回路ブロック及びその製造方法
【課題】製造加工の簡素化を図ることができる熱電変換デバイスを提供する。
【解決手段】所定の間隔をもって並列し、複数の折曲部2B,2B,…を介して一体に形成された複数の熱電対形成領域部2A,2A,…と、複数の熱電対形成領域部2A,2A,…にそれぞれ形成された複数の熱電対群3,3,…と、複数の熱電対群3,3,…を覆う絶縁性材料からなる複数のシート状部材10,10と、複数の折曲部2B,2B,…に形成され、複数の熱電対群3,3,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対群3,3を接続する複数の導電パターン8B,8B,…とを備えた。
【解決手段】所定の間隔をもって並列し、複数の折曲部2B,2B,…を介して一体に形成された複数の熱電対形成領域部2A,2A,…と、複数の熱電対形成領域部2A,2A,…にそれぞれ形成された複数の熱電対群3,3,…と、複数の熱電対群3,3,…を覆う絶縁性材料からなる複数のシート状部材10,10と、複数の折曲部2B,2B,…に形成され、複数の熱電対群3,3,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対群3,3を接続する複数の導電パターン8B,8B,…とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路ブロック及びその製造方法に関し、特に温接点と冷接点との温度差によって発電する熱電変換デバイスからなる回路ブロック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路ブロックとして、第1熱電対エレメントとしての第1金属線(例えば銅線)と第2熱電対エレメントとしての第2金属線(例えばニッケル線)とを接続してなる複数の熱電対を有する熱電変換デバイスがある(特許文献1)。
【0003】
この熱電変換デバイスは、可撓性を有する電気絶縁性シートと、この電気絶縁性シートの一方側の面に形成された熱電対群と、電気絶縁性シートにその両方側から熱電対群を覆うようにしてそれぞれ固定された1対の形状維持シートとを備えている。
【0004】
電気絶縁性シートは、平面矩形状のプラスチックシートをそのシート長辺が波打つように折り曲げることにより、全体が断面波形状に形成されている。電気絶縁性シートには、シート長辺に沿って延びる複数のスリットが形成されている。複数のスリットは、熱電対群が形成されていない領域に配置されている。熱電対群は、第1金属線と第2金属線からなる複数の熱電対を電気絶縁性シートの一方側の面上で直列に接続することにより形成されている。1対の形状維持シートは、可撓性及び伸縮性を有する平面矩形状の電気絶縁性材料によって形成されている。
【0005】
以上の構成において、複数の熱電対の第1及び第2金属線の接点部における加熱及び加冷に基づいて発電が行われる。
【0006】
一方、電気絶縁性シートの全体をそのシート長辺が波打つように断面波形状に形成しているため、電気絶縁性シートのシート長辺が湾曲するように熱電変換デバイスに外力が作用すると、熱電変換デバイスが外力の作用方向に撓む。また、電気絶縁性シートのシート長辺に沿って延びる複数のスリットを形成しているため、電気絶縁性シートのシート短辺が湾曲するように熱電変換デバイスに外力が作用すると、複数のスリットが電気絶縁性シートのシート短辺の方向に広がり、熱電変換デバイスが外力の作用方向に撓む。これにより、熱電変換デバイスを様々な方向に撓ますことが可能となる。
【0007】
ところで、この種の熱電変換デバイスにおいて、熱電対の高密度化を図るためには、電気絶縁性シートの波形ピッチを可能な限り小さい寸法に設定する必要が生じる。
【特許文献1】特開2005−328000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の熱電変換デバイス(回路ブロック)によると、電気絶縁性シートが柔軟性材料によって形成されている場合には、熱電対同士が接触して短絡する恐れがあり、この短絡を回避して製造しようとすると、製造加工が面倒になるという問題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、製造加工の簡素化を図ることができる回路ブロック及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、所定の間隔をもって並列し、複数の折曲部を介して一体に形成された複数の回路形成用のシート状部材と、前記複数の回路形成用のシート状部材にそれぞれ形成された複数の回路導体と、前記複数の回路導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材と、前記複数の折曲部に形成され、前記複数の回路導体のうち互いに隣り合う2つの回路導体を接続する複数の接続導体とを備えたことを特徴とする回路ブロックを提供する。
【0011】
(2)本発明は、上記目的を達成するために、複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップとを備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法を提供する。
【0012】
(3)本発明は、上記目的を達成するために、複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップと、前記基部材の折り曲げ状態を保持しながら、前記絶縁性材料からなるパッケージ部材によって前記複数の回路形成用のシート状部材,前記複数の回路導体,前記スペース形成用のシート状部材及び前記複数の接続導体を覆う第4ステップとを備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、製造加工の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る回路ブロックを説明するために示す斜視図である。図2(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る回路ブロックを説明するために示す正面図と側面図である。図2(a)は正面図を、図2(b)は側面図をそれぞれ示す。
【0015】
(回路ブロックの全体構成)
図1及び図2(a),(b)において、符号1で示す回路ブロックとしての熱電変換デバイスは、複数(例えば8個)のデバイスエレメント100,100,…によって構成されている。デバイスエレメント100,100,…は、柔軟性材料からなる複数のエレメント形成用本体2,2,…と、エレメント形成用本体2,2,…上で温接点と冷接点との間に温度差を与えることにより発電する複数の回路導体としての熱電対群3,3,…と、複数(例えば2枚)のスペース形成用のシート状部材10,10と、エレメント形成用本体2,2,…と同様に柔軟性材料からなるパッケージ部材4とを備え、後述する端子パターン9,9,…によって接続されている。なお、熱電変換デバイス1においては、熱電対群3,3,…に通電することにより発熱・吸熱作用を得ることができる。
【0016】
(エレメント形成用本体2,2,…の構成)
エレメント形成用本体2,2,…は略同一に構成されているため、単一のエレメント形成用本体2について説明すると、エレメント形成用本体2は、図1に示すように、それぞれが所定の間隔(400μm程度)をもって厚さ方向に並列する複数の熱電対形成領域部(回路形成用のシート状部材)2A,2A,…、及びこれら熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に一部において介在する複数の折曲部2B,2B,…を有し、全体が例えばポリイミド樹脂等の柔軟性材料からなるつづら折状の絶縁プラスチックシートによって形成されている。エレメント形成用本体2の厚さは、例えば12〜125μm程度の寸法に設定されている。
【0017】
