説明

噴射ノズルマニホールド及びその使用により高温ガスを急冷する方法

噴霧化ガスを供給するための同軸の第一通路(26)と、前記第一通路内に設けられ液体を供給するための同軸の第二通路(27)と、マニホールド(25)の縦軸から離れた方向に液体を噴霧化し噴射するための横方向に間隔をあけて配置された二つ以上のノズル(16)とを備えた噴射ノズルマニホールド(25)であって、前記ノズルは第一通路に取り付けられ、前記ノズルが、前記第二通路(27)に流体連結された液体の入口と、前記第一通路(26)に流体連結された噴霧化ガスの入口と、噴霧化ガスと液体を混合する混合室(37)と、噴霧化ガスと液体との混合物の出口(24)とを備え、前記ノズルが噴霧化ガスを放出するための開口部(33)を有し、前記開口部が前記混合室(37)の上流の位置にて前記第一通路に流体連通しており、前記ノズルを取り囲むシールド(32)が前記第一通路(26)に固定される、前記噴射ノズルマニホールド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は噴射ノズルマニホールド、噴射ノズルマニホールドからなる装置及び該装置の使用により高温ガスを急冷する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
US−A−2006/0260191の容器は、隣接ガス化反応器の中で生成された高温合成ガスを急冷する液体を前記高温合成ガスの流れに注入することにより、冷却する。特に、この公報の図4は、1200〜1800℃の温度を持つ合成ガス混合物を得るための固形炭素系供給原料のガス化のためのガス化反応器を示す。この反応器は、上端部に高温合成ガスのための一つの出口を持ち、下端部にはスラグのための一つの出口を備える。反応器自体が、第一段階で合成ガスの中に存在する非ガス状成分の凝固点以下の温度まで下げるための急冷手段を備える。ダクトによってガス化反応器に接続された別個の急冷容器の中で、合成ガスの流れに水のミストを注入することで更に合成ガスの温度を低下させる。急冷容器の利点は、該容器の設計が複数の熱交換器バンクを備える廃熱ボイラーより格段に簡略化できることである。更なる利点は、合成ガスが飽和状態よりも低い水分を含有してもよいことである。このことにより、実質的に冷却された合成ガスを得て、例えばEP−B−1178858に記載のフィルターを使用して、又はより好ましくはサイクロンを使用して、この合成ガスから灰を分離できる。
【0003】
DE−A−102005004341は噴霧ガスの供給のための同軸の一つの第一通路と液体の供給のための前記第一通路の中に存在する同軸の一つの第二通路を備える噴射ノズルマニホールドを記載している。この噴射ノズルマニホールドはさらに、二つ以上の横方向に間隔をあけて配置された液体を噴霧化し噴射するノズルを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、灰などの非ガス状成分を含んだ高温合成ガスに急冷媒体を注入することは容易でないことがわかった。例えば、DE−A−102005004341の噴射ノズルマニホールドを適用すると、高温合成ガス中に存在する非ガス状成分によって噴射ノズルの深刻なファウリングが起こる。本発明は、このようなファウリングを生じることなく急冷媒体を注入する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
噴霧化ガスを供給するための同軸の第一通路と、前記第一通路内に設けられ液体を供給するための同軸の第二通路と、マニホールドの縦軸から離れた方向に液体を噴霧化し噴射するための横方向に間隔をあけて前記第一通路に取り付けられた二つ以上のノズルとを備えた噴射ノズルマニホールドであって、前記ノズルが、前記第二通路に流体連結された液体の入口と、前記第一通路に流体連結された噴霧化ガスの入口と、噴霧化ガスと液体を混合する混合室と、噴霧化ガスと液体との混合物の出口とを備え、前記ノズルが噴霧化ガスを放出するための開口部を有し、前記開口部が前記混合室の上流の位置にて前記第一通路に流体連通しており、前記ノズルを取り囲むシールドが前記第一通路に固定される、前記噴射ノズルマニホールド。
【0006】
出願人は、シールドとノズルの間の空間をパージする手段と共に、複数のノズルの周囲に一つのシールドを提供することによって、非ガス成分によるファウリングを効果的に防止できる噴射ノズルマニホールドが得られることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は急冷容器を断面図にて示す。図1bは急冷容器の異なった態様を断面図にて示す。
