説明

嘔吐物の液体分を吸収し固化する組成物

【課題】 従来、嘔吐物は不潔、臭い、扱いにくい等で撤去処理は難航し、紙や布で拭き取ることやおがくずに混ぜ込んで処理することが多い、清掃するのは困難な作業であった。 特に絨毯や布張りのいす上に存在する吐瀉物を清掃するのは困難であった。 また嘔吐物の固形分を清掃したとしても、液体成分の清掃が不十分であると、その後、嘔吐物残存液体分が乾燥粉末化し空気中に放出される。 ウイルスや細菌に感染した感染者の嘔吐物では汚染された環境で2次的な感染のおそれがある。 また嘔吐物残存液体分が異臭の発生源になり、施設の使用に支障をきたすことが多かった。 この欠点を改善し、嘔吐物を安全に短時間で収容作業が完了できる組成物の提供が望まれていた。
【解決手段】 嘔吐物の液体分を吸収し固化する組成物として高吸水性高分子粉末と高吸油性高分子粉末と吸油の調節や吸液後の形形状の調節や脱臭作用のための鉱物粉末を混合した組成物により、当該問題を解決すさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体調不良によって起こる嘔吐物を収容、清浄する際に、該嘔吐物を迅速かつ安全に処理することを目的とした嘔吐物の液体分を吸収し固化し嘔吐物の清掃を容易にする組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、嘔吐物は不潔、臭い、扱いにくい等で撤去処理は難航し、紙や布で拭き取ることやおがくずに混ぜ込んで処理することが多い、清掃するのは困難な作業であった。 特に絨毯や布張りのいす上に存在する吐瀉物を清掃するのは困難であった。 また嘔吐物の固形分を清掃したとしても、液体成分の清掃が不十分であると、その後、嘔吐物残存液体分が乾燥粉末化し空気中に放出される。 ウイルスや細菌に感染した感染者の嘔吐物では汚染された環境で2次的な感染のおそれがある。 また嘔吐物残存液体分が異臭の発生源になり、施設の使用に支障をきたすことが多かった。 この欠点を改善し、嘔吐物を安全に短時間で収容作業が完了できる組成物の提供が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は嘔吐物を簡便に収容する手段の提供にあるが、併せてウィルスや細菌に感染した感染者の嘔吐物の液体分を迅速に吸収し固形化して安全で短時間に収容作業を完了できる組成物を現実することを目的とするのである。
【0004】
従来技術として、動物等から排出される嘔吐物や糞尿、油類、その他の汚物、汚水等をゲル化させることのできる凝固処理剤として、無機鉱物質および吸水性樹脂およびpH緩衝剤から成る清掃処理用凝固剤がある。 これは、嘔吐物に含まれる油性成分に考慮がされておらず、土やコンクリートの存在する嘔吐物の処理にはそれなりの効果があるが、布製の座席、絨毯や木製の床等の上に存在するに嘔吐物の処理には十分なものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した結果、上記の課題は次のような組成物によって解決できる事がわかった。
嘔吐物の液体分を吸収し固化する組成物は高吸水性高分子粉末と高吸油性高分子粉末と吸油の調節や吸液後の固形形状の調節や脱臭作用のための鉱物粉末を混合したものである。
【0006】
本発明で使用できる高吸水性樹脂としては吸水量が自重の25倍以上のものであれば材質は特に制限されない。例えばポリアクリル酸塩系重合体、イソプロピルアクリルアミド共重合体、ポリエチレンオキサイド系重合体、澱粉・アクリルニトリルグラフト重合体ケン化物、ポリアクリルニトリル系ケン化物、澱粉・アクリル酸グラフト重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体架橋物等が挙げられる。なかでもポリアクリル酸ナトリウム塩が好ましい。
添加量としては40〜95重量粍が好適である。粉末状の吸水性樹脂としては平均粒度50〜850ミクロンのものが好適である。
【0007】
本発明で使用できる高吸油性高分子としては吸油量が自重の0.1倍以上のものであれば材質は特に制限されない。 例えばスチレン・ブタジエンエチレン系高分子、スチレン・ブタジエンブロック共重合、高分子スルホン化エチレン−プロピレンターポリマーが好ましい。 なかでもスチレン・ブタジエンエチレン系高分子が好ましい。粉末状の高吸油性高分子としては平均粒度30〜850ミクロンのものが好適である。
【0008】
吸油の調節や吸液後の固形形状の調節や脱臭作用のため、本発明で使用できる鉱物粉末としては、カオリン粉末、硫酸バリウム粉末、珪藻土、二酸化チタンが好ましい。 なかでもカオリン粉末、硫酸バリウム粉末が好ましい。 粉末状鉱物としては平均粒度2〜500ミクロンのものが好適である。
【0009】
これらに嘔吐物の異臭を除去するための消臭剤や香料を添加することもできる。 また殺菌剤、防カビ剤、防腐剤を添加することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の嘔吐物の液体分を吸収し固化する組成物は、嘔吐物の上に散布することにより液体分の吸収力と固化する性能の高さから液状、泥状物を固形状物として扱うことが可能となった。 また従来では清掃困難であった残存液体分を大幅に吸収・固化できるため、安全性の向上と作業時間の短縮を提供することが可能となった。
【0011】
