説明

噴霧機及び噴霧機の洗浄方法

【課題】比較的小さな粒子径の液体を選択的に噴霧することができる噴霧機を提供すること。
【解決手段】超音波ポンプ5は、表裏に貫く多数の細孔が形成されたメッシュ板18を備え、液溜り2に収容される薬液Dを汲み上げるとともに、汲み上げた薬液Dをメッシュ板18の裏面から各細孔を通して当該メッシュ板18の表面で霧化するように構成され、筒状容器4は、メッシュ板18の表面から噴霧された薬液Dの一部と衝突することが可能となるように、メッシュ板18の表面と噴出孔3との間でメッシュ板18からの薬液Dの噴霧方向と交差するように配置された衝突面15aを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴霧する噴霧機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を収容可能な液溜りを有する筒状容器と、この筒状容器内に設けられ、前記液体を霧化するとともにこの液体を前記筒状容器の噴出口を通して外側へ噴霧する超音波ポンプとを備えた噴霧機が知られている。
【0003】
前記超音波ポンプは、軸線方向の一方の端面から他方の端面までを貫通する導通孔が形成された軸体と、この軸体を軸線方向に振動させるための加振手段とを備えている。
【0004】
前記軸体は、前記一方の端面が前記液溜り内の液体に浸漬されるとともに他方の端面が液面の上方に配置され、前記加振手段により加振されることにより、前記導通孔を通して液溜り内の液体を液面上の端面まで汲み上げて、この端面で液体を霧化するようになっている。
【0005】
この種の超音波ポンプとして、前記導通孔を覆うように、多数の微小貫通穴を有する穴あき板を前記軸体の他方の端面に設けた超音波霧化装置も知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1の超音波霧化装置は、前記軸体から導出された液体を穴あき板の各微小貫通穴に通過させながら、この液体を霧化するようにしているため、各微小貫通穴の直径寸法に対応する比較的小さな粒子径で概ね均一の液体を噴霧することができる。
【特許文献1】実開昭64−28981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記超音波ポンプとして特許文献1の超音波霧化装置を採用した場合、穴あき板の表面で霧化する液体の粒子径を比較的小さくすることができるものの、この穴あき板から筒状容器の噴出口まで導かれる間に、粒子同士が衝突して大小様々な粒子が生成されてしまい、このように生成された比較的大きな粒子径の液体が筒状容器から噴霧されるおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、比較的小さな粒子径の液体を選択的に噴霧することができる噴霧機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、液体を収容可能な液溜り及びこの液溜りを外側へ開放する噴出口を有する筒状容器と、この筒状容器内に設けられ前記液体を霧化するとともに霧化した液体を前記噴出口を通して噴霧する超音波ポンプとを有する噴霧機であって、前記超音波ポンプは、表裏に貫く多数の細孔が形成されたメッシュ板を備え、前記液溜りに収容される液体を汲み上げるとともに、汲み上げた液体を前記メッシュ板の裏面から前記各細孔を通して当該メッシュ板の表面で霧化するように構成され、前記筒状容器は、前記メッシュ板の表面から噴霧された液体の一部と衝突することが可能となるように、前記メッシュ板の表面と前記噴出口との間で前記メッシュ板からの液体の噴霧方向と交差するように配置された衝突面を備えていることを特徴とする噴霧機を提供する。
【0010】
本発明によれば、液溜りから汲み上げた液体をメッシュ板の各細孔に通過させた上で、この液体をメッシュ板の表面で霧化するようにしているため、各細孔の直径寸法に対応する比較的小さな粒子径で液体を噴霧することができる。
【0011】
そして、本発明では、メッシュ板の表面と噴出口との間に衝突面を備えた構成としているので、これらメッシュ板の表面から噴出口へ導かれる過程で粒子同士が衝突して大きな粒子が生成された場合であっても、このように大きな粒子を前記衝突面によって積極的に捕らえることができる。
【0012】
すなわち、霧化された液体は、その粒子径が大きくなるほど濡れ性が大きくなるため、前記衝突面に衝突した液体のうち、粒子径の大きなものほど衝突面に付着する確率が高くなるのに対し、粒子径の小さなものほど噴出口から噴出される確率が高くなる。
【0013】
したがって、本発明によれば、前記メッシュ板によって霧化される液体の粒子径をある程度小さくしながら、このように噴霧された液体のうち粒子径の大きなものを前記衝突面でさらに捕らえることができるので、メッシュ板と衝突面との二段階で粒子径の大きな液体の噴出を阻止することにより、粒子径の小さな液体を確実に噴出させることができる。
【0014】
前記衝突面は、少なくとも前記メッシュ板の表面と噴出口との間に配設されていれば上述した効果を奏することができるものの、前記噴出口の近傍位置に設けられていることが特に好ましい。
【0015】
このようにすれば、上記のように粒子同士が衝突して大きな粒子が生成された場合であっても、噴出口から噴出される間際の位置で確実にこの粒子を捕らえることができる。
【0016】
さらに、前記筒状容器には、前記衝突面に付着した液体を前記液溜りに回収する回収用流路が形成されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、衝突面に付着した液体を液溜りに回収して、この液体を再び霧化させることができるので、液体を補充する機会を低減することができる。
【0018】
前記噴霧機において、前記筒状容器は、その閉断面の略中央位置に配置され前記衝突面を有する干渉部材を備え、この干渉部材の外側面と前記筒状容器の内側面との間には、前記超音波ポンプにより霧化された液体を前記噴出口へ導く噴霧用流路が形成されていることが好ましい。
【0019】
このようにすれば、干渉部材の衝突面によって粒子径の大きな液体を捕らえながら、この干渉部材の周囲に形成された噴霧用流路を通して充分な量の液体を噴出させることができる。
【0020】
また、前記筒状容器は、基部と、この基部の軸線に対し傾斜した軸線を有する延出部とを含む形状を有し、前記延出部は、その先端部に前記噴出口を有するとともに、その内側面の少なくとも一部が前記衝突面とされている構成とすることもできる。
【0021】
このようにすれば、基部と延出部とを含む形状とすることにより、特別な構成を追加しなくても、管状容器(延出部)の内側面自体を衝突面として利用することができる。
【0022】
この場合、前記基部と延出部との傾斜角度は、前記液溜りを下に向けた姿勢で前記基部を把持したときに前記延出部の先端部が上方に向くように設定されていることが好ましい。
【0023】
このようにすれば、液溜りを下に向けた姿勢となるように基部を把持したときに、延出部の先端部、つまり、噴出口が上方に向くことになるので、この噴出口を口や鼻に向けて配置すれば、噴霧された液体を使用者が吸引する、いわゆるネブライザーとして噴霧機を採用することが可能となる。
【0024】
前記筒状容器の構成を限定する趣旨ではないが、前記筒状容器は、前記液溜りを有する有底の液容器と、この液容器の開口端に着脱可能に連結され、先端部に前記噴出口を有する筒状体とを備えていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、液容器と筒状体とを着脱することができるので、噴霧を行わないときに液容器から筒状体を取り外すことによって、不使用時の形態をコンパクトにすることができる。
【0026】
