポリエチレン樹脂)やV−325(軟質塩化ビニル樹脂)やパナップ製のゲルポリ(ポリオレフィン系樹脂)や龍田化学のKT−V290(ポリエチレン/EVA系樹脂)等である。
【0053】
JISZ0237に基づく180度引き剥がし法による粘着力のカタログ値は、アキレス製のアキレスハイタックの場合、0.1N/幅25mmである。同様に、スミロン社製のE−75Mの場合、3.2N/幅25mmであり、同V−325の場合、0.13N/幅25mmである。パナップ製のゲルポリの場合、0.01N/幅10mmである。龍田化学のKT−V290の場合、0.045N/幅50mmである。
【0054】
強粘着(永久接着)型貼着は、商品5に強く接着して、後で剥がす必要のない用途に使用されるものであり、微粘着・弱粘着(一時接着)型貼着は、基材上の粘着剤を介して貼付した後、商品5に粘着剤がほとんど残ることなく簡単に剥がすことができるタイプで、一定期間後に剥がすことを目的とした用途に使用されるものである。微粘着・弱粘着(一時接着)型貼着は、剥離した後に糊残りが微少であるか、あるいはほとんど無いという実質的に糊残りが無いという特徴を有している。すなわち、微粘着・弱粘着(一時接着)型貼着は、着脱自在である。
【0055】
微粘着・弱粘着型シートは、塩化ビニル樹脂(polyvinyl chloride:PVC)や低密度ポリエチレン樹脂(Low Density Polyethylene:LDPE)からなる基材の上に、ゴム系やアクリル系やウレタン系やオレフィン系の粘着剤(感圧接着剤)を形成したものである。
【0056】
微粘着・弱粘着型の粘着剤(感圧接着剤)は、シートに押圧力を加えるだけで商品(被着体)の表面に接着し、被接着面から剥離するためには、商品5それ自身に十分な強度があれば粘着剤を残さずに除去できる粘弾性体である。
【0057】
市販されている微粘着・弱粘着型のフィルムやシートの製品を例示すると、積水化学の#6221FC、寺岡製作所製の#945や#941A、日東電工製のSPV#363や#P−367やE−MASK(登録商標)R−50EP、サンエー化研製のPAC−2−70やJAシリーズ、きもと製のプロセーブ(Prosave)EP(登録商標)等である。
【0058】
JISZ0237に基づく180度引き剥がし法による粘着力のカタログ値は、積水化学の#6221FCの場合、0.02N/幅25mmである。同様に、寺岡製作所製の#941Aの場合、0.1N/幅25mmである。日東電工製のSPV#363の場合、1.8N/幅20mmであり、同SPV #P−367の場合、0.05N/幅20mmであり、同E−MASK(登録商標)R−50EPの場合、0.1N/幅20mmである。サンエー化研製のPAC−2−70の場合、0.04N/幅25mmである。サンエー化研製のJAシリーズの場合、0.14N/幅25mmである。きもと製のプロセーブ(Prosave)EPの場合、0.07N/幅25mmである。
【0059】
次に、図8乃至10を参照しながら、本発明の第二実施形態に係る商品粘着支持体10を詳細に説明する。なお、上述した本発明の第一実施形態と共通する点についての説明を省き、第一実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0060】
図8に示すように、一方の面に粘着面21,31を有する一枚の粘着シート10を上端側の折り目17で折り曲げて第一シート部2と第二シート部3とを形成し、第一シート部2の内表面と第二シート部3の内表面との間にシート状の商品5を配置して、それらの間でシート状の商品5を挟持する。第一シート部2は、商品5を着脱自在に粘着する第一粘着面21を、商品5に対向する内表面に有する。第二シート部3も、商品5を着脱自在に粘着する第二粘着面31を、商品5に対向する内表面に有する。第一シート部2又は第二シート部3を不図示の押圧手段(例えば、作業者の指先やスタンプ装置)で面状に押圧することにより、商品51と第一粘着面21及び第二粘着面31とが粘着するとともに、第一粘着面21と第二粘着面31とが粘着する。
【0061】
第一シート部2と第二シート部3との間で商品5を粘着固定すると、図9に示すように、商品51が、中央粘着領域15(商品粘着領域)において第一粘着面21と第二粘着面31とによって粘着固定されている。中央粘着領域15(商品粘着領域)は、第一シート部2の第一粘着面21の一部分であって商品5に粘着する第一商品粘着面と、第二シート部3の第二粘着面31の一部分であって商品5に粘着する第二商品粘着面と、から構成される。
【0062】
商品5を粘着固定する中央粘着領域15(商品粘着領域)の周囲には、中央粘着領域15(商品粘着領域)の外周縁から第一シート部2及び第二シート部3の外周縁までのある幅を持った周囲粘着領域が形成されている。周囲粘着領域は、上粘着領域11と下粘着領域12と右粘着領域13と左粘着領域14とから構成されている。
