説明

喘息用のフォルモテロールおよびモメタゾンフロエートの組合せ

【課題】炎症性または閉塞性気道疾患の処置のためのβ−2アゴニストおよびステロイドの組合せの医薬、および該吸入装置の提供。
【解決手段】フォルモテロールもしくは医薬的に許容されるその塩またはフォルモテロールの溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物およびモメタゾンフロエートを同時の、連続のまたは別々に投与するもので、フォルモテロールおよびモメタゾンフロエートの混合物または個別を包含する医薬または医薬組成物の投与は、吸入によるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患(obstructive airway disease)の処置のためのβ−2アゴニストおよびステロイドの組合せならびにその使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
フォルモテロール、N−[2−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシ−2−((2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)エチル)フェニル)]ホルムアミド、特に、そのフマル酸塩型は、炎症または閉塞性気道疾患の処置に使用の気管支拡張薬である。モメタゾンフロエート、(11β,16α)−9,21−ジクロロ−17−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11−ヒドロキシ−16−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン、別の命名法では、9α,21−ジクロロ−16α−メチル−1,4−プレグナジエン−11β,17α−ジオール−3,20−ジオン 17−(2'−フロエート)は、US4472393に記載されている典型的な抗炎症性コルチコステロイドである。
【0003】
この度、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において重要な、予測不能な治療効果、特に相乗的治療効果が、遊離形またはその塩もしくは溶媒和物型のフォルモテロールおよびモメタゾンフロエートを用いる組合せ治療により得られることが驚くべきことに発見された。例えば、この組合せ治療を用いると、所定の治療効果に必要なモメタゾンフロエートまたはフォルモテロールの用量を、モメタゾンフロエートまたはフォルモテロール単独による処置での使用に必要な用量と比べると相当減少させることができ、それにより、可能性ある、望ましくない副作用を最小限にすることができる。特に、これらの組合せ、特にフォルモテロールおよびモメタゾンフロエートを含む組成物としての組合せは、フォルモテロールまたはモメタゾンフロエート単独により誘導されるよりも、より有意に高い抗炎症性活性を誘導することが発見され、そして、所定の抗炎症効果に必要なモメタゾンフロエートの量がフォルモテロールとの混合に用いると有意に減少し得、それにより炎症性または閉塞性気道疾患の処置に含まれるステロイドに繰返しさらされることによる望ましくない副作用の危険性を減少し得ることが発見された。
【0004】
更に、本発明の組合せ治療を用い、特にフォルモテロールおよびモメタゾンフロエートを含む組成物を用い、作用の急速な開始および作用の長期持続を有する医薬を調製し得る。更に、その組合せ治療を用い、肺機能において有意な改善を生ずる医薬を調製し得る。他の態様では、本発明の組み合わせ治療を用い、閉塞性または炎症性気道疾患の改善された調節を提供するか、それらの疾患の悪化の減少を提供する医薬を調製し得る。更なる態様では、本発明の組成物を用い、閉塞性または炎症性気道疾患のレスキュー処置の必要により使用され得るか、サルブタモールまたはテルブタリンのような短期作用性レスキュー医薬での処置の必要性を減少または取り除く医薬を調製し得、そのため、本発明の組成物に基く医薬は、単一医薬による閉塞性または炎症性気道疾患の処置を促進する。
【0005】
ある態様では、本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における同時の、連続のまたは別々の投与のために、(A)フォルモテロールもしくは医薬的に許容されるその塩またはフォルモテロールの溶媒和物もしくは当該塩の溶媒和物および(B)モメタゾンフロエートを、別個にまたは同時に含む医薬を提供する。
【0006】
他の態様では、本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患を処置する方法であって、その処置の有効量の上記の(A)および上記の(B)を必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0007】
更なる態様では、本発明は、有効量の、上記の(A)および上記の(B)の混合物を、所望により医薬的に許容される担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における同時の、連続のまたは別々の投与による組合せ治療に使用のための上記の(A)および(B)を提供する。
【0009】
本発明は、更に、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における(A)および(B)の同時の、連続のまたは別々の投与による組合せ治療のための医薬の調製において、上記の(A)または上記の(B)の使用を提供する。
【0010】
