噴霧機
【課題】 簡単な構成で軽量かつ小型であり、しかも作業労力を要することなく噴霧作業時の薬液等の吸引を少なくして人体への影響を小さなものとする。
【解決手段】 噴霧機は、1つの転動部と、転動軸を介して転動部に装架された本体フレームと、本体フレームに一端を固定され本体フレームと一体化された支柱と、支柱を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル付噴霧杆であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホースに接続されてノズルから薬液を噴射するノズル付噴霧杆と、機体全体を1つの転動部に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆を格納閉着させて支柱と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造と、を備える。軽量で手作業で立位の制御、ハウス内への出入りを簡単に行なえる。
【解決手段】 噴霧機は、1つの転動部と、転動軸を介して転動部に装架された本体フレームと、本体フレームに一端を固定され本体フレームと一体化された支柱と、支柱を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル付噴霧杆であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホースに接続されてノズルから薬液を噴射するノズル付噴霧杆と、機体全体を1つの転動部に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆を格納閉着させて支柱と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造と、を備える。軽量で手作業で立位の制御、ハウス内への出入りを簡単に行なえる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の防除作業、液肥の施肥作業等に用いられる薬液等の噴霧機であり、特に、農業用ハウス内散布等に用いて好適な噴霧機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小規模あるいは中規模の広さの農耕地での農作物の防除においては、例えば、薬液タンクを作業者が背負って噴霧杆を把持し噴霧杆に取り付けられた複数のノズルから薬液を噴霧する方法、薬液タンク及び圧送ポンプを車輪付き機体に搭載し噴口を有する長管から薬液を噴霧させる方法などが一般に知られている。これらの作業では、噴霧作業する作業者の労力軽減、狭小の畝幅の畝内の移動、操作の簡易性、低コストであること、などが噴霧機選択の要素となる。ところで、農業用ハウス内で栽培される農作物用の薬液散布に際しては、上記のタンク背負い式の噴霧機による場合、例えば短辺長さ6メートル、長辺長さ100メートル程度のハウス内での散布では手動圧縮では現実にはそのような広い面積への作業は困難である。また、薬液タンク、圧送ポンプをハウス外に設置し、ホースにより薬液供給しながら噴霧する方法が考えられるが、この場合、作業者が片持ち状に噴霧杆の一端を把持し、伸ばした他端側のノズルから噴霧させることになる。そして、畝の往復歩行時に片側の作物栽培区画づつについて噴霧作業を行なうから、例えば100メートルの復路の噴霧作業時には既に噴霧を終えた往路時の区画側に散布した薬液が復路側区画に漂流する結果、多量の農薬を吸引しながらの作業となり人体への悪影響を生じさせるおそれがある。また、噴霧杆の片持ち支持状態で長時間の作業を強いられるから、重労働となっていた。また、薬液タンク及び圧送ポンプを車輪付き機体に搭載し噴口を有する長管から薬液を噴霧させるものの例として特許文献1の薬液噴霧車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−34423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の薬液噴霧車では、作業者が噴霧杆を把持するための労力はなくなり、また、薬液の管理などがしやすくなるが、エンジンやモータの駆動源、ポンプ、薬液タンク、機体などにより、全体装置重量が大きくなり装置を前進、行進移動させるのに作業者は大きな労力を要するばかりか、機体全体が大型となり、小さくて狭いハウスの出入り口の出入りや狭小な畝幅の畝の前後進移動が困難であるという問題がある。また、実際の畝での機体の移動時には微妙な軌道修正や方向の変更が必要であるが、特許文献1の薬液噴霧車では、重すぎて作業者は簡単に軌道修正や方向の変更ができず、一見楽そうに見えるが、実際には、小回りが利かない。さらに、コスト高である、という問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で軽量かつ小型であり、しかも微妙な移動方向の修正、変更、転回動作を労力を要することなく簡単に行なえ、さらに噴霧作業時の薬液等の吸引を少なくして人体への影響を小さなものとすることのできる噴霧機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、1つの転動部2と、転動軸16を介して転動部2に装架された本体フレーム4と、本体フレーム4に一端を固定され本体フレームと一体化された支柱3と、支柱3を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル5付噴霧杆6であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホース34に接続されてノズル5から薬液を噴霧するノズル付噴霧杆6と、機体全体を1つの転動部2に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆6を格納閉着させて支柱3と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造7と、を備えた噴霧機1から構成される。噴霧機は単に移動させるときは、噴霧杆を格納閉着させて機体全体を直状体とした状態で移動させる。したがって、狭い出入り口も農業用ハウスのビニル被覆体などを破らずに簡単に出入りさせることができる。にもかかわらず、支柱の両側に開閉する噴霧杆を備えているから農業用ハウスの終端まで機体を移動し、畝の復路移動時にのみ噴霧杆を開いて両側の栽培区画に対して同時に薬液噴霧させる。したがって、作業者は直接に農薬等を吸引することはなく、人体への影響を少なくすることができる。薬液タンク、原動機、ポンプは搭載せず、さらに1つの転動部での立位で移動するから、作業者への機体移動時の負荷は極めて少なく、機体の方向変更、修正、転回等も簡単かつ自在に行なえる。さらに、他の棟のハウスへの移動も簡単である。本体フレームや支柱は金属、軽金属で構成することもできるが、合成樹脂プラスチック、FRP材などで構成して軽量化を図ることもできる。
【0007】
その際、転動部2近傍に支柱3の長手方向と所要角度で突設され直状体(7)を起立させた状態で保持させるスタンド22を設けると良い。スタンドは本体フレームに対してヒンジやばねなどを用いて起立、倒伏自在とすることもできるが、固定的に所定角度で取り付けても良い。板材、線条材などを用いることができるが、軽量化のためには線条材を用いて形成するとよい。
