説明

回路基板検査装置および回路基板検査方法

【課題】検査効率を向上させると共に回路基板の破損を防止する。
【解決手段】導体パターンの1つを第1被検査体として設定すると共に第1被検査体を除く他の導体パターンの一部または全部を第2被検査体として設定して第2被検査体と第1被検査体との間の絶縁状態を検査する第1絶縁検査を実行する検査部を備え、検査部は、予め決められた数以上の検査対象点を有する特定の導体パターンが存在するときには、検査対象点の数が上記の数未満の導体パターンだけのうちから導体パターンの1つを第1検査対象として設定しつつ第1絶縁検査を順次実行し、特定の導体パターンが複数存在するときには、1つの特定の導体パターンを第3検査対象として設定すると共に第3被検査体を除く他の特定の導体パターンを第4検査対象として設定して第3被検査体と第4被検査体との間の絶縁状態を検査する第2絶縁検査を第1絶縁検査の終了後に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導体パターンを有する回路基板における各導体パターンの間の絶縁状態を検査する回路基板検査装置および回路基板検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路基板に形成されている導体パターンの間の絶縁状態を検査する回路基板検査方法として、各導体パターンの中から選択した一対の導体パターンに対する絶縁検査を一対の導体パターンの全ての組み合わせについて行う回路基板検査方法が知られている。この場合、数多くの導体パターンが形成されている回路基板に対してこの回路基板検査方法で検査を行うと、一対の導体パターンの組み合わせが膨大な数となって検査に長時間を要することとなる。このような問題点を解決可能な回路基板検査方法として、各導体パターンうちの1つと、その1つを除く他の導体パターンの一部または全部との間の絶縁状態を検査することによって検査回数を低減する回路基板検査方法(例えば、特開2000−193702の段落(0002)〜段落(0006)に開示されている絶縁検査:以下「1対N検査」ともいう)が知られている。
【0003】
例えば、1番からM番までの番号が付番されたM個の導体パターンを有する回路基板に対して上記の1対N検査を行う際には、図7に示すように、1回目の検査において、M個のうちの1つの導体パターンとして1番の導体パターンを選択し、選択した1番の導体パターンを除く2番からM番までの導体パターンを同電位としつつ、2番からM番までの導体パターンと1番の導体パターンとの間に検査用信号を供給して各導体パターンの間の抵抗値を測定し、各導体パターンの間の絶縁状態を検査する。この場合、抵抗値が予め決められた下限値以上のときには、その導体パターンの間の絶縁状態が良好であると判定する。次いで、2回目の検査において、検査が終了した1番の導体パターンを検査の対象から除外し、M個のうちの1つの導体パターンとして2番の導体パターンを新たに選択し、1番および2番の導体パターンを除く3番からM番までの導体パターンを同電位としつつ、3番からM番までの導体パターンと2番の導体パターンとの間に検査用信号を供給して各導体パターンの間の絶縁状態を検査する。以下、同図に示すように、M個のうちの1つの導体パターンとして順次大きな番号の導体パターンを選択し、その導体パターンよりも番号が大きい各導体パターンを同電位としつつ検査用信号を供給して各導体パターンの間の絶縁状態を検査し、M個のうちの1つの導体パターンとして選択する導体パターンの番号が(M−1)番となるまでこの検査を繰り返して、合計で(M−1)回の検査を実行する。このような手順で検査を行うことにより、検査時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0004】
また、上記の回路基板検査方法で検査を行う際には、各導体パターンに設けられている検査対象点(電子部品等を接続するための接続ポイント(いわゆるランド))の全てにプローブを接触させた状態で、電源部とプローブとの接断(接続および切断)をスキャナスイッチ等を用いて行うことにより、検査用信号の供給を行う。このような構成および方法を採用することで、複数の導体パターンを同電位とすることが可能となり、また、検査時間をさらに短縮することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−193702号公報(第3頁、第9−11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した従来の回路基板検査方法には、解決すべき以下の課題がある。すなわち、上記の回路基板検査方法では、回路基板の各導体パターンに設けられている検査対象点の全てにプローブを接触させた状態で、電源部とプローブとの接断を行っている。一方、電源部や基準電位に接続される電源用の導体パターンには数多くの電子部品が接続されるため、これらの導体パターンには、一般的に、数多くの検査対象点が設けられている。このため、上記の回路基板検査方法で検査を行うときには、これらの導体パターンには、数多くのプローブが接触することとなる。したがって、検査対象点の数が多い導体パターン間の絶縁状態を検査するときには、これらの導体パターンの各検査対象点に接触している各プローブが多いことに加えて、各プローブに接続されているケーブルの数、および各ケーブルに接続されているスキャナスイッチの数も多いため、これらの数多くのプローブ、ケーブルおよびスキャナスイッチ(これらを合わせて「信号供給媒体」ともいう)の相互間の浮遊容量が大きくなる。このため、検査対象点の数が多い導体パターン間の絶縁状態を検査するときには、検査用信号の供給開始から導体パターン間の電圧が検査に必要な規定電圧に達するまでの時間が長くなり、検査効率の向上が困難となる。また、信号供給媒体の相互間の浮遊容量が大きいときには、多くの電荷がチャージされることとなる。