説明

噴霧装置

【課題】 流量比率の調節を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】 送り込まれた噴霧用気体の噴出に伴い液を吸い込んで噴霧させるための噴霧用ノズル2と、ノズル2へ上記気体を送り込むとともに該気体の送り込み量を調節する気体送り込み装置3と、ノズル2の液吸い込み側に設けられた液吸い込み用の管4と、ノズル2の液吸い込み側に、上記液吸い込み用の管4と並設された1または2以上の可撓性の液送り出し用チューブ5と、チューブ5の途中に設けられ、チューブ5を押し付けて閉塞しつつその閉塞位置をノズル2側へ移動させるとともにその移動速度を調整する液送り出し手段6とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば脱臭液などの各種液体を、噴霧用気体の噴出に伴わせて噴霧する噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した噴霧装置として、複数の液を混合して噴霧するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この噴霧装置は、噴霧ノズルの吸い込み側に複数の管が、出側端部を同一面上に揃えて設けられていて、これらの管の出側端部を覆うように回転板が配置され、その回転板に管の出側端部を通りかつ深さを変化させて設けた溝の深さを、回転板の回転角度により変化させることで、管出側端部と溝底との隙間の大きさを調整し、複数の液の混合比率を変化させるように構成されている。
【特許文献1】特開昭61−18459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術による場合には、回転板の角度調整により前記隙間の調整が可能であっても、各管の出側端部の位置が決まっているとともに、溝深さが回転板の位置に応じて決まっているため、或る管の流量を調整すると、他の管の出側端部と溝深さとの位置関係も変化するために他の管の流量も変化し、流量比率の調節が難しいという難点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を解消するためになされたものであり、流量比率の調節を容易に行うことができる噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、送り込まれた噴霧用気体の噴出に伴い液を吸い込んで噴霧させるための噴霧用ノズルと、該ノズルへ上記気体を送り込むとともに該気体の送り込み量を調節する気体送り込み装置と、該ノズルの液吸い込み側に設けられた液吸い込み用の管と、該ノズルの液吸い込み側に、上記液吸い込み用の管と並設された1または2以上の可撓性の液送り出し用チューブと、該チューブの途中に設けられ、該チューブを押し付けて閉塞しつつその閉塞位置をノズル側へ移動させるとともにその移動速度を調整する液送り出し手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記液送り出し手段は、チューブの途中を円弧状に湾曲させて保持する湾曲内周面を有する保持部材と、該保持部材にて保持されたチューブを湾曲内周面へ押し付けて閉塞させる少なくとも2以上の閉塞部材と、これら閉塞部材を湾曲内周面に沿って移動させる回転部材とを備え、該回転部材は回転速度が調整される構成となっていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記湾曲内周面の内側または閉塞部材のチューブ側に、クッション材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明による場合には、気体送り込み装置がノズルへ噴霧用気体を送り込むと、液吸い込み用の管からノズルへ液が吸い込まれる。このとき、気体送り込み装置による気体の送り込み量の調節により、液吸い込み用の管を介してノズルへ吸い込まれる液の量が調整される。一方、ノズルへは、液送り出し用チューブから液が液送り出し手段により強制的に送り込まれる。よって、気体送り込み装置により気体の送り込み量を或る一定値に調節すると、液吸い込み用の管を介してノズルへ吸い込まれる液の量が一定値に調整されるが、このとき、液送り出し手段により液送り出し用チューブから液が強制的に送り込まれていると、その送り込まれる液量分だけ液吸い込み用の管を介してノズルへ吸い込まれる液の量が減少する。このため、各液の混合比率は、気体送り込み装置による気体の送り込み量と、液送り出し手段による液の強制的な送り出し量とに基づき、一義的に決定されるので、流量比率の調節を容易に行うことができる。
【0010】