この組成物を支持体とし平面シートを用い、片面に接着剤を塗布し、これに該組成物を保持させる形態や少なくとも1面が液体透過性の2枚の平面シートの間に入れた形態でももちうることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の組成物を使って嘔吐物の水分を吸収し固化する場合において、固化対象の吐瀉物の容積の0.5〜4倍を準備する。 該組成物を固化対象の吐瀉物のうえにできるだけまんべんなく散布する。 散布後20から数十秒放置すると該組成物により、液状や泥状だった対象物が、吐瀉物の液体成分(水、油分)が該組成物に吸収され、固形化する。嘔吐物の固定成分とあわせて嘔吐物が固形物として扱えるようになり、箒や掃除機で清掃除去できる。 絨毯や布張りの椅子等の吸液性のもので使用する場合、1次清掃跡に、該組成物を散布し、残存液体分のさらなる清掃に供することもできる。
【0013】
この組成物を支持体とし平面シートを用い、片面に接着剤を塗布し、これに該組成物を保持させる形態や少なくとも1面が液体透過性の2枚の平面シートの間に入れた形態でももちうることができる。 この形態で用いる場合、嘔吐物の収容、処理を迅速、簡便に行なえることは勿論、ウイルスや細菌に感染した感染者の嘔吐物を簡単迅速に固化、封じ込めを行なうため、処理する人の安全と取り巻く環境の安全性が高まる。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
嘔吐物の液体分を吸収し固化する組成物の高吸水性高分子粉末として、ポリアクリル酸ナトリウム塩粉末を、高吸油性高分子としてはスチレン・ブタジエンエチレン系高分子粉末を使用した。 これら高分子粉末に吸油の調節や吸液後の固形形状の調節や脱臭作用のための鉱物粉末としてカオリン粉末を使用した。 また香料(レモン香り)を添加した。
更に詳しくは、カオリン粉末40部とキサンタンガム1.0%の水溶液100部の混合物をポリアクリル酸ナトリウム塩粉末60部に混合し、更にスチレン・ブタジエンブロック共重合高分子粉末10部を混合し、これにレモン香りのエッセンシャルオイル1滴を加え組成物を作成した。 キサンタンガムの水溶液は粉末のカオリンが高吸水性高分子粉末と接着一体にするために用いられた。
水20部、ウイスキー2部、酢2部、サラダオイル1部、カップ麺5部を混合して得られた擬似嘔吐物を絨毯に直接こぼした。 この擬似嘔吐物の上に該組成物を散布し、40秒放置したところ、液体分は吸収され固形化した。これは箒や電気掃除機等の掃除道具で清掃できた。
擬似嘔吐物を清掃した絨毯跡はわずかに湿り気が残るだけであった。 水分も油分も吸収されていた。
また 該組成物を、たまたま残置された実際の嘔吐物に相当量の該組成物を散布し放置したところ数十秒で液体分が吸収され固化し清掃が容易になった。
【実施例2】
【0015】
カオリン粉末50部とキサンタンガム1.0%の水溶液100部の混合物をポリアクリル酸ナトリウム塩粉末50部に混合し、更にスチレン・ブタジエンブロック共重合高分子粉末10部を混合し、これにレモン香りのエッセンシャルオイル1滴を加え組成物を作成した。
擬似嘔吐物の上に該組成物を散布し、40秒放置したところ、液体分は吸収され固形化した。これは箒や電気掃除機等の掃除道具で清掃できた。 擬似嘔吐物を清掃した絨毯跡はわずかに湿り気が残るだけであった。 水分も油分も高分子粉末に吸収されていた。
【実施例3】
【0016】
カオリン粉末30部とキサンタンガム1.0%の水溶液100部の混合物をポリアクリル酸ナトリウム塩粉末70部に混合し、更にスチレン・ブタジエンブロック共重合高分子粉末10部を混合し、これにレモン香りのエッセンシャルオイル1滴を加え組成物を作成した。
擬似嘔吐物の上に該組成物を散布し、40秒放置したところ、液体分は吸収され固形化した。これは箒や電気掃除機等の掃除道具で清掃できた。 擬似嘔吐物を清掃した絨毯跡はわずかに湿り気が残るだけであった。 水分も油分も高分子粉末に吸収されていた。
【実施例4】
【0017】
カオリン粉末200部とキサンタンガム0.4%の水溶液150部の混合物をポリアクリル酸ナトリウム塩粉末300部に混合し、更にスチレン・ブタジエンブロックエチレン系共重合高分子粉末33部を混合し、これにミントの香料13ml、薄荷油の香料13mlを加え組成物を作成した。
擬似嘔吐物の上に該組成物を散布し、40秒放置したところ、液体分は吸収され固形化した。これは箒や電気掃除機等の掃除道具で清掃できた。 擬似嘔吐物を清掃した絨毯跡はわずかに湿り気が残るだけであった。 水分も油分も高分子粉末に吸収されていた。
【発明の効果】
【0018】
本発明の嘔吐物の液体分を吸収し固化する組成物は水分も油分も十分に吸収し、容易に嘔吐物を清掃・除去することができる。 特に絨毯や交通機関の座席上の嘔吐物を効率よく清掃・除去することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸水性高分子粉末と高吸油性高分子粉末の混合物からなる嘔吐物の液分を吸収し固化することを特徴とする組成物
【請求項2】
前記組成物に鉱物粉末を混合してなる嘔吐物の液分を吸収し固化することを特徴とする請求項1記載の組成物
【請求項3】
高吸水性高分子粉末としてポリアクリル酸塩系重合体粉末を、高吸油性高分子粉末としてスチレン・ブタジエン エチレン系高分子粉末を、鉱物粉末としてカオリン粉末の組み合わせとすることを特徴とする請求項1記載及び請求項2記載の組成物

【公開番号】特開2009−79197(P2009−79197A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275709(P2007−275709)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(302069620)
【出願人】(506287811)
【出願人】(595123081)有限会社レイノ (7)
【Fターム(参考)】