エレメント形成用本体2には、複数の熱電対5,5,…(後述)をそれぞれ構成する第1熱電対エレメント5Aと第2熱電対エレメント5Bとの間に介在し、かつ折曲部側端縁に沿って並列する複数の第1スリット(切り込み)21A,21A,…が形成されている。第1スリット21A,21A,…は、熱電対形成領域2A,2A,…のうち最端部に位置する熱電対形成領域部2A,2Aの端縁に、また熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A及びこれら熱電対形成領域部2A,2A間に介在する折曲部2Bに跨ってそれぞれ配置されている。また、エレメント形成用本体2には、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に介在し、かつ熱電対形成領域部2A,2A,…の片側側縁に開口する第2スリット(切り込み)21B,21B,…が形成されている。第2スリット21B,21B,…のうち互いに隣り合う2つの第2スリット21B,21Bは、熱電対形成領域部2Aの一方側側縁から他方側端縁の導電パターン8Bの近傍に至る位置と熱電対形成領域部2Aの他方側側縁から一方側側縁の導電パターン8Bの近傍に至る位置にそれぞれ配置されている。これにより、互いに直交する2つの面内でエレメント形成用本体2を撓ますことが可能となる。
【0018】
熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2Aは、図2に示すように、その表面同士又は裏面同士が互いに対向する位置に配置されている。熱電対形成領域部2A,2A,…の平面寸法は、例えば縦寸法が2.2mm程度の寸法に、また横寸法が70mm程度の寸法にそれぞれ設定されている。熱電対形成領域部2A,2A,…の上下両端縁(折曲部側端縁に沿う端縁)には、それぞれ所定の間隔をもって並列するNi(ニッケル)等のスルーホールからなる第1接点部6,6,…と第2接点部7,7,…が形成されている。第1接点部6,6,…は、熱電対形成領域2A,2A,…の上方端縁に配置され、熱電変換デバイス1(熱電対5,5,…)の温接点として機能するように構成されている。第2接点部7,7,…は、熱電対形成領域2A,2A,…の下方端縁に配置され、熱電変換デバイス1の冷接点として機能するように構成されている。
【0019】
熱電対形成領域部2A,2A,…の両側縁(折曲部側端縁に隣接する端縁)には、熱電変換デバイス1の製造(後述する基部材20の折り曲げ)時において用いられる孔径1.2mm程度の位置決め孔22,22,…と孔径2mm程度のガイド孔23,23,…がそれぞれ形成されている。位置決め孔22,22,…及びガイド孔23,23,…は、熱電対形成領域部2A,2A,…の各側縁において交互に配置されている。熱電対形成領域部2A,2A,…のうち最端部の熱電対形成領域部2A,2Aの上方端縁の左側部には、パッケージ4の外部に露出する突出片2C,2Cが一体に形成されている。突出片2C,2Cには、それぞれ端子パターン9,9が熱電対形成領域部2A,2Aに跨って形成されている。端子パターン9,9は、熱電変換デバイス1(パッケージ部材4)内に埋没する場合には内部接続用の導電パターンとして、また熱電変換デバイス1外に露出する場合には外部接続(出力)用の導電パターンとしてそれぞれ機能する。
【0020】
折曲部2B,2B,…は、図1に示すように、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に一部において配置(形成)されている。折曲部2B,2B,…には、Cu(銅)等の柔軟性材料からなる接続導体としての導電パターン8B,8B,…が熱電対形成領域部2A,2A,…に跨って形成されている。
【0021】
(熱電対群3,3,…の構成)
熱電対群3,3,…は、図1に示すように、それぞれ複数の熱電対5,5,…(合計で例えば10000個)からなり、エレメント形成用本体2(熱電対形成領域部2A,2A,…)に配置(形成)されている。熱電対群3,3,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対群3,3は、第1接点部6又は第2接点部7及び導電パターン8B,8B,…によって接続されている。熱電対5,5,…は、第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…を有し、温接点としての第1接点部6,6,…及び冷接点としての第2接点部7,7,…によって直列に接続されている。熱電対5,5,…のうち最端部の熱電対5,5には、端子パターン9,9がそれぞれ接続されている。
【0022】
第1熱電対エレメント5A,5A,…は、図2(a)に破線で示すように、p型熱電半導体からなり、熱電対形成領域2A,2Aの一方側の面(表面)にパターン形成されている。第2熱電対エレメント5B,5B,…は、図2(a)に破線で示すように、n型熱電半導体からなり、熱電対形成領域2A,2A,…の他方側の面(裏面)にパターン形成されている。p型熱電半導体及びn型熱電半導体の厚さは4〜5μm程度の寸法に、また幅は300μm程度の寸法にそれぞれ設定されている。p型熱電半導体及びn型熱電半導体としては、良好な熱電能(ゼーベック効果)を得るためにBi(ビスマス)Te(テルル)系の半導体材料が用いられる。
【0023】
(シート状部材10,10の構成)
シート状部材10,10は、図1に示すように、それぞれがエレメント形成用本体2の熱電対形成領域部2A,2A,…及び折曲部2B,2B,…の表面と裏面に貼付され、かつ熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に介装され、全体が例えばシリコーン樹脂(PDMS:polydimethylsiloxane)等の柔軟性材料及び絶縁性材料によって形成されている。そして、熱電対群3,3,…、第1接点部6,6,…、第2接点部7,7,…、導電パターン8B,8B,…及び端子パターン9,9,…の一部を覆い、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2Aにそれぞれ形成された第1熱電対エレメント同士及び第2熱電対エレメント同士の接触による短絡を回避するように構成されている。シート状部材10,10の展開状態における平面縦寸法及び横寸法は共に70mm程度の寸法に、その厚さは200μm程度の寸法にそれぞれ設定されている。
【0024】
(パッケージ部材4の構成)
パッケージ部材4は、図1に示すように、全体がシート状部材10,10と同様に、例えばシリコーン樹脂(PDMS)等の柔軟性材料及び絶縁性材料によって形成されている。そして、エレメント形成用本体2,2,…、複数の熱電対群3,3,…、第1接点部6,6,…、第2接点部7,7,…、導電パターン8B,8B,…、端子パターン9,9,…の一部及びシート状部材10,10を覆うように構成されている。
【0025】
(熱電変換デバイス1の動作)
熱電変換デバイス1の第1接点部側を高温度(例えば車両用ボンネットの廃熱)雰囲気中に配置するとともに、その第2接点部側を低温度雰囲気(例えば大気)中に配置すると、熱電対5,5,…の第1接点部6,6,…と第2接点部7,7,…との間に温度差(5.6℃程度)が生じる。このため、熱電対5,5,…のうち最端部の熱電対5,5にそれぞれ接続する端子パターン9,9間に電圧(6V程度)が生じる。
【0026】
(回路ブロックの製造方法)
図3〜図8は、本発明の実施の形態に係る回路ブロックの製造方法を説明するために示す図である。図3は、基部材を示す平面図である。図4は、熱電対群の形成工程(第1ステップ)を説明するために示す平面図である。図5は、スペース形成用のシート状部材の貼り付け工程(第2ステップ)を説明するために示す側面図である。図6は、熱電対形成用のシート状部材の形成工程(第3ステップ)を説明するために示す図である。図6A(a)は、切り込み形成工程を示す平面図である。図6B(b)は、整列工程を示す斜視図である。図6C(c)は、圧縮工程を示す側面図である。図7は、デバイスエレメントの接続工程を説明するために示す斜視図である。図8は、パッケージ部材の形成工程を説明するために示す斜視図である。
【0027】
本実施の形態に示す回路ブロックの製造方法は、「熱電対群の形成」,「スペース形成用のシート状部材の貼り付け」,「熱電対形成用のシート状部材の形成」,「デバイスエレメントの接続」及び「パッケージ部材の形成」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0028】
なお、図3に示すように、本実施の形態に示す回路ブロックの製造方法に用いる基部材20としては、平面縦寸法及び横寸法が共に70mm程度に設定され、例えばポリイミド樹脂等の柔軟性材料からなる絶縁プラスチックシートが用いられる。
【0029】
