説明

器官の灌流を視覚化する方法

【課題】器官のMR灌流画像、特に心臓の心筋の灌流画像を位置ずれなく視覚化する方法に関する。
【解決手段】一連のMR灌流画像を表示する際、時間的に最初の画像を参照画像として用い、全ての続く画像を該画像のそれぞれと参照画像との間の差(回転、平行移動)が最小になるように変換することにより、器官がその位置を略一定の位置に維持できるよう表示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、灌流測定を用いることにより、灌流測定によって捕捉された器官の一連の画像が視覚的に調べられるよう表示装置に表示される、器官特に患者の心筋の灌流を視覚化する方法に関する。
【0002】
この種類の方法は、実際上知られており、例えばMR灌流測定技術の使用に基づくものである。信頼性の高い画像を取得するために、検査を受ける患者ができれば検査台の上で動かなくされ、実際の灌流測定中にできるかぎり動かないようにされることが望ましい。灌流測定自体は、灌流測定を容易とし器官の灌流を演繹することができる画像の再生を可能とする造影剤の注入によって開始する。
【0003】
このような灌流測定中に生ずる問題は、患者が測定中に動いてしまったり、息を止めることができないために、測定されている器官の位置が変化してしまうことである。検査される器官の灌流の挙動の分析はこのように妨げられ、なぜならばその場合は連続する画像中の注入される造影剤の強度変化はあまりよく比較できないからである。
【0004】
本発明は、この問題を解決することを目的とするものである。そのために、本発明によれば、器官の一連の画像のうち連続する画像の各対に対して変換操作を行い、時間的に最初の画像のみを参照画像として用い、全ての続く画像を、該画像のそれぞれと参照画像との間の差が最小となるよう変換し、それにより、変換操作完了後、器官は略一定の位置に表示されることが提案される。
【0005】
これは、実際上の灌流測定中に生ずる比較的小さい変動が適切に追跡可能となる安定した画像をもたらし、それにより視覚的な検査のために示される一連の画像により検査される器官の灌流のふるまいを非常に適切に分析することが可能となる。
【0006】
検査されるべき器官の画像に対して複雑な圧縮操作又は他の操作が行われることを防止するために、変換操作は、画像に対して行われる回転操作及び平行移動操作からなることが望ましい。
【0007】
本発明の更なる面によれば、変換操作の前に、参照画像を構成する画像の中及び続く画像の中の参照領域が決定され、変換操作は連続する画像の参照領域中の差を最小とすることによって決定される。このように、検査される器官の灌流のふるまいは、例えば患者の呼吸によって画像中の他のあまり重要でない部分が変位を受けても、適当に視覚化されうる。これを達成するために、参照画像は、検査される器官の直ぐ近傍によって囲まれることが特に望ましい。
【0008】
本発明の更なる重要な面によれば、参照領域によって決定される変換操作は画像全体に対して行われる。完全な変換操作を受けた画像は、変換操作により変換された画像の参照領域の縁において欠けた部分が生じないことを確実とするため、有利に続く画像のための参照画像として用いられうる。
【0009】
本発明はまた、請求項6に記載のデータ処理システムに関する。本発明のデータ処理システムは、本発明の方法を実行するよう配置される。
【0010】
本発明はまた、請求項7に記載のコンピュータプログラムに関する。本発明によるコンピュータプログラムは、データ処理システムが本発明の方法を実行しうるよう、データ処理システムのワーキングメモリにロードされうる。
【0011】
望ましくは、本発明のコンピュータプログラムは、CD−romディスクといったデータ担体から入手可能とされうる。コンピュータプログラムは、例えば「ワールドワイドウェブ」といったデータネットワークからダウンロードされてもよい。
【0012】
以下、本発明について図1を参照して本発明の望ましい変形例の非制限的な例に基づいて説明する。
【0013】
連続して配置された多数の画像(数は知られていても知られていなくともよい)から、毎回、一対の続く画像、例えば画像Bi-1,r及び続く画像Bi,oが選択される。画像Bi-1,rは、連続番号i−1を有し、そこから画像が捕捉されるべき検査される器官の実際の照射に関連する画像Bi-1,oから形成される。以下詳述する本発明によってこの画像Bi-1,oを変換することにより、変換された画像Bi-1,rが生ずる。参照領域ROIi-1は、画像Bi-1,r中で画成される。この操作は、手動で又は自動で行われうる。検査される器官は、参照ROIi-1によって示される領域内に完全に配置されるべきであり、破線によって示される参照領域ROIi-1の境界は、検査される期間の直ぐ近傍をマークする。
【0014】
画像Bi-1,rに続く連続番号iを有する画像Bi,rは、以下のように決定される。この操作は以前の画像Bi-1,oに続く画像Bi,oに基づくものであり、その後にこの画像Bi,o中で参照領域ROIiが決定され、この参照領域は画像Bi-1,r中の参照画像ROIi-1と同様に囲まれる。2つの参照領域ROIi-1及びROIiは、ROIi-1とROIiの間の差を最小とするために必要であるROIi-1に対するROIiの回転及び平行移動の度合いを決定するために、器官1中で続いて解析される。このために、器官1は、視覚検査のための表示装置上で画像Bi-1,rの後に続いて示されうる画像Bi,rを得るために、画像全体Bi,oに対して回転及び/又は平行移動を行う変換部3に制御信号を印加する。操作の次の段階中、画像Bi,rは図示する画像Bi-1,rの位置をとり、それにより画像Bi+1,rを形成するために、上述の方法は続く画像Bi+1,oに対して繰り返されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の方法を説明するための図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灌流視覚化システムの作動方法であって、灌流測定を用いることにより捕捉された、特に患者の心筋といった器官の一連の画像を視覚的に調べられるよう表示装置上に表示する作動方法であり、
前記器官の一連の画像のうち連続する画像の各対に対して変換操作を行い、
時間的に最初の画像のみを参照画像として用い、全ての続く画像を、該画像のそれぞれと前記参照画像との間の差が最小となるよう変換し、前記器官を略一定の位置に表示することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記変換操作は、画像に対して行われる回転操作及び平行移動操作からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記変換操作の前に、前記参照画像を構成する画像の中及び前記続く画像の中の参照領域が決定され、
前記変換操作は、連続する画像の参照領域の差を最小とすることによって決定されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記参照画像は、検査される器官の直ぐ近傍によって囲まれることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記参照領域によって決定される前記変換操作は、画像全体に対して行われることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
特に患者の心筋といった器官の灌流を視覚化するよう配置される表示装置を含み、灌流測定を用いることにより器官の一連の画像を捕捉し、該器官の一連の画像を視覚的に調べられるよう表示装置上に表示するデータ処理システムであって、
データ処理システムは、
前記器官の一連の画像のうち連続する画像の各対に対して変換操作を行い、
時間的に最初の画像のみを参照画像として用い、全ての続く画像を、該画像のそれぞれと前記参照画像との間の差が最小となるよう変換し、前記器官を略一定の位置に表示するよう配置されることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項7】
器官の一連の画像のうち連続する画像の各対に対して変換操作を行う命令を有する、該器官の一連の画像を処理するためのコンピュータプログラムであって、
時間的に最初の画像のみを参照画像として用い、全ての続く画像を、該画像のそれぞれと前記参照画像との間の差が最小となるよう変換し、前記器官を略一定の位置に表示するコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−346472(P2006−346472A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190834(P2006−190834)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【分割の表示】特願2002−549986(P2002−549986)の分割
【原出願日】平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】