【0008】
また、支柱3の他端には、1つの転動部2に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して機体全体を手動牽引可能なハンドル33が設けられるとよい。具体的なハンドル形状は環状、ブロック状、T字杆状など任意に構成できる。指型の凹部をグリップ部分に設けても良い。
【0009】
また、噴霧杆6はその長手軸回りに回動可能に固定されるようにしてもよい。支柱から両側に開いた噴霧杆のノズルの噴霧放射角度を調整するから、作業時に最も作業者に薬液噴霧が被着しにくい角度を自在に設定することができる。
【0010】
また、支柱3の長手方向に設けたガイド28に沿って支柱3の長手方向に移動する操作子32を介して噴霧杆6を開閉操作する開閉操作機構8を備えるとよい。立位で機体を移動し噴霧杆を開いて噴霧作業を行なうときに無理のない姿勢で楽に噴霧杆を開く作業を行なえる。噴霧杆の開閉駆動機構は、モータ駆動などとしても良いが、軽量、低コストのためには、リンク機構などを用いるのが好ましい。
【0011】
また、転動部2は一輪車で形成されているとよい。転動部自体は、複数輪を密着並列させた転動輪でもよいが、一輪車とするのが軽量化、小回りの利き方などの点で優れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る噴霧機によれば、1つの転動部と、転動軸を介して転動部に装架された本体フレームと、本体フレームに一端を固定され本体フレームと一体化された支柱と、支柱を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル付噴霧杆であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホースに接続されてノズルから薬液を噴霧するノズル付噴霧杆と、
機体全体を1つの転動部に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆を格納閉着させて支柱と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造と、を備えた構成であるから、簡単な構成で軽量かつ小型であり、しかも微妙な移動方向の修正、変更、転回動作を労力を要することなく簡単に行なえ、低コストであり、さらに噴霧作業時の薬液等の吸引を少なくして人体への影響を小さなものとすることができる。
【0013】
また、転動部近傍に支柱の長手方向と所要角度で突設され直状体を起立させた状態で保持させるスタンドを設けることにより、特に、立位移動時のハウス出入り口や畝等の狭小スペースで寸時停止させて再移動するときや、寸時自立させて他の作業を行なうときなどにおいて、取扱利便性を向上し実用的である。
【0014】
また、支柱の他端には、1つの転動部に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して機体全体を手動牽引可能なハンドルが設けられた構成とすることにより、支柱の上部を作業者が把持して立位で機体移動、方向制御などを簡単に行なえる。また、農業用ハウス内での復路噴霧作業時に機体を後ろ手で把持して牽引するときに作業者が安定して支柱上端部を把持することができる。
【0015】
また、噴霧杆はその長手軸回りに回動可能に固定された構成とすることにより、支柱から両側に開いた噴霧杆のノズルの噴霧放射角度を調整し、作業時に最も作業者に薬液噴霧が被着しにくい角度を自在に設定することができる。
【0016】
また、支柱の長手方向に設けたガイドに沿って支柱の長手方向に移動する操作子を介して噴霧杆を開閉操作する開閉操作機構を備えた構成とすることにより、立位で機体を移動し噴霧杆を開いて噴霧作業を行なうときに無理のない姿勢で楽に噴霧杆を開く作業を行なえる。
【0017】
また、転動部は一輪車で形成することにより、機体全体が軽量化し、機体の操作や動きの制御が簡単で軽易であるとともに、小回りが利いて実用性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る噴霧機の噴霧杆を格納閉着した状態の正面図である。
【図2】図1の噴霧機をスタンドを利用して自立させた状態の右側面図である。
【図3】図1の噴霧機の噴霧杆を開いた状態の右側面図である。
【図4】図3の噴霧機を正面側から見た図である。
【図5】図4の噴霧機を背面側から見た図である。
【図6】図1の噴霧機の開閉駆動機構部分の拡大作用正面説明図である。
【図7】図1の噴霧機の開閉駆動機構部分の拡大作用背面説明図である。
【図8】図4のA−A線矢視図である。
【図9】図4のB−B線矢視図である。
【図10】図1の噴霧機の噴霧杆を開いて薬液を噴霧している状態を示す作用説明図である。
【図11】図1の噴霧機を用いた作業状態を示す概略説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る噴霧機の作用説明を兼ねた側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の第1実施形態に係る噴霧機について図1〜図11を参照して説明する。本発明の噴霧機は、農作物の防除用の薬液や液肥の施肥等に用いられる噴霧機であり、薬液供給装置からの薬液を供給する供給ホースに接続されて用いられる。
【0020】
図1,2において、本実施形態の噴霧機1は、1つの転動部2と、支柱3と、転動部2に装架された本体フレーム4と、支柱の両側に展開格納自在に設けられたノズル5付き噴霧杆6と、機体全体の直状体構造7と、を備えている。すなわち、実施形態の噴霧機1は、薬液タンクやポンプ、原動機を備えておらず、転動部2以外では支柱3と、本体フレーム4と、噴霧杆6と、のみを有する構成である。このため、全体重量は、軽量でしかも立位は縦長で平面視では例えば特許文献1等の装置に比較して極めて小型である。ここで、直状体構造7とは、機体全体を1つの転動部2に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆6を格納閉着させて支柱3と平行な状態で形成される機体全体の構造である。支柱は、後述するように一部を屈曲させて用いる場合も支柱の主要部分が噴霧杆6の格納閉着時に支柱3と平行な状態で形成されるものであれば、直状体構造7である。
【0021】
転動部2は、機体移動時に唯一の接地移動走行部となる転動手段であり、その際、図11に示すように作業者と分担して機体全体を支持する。実施形態において、転動部2は、ハブ10にタイヤ12を装着した一輪車としての転動輪14で形成されている。転動部2は、必ずしも一輪車に限定されるものではなく、2個あるいはそれ以上の転動輪を密接し同軸で連結させるようにしてもよいが、一輪車とすると小回りが利き、微妙な走行方向の修正や変更、転回を簡単に行なえるだけでなく、軽量で機体全体の取扱が楽である。また、転動部はタイヤ付き車輪でなくともホイールのみのものでもよい。
【0022】