【図2】図1または図1bの急冷容器のAA’断面図であり、複数の噴射ノズルマニホールドの構造を示す。
【図3】噴射ノズルマニホールドと急冷容器の壁の部分を示す。
【図4】図3で示した噴射ノズルマニホールドの詳細を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
噴射ノズルマニホールドは、上方、上端、下方、下向き、水平及び垂直と言った用語を使用して定義する。これらの用語は図1〜4に同様に示される使用時の噴射ノズルマニホールドの好ましい方向付けに関する。これらの用語は、この方向のみを有する噴射ノズルマニホールドに本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0009】
本発明による噴射ノズルマニホールドは噴霧ガスの供給のための同軸の第一通路と前記第一通路の中に存在する液体の供給のための同軸の第二通路とを備える。これらの通路は管状であるのが好ましい。横方向に間隔をあけて配置された複数のノズルがマニホールドの縦軸から離れた方向に液体を噴霧化し噴射するように配置される。これらのノズルは前述の縦軸に対して平行線上にあることが好ましい。好ましくは、これら複数のノズルは縦軸に垂直な同じ方向に噴射するように配置され、ただし、通路の端部に配置された追加ノズルは、下記で説明されるような異なった方向に噴射してもよい。
【0010】
ノズルは第一通路に取り付けられる。好ましくは3〜10のノズルが一つの噴射ノズルマニホールドに備え付けられる。ノズルは前記第二通路に流体連結されている液体のための一つの入口と第一通路に流体連結されている噴霧ガスのための一つの入口とを備える。ノズルは、噴霧ガス及び液体を混合する一つの混合室と噴霧ガス及び液体の混合物のための一つの出口とを備える。
【0011】
噴射ノズルマニホールドの第一及び第二通路は、前記通路の一つの端部にて、噴霧ガスを供給する手段と液体を供給する手段とにそれぞれ適切に流体連結されている。マニホールドの通路の反対側の端部に、一つの付加されたノズルが、他の複数のノズルの噴射方向に対して傾斜した噴射方向で存在するのが好ましい。外側末端のノズルの噴射方向が前記マニホールドの他のノズルの噴射方向に0〜45°の角度で存在するのがより好ましい。
【0012】
ノズルの外側の灰堆積物を減少させるために、噴霧ガスの排出のための一つ以上の開口部をノズルの中に備える。この開口部は混合室の上流の位置で第一通路に流体連通されている。噴霧ガスの一部はこれらの開口部を通って流れ、灰の除去またはノズルの外側に灰が堆積しないようにする。一つのシールドによって囲まれた前記開口部を備えるノズルは第一通路から伸びていて、複数のノズルから流出する液体噴射を通行させる一つの開放端部を備える。前記の一つのシールドは二つ以上のノズルを囲むことができる。それぞれ個々のノズルが個々の一つのシールドを備え付けるのが好ましい。シールドが一つのノズルを囲む管状であるのがより好ましい。
【0013】
噴射ノズルマニホールドが噴射ノズルマニホールドの上端部に蓄積された堆積物を避ける又は除去する手段を備えることが好ましい。前記手段は噴射ノズルマニホールドそれ自身又は前記マニホールドの上にある金属製シールドに直接的な機械的ラッパー手段であってもよい。他の可能な手段は音響洗浄手段である。他には、噴射ノズルマニホールドの上方側に形成されるいかなる堆積物も、連続的、断続的又は任意の組み合わせで吹き払うブラスト手段がある。当該ブラスト手段は、噴霧化ガスの一部をブラストガスとして適切に利用する。可能なブラスト手段は第一通路の上方側に沿って横方向に間隔をあけて配置された複数の開口部の一列であってもよい。高温合成ガスの冷却に使われるとき、噴射方向は下向きで前述の合成ガスの流れる方向も同様に下向きである。上方側でこれらの開口部に流出するガスは灰が堆積しないようにする。ブラスト手段は、噴射ノズルマニホールドの上方側に沿った水平ブラスト方向をもつ噴射ノズルマニホールドの上端に置かれるのがより好ましい。
【0014】
適切に横方向に間隔をあけて配置された複数の開口部は、第一通路の壁の中で各開口部の反対側、上端、側面に存在している。これら複数の開口部がガス流を噴霧するため、それによって灰の堆積をさけ、堆積物を取り除く。
【0015】