このように液容器に対し着脱可能な筒状体を備えた構成において、前記筒状体は、防水性能を有するシート部材によって形成することにより、当該筒状体を簡素で安価な構成とすることができる。したがって、この構成によれば、筒状体を使い捨ての用途にも使用することができる。
【0027】
さらに、筒状体をシート部材で形成した場合、前記筒状体は、平面的に折り畳まれた折り畳み状態と、この折り畳み状態から展開されて筒状の体をなす展開状態との間で変態可能なシート部材からなることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、不使用時においては筒状体を折り畳み状態とする一方、使用時には展開状態とするといった使い方が可能となるため、不使用時の形態をさらにコンパクトにすることができる。
【0029】
そして、前記超音波ポンプは、軸線方向の一方の端面から他方の端面までを貫通する導通孔を有する軸体と、前記筒状容器内に設けられ、前記軸体の一方の端面が前記液溜りに収容される液体に浸漬可能な位置に配置され、かつ、前記他方の端面が前記液溜りの外側に配置されるように、前記軸体を保持するハウジングと、前記軸体に設けられ前記一方の端面に形成された前記導通孔の導入口から前記液溜り内の液体を導入するとともにこの液体を前記他方の端面に形成された前記導通孔の導出口から導出するように、前記軸体を軸線方向に振動させる加振手段と、前記ハウジングに設けられ前記メッシュ板の裏面が前記軸体の他方の端面と略平行となる姿勢で前記メッシュ板を保持する保持部とを備え、前記加振手段により軸体を振動させることにより、前記液溜りから導通孔を通して液体を汲み上げるとともにこの液体が前記メッシュ板の表面で霧化されることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、加振手段によって軸体を振動させることにより、液溜りから液体を汲み上げるとともに、この液体をメッシュ板の表面で噴霧させることができる。
【0031】
さらに、前記噴霧機において、前記衝突面は、前記導通孔の軸線の延長線と交差するように配置されていることが好ましい。
【0032】
この構成のように軸体の導通孔を通して液溜りから汲み上げた液体を噴霧する場合、軸体の導通孔を流れる液体には当該導通孔の軸線と直交する方向に速度分布が生じる、具体的に、軸線に近いものほど流速が速く遠いものほど流速が遅くなることから、前記メッシュ板を通して噴霧した場合であっても、前記導通孔の軸線に近いものほど粒子径が大きくなり遠いものほど粒子径が小さくなる傾向があるが、前記構成では、衝突面が導通孔の軸線と交差するように配置されているため、前記メッシュ板の表面で霧化した液体のうち粒子径の大きなものが衝突面に付着する一方、粒子径の小さなものが衝突面を迂回して噴出口まで導かれ、当該粒子径の小さな液体が噴出口を通して筒状容器の外側へ噴霧されることになる。
【0033】
前記噴霧機において、前記ハウジングは、前記筒状容器の軸線の少なくとも一部と前記軸体の軸線とが互いに偏心し、かつ、略平行するように前記軸体を保持し、前記衝突面は、前記軸体の軸線から前記筒状容器の軸線側へ向かうに従い前記液溜り側へ傾斜していることが好ましい。
【0034】
この構成によれば、前記軸体が筒状容器内の偏った位置に設けられていることに伴い、当該筒状容器の内側には、軸体の反対側に空きスペースが形成されることになる。そして、前記衝突面が空きスペース側へ向かうに従い液溜り側へ傾斜して形成されているので、この衝突面に衝突した液体は当該衝突面に沿って流れて、液溜り内に滴下することになる。
【0035】
つまり、前記構成によれば、衝突面によって捕らえられた液体を再び液溜りに回収することができるので、当該液溜りに収容される液体を効果的に還流させることができる。
【0036】
前記噴霧機において、前記保持部は、ハウジングに対し着脱可能に構成されていることが特に好ましい。
【0037】
このようにすれば、保持部をハウジングに着脱することにより、メッシュ板の交換を容易に行うことができる。
【0038】
そして、前記保持部は、前記軸体の他方の端面に対しメッシュ板の裏面を開放した状態で当該メッシュ板を保持するメッシュ保持部材と、前記ハウジングに前記メッシュ保持部材を支持する支持部とを備え、この支持部は、前記メッシュ保持部材に形成された被載置面を載置可能な載置面を有するとともに、この載置面上に前記被載置面を載置した状態において、前記メッシュ保持部材に保持されたメッシュ板の裏面が前記軸体の他方の端面に当接し又は近接する位置となり、かつ、当該支持部に対し上昇動作可能となるように前記メッシュ保持部材を支持することが好ましい。
【0039】
このようにメッシュ保持部材が載置面上に載置された状態で、メッシュ板と軸体とが当接又は近接するようにメッシュ保持部材(メッシュ板)が下方から支持された構成とすることにより、メッシュ板が軸体の他方の端面に対し必要以上に押し付けられることを抑制することができ、これにより、軸体に対する負荷を低減することができる。
【0040】
さらに、メッシュ保持部材が支持部に対し上昇動作可能とされているので、軸体により液体が汲み上げられると、この液面の上昇に伴いメッシュ板(メッシュ保持部材)を上昇させることができ、当該液体の汲み上げ時においても、軸体に生じる負荷を低減することができる。
【0041】
一方、軸体により汲み上げられた液体が噴霧されて消化されると、メッシュ保持部材は、前記載置面が被載置面に当接する位置まで、自重で下降することになる。
【0042】
特に、前記支持部は、前記軸体の軸線方向の押圧操作によって前記ハウジングに対し上から所望の押圧位置で取付可能に構成された取付部材を備え、前記被載置面は、前記載置面を前記軸体の軸線方向に上から覆うように構成されていることが好ましい。
【0043】
このようにすれば、載置面に対し被載置面を当接させた状態で、メッシュ保持部材をハウジングの上から押圧操作をすることにより、当該メッシュ保持部材と支持部とを一体としてハウジングに取り付けることができる。
【0044】
そして、この押圧操作を、メッシュ板の裏面が軸体の他方の端面に当接する位置又は近接する位置に移動するまで行うことにより、メッシュ板を軸体に対し所望の取付位置に配置することができる。
【0045】
したがって、前記構成によれば、メッシュ保持部材の押圧操作を行なうだけで、軸体に対する適切な位置にメッシュ板を取り付けることができる。
【0046】
前記噴霧機において、前記支持部は、前記取付部材と前記被載置面との間で圧縮可能に設けられ、前記載置面を有する付勢部材をさらに備えているとともに、前記取付部材は、前記ハウジングとの間に生じる摩擦抵抗に応じた保持力によって前記所望の押圧位置でハウジングに対し保持可能に構成され、前記付勢部材は、前記保持力よりも小さな力で前記軸体の軸線方向に圧縮可能に構成されていることがより好ましい。
【0047】
このようにすれば、メッシュ保持部材の被載置面と付勢部材の載置面とを当接させた状態で、メッシュ保持部材及び取付部材をハウジングに対し押圧操作することにより、前記取付部材とハウジングとの間の摩擦抵抗に応じた保持力によって、付勢部材が圧縮される。
【0048】
さらに押圧操作を継続すると、付勢部材が縮みきった状態で、メッシュ保持部材と取付部材とが一体となって、前記保持力に抗しながらハウジングに押圧され、終には、メッシュ板の裏面と軸体の他方の端面とが当接する。
【0049】
この状態で、押圧操作を止めると、付勢部材の復元力によってメッシュ保持部材が取付部材から離間し、これに伴い、メッシュ板の裏面が軸体の他方の端面から離間する。
【0050】
すなわち、前記構成を採用することにより、前記付勢部材の圧縮状態の長さと初期設定長との長さ寸法の差分だけ、メッシュ板の裏面と軸体の他方の端面との間に間隙を形成することができるので、この差分を予め所望の寸法に設定しておくことにより、メッシュ板と軸体との間に所望の間隙を形成することができる。
