説明

商品販売データ処理装置およびその制御プログラム

【課題】十分なセキュリティ性を保ちつつ、操作が容易なセキュリティ認証機能を備えた商品販売データ処理装置およびその制御プログラムを提供すること。
【解決手段】タッチパネル式のディスプレイを備えた商品販売データ処理装置において、ディスプレイに複数の表示エリアに分割された画面を表示し、タッチ操作された表示エリアを識別するとともに、継続してタッチされた操作時間を計時する。識別された表示エリアと操作時間との組合せが、記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せに一致したことに応じて、特定の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種店舗にて取引の会計処理に使用される商品販売データ処理装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの商品販売店舗や飲食店などにおいて、POS(Point Of Sales)端末などの商品販売データ処理装置が取引の会計処理に使用されている。
【0003】
商品販売データ処理装置は、店舗の売上データや、顧客に関する各種の情報を取り扱うため、第三者が容易にシステムを起動したり、内部に備えたメモリにアクセスしたりすることができないように、セキュリティ性を向上させるための種々の手段が講じられている。一般的には、予め任意のパスワードを定めてメモリに記憶しておき、システムの起動時やプログラムの実行時などにユーザに対してキーボードなどの入力手段からを用いてのパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードがメモリに記憶されたパスワードと一致する場合にのみシステムの起動やアプリケーションの実行を許容するようにされていることが多い。
【0004】
また、タッチパネル式のディスプレイを備える商品販売データ処理装置においては、機械式のキーボードの操作に代えて、ディスプレイに複数に分割された操作キーパターンを表示して、該パターンのタッチ操作によるパスワードの入力を可能としたものも存在する。
【0005】
このように、タッチパネル式ディスプレイのタッチ操作によりパスワードの入力を受け付ける場合には、表示画面を非常に多くの領域に分割する必要があるため、処理が複雑となり、実装が困難である場合がある。また、表示画面を多くの領域に分割した場合には、所望のキーパターンをタッチ操作したつもりが、周囲の他のキーをタッチしてしまうということも生じ得るので、機械式のキーボードに比べて慎重に操作を行わなければならない。
【0006】
このような問題は、例えば特許文献1に記載された情報端末の画面起動方法により解決することも可能である。この画面起動方法は、情報端末のタッチパネルの画面を数区分のエリアに分割し、予め定められた順序でこのパターンがタッチ操作されたときに画面の起動を許容するものである。
【特許文献1】特開2000−347760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された画面起動方法を用いた場合、複数に分割された画面のタッチ操作順序の組合せ数は、さほど多くない。すなわち、悪意のある者がタッチ操作を後ろから盗み見したりすれば、容易にその順序を覚えることができてしまう。このように、特許文献1に記載された画面起動方法は、商品販売データ処理装置のような重要な情報を扱う装置にとっては、セキュリティ性の面で十分であるとはいえない。
【0008】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、十分なセキュリティ性を保ちつつ、操作が容易なセキュリティ認証機能を備えた商品販売データ処理装置およびその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、タッチパネル式のディスプレイを備えた商品販売データ処理装置において、前記ディスプレイに複数の表示エリアに分割された画面を表示する画面表示手段と、タッチ操作された表示エリアを識別するエリア識別手段と、前記ディスプレイの画面がタッチ操作された際に、継続してタッチされた操作時間を計時する計時手段と、各表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを記憶した記憶手段と、前記エリア識別手段により識別された表示エリアの操作順序と前記計時手段により計時された操作時間との組合せが、前記記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せに一致したことに応じて、特定の処理を実行する実行手段とを備えてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
かかる手段を講じた本発明によれば、十分なセキュリティ性を保ちつつ、操作が容易なセキュリティ認証機能を備えた商品販売データ処理装置およびその制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態における商品販売データ処理装置であるPOS端末1の外観斜視図である。POS端末1は、基台部Aとその基台部Aの上面に下縁側が開閉自在に枢支された表示ユニットBからなる。