また更なる態様では、本発明は、上記の(A)および(B)を含む炎症性または閉塞性気道疾患の処置に使用の医薬組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は更に、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時の、連続のまたは別々の投与による組合せ治療のための医薬の調製に、上記の(A)および(B)の使用を提供する。
【0012】
フォルモテロールの医薬的に許容される塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸のような無機酸、およびフマル酸、マレイン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、オレイン酸、安息香酸、p−メトキシ安息香酸、サリチル酸、o−およびp−ヒドロキシ安息香酸、p−クロロ安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸および3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸のような有機酸の塩が含まれる。
【0013】
成分(A)は、任意の異性体型または異性体型の混合物であり得、例えば、単一エナンチオマー、エナンチオマー混合物、ラセミ体またはその混合物であり得る。溶媒和物型、例えば、水和物、例えば、US3994974またはUS5684199に記載のようなものであり得、特に結晶型、例えば、WO95/05805に記載のように存在し得る。好ましくは、成分(A)は、フォルモテロールフマレートであり、特に二水和物型である。
【0014】
上記の、すなわち混合物または個別の(A)および(B)を包含する医薬または医薬組成物の投与は、好ましくは吸入によるものであり、すなわち、(A)および(B)またはその混合物は、吸入可能型(inhalable form)である。医薬、すなわち(A)および/または(B)の医薬の吸入可能型は、例えば、プロペラント中の(A)および(B)を別個にまたは混合物として溶液または分散物の活性成分を含むエアロゾルのような噴霧可能組成物であるか、または水性、有機性または水性/有機性媒体中の活性成分の分散物を含む霧状可能組成物であり得る。例えば、医薬の吸入可能型は、プロペラント中の溶液または分散物の(A)および(B)の混合物、またはプロペラント中の溶液または分散物の(A)を含むエアロゾルとプロペラント中の溶液または分散物の(B)を含むエアロゾルとの組合せを含むエアロゾルであり得る。他の例では、吸入可能型は、水性、有機性または水性/有機性媒体中の(A)および(B)の分散物を含む霧状化可能組成物、またはその媒体中の(B)の分散物とその媒体中の(A)の分散物との組合せである。
【0015】
医薬の吸入可能型としての使用に適当なエアロゾル組成物は、当分野に既知の任意のプロペラントから選択され得るプロペラント中の溶液または分散物の活性成分を含み得る。適当なそのプロペラントには、n−プロパン、n−ブタンまたはイソブタンのような炭化水素または2またはそれ以上のその炭化水素の混合物、およびハロゲン置換炭化水素、例えばフッ素置換メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパンまたはシクロブタン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、または2またはそれ以上のハロゲン置換炭化水素の混合物が含まれる。活性成分がプロペラント中の懸濁液に存在する場合、すなわち、プロペラント中に分散する粒子型で存在する場合、エアロゾル組成物はまた、当分野に既知の滑沢剤および界面活性剤から選択され得る滑沢剤および界面活性剤を含み得る。他の適当なエアロゾル組成物には、界面活性剤なし、または実質的に界面活性剤のないエアロゾル組成物が含まれる。当該エアロゾル組成物は、プロペラントの重量に基づき、約5(重量)%まで、例えば、0.002から5(重量)%、0.01から3(重量)%、0.015から2(重量)%、0.1から2(重量)%、0.5から2(重量)%または0.5から1(重量)%の活性成分を含み得る。存在するならば、滑沢剤および界面活性剤は、それぞれ、エアロゾル組成物の5(重量)%および0.5(重量)%までの量であり得る。当該エアロゾル組成物はまた、特に、加圧測定用量吸入装置(pressurised metered dose inhalation device)の投与のための、組成物の30(重量)%までの量のエタノールのような共溶媒和物を含み得る。
【0016】
本発明の他の実施態様では、吸入可能型はドライパウダーであり、すなわち、(A)および/または(B)は、微粉砕した(A)および/または(B)を、所望により微粉砕した医薬的に許容される担体と共に含むドライパウダーとして存在し、その担体は、医薬的に許容される担体として存在し1またはそれ以上の既知物質であり得、好ましくはドライパウダー吸入組成物中の担体として既知の物質から選択され、例えば、モノサッカライド、ジサッカライド、ポリサッカライドを含むサッカライドおよびアラビノース、グルコース、フルクトース、リボース、マンノース、シュクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、デンプン、デキストランまたはマンニトールのような糖アルコールである。特に、好ましい担体はラクトースである。ドライパウダーは、ドライパウダー吸入装置における使用のため、好ましくはカプセルあたりのパウダーの総重量が5mgから50mgとなる量の担体を伴う(A)および/または(B)の用量単位において、ゼラチンまたはプラスチックのカプセル中、または発泡剤中に存在し得る。他に、ドライパウダーは、多用量ドライパウダー吸入装置中の貯蔵体として含まれ得る。