【0051】
したがって、前記間隙を、軸体の伸縮動作の全範囲にわたり液体を噴霧可能な間隔に設定しておけば、当該軸体に対するメッシュ板による負荷をさらに低減することができる。
【0052】
また、前記ハウジングは、前記軸体の軸線方向に位置調整ができるように前記支持部を取付可能な取付部と、前記軸体の他方の端面から流下した液体を前記液溜り側に流す洗浄用の流路とを備えていることが好ましい。
【0053】
このようにすれば、メッシュ板と軸体の他方の端面との間の距離を調整することができるので、以下のような洗浄方法を採用することができる。
【0054】
すなわち、本発明は、前記噴霧機を洗浄する方法であって、前記メッシュ板と前記軸体の他方の端面との間の距離を予め設定された洗浄距離まで離間するように、前記ハウジングに対する支持部の取付位置を調整する調整工程と、前記洗浄距離を維持した状態で前記軸体を振動させる振動工程とを含むことを特徴とする噴霧機の洗浄方法を提供する。
【0055】
本発明に係る洗浄方法によれば、メッシュ板と軸体の他方の端面とを予め設定された洗浄距離だけ離間させた上で軸体を振動させることにより、液溜り内の液体は、軸体の導通孔を通して導出口から導出される。
【0056】
ここで、前記調整工程によりメッシュ板と軸体の他方の端面とが洗浄距離だけ離間して配置されているので、前記導出口から導出された液体は、メッシュ板の各細孔を通ることなくその大部分が霧化せずに流下することになる。そして、流下した液体は、前記洗浄用の流路を通って前記液溜りに回収される。
【0057】
したがって、本発明に係る洗浄方法によれば、液溜り内の液体を導通孔を通過させて再び液溜りに回収することができるので、この液体の循環によって軸体の導通孔を洗浄することができる。
【0058】
また、本発明は、前記噴霧機を洗浄する方法であって、前記メッシュ板と前記軸体の他方の端面との間の距離が予め設定された洗浄距離まで離間させて、前記軸体の他方の端面から流下した液体を前記液溜り側に流す洗浄用の流路を確保する流路確保工程と、前記洗浄距離を維持した状態で前記軸体を振動させる振動工程とを含むことを特徴とする噴霧機の洗浄方法を提供する。
【0059】
本発明に係る洗浄方法によれば、メッシュ板と軸体の他方の端面とを予め設定された洗浄距離だけ離間させた上で、軸体を振動させることにより、液溜り内の液体は、軸体の導通孔を通して導出口から導出される。
【0060】
ここで、前記流路確保工程によりメッシュ板と軸体の他方の端面とが洗浄距離だけ離間して配置されているので、前記導出口から導出された液体は、メッシュ板の各細孔を通ることなくその大部分が霧化せずに流下することになる。そして、流下した液体は、洗浄用の流路を通って液溜りに回収される。
【0061】
したがって、本発明に係る洗浄方法によれば、液溜り内の液体を導通孔を通過させて再び液溜りに回収することができるので、この液体の循環によって軸体の導通孔を洗浄することができる。
【0062】
さらに、本発明は、前記噴霧機を洗浄する方法であって、前記噴出口を閉鎖する閉鎖工程と、噴出口が閉鎖された状態で噴霧を行う噴霧工程とを含むことを特徴とする噴霧機の洗浄方法を提供する。
【0063】
本発明によれば、噴出口を閉鎖した上で軸体による噴霧を行うことにより、筒状容器内に霧化された液体が充満し、このように充満した液体のうち筒状容器の内側面に付着したものが再び液溜りに回収されることになる。
【0064】
したがって、本発明によれば、液溜り内の液体を軸体の導通孔及びメッシュ板の各細孔を通過させるとともに、この液体を閉鎖された筒状容器内で噴霧させて循環させることができるので、この液体の循環によって、軸体の導通孔、メッシュ板の各細孔及び筒状容器の内部を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、比較的小さな粒子径の液体を選択的に噴霧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0067】
図1は、本発明の実施形態に係るネブライザーの全体構成を示す側面断面図である。図2は、図1のネブライザーの振動子を拡大して示す側面断面図である。
【0068】
図1及び図2を参照して、噴霧機の一例としてのネブライザー1は、患者に吸入させて気道の深部に沈着させるための微小粒子径の薬液を噴霧するためのものである。具体的に、ネブライザー1から吸入された薬液によって、呼吸器粘膜への水分補給や患部の局所的な治療を行うことが可能とされる。
【0069】
ネブライザー1は、薬液Dを収容可能な液溜り2及びこの液溜り2を外側へ開放する噴出口3を有する筒状容器4と、この筒状容器4内に設けられ、前記薬液Dを霧化するとともに霧化した薬液Dを噴出口3を通して噴霧する超音波ポンプ5とを備えている。なお、以下の説明では、筒状容器4の液溜り2が形成されている側を下方として説明する。
【0070】
筒状容器4は、上方へ開く有底の液容器6と、この液容器6の上部の開口端に着脱可能に連結される筒状体7と、この筒状体7の内側に設けられた干渉部材8と、前記液容器6に下部に設けられた脚部9とを備え、この脚部9を水平面上に載置した図1に示す状態において、その軸線J1が鉛直方向に対して傾斜する形態とされている。以下、この軸線J1の傾斜する方向を前方として説明する。
【0071】
液容器6は、その内側に前記液溜り2を有している。この液溜り2には治療目的に応じた薬液Dが収容可能とされており、このように収容された薬液Dには後述する振動子16の下端部が浸漬されるようになっている。
【0072】
筒状体7は、下端部に前記液容器6の上部開口端の内側に嵌め込み可能な連結部10を有する一方、上端部に前記噴出口3を有する筒状に形成されている。この筒状体7の内側面7aは上方に向かって先窄まりとなるように傾斜して形成されているとともに、この内側面7aの上縁部には内側へ突出する突出部7bが形成され、この突出部7bの内側面が噴出口3の内側面を構成している。
【0073】
図3は、図1のIII−III線断面図である。
【0074】
図1及び図3を参照して、干渉部材8は、前記筒状体7から内側に突出する左右一対の支持軸11により筒状体7の閉断面の略中央位置に固定されている。
【0075】
この干渉部材8は、前記各支持軸11に支持される円柱部12と、この円柱部12に対し上下対称に設けられた一対の円錐台部14及び円錐台部15とを備え、これら円柱部12及び円錐台部14、15の軸線J2は、それぞれ同一線上に設定されている。さらに、この軸線J2は、前記筒状容器4の軸線J1と同一線上に設定されている。
【0076】
下方の円錐台部15は、その後方の側面15aが後述する超音波ポンプ5の噴霧方向(軸体20の軸線J3)と交差するように配置されている。つまり、本実施形態では、円錐台部15の後方の側面15aが衝突面の一例を構成している(以下、円錐台部15の後方の側面を衝突面15aと称する)。
【0077】
この衝突面15aの下端部15bは、前記脚部9を水平面上に載置した図1に示す状態において、後述するメッシュ板18の中心位置C1(メッシュ板18と後述する軸体20の軸線J3との交差位置)の鉛直上方位置よりも前方に配置されている。
【0078】
そして、円柱部12の外側面と前記筒状体7の内側面7aとの間に薬液D噴出用の流路R1が形成されているとともに、この流路R1と連通して、上方の円錐台部14の外側面と前記突出部7bの内側面との間に流路R2が形成されている。これら流路R1、R2は、それぞれ略同一の断面積に設定され、これにより、当該各流路R1、R2を通る薬液D(噴霧された粒子)の流速を略一定に保つようにしている。
【0079】