基部材20には、所定の間隔をもって面方向に並列する第1領域部20A,20A,…、これら第1領域部20A,20A,…のうち互いに隣り合う2つの第1領域部20A,20A間に全体において介在する第2領域20B,20B,…、及び複数の第1領域部20A,20A,…のうち最端部の第1領域部20A,20Aにおける先(左右)端縁の一方側部にそれぞれ突出する第3領域部20C,20Cが区画形成され、第1領域部20A,20A,…の両側縁(第1領域部20A,20A,…が並列する方向に沿う両側縁)に所定の間隔をもって並列する孔径1.2mm程度の複数の位置決め孔22,22,…と孔径2mm程度の複数のガイド孔23,23,…とが交互に形成されているものとする。
【0030】
また、基部材20には、第1領域部20A,20A,…のうち最端部の第1領域部20A,20A及び第3領域部20C,20Cの一方側面(表面)に端子パターン9,9が形成されるとともに、第1領域部20A,20A,…及び第2領域部20B,20B,…の表裏両面にそれぞれ導電パターン8B,8B,…が形成され、かつ第1接点部(スルーホール)6,6,…及び第2接点部(スルーホール)7,7,…が第1領域部20A,20A,…に形成されているものとする。
【0031】
「熱電対群の形成」
図4に示すように、複数の第1領域部20A,20A,…の表裏両面にそれぞれ複数の第1熱電対エレメント5A,5A,…と複数の第2熱電対エレメント5B,5B,…を形成する。この場合、第1熱電対エレメント5A,5A,…は、それぞれが互いに平行に、かつ基部材20(第1領域部20A,20A,…)の一方側端縁及び他方側端縁に対し傾斜して形成される。また、第2熱電対エレメント5B,5B,…は、第1熱電対エレメント5A,5A,…とは同一平面内で交差する(互いに対応する第1熱電対エレメント5Aと第2熱電対エレメント5Bを有する熱電対5が平面略V字状になる)ようにそれぞれが互いに平行に、かつ基部材20(第1領域部20A,20A,…)の一方側端縁及び他方側端縁に対し傾斜して形成される。これにより、第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…のうち互いに対応する第1熱電対エレメント5Aと第2熱電対エレメント5Bとが第1接点部6又は第2接点部7によって接続されるとともに、第1熱電対エレメント5A,5A,…のうち最端部の第1熱電対エレメント5A,5Aがそれぞれ端子パターン9,9に接続される。このため、第1熱電対エレメント5A及び第2熱電対エレメント5Bを有する複数の熱電対5,5,…を直列に接続してなる熱電対群3,3,…が基部材20(第1領域部20A,20A,…)に形成される。
【0032】
第1熱電対エレメント5A,5A,…の形成は、例えば第1領域部20A,20A,…の表面にスパッタリング法を用いてp型半導体層を形成した後、このp型熱電半導体層にフォトリソグラフィ法を用いてエッチング処理を施すことにより行われる。また、第2熱電対エレメント5B,5B,…の形成は、第1熱電対エレメント5A,5A,…を形成する場合と同様に、例えば第1領域部20A,20A,…の裏面にスパッタリング法を用いてn型半導体層を形成した後、このn型熱電半導体層にフォトリソグラフィ法を用いてエッチング処理を施すことにより行われる。第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…のサイズ(厚さ及び幅)は、共に厚さ4〜5μm程度,幅300μm程度の寸法に設定される。
【0033】
「スペース形成用のシート状部材の貼り付け」
図5に示すように、予め平面縦寸法及び横寸法が共に70mmより小さい寸法に、また厚さが200μm程度の寸法にそれぞれ設定されたシリコーン(PDMS)樹脂等の柔軟性材料及び絶縁性材料からなる一対のシート状部材10,10を基部材20(第1領域部20A,20A,…及び第2領域部20B,20B,…)の表裏各面(第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…が形成されている領域)に貼り付ける。この場合、シート状部材10,10が基部材20に貼り付けられると、位置決め孔22,22,…及びガイド孔23,23,…を除き、熱電対群3,3,…、第1接点部6,6,…、第2接点部7,7,…、導電パターン8B,8B,…及び端子パターン9,9,…の一部がシート状部材10,10によって覆われる。
【0034】
「熱電対形成用のシート状部材の形成」
先ず、図6A(a)に示すように、「スペース形成用のシート状部材の貼り付け」工程においてシート状部材10,10が表裏各面に貼り付けられた第1領域部20A,20A,…のうち最端部に位置する第1領域部20A,20Aの端縁、第1領域部20A,20A,…のうち互いに隣り合う2つの第1領域部20A,20A、及びこれら両第1領域部20A,20A間に介在する第2領域部20Bに跨って第1スリット21A,21A,…をそれぞれ形成する。また、シート状部材10,10が表裏各面に貼り付けられた第2領域部20B,20B,…にその一方側側縁又は他方側側縁から他方側側縁又は一方側側縁の導電パターン8B,8B,…の近傍に至るまで第2領域部側端縁に沿って第2スリット21B,21B,…を形成する。
【0035】
次いで、図6B(b)に示すように、所定の間隔(第1領域部20A,20A,…の両側縁にそれぞれ形成された位置決め孔22とガイド孔23との間の横方向寸法)をもって並列するガイド61A,61Aを有する治具本体61と、ガイド61A,61Aをそれぞれ挿通させるガイド挿通孔62A,62Aを有する押さえ部材62とを備えた整列治具63を用意し、基部材20を折り畳むようにして治具本体61のガイド61A,61Aにそれぞれ基部材20の位置決め孔22,22,…とガイド孔23,23,…を交互に挿通させ第1領域部20A,20A,…をガイド61A,61A上に整列する。
【0036】
しかる後、図6C(c)に示すように、治具本体61のガイド61A,61Aをそれぞれ押さえ部材62のガイド挿通孔62A,62Aに挿通させ、さらに押さえ部材62と治具本体61とを互いに接近させることにより、第2領域部20B,20B,…及び第2スリット21B,21B,…を境界として基部材20を折り曲げて(折り畳んで)圧縮する。この場合、基部材20が圧縮されると、所定の間隔をもって厚さ方向に並列する熱電対形成領域部(熱電対形成用のシート状部材)2A,2A,…、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に一部において介在する折曲部2B,2B,…、及び熱電対形成領域部2A,2A,…と折曲部2B,2B,…の表裏両面にそれぞれ貼付されたスペース形成用のシート状部材10,10を有するつづら折状のエレメント形成用本体2が形成される。
【0037】
「デバイスエレメントの接続」
先ず、基部材20(エレメント形成用本体2)の折り曲げ状態を保持しながら、エレメント形成用本体2に液状のPDMS樹脂を塗布する。次いで、PDMS樹脂から気泡を取り除き、PDMS樹脂を加熱して固化することにより、デバイスエレメント100を形成する。しかる後、図7に示すように、複数(例えば8個)のデバイスエレメント100,100,…を端子パターン9,9,…によって直列又は並列に接続する。
【0038】
「パッケージ部材の形成」
図8に示すように、予め縦横寸法75mm×75mm程度,厚さ100μm程度のシリコーン(PDMS)樹脂からなるシート状部材(図示せず)が底面に配置された成形用型300内に「デバイスエレメントの接続」工程において直列又は並列に接続された複数のデバイスエレメント100,100,…を収容する。この際、端子パターン9,9,…のうち最端部の端子パターン9,9の一部を突出片2C,2Cと共に成形用型300外に露出させるとともに、他の端子パターン9,9,…を突出片2C,2C,…と共に成形用型300内に配置する。次に、成形用型300内にシリコーン(PDMS)樹脂を注入した後、この注入したシリコーン樹脂を加熱して固化することによりパッケージ部材4を形成する。この場合、パッケージ部材4が形成されると、複数のデバイスエレメント100,100,…が端子パターン9,9及び突出片2C,2Cの一部を除きパッケージ部材4によって覆われる。この後、パッケージ部材4によって覆われた複数のデバイスエレメント100,100,…を押し出しピン(図示せず)等によって成形用型300外に取り出す。
このようにして、熱電変換デバイス(回路ブロック)1を製造することができる。
【0039】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0040】
