説明

回転ノズル及びこの回転ノズルを使用した洗剤溶解装置

【課題】洗剤容器に充填された固形洗剤を、溶解面を水平面に形成しながら効率よく溶解し、容器内に洗剤を全く残存させることなく溶解することを実現する。
【解決手段】 回転ノズル本体の回転中心に、回転ノズル固定具を組み付けた密閉構造の回転ノズルであって、前記回転ノズル本体は、平面視ほぼS字状に形成し、回転ノズル上部と回転ノズル下部に2分割し、前記回転ノズル下部の長手方向中心に回転軸穴を設け、上面には円形溝を形成し、裏面にはノズル受け部を設け、前記回転ノズル上部には、第1液溜り部を複数配設し、該第1液溜り部に噴射孔を設け、長手方向両端部には第2液溜り部を配設し、該第2液溜り部に水平噴射孔を回転方向に設け、両端の前記第2液溜り部間には前記第1液溜り部及び前記第2液溜り部に連通する通路を設け、前記回転ノズル固定具は、供給用ノズルの孔に挿着される径に形成し、上端には前記円形溝に配置されるフランジを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤容器に充填された固形洗剤を溶解可能な回転ノズル及びこの回転ノズルを使用した洗浄剤供給装置における洗剤溶解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洗剤溶解装置における洗剤溶解用ノズルは、図9、10に示した態様のものであり、いわゆる「固定ノズル噴霧方式」((以下「固定ノズル噴霧方式」という)であり、水圧、水温、洗剤等の性質に合わせて噴角、噴射量を選択しているのが現状である。この固定ノズル噴霧方式の洗剤溶解用ノズルAで洗剤容器15内の固形洗剤16を溶解する場合は、図9、図10のように、固形洗剤16を充填収納したカートリッジ(洗剤容器)15を逆さに倒立し、洗剤溶解用ノズルAから温水又は水を吹き上げる状態で噴霧Sし、洗剤溶液を洗浄タンク10ヘ誘導ホース14で誘導する。また、該タンク10内の洗剤溶液16aは濃度検知センサー9と洗剤供給制御基板24の電子回路で適正に濃度がコントロールされている(図1参照)。
また、従来の洗剤溶解装置を備えた洗浄剤供給装置としては、特開2005−46309号公報がある(特許文献1参照)。さらに、従来の食器洗浄用の回転式ノズルとしては、特開平9−131295号公報がある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−46309号公報
【特許文献2】特開平9−131295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(1)しかし、従来の「固定ノズル噴霧方式」では、環境条件に合わせた態様の洗剤用溶解ノズルを選択して固形洗剤の溶解を行っても、固形洗剤の溶解面に均等の力で噴霧することは不可能である。その結果、固形洗剤の溶解の進行に伴い溶解面の高さが変化し、図10、図14のように容器内に一部残存させた状態で溶解されるという問題点がある。
【0004】
(2)また、従来の「固定ノズル噴霧方式」の洗剤溶解ノズルAでは、図9、図10のように、1点から逆円錐状に水(湯)が噴霧Sされるため、固形洗剤の中心部と円周面の噴霧力の分布を均等にすることは不可能である。その結果、常に同じ位置に、かつ強弱の変化が無いままの状態で固形洗剤に噴霧液が当たり続けるため、片減り状態になるという問題点がある。
【0005】
(3)さらに、食器洗浄装置(図1参照)では、洗剤溶液槽10の濃度を濃度検知センサー9にて計測し洗剤溶解を制御している場合、上記図9,10の状態のまま固形洗剤の溶解を続けると、設定値まで濃度を上げる溶解ができなくなり、該装置は「洗剤なし」と判断する。その結果、固形洗剤を洗剤容器の底部に相当量残存させた状態で洗剤容器を廃棄処分することとなり、容器リサイクル等に不利になるという問題点がある。
【0006】