再び図1及び図2を参照して、超音波ポンプ5は、振動子16と、この振動子16を筒状容器4内に保持するハウジング17と、表裏に貫く多数の細孔(図示せず)が形成されたメッシュ板18と、このメッシュ板18を前記振動子16の上部に保持する保持部19とを備えている。
【0080】
振動子16は、図2に詳しく示すように、軸体20と、この軸体20の外側に螺合する上下一対のナット21及びナット22と、これらナット21、22の内側位置で前記軸体20に外装される上下一対のシール部材23及びシール部材24と、これらシール部材23、24の間で前記軸体20に外装される3枚の電極板25、電極板26及び電極板27と、これら電極板25〜27の間で軸体20に外装される一対の圧電素子28及び圧電素子29とを備えている。
【0081】
そして、前記各電極板25〜27には、それぞれ導線30、導線31及び導線32を介して図外の高周波電源が接続されており、この高周波電源によって電極板26と電極板25、27との間に高周波電圧を印加することにより、圧電素子28、29に超音波振動が発生し、その振動により軸体20が軸線J3方向に振動するようになっている。
【0082】
本実施形態では、前記電極板25〜27、導線30〜32及び図外の高周波電源が加振手段の一例を構成している。
【0083】
このように構成された軸体20は、その軸線J3が前記筒状容器4の軸線J1と平行するように後述するハウジング17によって筒状容器4内に保持されている。
【0084】
軸体20は、下端面33から上端面34までを貫通する導通孔20aを有し、前記加振手段による振動が生じることにより、前記下端面33に形成された導入口33aから前記液溜り2内の薬液を導入するとともに、この薬液を前記上端面34に形成された導出口34aから導出することが可能とされている。
【0085】
ハウジング17は、前記軸線J3が前記筒状容器4の軸線J1の後部で当該軸線J1と平行するように、前記振動子16を筒状容器4内に保持するようになっている。そのため、筒状容器4内の前方に空きスペースS1が形成されている。
【0086】
具体的に、ハウジング17は、上部ブッシュ35と、下部ブッシュ36とを備え、これら両ブッシュ35、36がボルト37により連結されることにより全体として筒状に形成され、その内側面で前記振動子16を保持するようになっている。
【0087】
具体的に、上部ブッシュ35は、上方に開口する支持開口38と、この支持開口38から肩部39を介して同心に形成された保持孔40とを有している。
【0088】
一方、下部ブッシュ36は、上部ブッシュ35との連結時に前記保持孔40と合致するように上方に開口する保持孔41と、この保持孔41の下部に形成された収容孔42と、この収容孔42を下方で閉塞する底部43とを有している。
【0089】
そして、ハウジング17は、前記両保持孔40、41の内側面で振動子16の途中部を保持する。具体的に、前記振動子16の各シール部材23、24の外側面は、両保持孔40、41の内側面に対し液密状態で密着するようになっている。したがって、両シール部材23の間には、液密室S2が形成され、この液密室S2によって、前記電極板25〜27や圧電素子28が薬液Dに接触することが防止される。
【0090】
さらに、前記液密室S1に連通するように、前記上部ブッシュ35の下端面には、溝部44が形成され、この溝部44と下部ブッシュ36の上端面との間の隙間を通って、前記導線30〜32がハウジング17の外側へ導出されている。なお、これら導線30〜32は、筒状容器4に形成された図外の導出口を通して当該筒状容器4の外側へも導出されている。
【0091】
そして、このように形成されたハウジング17が筒状容器4に取り付けられた状態において、前記収容孔42を取り囲む側壁は前記液溜り2内に配置される。この側壁には、液溜り2内の薬液Dと軸体20の下部とを連通させる連通孔45が形成されている。この連通孔45によって、軸体20の下端面33(導入口33a)は、液溜り2内の薬液Dに浸漬されることになる。
【0092】
図4は、図1の保持部を示す斜視図である。図5は、図4の保持部の側面断面図である。
【0093】
図4及び図5を参照して、保持部19は、メッシュ板18の下面を前記軸体20の上端面34に開放した状態で当該メッシュ板18を保持する保持部材(メッシュ保持部材)46と、この保持部材46を前記軸体20の軸線方向に移動可能に支持するCリング(取付部材)47とを備えている。
【0094】
保持部材46は、筒状体48と、この筒状体48の内側に設けられたスペーサ49と、このスペーサ49側へ前記メッシュ板18を押し付ける巻きばね50とを備えている。
【0095】
筒状体48は、上部外側面から外側に突出する上部外側フランジ51と、上部内側面から内側に突出する上部内側フランジ52と、下部外側面から外側に突出する下部外側フランジ53と、下部内側面から内側に突出する下部内側フランジ54とを有する形状とされている。
【0096】
上部外側フランジ51の下面は、後述するCリング47の載置面47bに載置される被載置面51aとされている。この被載置面51aは、載置面47bを上から覆うように構成されている。
【0097】
前記スペーサ49は、筒状体48の上部内側フランジ52の下面に配設されたドーナツ状の板部材である。このスペーサ49の下面には、前記巻きばね48によってメッシュ板18が押し付けられている。
【0098】
巻きばね50は、筒状体48の上部内側フランジ52(メッシュ板18)の下面と下部内側フランジ54の上面との間で圧縮状態で配設されている。
【0099】
一方、Cリング47は、周方向の一部を切り欠いた円弧状の部材であり、この切り欠き部47aの間隔を縮めるようにして、直径方向に弾性変形可能に構成された部材である。このCリング47は、前記上部外側フランジ51と下部外側フランジ53との間で前記筒状体48に対し摺動可能に外装されている。
【0100】
また、Cリング47の上面は、前記筒状体48の被載置面51aが載置される載置面47bとされている。
【0101】
すなわち、筒状体48は、前記上部外側フランジ51の被載置面51aがCリング47の載置面47bに当接する下降位置(図5参照)と、前記下部外側フランジ53の上面がCリング47の下面に当接する図外の上昇位置との間で、Cリング47に抜け止めされた状態で当該Cリング47に対し相対移動可能に取り付けられている。
【0102】
そして、Cリング47は、前記切り欠き部47aの間隔を縮めた状態で前記上部ブッシュ35の支持開口38内に挿入され、その復元力によって支持開口38の内側面に当接することにより、当該支持開口38内で保持されるようになっている。つまり、Cリング47は、支持開口38の内側面との間に生じる摩擦抵抗に応じた保持力によって支持開口38内に保持されている。
【0103】
このようにCリング47は、その復元力を利用して支持開口38内に保持することができるため、当該支持開口38の所望の深さ位置でCリング47を固定することができる。
【0104】
したがって、メッシュ板18を軸体20に取り付ける際には、以下のような取付方法を採用することができる。
【0105】
まず、Cリング47を押し縮めながらその下端部を支持開口38内に挿入し、この状態で保持部材46の上面を軸体20の軸線J3に沿って下方へ押圧する。
【0106】
この押圧操作によって、前記保持部材46の被載置面51aとCリング47の載置面47bとが当接し、これら保持部材46とCリング47とが一体となって、当該Cリング47が支持開口38内に押し込まれる。
【0107】
そして、メッシュ板18の下面が軸体20の上端面34に当接するところまで、前記押圧操作を継続して、Cリング47を押し進める。
【0108】