(1)絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材10,10によって複数の熱電対群3,3,…等が覆われているため、熱電対同士が接触して短絡する恐れを解消することができ、また同一の材料からなるシート状部材10,10とパッケージ部材4とが同化するため、シート状部材10,10を取り除く必要がなくなり、製造加工の簡素化を図ることができる。
【0041】
(2)熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間にスペース形成用のシート状部材10,10が介装されているため、所定の狭間隔をもって厚さ方向に熱電対形成領域部2A,2A,…を確実に並列して配置することができる。
【0042】
(3)所定の間隔をもって厚さ方向に熱電対形成領域部2A,2A,…を並列して配置できることは、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間にデバイス製造(樹脂注入)時に入り込んだ気泡を取り除き易くなり、熱電対形成領域部2A,2A間に気泡の無い熱電変換デバイス1を得ることができる。
【0043】
(4)第1接点部6,6,…及び第2接点部7,7,…がエレメント形成用本体2,2,…の折曲部2B,2B,…近傍に形成されておらず、このため熱電変換デバイス1の製造時に第1接点部6,6,…及び第2接点部7,7,…に対して曲げ応力が作用せず、熱電対5,5,…における機械的・電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0044】
(5)熱電対形成領域部2A,2A,…の表面及び裏面にそれぞれ第1熱電対エレメント5A,5A,…と第2熱電対エレメント5B,5B,…を形成するものであるため、熱電対形成領域部2A,2A,…の表面又は裏面に第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…を形成する場合と比べて加工精度を緩和することができる。
【0045】
(6)第1スリット21A,21A,…によって互いに直交する2つの面内でエレメント形成用本体2,2,…を撓ますことができ、3次元曲面上に熱電変換デバイス1を配置することができる。
【0046】
以上、本発明の熱電変換デバイス(熱電変換デバイスの製造方法)を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0047】
本実施の形態では、第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…の材料としてBiTe系の半導体材料が用いられる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、Pb(鉛)Te(テルル)系,Fe(鉄)Si(シリコン)系あるいはPb(鉛)Sn(錫)Te(テルル)系等の半導体材料を用いることができる。また、熱電対5,5,…としては、半導体材料以外に、例えばCu(銅)とNi(ニッケル),Cu(銅)とBi(ビスマス)又はFe(鉄)とNi(ニッケル)など2種の金属材料を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスを説明するために示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスを説明するために示す正面図と側面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法に用いる基部材を示す平面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対群の形成工程を説明するために示す平面図。
【図5】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法におけるスペース形成用のシート状部材の貼り付け工程を説明するために示す側面図。
【図6A】(a)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対形成用のシート状部材の形成工程を説明するために示す平面図。
【図6B】(b)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対形成用のシート状部材の形成工程を説明するために示す斜視図。
【図6C】(c)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対形成用のシート状部材の形成工程を説明するために示す側面図。
【図7】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法におけるデバイスエレメントの接続工程を説明するために示す斜視図。
【図8】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法におけるパッケージ部材の形成工程を説明するために示す斜視図。
【符号の説明】
【0049】
1…熱電変換デバイス、2…エレメント形成用本体、2A…熱電対形成領域部、2B…折曲部、2C…突出片、3…熱電対群、4…パッケージ部材、5…熱電対、5A…第1熱電対エレメント、5B…第2熱電対エレメント、6…第1接点部、7…第2接点部、8B…導電パターン、9…端子パターン、10…シート状部材、20…基部材、20A…第1領域部、20B…第2領域部、20C…第3領域部、22…位置決め孔、23…ガイド孔、61…治具本体、61A…ガイド、21A…第1スリット、21B…第2スリット、62…押さえ部材、62A…ガイド挿通孔、63…整列治具、100…デバイスエレメント、300…成形用型
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路ブロック及びその製造方法に関し、特に温接点と冷接点との温度差によって発電する熱電変換デバイスからなる回路ブロック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路ブロックとして、第1熱電対エレメントとしての第1金属線(例えば銅線)と第2熱電対エレメントとしての第2金属線(例えばニッケル線)とを接続してなる複数の熱電対を有する熱電変換デバイスがある(特許文献1)。
【0003】
この熱電変換デバイスは、可撓性を有する電気絶縁性シートと、この電気絶縁性シートの一方側の面に形成された熱電対群と、電気絶縁性シートにその両方側から熱電対群を覆うようにしてそれぞれ固定された1対の形状維持シートとを備えている。
【0004】
電気絶縁性シートは、平面矩形状のプラスチックシートをそのシート長辺が波打つように折り曲げることにより、全体が断面波形状に形成されている。電気絶縁性シートには、シート長辺に沿って延びる複数のスリットが形成されている。複数のスリットは、熱電対群が形成されていない領域に配置されている。熱電対群は、第1金属線と第2金属線からなる複数の熱電対を電気絶縁性シートの一方側の面上で直列に接続することにより形成されている。1対の形状維持シートは、可撓性及び伸縮性を有する平面矩形状の電気絶縁性材料によって形成されている。
【0005】
以上の構成において、複数の熱電対の第1及び第2金属線の接点部における加熱及び加冷に基づいて発電が行われる。
【0006】
一方、電気絶縁性シートの全体をそのシート長辺が波打つように断面波形状に形成しているため、電気絶縁性シートのシート長辺が湾曲するように熱電変換デバイスに外力が作用すると、熱電変換デバイスが外力の作用方向に撓む。また、電気絶縁性シートのシート長辺に沿って延びる複数のスリットを形成しているため、電気絶縁性シートのシート短辺が湾曲するように熱電変換デバイスに外力が作用すると、複数のスリットが電気絶縁性シートのシート短辺の方向に広がり、熱電変換デバイスが外力の作用方向に撓む。これにより、熱電変換デバイスを様々な方向に撓ますことが可能となる。
【0007】
ところで、この種の熱電変換デバイスにおいて、熱電対の高密度化を図るためには、電気絶縁性シートの波形ピッチを可能な限り小さい寸法に設定する必要が生じる。