【0012】
基台部Aは、内部にメインの制御回路を収納している。表示ユニットBには、タッチパネル式ディスプレイ2およびカードリーダ3が設けられている。タッチパネル式ディスプレイ2は、処理内容の表示及び操作入力の双方が可能なGUI(Graphical User Interface)として機能する。カードリーダ3は、クレジットカード、ポイントカード等の各種磁気カードやICカードが差し込まれてスライドされることにより、それらカードに記録されているデータを読み取る。
【0013】
次に、POS端末1の制御回路について説明する。
図2は、POS端末1の制御回路を示すブロック図である。POS端末1は、制御の中枢としてCPU(Central Processing Unit)10を搭載している。このCPU10に対し、各種制御プログラムなどの固定的データを格納したROM11、処理場面に応じて各種の記憶領域を形成するRAM12、所定時間を計時するタイマ13、I/Oポート14、ディスプレイコントローラ15、タッチパネルインターフェイス(I/F)16、カードリーダコントローラ17などを、例えばPCIバスなどのバスライン18を介して接続している。
【0014】
そして、I/Oポート24にドロワの開閉を制御するドロワ開放装置(不図示)を接続し、ディスプレイコントローラ15にタッチパネル式ディスプレイ2のディスプレイ部15aを接続し、タッチパネルインターフェイス16にタッチパネル式ディスプレイ2のタッチパネル16aを接続し、カードリーダコントローラ17にカードリーダ3を接続している。
【0015】
ディスプレイコントローラ15は、CPU10からの指令に応じて各種情報をディスプレイ部15aに表示させる。タッチパネル16aは、タッチ位置に応じた電気信号をタッチパネルインターフェイス16に出力し、タッチパネルインターフェイス16は、タッチパネル16aから入力された電気信号に基づいてディスプレイ部15aの表示画面におけるタッチ位置の座標を算出し、算出結果をCPU10に伝達する。また、タッチパネルインターフェイス16は、タッチパネル16aから電気信号が入力されたことに応じて、タイマ13を作動させ、計時を開始させる。カードリーダコントローラ17は、カードリーダ3を制御して磁気カードからデータを読み取り、読み取ったデータをCPU10に伝達する。
【0016】
次に、上記のような構成のPOS端末1が実行する処理について説明する。
POS端末1は、システムが起動された際にタッチパネル式ディスプレイ2の表示画面を用いたセキュリティ認証処理を実行する。具体的には、タッチパネル式ディスプレイ2のディスプレイ部15aに表示させる表示画面を複数の表示エリアに分割し、各エリアがタッチ操作された順序とタッチ操作された時間とが所定の組合せと一致する場合にのみ、システムの起動を実行する。
【0017】
セキュリティ認証処理において、ディスプレイ部15aに表示される表示画面の一例を図3に示している。本実施の形態における表示画面30は、A,B,C,Dの4つの表示エリアからなる。RAM12には、これら表示エリアA〜Dの操作順序と操作時間との組合せを記憶してなるセキュリティデータテーブル40(記憶手段)が記憶されている。図4は、セキュリティデータテーブル40のデータ構造の一例を示す模式図である。昇順の操作順序1〜4に対して、操作すべき表示エリアを示すエリア情報と、そのタッチ操作すべき時間を示す時間情報とが対応付けられている。ここで、時間情報には、時間を所定の範囲で複数のパラメータに区分した時間区分が記憶される。本実施の形態においては、この時間区分を“1”(1秒未満)、“2”(1秒以上2秒未満)、“3”(2秒以上)の3区分に分割している。図4の例においては、順序1に場所情報として表示エリアB、時間情報として時間区分“3”を対応付け、順序2に場所情報として表示エリアC、時間情報として時間区分“1”を対応付け、順序3に場所情報として表示エリアA、時間情報として時間区分“1”を対応付け、順序4に場所情報として表示エリアD、時間情報として時間区分“2”をそれぞれ対応付けている。
【0018】
続いて、セキュリティ認証処理においてPOS端末1のCPU10が実行する処理について、図5に示した流れ図を用いて説明する。この処理は、ROM11に記憶された動作プログラムに基づいて実行され、当該処理が開始された際に、RAM12にカウンタnが初期値を1として形成される。
【0019】
POS端末1に電源が投入されてシステムの起動が開始した際、先ずCPU10は、ST101として図3に示した表示画面30をディスプレイ部15aに表示する(画面表示手段)。しかる後、ST102としてディスプレイ部15aに例えば“セキュリティ照合のため、順番に表示エリアをタッチしてください”のように、セキュリティ照合のために画面をタッチ操作するよう促すメッセージを所定時間表示する。
【0020】