この取付方向によって、図5に示すように、保持部材46が載置面47b上に載置された状態で、メッシュ板18と軸体20とが当接するように保持部材46が下方から支持された状態とすることができるので、メッシュ板18が軸体20の上端面34に対し必要以上に押し付けられることを抑制することができ、これにより、軸体20に対する負荷を低減することができる。
【0109】
そして、この状態では、保持部材46がCリング47に対し上昇動作可能とされているので、軸体20により薬液Dが汲み上げられると、図6に示すように、この液面の上昇に伴いメッシュ板18を上昇させることができ、当該薬液Dの汲み上げ時においても、軸体20に生じる負荷を低減することができる。
【0110】
一方、軸体20により汲み上げれた薬液Dが噴霧されて消化されると、図5に示すように、保持部材46は、載置面47bが被載置面51aに当接する位置まで、自重で下降することになる。
【0111】
したがって、軸体20に対する負荷を、伸縮動作にかかわらずメッシュ板18の自重で略均一に維持することができるので、伸縮動作を安定して行うことの弊害となる負荷の増減を排除することができる。
【0112】
さらに、前記保持部19は、Cリング47の復元力(保持力)によって支持開口38内に保持されているので、当該Cリング47を支持開口38から引き抜くこともできる。そのため、この保持部19を上部ブッシュ35から取り外すことにより、メッシュ板18の交換を容易に行うことができる。
【0113】
以下、前記ネブライザー1の動作について、図1、2及び5を参照して説明する。
【0114】
ネブライザー1を使用する場合には、まず、筒状容器4の液溜り2内に所望の薬液Dを収容する。次いで、前記加振手段(電極板25〜27、導線30〜32及び高周波電源)によって軸体20の超音波振動(伸縮動作)を開始する。
【0115】
これにより、液溜り2内の薬液Dが軸体20の導通孔20aを通して上端面34まで汲み上げられ、この薬液Dは、メッシュ板18の下面(裏面)から当該メッシュ板18の各細孔を通って上面に導かれるとともに、この上面位置で前記軸体20の超音波振動によって霧化され、前記軸体20の軸線J3の上方に向けて放射状に噴霧される。
【0116】
このように噴霧された薬液Dの一部は、軸線J3と交差するように配置された衝突面15aと衝突する。この衝突時において、粒子径の大きな薬液Dは、その濡れ性が大きいため、衝突面15aに付着する一方、粒子径の小さな薬液Dは、衝突面15aに付着することなく干渉部材8を迂回して、流路R1及びR2を介して噴出口3から噴出する。
【0117】
一方、前記衝突面15aに付着した薬液Dは、前下がりに傾斜した当該衝突面15aに沿って筒状容器4内の空きスペースS1側に滴下され、当該筒状容器4の内側面を伝って液溜り2に回収されることになる。
【0118】
そして、使用後のネブライザー1は、以下のようにして洗浄することができる。
【0119】
まず、液溜り2内の薬液Dを廃棄し、この液溜り2内に洗浄用の蒸留水等を注入する。
【0120】
次いで、前記噴出口3を図外の蓋体によって閉塞するとともに、この状態で、前記蒸留水の噴霧を行うことにより、筒状容器4内に蒸留水の粒子を充満させる。
【0121】
この噴霧をしばらく継続すると、筒状容器4の内側面や前記衝突面15aに衝突した蒸留水が液溜り2に回収され、この液溜り2から噴霧される、いわゆる還流が行われることになる。
【0122】
したがって、前記洗浄方法によれば、液溜り2内の蒸留水を軸体20の導通孔20a及びメッシュ板18の各細孔を通過させるとともに、この蒸留水を閉鎖された筒状容器4内で噴霧させて循環させることができるので、この蒸留水の還流によって、軸体20の導通孔20a、メッシュ板18の各細孔及び筒状容器4の内側面等を洗浄することができる。
【0123】
以上説明したように、前記ネブライザー1によれば、液溜り2から汲み上げた薬液Dをメッシュ板18の各細孔に通過させた上で、この薬液Dをメッシュ板18の表面で霧化するようにしているため、各細孔の直径寸法に対応する比較的小さな粒子径で薬液Dを噴霧することができる。
【0124】
そして、前記ネブライザー1では、メッシュ板18の表面と噴出口3との間に衝突面15aを備えた構成としているので、これらメッシュ板18の表面から噴出口3へ導かれる過程で粒子同士が衝突して大きな粒子が生成された場合であっても、このように大きな粒子を前記衝突面15aによって積極的に捕らえることができる。
【0125】
すなわち、霧化された薬液Dは、その粒子径が大きくなるほど濡れ性が大きくなるため、前記衝突面15aに衝突した薬液Dのうち、粒子径の大きなものほど衝突面15aに付着する確率が高くなるのに対し、粒子径の小さなものほど噴出口3から噴出される確率が高くなる。
【0126】
したがって、前記ネブライザー1によれば、メッシュ板18によって霧化される薬液Dの粒子径をある程度小さくしながら、このように噴霧された薬液Dのうち粒子径の大きなものを前記衝突面15aでさらに捕らえることができるので、メッシュ板18と衝突面15aとの二段階で粒子径の大きな薬液Dの噴出を阻止することにより、粒子径の小さな薬液Dを確実に噴出させることができる。
【0127】
前記実施形態のように、衝突面15aを噴出口3の近傍位置に設けた構成とすれば、粒子同士が衝突して大きな粒子が生成された場合であっても、噴出口3から噴出される間際の位置で確実にこの粒子を捕らえることができる。
【0128】
前記実施形態のように、筒状容器4内の空きスペースS1を回収用の流路として利用する構成とすれば、衝突面15aに付着した薬液Dを液溜り2に回収して、この薬液Dを再び霧化させることができるので、薬液Dを補充する機会を低減することができる。
【0129】
前記実施形態のように、干渉部材8を筒状容器4の閉断面の中央位置に配置するとともに、この干渉部材8の周囲と筒状容器4の内側面との間に噴霧用の流路R1及びR2が形成された構成とすれば、干渉部材8の衝突面15aによって粒子径の大きな薬液Dを捕らえながら、この干渉部材8の周囲に形成された流路R1及びR2を通して充分な量の薬液Dを噴出させることができる。
【0130】
前記実施形態のように、液溜り2を有する液容器6と、この液容器6に着脱可能に連結されるとともに先端部に噴出口3を有する筒状体7とを有する構成とすれば、液容器6と筒状体7とを着脱することができるので、噴霧を行わないときに液容器6から筒状体7を取り外すことによって、不使用時の形態をコンパクトにすることができる。
【0131】
前記実施形態のような超音波ポンプ5を備えた構成によれば、加振手段によって軸体20を超音波振動させることにより、液溜り2から薬液Dを汲み上げるとともに、この薬液Dをメッシュ板18の表面で噴霧させることができる。
【0132】
さらに、前記実施形態のように、衝突面15aが導通孔20a(軸体20)の軸線J3の延長線と交差するように配置された構成とした場合には以下のような効果を得ることができる。
【0133】
すなわち、軸体20の導通孔20aを通して液溜り2から汲み上げた薬液Dを噴霧する場合、軸体20の導通孔20aを流れる薬液Dには当該導通孔20aの軸線と直交する方向に速度分布が生じる。具体的に、軸線J3に近いものほど流速が速く遠いものほど流速が遅くなることから、メッシュ板18を通して噴霧した場合であっても、導通孔20a(軸体20)の軸線J3に近いものほど粒子径が大きくなり遠いものほど粒子径が小さくなる傾向があるが、前記実施形態では、衝突面15aが導通孔20a(軸体20)の軸線J3と交差するように配置されているため、メッシュ板18の表面で霧化した薬液Dのうち粒子径の大きなものが衝突面15aに付着する一方、粒子径の小さなものが衝突面15aを迂回して噴出口3まで導かれ、当該粒子径の小さな薬液Dが噴出口3を通して筒状容器4の外側へ噴霧されることになる。
【0134】
