説明

回折格子支援自浄性材料

【課題】自浄性材料を提供する。
【解決手段】第1の表面730および第2の表面740を有する基材100を含み得る自浄性材料10が一般に記載される。自浄性層110が、基材100の第1の表面730に配置され得る。自浄性層110の露出表面に回折格子105が形成され得、ここで、自浄性層110による、露出表面に入射する光の吸収が、回折格子105によって、回折格子105に対応するブレーズ条件に応じて、高められ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「自浄性材料(Self-cleaning Material)」と題された、2009年5月14日出願の、同時係属中の米国特許出願第12/465,717号(代理人整理番号第COW−012−1号)に関する。
【0002】
背景
本開示は、自浄性材料に関し、より詳細には、ブレーズド回折格子を有する自浄性層を用いた材料に関する。
【背景技術】
【0003】
製品および表面を長期間にわたって清潔に保つのに、自浄性材料が効果的である。自浄性材料は、建物の外装、浴室、窓、および様々な表面用のコーティングを含む多くの用途にますます用いられている。
【0004】
以下の詳細な説明は、以下の説明および添付の特許請求の範囲とともに、本開示の複数の実施形態のうちの1つまたは複数を示す添付の図面と併せて解釈して読むと、より一層理解されよう。しかしながら、本開示の様々な実施形態が、図面に示された厳密な構成および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面の簡単な説明
【図1】自浄性材料の例を示す断面図である。
【図2】自浄性材料の例を示す断面図である。
【図3】自浄性材料に入射する光の例を示す、自浄性材料の例を示す拡大断面図である。
【図4】入射照射がほぼ垂直な場合の、ブレーズ角を有する自浄性材料の例を示す断面図である。
【図5】入射照射が斜めである場合の、ブレーズ角を有する自浄性材料の例を示す断面図である。
【図6】位相格子を用いた自浄性材料の例を示す断面図である。
【図7】自浄性材料の例を示す断面図であり、この図では基材の複数の表面が自浄性層を含む。
【図8】自浄性材料の例を示す断面図であり、この図では基材の複数の表面が、異なるブレーズ角を有する自浄性層を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
以下の詳細な説明においては、その一部をなす添付の図面が参照される。図面においては、類似の符号は、文脈上別段の指示がない限り、通常、類似の構成要素を特定する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定されることを意味していない。本明細書に示される主題の趣旨または範囲から逸脱せずに、他の実施形態を用いてもよく、他の変更を行ってもよい。本明細書に一般に記載され、図面に示されるような本開示の態様は、多種多様な様々な構成でアレンジされ、置き換えられ、組み合わされ、設計され得、それらの全ては明確に考えられ、本開示の一部をなすことが容易に理解されよう。
【0007】
簡潔に述べると、本開示の複数の実施形態は、第1の表面および第2の表面を有する基材を含む自浄性材料を含む。自浄性層が、基材の第1の表面に配置され得る。自浄性層の露出表面に回折格子が形成され得、ここで、自浄性層による、露出表面に入射する光の吸収が、回折格子によって、回折格子に対応するブレーズ条件に応じて、高められ得る。
【0008】
その光誘起自浄特性を高め得る回折格子を用いた自浄性材料が開示される。図1は、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された自浄性材料10の例を示す断面図である。例としての自浄性材料10は、基材100と、基材100の表面310に位置する回折格子105を有する自浄性層110とを含む。機械刻線およびホログラフィック記録を含むがこれらに限定されない様々な技術を用いて、回折格子105が自浄性層110に形成され得る。回折格子の形成に関する詳細な説明は、本明細書において単に便宜上省略されるが、限定とみなされるものではない。
【0009】
浄性層110は、光のしかるべき波長に曝されるとある種の自浄特性を示す材料から形成され得る。すなわち、自浄性層110は、自浄性層110に入射する光のしかるべき波長に対応する光子を吸収することにより、例えば、光触媒性、光誘起親水性、または光誘起疎水性を示し得る。例えば、二酸化チタン(TiO)などのある自浄性材料の自浄特性は、電磁スペクトルの紫外領域の光に反応して高められるかまたは活性化され得る一方、ニッケルをドープしたインジウムタンタレート(In(1−x)NiTaO)などの他の自浄性材料は、電磁スペクトルの可視領域の光に反応性であり得る。自浄性層110の、光触媒性、光誘起親水性、または光誘起疎水性の自浄特性の活性化または促進は、本明細書において、自浄性層110の状態の変化と称されることもある。ある実施形態において、状態の変化としては、自浄特性の1つから異なる自浄特性への転換も挙げられる。また、光への曝露、およびその結果としての光の吸収により、自浄性層110がこれらの特性の2つ以上を示すようになり得る。例えば、自浄性層110は、本開示を考慮すれば理解されるであろうように、光触媒性および疎水性の両方になり得る。