【特許文献1】特開2005−328000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の熱電変換デバイス(回路ブロック)によると、電気絶縁性シートが柔軟性材料によって形成されている場合には、熱電対同士が接触して短絡する恐れがあり、この短絡を回避して製造しようとすると、製造加工が面倒になるという問題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、製造加工の簡素化を図ることができる回路ブロック及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、所定の間隔をもって並列し、複数の折曲部を介して一体に形成された複数の回路形成用のシート状部材と、前記複数の回路形成用のシート状部材にそれぞれ形成された複数の回路導体と、前記複数の回路導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材と、前記複数の折曲部に形成され、前記複数の回路導体のうち互いに隣り合う2つの回路導体を接続する複数の接続導体とを備えたことを特徴とする回路ブロックを提供する。
【0011】
(2)本発明は、上記目的を達成するために、複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップとを備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法を提供する。
【0012】
(3)本発明は、上記目的を達成するために、複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップと、前記基部材の折り曲げ状態を保持しながら、前記絶縁性材料からなるパッケージ部材によって前記複数の回路形成用のシート状部材,前記複数の回路導体,前記スペース形成用のシート状部材及び前記複数の接続導体を覆う第4ステップとを備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、製造加工の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る回路ブロックを説明するために示す斜視図である。図2(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る回路ブロックを説明するために示す正面図と側面図である。図2(a)は正面図を、図2(b)は側面図をそれぞれ示す。
【0015】
(回路ブロックの全体構成)
図1及び図2(a),(b)において、符号1で示す回路ブロックとしての熱電変換デバイスは、複数(例えば8個)のデバイスエレメント100,100,…によって構成されている。デバイスエレメント100,100,…は、柔軟性材料からなる複数のエレメント形成用本体2,2,…と、エレメント形成用本体2,2,…上で温接点と冷接点との間に温度差を与えることにより発電する複数の回路導体としての熱電対群3,3,…と、複数(例えば2枚)のスペース形成用のシート状部材10,10と、エレメント形成用本体2,2,…と同様に柔軟性材料からなるパッケージ部材4とを備え、後述する端子パターン9,9,…によって接続されている。なお、熱電変換デバイス1においては、熱電対群3,3,…に通電することにより発熱・吸熱作用を得ることができる。
【0016】
(エレメント形成用本体2,2,…の構成)
エレメント形成用本体2,2,…は略同一に構成されているため、単一のエレメント形成用本体2について説明すると、エレメント形成用本体2は、図1に示すように、それぞれが所定の間隔(400μm程度)をもって厚さ方向に並列する複数の熱電対形成領域部(回路形成用のシート状部材)2A,2A,…、及びこれら熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に一部において介在する複数の折曲部2B,2B,…を有し、全体が例えばポリイミド樹脂等の柔軟性材料からなるつづら折状の絶縁プラスチックシートによって形成されている。エレメント形成用本体2の厚さは、例えば12〜125μm程度の寸法に設定されている。
【0017】
エレメント形成用本体2には、複数の熱電対5,5,…(後述)をそれぞれ構成する第1熱電対エレメント5Aと第2熱電対エレメント5Bとの間に介在し、かつ折曲部側端縁に沿って並列する複数の第1スリット(切り込み)21A,21A,…が形成されている。第1スリット21A,21A,…は、熱電対形成領域2A,2A,…のうち最端部に位置する熱電対形成領域部2A,2Aの端縁に、また熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A及びこれら熱電対形成領域部2A,2A間に介在する折曲部2Bに跨ってそれぞれ配置されている。また、エレメント形成用本体2には、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に介在し、かつ熱電対形成領域部2A,2A,…の片側側縁に開口する第2スリット(切り込み)21B,21B,…が形成されている。第2スリット21B,21B,…のうち互いに隣り合う2つの第2スリット21B,21Bは、熱電対形成領域部2Aの一方側側縁から他方側端縁の導電パターン8Bの近傍に至る位置と熱電対形成領域部2Aの他方側側縁から一方側側縁の導電パターン8Bの近傍に至る位置にそれぞれ配置されている。これにより、互いに直交する2つの面内でエレメント形成用本体2を撓ますことが可能となる。
【0018】
熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2Aは、図2に示すように、その表面同士又は裏面同士が互いに対向する位置に配置されている。熱電対形成領域部2A,2A,…の平面寸法は、例えば縦寸法が2.2mm程度の寸法に、また横寸法が70mm程度の寸法にそれぞれ設定されている。熱電対形成領域部2A,2A,…の上下両端縁(折曲部側端縁に沿う端縁)には、それぞれ所定の間隔をもって並列するNi(ニッケル)等のスルーホールからなる第1接点部6,6,…と第2接点部7,7,…が形成されている。第1接点部6,6,…は、熱電対形成領域2A,2A,…の上方端縁に配置され、熱電変換デバイス1(熱電対5,5,…)の温接点として機能するように構成されている。第2接点部7,7,…は、熱電対形成領域2A,2A,…の下方端縁に配置され、熱電変換デバイス1の冷接点として機能するように構成されている。
【0019】
熱電対形成領域部2A,2A,…の両側縁(折曲部側端縁に隣接する端縁)には、熱電変換デバイス1の製造(後述する基部材20の折り曲げ)時において用いられる孔径1.2mm程度の位置決め孔22,22,…と孔径2mm程度のガイド孔23,23,…がそれぞれ形成されている。位置決め孔22,22,…及びガイド孔23,23,…は、熱電対形成領域部2A,2A,…の各側縁において交互に配置されている。熱電対形成領域部2A,2A,…のうち最端部の熱電対形成領域部2A,2Aの上方端縁の左側部には、パッケージ4の外部に露出する突出片2C,2Cが一体に形成されている。突出片2C,2Cには、それぞれ端子パターン9,9が熱電対形成領域部2A,2Aに跨って形成されている。端子パターン9,9は、熱電変換デバイス1(パッケージ部材4)内に埋没する場合には内部接続用の導電パターンとして、また熱電変換デバイス1外に露出する場合には外部接続(出力)用の導電パターンとしてそれぞれ機能する。
【0020】
折曲部2B,2B,…は、図1に示すように、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に一部において配置(形成)されている。折曲部2B,2B,…には、Cu(銅)等の柔軟性材料からなる接続導体としての導電パターン8B,8B,…が熱電対形成領域部2A,2A,…に跨って形成されている。
【0021】
(熱電対群3,3,…の構成)
熱電対群3,3,…は、図1に示すように、それぞれ複数の熱電対5,5,…(合計で例えば10000個)からなり、エレメント形成用本体2(熱電対形成領域部2A,2A,…)に配置(形成)されている。熱電対群3,3,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対群3,3は、第1接点部6又は第2接点部7及び導電パターン8B,8B,…によって接続されている。熱電対5,5,…は、第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…を有し、温接点としての第1接点部6,6,…及び冷接点としての第2接点部7,7,…によって直列に接続されている。熱電対5,5,…のうち最端部の熱電対5,5には、端子パターン9,9がそれぞれ接続されている。
【0022】