前記実施形態のように、前下がりに傾斜した衝突面15aを備えた構成によれば、衝突面15aが空きスペースS1側へ向かうに従い液溜り2側へ傾斜して形成されているので、この衝突面15aに衝突した薬液Dは、当該衝突面15aを伝って流れて、当該衝突面15aの下端部15bから滴下することになる。ここで、下端部15bは、図1に示すように、メッシュ板18の中心位置C1の鉛直上方位置よりも前方に配置されているので、当該下端部15bから滴下する薬液Dが、メッシュ板18の中心位置C1に落下し難く、空きスペースS1側へ落下し易くなる。したがって、衝突面15aから滴下した薬液Dによって、メッシュ板18上で行われる薬液Dの霧化が阻害されるといった不具合を避けることができる。
【0135】
そして、前記実施形態によれば、衝突面15aによって捕らえられた薬液Dを再び液溜り2に回収することができるので、当該液溜りに収容される薬液Dを効果的に還流させることができる。
【0136】
なお、前記実施形態では、円錐台部15の側面を衝突面15aとした構成について説明したが、衝突面は、少なくとも薬液Dの噴霧方向(軸体20の軸線方向J3)と交差するように配置されていればよく、例えば、図7の(a)に示すように、板状の干渉部材55の下面55aを衝突面としてもよく、さらに、図7の(b)に示すように、球状の干渉部材56の後部下面56aを衝突面として利用することもできる。
【0137】
さらに、前記実施形態では、軸体20の上端面34とメッシュ板18の下面とを当接させた構成について説明したが、メッシュ板18と軸体20の上端面34との間に予め隙間を形成した場合であっても、軸体20の安定した伸縮動作を実現することができる。
【0138】
具体的に、図8に示す実施形態では、前記Cリング47と上部外側フランジ51の被載置面51aとの間に巻きばね(付勢手段)57が圧縮可能に設けられている。
【0139】
巻きばね57は、その上部端面が保持部材46を載置するための被載置面57aとされている。また、巻きばね57は、前記Cリング47と支持開口の内側面との間に生じる摩擦抵抗に応じた前記保持力よりも小さな力で圧縮可能に構成されている。
【0140】
そして、本実施形態では、メッシュ板18を軸体20に取り付けるのに際し、以下のような取付方法を採用することができる。
【0141】
まず、Cリング47を押し縮めながらその下端部を支持開口38内に挿入し、この状態で保持部材46の上面を軸体20の軸線J3に沿って下方へ押圧する。
【0142】
この押圧操作の開始当初においては、Cリング47が前記保持力によって支持開口38の内側面に保持されているので、押圧力は、巻きばね57を圧縮する力として利用される。
【0143】
そして、押圧操作が進行し、巻きばね57が縮みきった状態となると、保持部材46とCリング47とが一体となって、前記保持力に抗しながら支持開口38の奥に押し込まれ、終には、メッシュ板18の下面と軸体20の上端面34とが当接する。
【0144】
この状態で、押圧操作を止めると、巻きばね57の復元力によって保持部材46がCリング47から離間し、これに伴い、メッシュ板18の下面が軸体20の上端面34から離間する。
【0145】
つまり、本実施形態では、巻きばね57の圧縮状態の長さ(図8の(a)参照)と初期設定長(図8の(b)参照)との長さ寸法の差分だけ、メッシュ板18の裏面と軸体20の上端面34との間に間隙を形成することができるので、この差分を予め所望の寸法に設定しておくことにより、メッシュ板18と軸体20との間に所望の間隙を形成することができる。
【0146】
したがって、本実施形態によれば、前記間隙を、軸体20の伸縮動作の全範囲にわたり薬液Dを噴霧可能な間隙に設定しておけば、当該軸体20に対するメッシュ板18による負荷を低減することができる。
【0147】
なお、前記隙間は、図8の(b)に示すように、前記導出口34a(図2参照)から導出され、軸体20の上端面34に位置する薬液Dがメッシュ板18の下面に接触することができる寸法に設定することが必要となる。
【0148】
前記実施形態のように、巻きばね57を備えた構成によれば、メッシュ板18の下面と軸体20の上端面34との間に所望の隙間を形成しながら、メッシュ板18を軸体20に容易に取り付けることができる。
【0149】
また、図9に示すような構成を採用することにより、前記軸体20の導通孔20a内を容易に洗浄することができる。
【0150】
図9に示す実施形態では、噴霧時に使用する前記Cリング47の取付位置(図9の(a)参照)と、軸体20の洗浄時に使用するCリング47の取付位置(図9の(b)参照)とを使い分けることが可能とされている。
【0151】
具体的に、前記上部ブッシュ35には、洗浄時に使用するCリング47の取付位置を規定するための支持穴59が形成されている。
【0152】
つまり、支持穴59は、前記上部ブッシュ35の上端面から所定の深さ範囲に形成されているとともに前記支持開口38よりも大きな開口面積とされ、前記支持開口38と肩部58を介して同心に連結された穴である。そして、この支持穴59は、支持開口38に挿入された状態よりも復元力により広がったCリング47を挿入することが可能とされている。
【0153】
したがって、本実施形態では、Cリング47を支持開口38に挿入した噴霧時の状態(図9の(a)参照)と、Cリング47を支持穴59内に挿入した洗浄時の状態(図9の(b)参照)とを共通のCリング47を用いて使い分けることができる。
【0154】
図9の(b)に示す寸法M1は、洗浄するための寸法として予め設定されたものである。
【0155】
すなわち、寸法M1は、メッシュ板18と軸体20の上端面34から導出された薬液Dとが非接触となるのに充分な寸法に設定され、この寸法M1だけメッシュ板18と軸体20の上端面34とが離れた状態では、上端面34から導出される薬液Dの大部分が霧化されることなく、前記支持開口38内に流下されることになる。
【0156】
そして、前記上部ブッシュ35には、図10に示すように、前記支持開口38を取り囲む壁面を貫通する貫通孔60が形成されている。
【0157】
そのため、前記のように軸体20の上端面34から支持開口38内に流下した薬液Dは、貫通孔60を通して前記液溜り2内に回収されることになる。
【0158】
したがって、この実施形態において、液溜り2内に洗浄用の蒸留水等を収容するとともに、前記Cリング47を支持穴59に挿入することによりメッシュ板18と軸体20との間に寸法M1だけ隙間を形成した状態で、前記加振手段によって軸体20を超音波振動させることにより、液溜り2内の蒸留水等は、軸体20の導通孔20aを通して上端面34に導かれるとともに、この蒸留水等が支持開口38内に流下して貫通孔60を通して液溜り2内に回収される、つまり、還流が行われることになるため、この還流によって軸体20の導通孔20a内の洗浄を行うことができる。
【0159】
なお、前記実施形態では、上部ブッシュ35に貫通孔60を形成しているが、この貫通孔60を省略しても、軸体20の導通孔20a内の洗浄を行うことができる。
【0160】
つまり、前記Cリング47を支持穴59に挿入した状態においては、当該Cリング47の切り欠き部47a(図4参照)によって支持開口38内の空間が上部ブッシュ35の外側に開放された状態となる。
【0161】
したがって、この状態で、軸体20から支持開口38内に蒸留水等が流下すると、当該支持開口38内に蒸留水等が溜まり、この蒸留水等は、最終的に前記切り欠き部47aを通って上部ブッシュ35の外側に溢れ出すことになる。
【0162】
この場合においても、液溜り2内の蒸留水等は、軸体20の導通孔20aを通って液溜り2に再び回収されることになるため、この蒸留水等によって導通孔20a内を洗浄することが可能となる。
【0163】