本体フレーム4は、転動部2で接地側を転動自在としつつ支柱3や噴霧杆6等を転動部2に装架させる基台であり、実施形態では、転動輪14の転動軸16を介して転動部2に架設されている。詳細には、図1,3に示すようにハブの軸受の軸孔を貫通して両端をハブ10から突設させて転動軸16が取り付けられており、本体フレーム4は転動輪14の上半部を非接触で跨るように設けた逆U字板部18と、逆U字板部18の上面に水平状に固定された平坦部20と、を含む。本体フレーム4は例えば鉄あるいはステンレス、その他の金属あるいは合成樹脂プラスチック等から構成されている。
【0023】
この本体フレーム4は、図1,3に示すように、タイヤ直径より充分に狭い幅の板材を逆U字形状に成形したものでよく、小型で構成できる。実施形態において、本体フレーム4には立位用スタンド22が取り付けられている。立位用スタンド22は、噴霧杆6を閉着して噴霧機を立てて直状体とした状態で自立させて仮置きする際などに使用される立位姿勢支持手段であり、実施形態では、本体フレーム4の逆U字の両側壁4a、4bがそれぞれ半径方向に伸びて中心位置で転動軸16を軸支しており、この半径方向から直角状、すなわち、支柱3の長手方向に対して直角状に立位用スタンド22が突設して取り付けられている。立位用スタンドの突設方向は支柱3の長手方向に対して直角でなくともよく、機体を傾斜状態として転動輪とともに立位支持可能な任意の角度で取り付けても良い。この立位用スタンド22は、実施形態では変形四角枠のループを形成する金属線条で形成されて軽量化が図られている。立位用スタンド22は、機体全体を立位支持する場合には、図2に示すようにスタンドの突設端側を接地し、機体をスタンドの突設端側に傾斜させた状態で支持し、このとき、スタンドの突設端部と転動輪14とで荷重を分担支持する。また、本体フレーム4の逆U字板部18及び、立位用スタンド22には、薬液供給ホースの中途部を装着離脱自在に仮止めする仮止め部材24a、24bが取り付けられており、薬液供給装置60に接続されて薬液を装置から離隔した場所に供給する薬液供給ホースの端部寄り側を仮止めして取りまとめしやすくしている。ちなみに、本体フレーム4の逆U字板部18にはフック状の、また、立位用スタンド22の先端側にはリング状の仮止め部材24a、24bが固定されている。
【0024】
支柱3は、転動輪から一方向に伸びて機体の中央に設置され噴霧杆の格納展開支持を行なうとともに、その把持、手動操作で機体全体の移動や立位保持を制御する本体骨組みをなす一方向に長い軸体から構成されている。実施形態において、支柱3は、下端を本体フレーム4の平坦部20に平坦面に対して直角方向に長手方向を設定し例えば三角形アングル部材などを用いてビス止め固定されている。支柱3は図8に示すように、例えば角棒状のアルミニウム型材で形成されており、その長手方向に長溝26からなるガイド28が形成されている。ガイド28は、長溝の構成に限ることなく、レールに装架されて移動する転動体の構成とすることもできる。実施形態において、ガイド28にはその長溝26にスライド自在にスライド部材としてのロッド30が配置されており、そのロッド30の上端部にノブなどの操作子32が作業者の操作側に向けて取り付けられている。ガイド28とロッド30とで噴霧杆の開閉移動を操作する開閉操作機構8を構成する。開閉操作機構8は、開閉駆動機構9と連動して噴霧杆6を開閉移動させる。また、支柱3の上端側には、作業者が把持するためのハンドル33が取り付けられている。ハンドル33は、1つの転動部22に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して転動部と作業者で分担して荷重を支持しながら機体全体を移動させる把持部であり、特に、本発明の噴霧機1では、作業者が噴霧機1を引きながら噴霧作業することにより、噴霧薬液を直接吸引することがほとんどなくなり、作業環境を大幅に改善させることができる。
【0025】
噴霧杆6は、その長手方向離隔位置に複数の噴射ノズル5を取り付けて薬液を周囲に噴射させる噴射手段であり、実施形態では下端基部が開閉駆動機構9に連結されて上端側(他端側)をそれぞれ図1の状態から図4,5の状態に扇形状に変位させるように開閉する。噴霧杆6は中空の直状管であり、下端側には薬液供給ホース34に接続される接続ホース34Aに、図示しない止め環などで連結されている。噴射ノズル5は、図9に示すようにそれらの射出方向が相互に所要の角度θを形成するように交互に拡大方向となるように設定されている。実施形態において、噴霧杆6の基部は、図1に示すように、鉛直方向とその位置から互いに外側方向に開いた位置との往復a動作を行なう第1リンクアーム36に連結されている。第1リンクアーム36には、挟持部材38a、38bが締め付け開放自在に設けられており、この締め付け開放を操作する操作レバー40を介して噴霧杆6はその長手軸回りに回動調整可能に取り付けられている(図7参照)。これによって、噴霧杆6を長手軸周りに回動させることにより、噴射角θでの放射方向を調整することができ、噴霧機1を引きながら薬液噴霧させるときに、作業者にかかりにくい角度を任意に設定して噴霧作業を行なうことができる。
【0026】
噴霧杆6は、開閉駆動機構9を介して直接的には開閉駆動される。本実施形態において、支柱3の下端寄り位置には支柱3と直交して水平方向に基板42が固定されている。開閉駆動機構9は、基板42の両端に下端を枢支44されて上端側を鉛直方向と外側90度方向に扇形状に往復回動する第1リンクアームと36と、第1リンクアーム36の上端側に一端(下端)を枢支46されて、他端(上端)をスライドロッド30の下端に枢支48されてスライドロッド30の上下動により直線状に上下動する第2リンクアーム50と、をそれぞれ左右対称に備えている。両方の第2リンクアーム50の上端とスライドロッド30の下端側の枢支部48とは共通軸で枢支されている。両第2リンクアーム50は噴霧杆6が格納されて閉着状態、すなわち支柱3と平行となって機体が直状体となっているときには、逆V字状に形成されているが、枢支部48がガイド28に沿って図1状態から下降し図6のように最大角度(例えば130度程度)で噴霧杆6が開放した状態で水平方向に直線状態に変位する。これによって、図6に示すように、操作子32を上下動させることにより、噴霧杆6を開閉自在に操作することができ、操作者は立ったままの楽な姿勢で手元を軽く上下動させるだけで任意の開度に噴霧杆6を開放設定させることができる。図5〜図8において、操作子32の突出側と逆側となる背面側において、左右両方の第1リンクアームのそれぞれ上端側に両端を連結した付勢ばね52が第1リンクアーム上端を互いに引き付ける方向に付勢して設けられており、これによって、操作者による操作子32のノブを上下動させるときに、軽い操作で楽に作動させることができる。
【0027】
なお、図中54は、ハンドル33の固定金具、55は、薬液供給ホース34を支柱に沿って係止する係止部材であり、長く引きずられながら作業が進められる薬液供給ホースをまとめて作業者の動きや機体の移動の際に邪魔にならないようにする。また、本実施形態では、薬液供給ホース34に連結離脱自在に接続ホース34Aが設けられており、その端部にコネクタ35が取り付けられて本体ホース34とワンタッチで接続、分離できる二様になっている。また、56は、基板42を支柱3に沿って上下動させ植物の成長高さに応じて噴霧位置を上下調整させる際のロックレバーである。
【0028】
