説明

商品販売データ処理装置

【課題】商品販売データ処理装置において、設置場所の自由度を大きくする。
【解決手段】商品販売データ処理装置は、上面に設けられた複数の電力供給箇所に電力を供給可能な電力供給手段を備えたベースモジュールを備えている。そして、複数のモジュールユニットは、ベースモジュール上の電力供給箇所のいずれかに対応する位置に互いに干渉しないように載置され、電力供給手段からそれぞれ電力供給を受けて、商品販売データ処理における各種機能を互いに連携して実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品コードを読み取るスキャナと、スキャナによって商品コードが読み取られた商品の情報を表示する表示器と、これらスキャナ及び表示器を支持した基体部と、を備え、スーパーマーケット等の小売店で使用される表示器付きスキャナがある。例えば、特許文献1には、表示器を水平方向に沿った軸を中心に回動可能にしたものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、店舗の大きさや店舗内の什器等の配置は、店舗によって様々であるため、表示器付きスキャナも様々な場所に設置できるようにしたいという要望がある。しかしながら、上述した従来の表示器付きスキャナでは、表示器を対面する客に対する表示器の角度は変えられるが、設置場所の自由度が小さいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の商品販売データ処理装置は、上面に設けられた複数の電力供給箇所に電力を供給可能な電力供給手段を備えたベースモジュールを備えている。
そして、複数のモジュールユニットは、ベースモジュール上の電力供給箇所のいずれかに対応する位置に互いに干渉しないように載置され、電力供給手段からそれぞれ電力供給を受けて、商品販売データ処理における各種機能を互いに連携して実現する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、実施形態の商品販売データ処理装置としてのPOS端末装置の一例をオペレータディスプレイ側から見た外観斜視図である。
【図2】図2は、図1のPOS端末装置を客面ディスプレイからみた外観斜視図である。
【図3】図3は、第1実施形態のベースモジュールの平面図である。
【図4】図4は、ベースモジュールに各ファンクションモジュールを載置した状態を説明する模式図である。
【図5】図5は、ファンクションモジュールの概要構成ブロック図である。
【図6】図6は、各ファンクションモジュールを用いて、POS端末装置を構築する場合の説明図である。
【図7】図7は、第2実施形態のベースモジュールの平面図である。
【図8】図8は、第3実施形態のベースモジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次に図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。
[1]第1実施形態
図1は、実施形態の商品販売データ処理装置としてのPOS端末装置の一例をオペレータディスプレイ側から見た外観斜視図である。
図2は、図1のPOS端末装置を客面ディスプレイからみた外観斜視図である。
【0007】
POS端末装置10は、大別すると、交流商用電源に接続され、後述する電源供給ユニットを備えたベースモジュール11と、ベースモジュール11上に載置され、互いに連携して全体としてPOS端末装置10として機能する複数(図1では、4個)のファンクションモジュール12−1〜12−4と、バーコードスキャナ13と、バーコードスキャナ用クレードル14と、を備えている。
【0008】
図1及び図2に示すように、ファンクションモジュール12−1は、タッチパネル付き液晶ディスプレイを備えたオペレータディスプレイユニットとして構成されている。
ファンクションモジュール12−1は、大別すると、図2に示すように、図示しないディスプレイコントローラを内蔵した台座部21と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイパネル22を内蔵したディスプレイパネル部23と、台座部21に水平面上で回動可能に支持されるとともに、液晶ディスプレイパネル22を縦型あるいは横型に手動で切り替えて支持可能な回動支持部24が設けられたディスプレイアーム部25と、を備えている。
【0009】
ファンクションモジュール12−2は、上面にプリントアウト開口が設けられ、レシート、クーポン等を印刷するプリンタユニットとして構成されている。
ファンクションモジュール12−3は、近距離無線通信ユニットを内蔵し、電子マネーカードの読み書きを行って電子決済を行うためのカードリーダライタユニットとして構成されている。
ファンクションモジュール12−4は、上面に小型の液晶ディスプレイを備えた客面ディスプレイユニットとして構成されている。
【0010】
図3は、第1実施形態のベースモジュールの平面図である。
ベースモジュール11は、長方形状を有しており、ACアダプタ27を介して、交流商用電源に接続され、複数のファンクションモジュール12−1〜12−4のそれぞれに直流電源を供給する4個の電源供給コネクタ31−1〜31−4が設けられている。
【0011】
図4は、ベースモジュールに各ファンクションモジュールを載置した状態を説明する模式図である。
各ファンクションモジュール12−1〜12−4の下面の端部には、ベースモジュール11の電源供給コネクタ31−1〜31−4に対応する位置に電源プラグ26−1〜26−4が設けられている。
【0012】
この場合において、各ファンクションモジュール12−1〜12−4の載置位置は、自由に選択することが可能であり、店舗の大きさや店舗内の什器等の配置に基づいて、互いに物理的な干渉が生じない状態であれば、任意の位置に載置することが可能である。