次に、CPU10は、ST103として表示画面30のいずれかの表示エリアがタッチ操作されたか否かを判断する。この処理は、いずれかの表示エリアがタッチ操作されるまで継続される。いずれかの表示エリアがタッチ操作されたときには、上記のようにタッチ位置座標に応じた電気信号がタッチパネル16aからタッチパネルインターフェイス16に入力され、タッチパネルインターフェイス16は、入力された電気信号に応じたタッチ位置座標を求めてCPU10に出力するとともに、タイマ13に計時を開始させる。タッチパネル16aからの電気信号の出力が停止したとき、タッチパネルインターフェイス16は、タイマ13に計時を停止させる。すなわち、タイマ13とタッチパネルインターフェイス16とは、タッチパネル式ディスプレイ2の画面がタッチ操作された際に、継続してタッチされた操作時間を計時する計時手段を構成する。
【0021】
タッチパネルインターフェイス16からタッチ位置座標の出力を受けたCPU10は、いずれかの表示エリアがタッチ操作されたと判断し(ST103のYes)、ST104として当該タッチ位置座標に基づいてタッチ操作された表示エリアを識別する(エリア識別手段)。識別した表示エリアの種別は、RAM12に形成した所定のデータエリアに記憶する。しかる後、ST105としてタイマ13の計時時間に基づいて、今回のタッチ操作についての時間区分を識別する。このとき、上述の通り、1秒未満であれば時間区分“1”、1秒以上2秒未満であれば時間区分“2”、2秒以上であれば時間区分“3”と識別される。このようにして識別した時間区分は、RAM12に形成した所定のデータエリアに記憶する。さらに、CPU10は、ST106としてセキュリティデータテーブル40から処理順序がn番目のデータエリアにエリア情報として記憶された操作エリアと、時間情報として記憶された時間区分とを取得する。
【0022】
そして、ST107としてST104およびST105の処理にてRAM12に記憶した操作エリアおよび時間区分と、ST106の処理にてセキュリティデータテーブル40から取得した操作エリアおよび時間区分とを比較し、ST108として比較した操作エリアおよび時間区分が一致するか否かを判断する。その結果、操作エリアおよび時間区分が一致しないと判断されるならば(ST108のNo)、ST109としてカウンタnの値を1にリセットして、セキュリティ認証が失敗した旨のメッセージをディスプレイ15aに表示する。しかる後、ST103の処理に戻って再度ST103〜ST108の処理を実行する。
【0023】
一方、ST108の処理にて操作エリアおよび時間区分が一致すると判断されたならば(ST108のYes)、ST110としてカウンタnの値がセキュリティデータテーブル40に記憶されたデータの数である最大処理順序に達したか否かを判断する。カウンタnの値が最大処理順序に達していないと判断されるならば(ST110のNo)、ST111としてカウンタnの値を1つインクリメントし、ST103の処理に戻って次のタッチ操作を受け付ける。
【0024】
このようにして、カウンタnの値を順次インクリメントしながら照合処理を進行し、ST110の処理にてカウンタnの値が最大処理順序に達していると判断されるならば(ST110のYes)、セキュリティデータテーブル40に記憶された全ての順序のデータとの照合が終了したこととなるので、システムの起動を実行する。かくして、POS端末1のシステムが起動される。
【0025】
なお、ST103〜ST111において実現される処理は、表示エリアA〜Dがタッチ操作された操作順序と操作時間との組合せが、セキュリティデータテーブル40に記憶された表示エリアA〜Dの操作順序と操作時間との組合せに一致したことに応じて、特定の処理を実行する実行手段を構成する。
【0026】
このように、POS端末1は、表示エリアがタッチ操作される順序に加えてタッチ操作された時間を用いてセキュリティ認証を行うので、キーボードパターンのような複雑なパターンをディスプレイに表示せずとも、おおまかに分割された表示エリアを表示するだけで十分な認証パターン数を確保できる。そのため、セキュリティ性を保ちつつ、画面のタッチ操作が容易なセキュリティ認証機能を実現することができる。
【0027】
また、操作者がセキュリティ認証を行っている際に、悪意のある者がタッチ操作を後ろから盗み見していたとしても、表示エリアの操作順序はともかく、操作時間を認識することは難しい。そのため、セキュリティ認証の手順が第三者に知られる蓋然性を軽減できる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態では、セキュリティ照合処理において図3に示した表示画面30が表示された状態で所定の順序および時間で表示エリアA〜Dが操作されたことに応じて、セキュリティデータテーブル40に記憶されたデータの設定処理が行われる点で第1の実施の形態と異なる。
【0029】
なお、図1および図2を用いて説明したPOS端末1の構成、図3を用いて説明した表示画面30の構成、および図4を用いて説明したセキュリティデータテーブル40の構成については、第1の実施の形態と同一であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