複数のノズルは通路本体の中に存在している、第二マニホールド通路に流体連結されている液体のための一つの垂直で中心にある供給通路を適切に備える。前述の通路本体はその下端部に外向きで放射状の複数の排出開口部を持つ。これら放射状の複数の排出開口部は前述の混合室で流出する。混合室は、噴霧ガスのための第一マニホールド通路に流体連結されていて、中央にある通路本体の下端部で、一つの単独の出口通路に流体連結されている、一つの環状空間を備える。この出口通路はノズル本体の内壁によって規定される。出口通路は、液体と噴霧ガスとの混合物のための一つの末広出口開口部の中の、出口通路の下端部で終点となる。
【0016】
末広出口開口部により、使用時に、液体の急冷媒体と噴霧ガスの円錐形噴射が排出されるという結果になる。この円錐の角度は、10°〜70°が好ましく、15°〜25°(図4の角度β)がより好ましい。このようなノズルの一つの実施例が、US−A−2004/0222317の図2に示されていて、その内容を参考としてここに組込む。
【0017】
本発明は、上記の二つ以上の噴射ノズルマニホールドからなる装置にも関する。ノズルの大半が実質的に同じ方向を向いていて、マニホールドは適切に水平の円形平面内に放射状に配置されていて、マニホールドに噴霧ガスと液体を供給する手段がマニホールドの円周に沿って存在していて、円の中心でのマニホールドの端部がおのおのから離れて配置されている構造が好ましい。前述の構造が6〜15個の上記噴射ノズルマニホールドを有することが好ましい。
【0018】
好ましくは、上記構造は、上端部に高温(合成)ガスのための一つの入口と、下端部に急冷したガスのための一つの出口とを有する垂直方向に向いた容器の中に配置され、噴射ノズルマニホールドの水平構造と交わるガスのための流路を形成する。複数の別個の噴射ノズルマニホールドが、例えば保守のために取り外しが可能なフランジ手段により、前述の容器の壁に多数の別個の開口部に固定されることが好ましい。噴射するガス及び液体のための複数の供給導管は前述の容器から突き出ている複数のマニホールドの端部に容易に接続できる。
【0019】
噴射ノズルマニホールドの装置が配置される水平高さでの容器の内壁は、下向き方向で外向きに傾斜する壁を持つ末広円錐形であることが好ましい。これらの壁がメンブレンウォールデザインであることが好ましい。メンブレンウォールデザインとは公知であり、冷却される壁構造をいう。この壁は気密で、相互接続した複数の導管からなる構造である。冷却は一般的に冷却水を気化することによって達成される。これらの導管は共通の分配器を経由して冷却媒体の供給器に流体連結していて、それらの他の端部では使用済の冷却媒体を排出する共通ヘッダーに流体連結されている。
【0020】
扇形円錐形部は下向き方向で外向きに傾斜する壁を持つ。この壁の表面と容器の垂直軸の角度(図1及び1bのα)が3°〜30°であるのが好ましく、5°〜10°であるのがより好ましい。ノズルの出口開口部の中央と扇形円錐形部の壁の間の最小の距離は、0.2〜1m(図3の距離d)であることが好ましい。このような角度及び距離は、容器の内部壁(部分)に接触する前に液体を気化させることを確実にする。湿性灰堆積物は除去が容易でないため、このことが好まれる。
【0021】
本発明は同様に、高温ガスの流れを液体水滴により急冷することにより冷却する方法を記載している。この方法では、液体水滴及び噴霧ガスを含む噴射が、上記に記載されている噴射ノズルマニホールド構造を使用して高温ガスの流れに注入される。前記方法では、高温ガスは前記構造の円形平面に垂直な方向に通過し、噴射は高温ガスの方向と同じ方向に注入される。
【0022】
前述の液体は噴霧するために適当な粘度をもつ任意の液体であってよい。限定するものではないが、注入される液体の例は、下流のプロセスで得られる廃流である炭化水素液体である。前述の液体が少なくとも50重量%の水を含有することが好ましい。前述の液体が実質的に水(すなわち>95容量%)からなることが最も好ましい。好ましい態様では、場合により下流合成ガススクラバーで得られる廃水(黒水ともいう)を前述の液体として使用する。
【0023】
前述の液体は、細かい液体の水滴のミストの形で注入されることが好ましい。このミストは、50〜200μmの直径を持つことがより好ましく、50〜150μmの直径を持つことが更により好ましい。少なくとも注入される液体の60容量%が指摘したサイズの水滴の形であることが好ましい。
【0024】
高温ガスの急冷を増進させるためには、急冷媒体を好ましくは平均速度10〜60m/s、より好ましくは平均速度20〜50m/sで注入する。
【0025】
噴霧ガスは例えば、N、CO、水蒸気又は合成ガスでよい。好ましい噴霧ガスは下流プロセス段階から再生利用された合成ガスである。噴霧ガスの使用は、同じ好ましい水滴サイズ及び速度を実現しつつも、注入圧力と急冷/冷却される高温ガスの圧力との差を小さくできるという利点を持つ。