次に、実施形態の噴霧機1の作用について説明すると、農業用ハウス(図11参照)100の外部に原動機、ポンプ、薬液タンクを設置し、ポンプに一端を接続した薬液供給ホース34の端部を図示しない開閉コック付きアタッチメントを介して接続ホース34Aに連結する。噴霧機1は、例えばスタンド22を用いて立位とし噴霧杆6を閉着して直状体とさせる。そして、作業者は、前面側FR側に対面し、背面側REを前方にしてハンドル33を把持して機体を例えば傾斜した立位で軽く押しながら農業用ハウス内に進入する。農業用ハウスは、例えば2層ないし3層の断熱層を形成するために、近時、3層ないし4層の被覆ビニルを張設しており、出入り口は観音開き式に押し開き出入する形式で、進入口は極めて狭く、ビニルであるから破れやすい。作業者Mは、ビニルを破らないようにハウス内に機体を進入させ、噴霧機1を若干斜めに傾けた状態で機体を押しながらハンドル操作し、そのまま畝幅hがたとえば30cm程度の狭小路を機体を押送しながら背面側REを前方にしてハウスの例えば100メートル先の終端まで進む。ハウスの行き止まりである終端位置で例えばスタンド22を利用して立位静止させ、その状態で操作子32を緩める方向に回してロック解除して下方に直線状に引き下げる。これによって、リンク機構からなる開閉駆動機構9が作動し、噴霧杆6を図4,5のように拡開させる。その状態で、手元スイッチとしての開閉コックを操作して薬液圧送状態とすると、図10に示すように、噴霧杆6のノズル5から放射状にハウス内に噴霧される。このとき、畝の両側の栽培区画Pに同時に放射状に噴霧される。この状態で作業者Mは、前面側FRに機体を傾斜させ(図2の倒れ方向と逆方向)例えば作業者は後ろ手にして機体を牽引しながら畝の通路を復路方向に戻る。転動部2は一輪車でも噴霧杆6を開いて支柱3の両側に等しい長さで噴霧杆の先端を伸ばしているから左右バランスがとれて安定して機体を後ろ向きに引っ張っても移動させることができる。このように、薬液噴霧は、ハウス内の畝の通路の復路を歩くときについてのみ、行なう。したがって、作業者の進行方向には農薬等の薬液のガスは存在しないから、これらを作業者が吸引することなく、身体への影響を極力なくすることができる。また、機体の全体荷重は動力や薬液タンクを搭載しないから極めて軽量で、例えば7キログラム以下程度で構成することができる。さらに、ハウス内への出入りが楽で、ビニルを傷つけることがなく、さらに、ハウス内での進路変更、転回などの操作も極めて軽易に行なうことができる。
【0029】
図12は、本発明の噴霧機の第2実施形態を示しており、第2実施形態の噴霧機1−2では、支柱3が長手方向中間位置に設けた屈曲部70を介して前面FR側にL字状に屈曲する態様と、直線状に伸長させる態様と、に態様変更自在に設けられ任意の屈曲角度で上半支柱3Aと下半支柱3Bとが固定される点が第1実施形態と異なり、他の部分は第1実施形態と同様の構成である。第2実施形態の噴霧機も1つの転動部2で下端側を支持して直状体となる直状体構造を構成する点は、第1実施形態と同様である。屈曲部70は、下半支柱3Bと上半支柱3Aの上下端部が嵌合状態で屈曲軸72で枢支されて構成されている。そして、締結装置74がこれらの屈曲部を締め付け、解除自在に設けられて任意の角度で上下半支柱を屈曲状態に保持させ、さらに伸張状態に復帰させる。実施形態では、締結装置74は、ナットとボルトレバー式の締結装置が用いられているが、具体的な装置構成は任意である。実施形態において、操作子32の上下動ストローク動作は屈曲部70よりも下位位置で行なわれる。噴霧杆6は、図12のように、格納閉着した状態でもノズル5から噴霧させることができる。例えば第1実施形態のように噴霧杆6を両側に扇形状に開いて噴霧させる対象作物は、スイカ、メロン等うり科植物や、いちご等のように地面に近い箇所で生長し結実させるものであるが、例えばトマトやなすのように立木状態で生育して結実させるものは、畝を移動しながら真横方向に噴霧するほうが作物への薬液散布の効率が良いものもある。この場合には、図12のように、噴霧杆6を格納閉着して支柱3に平行状態に収束させて直状体としておき、その状態で、締着部材72を緩めて上半支柱3Aを前面FR側に任意の屈曲角度で固定し、機体を牽引しながら薬液噴霧させることができる。このように噴霧杆を閉鎖状態で牽引しても全体重量は例えば7キログラム以下程度であるから、T字状のハンドルを把持して確実に操作することができる。本実施形態の噴霧機では、スイカ等のように地面に対し低位置で成長する作物及び、トマト、なす等のように立ち木で成長作物のいずれにも兼用して噴霧作業を行なうことができる。特に、L字状に前面FR側に支柱3を屈曲して噴霧杆6を閉着して立てた状態で噴霧するときにも、噴霧位置から距離を隔てた位置でハンドル33を把持して牽引できるから、立ち木作物の噴霧においても作業者が薬液吸引のおそれを極力なくするようにさせることができる。
【0030】
本発明の噴霧機は、上記した実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲についての改変も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の噴霧機は、上記実施形態では、農業用ハウス内での噴霧に適用したが、それ以外の路地栽培での薬剤噴霧についても適用可能である。さらに、農薬等ばかりでなく、液体肥料の散布などにも有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 噴霧機
2 転動部
3 支柱
4 本体フレーム
5 ノズル
6 噴霧杆
7 直状体構造
8 開閉操作機構
9 開閉駆動機構
14 転動輪
22 立位用スタンド
28 ガイド
30 ロッド
32 操作子
33 ハンドル
34 薬液供給ホース
36 第1リンクアーム
50 第2リンクアーム
100 農業用ハウス
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の防除作業、液肥の施肥作業等に用いられる薬液等の噴霧機であり、特に、農業用ハウス内散布等に用いて好適な噴霧機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小規模あるいは中規模の広さの農耕地での農作物の防除においては、例えば、薬液タンクを作業者が背負って噴霧杆を把持し噴霧杆に取り付けられた複数のノズルから薬液を噴霧する方法、薬液タンク及び圧送ポンプを車輪付き機体に搭載し噴口を有する長管から薬液を噴霧させる方法などが一般に知られている。これらの作業では、噴霧作業する作業者の労力軽減、狭小の畝幅の畝内の移動、操作の簡易性、低コストであること、などが噴霧機選択の要素となる。ところで、農業用ハウス内で栽培される農作物用の薬液散布に際しては、上記のタンク背負い式の噴霧機による場合、例えば短辺長さ6メートル、長辺長さ100メートル程度のハウス内での散布では手動圧縮では現実にはそのような広い面積への作業は困難である。また、薬液タンク、圧送ポンプをハウス外に設置し、ホースにより薬液供給しながら噴霧する方法が考えられるが、この場合、作業者が片持ち状に噴霧杆の一端を把持し、伸ばした他端側のノズルから噴霧させることになる。そして、畝の往復歩行時に片側の作物栽培区画づつについて噴霧作業を行なうから、例えば100メートルの復路の噴霧作業時には既に噴霧を終えた往路時の区画側に散布した薬液が復路側区画に漂流する結果、多量の農薬を吸引しながらの作業となり人体への悪影響を生じさせるおそれがある。