説明

噴霧可能な化粧料

【課題】
本発明の目的は、使用感が優れ、製剤安定性も良好で、均一に噴霧可能な化粧料を得ること。
【解決手段】
ネイティブ型ジェランガムとアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を含む製剤が本発明の目的である、使用感が優れ、製剤安定性も良好で、均一に噴霧可能な化粧料になることがわかった。
さらに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの共重合体を配合すると優れた製剤が得られることもわかった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用感が優れ、製剤安定性も良好な噴霧可能な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
液状の化粧品に関して、塗布が容易で均一にしかも使用したい部位に適用できるようにするために、近年霧状にして使用するミスト製品が増加している。霧状にするには噴霧ガスを使用する方法もあるが、環境問題等で噴霧ガスを使用しない方法が多く取られている。
霧状にするには製剤の粘度があまり高いと、霧状になりにくいが、塗布後の垂れ落ちや使用感等よりジェル製剤の噴霧可能な製剤の開発がされつつある。(特許文献1〜4)
しかしながら、均一にミストを形成し、且つ使用感もよい製剤はなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−034614号公報
【特許文献2】特開2003−137729号公報
【特許文献3】特開2004−107305号公報
【特許文献4】特開2007−204422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、均一なミストを形成し、なお且つ、使用感や製剤の安定性のよい製剤を作成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は種々検討した結果、ネイティブ型ジェランガムとアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を含む製剤にすることによって問題を解決することがわかった。
さらには2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの共重合体を配合させることによって、より課題を解決できることがわかった。
【0006】
ジェランガムはゲランガムともいい、Sphingomonas elodeaという微生物が菌体外に産出する多糖類であり食品や化粧品に利用され、ネイティブ型ジェランガムは、主として、化学式1のような構造を有している物質を含む。
【0007】
【化1】

【0008】
配合量は、ネイティブ型ジェランガムを産出するSphingomonas elodeaの種類や精製方法、製剤の用途や他の配合物によって変化するが0.005〜1%、好ましくは0.02〜0.2%が適当である。
【0009】
本発明に用いられるアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体は、カーボポール1342、ペムレンTR-1、ペムレンTR-2(BF Goodrich社製)の商品名で知られているものが挙げられ、その配合量は0.005〜1.0%が好ましい。
【0010】
さらに、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの共重合体を配合すると製剤の安定性が増し、使用感も良好になる。
疎水性モノマーの種類は、特に限定されないが、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルであることが好ましい。
共重合体の分子量は、分子量が10000以上であることが好ましく、20000以上がより好ましい。また、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーの構成モル比については、本願発明の効果を得るには、5:5〜9:1の範囲が好ましい。
配合量は、0.01〜5.0%、好ましくは0.1〜3.0%が最適である。
【0011】
これらの原料に加えて、水は配合原料を溶解するのに必要なもので、粘度の調節にも必要である。配合量としては30〜99.5%好ましくは50〜95%が適当である。
このほかにも、多価アルコール、界面活性剤、油脂、ロウ、エステル、ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物、ビタミン、アミノ酸、アミノ酸誘導体、α-ヒドロキシ酸、美白剤、チロシナーゼ活性阻害剤、メラニン色素還元/分解物質、活性酸素消去剤、抗酸化剤、過酸化脂質生成抑制剤、抗炎症剤、抗菌・殺菌・消毒薬、エラスターゼ活性阻害剤、抗アンドロゲン剤、末梢血管血流促進剤、局所刺激剤、代謝活性剤、抗脂漏剤、角質溶解剤、香料、色素・着色剤、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質及びその分解物、動・植物性多糖類及びその分解物、動・植物性糖蛋白質及びその分解物、血流促進剤、消炎剤・抗アレルギー剤、細胞賦活剤、角質溶解剤、創傷治療剤、増泡剤、増粘剤、消臭・脱臭剤、酵素等を必要に応じて配合する。
【0012】
これらの原料を必要により加温、撹拌を加えて製品化する。製剤化したときの粘度は、
BL型粘度計で測定したとき、100〜5000mPa・s、好ましくは500〜1000mPa・sが適当であり、この値になるように原料の配合量等を調整する。
【実施例】
【0013】
以下に実施例と比較例を記すがこれに限定されるものではない。数値は重量部を表す。
【0014】
実施例1
ネイティブ型ジェランガム 注1) 0.05
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 注2) 0.05
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
と疎水性モノマーとの共重合体 注3) 0.30
グリセリン 5.0
1,3ブチレングリコール 2.0
1,2ペンタンジオール 2.0
精製水 90.6
【0015】
実施例2
ネイティブ型ジェランガム 注1) 0.05
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 注2) 0.05
グリセリン 5.0
1,3ブチレングリコール 2.0
1,2ペンタンジオール 2.0
精製水 90.9
【0016】
実施例3
ネイティブ型ジェランガム 注1) 0.03
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 注4) 0.06
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
と疎水性モノマーとの共重合体 注3) 0.50
1,3プロパンジオール 3.0
1,2ペンタンジオール 3.0
エタノール 5.0
精製水 85.9
【0017】
比較例1
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 注2) 0.05
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
と疎水性モノマーとの共重合体 注3) 0.30
グリセリン 5.0
1,3ブチレングリコール 2.0
1,2ペンタンジオール 2.0
精製水 90.65
【0018】
比較例2
ネイティブ型ジェランガム 注1) 0.05
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
と疎水性モノマーとの共重合体 注3) 0.30
グリセリン 5.0
1,3ブチレングリコール 2.0
1,2ペンタンジオール 2.0
精製水 90.65
【0019】
比較例3
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
と疎水性モノマーとの共重合体 注3) 0.30
グリセリン 5.0
1,3ブチレングリコール 2.0
1,2ペンタンジオール 2.0
精製水 90.7
【0020】
なお、注の原料は以下の商品を用いた。
注1)三栄源エフ・エフ・アイ社製、商品名『ケルコゲルHM』
注2)グッドリッチ社製、商品名『PEMULEN TR−2』
注3)日油社製、商品名『Lipidure−PMB』
注4)グッドリッチ社製、商品名『PEMULEN TR−1』
【0021】
上記の実施例2と比較例1〜3を実施例1を基準として以下の基準で評価し、平均を表1に記載した。(女性10名に依頼した)
3:実施例1よりかなり良好
2:実施例1より良好
1:実施例1より少し良好
0:実施例1と同等
−1:実施例1より少し悪い
−2:実施例1より悪い
−3:実施例1かなり悪い
【0022】
【表1】

【0023】
実施例は、皮膚にスプレーしても製剤が皮膚上の垂れることはなく、噴霧も均一になり、日中の汗、皮脂によるべたつき、毛穴の目立ちを抑え、化粧崩れを防ぐことがわかった。
また、ここには示さなかったが、ネイティブ型ジェランガムを配合せずに必要な粘度を得るために他の水溶性高分子を配合すると噴霧状態が均一にはならず、本発明の主旨を達することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネイティブ型ジェランガムとアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を含む噴霧可能な化粧料
【請求項2】
さらに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとの共重合体を含む請求項1の噴霧可能な化粧料

【公開番号】特開2012−144503(P2012−144503A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6202(P2011−6202)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【Fターム(参考)】