(4)また、従来の「固定ノズル噴霧方式」の場合は、溶解状態によっては容器内面への密着性を失った固形洗剤が破片のまま落下する場合があり、固形洗剤が破片のまま、洗浄タンクヘ流入するとタンク溶液の濃度が異常に高くなり、その結果、食器等被洗浄物の「すすぎ」が不十分となり、人体へも影響も及ぼすという問題がある。
【0007】
(5)図10のような「つらら」状の洗剤が固形状態のままで崩壊し、誘導ホース内に流れ込んだ場合は、誘導ホースの曲り部で閉塞状態を起こし、サーバー(容器収納部)内に溶液が溜まり外部へ溢れ出すことがある。溢れ出した溶液は強アルカリで厨房内の環境劣化や人体へも悪影響与えるという問題点がある。
【0008】
(6)また、誘導ホースの曲り部で閉塞状態を起こした場合は、洗剤溶剤の濃度が薄くなり洗浄不良となる。その結果、衛生管理上の問題が生ずるという問題点がある。
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、洗剤容器に充填された固形洗剤を、溶解過程では溶解面を水平面に形成しながら効率よく溶解し、最終段階では容器内に洗剤を全く残存させることなく溶解可能な回転ノズル及びこの回転ノズルを使用した洗剤溶解装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における請求項1の発明に係る回転ノズルは、
回転ノズル本体の長手方向中心に、回転ノズル固定具の上端部を回転自在に組み付けた密閉構造の回転ノズルであって、
前記回転ノズル本体は、中央の直線状部の長手方向両端に互いに平行な傾斜状部を平面視ほぼS字状に形成した、回転ノズル上部と回転ノズル下部に2分割され、前記回転ノズル下部には直線状部の長手方向中心に回転軸穴を設け、上面には該回転軸穴と同心円の円形溝を形成し、裏面には供給用ノズルの上端部が揺動自在に組み付けられる該回転軸穴と同心円のノズル受け部を設け、
前記回転ノズル上部には、前記回転軸穴を中心にして所定距離ずらした長手方向両側に第1液溜り部を複数配設し、該第1液溜り部には垂直で、かつ扇形に噴霧し、さらには互いの噴霧が干渉されない状態で一直線状に噴霧可能に、互いをほぼ平行に配置した噴射孔を中心軸線に沿って設け、長手方向両端部には第2液溜り部を配設し、該第2液溜り部にほぼ水平に噴射し回転動力として作動する水平噴射孔を回転方向に設け、両端の前記第2液溜り部間には前記第1液溜り部及び前記第2液溜り部に連通する通路を設け、
前記回転ノズル固定具は、供給部に取り付けられる供給用ノズルの孔に挿着される径に形成し、上端には前記円形溝に回転自在に挿着するフランジを設けた構成としている。
【0011】
本発明における請求項2の発明に係る回転ノズルは、請求項1記載の回転ノズルにおいて、回転ノズル上部の裏面には通路に沿ってOリング挿着溝を設け、これに対応して回転ノズル下部の上面に凸条を設けると共に、前記回転ノズル上部の側面外周には係合片を配設し、これに対応して前記回転ノズル下部の側面外周には係止爪を配設してなり、回転ノズル下部上にOリングを介して回転ノズル上部を密閉構造に組み付けたことを特徴としている。
【0012】
本発明における請求項3の発明に係る回転ノズルは、請求項1記載の回転ノズルにおいて、第1液溜り部及び第2液溜り部は、ドーム状に形成したことを特徴としている。
【0013】
本発明における請求項4の発明に係る洗剤溶解装置は、
給湯入配管に連結された垂直な供給部と溶解液出口とを下端部に配設し、該供給部の上端部に孔を有する供給用ノズルを螺合させた容器収納部の該供給用ノズルに、
回転ノズル本体の長手方向中心に、回転ノズル固定具の上端部を回転自在に組み付けた密閉構造の回転ノズルであって、
前記回転ノズル本体は、中央の直線状部の長手方向両端に互いに平行な傾斜状部を平面視ほぼS字状に形成した、回転ノズル上部と回転ノズル下部に2分割され、前記回転ノズル下部には直線状部の長手方向中心に回転軸穴を設け、上面には該回転軸穴と同心円の円形溝を形成し、裏面には供給用ノズルの上端部が揺動自在に組み付けられる該回転軸穴と同心円のノズル受け部を設け、
