説明

喉頭鏡

【課題】 喉頭鏡を用いた気管内挿管を指導するに当たって挿管指導者が挿管実施者に指導する際、通常使用されている喉頭鏡では挿管指導者と挿管実施者が視野を共有できるようにする。
【解決手段】 喉頭鏡ブレード(1)に配置した内視鏡用ガイド(3)に内視鏡(7)を取り付け、配置した挿管実施者が挿管を行い、挿管指導者は内視鏡(7)を使用して挿管視野を共有しながら指導する。この際、喉頭鏡の光源(2)を使用する。
複数人が確認しながら挿管補助及び指導を行い、かつ挿管作業をカメラ、ビデオ等に記録することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明はカテーテル等のチューブを気管内に挿管するのを容易にするために用いられる喉頭鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、喉頭鏡はカテーテル等のチューブを気管内に挿管する際に用いられており、口腔から挿入し、舌を押さえながら電球により気管周辺を明るく照らして挿管を補助するほか、口腔内を観察するのにも用いられている。
【0003】
このような機能を有する喉頭鏡としては、これまでにも様々な改良やそのための提案がなされてきており、たとえばその代表例としては、喉頭鏡のブレード部に照明と画像取得のための各々の光ファイバーを装着することやブレード部の内部に撮像カメラを内蔵したもの等が提案されている(特許文献1−3)。
【特許文献1】特開平10−127579号公報
【特許文献2】特開平4−108423号公報
【特許文献3】特開2000−175867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブレードに光ファイバーを装着したり、ブレード内部にカメラ等を内蔵した喉頭鏡では喉頭鏡本体に高コストを要し、電源、光ファイバー、カメラ用信号等のケーブルが喉頭鏡本体から外部の光源や電源等に繋がっているため、挿管操作の自由度を奪いスムーズな挿管作業が行い難い。また喉頭鏡本体の重量も増えるため、微妙な操作に影響を与え、スムーズな挿管作業を行い難いという問題点がある。
【0005】
また、ブレード内部にカメラ等を内蔵した喉頭鏡では周辺機器を多く必要とし、挿管現場の多くの空間を占有する。
【0006】
そして、なによりも、これら従来の喉頭鏡においては、これを用いての臨床現場での教育あるいは指導に際し、以下のような問題点があった。
【0007】
すなわち、喉頭鏡による気管内挿管を指導教育す場合、挿管実施者と挿管指導者で同一の挿管視野を得ることが難しく指導し難い。
【0008】
喉頭鏡による気管内挿管を指導教育する場合、挿管実施者と挿管指導者で同一の挿管視野を得ることが難しく挿管作業が長時間となり患者への負担が増加する。
【0009】
症例的に気管内挿管が難しい場合、複数人による同一の挿管視野を得ながらの協議、指導を行いながらの挿管作業が行い難い。
【0010】
そこで、この出願の発明は、以上のような従来の問題点を解消した新しい喉頭鏡を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この出願は、上記のとおりの課題を解決するものとして以下の発明を提供する。
第1:内視鏡を取り付けるガイドを有し、このガイドにより取り付けられた内視鏡を介して複数人による挿管視野の共有を可能とする表示もしくは記録、あるいは表示と記録の手段を具備していることを特徴とする喉頭鏡。
第2:喉頭鏡を抗生するブレードおよびハンドルの少なくともいずれかに内蔵された光源を有し、内視鏡用の外部電源を使用しないことを特徴とする上記の喉頭鏡。
第3:光源は白色発光ダイオードによるものであることを特徴とする喉頭鏡。
第4:内視鏡用の外部モニター手段をもって挿管視野の共有を可能としていることを特徴とする上記いずれかの喉頭鏡。
【発明の効果】
【0012】
上記のとおりのこの出願の第1の発明によれば、多くの病院で普通に使用されている内視鏡を喉頭鏡に取り付けることができ、これにより、次のことが実現される。
(1)挿管実施者と挿管指導者で同一の挿管視野を得るため、的確な挿管指導を容易にする。
(2)症例的に気管内挿管が難しい場合、複数人の目視による検討を可能にする。