【0010】
ある実施形態において、回折格子105は、自浄性層110による光の吸収を高め、ひいては自浄性層110の自浄特性を潜在的に高めるかまたは活性化するように構成されたブレーズ角20を有するブレーズド回折格子であり得る。ブレーズ角20は、基材100の表面310にほぼ平行な軸22に対して画定され得る。
【0011】
基材100は、自浄特性が必要とされる任意の基材であり得る。基材のいくつかの例としては、ガラス、セラミック、金属、複合材、または他の建築材料が挙げられる。自浄性層110は、二酸化チタン(TiOおよびチタニアの別名でも知られている)、ニッケルをドープしたインジウムタンタレート(In(1−x)NiTaO)、または自浄性金属および金属合金を含むがこれらに限定されない、自浄特性を示す任意の材料であり得る。ある実施形態において、自浄性層110は、基材に取り付けられた予備成形フィルムであり得る。ある実施形態において、自浄性層110は、化学気相堆積(CVD)、蒸着、およびスパッタリングなどの従来の技術を用いて、基材100に配置されるかまたは取り付けられ得る。自浄性層110の取り付けまたは付着に関する詳細な説明は、本明細書において単に便宜上省略されるが、限定とみなされるものではない。ある実施形態において、自浄性層110は、基材100に対して透明であり、かつ基材100のいかなる輪郭にも一致し得るため、自浄性層110が基材とほとんど区別が付かない。さらに、基材100は、その1つまたは複数の表面に自浄性層110を含み得る。
【0012】
本開示において、自浄性材料10は、基材100および自浄性層110を組み合わせた構造物を含み得る。基材100単独では、必ずしも自浄特性を示すとは限らないことがあり、便宜上、本明細書において自浄性であると称される特定の基材100は、自浄性層110と組み合わせたものであり、組み合わされた構造物が自浄特性を示すようになっていることが理解される。例えば、TiOの層を有するガラス基材は、本明細書において単に自浄性ガラスと称され得る。ある実施形態において、基材100は、その自浄特性を高めるかまたは変更するために(後述する技術を用いて)形成された回折格子105があれば、自浄性層110がなくても、ある条件下では自浄特性を示し得る(すなわち、基材自体で自浄性材料となり得る)。
【0013】
図2は、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された自浄性材料12の例を示す断面図であり、この図では基材200自体が自浄性材料であり得、回折格子105が、基材200に直接形成され得る。基材200自体が光誘起自浄特性を有する材料であるため、別個の自浄性層(すなわち、自浄特性を示す材料)は不要であり、回折格子105は、基材200の自浄特性を高めるために、基材200の表面に直接形成され得る。
【0014】
本開示のある実施形態において、自浄性材料10は、制御環境または無制御環境で用いられ得る。制御環境は、一般に、環境パラメータを制御し、安定化することができる空間(例えば、屋内または囲まれた領域)を意味し、気象条件または他の不安定な条件に通常曝されることがない。環境パラメータとしては、温度、湿度、および照明が挙げられるがこれらに限定されない。これに対し、無制御環境は、一般に、環境パラメータが容易に制御されない空間(例えば、屋外)を意味し、表面が気象条件に曝され得る。ある実施形態において、自浄性材料10の1つの表面が制御環境に曝され、自浄性材料10の別の表面が無制御環境に曝され得る。一例は自浄性窓(図示せず)であり得、窓の一方の表面が外側面であり、窓の他方の表面が内側面であり得る。
【0015】
入射光、または単に光は、自浄性材料10の表面に当たる電磁スペクトルの可視領域、紫外領域、および赤外領域の電磁放射線を意味する。表面の光曝露は、本明細書において当該表面の照明(illuminating illumination)と称されることもある。表面の照明特性としては、入射光の入射角、入射光の強度、入射光の波長分布、および波長に応じた強度分布が挙げられる。
【0016】
入射光の入射角は、自浄性材料の表面に対して直角(すなわち、垂直)の軸から測定され得る。ゼロの入射角(すなわち、垂直入射)は、入射光が自浄性材料10の表面に対して直角に、この表面に当たる照明条件を意味し得る。斜入射は、入射角が90度に近い(すなわち、自浄性材料の表面に対してほぼ平行である)、自浄性材料の照明を意味し得る。自浄性材料に当たる光は、厳密に平行または同一線上にはなり得ないため、入射角は、表面を照明する、総強度が最も高い光との角度を意味する。例えば、直射日光による表面の照明は、他の物体から表面に散乱される日光より高い総強度を有する傾向があり得るため;入射角は太陽からの入射光を用いて測定される。
【0017】