このため、検査対象点の数が多い導体パターン間の絶縁状態の検査中に絶縁破壊が発生したときには、チャージされた多くの電荷が一気に放電されて回路基板に損傷を与えるおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、検査効率を向上させると共に検査時における回路基板の破損を防止し得る回路基板検査装置および回路基板検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の回路基板検査装置は、1または複数の検査対象点を有する複数の導体パターンを備えている回路基板における当該各検査対象点に接触させた検査用プローブを介して当該各導体パターンに検査用信号が供給されている状態で当該各導体パターン間の抵抗値を測定する測定部と、前記各導体パターンのうちの1つを第1被検査体として設定すると共に当該第1被検査体を除く他の前記導体パターンのうちの一部または全部を第2被検査体として設定し、当該第2被検査体における前記各検査対象点を同電位としつつ当該第2被検査体と前記第1被検査体との間に前記検査用信号を供給させている状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて当該第2被検査体と当該第1被検査体との間の絶縁状態を検査する第1絶縁検査を、前記第1被検査体および前記第2被検査体の組み合わせを変更しつつ複数回実行する際に、2回目以降の前記第1絶縁検査において、それよりも前の前記第1絶縁検査で前記第1被検査体として設定した導体パターンを前記第1被検査体および前記第2被検査体として設定する対象から除外すると共に、直前の前記第1絶縁検査で前記第2被検査体として設定した導体パターンのうちの1つの導体パターンを前記第2被検査体として設定する対象から除外して前記第1被検査体として設定する検査部を備えた回路基板検査装置であって、前記検査部は、前記回路基板における前記各導体パターンの中に予め決められた数以上の前記検査対象点を有する特定の導体パターンが存在するときには、前記検査対象点の数が前記予め決められた数未満の前記導体パターンだけのうちから当該導体パターンの1つを前記第1検査対象として設定しつつ前記第1絶縁検査を順次実行し、前記特定の導体パターンが複数存在するときには、前記第1絶縁検査の終了後に、1つの前記特定の導体パターンを第3検査対象として設定すると共に当該第3被検査体を除く他の前記特定の導体パターンを第4検査対象として設定し、前記第3検査対象と前記第4検査対象との間に検査用信号を供給させている状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて当該第3被検査体と当該第4被検査体との間の絶縁状態を検査する第2絶縁検査を、当該第3被検査体および当該第4被検査体の組み合わせを変更しつつ実行する。
【0009】
また、請求項2記載の回路基板検査装置は、請求項1記載の回路基板検査装置において、前記検査部は、2回目以降の前記第2絶縁検査において、それよりも前の前記第2絶縁検査で前記第3被検査体として設定した前記特定の導体パターンを前記第4被検査体として設定する対象から除外する。
【0010】
また、請求項3記載の回路基板検査装置は、請求項1または2記載の回路基板検査装置において、前記検査部は、前記第2絶縁検査の実行時において前記第4被検査体として前記特定の導体パターンを1つだけ設定する。
【0011】
また、請求項4記載の回路基板検査方法は、1または複数の検査対象点を有する複数の導体パターンを備えている回路基板における当該各導体パターンのうちの1つを第1被検査体として設定すると共に当該第1被検査体を除く他の前記導体パターンのうちの一部または全部を第2被検査体として設定し、前記第1被検査体および前記第2被検査体における前記各検査対象点に接触させた検査用プローブを介して当該第2被検査体における当該各検査対象点を同電位としつつ当該第2被検査体と当該第1被検査体との間に検査用信号が供給されている状態で当該第2被検査体と当該第1被検査体との間の抵抗値を測定し、当該抵抗値に基づいて当該第2被検査体と当該第1被検査体との間の絶縁状態を検査する第1絶縁検査を、前記第1被検査体および前記第2被検査体の組み合わせを変更しつつ複数回実行する際に、2回目以降の前記第1絶縁検査において、それよりも前の前記第1絶縁検査で前記第1被検査体として設定した導体パターンを前記第1被検査体および前記第2被検査体として設定する対象から除外すると共に、直前の前記第1絶縁検査で前記第2被検査体として設定した導体パターンのうちの1つの導体パターンを前記第2被検査体として設定する対象から除外して前記第1被検査体として設定する回路基板検査方法であって、前記回路基板における前記各導体パターンの中に予め決められた数以上の前記検査対象点を有する特定の導体パターンが存在するときには、前記検査対象点の数が前記予め決められた数未満の前記導体パターンだけのうちから当該導体パターンの1つを前記第1検査対象として設定しつつ前記第1絶縁検査を順次実行し、前記特定の導体パターンが複数存在するときには、前記第1絶縁検査の終了後に、1つの前記特定の導体パターンを第3検査対象として設定すると共に当該第3被検査体を除く他の前記特定の導体パターンを第4検査対象として設定し、前記第3検査対象と前記第4検査対象との間に検査用信号を供給させている状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて当該第3被検査体と当該第4被検査体との間の絶縁状態を検査する第2絶縁検査を、当該第3被検査体および当該第4被検査体の組み合わせを変更しつつ実行する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の回路基板検査装置、および請求項4記載の回路基板検査方法では、予め決められた数以上の検査対象点を有する特定の導体パターンが存在するときには、検査対象点のポイント数が規定数未満の導体パターンだけを第1被検査体として設定して第1絶縁検査を実行し、特定の導体パターンが複数存在するときには、これらの特定の導体パターンについて第2絶縁検査を実行する。