また、噴霧杆の片持ち支持状態で長時間の作業を強いられるから、重労働となっていた。また、薬液タンク及び圧送ポンプを車輪付き機体に搭載し噴口を有する長管から薬液を噴霧させるものの例として特許文献1の薬液噴霧車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−34423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の薬液噴霧車では、作業者が噴霧杆を把持するための労力はなくなり、また、薬液の管理などがしやすくなるが、エンジンやモータの駆動源、ポンプ、薬液タンク、機体などにより、全体装置重量が大きくなり装置を前進、行進移動させるのに作業者は大きな労力を要するばかりか、機体全体が大型となり、小さくて狭いハウスの出入り口の出入りや狭小な畝幅の畝の前後進移動が困難であるという問題がある。また、実際の畝での機体の移動時には微妙な軌道修正や方向の変更が必要であるが、特許文献1の薬液噴霧車では、重すぎて作業者は簡単に軌道修正や方向の変更ができず、一見楽そうに見えるが、実際には、小回りが利かない。さらに、コスト高である、という問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で軽量かつ小型であり、しかも微妙な移動方向の修正、変更、転回動作を労力を要することなく簡単に行なえ、さらに噴霧作業時の薬液等の吸引を少なくして人体への影響を小さなものとすることのできる噴霧機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、1つの転動部2と、転動軸16を介して転動部2に装架された本体フレーム4と、本体フレーム4に一端を固定され本体フレームと一体化された支柱3と、支柱3を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル5付噴霧杆6であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホース34に接続されてノズル5から薬液を噴霧するノズル付噴霧杆6と、機体全体を1つの転動部2に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆6を格納閉着させて支柱3と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造7と、を備えた噴霧機1から構成される。噴霧機は単に移動させるときは、噴霧杆を格納閉着させて機体全体を直状体とした状態で移動させる。したがって、狭い出入り口も農業用ハウスのビニル被覆体などを破らずに簡単に出入りさせることができる。にもかかわらず、支柱の両側に開閉する噴霧杆を備えているから農業用ハウスの終端まで機体を移動し、畝の復路移動時にのみ噴霧杆を開いて両側の栽培区画に対して同時に薬液噴霧させる。したがって、作業者は直接に農薬等を吸引することはなく、人体への影響を少なくすることができる。薬液タンク、原動機、ポンプは搭載せず、さらに1つの転動部での立位で移動するから、作業者への機体移動時の負荷は極めて少なく、機体の方向変更、修正、転回等も簡単かつ自在に行なえる。さらに、他の棟のハウスへの移動も簡単である。本体フレームや支柱は金属、軽金属で構成することもできるが、合成樹脂プラスチック、FRP材などで構成して軽量化を図ることもできる。
【0007】
その際、転動部2近傍に支柱3の長手方向と所要角度で突設され直状体(7)を起立させた状態で保持させるスタンド22を設けると良い。スタンドは本体フレームに対してヒンジやばねなどを用いて起立、倒伏自在とすることもできるが、固定的に所定角度で取り付けても良い。板材、線条材などを用いることができるが、軽量化のためには線条材を用いて形成するとよい。
【0008】
また、支柱3の他端には、1つの転動部2に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して機体全体を手動牽引可能なハンドル33が設けられるとよい。具体的なハンドル形状は環状、ブロック状、T字杆状など任意に構成できる。指型の凹部をグリップ部分に設けても良い。
【0009】
また、噴霧杆6はその長手軸回りに回動可能に固定されるようにしてもよい。支柱から両側に開いた噴霧杆のノズルの噴霧放射角度を調整するから、作業時に最も作業者に薬液噴霧が被着しにくい角度を自在に設定することができる。
【0010】
また、支柱3の長手方向に設けたガイド28に沿って支柱3の長手方向に移動する操作子32を介して噴霧杆6を開閉操作する開閉操作機構8を備えるとよい。立位で機体を移動し噴霧杆を開いて噴霧作業を行なうときに無理のない姿勢で楽に噴霧杆を開く作業を行なえる。噴霧杆の開閉駆動機構は、モータ駆動などとしても良いが、軽量、低コストのためには、リンク機構などを用いるのが好ましい。
【0011】
また、転動部2は一輪車で形成されているとよい。転動部自体は、複数輪を密着並列させた転動輪でもよいが、一輪車とするのが軽量化、小回りの利き方などの点で優れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る噴霧機によれば、1つの転動部と、転動軸を介して転動部に装架された本体フレームと、本体フレームに一端を固定され本体フレームと一体化された支柱と、支柱を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル付噴霧杆であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホースに接続されてノズルから薬液を噴霧するノズル付噴霧杆と、
機体全体を1つの転動部に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆を格納閉着させて支柱と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造と、を備えた構成であるから、簡単な構成で軽量かつ小型であり、しかも微妙な移動方向の修正、変更、転回動作を労力を要することなく簡単に行なえ、低コストであり、さらに噴霧作業時の薬液等の吸引を少なくして人体への影響を小さなものとすることができる。
【0013】
また、転動部近傍に支柱の長手方向と所要角度で突設され直状体を起立させた状態で保持させるスタンドを設けることにより、特に、立位移動時のハウス出入り口や畝等の狭小スペースで寸時停止させて再移動するときや、寸時自立させて他の作業を行なうときなどにおいて、取扱利便性を向上し実用的である。
【0014】
また、支柱の他端には、1つの転動部に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して機体全体を手動牽引可能なハンドルが設けられた構成とすることにより、支柱の上部を作業者が把持して立位で機体移動、方向制御などを簡単に行なえる。また、農業用ハウス内での復路噴霧作業時に機体を後ろ手で把持して牽引するときに作業者が安定して支柱上端部を把持することができる。
【0015】