【0026】
前述の液体は、高温ガスの圧力より5バール以上高い注入圧力、好ましくは高温ガスの圧力より少なくとも10バールから20バール高い注入圧力で注入することが好ましい。
【0027】
好ましくは、注入される急冷媒体は、注入地点での一般的な圧力条件では泡立ち点より最大で50℃低い温度を有し、特に最大で15℃、さらにより好ましくは泡立ち点より最大で10℃低い。もし、この端部に注入される急冷媒体が水であると仮定すると、それは通常90℃を超える温度を持ち、好ましくは150℃を超え、より好ましくは200℃〜270℃、例えば230℃である。このようにして注入された急冷媒体の迅速な気化を得ると同時にコールドスポットが避けられる。上記の温度は、明らかに高温ガスの圧力によって決まる。
【0028】
好ましくは、高温ガスは、圧力が2〜10MPaで、初めの温度が500〜900℃、より好ましくは600〜800℃である一酸化炭素及び水素のガス状混合物を含有する灰である。本方法は、特に高温ガスが、炭素系供給原料を含有する灰の部分酸化によって得られる方法に向けられている。供給原料を含む当該灰の例は、石炭、石炭コークス、石炭液化残留物、石油コークス、煤、バイオマス、オイルシェールから得られた粒子固形物、タールサンド及びピッチである。石炭は、亜炭、亜瀝青炭、瀝青炭及び無煙炭を含む任意の種類であってもよい。液体は、好ましくは水を含有する。急冷段階後のガスの温度は、好ましくは200〜600℃、より好ましくは300〜500℃、さらに好ましくは350〜450℃である。同軸の第一通路に供給される噴霧ガスは、 好ましくは、一酸化炭素及び水素のガス状混合物の圧力より0.5〜2MPa高い圧力をもつ。特に好ましい態様によると、注入される水の量は、前述の構造の手段による液体の注入後のガスが、少なくとも40容量%のHO、好ましくは40〜60容量%のHO、より好ましくは40〜55容量%のHOを含有するように選択される。
【0029】
上記の冷却段階で得られる水素と一酸化炭素の冷却混合物中に存在する固体のかなりの部分が、好ましくはサイクロンにより分離される。残りの固体は後続の洗浄段階において取り除かれる。好ましくは、洗浄段階はベンチュリースクラバに続いて充填床洗浄塔を用いる。得られるガスは50〜60体積%の高い水含有量を有するので、下流でのシフト反応を実行するのに適する。この触媒シフト反応では、一酸化炭素が水と反応して二酸化炭素と水素になる。シフト反応の原料中に水が既に存在するので、追加の水をシフト領域に加える必要はほとんどないか又は全くない。一酸化炭素に対して純粋な水素又はより含有量の高い水素の割合が要求される場合に、シフト反応が有利である。このような用途の例は、二酸化炭素の捕獲、水素製造を伴ういわゆるIGCCプロセス、並びにフィッシャートロプシュ合成、酢酸合成、メタノール合成及びジメチルエーテル合成への原料、又は直接破砕プロセスなどにおける還元ガスとして使用されるプロセスである。
【0030】
好ましくは、洗浄段階において得られるガスをさらに精製して、CO、HS、COS及び/又はHCN並びにその他の成分に分離する。このような精製に適するプロセスの例は、商用ガス処理プロセスのSulfinol−D、Sulfinol−M、DIPA−X、Genosorb、Selexol及びRectisolである。
【0031】
図面の詳細な説明
図1は垂直に配置された急冷する容器1を示す。容器1は、その上端部に高温ガスのための一つの入口2と、その下端部に冷却されたガスのための一つの出口3とを有し、下向きのガス流のための一つの通路4を形成する。容器1は同様にガス流のための通路4へ急冷媒体を注入するための噴射ノズルマニホールド9を備える。図1は高温ガスのための入口2に流体連結されている一つの開口部6を持つ第一内部管状部壁部5を示す。管状部壁部5は、その下端部でガスのための通路4の方向に外向きの傾いた壁8を備える一つの末広円錐形部に接続している。示されているように、ガス流のための通路4に急冷媒体を注入するための噴射ノズルマニホールド9は末広円錐形部7によって囲まれた空間10の中に存在する。
【0032】
末広円錐形部7はその下端部11で第二管状部内壁12が後に続く。第二管状部内壁12の下方開放端部13は冷却されたガスのための出口3と流体連通している。
【0033】
図1は同様に図説化された態様で約7.5°の角度αを示す。第二管状部内壁12は1つ以上のラッパー15を備える。容器1の下端部は、冷却されたガスの出口3である中央開口部27の中で終了するテーパー端部1aを備える。
【0034】