請求項2の発明による場合には、保持部材にて保持されたチューブを閉塞部材が湾曲内周面へ押し付けると、チューブが閉塞してチューブ内を送られる液が堰止められるが、閉塞部材を回転部材が湾曲内周面に沿って移動させるので、液を堰止めつつ移動させることが可能となる。そして、閉塞部材が湾曲内周面から外れると、堰止められていた液がノズルへ強制的に送り込まれる。このとき、別の閉塞部材が湾曲内周面へチューブを押し付けるように配置しておくことで、所定量の液の強制的送り込みが可能となる。
【0011】
請求項3の発明による場合には、閉塞部材と湾曲内周面との離隔距離が部分的に変動しても、クッション材がその変動を吸収するので、閉塞部材によるチューブの閉塞化を確実に行わせ得、液の堰止め不良を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を具体的に説明する。
【0013】
図1は本実施形態に係る噴霧装置の全体構成を示す模式図で、図2はその噴霧装置に設けられた噴霧用ノズルを示す側面断面図、図3はその噴霧装置に設けられた液送り出し手段を示す平面図、図4は図3のA−A線による断面図である。
【0014】
この噴霧装置1は、図1に示すように噴霧用ノズル2と、ノズル2へ噴霧用気体を送り込む気体送り込み装置3と、ノズル2に接続された液吸い込み用の管4と、ノズル2に接続された可撓性の液送り出し用チューブ5と、チューブ5の途中に設けられた液送り出し手段6とを具備する。
【0015】
噴霧用ノズル2は、図2に示すように気体供給口2aと液吸い込み口2bと噴出口2cとを有し、気体供給口2aへ気体送り込み装置3から送り込まれた噴霧用気体の噴出口2cからの噴出に伴い、液吸い込み口2bへ液を吸い込んで、噴出口2cから気体と一緒に噴霧させるように構成されており、液吸い込み口2bには、上記管4とチューブ5の各先端が並設状態で接続されている。管4の基端は、第1容器7に貯留された液7a、例えば脱臭液に浸漬され、チューブ5の基端は、第2容器8に貯留された液8a、例えば希釈水に浸漬されている。なお、図2中の2dは、噴霧調整バルブである。
【0016】
気体送り込み装置3は、例えばコンプレッサーからなり、ノズル2へ送り込む気体の送り込み量を調節することができる。よって、上記液7aは、気体送り込み装置3からノズル2へ送り込まれる噴霧用気体の噴出量に応じた量で管4にて吸い込まれ、ノズル2へ供給される。
【0017】
液送り出し手段6は、可撓性のチューブ5の途中を円弧状に湾曲させて保持する湾曲内周面10aを有する保持部材10と、湾曲内周面10aの内面に貼着されたクッション材11と、保持部材10にて保持されたチューブ5を湾曲内周面10aへ押し付けて閉塞させる2つの閉塞部材としての円柱体12と、これら円柱体12を湾曲内周面10aに沿って移動させる回転部材13とを備える。上記回転部材13は、支柱13bにより一定距離離隔して対向配設された一対の円形板13aと、これら円形板13aに図示しない取付部材を介してモータ軸14aが取付けられた電動モータ14とを有し、電動モータ14により回転速度が調整されるようになっており、上述した一対の円形板13aの間に挟まれ、かつ軸12aを各円形板13aの外周縁近傍に回動可能に支持されて上記円柱体12が設けられている。
【0018】
また、円柱体12と湾曲内周面10aとの間の距離は、クッション材11の厚み寸法と、チューブ5の肉厚の二倍の寸法との合計よりも少し短く設定されていて、上記円柱体12は湾曲内周面10aと向かい合うとき、保持部材10にて保持されたチューブ5を湾曲内周面10aへ押し付けて閉塞させ、チューブ5内を送られる液8aを堰止める。そして、上記円柱体12は、回転部材13が電動モータ14により回転駆動されると湾曲内周面10aに沿って公転するとともに、チューブ5を閉塞させつつ自転する。加えて、湾曲内周面10aは、円形板13aの半周よりも長く設定されていて、一方の円柱体12がチューブ5を湾曲内周面10aへ押し付けて閉塞させた状態から公転し、湾曲内周面10aより外れてチューブ5が非閉塞、つまり液8aを通流させる状態に変位する前に、他方の円柱体12がチューブ5を湾曲内周面10aへ押し付けて閉塞させるように構成されているので、一定量の液8aを堰止めつつ移動させることが可能となる。そして、円柱体12が湾曲内周面10aから外れると、堰止められていた一定量の液8aをノズル2へ強制的に送り込む。その送り込み量は、モータ14の回転速度を調節することで調整される。
【0019】
このように液8aを送り込む円柱体12と湾曲内周面10aとの間には、クッション材11が設けられているので、円柱体12と湾曲内周面10aとの離隔距離が部分的に変動しても、クッション材11がその変動を吸収するため、円柱体12によるチューブ5の閉塞化を確実に行うことができ、これにより液8aの堰止め不良を防止できる。なお、クッション材11は、円柱体12の外周側(チューブ側)に設けてもよい。
【0020】