前記回転ノズル上部には、前記回転軸穴を中心にして所定距離ずらした長手方向両側に第1液溜り部を複数配設し、該第1液溜り部には垂直で、かつ扇形に噴霧し、さらには互いの噴霧が干渉されない状態で一直線状に噴霧可能に、互いをほぼ平行に配置した噴射孔を中心軸線に沿って設け、長手方向両端部には第2液溜り部を配設し、該第2液溜り部にほぼ水平に噴射し回転動力として作動する水平噴射孔を回転方向に設け、両端の前記第2液溜り部間には前記第1液溜り部及び前記第2液溜り部に連通する通路を設け、
前記回転ノズル固定具は、供給部に取り付けられる供給用ノズルの孔に挿着される径に形成し、上端には前記円形溝に回転自在に挿着するフランジを設けた回転ノズルの該回転ノズル固定具を、前記供給用ノズルの孔に挿着すると共に、供給用ノズルの上端部にノズル受け部を揺動自在に組み付けてなり、
通路に供給された給水を、噴射孔から垂直かつ扇状で、さらには一直線状に噴射させ、同時に水平噴射孔からの噴射により回転ノズルを水平に回転させて固形洗剤を溶解することを特徴としている。
【0014】
図2〜5のように、供給部に供給用ノズルの下端部を螺着後、回転ノズルの回転ノズル固定具を、前記供給用ノズルの孔に挿着すると共に、供給用ノズルの上端部にノズル受け部を揺動自在に組み付ける。
洗剤溶解装置の停止(止水)時は、回転ノズル本体の回転ノズル下部は下方向に下がり、供給用ノズルの上端と接触している(図5参照)。他方、給湯入配管から給水されると内部中心部に水圧が掛かり回転ノズル全体をやや浮上させた状態でわずかの高さ押し上げ、噴霧孔より垂直でかつ扇状に、さらには噴射孔からの噴射が互いに干渉されない状態で一直線状に噴霧を開始し、同時に水平噴射孔よりの水の噴射を動力にして回転ノズル本体は自動的に回転を開始する。この時、供給用ノズルの上端と回転ノズル下部との間に隙間が発生(図6参照)し、さらに内部の水がにじみ出て抵抗を減少させる作用が働き、回転ノズル本体は低水圧でも充分な回転動力を得て回転する。
【0015】
回転ノズル本体は、通路に給水Wが開始されると、噴射孔から垂直で、かつ扇状に、さらには一直線状に噴射され、同時に水平噴射孔から水平に噴射し、水圧に対応して所定速度で回転させる。扇状で、かつ一直線状に噴霧された水圧は、固形洗剤の溶解面に均一に当たり平面状に溶解する。この時、回転ノズル本体は、扇状の噴霧状態で連続回転するため、常に溶解面の溶解状態に変化を与えることになる。この溶解を繰り返し行うことにより、溶解面の溶解状態は平均化され、かつ溶解面を平面に形成する。これにより平坦な溶解状態を維持でき、容器内に洗剤を残存させないで溶解する(図12の本発明における回転ノズル使用時の溶解初期の溶解状態写真,図13の同溶解中間の溶解状態写真参照)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)回転ノズル本体は、扇状で、かつ一直線状に噴霧された状態で連続回転するため、常時溶解面の溶解状態に変化を与える。この溶解を繰り返し行うことにより、固形洗剤の溶解面の溶解状態は平均化され、かつ溶解面を平面状に溶解する。したがって、固形洗剤の平面状の溶解状態を維持でき、容器内に洗剤を残存させないで溶解するという固形洗剤の理想的溶解を達成できる(溶解状態の写真の図12,13参照)。
そして、洗剤容器に充填された固形洗剤を、溶解過程では溶解面を水平面に形成しながら効率よく溶解し、最終段階では容器内に洗剤を全く残存させることなく溶解できるものである。
【0017】
(3)本発明の回転ノズル本体は、「噴霧角度」や「噴霧広角度」に関係無く、固形洗剤を平面状に溶解でき、カートリッジ内壁付近の洗剤は全く残存させずに溶解出来る。その結果、固形洗剤が洗剤容器内に残存させない状態で該容器を処分できるため、容器のリサイクル等に有利な展開ができる。
【0018】