RAM12には、設定処理を開始するための表示エリアA〜Dの操作順序と操作時間とを記憶してなる設定データテーブル41(第2の記憶手段)が記憶されている。図6は、設定データテーブル41のデータ構成の一例を示す模式図である。昇順の操作順序1〜4に対して、操作すべき表示エリアを示すエリア情報と、そのタッチ操作すべき時間を示す時間情報とが対応付けられている。時間情報には、セキュリティデータテーブル40と同様に“1”(1秒未満),“2”(1秒以上2秒未満),“3”(2秒以上)のいずれかの時間区分が記憶される。図6の例においては、順序1に場所情報として表示エリアA、時間情報として時間区分“2”を対応付け、順序2に場所情報として表示エリアD、時間情報として時間区分“1”を対応付け、順序3に場所情報として表示エリアC、時間情報として時間区分“3”を対応付け、順序4に場所情報として表示エリアB、時間情報として時間区分“1”をそれぞれ対応付けている。
【0031】
続いて、セキュリティ認証処理においてPOS端末1のCPU10が実行する処理について、図7に示した流れ図を用いて説明する。この処理は、ROM11に記憶された動作プログラムに基づいて実行され、当該処理が開始された際に、RAM12にカウンタn,mが初期値を1として形成される。
【0032】
本実施の形態においては、図5を用いて説明したセキュリティ認証処理におけるST105の処理の後、CPU10がST105aとして設定認証処理を行う。図8は、上記設定認証処理においてCPU10が実行する処理の流れ図である。
【0033】
ST105の処理を実行した後、CPU10は、ST201として設定データテーブル41から処理順序がm番目のデータエリアにエリア情報として記憶された操作エリアと、時間情報として記憶された時間区分とを取得する。
【0034】
そして、ST202としてST104およびST105の処理にてRAM12に記憶した操作エリアおよび時間区分と、ST201の処理にて設定データテーブル41から取得した操作エリアおよび時間区分とを比較し、ST203として操作エリアおよび時間区分が一致するか否かを判断する。その結果、操作エリアおよび時間区分が一致しないと判断されるならば(ST203のNo)、ST204としてカウンタmの値を“1”にリセットし、ST106の処理を実行する。
【0035】
一方、ST203の処理にて操作エリアおよび時間区分が一致すると判断されたならば(ST203のYes)、ST205としてカウンタmの値が設定データテーブル41に記憶されたデータの数である最大処理順序に達したか否かを判断する。カウンタmの値が最大処理順序に達していないと判断されるならば(ST205のNo)、ST206としてカウンタmの値を1つインクリメントし、ST106の処理を実行する。
【0036】
このようにして、カウンタmの値を順次インクリメントしながら設定認証処理を進行し、ST205の処理にてカウンタmの値が最大処理順序に達していると判断されるならば(ST205のYes)、設定データテーブル41に記憶された全ての順序のデータとの照合が終了したこととなるので、セキュリティデータテーブル40のデータを設定するための設定処理を開始する。
【0037】
図9は、上記設定処理にてCPU10が実行する処理の流れ図である。この処理は、ROM11に記憶された動作プログラムに基づいて実行され、当該処理が開始された際に、RAM12にカウンタiが初期値を1として形成される。
【0038】
先ず、CPU10は、ST301としてディスプレイ部15aに例えば“表示エリアをタッチして設定を行ってください”のように、セキュリティデータテーブル40を設定するために画面をタッチ操作するよう促すメッセージを所定時間表示する。
【0039】
次に、CPU10は、ST302として表示画面30のいずれかの表示エリアがタッチ操作されたか否かを判断する。この処理は、いずれかの表示エリアがタッチ操作されるまで継続される。いずれかの表示エリアがタッチ操作されたときには、上記のようにタッチ位置座標に応じた電気信号がタッチパネルインターフェイス16に入力され、タッチパネルインターフェイス16は、入力された電気信号に応じたタッチ位置座標を求めてCPU10に出力するとともに、タイマ13に計時を開始させる。タッチパネル16aからの電気信号の出力が停止したとき、タッチパネルインターフェイス16は、タイマ13に計時を停止させる。
【0040】
タッチパネルインターフェイス16からタッチ位置座標の出力を受けたCPU10は、いずれかの表示エリアがタッチ操作されたと判断し(ST302のYes)、ST303として当該タッチ位置座標に基づいてタッチ操作された表示エリアを識別する。識別した表示エリアの種別は、RAM12に形成した所定のデータエリアに記憶する。しかる後、ST304としてタイマ13の計時時間に基づいて、今回のタッチ操作についての時間区分を識別する。このとき、上述の通り、1秒未満であれば時間区分“1”、1秒以上2秒未満であれば時間区分“2”、2秒以上であれば時間区分“3”と識別される。このようにして識別した時間区分は、RAM12に形成した所定のデータエリアに記憶する。
【0041】
次に、CPU10は、ST305としてST303の処理にてRAM12に記憶した操作エリアの種別と、ST304の処理にてRAM12に記憶した操作区分とで、セキュリティデータテーブル40の処理順序がi番目のデータを書き換える。しかる後、ST306としてカウンタiの値がセキュリティデータテーブル40に記憶されたデータの数である最大処理順序に達したか否かを判断する。カウンタiの値が最大処理順序に達していないと判断されるならば(ST306のNo)、ST307としてカウンタiの値を1つインクリメントし、ST302の処理に戻って次のタッチ操作を受け付ける。