【0013】
また、第2の発明によれば、喉頭鏡ブレードの光源を使用するため、内視鏡用外部電源等を使用する必要がなく、準備ならびに挿管現場周辺のスペース確保を容易にすることができる。
【0014】
そして、第3の発明によれば、自然光に近い白色の発光色による光源として診察が容易となり、さらに第4の発明によれば、多くの病院で使用されている内視鏡を使用することにより、喉頭鏡にかかるコストの低減化が実現される。
【0015】
このことは市販されているカメラ、ビデオ等を内視鏡に接続するためのアダプタを用意することで低コストで実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記のとおりの特徴を有するこの出願の発明について以下にその実施の形態を説明する。
【0017】
図1は内視鏡用ガイド(3)を持った喉頭鏡ブレード(1)に内視鏡(7)を装着した状態を例示した、ブレード(1)の左右側面図である。図2は内視鏡用ガイド(3)周辺の、図3は内視鏡固定金具(4)周辺の拡大斜視図である。そして図4は、ブレード(1)にハンド(6)を取付け、内視鏡(7)に外部モニター(9)を接続した状態を例示したシステム構成図である。
【0018】
これらの図に例示した実施形態においては、図1に示したようにブレード(1)にはその先端部(1a)を照らすための光源(2)を内蔵している。そして、内視鏡ガイド(3)は、内視鏡(7)がブレード先端部(1a)を向くように、かつ、光源(2)によるブレード先端部(1a)の周辺の照明を妨げない位置に配設されている。
【0019】
図2における内視鏡用ガイド(3)は多くの一般的に使用されている内視鏡(7)が入る程度の内径を有するパイプ状のものであり、内視鏡(7)をこの内視鏡ガイド(3)に通すことにより、ブレード先端部(1a)へ安定して視野が向くことを可能とし、また、歯等による内視鏡(7)への圧迫による故障から保護する役目も担う。
【0020】
図3における内視鏡固定金具(4)は内視鏡(7)を痛めないために軟らかい素材を用いたものとし、内視鏡固定ネジ(5)により内視鏡固定金具(4)とブレード(1)間に内視鏡(7)を挾みこみ固定する。
【0021】
内視鏡(7)とブレード(1)間に内視鏡固定金具(4)のような軟らかい素材を挾み込み、内視鏡(7)をさらに保護することも考えられる。
【0022】
光源(2)としては、発光ダイオード等の各種のものが考慮されてよいが、なかでも、白色発光ダイオードを好適なものとして使用することができる。これは、白色発光ダイオードでは自然光に近い発光色になるため、口腔内が診やすくなるという利点があることによる。
【0023】
光源(2)となる白色発光ダイオードは内視鏡ガイド(3)によって、喉頭鏡先端部(1a)に照射が届かないことがない場所でかつ内視鏡(7)による挿管視野の確認の妨げにならない場所へ配置する。
【0024】
この例では内視鏡用ガイド(3)の後方下側に配置し、点灯時に内視鏡用ガイド(3)を避け喉頭鏡先端部(1a)周辺を照射できる位置に白色発光ダイオードを配置している。白色発光ダイオードは、白色発光ダイオード用配管(8)の内部にコードを内蔵し、ハンドル(6)内部に内蔵されておる電池により点灯する。
【0025】
内視鏡(7)は内視鏡固定ネジ(5)を緩め、内視鏡(7)を内視鏡固定金具(4)とブレード(1)間に内視鏡(7)が通るだけの隙間をつくり、ブレード(1)の後方から内視鏡(7)をゆっくりと挿入する。挿入時、内視鏡(7)に抵抗を感じる場合は内視鏡固定ネジ(5)を更に緩め、抵抗がないようにする。
【0026】
内視鏡(7)を内視鏡用ガイド(3)の筒内に挿入し、内視鏡先端部(7a)を内視鏡用ガイド先端部(3a)付近まで挿入する。
【0027】
内視鏡(7)を使用しての口腔内視野と直接ブレード(1)越しに口腔内を見た視野とが一致するように内視鏡(7)全体を回転させ、上下左右が一致するように調整する。
【0028】
調整後、内視鏡固定ネジ(5)を締め、内視鏡固定金具(4)とブレード(1)間に内視鏡(7)を挟み込み、固定させる。この際、内視鏡(7)を内視鏡固定金具(4)で潰さない様に注意する。
【0029】