(4)供給部から供給用ノズルに給水されると回転ノズル本体の内部中心部に水圧が掛かり回転ノズル全体を押し上げ、溶解用の噴霧孔より扇状に噴霧を始め、同時に両端に配置された水平噴射孔より水が噴射され回転を始める。この時、供給用ノズルの上端部と回転ノズル下部との間に隙間が発生し、さらに内部の水がにじみ出て抵抗を少なくする作用が働くため回転ノズルは低水圧でも充分な回転動力を得て回転できる。
【0019】
(5)従来の洗剤溶解用ノズル周辺の供給部を改造することなくそのまま使用し、本発明の供給用ノズルに交換し、これに回転ノズルを取り付けることにより、固形洗剤の溶解性能に多大な効果を発揮できるものである。
【0020】
(6)固形洗剤が破片のまま、洗浄タンクヘ流入して濃度検知センサーの濃度を異常に高くするような事故を防止できる。また、濃度制御が良好に作動し、食器類の「すすぎ」が十分行われることになる。
【0021】
(7)従来のような「つらら」状(図10、図14参照)に溶解された固形洗剤が固形のまま崩壊し、これが誘導ホース内に流れ込み該誘導ホースの曲り部で閉塞状態を起こす事故を防止できる。また、誘導ホースは、閉塞状態を起こすことはないので、洗浄不良がなくなり、衛生管理上安全に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施例は、図1〜図8、図11、図12〜図13を参照して説明する。
図1において、本発明に関する自動食器洗浄機1は、先ず、初期動作として洗剤溶液槽10には、給湯器4の温水を濯ぎ用ノズル3で噴射させて適量の温水を貯める。この時、洗浄機制御部6からの信号電源により洗剤供給制御装置18が動作し、濃度検知センサー9にて該洗剤溶液槽10内の濃度を計測する。洗剤の濃度が予め設定された濃度になるまで給湯制御電磁弁19を開いて制御を行う。
【0023】
一方、給湯入配管20より給湯された温水Hは、バキュームブレーカ17を経由し洗剤溶解装置12内にある供給用ノズル13を通過させ、回転ノズル30により噴霧状に噴射して洗剤容器15内の固形洗剤16を溶解し、該溶解された洗剤は溶解液出口21より、洗剤溶液注入口11と溶解液出口21間を連結する誘導ホース14を経由して洗剤溶液槽10内に注がれて溶解された洗剤が補充される。この補充のための操作は、洗剤溶液槽10内の洗剤濃度が設定濃度になるまで繰り返し行われる。
【0024】
次に、洗剤溶液槽10内に収容された洗剤溶液16aを洗浄用循環ポンプ7により洗浄ノズル群2まで送液し、該ノズル群2のノズル2aより噴射して食器5を洗浄する、洗浄に使用した温水Hは汚物を網(図示省略)にて取り除かれ洗剤溶液槽10に戻される。
【0025】
さらに、給湯器4の温水Hは、潅ぎ用ポンプ8により送液され、濯ぎ用ノズル3より噴射して食器5の濯ぎを行う。この濯ぎで使用された温水は洗剤溶液槽10に戻され、この時増水した温水Hは排水管22より排水される。
洗剤溶液槽10では、増水した温水Hは排水管22より排水されたことと、食器5の洗浄に使用したことにより低下した洗剤濃度を濃度検知センサー9にて検知し溶解された洗剤を補充する。この動作は繰り返し行なわれる。
【0026】
図1中の洗浄剤供給装置23は、該洗浄剤供給装置23を構成する、配管配線等必要な機器をコンパクトに収納したものである。
前記洗浄剤供給装置23を構成する洗剤溶解装置12は、供給部25を容器収納部29内のほぼ中心に配置し、溶解液出口21は容器収納部29の中心より片側にずらして配置した構成としている。
【0027】
また、洗浄剤供給装置23内における容器収納部29近傍の収納部Tには、前記給湯制御電磁弁19及び前記バキュームブレーカ17並びに、表示器及びブザー等を備えた洗剤供給制御基板24を収納したものである。
なお、26は塵や落下物が溶解液出口21より洗剤溶液槽10に流入するのを防止する受盤である。
【0028】
以上が自動食器洗浄機1の概略構成であり、本発明は該自動食器洗浄機1における洗剤溶解装置12に関するものである。
先ず、洗剤溶解装置12に使用される請求項1に記載の回転ノズル30を、図2〜図8、図11を参照して説明する。