【0042】
このようにして、カウンタiの値を順次インクリメントしながらセキュリティデータテーブル40の設定処理を進行し、ST306の処理にてカウンタiの値が最大処理順序に達していると判断されたならば(ST306のYes)、セキュリティデータテーブル40に記憶された全ての照合順序のデータを設定し終えたこととなるので、設定処理を終了する。しかる後、再度セキュリティ認証処理が実行される。設定処理にてセキュリティデータテーブル40のデータが変更された後は、変更後のデータに基づいてセキュリティ認証が行われる。
【0043】
なお、設定認証処理および設定処理にて行われる処理は、表示エリアA〜Dがタッチ操作された操作順序と操作時間との組合せが、設定データテーブル41に記憶された表示エリアA〜Dの操作順序と操作時間との組合せに一致したことに応じて設定を開始し、操作者により表示エリアA〜Dがタッチ操作された操作順序と操作時間との組合せに基づいて、セキュリティデータテーブル40に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを設定する設定手段を構成する。
【0044】
このように、本実施の形態においては、表示画面30が表示された状態でタッチ操作された表示エリアと操作時間とに基づいてセキュリティデータテーブル40を用いたセキュリティ認証だけでなく、設定データテーブル41を用いた設定認証が並行して行われる。そして、表示エリアA〜Dの操作順序と操作時間に応じた時間区分とがセキュリティデータテーブル40に記憶されたデータと一致したときには、POS端末1のシステムを起動し、表示エリアの操作順序と操作時間に応じた時間区分とが設定データテーブル41に記憶されたデータと一致したときには、セキュリティデータテーブル40の設定処理が実行される。このようにしたことで、セキュリティデータテーブル40の設定変更を行うに際して、いちいちPOS端末1を設定モードにモード変更してディスプレイ部15aに置数キーを表示し、これをタッチ操作してセキュリティデータテーブル40のパラメータを入力するなどの煩雑な処理を行う必要がない。そのため、セキュリティデータテーブル40の設定処理が容易なものとなる。
【0045】
また、設定処理においては、変更したい表示エリアの操作順序および操作時間で表示画面30をタッチ操作することでセキュリティデータテーブル40のデータを設定できる。そのため、セキュリティデータテーブル40への設定値の入力操作が簡便となる。
その他、第1の実施の形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
【0046】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階においては、その要旨を逸脱しない範囲内にて各構成要素を適宜変形して具体化することができる。
【0047】
例えば、上記各実施の形態においては、ディスプレイ部15aの表示画面を4つの表示エリアA〜Dに分割する場合について説明したが、より多数であってもよいし、より少数であってもよい。
【0048】
また、セキュリティデータテーブル40および設定データテーブル41に記憶される照合順序の数は、分割された表示エリアの数に一致させる必要はなく、表示エリアの数よりも多数であってもよいし、少数であってもよい。
【0049】
また、セキュリティ認証処理および設定認証処理においては、表示画面がタッチ操作されたとき、そのつどセキュリティデータテーブル40や設定データテーブル41に記憶されたデータとの照合処理を行うようにしたが、認証の手順はかかる手順に限定されない。例えば、表示画面がタッチ操作される度に操作された表示エリアの種別と操作時間とをRAM12に記憶していき、RAM12に記憶されたデータの数がセキュリティデータテーブル40や設定データテーブル41に記憶されたデータの数に達したときに、RAM12に記憶されたデータとセキュリティデータテーブル40や設定データテーブル41に記憶されたデータとを一括して比較するようにしてもよい。
【0050】
また、上記各実施の形態においては、表示エリアの操作時間を“1”(1秒未満),“2”(1秒以上2秒未満),“3”(2秒以上)の3段階に区分したが、より多数の時間区分に区分してもよいし、2段階のみに区分してもよい。さらに、0.5秒未満、0.5秒以上1.0秒未満、1.0秒以上1.5秒未満のように、1秒以下の時間で区分してもよいし、2秒未満、2秒以上4秒未満、4秒以上のように、1秒以上の時間で区分してもよい。より多数の時間区分に区分した場合には、実現可能なセキュリティ認証のパターン数を保ちつつ分割される表示エリアの数を少なくすることができる。
【0051】
また、セキュリティ認証処理を実行するタイミングは、POS端末1のシステムを起動するときだけに限定されない。その他にも、特定のアプリケーションが起動されるときや、特定のデータがアクセスされるときにセキュリティ認証処理を実行するようにしてもよい。
【0052】