図1bは、図1に類似した垂直に配置した急冷する容器1bを示す。容器1b は容器1bの上端部の側壁に高温ガスのための入口2bを備える点で容器1と異なる。この構成は、US−A−2006/0260191の図4に示される接続ダクト5bが利用される場合に好ましい。容器1bの上端部はガス反転室という。
【0035】
図2は、下向きの複数のノズルを備えて放射状に配置された12個の噴射ノズルマニホールド25(図1及び図1bにおける9)を上から見た図である。噴射ノズルマニホールド25は容器1の壁に固定されていて、末広円錐形部7の壁8を横切り、中央位置まで伸びている。噴射ノズルマニホールド25はフランジ25aにより容器に接続されていて、そのため、修理や保守のために簡単に取りはずしをすることが出来る。噴射ノズルマニホールド25は、容器1の中心をさし示すその端部に1つのノズル28を備える。
【0036】
図3はより詳細に噴射ノズルマニホールド25を示している。一つの噴射ノズルマニホールド25が、噴霧ガスのための第一同軸の通路である一つの供給チャンネル26と急冷媒体のための第二同軸の通路である一つの供給チャンネル27とを備える。横方向に間隔をあけて配置された下向きの4つのノズル16と、わずかに傾いた1つのノズル28とが、図示された噴射ノズルマニホールド25に備え付けられている。噴射ノズルマニホールドは容器1の壁の一つの開口部の中に固定されている。容器1の壁は末広円錐形部7と、前記壁の内側に一つの層として存在する耐火性物質36のメンブレンウォール8によって高温から守られている。同様に、第二内壁12の上端部及び管状部壁部5の下端部は示されている。供給チャンネル26は噴霧ガスのための一つの入口26aに接続されている。供給チャンネル27は液体のための一つの入口27aに接続されている。
【0037】
図3は同様に、噴射ノズルマニホールド25の上方側にあるブラスト手段38を示す。ブラスト手段38は噴射ノズルマニホールド25の上方側に形成される可能性があるいかなる堆積物も連続的に又は断続的に吹き飛ばすために存在している。ブラスト手段の方向は噴射ノズルマニホールド25の水平方向に一列に並んでいる。ブラスト手段38はブラストガスの供給導管39によって供給される。
【0038】
図4は、噴射ノズルマニホールド25とノズル16の詳細を示している。ノズル16は、供給チャンネル27を経由して供給される媒体を急冷する液体のための供給通路本体17の中に存在する、垂直の中央供給通路を持つ。通路本体17はその下端部に、混合室37に排出される急冷媒体のための複数の外向き放射状排出開口部19を備える。混合室37は下向きに流れる噴霧ガスのための環状通路20に流体連通している。環状通路20は基部本体31の中の一つの通路30を経由して、噴霧ガス供給チャンネル26に流体連通している。環状通路20は供給通路本体17と外側ノズル本体21と挿入部29とによって形成されている。環状通路20は、混合室37を経由して、ノズル16の下端部にて単独の出口通路22に流体連結されている。ノズル本体の内壁によって形成されている出口通路22は、急冷媒体及び噴霧ガスの混合物のための末広出口開口部24の中の前記出口通路の下端部にて終点となる。
【0039】
図4は同様に、上端部で噴射マニホールド25に固定されていて下端部で開放している、好ましいシールド32を示す。シールド32は例えば三角形のように、任意の形状であってもよい。適切には、シールド32の形状は管状である。代わりの様態として、一つのシールドが一つ以上のノズルを取り囲んでもよい。ノズル16は噴射ガスのための供給チャンネル26に流体連結している複数の噴霧出口開口部33を備える。これらの開口部33を通って、ノズル16とノズル16を取り囲むシールド32との間の空間に噴霧ガスの一部を排出する。この方法で、前記空間34に灰が堆積することを避ける。噴射ノズルマニホールド25の上端部の複数の開口部35も同様に示されている。これらの開口部を通って、噴霧ガスの別部分を噴射ノズルマニホールド25の上端に蓄積した灰を取り除く又は避けるために排出してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】US−A−2006/0260191
【特許文献2】EP−B−1178858
【特許文献3】DE−A−102005004341
【特許文献4】US−A−2004/0222317
【符号の説明】
【0041】
1…急冷容器
2…高温ガス入口
3…冷却されたガスの出口
4…ガス流の通路
5…第一内部管状部壁部
6…開口部
7…末広円錐形部
9…噴射ノズルマニホールド
12…第二管状部内壁