このため、この回路基板検査装置および回路基板検査方法では、第1絶縁検査および第2絶縁検査において、検査用信号を供給するプローブピン等の信号供給媒体を介して検査用信号のHi側(高電位側)に接続される検査対象点の数および検査用信号のLo側(低電位側)に接続される検査対象点の数のうちの少ない方の数を少なくすることができる結果、その数がパラメータとなって大きさが決まる信号供給媒体の相互間の浮遊容量を十分に小さく抑えることができる。したがって、この回路基板検査装置および回路基板検査方法によれば、導体パターンに対する検査用信号の供給開始時点から導体パターン間の電圧が検査に必要な規定電圧に達する時点までの時間を短縮することができる結果、その分、検査効率を十分に向上させることができる。また、この回路基板検査装置および回路基板検査方法によれば、信号供給媒体の相互間の浮遊容量が十分に小さい分、電荷のチャージを少なく抑えることができる結果、絶縁検査の実行中に絶縁破壊が発生したとしても、チャージされた電荷の放電による回路基板の破損を確実に防止することができる。
【0013】
また、請求項2記載の回路基板検査装置によれば、2回目以降の第2絶縁検査において、それよりも前の第2絶縁検査で第3被検査体として設定した特定の導体パターンを第4被検査体として設定する対象から除外することにより、第3被検査体および第4被検査体の組み合わせの種類が少なくなる分、第2絶縁検査の回数を少なくすることができるため、検査効率をより向上させることができる。
【0014】
また、請求項3記載の回路基板検査装置では、第2絶縁検査の実行時において第4被検査体として特定の導体パターンを1つだけ設定する。このため、この回路基板検査装置によれば、第4被検査体として複数の特定の導体パターンを設定する構成および方法と比較して、第2絶縁検査において、検査用信号のHi側に接続される導体パターンの検査対象点の数および検査用信号のLo側に接続される導体パターンの検査対象点の数のうちの少ない方の数をより少なくすることができる結果、信号供給媒体の相互間の浮遊容量をさらに小さく抑えることができる。したがって、この回路基板検査装置によれば、検査効率をさらに向上させることができると共に、検査時における回路基板の破損をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】回路基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】回路基板100の構成を示す構成図である。
【図3】回路基板検査方法を説明する第1の説明図である。
【図4】回路基板検査方法を説明する第2の説明図である。
【図5】比較例を説明する説明図である。
【図6】回路基板検査方法を説明する第3の説明図である。
【図7】従来の回路基板検査方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、回路基板検査装置および回路基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
最初に、回路基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す回路基板検査装置1は、複数(一例として、8個)の導体パターンP1〜P8(図2参照:以下、区別しないときには「導体パターンP」ともいう)が配設された回路基板100における各導体パターンPの間の絶縁状態を後述する回路基板検査方法に従って検査可能に構成されている。この場合、回路基板100の各導体パターンPには、電子部品等を実装する際にそれらの端子を接続するための接続ポイント(いわゆるランド)であって、検査の際に後述するプローブピン21が接触(プロービング)される検査対象点Pjが設けられている。
【0018】
一方、回路基板検査装置1は、一例として、図1に示すように、基板保持部11、プローブユニット12、移動機構13、検査用信号出力部14、スキャナ部15、測定部16、記憶部17および制御部18を備えて構成されている。
【0019】
基板保持部11は、一例として、保持台と、保持台に取り付けられて回路基板100の端部を挟み込んで固定するクランプ機構(いずれも図示せず)とを備えて、回路基板100を保持可能に構成されている。プローブユニット12は、回路基板100の各導体パターンPにおける検査対象点Pjにそれぞれ接触(プロービング)させる複数のプローブピン(検査用プローブ)21を備えて治具型に構成されている。移動機構13は、制御部18の制御に従い、プローブユニット12を上下方向に移動させることによってプロービングを実行する。
【0020】
検査用信号出力部14は、制御部18の制御に従い、例えば、電圧値(信号レベル)が200V程度に規定された検査用信号S(例えば、直流電圧信号)を出力する。スキャナ部15は、複数のスイッチ(図示せず)を備えて構成され、制御部18の制御に従って各スイッチをオン状態またはオフ状態に移行させることにより、プローブユニット12におけるプローブピン21と検査用信号出力部14との接断(接続および切断)、およびプローブピン21と測定部16との接断を行う(以下、これらの処理を「接断処理」ともいう)。
【0021】
測定部16は、回路基板100の各導体パターンPにおける各検査対象点Pjに接触されたプローブピン21を介して各導体パターンPに検査用信号Sが供給されている状態において、各導体パターンP間の抵抗値Rを測定する測定処理を実行する。
【0022】
記憶部17は、制御部18によって実行される後述する第1絶縁検査および第2絶縁検査(以下、第1絶縁検査および第2絶縁検査を区別しないときには「絶縁検査」ともいう)において用いられる導体パターンデータを記憶する。この場合、導体パターンデータは、一例として、回路基板100の各導体パターンPを識別する情報(例えば、各導体パターンPに付した番号を示す情報)、各パターンPに設けられている検査対象点Pjの数を示す情報、および検査時において各導体パターンPの各検査対象点Pjに接触(プロービング)されるプローブピン21を識別可能な情報などを含んで構成されている。
【0023】