【0063】
本発明の第二実施形態では、折り目17が、第一シート部2及び第二シート部3の上端の側すなわち吊り下げ部材6の側に設けられている。したがって、第一シート部2及び第二シート部3の上端側が閉止端であり、第一シート部2及び第二シート部3の下端側が開放端である。商品5を粘着支持するための粘着支持力が商品5及び粘着シート10の荷重より十分に大きいように構成されているので、第一シート部2及び第二シート部3の下端側が開放端であることは、商品5の脱落の危険性に関して問題にはならない。
【0064】
一枚の大判の粘着シート10をU字状又はV字状に折り曲げた折り目17の下方にある湾曲空間に沿って、商品5を支持するための棒状の吊り下げ部材6が挿通されている。したがって、本発明の第二実施形態は、第一実施形態と違って、第一シート部2と第二シート部3を保持するための保持部材7を必要としないという特長を有する。
【0065】
吊り下げ部材6は、長手横方向に延在する棒状体であり、吊り下げ部材6の下面において、一端から他端まで長手横方向に延在する凹部65を有する。吊り下げ部材6の凹部65は、カッターナイフ等の切断手段で長手横方向に延在する切り目を入れて一枚の粘着シート10を2つに分断するための切り目形成手段として利用することができる。吊り下げ部材6の凹部65は、下面以外に、上面や右側面や左側面に配設可能であるが、図10に図示されているように、上粘着領域11の上端と凹部65の下端との間に未粘着の隙間が形成されるので、凹部65の下面における切り目形成後における、未粘着のシート部2,3を基点にした引き離しが容易になる。吊り下げ部材6の凹部65を例示すると、断面視、方形形状や三角形状や半円形状等である。
【0066】
第一シート部2及び第二シート部3が面状に粘着固定しているので、お互いを引き離すことが困難である。そこで、第一シート部2及び/又は第二シート部3の下端側に、作業者が第一シート部2及び/又は第二シート部3を把持することのできるタブを設けることができる。当該タブは、第一シート部2及び第二シート部3を引き離して下端側の開放端から粘着固定された商品5を取り出す際のシート引き離し手段として利用することができる。あるいは、第一シート部2及び第二シート部3を粘着固定する際に、第一シート部2及び第二シート部3の左右の下端コーナー部に離型性のスペーサを介在させた部分非粘着固定部を配設する構成とすることもできる。作業者が部分非粘着固定部をタブとして把持することにより、第一シート部2及び第二シート部3を引き離して下端側の開放端から粘着固定された商品5を取り出すことができる。
【0067】
次に、図11乃至13を参照しながら、本発明の第三実施形態に係る商品粘着支持体10を詳細に説明する。なお、上述した本発明の第一実施形態と共通する点についての説明を省き、第一実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0068】
商品粘着支持体1の基本的な構成は、粘着シート10が下端側の折り目17で折り畳まれているので上述した第一実施形態と同じ基本構成を有するが、第一シート部2及び第二シート部3を保持する保持部材7(吊り下げ手段)の構成が相違している。
【0069】
図13に示すように、保持部材7は、短冊状で横長のシート状の保持基体71と、接合保持部73と、ミシン目75と、吊り下げ穴77と、を有する。保持基体71の一端部と他端部には接合保持部73がそれぞれ形成されており、各接合保持部73は、重ね合わさった第一シート部2及び第二シート部3の上端部に接合される。接合保持部73による接合保持方法は、接合保持部73に粘着剤を塗布した粘着固定や複数のステープラ用つづり針で貫通固定したステープラ固定や複数のクリップで挟持したクランプ固定等がある。保持基体71の中央部には、長手横方向に並行に延在する2つのミシン目75が形成されている。一方のミシン目75と一端側の接合保持部73との間には、複数の吊り下げ穴77が長手横方向に配設されている。これらの吊り下げ穴77に対応するように、他方のミシン目75と他端側の接合保持部73との間には、複数の吊り下げ穴77が長手横方向に配設されている。
【0070】
図7に示すように、2つのミシン目75の間に形成された細長いタブ76を強く引っ張ることにより、タブ76が保持基体71から引き離されて、保持基体71が2つに分断される。第一シート部2と第二シート部3との間で粘着支持された商品5を取り出すときの開口形成手段としてタブ76が使用される。なお、2つのミシン目75を設ける代わりに、作業者がカッターナイフ等の切断手段で、長手横方向に延在する切り目を入れることにより、保持基体71を2つに分断する形態であってもよい。
【0071】