【0017】
微粉砕した特定の医薬の型および活性成分が特定型中に存在するエアロゾル組成物では、活性成分は、約10μmまでの、例えば、0.1から5μm、好ましくは1から5μmの平均粒径を有し得る。存在するならば、固体担体は、300μmまで、好ましくは、212μmまでの最大粒径を通常有し、都合良くは、40から100μm、例えば50から75μmの平均粒径を有する。活性成分の粒子サイズ、およびドライパウダー組成物中に存在する場合の固体担体の粒子サイズは、通常の方法により、例えば、エアージェットミル、ボールミルまたはバイブレーターミル、ミクロ沈殿(microprecipitation)、スプレードライニング、凍結乾燥または臨界超過媒体からの再結晶により望ましいレベルにまで微粉砕し得る。
【0018】
吸入可能な医薬は、吸入可能型に適当な吸入装置、その装置は当分野に既知である装置を用い投与し得る。従って、本発明はまた、1またはそれ以上の吸入装置に関連する上記の吸入可能型中の、上記の医薬または製剤組成物を含む製剤産物を提供する。更なる態様では、本発明は、上記の吸入可能型中に上記の医薬または製剤組成物を含む、吸入装置、または2またはそれ以上の吸入装置のパックを提供する。
【0019】
活性成分の吸入可能型がエアロゾル組成物である場合、吸入装置は、10から100μl、例えば、25から50μlのような組成物の測定用量を送達するよう適用されるバルブを提供したエアロゾルバイアルであり、すなわち、測定用量吸入器として知られる装置である。そのようなエアロゾルバイアルおよび加圧下でエアロゾル組成物を含ませるのに適した手順は、吸入治療の当業者に既知である。例えば、エアロゾル組成物は、例えば、EP−A−0642992中に記載されているように被覆缶から投与され得る。活性成分の吸入可能型が、霧状化可能な水性、有機性または水性/有機性分散物である場合、吸入装置は、既知のネブライザーとして知られ得、例えば、1から50ml、通常1から10mlの分散物を含み得るエアージェットネブライザー、または超音波ネブライザーのような通常の空気圧ネブライザー;またはハンドヘルドネブライザー、例えば、通常のネブライザーよりも相当に少量の体積、例えば10から100μlの噴霧が可能であるAERx(ex Aradigm, US)のような電気的調節装置またはRESPIMAT(Boehringer Ingelheim)ネブライザーのような機械装置である。活性成分の吸入可能型が、微粉砕した粒子型である場合、吸入装置は、例えば、(A)および/または(B)の用量単位を含むドライパウダーを含むカプセルまたはブリスターからのドライパウダーの送達に適用するドライパウダー吸入装置、または例えば作動あたり(A)および/または(B)の用量単位を含む3−25mgのドライパウダーの送達に適用する多用量ドライパウダー吸入(MDPI)装置であり得る。適当なそのドライパウダー吸入装置は良く知られている。例えば、カプセル化型ドライパウダーの送達に適当な装置は、US3991761に記載されたものであり、その一方、適当なMDPI装置は、WO97/20589に記載されたものである。
【0020】
本発明の医薬は、好ましくは、上記の(A)および上記の(B)の混合物を含み、好ましくは上記の医薬的に許容される担体を伴う医薬組成物である。
【0021】
フォルモテロールまたはその塩もしくは溶媒和物とモメタゾンフロエートの重量比は、通常、2:1から1:2000、例えば、1:1から1:1000、1:2から1:100、または1:5から1:50であり得る。より普通では、この割合は、1:10から1:25、例えば、1:15から1:25である。当該2つの薬物は、同じ割合で別々に投与し得る。最も近い整数としては、この割合の例には、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24および1:25が含まれる。上記重量比は、特に(A)がフォルモテロールフマレート二水和物である場合に適用される。そのため、フォルモテロールフマレート二水和物およびモメタゾンフロエートの分子量がそれぞれ840.9および521.4であるため、(A)と(B)の相当するモル比は、通常、1.24:1から1:3227、例えば、0.62:1から1:1613、1:3.2から1:161、または1:8.1から1:80.7;より普通には、1:16.1から1:40.3、例えば、1:24.2から1:40.3;モル比の特定の例は、1:16.1、1:17.8、1:19.4、1:21、1:22.6、1:24.2、1:25.8、1:27.4、1:29、1:30.7、1:32.3、1:33.9、1:35.5、1:37.1、1:38.7および1:40.3であり得る。
【0022】
吸入に適当な、フォルモテロール、またはその塩もしくは溶媒和物、特にフォルモテロールフマレート二水和物の一日用量は、1から72μg、例えば、1から60μg、通常3から50μg、好ましくは6から48μg、例えば6から24μgであり得る。吸入に適当な、モメタゾンフロエートの一日用量は、50から2000μg、例えば、100から2000μg、100から1600μg、100から1000μg、または100から800μg、好ましくは200から500μg、例えば200から400μgであり得る。使用する正確な用量は、もちろん、処置する病状、患者および吸入装置の効率に依存する。
【0023】
フォルモテロール成分(A)、好ましくはフォルモテロールフマレート二水和物の適当な単位用量は、1から72μg、例えば1から60μg、通常3から48μg、好ましくは6から36μg、特に12から24μgであり得る。モメタゾンフロエート(B)の適当な単位用量は、25μgから2000μg、例えば、50μgから1000μg、好ましくは500μgから800μg、より好ましくは100μgから500μg、特に100から400μg、例えば200から400μgであり得る。これらの単位用量は、上記の適当な一日用量に従って一日一度または二度適当に投与し得る。頓用の場合、6μgまたは12μgの(A)および50μgまたは100μgのモメタゾンフロエート(B)が好ましい。