本開示を考慮すると、自浄性材料10の表面の照明(照射とも称される)が、環境に左右され得ることが理解されよう。屋外などの無制御環境において、照明特性は、時間帯(time of day)、季節、近くにある(proximate)自然物および人工物、ならびに緯度に応じて可変であり得る(地表に届く太陽からの電磁放射線がこれらの変数に左右されるため)。これに対し、照明が一定である室内空間などの制御される環境において、照明特性は、通常、照明器具のタイプおよび構成に左右され得るが、照明のスイッチのオン/オフ、調光器の使用、または電球のタイプもしくはワット数の変更などの場合を除き、ほとんど変動がない。
【0018】
図3は、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された、自浄性材料10に入射する光の例を示す、自浄性材料10の拡大断面図である。自浄性材料10は、基材100および自浄性層110を含む。図1の例と同様に、回折格子105が、自浄性層110に形成される。回折格子105の特徴としては、ブレーズ角20、格子ピッチ140(格子周期とも称される)、および/または振幅150のうちの1つまたは複数が挙げられ得る。入射角30を有する、自浄性材料10に入射する光130は、自浄性層110の自浄特性を活性化するために、自浄性層110によって吸収され得る。入射光130の入射角30は、自浄性材料10の基材100の表面310に対して直角(すなわち、垂直入射)の軸315に対して測定され得る。ある実施形態において、自浄性層110の自浄特性は、入射角30がブレーズ角20に近くなるにつれて高められ得る。その理由は、回折格子105によって、自浄特性を引き起こす入射光130の波長が、他の波長より効率的に自浄性層110に取り込まれ(coupled)得るためである。例えば、ブレーズ角20は、電磁スペクトルの紫外(UV)領域の波長が、可視光の波長より効率的に、自浄性層110によって吸収されるように選択され得る。ある実施形態において、入射角30がブレーズ角20と一致しない場合、自浄性層110による入射光130の吸収は、自浄性層110の光誘起自浄特性を活性化するのに不十分であり得る。
【0019】
図4は、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された、光130の入射照射がほぼ垂直な場合の、ブレーズ角20を有する自浄性材料10の例を示す断面図である。上記のブレーズ角20は、自浄性層110の回折格子105に対応する。入射光130が、基材110の表面310に対して直角(すなわち、垂直入射)またはほぼ直角(すなわち、低い入射角)であり得る照明条件の場合、ブレーズ角20の値が低い場合(その際、入射光130は回折格子105のブレーズ角20を形成する表面にほぼ直角であり得る)に自浄性層110の自浄特性が高められ得る。例えば、自浄性セラミックタイルが、床または他の水平な表面などに、ほぼ水平な向きで用いられ得る。屋外の日光または屋内の天井の照明器具などの光源では、タイルの表面を照明する光の入射角は、タイルの表面に対してほぼ垂直である。このため、小さいブレーズ角20を有する自浄性材料10が効率的な自浄特性を与え得る。
【0020】
図5は、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された、光130の入射照射が斜めである場合の、ブレーズ角20を有する自浄性材料の例を示す断面図である。上記のブレーズ角20は、自浄性層110の回折格子105に対応する。入射光130が、基材100の表面310にほぼ平行(すなわち、斜入射または高い入射角)であり得る照明条件の場合、ブレーズ角20の値が高くなるほど(その際、入射光130は回折格子105のブレーズ角20を形成する表面にほぼ直角であり得る)、自浄性層110の自浄特性が高められ得る。例えば、図4の例に関して上述されたのと同じ照明条件下で、壁に取り付けられる場合など、垂直な向きで用いられる自浄性セラミックタイルの場合、表面を照明する光の入射角30は、高くなり得、斜入射に近くなることさえある。大きいブレーズ角20を有する自浄性材料10は、垂直な向きで、自浄性セラミックタイルに効率的な自浄特性を与え得る。
【0021】
図7は、自浄性材料10の例を示す断面図であり、この図では基材100の複数の表面730、740が、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された、自浄性層110、210を含む。自浄性層110は、基材100の第1の表面730に形成され得、第1の回折格子105を含む。自浄性層210は、基材100の第2の表面740に形成され得、第2の回折格子705を含む。図7における平行なまたは基材100の両側にある表面730、740の描写は、限定とみなされるものではない。例えば、立体の(cubic)基材の場合、立体(cube)の2つの隣接する表面が自浄性層を有し得る(例えば、角隅部における建築材料のブロックは2つの隣接する外側面を有する)。同様に、ある実施形態は、基材の3つ以上の表面が自浄性層を有し得る自浄性材料10を含み得る。
【0022】