第1熱電対エレメント5A,5A,…は、図2(a)に破線で示すように、p型熱電半導体からなり、熱電対形成領域2A,2Aの一方側の面(表面)にパターン形成されている。第2熱電対エレメント5B,5B,…は、図2(a)に破線で示すように、n型熱電半導体からなり、熱電対形成領域2A,2A,…の他方側の面(裏面)にパターン形成されている。p型熱電半導体及びn型熱電半導体の厚さは4〜5μm程度の寸法に、また幅は300μm程度の寸法にそれぞれ設定されている。p型熱電半導体及びn型熱電半導体としては、良好な熱電能(ゼーベック効果)を得るためにBi(ビスマス)Te(テルル)系の半導体材料が用いられる。
【0023】
(シート状部材10,10の構成)
シート状部材10,10は、図1に示すように、それぞれがエレメント形成用本体2の熱電対形成領域部2A,2A,…及び折曲部2B,2B,…の表面と裏面に貼付され、かつ熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に介装され、全体が例えばシリコーン樹脂(PDMS:polydimethylsiloxane)等の柔軟性材料及び絶縁性材料によって形成されている。そして、熱電対群3,3,…、第1接点部6,6,…、第2接点部7,7,…、導電パターン8B,8B,…及び端子パターン9,9,…の一部を覆い、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2Aにそれぞれ形成された第1熱電対エレメント同士及び第2熱電対エレメント同士の接触による短絡を回避するように構成されている。シート状部材10,10の展開状態における平面縦寸法及び横寸法は共に70mm程度の寸法に、その厚さは200μm程度の寸法にそれぞれ設定されている。
【0024】
(パッケージ部材4の構成)
パッケージ部材4は、図1に示すように、全体がシート状部材10,10と同様に、例えばシリコーン樹脂(PDMS)等の柔軟性材料及び絶縁性材料によって形成されている。そして、エレメント形成用本体2,2,…、複数の熱電対群3,3,…、第1接点部6,6,…、第2接点部7,7,…、導電パターン8B,8B,…、端子パターン9,9,…の一部及びシート状部材10,10を覆うように構成されている。
【0025】
(熱電変換デバイス1の動作)
熱電変換デバイス1の第1接点部側を高温度(例えば車両用ボンネットの廃熱)雰囲気中に配置するとともに、その第2接点部側を低温度雰囲気(例えば大気)中に配置すると、熱電対5,5,…の第1接点部6,6,…と第2接点部7,7,…との間に温度差(5.6℃程度)が生じる。このため、熱電対5,5,…のうち最端部の熱電対5,5にそれぞれ接続する端子パターン9,9間に電圧(6V程度)が生じる。
【0026】
(回路ブロックの製造方法)
図3〜図8は、本発明の実施の形態に係る回路ブロックの製造方法を説明するために示す図である。図3は、基部材を示す平面図である。図4は、熱電対群の形成工程(第1ステップ)を説明するために示す平面図である。図5は、スペース形成用のシート状部材の貼り付け工程(第2ステップ)を説明するために示す側面図である。図6は、熱電対形成用のシート状部材の形成工程(第3ステップ)を説明するために示す図である。図6A(a)は、切り込み形成工程を示す平面図である。図6B(b)は、整列工程を示す斜視図である。図6C(c)は、圧縮工程を示す側面図である。図7は、デバイスエレメントの接続工程を説明するために示す斜視図である。図8は、パッケージ部材の形成工程を説明するために示す斜視図である。
【0027】
本実施の形態に示す回路ブロックの製造方法は、「熱電対群の形成」,「スペース形成用のシート状部材の貼り付け」,「熱電対形成用のシート状部材の形成」,「デバイスエレメントの接続」及び「パッケージ部材の形成」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0028】
なお、図3に示すように、本実施の形態に示す回路ブロックの製造方法に用いる基部材20としては、平面縦寸法及び横寸法が共に70mm程度に設定され、例えばポリイミド樹脂等の柔軟性材料からなる絶縁プラスチックシートが用いられる。
【0029】
基部材20には、所定の間隔をもって面方向に並列する第1領域部20A,20A,…、これら第1領域部20A,20A,…のうち互いに隣り合う2つの第1領域部20A,20A間に全体において介在する第2領域20B,20B,…、及び複数の第1領域部20A,20A,…のうち最端部の第1領域部20A,20Aにおける先(左右)端縁の一方側部にそれぞれ突出する第3領域部20C,20Cが区画形成され、第1領域部20A,20A,…の両側縁(第1領域部20A,20A,…が並列する方向に沿う両側縁)に所定の間隔をもって並列する孔径1.2mm程度の複数の位置決め孔22,22,…と孔径2mm程度の複数のガイド孔23,23,…とが交互に形成されているものとする。
【0030】
また、基部材20には、第1領域部20A,20A,…のうち最端部の第1領域部20A,20A及び第3領域部20C,20Cの一方側面(表面)に端子パターン9,9が形成されるとともに、第1領域部20A,20A,…及び第2領域部20B,20B,…の表裏両面にそれぞれ導電パターン8B,8B,…が形成され、かつ第1接点部(スルーホール)6,6,…及び第2接点部(スルーホール)7,7,…が第1領域部20A,20A,…に形成されているものとする。
【0031】
「熱電対群の形成」
図4に示すように、複数の第1領域部20A,20A,…の表裏両面にそれぞれ複数の第1熱電対エレメント5A,5A,…と複数の第2熱電対エレメント5B,5B,…を形成する。この場合、第1熱電対エレメント5A,5A,…は、それぞれが互いに平行に、かつ基部材20(第1領域部20A,20A,…)の一方側端縁及び他方側端縁に対し傾斜して形成される。また、第2熱電対エレメント5B,5B,…は、第1熱電対エレメント5A,5A,…とは同一平面内で交差する(互いに対応する第1熱電対エレメント5Aと第2熱電対エレメント5Bを有する熱電対5が平面略V字状になる)ようにそれぞれが互いに平行に、かつ基部材20(第1領域部20A,20A,…)の一方側端縁及び他方側端縁に対し傾斜して形成される。これにより、第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…のうち互いに対応する第1熱電対エレメント5Aと第2熱電対エレメント5Bとが第1接点部6又は第2接点部7によって接続されるとともに、第1熱電対エレメント5A,5A,…のうち最端部の第1熱電対エレメント5A,5Aがそれぞれ端子パターン9,9に接続される。このため、第1熱電対エレメント5A及び第2熱電対エレメント5Bを有する複数の熱電対5,5,…を直列に接続してなる熱電対群3,3,…が基部材20(第1領域部20A,20A,…)に形成される。
【0032】
第1熱電対エレメント5A,5A,…の形成は、例えば第1領域部20A,20A,…の表面にスパッタリング法を用いてp型半導体層を形成した後、このp型熱電半導体層にフォトリソグラフィ法を用いてエッチング処理を施すことにより行われる。また、第2熱電対エレメント5B,5B,…の形成は、第1熱電対エレメント5A,5A,…を形成する場合と同様に、例えば第1領域部20A,20A,…の裏面にスパッタリング法を用いてn型半導体層を形成した後、このn型熱電半導体層にフォトリソグラフィ法を用いてエッチング処理を施すことにより行われる。第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…のサイズ(厚さ及び幅)は、共に厚さ4〜5μm程度,幅300μm程度の寸法に設定される。
【0033】
「スペース形成用のシート状部材の貼り付け」
図5に示すように、予め平面縦寸法及び横寸法が共に70mmより小さい寸法に、また厚さが200μm程度の寸法にそれぞれ設定されたシリコーン(PDMS)樹脂等の柔軟性材料及び絶縁性材料からなる一対のシート状部材10,10を基部材20(第1領域部20A,20A,…及び第2領域部20B,20B,…)の表裏各面(第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…が形成されている領域)に貼り付ける。この場合、シート状部材10,10が基部材20に貼り付けられると、位置決め孔22,22,…及びガイド孔23,23,…を除き、熱電対群3,3,…、第1接点部6,6,…、第2接点部7,7,…、導電パターン8B,8B,…及び端子パターン9,9,…の一部がシート状部材10,10によって覆われる。
【0034】
「熱電対形成用のシート状部材の形成」