この他、前記各実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成することができる。例えば、前記各実施の形態に示される全体構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を組合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるPOS端末の外観斜視図。
【図2】同実施形態におけるPOS端末の制御回路を示すブロック図。
【図3】同実施形態においてディスプレイ部に表示される表示画面の一例を示す図。
【図4】同実施形態におけるセキュリティデータテーブルのデータ構造を示す図。
【図5】同実施形態におけるセキュリティ認証処理においてCPUが実行する処理の流れ図。
【図6】本発明の第2の実施形態における設定データテーブルのデータ構成を示す図。
【図7】同実施形態におけるセキュリティ認証処理においてCPUが実行する処理の流れ図。
【図8】同実施形態における設定認証処理においてCPUが実行する処理の流れ図。
【図9】同実施形態における設定処理にてCPUが実行する処理の流れ図。
【符号の説明】
【0054】
1…POS端末、2…タッチパネル式ディスプレイ、3…カードリーダ、10…CPU、11…ROM、12…RAM、13…タイマ、15a…ディスプレイ部、16a…タッチパネル、30…表示画面、40…セキュリティデータテーブル、41…設定データテーブル、A〜D…表示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式のディスプレイを備えた商品販売データ処理装置において、
前記ディスプレイに複数の表示エリアに分割された画面を表示する画面表示手段と、
タッチ操作された表示エリアを識別するエリア識別手段と、
前記ディスプレイの画面がタッチ操作された際に、継続してタッチされた操作時間を計時する計時手段と、
各表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを記憶した記憶手段と、
前記エリア識別手段により識別された表示エリアの操作順序と前記計時手段により計時された操作時間との組合せが、前記記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せに一致したことに応じて、特定の処理を実行する実行手段とを備えてなることを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、表示エリア毎に操作順序と操作時間との組合せを対応付けて記憶し、
前記実行手段は、前記エリア識別手段により識別された各表示エリアの操作順序が前記記憶手段に記憶された各表示エリアの操作順序と一致し、かつ各表示エリアがタッチ操作された際に前記計時手段により計時された操作時間が前記記憶手段に記憶された各表示エリアの操作時間に一致したことに応じて、特定の処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを設定する設定手段をさらに備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記エリア識別手段により識別された表示エリアと前記計時手段により計時された操作時間とに基づいて、前記記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを設定することを特徴とする請求項3に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記画面表示手段により表示された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを記憶した第2の記憶手段を備え、
前記設定手段は、前記エリア識別手段により識別された表示エリアの操作順序と前記計時手段により計時された操作時間との組合せが、前記第2の記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せに一致したことに応じて、前記記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
タッチパネル式のディスプレイを備えた商品販売データ処理装置の制御プログラムであって、
前記ディスプレイに複数の表示エリアに分割された画面を表示する画面分割機能と、
タッチ操作された表示エリアを識別するエリア識別機能と、
前記ディスプレイの画面がタッチ操作された際に、継続してタッチされた操作時間を計時する計時機能と、
前記エリア識別機能により識別された表示エリアの操作順序と前記計時機能により計時された操作時間との組合せが、各表示エリアの操作順序と操作時間との組合せを記憶した記憶手段に記憶された表示エリアの操作順序と操作時間との組合せに一致したことに応じて、特定の処理を実行する実行機能とを実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−102392(P2010−102392A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271038(P2008−271038)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】