制御部18は、図外の操作部から出力される操作信号に従って回路基板検査装置1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、制御部18は、移動機構13によるプローブユニット12の移動を制御する。また、制御部18は、検査用信号出力部14による検査用信号Sの出力を制御する。
【0024】
また、制御部18は、検査部として機能し、後述する第1絶縁検査を複数回実行することにより、回路基板100における各導体パターンPの間の絶縁状態を測定部16によって測定された抵抗値Rに基づいて検査する。制御部18は、この第1絶縁検査において、スキャナ部15による接断処理を制御することによって回路基板100の導体パターンPに対して検査用信号Sを供給させる供給処理を実行する。
【0025】
この場合、制御部18は、第1絶縁検査における供給処理において、各導体パターンPのうちの1つを第1被検査体として設定すると共に、第1被検査体を除く他の導体パターンPのうちの一部または全部を第2被検査体として設定し、第2被検査体における各検査対象点Pjを同電位としつつ、第2被検査体と第1被検査体との間に検査用信号Sを供給させる。また、制御部18は、第1被検査体および第2被検査体として設定する導体パターンPの組み合わせを後述する手順に従って各第1絶縁検査毎に変更する。
【0026】
また、制御部18は、被検査体の回路基板100における各導体パターンPの中に、予め決められた規定数Ar以上の検査対象点Pjを有する導体パターンP(特定の導体パターンに相当し、以下、他の導体パターンPと区別するときには「導体パターンPa」ともいう)が存在するときには、検査対象点Pjの数(以下、検査対象点Pjの数を「ポイント数A」ともいう)が予め決められた数としての規定数Ar未満の導体パターンPだけを第1被検査体として設定する対象とすると共に、検査対象点Pjのポイント数Aが少ない順にこれらの導体パターンPの1つを第1検査対象として設定しつつ第1絶縁検査を順次実行する。さらに、制御部18は、特定の導体パターンPaが複数存在するときには、第1絶縁検査の終了後に、後述する第2絶縁検査を実行することにより、これらの特定の導体パターンPa同士の間の絶縁状態を測定部16によって測定された抵抗値Rに基づいて検査する。
【0027】
制御部18は、この第2絶縁検査において、上記した供給処理を実行する。この場合、1つの特定の導体パターンPaを第3検査対象として設定すると共に、その第3被検査体を除く他の特定の導体パターンPaの1つを第4検査対象として設定し、第3検査対象と第4検査対象との間に検査用信号Sを供給させる。
【0028】
また、制御部18は、第3検査対象と第4検査との組み合わせが複数存在するときには、その組み合わせを後述する手順に従って変更しつつ第2絶縁検査を複数回実行する。この場合、検査部は、2回目以降の第2絶縁検査において、それよりも前の第2絶縁検査で第3被検査体として設定した特定の導体パターンを第4被検査体として設定する対象から除外する。
【0029】
次に、回路基板検査装置1を用いて回路基板100における各導体パターンPの間の絶縁状態を検査する回路基板検査方法、およびその際の回路基板検査装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、回路基板100は、図2に示すように、8個の導体パターンP1〜P8を有しているものとする。また、同図に示すように、導体パターンP1〜P8には、1個または複数(2個〜9個)の検査対象点Pjが設けられているものとする。また、上記した規定数Arが「4」に予め決められているものとする。
【0030】
まず、被検査体の回路基板100を基板保持部11における保持台(図示せず)に載置し、次いで、基板保持部11のクランプ機構(図示せず)で回路基板100の端部を挟み込んで固定することにより、回路基板100を基板保持部11に保持させる。続いて、図外の操作部を用いて検査開始操作を行う。この際に、制御部18が、操作部から出力された操作信号に従い、移動機構13を制御してプローブユニット12を下向きに移動させる。これにより、プローブユニット12の各プローブピン21の先端部が各導体パターンPにおける各検査対象点Pjに接触(プロービング)させられる。
【0031】
次いで、制御部18は、記憶部17から導体パターンデータを読み出す。続いて、制御部18は、各導体パターンPの中に、規定数Arとしの「4」以上の検査対象点Pjを有する導体パターンPaが存在するか否かを導体パターンデータに基づいて判別する。この場合、この回路基板100では、図2に示すように、「4」以上の検査対象点Pjを有する3つの導体パターンP3,P4,P6が存在し、制御部18は、これらの導体パターンP(以下、「導体パターンPa3,Pa4,Pa6」ともいう)が導体パターンPaであると判別する。次いで、制御部18は、検査用信号出力部14を制御して、検査用信号S(一例として、電圧値が200Vの直流電圧信号)の出力を開始させる。
【0032】
続いて、制御部18は、次のようにして、複数回(この例では、5回)の第1絶縁検査を実行する。1回目の第1絶縁検査では、制御部18は、図3に示すように、各導体パターンPの中で、検査対象点Pjのポイント数Aが最も少ない導体パターンPとして、ポイント数Aが「1」である導体パターンP1を選択し、その導体パターンP1を第1被検査体として設定する。また、制御部18は、導体パターンP1を除く他の導体パターンP2〜P8の全部を第2被検査体として設定する(同図における「1回目」の列参照)。
【0033】
続いて、制御部18は、供給処理を実行する。この供給処理では、制御部18は、スキャナ部15を制御して、第1被検査体(導体パターンP1)の検査対象点Pjに接触しているプローブピン21と検査用信号出力部14とを接続する。また、制御部18は、スキャナ部15を制御して、第2被検査体(導体パターンP2〜P8)の各検査対象点Pjに接触しているプローブピン21を基準電位(例えば、グランド電位)に接続する。
【0034】
これにより、第1被検査体と第2被検査体との間に各プローブピン21を介して検査用信号Sが供給(印加)される。この場合、第2被検査体の検査対象点Pjがプローブピン21を介してグランド電位に接続されているため、各検査対象点Pjが同電位(この例では、グランド電位)に維持される。