13…下方開放端部
15…ラッパー
16…ノズル
25…噴射ノズルマニホールド
28…ノズル
38…ブラスト手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧化ガスを供給するための同軸の第一通路と、前記第一通路内に設けられ液体を供給するための同軸の第二通路と、マニホールドの縦軸から離れた方向に液体を噴霧化し噴射するための横方向に間隔をあけて前記第一通路に取り付けられた二つ以上のノズルとを備えた噴射ノズルマニホールドであって、前記ノズルが、前記第二通路に流体連結された液体の入口と、前記第一通路に流体連結された噴霧化ガスの入口と、噴霧化ガスと液体を混合する混合室と、噴霧化ガスと液体との混合物の出口とを備え、前記ノズルが噴霧化ガスを放出するための開口部を有し、前記開口部が前記混合室の上流の位置にて前記第一通路に流体連通しており、前記ノズルを取り囲むシールドが前記第一通路に固定される、前記噴射ノズルマニホールド。
【請求項2】
前記横方向に間隔をあけて配置されたノズルが前記第一通路の片側に沿って設けられ、その反対側の第一通路の壁に、横方向に間隔をあけて複数の開口部が配置される、請求項1に記載の噴射ノズルマニホールド。
【請求項3】
前記第一通路及び前記第二通路がそれら通路の一方の端部にて噴霧化ガスの供給手段及び液体の供給手段にそれぞれ流体連結され、他のノズルの噴射方向に対して傾斜した噴射方向を有するノズルが前記通路のもう一方の端部に設けられる、請求項1又は2に記載の噴射ノズルマニホールド。
【請求項4】
前記ノズルが、同軸の第二通路に流体連結された垂直な液体供給中央通路を通路本体中に備え、前記通路本体はその下端部にて外向きで放射状の放出開口部を有し、前記放射状の放出開口部から前記混合室に流出し、前記混合室は、噴霧化ガスの同軸の第一通路に流体連結されると共に前記ノズルの下端部にて一つの出口通路に流体連結された環状空間を備え、前記出口通路がノズル本体の内壁により規定され、前記出口通路は液体と噴霧化ガスとの混合物のための末広の出口開口部の中の下端部で終点となる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の噴射ノズルマニホールド。
【請求項5】
噴射ノズルマニホールドの上側に形成される堆積物を連続的又は断続的又はその組み合わせにて吹き払うためのブラスト手段が設けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の噴射ノズルマニホールド。
【請求項6】
前記ノズルの大半が実質的に同じ方向に向けられ、前記マニホールドが一つの水平円形平面内で放射状に配置され、噴霧化ガス及び液体をマニホールドに供給する手段がその円周に沿って設けられ、円の中央におけるマニホールドの端部が互いに間隔をあけて配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の1より多い噴射ノズルマニホールドからなる装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置を使用して、噴霧化ガス中に存在する液体小滴の噴霧を高温ガスの流れに注入することにより、高温ガスの流れを急冷する方法であって、前記高温ガスを前記円形平面に垂直な方向に送り、前記噴霧を前記高温ガスの方向と同じ方向に注入する、前記方法。
【請求項8】
高温ガスが、2〜10MPaの圧力と500〜900℃の初期温度を有する一酸化炭素及び水素のガス状混合物を含む灰であり、前記液体が水を含み、急冷段階後のガスの温度が200〜600℃であり、同軸の第一通路で供給される噴霧化ガスが一酸化炭素及び水素のガス状混合物の圧力より0.5〜2MPa高い圧力を有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
初期温度が600〜800℃であり、急冷段階後のガスの温度が300〜500℃である請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−538807(P2010−538807A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523491(P2010−523491)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061526
【国際公開番号】WO2009/030675
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】