例えば、ファンクションモジュール12−1及びファンクションモジュール12−2の載置位置を交換したり、ファンクションモジュール12−3及びファンクションモジュール12−4の載置位置を交換したり、ファンクションモジュール12−1及びファンクションモジュール12−3の載置位置を交換することが可能である。
【0013】
図5は、ファンクションモジュールの概要構成ブロック図である。
ファンクションモジュール12−1〜12−4の基本構成は同一であるので、図5においては、ファンクションモジュール12−1を例として説明する。
【0014】
ファンクションモジュール12−1は、電源供給コネクタ31−1〜31−4のいずれかに接続可能な(図4では、電源供給コネクタ31−1に接続)電源プラグ26−1と、電源プラグ26−1を介して供給される電力をファンクションモジュール12−1内で用いられる電圧等に適宜変換して供給する電源ユニット41と、MPU42、ROM43、RAM44及びフラッシュROM45を備えたマイクロコンピュータとして構成されたコントロールユニット46と、近距離無線通信(例えば、Bluetooth[登録商標]規格に則った近距離無線通信)を行う無線通信ユニット47と、被コントロール部としての液晶ディスプレイパネル22と、を備えている。
【0015】
ここで、コントロールユニット46のMPU42は、コントロールユニット46全体を制御する。
ROM43は、MPU42を制御する制御プログラム等の各種データを不揮発的に格納している。
RAM44は、ワーキングエリアとして用いられ、各種データを一時的に格納している。
【0016】
フラッシュROM45は、当該POS端末装置10を構成しているファンクションモジュールを特定するための情報(例えば、各ファンクションモジュール12−1〜12−4に対応するMACアドレス等)、各種初期設定等を更新可能に不揮発的に記憶する。
【0017】
図6は、各ファンクションモジュールを用いて、POS端末装置を構築する場合の説明図である。
本第1実施形態のPOS端末装置10においては、複数のファンクションモジュール12−1〜12−4及びバーコードスキャナ13を組み合わせて構成しているが、例えば、一つの店舗でPOS端末装置は一つとは限らないため、各ファンクションモジュール12−1〜12−4は、それぞれ単独では、自己がいずれのPOS端末装置に属しているのかがわからないこととなる。
【0018】
そこで、本実施形態においては、複数のファンクションモジュール12−1〜12−4のうち、いずれかがホストのファンクションモジュールとなり、他のファンクションモジュールおよびバーコードスキャナをスレーブのファンクションモジュールとして、一つのホストのファンクションモジュールに属する一または複数のスレーブのファンクションモジュール及びバーコードスキャナで一つのPOS端末装置10を構成していると認識させている。
【0019】
すなわち、図6に示すように、ファンクションモジュール12−1をホストとしてファンクションモジュール12−1の無線通信ユニット47が他のファンクションモジュール12−2〜12−4の無線通信ユニット47及びバーコードスキャナ13の無線通信ユニット13Aと通信を行って、ファンクションモジュール12−2〜12−4の無線通信ユニット47及びバーコードスキャナ13の無線通信ユニット13AのMACアドレスをスレーブアドレスとしてフラッシュROM45に登録することとなる。
【0020】
このように構成することで、複数のPOS端末装置10が近傍に存在する場合でも、確実に別のPOS端末装置10として機能することが可能となる。
そして、ホストとして機能するファンクションモジュール12−1、スレーブとして登録が完了した複数のファンクションモジュール12−2〜12−4及びバーコードスキャナ13は、以降は、1台のPOS端末装置10として機能することとなる。
【0021】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、POS端末装置を構成する各種のファンクションモジュールを組み合わせることで、より使い勝手のよいPOS端末装置10(商品販売データ処理装置)を容易に構成することができる。
さらに店舗に必要な機能及び店舗の大きさや店舗内の什器等の配置に基づいて、POS端末装置10を構成することができ、設置場所の自由度が大きいPOS端末装置10を構成することができる。
【0022】
[2]第2実施形態
本第2実施形態は、第1実施形態においては、各ファンクションモジュール12−1〜12−4の下面の端部に電源プラグ26−1〜26−4を設けていたため、これらのファンクションモジュール12−1〜12−4については、載置の際の向きの制限が大きかったので、この制限を大幅に緩和するための実施形態である。
【0023】
図7は、第2実施形態のベースモジュールの平面図である。
ベースモジュール11Aは、長方形状を有しており、ACアダプタ27を介して、交流商用電源に接続され、複数のファンクションモジュールのそれぞれに直流電源を供給する9個の電源供給コネクタ51−1〜51−9が設けられている。なお、ファンクションモジュールの電源プラグは、電源供給コネクタ51−1〜51−9に対応する形状となっているものとする。
【0024】
各電源供給コネクタ51−1〜51−9は、中心部にピン型の一方の電極と、このピン型の電極を囲む円筒状の他方の電極と、正方形状のコネクタガイド孔と、を備えており、同一のファンクションモジュールを図面上下方向に延在するように、あるいは、図面左右方向に延在するようにベースモジュール11A上に載置させることが可能となっている。なお、各電源供給コネクタ51−1〜51−9をベースモジュール11Aの載置面上に突設するように構成することも可能である。
【0025】