【0029】
回転ノズル30は、回転ノズル本体30cの長手方向中心に、回転ノズル固定具42の上端部を回転可能に組み付けた密閉構造にされている。
【0030】
前記回転ノズル本体30cは、中央の直線状部30aの長手方向両端に、互いに平行な傾斜状部30bを平面視ほぼS字状に形成した、上下の回転ノズル上部31と回転ノズル下部36に2分割されている。
【0031】
また、前記回転ノズル下部36には、直線状部30aの長手方向中心に、回転軸穴41aが設けられている。また、該回転ノズル下部36の上面には該回転軸穴41aと同心円の円形溝44を形成し、さらに、その裏面には供給用ノズル13の上端部が揺動自在に組み付けられる該回転軸穴41aと同心円のノズル受け部41が設けられている。
【0032】
また、前記回転ノズル本体30cを構成する回転ノズル上部31には、前記回転軸穴41aを中心にして所定距離ずらした長手方向両側に第1液溜り部32を複数配設されている。また、該第1液溜り部32には、垂直で、かつ扇形に噴霧し、さらには互いの噴霧が干渉されない状態で一直線状に噴霧可能に、互いをほぼ平行に配置した噴射孔33を回転ノズル上部31の中心軸線に沿って、横長のスリット状に設けられている。
【0033】
また、回転ノズル上部31の長手方向両端部には第2液溜り部34が配設され、該第2液溜り部34にほぼ水平に噴射し、回転ノズル本体30cの回転動力として作動する水平噴射孔35が回転方向に設けられている。
【0034】
さらに、回転ノズル上部31の両端に配設された前記第2液溜り部34間には前記第1液溜り部32及び前記第2液溜り部34に連通する通路39が設けられている。
【0035】
前記回転ノズル固定具42は、供給部25に取り付けられる供給用ノズル13の孔13aに挿着される径に形成され、該回転ノズル固定具42の上端には前記円形溝44に回転自在に挿着可能なフランジ43が設けられている(図5参照)。
【0036】
図11は、請求項2に記載の発明に係り、回転ノズル上部31の裏面に通路39に沿ってOリング挿着溝46が設けられ、これに対応して回転ノズル下部36の上面に凸条38が設けられている。
【0037】
また、前記回転ノズル上部31の側面外周には係合片40を配設し、これに対応して前記回転ノズル下部36の側面外周には係止爪47が配設されている。そして、前記回転ノズル下部36上にOリング37を介して前記回転ノズル上部31を閉じ、係止爪47に係合片40密に嵌合させて密閉構造に組み付けられている。
【0038】
請求項3に記載の発明は、図4〜6のように、回転ノズル上部31の前記第1液溜り部32及び第2液溜り部34は、通路39に供給された給水Wを、垂直でかつ扇形に噴霧可能に、ドーム状或いは断面円弧状に形成するのが良い。
【0039】
次に、本発明における請求項4に記載の発明の洗剤溶解装置12を、図1〜図8を参照して説明する。
前述のように、洗剤溶解装置12は、固形洗剤16を充填した洗剤容器15を収納する容器収納部29の下端部に、給湯入配管27に連結された垂直な供給部25と溶解液出口21を配設し、該供給部25の上端部に孔13aを有する供給用ノズル13を螺合させた該洗剤溶解装置12における容器収納部29の該供給用ノズル13に、
前記請求項1に記載の回転ノズルの回転ノズル固定具42を、前記供給用ノズル13の孔13aに挿着すると共に、供給用ノズル13の上端部にノズル受け部41を揺動自在に組み付けている。
【0040】
そして、通路39に供給された給水Wを、噴射孔33から垂直かつ扇状で、さらには一直線状に噴射させ、同時に水平噴射孔35からの噴射により回転ノズル30を水平に回転させて固形洗剤を溶解するものである。
【0041】
なお、回転ノズル30の構成は、前述の請求項1に記載の回転ノズル30と同一構成につき説明を省略する。
【0042】
上記構成の本発明は、供給部25に供給用ノズル13の下端部を螺着後、回転ノズル30の回転ノズル固定具42を、前記供給用ノズル13の孔13aに挿着すると共に、供給用ノズル13の上端部にノズル受け部41を揺動自在に組み付け固定する(図2〜5参照)。