図10は、本発明の別の実施形態に係るネブライザーの全体構成を示す側面断面図である。図11は、図10の筒状体の、(a)は折り畳み状態、(b)は展開状態をそれぞれ示す図である。なお、前記実施形態と同一の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0164】
図10及び11を参照して、本実施形態に係るネブライザー61は、その筒状体62がシート部材からなる点で前記実施形態とは相違している。
【0165】
筒状体62は、下端部が前記液容器6の上部開口端の内側に嵌め込み可能な形状とされた連結部63と、この連結部63から屈曲して上端部に噴出口64が形成された延出部65とを有し、側面視「く」の字型の筒状に形成されている。
【0166】
連結部63は、その軸線J4を前記液容器6の軸線J5と合致させるように、当該液容器6に連結することが可能とされている。そして、これら軸線J4、J5は、前記脚部9を水平面上に載置した図10に示す状態において、水平面に対する傾斜角が前記実施形態の軸線J1(図1参照)よりも若干前傾とされている。
【0167】
延出部65は、前記軸線J4から前上方へ傾斜する軸線J6に沿って形成されている。そのため、前記液溜り2を下方に配置して液容器6(基部)を把持した際には、延出部65の先端部(噴出口64)が使用者の手前側(図10の前方)に向くことになる。つまり、本実施形態のネブライザー61は、使用者の口や鼻に噴出口64を向け易くなるように、延出部65の向き(軸線J6)が設定されている。
【0168】
さらに、前記延出部65は、連結部63の軸線J4に対し傾斜して形成されているため、当該延出部65の内側面のうち前記軸体20の軸線J3と交差する後方の領域65aが衝突面として機能することになる。以下、この領域65aのことを衝突面65aと称する。
【0169】
したがって、本実施形態では、前記実施形態のような干渉部材8、55及び56を設けなくても、延出部65を形成するだけの構成で衝突面を形成することができる。
【0170】
また、このように構成された筒状体62は、図11に示すように、相対向する一対のシート材66及びシート材67によって構成されている。
【0171】
すなわち、シート材66、67は、それぞれ略同一の表面積とされた「く」の字型のシートであり、前記噴出口64及び液容器6側の開口となる部分を除く縁部が相互に接合されている。
【0172】
各シート材66、67には、それぞれ前記軸線J4、J6にそれぞれ対応する稜線L1及び稜線L2と、これら稜線L1、L2の交差部分から連結部63と延出部65との内側付け根部分まで延びる稜線L3とが形成されている。
【0173】
したがって、図11の(b)に示すように、前記稜線L1〜L3に沿って各シート材66、67を離間させるように折り曲げることにより、当該両シート材66、67が筒部材として展開されることになる。
【0174】
前記実施形態のように、液容器6(基部)と延出部65とを備えた構成によれば、特別な構成を追加しなくても、延出部65の衝突面65aを衝突面として利用することができる。
【0175】
さらに、前記実施形態のように、液溜り2を下に向けた姿勢で液容器6を把持したときに延出部65の先端部が上方に向くように、液容器6と延出部65との傾斜角度が設定された構成とすれば、液溜り2を下に向けて液容器6を把持したときに、延出部65の先端部、つまり、噴出口64が上方に向くことになるので、この噴出口64を口や鼻に向けて配置すれば、噴霧された薬液Dを使用者が吸引することができる。
【0176】
前記実施形態のように、筒状体62をシート材66、67で形成することにより、筒状体62を簡素で安価な構成とすることができる。したがって、前記実施形態によれば、筒状体62を使い捨ての用途にも使用することができる。
【0177】
また、前記実施形態では、図11の(a)に示す折り畳み状態と図11の(b)に示す展開状態との間で筒状体62を変態することが可能とされているので、不使用時においては筒状体62を折り畳み状態とする一方、使用時には展開状態にするといった使い方が可能となるため、不使用時の形態をさらにコンパクトにすることができる。
【0178】
なお、前記筒状体62は、使用者の口に向けて噴霧することを想定したものであるが、この筒状体62に対し、例えば、図12に示すような分岐筒68を接続することにより、霧化された薬液Dを鼻に向けて噴霧することも可能となる。
【0179】
分岐筒68は、前記筒状体62の延出部65の先端部外側に嵌め込むことが可能な主部69と、この主部69から二股に分岐した分岐部70及び分岐部71とを有する平面視「Y」字型の筒状部材である。
【0180】
主部69は、前記延出部65の外側に嵌め込むための開口69aを有している。
【0181】
分岐部70、71は、前記開口69aから受け入れた薬液Dを分配して噴霧する噴出口70a及び噴出口71aをそれぞれ有している。
【0182】
このような分岐筒68も、前記筒状体62と同様に一対のシート材72及びシート材73によって構成することが可能である。
【0183】
すなわち、シート材72、シート材73は、それぞれ略同一の表面積とされた「Y」の字型のシートであり、前記開口69a及び噴出口70a、71aとなる部分を除く縁部が相互に接合されている。
【0184】
各シート材72、73には、それぞれ「Y」字型の稜線L4と、この稜線L4の分岐付け根部分から各分岐部70、71の分岐付け根部分までを結ぶ稜線L5とを備えている。
【0185】
したがって、図12の(b)に示すように、前記稜線L4、L5に沿って各シート材72、73を離間させるように折り曲げることにより、当該両シート材72、73が筒部材として展開されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本発明の実施形態に係るネブライザーの全体構成を示す側面断面図である。
【図2】図1のネブライザーの振動子を拡大して示す側面断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1の保持部を示す斜視図である。
【図5】図4の保持部の側面断面図である。
【図6】図5の保持部が上昇位置に移動した状態を示す側面断面図である。
【図7】干渉部材の別の実施形態を示す側面断面図である。
【図8】保持部の別の実施形態を示す側面断面図である。
【図9】保持部のさらに別の実施形態を示す側面断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態に係るネブライザーを示す側面断面図である。
【図11】図10の筒状体を示す、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図12】図10の筒状体に連結される分岐筒を示す、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【符号の説明】
【0187】
D 薬液
S1 空きスペース
1、61 ネブライザー(噴霧機の一例)
2 液溜り
3、64 噴出口
4 筒状容器
5 超音波ポンプ
6 液容器
7 筒状体
8、55、56 干渉部材
15a、55a、56a、65a 衝突面
17 ハウジング
18 メッシュ板
19 保持部
20 軸体
20a 導通孔
33 下端面(一方の端面)
33a 導入口
34 上端面(他方の端面)
34a 導出口
46 保持部材(メッシュ保持部材)
47、58 Cリング(取付部材)
47b 載置面
51a、57a 被載置面
59 支持穴
60 貫通孔(洗浄用の流路)
65 延出部
66、67 シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容可能な液溜り及びこの液溜りを外側へ開放する噴出口を有する筒状容器と、この筒状容器内に設けられ前記液体を霧化するとともに霧化した液体を前記噴出口を通して噴霧する超音波ポンプとを有する噴霧機であって、