図7をさらに参照すると、自浄性層110、210は、同じ材料であってもよく、あるいは自浄性層110は、自浄性層210とは異なる材料であってもよい。ある実施形態において、自浄性層110、210は、環境のタイプまたは自浄性材料10の各表面730、740に必要とされる自浄特性に基づいて選択され得る。例えば、自浄性材料10の1つの表面が制御される環境に曝され得る一方、自浄性材料の別の表面は無制御環境に曝され得る。制御される環境において、制御される環境の表面を消毒する(disinfect)ために用いられ得る光触媒特性が重要であり得る一方、無制御環境においては、表面の汚れを防ぐために親水性がより重要であり得る。
【0023】
図8は、自浄性材料10を示す断面図であり、この図では基材100の複数の表面830、840が、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された、ブレーズ角630、640を有する回折格子105、805を有する自浄性層110、810を含む。自浄性層110は、基材100の第1の表面830に形成され得、第1のブレーズ角630、第1のピッチ650、および第1の振幅655を有する回折格子105を含み得る。自浄性層810は、基材100の第2の表面840に形成され得、第2のブレーズ角640、第2のピッチ660、および第2の振幅665を有する回折格子805を含み得る。図7に関して上述したように、図8における平行なまたは基材100の両側にある表面830、840の描写は、限定とみなされるものではない。同様に、ある実施形態は、基材の3つ以上の表面が自浄性層を有し得る自浄性材料10を含み得る。
【0024】
図8をさらに参照すると、自浄性層110、810は、同じ材料であってもよく、あるいは自浄性層110は、自浄性層810とは異なる材料であってもよい。回折格子105、805の、ブレーズ角630、640、ならびにピッチ650、660、および振幅655、665などの他の特徴は、そのそれぞれの表面の期待照明条件または最確照明条件に基づいて選択され得る。したがって、図8の実施形態において、例えば、第1の自浄性層110のブレーズ角630は、第2の自浄性層810のブレーズ角640より著しく大きくなり得る。同様に、第1の回折格子105の振幅655は、第2の回折格子805の振幅665と異なり得る。図8において、自浄性材料10の第2の表面840は、最も典型的には垂直入射の光680で照明され得るため;低いブレーズ角640が用いられる。これに対し、自浄性材料10の第1の表面830については、照明は斜入射であり得、高いブレーズ角630が用いられ得る。例えば、垂直な向きで用いられ得る自浄性材料(例えば、窓に用いられる自浄性ガラス)の場合、日光による、窓の外側面の直接照明は、斜めの照明(非常に高い入射角)とみなされ得る一方、室内照明器具による、窓の内側の照明は、はるかに低い入射角を有し得る。
【0025】
図6は、本開示の少なくともある実施形態にしたがって構成された、位相格子を用いた自浄性材料10を示す断面図である。自浄性材料10は、基材100および自浄性層110を含み得る。ある実施形態において、位相格子300が自浄性層110内に形成されてもよく、その結果、自浄性層110の表面420が、ほぼ平面になり得る(基材がほぼ平面である場合)かまたは基材100の表面310にほぼ一致し得る(基材が平面でない場合)。格子ピッチ140などの、位相格子300の特徴が、自浄性材料10の表面に入射する光をより効率的に取り込む(couple)ように選択され得、自浄性層110の自浄特性を高めるように構成され得る。
【0026】
本明細書に記載の主題は、場合により、異なる他の構成要素内に含まれるかまたは異なる他の構成要素と結合された、異なる構成要素を示すこともある。このように示された構造はあくまで例示であり、実際には、同じ機能を果たす多くの他の構造を実現可能であることを理解されたい。概念的な意味において、同じ機能を果たすための構成要素のいかなる構成も、所望の機能が果たされるように効果的に「関連付けられている」。したがって、特定の機能を果たすために本明細書において組み合わせられる任意の2つの構成要素は、構造または中間の(intermedial)構成要素にかかわらず、所望の機能が果たされるように互いに「関連付けられている」とみなすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を果たすために互いに「動作可能に結合されている」または「動作可能に連結されている」とみなすこともでき、また、そのように関連付けられることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能を果たすために互いに「動作可能に連結可能」とみなすこともできる。動作可能に連結可能の具体例としては、物理的に接続可能および/または物理的に相互作用する構成要素ならびに/あるいは無線で相互作用可能および/または無線で相互作用する構成要素ならびに/あるいは論理的に相互作用するおよび/または論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