保持部材7がU字状又はV字状に折り曲げられて、折り曲げられて連通した一端側の吊り下げ穴77及び他端側の吊り下げ穴77の少なくとも2箇所に対して吊り下げ棒61が挿通される。吊り下げ棒61は長手直交方向に延在する短寸の棒状体である。吊り下げ棒61の左右の端部は、それぞれ、左右の商品吊り下げ支柱9の上端と係合する。図12に示すように、立設された左右の商品吊り下げ支柱9に対して掛け渡された複数の吊り下げ棒61を複数箇所の吊り下げ穴77に挿通することにより、複数の商品粘着支持体1が吊り下げ支持される。図13に示した例では、3個の商品粘着支持体1が吊り下げ支持されている。
【0072】
次に、図14を参照しながら、本発明の第四実施形態に係る商品粘着支持体10を詳細に説明する。なお、上述した本発明の第一実施形態と共通する点についての説明を省き、第一実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0073】
図14に示すように、一方の面に粘着面21,31を有する一枚の粘着シート10を下端側の折り目17で折り曲げて第一シート部2と第二シート部3とを形成し、第一シート部2の内表面と第二シート部3の内表面との間に、シート厚み直交方向に複数個のシート状の商品5を離間配置して、それらの間で複数個のシート状の商品5を挟持する。第一シート部2は、商品5を着脱自在に粘着する第一粘着面21を、商品5に対向する内表面に有する。第二シート部3も、商品5を着脱自在に粘着する第二粘着面31を、商品5に対向する内表面に有する。第一シート部2及び/又は第二シート部3の外表面を不図示の押圧手段(例えば、作業者の指先やスタンプ装置)で面状に押圧することにより、商品51と第一粘着面21及び第二粘着面31とが粘着するとともに、第一粘着面21と第二粘着面31とが粘着する。なお、シート厚み直交方向に複数個のシート状の商品5を離間配置するためには、各商品5が商品粘着領域及び周囲粘着領域を必要とすることから、シート状の商品5が粘着面21,31のサイズに比して小型である場合に有効である。
【0074】
第一シート部2と第二シート部3との間で複数個のシート状の商品5を粘着固定すると、図9に示すように、離間配置された商品51のそれぞれが、中央粘着領域15(商品粘着領域)において第一粘着面21及び第二粘着面31によって粘着固定されている。各中央粘着領域15(商品粘着領域)は、第一シート部2の第一粘着面21の一部分であって商品5に粘着する第一商品粘着面と、第二シート部3の第二粘着面31の一部分であって商品5に粘着する第二商品粘着面と、から構成される。
【0075】
各商品5を粘着固定する中央粘着領域15(商品粘着領域)の周囲には、中央粘着領域15(商品粘着領域)の外周縁から第一シート部2及び第二シート部3の外周縁までのある幅を持った周囲粘着領域がそれぞれ形成されている。各周囲粘着領域は、上粘着領域11と下粘着領域12と右粘着領域13と左粘着領域14とから構成されている。
【0076】
なお、上記説明では、一枚物の粘着シート10を折り畳んで第一シート部2及び第二シート部3としているが、別体の二枚の粘着シートを用いて第一シート部2及び第二シート部3とすることもできる。この場合、別体の二枚の粘着シート10は、必ずしも同じ特性を持ったものである必要はなく、異なった特性を持ったものであってもよい。
【0077】
また、粘着シート10として一枚物の大判のものを用いることができるが、商品サイズが大型化すると、大判の粘着シートの準備が困難になることも予想される。この場合には、小判のある粘着シートに対して次の小判の粘着シートの位置をずらして重ね合わせて貼着することを繰り返すという複数枚の粘着シートを用いることにより、全体として一枚物と同等の大判の粘着シート10を形成することもできる。
【0078】
また、商品5を含む吊り下げ全荷重に耐える強度を持った粘着シート10が使用されるが、吊り下げ支持すべき商品5が軽量物であるならば、厚みの薄い粘着フィルムが使用される。そして、吊り下げ支持すべき商品5が重量物であるならば、厚みの厚い粘着シートが使用される。例えば、0.04mm乃至0.5mmのフィルム又はシートが使用される。
【符号の説明】
【0079】
1 商品粘着支持体
2 第一シート部
3 第二シート部
5 商品(被着体)
6 吊り下げ部材
7 保持部材
8 ダンボール箱
9 商品吊り下げ支柱
10 粘着シート
11 上粘着領域(周囲粘着領域)
12 下粘着領域(周囲粘着領域)
13 右粘着領域(周囲粘着領域)
14 左粘着領域(周囲粘着領域)
15 中央粘着領域(商品粘着領域)
17 折り目
21 第一粘着面
23 上縁
25 下縁
31 第二粘着面
33 上縁
35 下縁
51 包装袋
52 製品本体
61 吊り下げ棒
63 引っ掛け凹部
65 凹部
71 保持基体
73 接合保持部