このように構成された本実施形態に係る噴霧装置1による場合には、気体送り込み装置3がノズル2へ噴霧用気体を送り込むと、液吸い込み用の管4からノズル2へ液7aが吸い込まれる。このとき、気体送り込み装置3による気体の送り込み量の調節により、液吸い込み用の管4を介してノズル2へ吸い込まれる液7aの量が調整される。一方、ノズル2へは、上述したように液送り出し用チューブ5から液8aが液送り出し手段6により強制的に送り込まれる。よって、気体送り込み装置3により気体の送り込み量を或る一定値に調節すると、液吸い込み用の管4を介してノズル2へ吸い込まれる液7aの量が一定値に調整されるが、このとき、液送り出し手段6により液送り出し用チューブ5から液8aが強制的に送り込まれていると、その送り込まれる液量分だけ液吸い込み用の管4を介してノズル2へ吸い込まれる液7aの量が減少する。このため、各液7a、8aの混合比率は、気体送り込み装置3による気体の送り込み量と、液送り出し手段6による液8aの強制的な送り出し量とに基づき、一義的に決定される。
【0021】
例えば、モータ14の回転を停止して液送り出し手段6をオフした状態で、気体送り込み装置3をオンすると、液吸い込み用の管4へ液7aが吸い込まれ、ノズル2から噴出される。このときのノズル2からの液7aの噴出量は、気体送り込み装置3としてのコンプレッサ圧に応じた一定量となる。ここで、その一定量を、例えば10ミリリットルとする。そして、コンプレッサ圧をそのままにし、モータ14の回転を、液8aの送り出し量が5ミリリットルとなるように設定すると、ノズル2からの噴出量はコンプレッサ圧に応じた10ミリリットルであるため、液吸い込み用の管4を介してノズル2から噴出される液7aの量は5ミリリットルとなる。よって、本実施形態による場合には、流量比率の調節を容易に行うことができる。
【0022】
なお、上述した実施形態における液送り出し手段を、保持部材の湾曲内周面とこれに沿って移動する円柱体との間で液送り出し用チューブを押し付けて閉塞させる構成としているが、本発明はこれに限らない。例えば、直線状の板と直線状に往復移動する円柱体との間で液送り出し用チューブを押し付けて閉塞させる構成としてもよい。
【0023】
また、上述した実施形態では液送り出し用チューブ及び液送り出し手段を一つ設けた構成としているが、本発明はこれに限らず、液送り出し用チューブ及び液送り出し手段を2つ以上設けた構成としてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る噴霧装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1の噴霧装置に設けられた噴霧用ノズルを示す側面断面図である。
【図3】図1の噴霧装置に設けられた液送り出し手段を示す平面図である。
【図4】図3のA−A線による断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 噴霧装置
2 噴霧用ノズル
3 気体送り込み装置
4 液吸い込み用の管
5 液送り出し用チューブ
6 液送り出し手段
7a、8a 液
10 保持部材
10a 湾曲内周面
11 クッション材
12 円柱体(閉塞部材)
13 回転部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り込まれた噴霧用気体の噴出に伴い液を吸い込んで噴霧させるための噴霧用ノズルと、
該ノズルへ上記気体を送り込むとともに該気体の送り込み量を調節する気体送り込み装置と、
該ノズルの液吸い込み側に設けられた液吸い込み用の管と、
該ノズルの液吸い込み側に、上記液吸い込み用の管と並設された1または2以上の可撓性の液送り出し用チューブと、
該チューブの途中に設けられ、該チューブを押し付けて閉塞しつつその閉塞位置をノズル側へ移動させるとともにその移動速度を調整する液送り出し手段とを具備することを特徴とする噴霧装置。
【請求項2】
前記液送り出し手段は、チューブの途中を円弧状に湾曲させて保持する湾曲内周面を有する保持部材と、該保持部材にて保持されたチューブを湾曲内周面へ押し付けて閉塞させる少なくとも2以上の閉塞部材と、これら閉塞部材を湾曲内周面に沿って移動させる回転部材とを備え、該回転部材は回転速度が調整される構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記湾曲内周面の内側または閉塞部材のチューブ側に、クッション材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の噴霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−88117(P2006−88117A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280312(P2004−280312)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(504362396)
【出願人】(504362400)
【出願人】(504362776)
【Fターム(参考)】