【0035】
次いで、制御部18は、測定部16に対して測定処理を実行させて、第1被検査体と第2被検査体との間の抵抗値Rを測定させる。続いて、制御部18は、測定部16によって測定された抵抗値Rと抵抗値の下限値とを比較して第1被検査体と第2被検査体との間の絶縁状態を検査する。この場合、制御部18は、算出(測定)した抵抗値が下限値以上のときには、絶縁状態が良好と判定し、下限値よりも小さいときには、絶縁状態が不良と判定する。
【0036】
次いで、制御部18は、2回目の第1絶縁検査を実行する。2回目の第1絶縁検査では、制御部18は、それよりも前(この例では、1回目)の第1絶縁検査において第1被検査体として設定した導体パターンP1を、第1被検査体として設定する対象および第2被検査体として設定する対象から除外する。この結果、導体パターンP2〜P8が第1被検査体の設定対象となる。
【0037】
続いて、制御部18は、第1被検査体の設定対象の導体パターンP(この例では、導体パターンP2〜P8)であって、かつ直前の第1絶縁検査において第2被検査体として設定した導体パターンP(この例では、導体パターンP2〜P8)であるとの条件を満たす導体パターンP(この例では、導体パターンP2〜P8)を判別する。次いで、制御部18は、図3に示すように、これらの導体パターンP2〜P8の中で、1回目の第1絶縁検査で第1被検査体として設定した導体パターンP1の次に検査対象点Pjのポイント数Aが少ない(または、ポイント数Aが同じ)導体パターンPとして、ポイント数Aが「2」である導体パターンP2を選択し、その導体パターンP2を第2被検査体として設定する対象から除外して第1被検査体として設定する。
【0038】
また、制御部18は、残りの導体パターンP3〜P8の全部を第2被検査体として設定する(図3における「2回目」の列参照)。次いで、制御部18は、供給処理を実行し、続いて、測定部16によって測定された抵抗値Rに基づいて第1被検査体と第2被検査体との間の絶縁状態を検査する。
【0039】
続いて、制御部18は、3回目の第1絶縁検査を実行し、2回目の第1絶縁検査と同様の手順でポイント数Aが「2」である導体パターンP5を選択して第1被検査体として設定する。また、制御部18は、残りの導体パターンP3,P4,P6〜P8の全部を第2被検査体として設定する(図3における「3回目」の列参照)。次いで、制御部18は、供給処理を実行して、第1被検査体と第2被検査体との間の絶縁状態を検査する。
【0040】
続いて、制御部18は、4回目の第1絶縁検査を実行し、2回目および3回目の第1絶縁検査と同様の手順でポイント数Aが「2」である導体パターンP7を選択して第1被検査体として設定し、次いで、残りの導体パターンP3,P4,P6,P8の全部を第2被検査体として設定する(図3における「4回目」の列参照)。次いで、制御部18は、供給処理を実行して、第1被検査体と第2被検査体との間の絶縁状態を検査する。
【0041】
続いて、制御部18は、5回目の第1絶縁検査を実行し、4回目の第1絶縁検査で第1被検査体として設定した導体パターンP7の次に検査対象点Pjのポイント数Aが少ない導体パターンPとして、ポイント数Aが「3」である導体パターンP8を選択して第1被検査体として設定する。また、制御部18は、残りの導体パターンP3,P4,P6の全部を第2被検査体として設定する(図3における「5回目」の列参照)。次いで、制御部18は、供給処理を実行して、第1被検査体と第2被検査体との間の絶縁状態を検査する。この場合、導体パターンP8の他に検査対象点Pjのポイント数Aが「3」の導体パターンPが存在しないため、制御部18は、以上で第1絶縁検査を終了する。このように、制御部18は、検査対象点Pjの数が少ない順に各導体パターンPの1つを第1検査対象として設定しつつ第1絶縁検査を順次実行する処理を、予め決められた数としての規定数Arである「4」未満(つまり、「3」以下)の検査対象点Pjを有する全ての導体パターンPを第1検査対象として設定し終えるまで行う。つまり、制御部18は、検査対象点Pjの数が予め決められた数としての規定数Ar未満の導体パターンPだけを、第1被検査体として設定する対象とすると共に、検査対象点Pjのポイント数Aが少ない順にこれらの導体パターンPの1つを第1検査対象として設定しつつ第1絶縁検査を順次実行する。
【0042】
一方、この回路基板100には、特定の導体パターンPaが3つ(つまり、複数)存在するため、制御部18は、上記した第1絶縁検査を実行した後に、第3被検査体および第4被検査体の組み合わせを変更しつつ第2絶縁検査を複数回実行する。1回目の第2絶縁検査では、制御部18は、図4に示すように、3つの導体パターンPa3,Pa4,Pa6の中の1つとして、これらの導体パターンPaの中で検査対象点Pjのポイント数Aが最も少ない導体パターンPa4を選択し、その導体パターンPa4を第3被検査体として設定する。また、制御部18は、第3被検査体を除く他の導体パターンPaの1つとして、導体パターンP6を選択し、その導体パターンP6を第4被検査体として設定する(同図における「1回目」の列参照)。
【0043】
続いて、制御部18は、供給処理を実行し、スキャナ部15を制御して、第3被検査体の検査対象点Pjに接触しているプローブピン21と検査用信号出力部14とを接続させると共に、第4被検査体の検査対象点Pjに接触しているプローブピン21を基準電位に接続させる。これにより、第4被検査体における各検査対象点Pjが同電位に維持されつつ第4被検査体と第3被検査体との間に検査用信号Sが供給される。次いで、制御部18は、測定部16に対して、第3被検査体と第4被検査体との間の抵抗値Rを測定させる。続いて、制御部18は、測定部16によって測定された抵抗値Rと抵抗値の下限値とを比較して第3被検査体と第4被検査体との間の絶縁状態を検査する。
【0044】