本明細書における実質的にあらゆる複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈および/または用途にふさわしいように、複数形を単数形に、および/または単数形を複数形に読み換えることができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、明瞭化のために本明細書において特に記載されていないことがある。
【0028】
一般に、本明細書、および特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)に用いられる用語は、「限定されない(open)」用語として一般に意図される(例えば、「〜を含む」という用語は、「〜を含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、「〜を有する」という用語は、「少なくとも〜を有する」と解釈されるべきであり、「〜が挙げられる」という用語は、「〜が挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきであるなど)ことが当業者によって理解されよう。導入される請求項の記載(recitation)の特定の数値が意図される場合には、かかる意図が請求項に明白に記載され、かかる記載がない場合には、かかる意図はないことが当業者によってさらに理解されよう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するために「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」という前置き表現の使用を含み得る。しかしながら、かかる表現の使用は、「a」または「an」という不定冠詞による請求項の記載の導入が、同じ請求項が「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」という前置き表現ならびに「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合でさえ、かかる導入される請求項の記載を含むあらゆる特定の請求項を、かかる記載を1つのみ含む発明に限定することを示唆すると解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである);同じことが、請求項の記載を導入するのに用いられる定冠詞の使用にも当てはまる。さらに、導入される請求項の記載の特定の数値が明白に記載される場合でさえ、当業者は、かかる記載が、通常、少なくとも記載された数値を意味すると解釈されることを認識するであろう(例えば、他の修飾語のない「2つ」というだけの記載は、通常、少なくとも2つという記載、または2つ以上という記載を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似の慣習的表現が用いられる場合、一般に、かかる構成は、当業者がその慣習的表現を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、および/またはA、B、およびCをともになどを有するシステムを含むがこれらに限定されないであろう)。2つ以上の択一的な用語を示す実質的にあらゆる択一的な用語および/または表現は、本明細書、特許請求の範囲、または図面にかかわらず、用語のうちの1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を意図することが理解されるべきであることが当業者によってさらに理解されよう。例えば、「AまたはB」という表現は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0029】
様々な態様および実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様および実施形態が当業者に明白であろう。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は例示のためのものであって、限定されるものではなく、真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0030】
10 自浄性材料
12 自浄性材料
20 ブレーズ角
22 軸
30 入射角
100 基材
105 回折格子
110 自浄性層
130 入射光
140 格子ピッチ
150 振幅
200 基材
210 自浄性層
300 位相格子
310 基材100の表面
315 軸
420 自浄性層110の表面
630 第1のブレーズ角
640 第2のブレーズ角
650 第1のピッチ
655 第1の振幅
660 第2のピッチ
665 第2の振幅
680 光
705 第2の回折格子
730 基材100の第1の表面
740 基材100の第2の表面
805 第2の回折格子
810 自浄性層
830 基材100の第1の表面