【0024】
本発明の1の好ましい実施態様では、本発明の医薬は、例えば、単一カプセル吸入器からの吸入のための、(A)および(B)の単位用量を含むカプセルであって、(A)がフォルモテロールフマレート二水和物の場合、(A)3μgから36μg、好ましくは(A)6μgから24μg、特に(A)12μgから24μg、および(B)25μgから800μg、例えば25μgから500μgまたは25μgから400μg、好ましくは(B)50μgから400μg、特に(B)100から400μgを適当に含み、カプセルあたりのドライパウダーの総重量が5mgと50mgとの間、例えば、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mgまたは50mg、好ましくは20から25mg、特に25mgとなる量の上記の医薬的に許容される担体を伴うカプセル中のドライパウダーである医薬組成物である。
【0025】
本発明の他の好ましい実施態様では、本発明の医薬は、作用あたり(A)および(B)の単位用量を含む3mgから25mgのパウダーであって、(A)がフォルモテロールフマレート二水和物の場合、3から36重量部、好ましくは6から24重量部、特に12から24重量部の(A);25から800重量部、例えば25から500重量部、好ましくは50から400重量部、特に100から400重量部の(B);および上記の医薬的に許容される担体の2164から24972重量部、好ましくは4164から14972重量部、特に4164から9972重量部を含むパウダーの送達に適用する多用量ドライパウダー吸入器の貯蔵体からの投与のためのドライパウダーである医薬組成物である。
【0026】
上記の通り、本発明はまた、上記の(A)および(B)を分離した単位用量型に含み、当該剤型が有効量の(A)および(B)を投与するのに適している医薬キットを提供する。そのキットは、適当に更に、(A)および(B)の投与のための1またはそれ以上の吸入装置を含む。例えば、当該キットは、(A)の用量単位を含むドライパウダーを含むカプセルおよび(B)の用量単位を含むドライパウダーを含むカプセルと共に、カプセルからのドライパウダーの送達に適合する1またはそれ以上のドライパウダー吸入装置を含む。他の例では、キットは、貯蔵体に(A)を含むドライパウダーを含む多用量ドライパウダー吸入装置および貯蔵体に(B)を含むドライパウダーを含む多用量ドライパウダー吸入装置を含み得る。更なる例では、当該キットは、プロペラント中に(A)を含むエアロゾルを含む測定用量吸入器およびプロペラント中に(B)を含むエアロゾルを含む測定用量吸入器を含み得る。
【0027】
本発明に関する炎症性または閉塞性気道疾患の処置は、徴候的または予防的な処置であり得る。本発明が適用される炎症性または閉塞性気道疾患には、内在性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方が型または原因の如何にかかわりなく、すべての喘息が含まれる。喘息の処置はまた、喘鳴の徴候が見られ、かつ“喘鳴幼児(wheezy infant)”、主要な医学の関心事の確立された患者カテゴリーとして診断されるか診断され得る、例えば4または5歳未満の患者の処置を含むとして理解され、しばしば、初期または早期−フェーズの喘息として同定される。(便宜的に、この特定の喘息の症状は、喘鳴幼児症候群(wheezy infant syndrome)と呼ばれる)
【0028】
喘息の処置における予防効力は、徴候的攻撃、例えば、急性喘息の攻撃または気管支収縮薬攻撃の頻度または重篤度を低減することにより、肺機能の改善または気道過剰反応性の改善により証明される。他の、徴候的治療、すなわち、徴候的攻撃、例えば抗炎症(例えば、コルチコステロイド)または気管支拡張(bronchodilatory)が生じたときのその攻撃を制限もしくは阻害(abort)するためまたは制限もしくは阻害を目的とした治療の必要性を減少することにより更に証明され得る。喘息の予防の利点は、特に、“モーニング・ディッピング(morning dipping)”の傾向のある患者で明白となり得る。“モーニング・ディッピング”は、認知された喘息性症候群であり、通常、喘息患者の実質的な割合を占め、例えば、おおよそ午前4時から6時の間、すなわち、従前に適用した徴候的喘息治療から通常実質的に時間を経たときの喘息攻撃を特徴とする。
【0029】
本発明を適用し得る他の炎症性または閉塞性気道疾患および病状には、急性肺傷害(ALI)、成人性呼吸障害症候群(ARDS)、慢性閉塞肺疾患、慢性気管支炎および気腫を含む気道または肺疾患(COPD、COADまたはCOLD)、気管支拡張症および他の薬物治療、特に他の吸入薬物治療の結果としての気道過剰反応の悪化が含まれる。本発明が適用される更なる炎症性または閉塞性気道疾患には、例えば、型または原因にかかわりなくアルミニウム肺症、炭症、アスベスト肺、石粉症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、たばこ症および綿肺症を含む塵肺症(炎症、通常は肺の職業病であり、しばしば、慢性または急性の何れであっても気道閉塞を伴い、繰返しの塵の吸入により引き起こされる)が含まれる。
【0030】
本発明を以下の実施例により解説し、特記しない限り、部は重量である。
【実施例】
【0031】
実施例1−測定用量吸入器のためのエアロゾル組成物
【表1】