次いで、制御部18は、2回目の第2絶縁検査を実行する。2回目の第2絶縁検査では、制御部18は、第3被検査体および第4被検査体の組み合わせを変更する。具体的には、制御部18は、図4に示すように、導体パターンPa4を第3被検査体として設定する。また、制御部18は、第3被検査体を除く他の特定の導体パターンPaであって、かつ実行しようとしている第2絶縁検査よりも前(この例では、1回目)の第2絶縁検査で第3被検査体として設定した特定の導体パターンPa(この例では、導体パターンPa4)を除く特定の導体パターンPaの1つとして、導体パターンPa3を選択し、その導体パターンP3を第4被検査体として設定する(同図における「2回目」の列参照)。続いて、制御部18は、供給処理を実行し、次いで、測定部16によって測定された抵抗値Rに基づいて第3被検査体と第4被検査体との間の絶縁状態を検査する。
【0045】
次いで、制御部18は、3回目の第2絶縁検査を実行する。3回目の第2絶縁検査では、制御部18は、図4に示すように、導体パターンPa3,Pa4,Pa6の中の1つとして、導体パターンPa4の次に検査対象点Pjのポイント数Aが少ない導体パターンPa6を選択し、その導体パターンPa6を第3被検査体として設定する。また、制御部18は、第3被検査体を除く他の特定の導体パターンPaであって、かつ実行しようとしている第2絶縁検査よりも前(この例では、1回目および2回目)の第2絶縁検査で第3被検査体として設定した特定の導体パターンPa(この例では、導体パターンPa4)を除く特定の導体パターンPaとして、導体パターンPa3を選択し、その導体パターンP3を第4被検査体として設定する(同図における「3回目」の列参照)。続いて、制御部18は、供給処理を実行し、次いで、測定部16によって測定された抵抗値Rに基づいて第3被検査体と第4被検査体との間の絶縁状態を検査する。以上により、第2絶縁検査が終了する。次いで、制御部18、第1絶縁検査および第2絶縁検査の結果を図外の表示部に表示させる。
【0046】
ここで、導体パターンPの各検査対象点Pjに接触されているプローブピン21および各プローブピン21に接続されているケーブルやスキャナスイッチ等の導体パターンPに検査用信号Sを供給する媒体(以下、「信号供給媒体」ともいう)の相互間には、浮遊容量が存在する。この浮遊容量は、信号供給媒体を介して検査用信号SのHi側に接続される検査対象点Pjの数、および信号供給媒体を介して検査用信号SのLo側に接続される検査対象点Pjの数のうちの少ない方の数がパラメータとなってその大きさが決まる。具体的には、第1絶縁検査における信号供給媒体の相互間の浮遊容量は、図3に示すように、第1被検査体の検査対象点Pjのポイント数A1、および第2被検査体の検査対象点Pjのポイント数A2のうちの少ない方の数(同図の最下段に示すポイント数As1)が小さいほど小さく大きいほど大きくなる。また、第2絶縁検査における信号供給媒体の相互間の浮遊容量は、図4に示すように、第3被検査体の検査対象点Pjのポイント数A3、および第4被検査体の検査対象点Pjのポイント数A4のうちの少ない方の数(同図の最下段に示すポイント数As2)が小さいほど小さく大きいほど大きくなる。
【0047】
一方、信号供給媒体の相互間の浮遊容量が大きいほど、導体パターンPに対する検査用信号Sの供給開始時点から導体パターンP間の電圧が検査に必要な規定電圧に達する時点までの時間が長くなり、これに起因して検査効率の向上が困難となる。このため、信号供給媒体の相互間の浮遊容量は小さいのが好ましい。この場合、検査対象点Pjの数の多少に関わらず全ての導体パターンPaを第1被検査体として設定して第1絶縁検査を実行する従来の構成および方法によって回路基板100の検査を行ったときには、図5に示す比較例のように、信号供給媒体の相互間の浮遊容量の大きさのパラメータとなるポイント数As1が最大で「9」となる。
【0048】
これに対して、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、予め決められた数としての規定数Ar以上の検査対象点Pjを有する特定の導体パターンPaが存在するときには、検査対象点Pjの数が規定数Ar未満の導体パターンPだけを第1被検査体として設定する対象とし(つまり、特定の導体パターンPaを第1被検査体として設定する対象から除外し)、特定の導体パターンPaが複数存在するときには、これらの特定の導体パターンPaについては第2絶縁検査を実行することで、図3,4に示すように、信号供給媒体の相互間の浮遊容量の大きさのパラメータとなるポイント数As1,As2が最大で「5」に抑えられる。この場合、この例では、回路基板100の各導体パターンPにおける検査対象点Pjの最大数が「9」であるため、従来の構成および方法におけるポイント数As1の最大数と、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法におけるポイント数As1,As2の最大数との差異が僅か(この例では「4」)であるが、一般的な回路基板100では、1000以上のポイントPjを有する導体パターンP(例えば、接続電源用の導体パターンP)を複数備えているため、このような回路基板100を検査する際には、上記の差異が大きい値となって現れる。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、従来の構成および方法と比較して、信号供給媒体の相互間の浮遊容量が十分に小さく抑えられ、その分、検査効率を向上させることが可能となっている。また、信号供給媒体の相互間の浮遊容量が十分に小さく抑えられるため、電荷のチャージが少なく抑えられる結果、絶縁検査の実行中に絶縁破壊が発生したとしても、チャージされた電荷の放電による回路基板の破損を確実に防止することが可能となっている。
【0049】