洗剤溶解装置12の停止(止水)時は、回転ノズル本体30cの回転ノズル下部36は下方向に下がり、供給用ノズル13の上端と接触している(図5参照)。また、給湯入配管27から給水されると内部中心部に水圧が掛かり回転ノズル30全体をやや浮上させた状態でわずかの高さ押し上げ、噴霧孔33より垂直でかつ扇状に、さらには噴射孔からの噴射が互いに干渉されない状態で一直線状に噴霧Sを開始し、同時に水平噴射孔35よりの水の噴射を動力にして回転ノズル本体30cは自動的に回転を開始する。この時、供給用ノズル13の上端と回転ノズル下部36との間に隙間45が発生(図6参照)し、さらに内部の水がにじみ出て抵抗を減少させる作用が働き、回転ノズル本体30cは低水圧でも充分な回転動力を得て回転する。
【0043】
前記回転ノズル本体30cは、通路39に給水Wが開始されると、噴射孔33から垂直で、かつ扇状に、さらには一直線状に噴射され、同時に水平噴射孔35から水平に噴射し、水圧に対応して所定速度で回転させる。扇状で、かつ一直線状に噴霧された水圧は、固形洗剤の溶解面に均一に当たり平面状に溶解する。この時、回転ノズル本体30cは、扇状の噴霧状態で連続回転するため、常に溶解面の溶解状態に変化を与えることになる。この溶解を繰り返し行うことにより、溶解面の溶解状態は平均化され、かつ溶解面を平面に形成する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明における自動食器洗浄機の全体構成説明図。
【図2】本発明における固形洗剤初期溶解時の一部断面図。
【図3】本発明における固形洗剤中間溶解時の一部断面図。
【図4】本発明における回転ノズルの平面図。
【図5】本発明における止水時の回転ノズルと供給用ノズルの断面図。
【図6】本発明における噴霧時の回転ノズルと供給用ノズルの断面図。
【図7】本発明における供給用ノズルと回転ノズル組み付け状態の正面図。
【図8】本発明における供給用ノズルと回転ノズル組み付け状態の右側面図。
【図9】従来の洗剤溶解装置における初期溶解時の一部断面図。
【図10】従来の洗剤溶解装置における中間部以降溶解時の一部断面図。
【図11】本発明における回転ノズルの分解図。
【図12】本発明における回転ノズル使用時の溶解初期の溶解状態写真。
【図13】本発明における回転ノズル使用時の溶解中間の溶解状態写真。
【図14】従来における回転ノズル使用時の溶解中間の溶解状態写真。
【符号の説明】
【0045】
1 自動食器洗浄機
2 洗浄ノズル群
2a ノズル
3 濯ぎ用ノズル
4 給湯器
5 食器
6 洗浄機制御部
7 洗浄用循環ポンプ
8 濯ぎ用ポンプ
9 濃度検知センサー
10 洗剤溶液槽
11 洗剤溶液注入口
12 洗剤溶解装置
13 供給用ノズル
14 誘導ホース
15 洗剤容器
16 固形洗剤
16a 洗剤溶液
17 バキュームブレーカ
18 洗剤供給制御装置
19 給湯制御電磁弁
20 給湯入配管
21 溶解液出口
22 排水管
23 洗浄剤供給装置
24 洗剤供給制御基板
25 供給部
26 受盤
27 給湯入配管
29 容器収納部
30 回転ノズル
30a 直線状部
30b 傾斜状部
30c 回転ノズル本体
31 回転ノズル上部
32 第1液溜り部
33 噴射孔
34 第2液溜り部
35 水平噴射孔
36 回転ノズル下部
37 Oリング
38 凸条
39 通路
40 係合片
41 ノズル受け部
41a 回転軸穴
42 回転ノズル固定具
43 フランジ
44 円形溝
45 隙間
46 Oリング挿着溝
47 係止爪
48 溶解面
W 水(湯水)
S 噴霧
H 温水
T 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ノズル本体の長手方向中心に、回転ノズル固定具の上端部を回転自在に組み付けた密閉構造の回転ノズルであって、