先ず、図6A(a)に示すように、「スペース形成用のシート状部材の貼り付け」工程においてシート状部材10,10が表裏各面に貼り付けられた第1領域部20A,20A,…のうち最端部に位置する第1領域部20A,20Aの端縁、第1領域部20A,20A,…のうち互いに隣り合う2つの第1領域部20A,20A、及びこれら両第1領域部20A,20A間に介在する第2領域部20Bに跨って第1スリット21A,21A,…をそれぞれ形成する。また、シート状部材10,10が表裏各面に貼り付けられた第2領域部20B,20B,…にその一方側側縁又は他方側側縁から他方側側縁又は一方側側縁の導電パターン8B,8B,…の近傍に至るまで第2領域部側端縁に沿って第2スリット21B,21B,…を形成する。
【0035】
次いで、図6B(b)に示すように、所定の間隔(第1領域部20A,20A,…の両側縁にそれぞれ形成された位置決め孔22とガイド孔23との間の横方向寸法)をもって並列するガイド61A,61Aを有する治具本体61と、ガイド61A,61Aをそれぞれ挿通させるガイド挿通孔62A,62Aを有する押さえ部材62とを備えた整列治具63を用意し、基部材20を折り畳むようにして治具本体61のガイド61A,61Aにそれぞれ基部材20の位置決め孔22,22,…とガイド孔23,23,…を交互に挿通させ第1領域部20A,20A,…をガイド61A,61A上に整列する。
【0036】
しかる後、図6C(c)に示すように、治具本体61のガイド61A,61Aをそれぞれ押さえ部材62のガイド挿通孔62A,62Aに挿通させ、さらに押さえ部材62と治具本体61とを互いに接近させることにより、第2領域部20B,20B,…及び第2スリット21B,21B,…を境界として基部材20を折り曲げて(折り畳んで)圧縮する。この場合、基部材20が圧縮されると、所定の間隔をもって厚さ方向に並列する熱電対形成領域部(熱電対形成用のシート状部材)2A,2A,…、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間に一部において介在する折曲部2B,2B,…、及び熱電対形成領域部2A,2A,…と折曲部2B,2B,…の表裏両面にそれぞれ貼付されたスペース形成用のシート状部材10,10を有するつづら折状のエレメント形成用本体2が形成される。
【0037】
「デバイスエレメントの接続」
先ず、基部材20(エレメント形成用本体2)の折り曲げ状態を保持しながら、エレメント形成用本体2に液状のPDMS樹脂を塗布する。次いで、PDMS樹脂から気泡を取り除き、PDMS樹脂を加熱して固化することにより、デバイスエレメント100を形成する。しかる後、図7に示すように、複数(例えば8個)のデバイスエレメント100,100,…を端子パターン9,9,…によって直列又は並列に接続する。
【0038】
「パッケージ部材の形成」
図8に示すように、予め縦横寸法75mm×75mm程度,厚さ100μm程度のシリコーン(PDMS)樹脂からなるシート状部材(図示せず)が底面に配置された成形用型300内に「デバイスエレメントの接続」工程において直列又は並列に接続された複数のデバイスエレメント100,100,…を収容する。この際、端子パターン9,9,…のうち最端部の端子パターン9,9の一部を突出片2C,2Cと共に成形用型300外に露出させるとともに、他の端子パターン9,9,…を突出片2C,2C,…と共に成形用型300内に配置する。次に、成形用型300内にシリコーン(PDMS)樹脂を注入した後、この注入したシリコーン樹脂を加熱して固化することによりパッケージ部材4を形成する。この場合、パッケージ部材4が形成されると、複数のデバイスエレメント100,100,…が端子パターン9,9及び突出片2C,2Cの一部を除きパッケージ部材4によって覆われる。この後、パッケージ部材4によって覆われた複数のデバイスエレメント100,100,…を押し出しピン(図示せず)等によって成形用型300外に取り出す。
このようにして、熱電変換デバイス(回路ブロック)1を製造することができる。
【0039】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0040】
(1)絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材10,10によって複数の熱電対群3,3,…等が覆われているため、熱電対同士が接触して短絡する恐れを解消することができ、また同一の材料からなるシート状部材10,10とパッケージ部材4とが同化するため、シート状部材10,10を取り除く必要がなくなり、製造加工の簡素化を図ることができる。
【0041】
(2)熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間にスペース形成用のシート状部材10,10が介装されているため、所定の狭間隔をもって厚さ方向に熱電対形成領域部2A,2A,…を確実に並列して配置することができる。
【0042】
(3)所定の間隔をもって厚さ方向に熱電対形成領域部2A,2A,…を並列して配置できることは、熱電対形成領域部2A,2A,…のうち互いに隣り合う2つの熱電対形成領域部2A,2A間にデバイス製造(樹脂注入)時に入り込んだ気泡を取り除き易くなり、熱電対形成領域部2A,2A間に気泡の無い熱電変換デバイス1を得ることができる。
【0043】
(4)第1接点部6,6,…及び第2接点部7,7,…がエレメント形成用本体2,2,…の折曲部2B,2B,…近傍に形成されておらず、このため熱電変換デバイス1の製造時に第1接点部6,6,…及び第2接点部7,7,…に対して曲げ応力が作用せず、熱電対5,5,…における機械的・電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0044】
(5)熱電対形成領域部2A,2A,…の表面及び裏面にそれぞれ第1熱電対エレメント5A,5A,…と第2熱電対エレメント5B,5B,…を形成するものであるため、熱電対形成領域部2A,2A,…の表面又は裏面に第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…を形成する場合と比べて加工精度を緩和することができる。
【0045】
(6)第1スリット21A,21A,…によって互いに直交する2つの面内でエレメント形成用本体2,2,…を撓ますことができ、3次元曲面上に熱電変換デバイス1を配置することができる。
【0046】
以上、本発明の熱電変換デバイス(熱電変換デバイスの製造方法)を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0047】
本実施の形態では、第1熱電対エレメント5A,5A,…及び第2熱電対エレメント5B,5B,…の材料としてBiTe系の半導体材料が用いられる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、Pb(鉛)Te(テルル)系,Fe(鉄)Si(シリコン)系あるいはPb(鉛)Sn(錫)Te(テルル)系等の半導体材料を用いることができる。また、熱電対5,5,…としては、半導体材料以外に、例えばCu(銅)とNi(ニッケル),Cu(銅)とBi(ビスマス)又はFe(鉄)とNi(ニッケル)など2種の金属材料を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスを説明するために示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスを説明するために示す正面図と側面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法に用いる基部材を示す平面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対群の形成工程を説明するために示す平面図。
【図5】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法におけるスペース形成用のシート状部材の貼り付け工程を説明するために示す側面図。
【図6A】(a)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対形成用のシート状部材の形成工程を説明するために示す平面図。
【図6B】(b)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対形成用のシート状部材の形成工程を説明するために示す斜視図。