また、噴霧杆はその長手軸回りに回動可能に固定された構成とすることにより、支柱から両側に開いた噴霧杆のノズルの噴霧放射角度を調整し、作業時に最も作業者に薬液噴霧が被着しにくい角度を自在に設定することができる。
【0016】
また、支柱の長手方向に設けたガイドに沿って支柱の長手方向に移動する操作子を介して噴霧杆を開閉操作する開閉操作機構を備えた構成とすることにより、立位で機体を移動し噴霧杆を開いて噴霧作業を行なうときに無理のない姿勢で楽に噴霧杆を開く作業を行なえる。
【0017】
また、転動部は一輪車で形成することにより、機体全体が軽量化し、機体の操作や動きの制御が簡単で軽易であるとともに、小回りが利いて実用性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る噴霧機の噴霧杆を格納閉着した状態の正面図である。
【図2】図1の噴霧機をスタンドを利用して自立させた状態の右側面図である。
【図3】図1の噴霧機の噴霧杆を開いた状態の右側面図である。
【図4】図3の噴霧機を正面側から見た図である。
【図5】図4の噴霧機を背面側から見た図である。
【図6】図1の噴霧機の開閉駆動機構部分の拡大作用正面説明図である。
【図7】図1の噴霧機の開閉駆動機構部分の拡大作用背面説明図である。
【図8】図4のA−A線矢視図である。
【図9】図4のB−B線矢視図である。
【図10】図1の噴霧機の噴霧杆を開いて薬液を噴霧している状態を示す作用説明図である。
【図11】図1の噴霧機を用いた作業状態を示す概略説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る噴霧機の作用説明を兼ねた側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の第1実施形態に係る噴霧機について図1〜図11を参照して説明する。本発明の噴霧機は、農作物の防除用の薬液や液肥の施肥等に用いられる噴霧機であり、薬液供給装置からの薬液を供給する供給ホースに接続されて用いられる。
【0020】
図1,2において、本実施形態の噴霧機1は、1つの転動部2と、支柱3と、転動部2に装架された本体フレーム4と、支柱の両側に展開格納自在に設けられたノズル5付き噴霧杆6と、機体全体の直状体構造7と、を備えている。すなわち、実施形態の噴霧機1は、薬液タンクやポンプ、原動機を備えておらず、転動部2以外では支柱3と、本体フレーム4と、噴霧杆6と、のみを有する構成である。このため、全体重量は、軽量でしかも立位は縦長で平面視では例えば特許文献1等の装置に比較して極めて小型である。ここで、直状体構造7とは、機体全体を1つの転動部2に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆6を格納閉着させて支柱3と平行な状態で形成される機体全体の構造である。支柱は、後述するように一部を屈曲させて用いる場合も支柱の主要部分が噴霧杆6の格納閉着時に支柱3と平行な状態で形成されるものであれば、直状体構造7である。
【0021】
転動部2は、機体移動時に唯一の接地移動走行部となる転動手段であり、その際、図11に示すように作業者と分担して機体全体を支持する。実施形態において、転動部2は、ハブ10にタイヤ12を装着した一輪車としての転動輪14で形成されている。転動部2は、必ずしも一輪車に限定されるものではなく、2個あるいはそれ以上の転動輪を密接し同軸で連結させるようにしてもよいが、一輪車とすると小回りが利き、微妙な走行方向の修正や変更、転回を簡単に行なえるだけでなく、軽量で機体全体の取扱が楽である。また、転動部はタイヤ付き車輪でなくともホイールのみのものでもよい。
【0022】
本体フレーム4は、転動部2で接地側を転動自在としつつ支柱3や噴霧杆6等を転動部2に装架させる基台であり、実施形態では、転動輪14の転動軸16を介して転動部2に架設されている。詳細には、図1,3に示すようにハブの軸受の軸孔を貫通して両端をハブ10から突設させて転動軸16が取り付けられており、本体フレーム4は転動輪14の上半部を非接触で跨るように設けた逆U字板部18と、逆U字板部18の上面に水平状に固定された平坦部20と、を含む。本体フレーム4は例えば鉄あるいはステンレス、その他の金属あるいは合成樹脂プラスチック等から構成されている。
【0023】
この本体フレーム4は、図1,3に示すように、タイヤ直径より充分に狭い幅の板材を逆U字形状に成形したものでよく、小型で構成できる。実施形態において、本体フレーム4には立位用スタンド22が取り付けられている。立位用スタンド22は、噴霧杆6を閉着して噴霧機を立てて直状体とした状態で自立させて仮置きする際などに使用される立位姿勢支持手段であり、実施形態では、本体フレーム4の逆U字の両側壁4a、4bがそれぞれ半径方向に伸びて中心位置で転動軸16を軸支しており、この半径方向から直角状、すなわち、支柱3の長手方向に対して直角状に立位用スタンド22が突設して取り付けられている。立位用スタンドの突設方向は支柱3の長手方向に対して直角でなくともよく、機体を傾斜状態として転動輪とともに立位支持可能な任意の角度で取り付けても良い。この立位用スタンド22は、実施形態では変形四角枠のループを形成する金属線条で形成されて軽量化が図られている。立位用スタンド22は、機体全体を立位支持する場合には、図2に示すようにスタンドの突設端側を接地し、機体をスタンドの突設端側に傾斜させた状態で支持し、このとき、スタンドの突設端部と転動輪14とで荷重を分担支持する。また、本体フレーム4の逆U字板部18及び、立位用スタンド22には、薬液供給ホースの中途部を装着離脱自在に仮止めする仮止め部材24a、24bが取り付けられており、薬液供給装置60に接続されて薬液を装置から離隔した場所に供給する薬液供給ホースの端部寄り側を仮止めして取りまとめしやすくしている。ちなみに、本体フレーム4の逆U字板部18にはフック状の、また、立位用スタンド22の先端側にはリング状の仮止め部材24a、24bが固定されている。
【0024】
支柱3は、転動輪から一方向に伸びて機体の中央に設置され噴霧杆の格納展開支持を行なうとともに、その把持、手動操作で機体全体の移動や立位保持を制御する本体骨組みをなす一方向に長い軸体から構成されている。実施形態において、支柱3は、下端を本体フレーム4の平坦部20に平坦面に対して直角方向に長手方向を設定し例えば三角形アングル部材などを用いてビス止め固定されている。支柱3は図8に示すように、例えば角棒状のアルミニウム型材で形成されており、その長手方向に長溝26からなるガイド28が形成されている。ガイド28は、長溝の構成に限ることなく、レールに装架されて移動する転動体の構成とすることもできる。実施形態において、ガイド28にはその長溝26にスライド自在にスライド部材としてのロッド30が配置されており、そのロッド30の上端部にノブなどの操作子32が作業者の操作側に向けて取り付けられている。ガイド28とロッド30とで噴霧杆の開閉移動を操作する開閉操作機構8を構成する。開閉操作機構8は、開閉駆動機構9と連動して噴霧杆6を開閉移動させる。また、支柱3の上端側には、作業者が把持するためのハンドル33が取り付けられている。ハンドル33は、1つの転動部22に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して転動部と作業者で分担して荷重を支持しながら機体全体を移動させる把持部であり、特に、本発明の噴霧機1では、作業者が噴霧機1を引きながら噴霧作業することにより、噴霧薬液を直接吸引することがほとんどなくなり、作業環境を大幅に改善させることができる。