75 ミシン目
76 タブ
77 吊り下げ穴
81 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シート部と第二シート部とを備え、
前記第一シート部及び第二シート部は、それぞれ、着脱自在に粘着する第一粘着面及び第二粘着面を、商品に対向する内表面に有し、
前記第一粘着面は、商品自身を粘着する第一商品粘着領域と、商品の周囲領域を粘着する第一周囲粘着領域と、を備えて、
前記第二粘着面は、商品自身を粘着する第二商品粘着領域と、商品の周囲領域を粘着する第二周囲粘着領域と、を備え、
第一商品粘着領域及び第二商品粘着領域が商品に粘着するとともに、第一周囲粘着領域が第二周囲粘着領域に粘着することによって、第一シート部と第二シート部との間で商品を挟持しながら粘着固定し、
商品を粘着固定する第一シート部及び第二シート部の上端部に吊り下げ手段を設けることを特徴とする商品粘着支持体。
【請求項2】
前記商品の重量や面粗度に応じて、前記第一粘着面及び第二粘着面の粘着強さを決定することを特徴とする、請求項1記載の商品粘着支持体。
【請求項3】
前記粘着強さは、実質的に糊残りの起こらない、微粘着型、弱粘着型又は自己粘着型の中から選択されることを特徴とする、請求項2記載の商品粘着支持体。
【請求項4】
前記第一シート部と第二シート部との間には、複数個の商品がシート厚み方向に積層配置されていることを特徴とする、請求項1記載の商品粘着支持体。
【請求項5】
前記第一シート部と第二シート部との間には、複数個の商品がシート厚み直交方向に離間配置されていることを特徴とする、請求項1記載の商品粘着支持体。
【請求項6】
前記商品は、包装袋で包装されていることを特徴とする、請求項1記載の商品粘着支持体。
【請求項7】
前記第一シート部及び第二シート部は、一枚物のシートを折り畳むことによって形成されることを特徴とする、請求項1記載の商品粘着支持体。
【請求項8】
一枚物のシートを折り畳むことによって形成される折り目が、支持体の下端に位置することを特徴とする、請求項7記載の商品粘着支持体。
【請求項9】
吊り下げられた支持体の下端が、支持体の設置される設置面に対して当接するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の商品粘着支持体。
【請求項10】
商品及び商品の周辺領域に対して着脱自在に粘着する粘着面を一面に有する一対のシート部を準備する準備ステップと、
前記各粘着面が商品に対向するようにして各粘着面の間で商品を挟持する保持ステップと、
各粘着面を商品の表面に密接させるとともに各粘着面における商品周辺領域同士を密接させることにより、各粘着面の間で商品を粘着固定する粘着固定ステップと、
商品を粘着固定した一対のシート部の上端部で当該一対のシート部を吊り下げる吊り下げステップと、
を備えることを特徴とする、商品吊り下げ方法。
【請求項11】
前記商品の重量や面粗度、商品を包装する包装材の有無に応じて、前記粘着面の粘着強さを決定することを特徴とする、請求項10記載の商品吊り下げ方法。
【請求項12】
前記粘着強さは、実質的に糊残りの起こらない、微粘着型、弱粘着型又は自己粘着型の中から選択されることを特徴とする、請求項11記載の商品吊り下げ方法。
【請求項13】
前記第一シート部と第二シート部との間には、複数個の商品がシート厚み方向に積層配置されていることを特徴とする、請求項10記載の商品吊り下げ方法。
【請求項14】
前記第一シート部と第二シート部との間には、複数個の商品がシート厚み直交方向に離間配置されていることを特徴とする、請求項10記載の商品吊り下げ方法。
【請求項15】
前記商品は、包装袋で包装されていることを特徴とする、請求項10記載の商品吊り下げ方法。
【請求項16】
前記一対のシート部は、一枚物のシートを折り畳むことによって形成されることを特徴とする、請求項10記載の商品吊り下げ方法。
【請求項17】
一枚物のシートを折り畳むことによって形成される折り目が、一対のシート部の下端に位置することを特徴とする、請求項16記載の商品吊り下げ方法。
【請求項18】
吊り下げられた一対のシート部の下端が、一対のシート部の設置される設置面に対して当接するように構成されていることを特徴とする、請求項10記載の商品吊り下げ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−31977(P2011−31977A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182487(P2009−182487)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(594013479)三幸総研株式会社 (2)
【Fターム(参考)】