【図6C】(c)は、本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法における熱電対形成用のシート状部材の形成工程を説明するために示す側面図。
【図7】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法におけるデバイスエレメントの接続工程を説明するために示す斜視図。
【図8】本発明の実施の形態に係る熱電変換デバイスの製造方法におけるパッケージ部材の形成工程を説明するために示す斜視図。
【符号の説明】
【0049】
1…熱電変換デバイス、2…エレメント形成用本体、2A…熱電対形成領域部、2B…折曲部、2C…突出片、3…熱電対群、4…パッケージ部材、5…熱電対、5A…第1熱電対エレメント、5B…第2熱電対エレメント、6…第1接点部、7…第2接点部、8B…導電パターン、9…端子パターン、10…シート状部材、20…基部材、20A…第1領域部、20B…第2領域部、20C…第3領域部、22…位置決め孔、23…ガイド孔、61…治具本体、61A…ガイド、21A…第1スリット、21B…第2スリット、62…押さえ部材、62A…ガイド挿通孔、63…整列治具、100…デバイスエレメント、300…成形用型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔をもって並列し、複数の折曲部を介して一体に形成された複数の回路形成用のシート状部材と、
前記複数の回路形成用のシート状部材にそれぞれ形成された複数の回路導体と、
前記複数の回路導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材と、
前記複数の折曲部に形成され、前記複数の回路導体のうち互いに隣り合う2つの回路導体を接続する複数の接続導体と
を備えたことを特徴とする回路ブロック。
【請求項2】
前記複数の回路導体は、複数の熱電対を直列に接続してなる複数の熱電対群によって形成され、
前記複数の熱電対群は、前記複数の熱電対をそれぞれ構成する第1熱電対エレメント及び第2熱電対エレメントのうち前記第1熱電対エレメントが前記複数の回路形成用のシート状部材の一方側面に形成され、前記第2熱電対エレメントが前記複数の回路形成用のシート状部材の他方側面に形成されている請求項1に記載の回路ブロック。
【請求項3】
前記複数の回路形成用のシート状部材は、前記一方側面及び前記他方側面にそれぞれ前記スペース形成用のシート状部材が貼付されている請求項2に記載の回路ブロック。
【請求項4】
前記複数の回路形成用のシート状部材,前記複数の回路導体,前記スペース形成用のシート状部材及び複数の接続導体は、前記絶縁性材料からなるパッケージ部材によって覆われている請求項1に記載の回路ブロック。
【請求項5】
複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、
前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、
前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップと
を備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法。
【請求項6】
前記第1ステップにおいて、複数の熱電対を直列に接続してなる複数の熱電対群によって前記複数の回路導体を形成し、前記複数の熱電対をそれぞれ構成する第1熱電対エレメント及び第2熱電対エレメントのうち前記第1熱電対エレメントを前記複数の回路形成用のシート状部材の一方側面に形成し、前記第2熱電対エレメントを前記複数の回路形成用のシート状部材の他方側面に形成する請求項5に記載の回路ブロックの製造方法。
【請求項7】
前記第3ステップにおいて、前記基部材を折り曲げるにあたり、前記基部材に切り込みを形成する請求項5に記載の回路ブロックの製造方法。
【請求項8】
複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、
前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、
前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップと、
前記基部材の折り曲げ状態を保持しながら、前記絶縁性材料からなるパッケージ部材によって前記複数の回路形成用のシート状部材,前記複数の回路導体,前記スペース形成用のシート状部材及び前記複数の接続導体を覆う第4ステップと
を備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法。
【請求項1】
所定の間隔をもって並列し、複数の折曲部を介して一体に形成された複数の回路形成用のシート状部材と、
前記複数の回路形成用のシート状部材にそれぞれ形成された複数の回路導体と、
前記複数の回路導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材と、
前記複数の折曲部に形成され、前記複数の回路導体のうち互いに隣り合う2つの回路導体を接続する複数の接続導体と
を備えたことを特徴とする回路ブロック。
【請求項2】
前記複数の回路導体は、複数の熱電対を直列に接続してなる複数の熱電対群によって形成され、
前記複数の熱電対群は、前記複数の熱電対をそれぞれ構成する第1熱電対エレメント及び第2熱電対エレメントのうち前記第1熱電対エレメントが前記複数の回路形成用のシート状部材の一方側面に形成され、前記第2熱電対エレメントが前記複数の回路形成用のシート状部材の他方側面に形成されている請求項1に記載の回路ブロック。
【請求項3】
前記複数の回路形成用のシート状部材は、前記一方側面及び前記他方側面にそれぞれ前記スペース形成用のシート状部材が貼付されている請求項2に記載の回路ブロック。
【請求項4】
前記複数の回路形成用のシート状部材,前記複数の回路導体,前記スペース形成用のシート状部材及び複数の接続導体は、前記絶縁性材料からなるパッケージ部材によって覆われている請求項1に記載の回路ブロック。
【請求項5】
複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、
前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、
前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップと
を備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法。
【請求項6】
前記第1ステップにおいて、複数の熱電対を直列に接続してなる複数の熱電対群によって前記複数の回路導体を形成し、前記複数の熱電対をそれぞれ構成する第1熱電対エレメント及び第2熱電対エレメントのうち前記第1熱電対エレメントを前記複数の回路形成用のシート状部材の一方側面に形成し、前記第2熱電対エレメントを前記複数の回路形成用のシート状部材の他方側面に形成する請求項5に記載の回路ブロックの製造方法。
【請求項7】
前記第3ステップにおいて、前記基部材を折り曲げるにあたり、前記基部材に切り込みを形成する請求項5に記載の回路ブロックの製造方法。
【請求項8】
複数の接続導体が予め形成されたシート状の基部材に、前記複数の接続導体を介して接続する複数の回路導体を形成する第1ステップと、
前記複数の回路導体及び前記複数の接続導体を覆う絶縁性材料からなるスペース形成用のシート状部材を前記基部材に貼付する第2ステップと、
前記基部材を折り曲げることにより、所定の間隔をもって並列する複数の回路形成用のシート状部材を形成する第3ステップと、
前記基部材の折り曲げ状態を保持しながら、前記絶縁性材料からなるパッケージ部材によって前記複数の回路形成用のシート状部材,前記複数の回路導体,前記スペース形成用のシート状部材及び前記複数の接続導体を覆う第4ステップと
を備えたことを特徴とする回路ブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−205129(P2008−205129A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38456(P2007−38456)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
[ Back to top ]