【0032】
実施例2−ドライパウダー
【表2】

【0033】
実施例3
WO97/20589に記載の多用量吸入器の貯蔵体からの送達に適当なドライパウダーを、エアージェットミルで平均粒径1−5μmにまで磨り潰したフォルモテロールフマレート二水和物12部、同様に平均粒径1−5μmにまで磨り潰したモメタゾンフロエート250部および212μm未満の粒径を有するラクトース一水和物4738部を混合することにより調製する。
【0034】
実施例4−92
実施例3を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる。
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
実施例93
US3991761に記載のようなカプセル吸入器での使用に適当なゼラチンカプセルを調製する。各カプセルは、エアジェットミルで平均粒径1から5μmまでに磨り潰したフォルモテロールフマレート二水和物12μg、同様に平均粒径1から5μmにまで磨り潰したモメタゾンフロエート250μgおよび212μm未満の粒径を有するラクトース一水和物24738μgを混合することにより得たドライパウダーを含む。
【0040】
実施例94−152
実施例93を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる。
【表8】

【0041】
【表9】

【0042】
実施例153−176
実施例3を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる。
【表10】

【0043】
実施例177−281
実施例93を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる。
【表11】

【0044】
【表12】

【0045】
【表13】

【0046】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性または閉塞性気道疾患の処置における、同時の、連続のまたは別々の投与のための、(A)フォルモテロールもしくは医薬的に許容されたその塩またはフォルモテロールの溶媒和物もしくは当該塩の溶媒和物および(B)モメタゾンフロエートを、別々にまたは同時に含む医薬。
【請求項2】
炎症性または閉塞性気道疾患を患うヒトへの医薬の適用のための吸入装置であって、該医薬が、医薬(A)フォルモテロールもしくは医薬的に許容されたその塩またはフォルモテロールの溶媒和物もしくは当該塩の溶媒和物および(B)モメタゾンフロエートを含むことを特徴とする、吸入装置。

【公開番号】特開2010−1295(P2010−1295A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174025(P2009−174025)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【分割の表示】特願2000−602059(P2000−602059)の分割
【原出願日】平成12年3月1日(2000.3.1)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】