【0025】
噴霧杆6は、その長手方向離隔位置に複数の噴射ノズル5を取り付けて薬液を周囲に噴射させる噴射手段であり、実施形態では下端基部が開閉駆動機構9に連結されて上端側(他端側)をそれぞれ図1の状態から図4,5の状態に扇形状に変位させるように開閉する。噴霧杆6は中空の直状管であり、下端側には薬液供給ホース34に接続される接続ホース34Aに、図示しない止め環などで連結されている。噴射ノズル5は、図9に示すようにそれらの射出方向が相互に所要の角度θを形成するように交互に拡大方向となるように設定されている。実施形態において、噴霧杆6の基部は、図1に示すように、鉛直方向とその位置から互いに外側方向に開いた位置との往復a動作を行なう第1リンクアーム36に連結されている。第1リンクアーム36には、挟持部材38a、38bが締め付け開放自在に設けられており、この締め付け開放を操作する操作レバー40を介して噴霧杆6はその長手軸回りに回動調整可能に取り付けられている(図7参照)。これによって、噴霧杆6を長手軸周りに回動させることにより、噴射角θでの放射方向を調整することができ、噴霧機1を引きながら薬液噴霧させるときに、作業者にかかりにくい角度を任意に設定して噴霧作業を行なうことができる。
【0026】
噴霧杆6は、開閉駆動機構9を介して直接的には開閉駆動される。本実施形態において、支柱3の下端寄り位置には支柱3と直交して水平方向に基板42が固定されている。開閉駆動機構9は、基板42の両端に下端を枢支44されて上端側を鉛直方向と外側90度方向に扇形状に往復回動する第1リンクアームと36と、第1リンクアーム36の上端側に一端(下端)を枢支46されて、他端(上端)をスライドロッド30の下端に枢支48されてスライドロッド30の上下動により直線状に上下動する第2リンクアーム50と、をそれぞれ左右対称に備えている。両方の第2リンクアーム50の上端とスライドロッド30の下端側の枢支部48とは共通軸で枢支されている。両第2リンクアーム50は噴霧杆6が格納されて閉着状態、すなわち支柱3と平行となって機体が直状体となっているときには、逆V字状に形成されているが、枢支部48がガイド28に沿って図1状態から下降し図6のように最大角度(例えば130度程度)で噴霧杆6が開放した状態で水平方向に直線状態に変位する。これによって、図6に示すように、操作子32を上下動させることにより、噴霧杆6を開閉自在に操作することができ、操作者は立ったままの楽な姿勢で手元を軽く上下動させるだけで任意の開度に噴霧杆6を開放設定させることができる。図5〜図8において、操作子32の突出側と逆側となる背面側において、左右両方の第1リンクアームのそれぞれ上端側に両端を連結した付勢ばね52が第1リンクアーム上端を互いに引き付ける方向に付勢して設けられており、これによって、操作者による操作子32のノブを上下動させるときに、軽い操作で楽に作動させることができる。
【0027】
なお、図中54は、ハンドル33の固定金具、55は、薬液供給ホース34を支柱に沿って係止する係止部材であり、長く引きずられながら作業が進められる薬液供給ホースをまとめて作業者の動きや機体の移動の際に邪魔にならないようにする。また、本実施形態では、薬液供給ホース34に連結離脱自在に接続ホース34Aが設けられており、その端部にコネクタ35が取り付けられて本体ホース34とワンタッチで接続、分離できる二様になっている。また、56は、基板42を支柱3に沿って上下動させ植物の成長高さに応じて噴霧位置を上下調整させる際のロックレバーである。
【0028】
次に、実施形態の噴霧機1の作用について説明すると、農業用ハウス(図11参照)100の外部に原動機、ポンプ、薬液タンクを設置し、ポンプに一端を接続した薬液供給ホース34の端部を図示しない開閉コック付きアタッチメントを介して接続ホース34Aに連結する。噴霧機1は、例えばスタンド22を用いて立位とし噴霧杆6を閉着して直状体とさせる。そして、作業者は、前面側FR側に対面し、背面側REを前方にしてハンドル33を把持して機体を例えば傾斜した立位で軽く押しながら農業用ハウス内に進入する。農業用ハウスは、例えば2層ないし3層の断熱層を形成するために、近時、3層ないし4層の被覆ビニルを張設しており、出入り口は観音開き式に押し開き出入する形式で、進入口は極めて狭く、ビニルであるから破れやすい。作業者Mは、ビニルを破らないようにハウス内に機体を進入させ、噴霧機1を若干斜めに傾けた状態で機体を押しながらハンドル操作し、そのまま畝幅hがたとえば30cm程度の狭小路を機体を押送しながら背面側REを前方にしてハウスの例えば100メートル先の終端まで進む。ハウスの行き止まりである終端位置で例えばスタンド22を利用して立位静止させ、その状態で操作子32を緩める方向に回してロック解除して下方に直線状に引き下げる。これによって、リンク機構からなる開閉駆動機構9が作動し、噴霧杆6を図4,5のように拡開させる。その状態で、手元スイッチとしての開閉コックを操作して薬液圧送状態とすると、図10に示すように、噴霧杆6のノズル5から放射状にハウス内に噴霧される。このとき、畝の両側の栽培区画Pに同時に放射状に噴霧される。この状態で作業者Mは、前面側FRに機体を傾斜させ(図2の倒れ方向と逆方向)例えば作業者は後ろ手にして機体を牽引しながら畝の通路を復路方向に戻る。転動部2は一輪車でも噴霧杆6を開いて支柱3の両側に等しい長さで噴霧杆の先端を伸ばしているから左右バランスがとれて安定して機体を後ろ向きに引っ張っても移動させることができる。このように、薬液噴霧は、ハウス内の畝の通路の復路を歩くときについてのみ、行なう。したがって、作業者の進行方向には農薬等の薬液のガスは存在しないから、これらを作業者が吸引することなく、身体への影響を極力なくすることができる。また、機体の全体荷重は動力や薬液タンクを搭載しないから極めて軽量で、例えば7キログラム以下程度で構成することができる。さらに、ハウス内への出入りが楽で、ビニルを傷つけることがなく、さらに、ハウス内での進路変更、転回などの操作も極めて軽易に行なうことができる。
【0029】