なお、上記した例では、検査対象点Pjのポイント数Aが規定数Ar以上の特定の導体パターンPaが複数存するため第2絶縁検査を実行したが、特定の導体パターンPaが1つしか存在しないときには、第1絶縁検査を実行だけを実行し、第2絶縁検査を実行することなくその回路基板100に対する検査を終了することができる。具体的には、回路基板100について、規定数Arが「6」に決められているときには、特定の導体パターンPaが1つだけ(導体パターンP3だけ)存在する。この場合には、図6に示すように、検査対象点Pjの数が少ない順に各導体パターンPの1つを第1検査対象として設定しつつ第1絶縁検査を順次実行する処理を、規定数Arである「6」未満(つまり、「5」以下)の検査対象点Pjを有する全ての導体パターンPを第1検査対象として設定し終えるまで行う(この例では、第1絶縁検査を7回実行する)ことで、第2絶縁検査を実行することなく、全ての導体パターンPについての絶縁状態が検査されることが理解される。この方法においても、同図に示すように、信号供給媒体の相互間の浮遊容量の大きさのパラメータとなるポイント数A1,A2のうちの少ない方の数が最大で「5」に抑えられ、従来の構成および方法と比較して、信号供給媒体の相互間の浮遊容量が十分に小さく抑えられることが理解される。
【0050】
このように、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、予め決められた数としての規定数Ar以上の検査対象点Pjを有する特定の導体パターンPaが存在するときには、検査対象点Pjのポイント数Aが規定数Ar未満の導体パターンPだけを第1被検査体として設定して第1絶縁検査を実行し、特定の導体パターンPaが複数存在するときには、これらの特定の導体パターンPaについて第2絶縁検査を実行する。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、第1絶縁検査および第2絶縁検査において、プローブピン21等の信号供給媒体を介して検査用信号SのHi側に接続される検査対象点Pjの数および検査用信号SのLo側に接続される検査対象点Pjの数のうちの少ない方の数を少なくすることができる結果、その数がパラメータとなって大きさが決まる信号供給媒体の相互間の浮遊容量を十分に小さく抑えることができる。したがって、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、導体パターンPに対する検査用信号Sの供給開始時点から導体パターンP間の電圧が検査に必要な規定電圧に達する時点までの時間を短縮することができる結果、その分、検査効率を十分に向上させることができる。また、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、信号供給媒体の相互間の浮遊容量が十分に小さい分、電荷のチャージを少なく抑えることができる結果、絶縁検査の実行中に絶縁破壊が発生したとしても、チャージされた電荷の放電による回路基板100の破損を確実に防止することができる。
【0051】
また、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、2回目以降の第2絶縁検査において、それよりも前の第2絶縁検査で第3被検査体として設定した特定の導体パターンPaを第4被検査体として設定する対象から除外することにより、第3被検査体および第4被検査体の組み合わせの種類が少なくなる分、第2絶縁検査の回数を少なくすることができるため、検査効率をより向上させることができる。
【0052】
また、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法では、第2絶縁検査の実行時において第4被検査体として特定の導体パターンPaを1つだけ設定する。このため、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、第4被検査体として複数の特定の導体パターンPaを設定する構成および方法と比較して、第2絶縁検査において、検査用信号SのHi側に接続される導体パターンPの検査対象点Pjの数および検査用信号SのLo側に接続される導体パターンPの検査対象点Pjの数のうちの少ない方の数をより少なくすることができる結果、信号供給媒体の相互間の浮遊容量をさらに小さく抑えることができる。したがって、この回路基板検査装置1および回路基板検査方法によれば、検査効率をさらに向上させることができると共に、検査時における回路基板100の破損をより確実に防止することができる。
【0053】
なお、回路基板検査装置および回路基板検査方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、各導体パターンPの中に規定数Ar以上の検査対象点Pjを有する特定の導体パターンPaが存在するときに、検査対象点Pjのポイント数Aが規定数Ar未満の導体パターンPだけを第1被検査体として設定する対象とすると共に、検査対象点Pjのポイント数Aが少ない順にこれらの導体パターンPの1つを第1検査対象として設定しつつ第1絶縁検査を順次実行する例について上記したが、導体パターンPの1つを第1検査対象として設定する順序は、ポイント数Aが少ない順に限定されず、ポイント数Aが大きい順でもよいし、ポイント数Aとは無関係な順番(例えば、導体パターンPの番号順)でもよい。
【0054】
また、第1絶縁検査において、第1被検査体の導体パターンPを検査用信号出力部14に接続すると共に、第2被検査体の導体パターンPをグランド電位に接続する例について上記したが、これとは逆に、第1被検査体の導体パターンPを基準電位としてのグランド電位に接続すると共に、第2被検査体の導体パターンPを検査用信号出力部14に接続する構成および方法を採用することもできる。同様にして、第2絶縁検査において、第3被検査体の導体パターンPを検査用信号出力部14に接続すると共に、第4被検査体の導体パターンPをグランド電位に接続する構成および方法に代えて、第3被検査体の導体パターンPを基準電位としてのグランド電位に接続すると共に、第4被検査体の導体パターンPを検査用信号出力部14に接続する構成および方法を採用することもできる。
【0055】
また、8個の導体パターンPを有する回路基板100における各導体パターンPの間の絶縁状態を検査する例について上記したが、3個以上の任意の数の導体パターンPを有する回路基板100を対象とした検査においても、上記した効果と同様の効果を実現することができる。また、第2絶縁検査において、第4被検査体として特定の導体パターンPaを1つだけ設定する構成および方法について上記したが、複数の導体パターンPを第4被検査体として設定する構成および方法を採用することもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 回路基板検査装置