840 基材100の第2の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光への曝露に反応する自浄性材料であって、
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
前記基材の第1の表面に配置される自浄性層と、
前記自浄性層の露出表面に形成される回折格子とを含み、
前記回折格子が、前記露出表面に入射する光の吸収を高めるように構成されているブレーズ条件を含む自浄性材料。
【請求項2】
前記回折格子のブレーズ条件が、前記自浄性材料の意図する使用方向に関連する光の最確入射角に対応している、請求項1に記載の自浄性材料。
【請求項3】
前記意図する使用方向が、ほぼ垂直であり、前記光の最確入射角が、前記第1の表面にほぼ平行である、請求項2に記載の自浄性材料。
【請求項4】
前記意図する使用方向が、ほぼ水平であり、前記光の最確入射角が、前記第1の表面に対してほぼ直角である、請求項2に記載の自浄性材料。
【請求項5】
前記回折格子が位相格子である、請求項1に記載の自浄性材料。
【請求項6】
前記自浄性層が、光への曝露に反応して、光触媒性、光誘起疎水性、または光誘起親水性のいずれかを示す、請求項1に記載の自浄性材料。
【請求項7】
前記光が紫外光である、請求項6に記載の自浄性材料。
【請求項8】
前記自浄性層が、二酸化チタンを少なくとも部分的に含む、請求項1に記載の自浄性材料。
【請求項9】
前記回折格子のブレーズ条件が、前記自浄性層による2光子吸収の可能性を高めるように構成されている、請求項1に記載の自浄性材料。
【請求項10】
前記自浄性層による2光子吸収が、光の可視波長に基づいて、光触媒状態を引き起こすように構成されている、請求項9に記載の自浄性材料。
【請求項11】
光への曝露に反応する自浄性材料において、
第1の表面および第2の表面を有する基材と、
前記基材の第1の表面に配置される第1の自浄性層であって、第1のブレーズ条件を有する第1の回折格子が、当該第1の自浄性層の第1の露出表面に形成され、かつ前記第1のブレーズ条件の少なくとも一部に基づいて光の吸収を高めるように構成されている第1の自浄性層と、
前記基材の第2の表面に配置される第2の自浄性層であって、第2のブレーズ条件を有する第2の回折格子が、当該第2の自浄性層の第2の露出表面に形成され、かつ前記第2のブレーズ条件の少なくとも一部に基づいて光の吸収を高めるように構成されている第2の自浄性層と
を含む自浄性材料。
【請求項12】
前記第1の自浄性層および第2の自浄性層が異なる材料である、請求項11に記載の自浄性材料。
【請求項13】
前記第1の自浄性層による光の吸収が、前記第1の自浄性層および第2の自浄性層に、光触媒性、光誘起疎水性、または光誘起親水性のいずれかを引き起こす、請求項11に記載の自浄性材料。
【請求項14】
前記第2の自浄性層が、前記第1の自浄性層と異なる自浄特性を示す、請求項13に記載の自浄性材料。
【請求項15】
前記第1のブレーズ条件および第2のブレーズ条件が、それぞれ前記第1の自浄性層および第2の自浄性層の前記第1の露出表面および第2の露出表面への光の最確入射角に対応している、請求項11に記載の自浄性材料。
【請求項16】
前記第1のブレーズ条件が、無制御環境で用いられている前記第1の自浄性層に基づいて選択され、前記第2のブレーズ条件が、無制御環境で用いられている前記第2の自浄性層に基づいて選択されている、請求項11に記載の自浄性材料。
【請求項17】
その第1の表面に形成されるブレーズド回折格子を含む自浄性材料であって、
当該自浄性材料による、前記第1の表面に入射する光の吸収が、前記回折格子および前記第1の表面との光の入射角に対応するブレーズ条件に基づいて、前記第1の表面における光誘起自浄状態を引き起こすように構成されている自浄性材料。
【請求項18】
前記ブレーズド回折格子のブレーズ条件が、前記自浄性材料の意図する使用方向に関連する光の最確入射角に対応する、請求項17に記載の自浄性材料。
【請求項19】
前記自浄性層が、光への曝露に反応して、光触媒性、光誘起疎水性、または光誘起親水性のいずれかを示す、請求項17に記載の自浄性材料。
【請求項20】
第2の表面に形成される第2のブレーズド回折格子をさらに含む自浄性材料であって、前記自浄性材料による、前記第2の表面に入射する光の吸収が、前記第2の回折格子および前記第2の表面との光の入射角に対応する第2のブレーズ条件に基づいて、前記第2の表面における光誘起自浄状態を引き起こすように構成される、請求項17に記載の自浄性材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−264437(P2010−264437A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−290656(P2009−290656)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(509349059)スカイぺブル アソシエイツ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】