内視鏡(7)で視野を確認し、内視鏡先端部(7a)を上下左右に動かし、微調整を行う。外部モニター(9)に映し出す場合は内視鏡(7)に外部モニター接続ケーブル(10)を繋ぐ。ブレード(1)にハンドル(6)を接続し、白色発光ダイオード光源(2)を点灯させる。
【0030】
挿管指導者は内視鏡(7)を使用して挿管視野を確認しながら、挿管実施者に助言を行う。
【0031】
挿管終了後はハンドル(6)をブレード(1)からはずし、消灯したあと、内視鏡固定ネジ(5)を緩め、内視鏡(7)を痛めないようにゆっくりとブレード(1)から外す。
【0032】
内視鏡(7)に外部モニター(9)と接続するための機能がある場合、図4のように外部モニター接続アダプター(10)及び外部モニター接続ケーブル(11)を介し、外部モニター(9)に接続し、挿管視野を映し出すことにより、複数人が同時に挿管状態を把握することができる。
【0033】
また外部モニター(9)自体が大きく挿管現場に持ち込めない場所で、挿管実施状況をカメラ、ビデオ等に記録したい場合、外部モニター接続アダプタ(10)をカメラ、ビデオ等に接続できるように変更することに可能となる。また市販のカメラ、ビデオ等を使用することにより記憶媒体にかかるコストの削減にもなる。
【0034】
なお、上記の例としては、光源(2)が白色発光ダイオードである喉頭鏡を説明したが、ハロゲン球、タングステン球等の光源をハンドル(6)内に収納し、ブレード(1)部に設けた光ファイバーにより光源を伝達するファイバー型など、現在市販されている喉頭鏡を基にした形態も可能である。
【0035】
また喉頭鏡の形状においてもマキントッシュ型、ミラー型等の様々な形状をした喉頭鏡も可能である。
【0036】
さらにまた、内視鏡(7)の固定方法としては他に内視鏡(7)側に固定用ブラケットなどをガイドとして取り付け、ブレード(1)の後端部に固定する方法など、様々な形態が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この出願の発明に基づく内視鏡付喉頭鏡を例示した配置図であり、図Aおよび図Bは左右側面図である。
【図2】この出願の発明に基づく内視鏡付喉頭鏡を例示した内視鏡用ガイドの拡大斜視図である。
【図3】この出願の発明に基づく内視鏡付喉頭鏡を例示した内視鏡固定部の拡大斜視図である。
【図4】この出願の発明に基づく内視鏡付喉頭鏡を例示した挿管視野の外部モニターに対する出力時の配置図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ブレード
1a ブレード先端部
2 光源
3 内視鏡用ガイド
3a 内視鏡用ガイド先端部
4 内視鏡固定金具
5 内視鏡固定ネジ
6 ハンドル
7 内視鏡
7a 内視鏡先端部
8 白色発光ダイオード用配管
9 外部モニター
10 外部モニター接続アダプタ
11 外部モニター接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を取り付けるガイドを有し、このガイドにより取り付けられた内視鏡を介して複数人による挿管視野の共有を可能とする表示もしくは記録、あるいは表示と記録の手段を具備していることを特徴とする喉頭鏡。
【請求項2】
喉頭鏡を構成するブレードおよびハンドルの少なくともいずれかに内蔵された光源を有し、内視鏡用の外部電源を使用しないことを特徴とする請求項1の喉頭鏡。
【請求項3】
光源は白色発光ダイオードによるものであることを特徴とする請求項2の喉頭鏡。
【請求項4】
内視鏡用の外部モニター手段をもって挿管視野の共有を可能としていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの喉頭鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−75242(P2006−75242A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260187(P2004−260187)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【出願人】(000149756)株式会社大和製作所 (2)
【Fターム(参考)】