図12は、本発明の噴霧機の第2実施形態を示しており、第2実施形態の噴霧機1−2では、支柱3が長手方向中間位置に設けた屈曲部70を介して前面FR側にL字状に屈曲する態様と、直線状に伸長させる態様と、に態様変更自在に設けられ任意の屈曲角度で上半支柱3Aと下半支柱3Bとが固定される点が第1実施形態と異なり、他の部分は第1実施形態と同様の構成である。第2実施形態の噴霧機も1つの転動部2で下端側を支持して直状体となる直状体構造を構成する点は、第1実施形態と同様である。屈曲部70は、下半支柱3Bと上半支柱3Aの上下端部が嵌合状態で屈曲軸72で枢支されて構成されている。そして、締結装置74がこれらの屈曲部を締め付け、解除自在に設けられて任意の角度で上下半支柱を屈曲状態に保持させ、さらに伸張状態に復帰させる。実施形態では、締結装置74は、ナットとボルトレバー式の締結装置が用いられているが、具体的な装置構成は任意である。実施形態において、操作子32の上下動ストローク動作は屈曲部70よりも下位位置で行なわれる。噴霧杆6は、図12のように、格納閉着した状態でもノズル5から噴霧させることができる。例えば第1実施形態のように噴霧杆6を両側に扇形状に開いて噴霧させる対象作物は、スイカ、メロン等うり科植物や、いちご等のように地面に近い箇所で生長し結実させるものであるが、例えばトマトやなすのように立木状態で生育して結実させるものは、畝を移動しながら真横方向に噴霧するほうが作物への薬液散布の効率が良いものもある。この場合には、図12のように、噴霧杆6を格納閉着して支柱3に平行状態に収束させて直状体としておき、その状態で、締着部材72を緩めて上半支柱3Aを前面FR側に任意の屈曲角度で固定し、機体を牽引しながら薬液噴霧させることができる。このように噴霧杆を閉鎖状態で牽引しても全体重量は例えば7キログラム以下程度であるから、T字状のハンドルを把持して確実に操作することができる。本実施形態の噴霧機では、スイカ等のように地面に対し低位置で成長する作物及び、トマト、なす等のように立ち木で成長作物のいずれにも兼用して噴霧作業を行なうことができる。特に、L字状に前面FR側に支柱3を屈曲して噴霧杆6を閉着して立てた状態で噴霧するときにも、噴霧位置から距離を隔てた位置でハンドル33を把持して牽引できるから、立ち木作物の噴霧においても作業者が薬液吸引のおそれを極力なくするようにさせることができる。
【0030】
本発明の噴霧機は、上記した実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲についての改変も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の噴霧機は、上記実施形態では、農業用ハウス内での噴霧に適用したが、それ以外の路地栽培での薬剤噴霧についても適用可能である。さらに、農薬等ばかりでなく、液体肥料の散布などにも有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 噴霧機
2 転動部
3 支柱
4 本体フレーム
5 ノズル
6 噴霧杆
7 直状体構造
8 開閉操作機構
9 開閉駆動機構
14 転動輪
22 立位用スタンド
28 ガイド
30 ロッド
32 操作子
33 ハンドル
34 薬液供給ホース
36 第1リンクアーム
50 第2リンクアーム
100 農業用ハウス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの転動部と、
転動軸を介して転動部に装架された本体フレームと、
本体フレームに一端を固定され本体フレームと一体化された支柱と、
支柱を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル付噴霧杆であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホースに接続されてノズルから薬液を噴霧するノズル付噴霧杆と、
機体全体を1つの転動部に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆を格納閉着させて支柱と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造と、を備えたことを特徴とする噴霧機。
【請求項2】
転動部近傍に支柱の長手方向と所要角度で突設され直状体を起立させた状態で保持させるスタンドが設けられていることを特徴とする請求項1記載の噴霧機。
【請求項3】
支柱の他端には、1つの転動部に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して機体全体を手動牽引可能なハンドルが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の噴霧機。
【請求項4】
噴霧杆はその長手軸回りに回動可能に固定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の噴霧機。
【請求項5】
支柱の長手方向に設けたガイドに沿って支柱の長手方向に移動する操作子を介して噴霧杆を開閉操作する開閉操作機構を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の噴霧機。
【請求項6】
転動部は一輪車で形成されていることを特徴とする1ないし5のいずれかに記載の噴霧機。
【請求項7】
支柱は長手方向中間位置で少なくとも作業者側の立ち位置側に上部側を屈曲固定自在に設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の噴霧機。
【請求項1】
1つの転動部と、
転動軸を介して転動部に装架された本体フレームと、
本体フレームに一端を固定され本体フレームと一体化された支柱と、
支柱を中央にしてその両側に開閉自在に開杆するノズル付噴霧杆であって、薬液供給装置から供給される薬液の供給ホースに接続されてノズルから薬液を噴霧するノズル付噴霧杆と、
機体全体を1つの転動部に支持させた状態で機体全体を立位で取り扱い移動可能なように、噴霧杆を格納閉着させて支柱と平行な状態で形成される機体全体の直状体構造と、を備えたことを特徴とする噴霧機。
【請求項2】
転動部近傍に支柱の長手方向と所要角度で突設され直状体を起立させた状態で保持させるスタンドが設けられていることを特徴とする請求項1記載の噴霧機。
【請求項3】
支柱の他端には、1つの転動部に下端側を支持させ機体全体を傾斜させた状態で把持して機体全体を手動牽引可能なハンドルが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の噴霧機。
【請求項4】
噴霧杆はその長手軸回りに回動可能に固定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の噴霧機。
【請求項5】
支柱の長手方向に設けたガイドに沿って支柱の長手方向に移動する操作子を介して噴霧杆を開閉操作する開閉操作機構を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の噴霧機。
【請求項6】
転動部は一輪車で形成されていることを特徴とする1ないし5のいずれかに記載の噴霧機。
【請求項7】
支柱は長手方向中間位置で少なくとも作業者側の立ち位置側に上部側を屈曲固定自在に設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の噴霧機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−217689(P2011−217689A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91904(P2010−91904)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(510103141)有限会社キョウユー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(510103141)有限会社キョウユー (1)
【Fターム(参考)】
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