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、ファンクションモジュールをベースモジュール11A上に載置するに際し、載置方向の制限を低減し、POS端末装置を構成する各種のファンクションモジュールの選択肢をより多くでき、より使い勝手のよいPOS端末装置10(商品販売データ処理装置)を容易に構成することができる。
さらに店舗に必要な機能及び店舗の大きさや店舗内の什器等の配置に基づいて、ファンクションモジュールの配置を様々に選択可能となり、より設置場所の自由度が大きいPOS端末装置10を構成することができる。
【0026】
[3]第3実施形態
以上の各実施形態は、各モジュールユニットに対して、電源供給コネクタ及び電源プラグを介して電力を供給する構成としていたが、本第3実施形態は、ベースモジュール及びファンクションモジュールの双方に電力伝送用のコイルを設け電磁誘導方式で電力を供給する場合の実施形態である。
【0027】
図8は、第3実施形態のベースモジュールの平面図である。
図8に示すように、ベースモジュール11Bには、4カ所に電力伝送用コイル61が設けられている。
したがって、対応するファンクションモジュールの下面にも電力伝送用コイルを設け、ベースモジュール11Bの電力伝送用コイル61に対向するように近接して配置することにより、電力を供給する。
【0028】
本第3実施形態によれば、所定の位置にファンクションモジュールを載置するだけで電力伝送が行えるため、ファンクションモジュールの設置態様の自由度が大きくなり(例えば、面積的に余裕があるのであれば、斜め方向を向けた設置も可)、より設置場所の自由度が大きいPOS端末装置10を構成することができる。
【0029】
[4]実施形態の変形例
以上の第1実施形態及び第2実施形態においては、ファンクションモジュール間の通信を無線通信を用いて行っていたが、第1実施形態あるいは第2実施形態の電源コネクタに代えて電源/通信コネクタ(あるいは電源/通信プラグ)を設け、ファンクションモジュール側も対応する電源/通信プラグ(あるいは電源/通信コネクタ)を設けて、有線で通信を行うようにすることも可能である。
【0030】
本実施形態の商品販売データ処理装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成とすることも可能である。
本実施形態の商品販売データ処理装置で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0031】
また、本実施形態の商品販売データ処理装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の商品販売データ処理装置で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の商品販売データ処理装置の制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
10 POS端末装置(商品販売データ処理装置)
11、11A、11B ベースモジュール
12−1〜12−4 ファンクションモジュール(モジュールユニット)
13 バーコードスキャナ
13A 無線通信ユニット
14 バーコードスキャナ用クレードル
21 台座部
22 液晶ディスプレイパネル
23 ディスプレイパネル部
24 回動支持部
25 ディスプレイアーム部
26−1〜26−4 電源プラグ(電源受け手段)
27 ACアダプタ(電源供給手段)
31 電源供給コネクタ(電源供給手段)
41 電源ユニット
45 フラッシュROM(記憶手段)
46 コントロールユニット
47 無線通信ユニット
51−1〜51−9 電源供給コネクタ
61 電力伝送用コイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特許第3669630号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に設けられた複数の電力供給箇所に電力を供給可能な電力供給手段を備えたベースモジュールと、
前記ベースモジュール上の前記電力供給箇所のいずれかに対応する位置に互いに干渉しないように載置され、前記電力供給手段からそれぞれ電力供給を受けて、商品販売データ処理における各種機能を互いに連携して実現する複数のモジュールユニットと、
を備えた商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記モジュールユニットは、それぞれ、無線通信ユニットを備え、
前記無線通信ユニットを介して互いに連携する、
請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記複数のモジュールユニットのうち、少なくともいずれか一つは、自己と連携して商品販売データ処理を行う他のモジュールユニットを特定する情報を記憶する記憶手段を備えている請求項1または請求項2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記電力供給箇所には、それぞれ電力供給手段が設けられ、
前記モジュールユニットの下面には、前記電力供給手段から電力供給を受ける電力受け手段を備えた、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記電力供給手段あるいは前記電力受け手段のうち、いずれか一方は、コネクタとして構成され、
いずれか他方は、プラグとして構成されている、
請求項4記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
前記電力供給手段及び前記電力受け手段は、それぞれ電力伝送用コイルを有し、前記電力伝送用コイルを用いて電磁誘導方式により無線で前記電力を供給可能とされている、
請求項4記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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