前記超音波ポンプは、表裏に貫く多数の細孔が形成されたメッシュ板を備え、前記液溜りに収容される液体を汲み上げるとともに、汲み上げた液体を前記メッシュ板の裏面から前記各細孔を通して当該メッシュ板の表面で霧化するように構成され、
前記筒状容器は、前記メッシュ板の表面から噴霧された液体の一部と衝突することが可能となるように、前記メッシュ板の表面と前記噴出口との間で前記メッシュ板からの液体の噴霧方向と交差するように配置された衝突面を備えていることを特徴とする噴霧機。
【請求項2】
前記衝突面は、前記噴出口の近傍位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の噴霧機。
【請求項3】
前記筒状容器には、前記衝突面に付着した液体を前記液溜りに回収する回収用流路が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の噴霧機。
【請求項4】
前記筒状容器は、その閉断面の略中央位置に配置され前記衝突面を有する干渉部材を備え、この干渉部材の外側面と前記筒状容器の内側面との間には、前記超音波ポンプにより霧化された液体を前記噴出口へ導く噴霧用流路が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の噴霧機。
【請求項5】
前記筒状容器は、基部と、この基部の軸線に対し傾斜した軸線を有する延出部とを含む形状を有し、前記延出部は、その先端部に前記噴出口を有するとともに、その内側面の少なくとも一部が前記衝突面とされていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の噴霧機。
【請求項6】
前記基部と延出部との傾斜角度は、前記液溜りを下に向けた姿勢で前記基部を把持したときに前記延出部の先端部が上方に向くように設定されていることを特徴とする請求項5に記載の噴霧機。
【請求項7】
前記筒状容器は、前記液溜りを有する有底の液容器と、この液容器の開口端に着脱可能に連結され、先端部に前記噴出口を有する筒状体とを備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の噴霧機。
【請求項8】
前記筒状体は、防水性能を有するシート部材からなることを特徴とする請求項7に記載の噴霧機。
【請求項9】
前記筒状体は、平面的に折り畳まれた折り畳み状態と、この折り畳み状態から展開されて筒状の体をなす展開状態との間で変態可能なシート部材からなることを特徴とする請求項7に記載の噴霧機。
【請求項10】
前記超音波ポンプは、軸線方向の一方の端面から他方の端面までを貫通する導通孔を有する軸体と、前記筒状容器内に設けられ、前記軸体の一方の端面が前記液溜りに収容される液体に浸漬可能な位置に配置され、かつ、前記他方の端面が前記液溜りの外側に配置されるように、前記軸体を保持するハウジングと、前記軸体に設けられ前記一方の端面に形成された前記導通孔の導入口から前記液溜り内の液体を導入するとともにこの液体を前記他方の端面に形成された前記導通孔の導出口から導出するように、前記軸体を軸線方向に振動させる加振手段と、前記ハウジングに設けられ前記メッシュ板の裏面が前記軸体の他方の端面と略平行となる姿勢で前記メッシュ板を保持する保持部とを備え、前記加振手段により軸体を振動させることにより、前記液溜りから導通孔を通して液体を汲み上げるとともにこの液体が前記メッシュ板の表面で霧化されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の噴霧機。
【請求項11】
前記衝突面は、前記導通孔の軸線の延長線と交差するように配置されていることを特徴とする請求項10に記載の噴霧機。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記筒状容器の軸線の少なくとも一部と前記軸体の軸線とが互いに偏心し、かつ、略平行するように前記軸体を保持し、前記衝突面は、前記軸体の軸線から前記筒状容器の軸線側へ向かうに従い前記液溜り側へ傾斜していることを特徴とする請求項10又は11に記載の噴霧機。
【請求項13】
前記保持部は、ハウジングに対し着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の噴霧機。
【請求項14】
前記保持部は、前記軸体の他方の端面に対しメッシュ板の裏面を開放した状態で当該メッシュ板を保持するメッシュ保持部材と、前記ハウジングに前記メッシュ保持部材を支持する支持部とを備え、この支持部は、前記メッシュ保持部材に形成された被載置面を載置可能な載置面を有するとともに、この載置面上に前記被載置面を載置した状態において、前記メッシュ保持部材に保持されたメッシュ板の裏面が前記軸体の他方の端面に当接し又は近接する位置となり、かつ、当該支持部に対し上昇動作可能となるように前記メッシュ保持部材を支持することを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の噴霧機。
【請求項15】
前記支持部は、前記軸体の軸線方向の押圧操作によって前記ハウジングに対し上から所望の押圧位置で取付可能に構成された取付部材を備え、前記被載置面は、前記載置面を前記軸体の軸線方向に上から覆うように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の噴霧機。
【請求項16】
前記支持部は、前記取付部材と前記被載置面との間で圧縮可能に設けられ、前記載置面を有する付勢部材をさらに備えているとともに、前記取付部材は、前記ハウジングとの間に生じる摩擦抵抗に応じた保持力によって前記所望の押圧位置でハウジングに対し保持可能に構成され、前記付勢部材は、前記保持力よりも小さな力で前記軸体の軸線方向に圧縮可能に構成されていることを特徴とする請求項14に記載の噴霧機。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記軸体の軸線方向に位置調整ができるように前記支持部を取付可能な取付部と、前記軸体の他方の端面から流下した液体を前記液溜り側に流す洗浄用の流路とを備えていることを特徴とする請求項14〜16の何れか1項に記載の噴霧機。
【請求項18】
請求項17に記載の噴霧機を洗浄する方法であって、前記メッシュ板と前記軸体の他方の端面との間の距離を予め設定された洗浄距離まで離間するように、前記ハウジングに対する支持部の取付位置を調整する調整工程と、前記洗浄距離を維持した状態で前記軸体を振動させる振動工程とを含むことを特徴とする噴霧機の洗浄方法。
【請求項19】
請求項15又は16に記載の噴霧機を洗浄する方法であって、前記メッシュ板と前記軸体の他方の端面との間の距離が予め設定された洗浄距離まで離間させて、前記軸体の他方の端面から流下した液体を前記液溜り側に流す洗浄用の流路を確保する流路確保工程と、前記洗浄距離を維持した状態で前記軸体を振動させる振動工程とを含むことを特徴とする噴霧機の洗浄方法。
【請求項20】
請求項1〜17の何れか1項に記載の噴霧機を洗浄する方法であって、前記噴出口を閉鎖する閉鎖工程と、噴出口が閉鎖された状態で噴霧を行う噴霧工程とを含むことを特徴とする噴霧機の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−23026(P2008−23026A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197984(P2006−197984)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000231394)アルフレッサファーマ株式会社 (27)
【出願人】(000232830)株式会社ロブテックス (21)
【Fターム(参考)】