14 検査用信号出力部
15 スキャナ部
16 測定部
18 制御部
21 プローブピン
100 回路基板
Ar 規定数
A,A1,A2,As1,A3,A4,As2 ポイント数
P1〜P8,Pa 導体パターン
Pj 検査対象点
R 抵抗値
S 検査用信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の検査対象点を有する複数の導体パターンを備えている回路基板における当該各検査対象点に接触させた検査用プローブを介して当該各導体パターンに検査用信号が供給されている状態で当該各導体パターン間の抵抗値を測定する測定部と、
前記各導体パターンのうちの1つを第1被検査体として設定すると共に当該第1被検査体を除く他の前記導体パターンのうちの一部または全部を第2被検査体として設定し、当該第2被検査体における前記各検査対象点を同電位としつつ当該第2被検査体と前記第1被検査体との間に前記検査用信号を供給させている状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて当該第2被検査体と当該第1被検査体との間の絶縁状態を検査する第1絶縁検査を、前記第1被検査体および前記第2被検査体の組み合わせを変更しつつ複数回実行する際に、2回目以降の前記第1絶縁検査において、それよりも前の前記第1絶縁検査で前記第1被検査体として設定した導体パターンを前記第1被検査体および前記第2被検査体として設定する対象から除外すると共に、直前の前記第1絶縁検査で前記第2被検査体として設定した導体パターンのうちの1つの導体パターンを前記第2被検査体として設定する対象から除外して前記第1被検査体として設定する検査部を備えた回路基板検査装置であって、
前記検査部は、前記回路基板における前記各導体パターンの中に予め決められた数以上の前記検査対象点を有する特定の導体パターンが存在するときには、前記検査対象点の数が前記予め決められた数未満の前記導体パターンだけのうちから当該導体パターンの1つを前記第1検査対象として設定しつつ前記第1絶縁検査を順次実行し、
前記特定の導体パターンが複数存在するときには、前記第1絶縁検査の終了後に、1つの前記特定の導体パターンを第3検査対象として設定すると共に当該第3被検査体を除く他の前記特定の導体パターンを第4検査対象として設定し、前記第3検査対象と前記第4検査対象との間に検査用信号を供給させている状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて当該第3被検査体と当該第4被検査体との間の絶縁状態を検査する第2絶縁検査を、当該第3被検査体および当該第4被検査体の組み合わせを変更しつつ実行する回路基板検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、2回目以降の前記第2絶縁検査において、それよりも前の前記第2絶縁検査で前記第3被検査体として設定した前記特定の導体パターンを前記第4被検査体として設定する対象から除外する請求項1記載の回路基板検査装置。
【請求項3】
前記検査部は、前記第2絶縁検査の実行時において前記第4被検査体として前記特定の導体パターンを1つだけ設定する請求項1または2記載の回路基板検査装置。
【請求項4】
1または複数の検査対象点を有する複数の導体パターンを備えている回路基板における当該各導体パターンのうちの1つを第1被検査体として設定すると共に当該第1被検査体を除く他の前記導体パターンのうちの一部または全部を第2被検査体として設定し、前記第1被検査体および前記第2被検査体における前記各検査対象点に接触させた検査用プローブを介して当該第2被検査体における当該各検査対象点を同電位としつつ当該第2被検査体と当該第1被検査体との間に検査用信号が供給されている状態で当該第2被検査体と当該第1被検査体との間の抵抗値を測定し、当該抵抗値に基づいて当該第2被検査体と当該第1被検査体との間の絶縁状態を検査する第1絶縁検査を、前記第1被検査体および前記第2被検査体の組み合わせを変更しつつ複数回実行する際に、2回目以降の前記第1絶縁検査において、それよりも前の前記第1絶縁検査で前記第1被検査体として設定した導体パターンを前記第1被検査体および前記第2被検査体として設定する対象から除外すると共に、直前の前記第1絶縁検査で前記第2被検査体として設定した導体パターンのうちの1つの導体パターンを前記第2被検査体として設定する対象から除外して前記第1被検査体として設定する回路基板検査方法であって、
前記回路基板における前記各導体パターンの中に予め決められた数以上の前記検査対象点を有する特定の導体パターンが存在するときには、前記検査対象点の数が前記予め決められた数未満の前記導体パターンだけのうちから当該導体パターンの1つを前記第1検査対象として設定しつつ前記第1絶縁検査を順次実行し、
前記特定の導体パターンが複数存在するときには、前記第1絶縁検査の終了後に、1つの前記特定の導体パターンを第3検査対象として設定すると共に当該第3被検査体を除く他の前記特定の導体パターンを第4検査対象として設定し、前記第3検査対象と前記第4検査対象との間に検査用信号を供給させている状態で前記測定部によって測定された前記抵抗値に基づいて当該第3被検査体と当該第4被検査体との間の絶縁状態を検査する第2絶縁検査を、当該第3被検査体および当該第4被検査体の組み合わせを変更しつつ実行する回路基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242098(P2012−242098A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109108(P2011−109108)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】