前記回転ノズル本体は、中央の直線状部の長手方向両端に互いに平行な傾斜状部を平面視ほぼS字状に形成した、回転ノズル上部と回転ノズル下部に2分割され、前記回転ノズル下部には直線状部の長手方向中心に回転軸穴を設け、上面には該回転軸穴と同心円の円形溝を形成し、裏面には供給用ノズルの上端部が揺動自在に組み付けられる該回転軸穴と同心円のノズル受け部を設け、
前記回転ノズル上部には、前記回転軸穴を中心にして所定距離ずらした長手方向両側に第1液溜り部を複数配設し、該第1液溜り部には垂直で、かつ扇形に噴霧し、さらには互いの噴霧が干渉されない状態で一直線状に噴霧可能に、互いをほぼ平行に配置した噴射孔を中心軸線に沿って設け、長手方向両端部には第2液溜り部を配設し、該第2液溜り部にほぼ水平に噴射し回転動力として作動する水平噴射孔を回転方向に設け、両端の前記第2液溜り部間には前記第1液溜り部及び前記第2液溜り部に連通する通路を設け、
前記回転ノズル固定具は、供給部に取り付けられる供給用ノズルの孔に挿着される径に形成し、上端には前記円形溝に回転自在に挿着するフランジを設けた構成としてなる回転ノズル。
【請求項2】
回転ノズル上部の裏面には通路に沿ってOリング挿着溝を設け、これに対応して回転ノズル下部の上面に凸条を設けると共に、前記回転ノズル上部の側面外周には係合片を配設し、これに対応して前記回転ノズル下部の側面外周には係止爪を配設してなり、回転ノズル下部上にOリングを介して回転ノズル上部を密閉構造に組み付けたことを特徴とする請求項1記載の回転ノズル。
【請求項3】
第1液溜り部及び第2液溜り部は、ドーム状に形成したことを特徴としてなる請求項1記載の回転ノズル。
【請求項4】
給湯入配管に連結された垂直な供給部と溶解液出口とを下端部に配設し、該供給部の上端部に孔を有する供給用ノズルを螺合させた容器収納部の該供給用ノズルに、
回転ノズル本体の長手方向中心に、回転ノズル固定具の上端部を回転自在に組み付けた密閉構造の回転ノズルであって、
前記回転ノズル本体は、中央の直線状部の長手方向両端に互いに平行な傾斜状部を平面視ほぼS字状に形成した、回転ノズル上部と回転ノズル下部に2分割され、前記回転ノズル下部には直線状部の長手方向中心に回転軸穴を設け、上面には該回転軸穴と同心円の円形溝を形成し、裏面には供給用ノズルの上端部が揺動自在に組み付けられる該回転軸穴と同心円のノズル受け部を設け、
前記回転ノズル上部には、前記回転軸穴を中心にして所定距離ずらした長手方向両側に第1液溜り部を複数配設し、該第1液溜り部には垂直で、かつ扇形に噴霧し、さらには互いの噴霧が干渉されない状態で一直線状に噴霧可能に、互いをほぼ平行に配置した噴射孔を中心軸線に沿って設け、長手方向両端部には第2液溜り部を配設し、該第2液溜り部にほぼ水平に噴射し回転動力として作動する水平噴射孔を回転方向に設け、両端の前記第2液溜り部間には前記第1液溜り部及び前記第2液溜り部に連通する通路を設け、
前記回転ノズル固定具は、供給部に取り付けられる供給用ノズルの孔に挿着される径に形成し、上端には前記円形溝に回転自在に挿着するフランジを設けた回転ノズルの該回転ノズル固定具を、前記供給用ノズルの孔に挿着すると共に、供給用ノズルの上端部にノズル受け部を揺動自在に組み付けてなり、
通路に供給された給水を、噴射孔から垂直かつ扇状で、さらには一直線状に噴射させ、同時に水平噴射孔からの噴射により回転ノズルを水平に回転させて固形洗剤を溶解することを特徴とする洗剤溶解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−311953(P2006−311953A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136352(P2005−136352)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(592077992)株式会社ウエルコ (9)
【Fターム(参考)】