説明

回転パン

【課題】コーティング性能及び清掃性を改良した、錠剤等の医薬製品のコーティング用回転パンの提供。
【解決手段】実質的に円錐台のように形成された端部分4、4’を有する中空の筒状の中心本体3と、パン1それ自体の少なくとも一つの内側表面に取り付けられた撹拌/偏向手段7とを備えるタイプの回転パン1であって、中空の本体3の筒状の内周面5が、均一に分布した貫通孔によって形成される拡張領域Aと、撹拌/偏向手段7が周面5に取り付け又は固定される領域を形成する拡張領域A内の少なくとも一つの領域Bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転パンに関する。
【0002】
特に、本発明は、有利には錠剤、香錠、及びふたと本体を有し粉体又は液体形態の製薬材料を収容するタイプの硬質ゼラチンカプセルのような医薬製品をコーティングするための機械及び装置の分野に利用することができる。本願の明細書は、発明の範囲を制限することなく明確にこのような分野に言及している。
【背景技術】
【0003】
現在、医薬製品は、実質的に円錐台のように形成された端部分を有する中空の筒状本体を基本的な構成とする中空のドラム又は回転パンを使用して、様々な種類の材料、例えば液体の物質でコーティングされている。コーティングされる製品は、ドラムの内側に配置され、コーティング溶液が、例えば噴霧することにより製品に塗布される。
【0004】
ドラムが、製品を十分に撹拌するように連続的に回転され、気流すなわち空気の流れが、溶液を乾燥させ製品にコーティング被膜を形成するために、ドラムの内側で循環されている。
【0005】
現在、コーティングユニットのためのドラム又はパンは、大まかに二つのタイプに分けることが出来る。
【0006】
業界でペレグリニパンとして知られている第一のパン又はドラムのタイプでは、乾燥目的のために使用される空気が、パンの内側にある角度をつけて取り付けられた一対の穿孔されたチューブによって循環される。使用中、このチューブは、コーティングされた製品の山に部分的に浸される。パンの内面は、パンが回転する際に撹拌効果を向上させるために、撹拌羽根をパンの内面に取り付けられている。
【0007】
とりわけ、パンが回転されるときの速度があまり速くない場合は、製品コーティング装置では、この種の回転ドラム又はパンが、しばらくの間使用されて卓越した成果を上げていた。
【0008】
公知の第二のコーティングするパンのタイプでは、中空パンの中心本体は、その筒状の表面に分布する多数の孔が穿たれており、その孔を介して、コーティング材料を乾燥させるために使用されている空気が流れる。他方では、偏向/撹拌羽根が、円錐台部分の両方に配置される。各羽根は、一端においてパンの壁に固定され、他端を中心の筒状部分に向けて延びている。
【0009】
しかしながら、この解決方法は、特にパンが高速度で回転されるとき、まさにその時に、突出した羽根が、製品を殆ど効果的に撹拌することが出来ないという重大な欠点をかかえる。これは、多くの製品が、適切にコーティングされなくなり、不良品としてはじかれねばならないことを意味する。
【0010】
加えて、特に、視認とアクセスが難しく羽根がパンに取り付けられている隅及び凹部に製品の残留物が堆積する傾向があるため、偏向/撹拌羽根の突出した形態は、パンを掃除することを困難にさせている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、上述の従来技術の欠点を克服する回転パンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、結果的に、実質的に円錐台のように成形された端部分を有する中空の筒状の中心本体を備え、撹拌/偏向手段が、パンそれ自体の少なくとも一つの内面に取り付けられたタイプの回転パンであって、中空本体の筒状の内周面では、均一に分布した貫通孔6によって形成される拡張領域と、撹拌/偏向手段が周面に取り付け又は固定されている範囲を形成する拡張領域内の少なくとも一つの領域とを備えることにより特徴づけられるタイプの回転パンを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】明瞭にするためにある部分が省かれている製品コーティング装置として使用される本発明における回転パンの好適な実施形態の概略側断面図である。
【図2】図1における回転パンの正面断面図である。
【図3】図1及び図2における回転パンの斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の技術的特徴は、請求項に明瞭に記載され、その有利性は、以下に示される詳細な説明から明白であり、本発明の概念の範囲を制限することなく、単に例証として提供された好適な本発明の実施形態を示している添付図面を参照することにより明白となる。
【0015】
図1及び図2を参照すると、参照符号1は、コーティング製品用装置の統合された部分を形成する中空のドラム又はパンを表示し、好ましくは、例えば、粉体又は液体の物質から構成されるコーティング材料を有する医薬製品である。
【0016】
パン1は、駆動手段(公知であり、例示されない)作用の下で水平な回転軸線2の周りに連続的に回転されるように設計されており、実質的に円錐台のように成形された端部分4及び4’(図1及び図3参照)を有する中空の筒状の中心本体3から基本的に構成されている。コーティングされる製品は、中心本体3の内側に配置され、コーティング溶液が、例えば、噴霧によって製品に塗布される。
【0017】
図1及び図3により分かりやすく示されているように、中空本体3の筒状の内周面5は、均一に分布した貫通孔6と、好ましくは孔がなく、実質的に長円の形状である領域Bの分布とによって形成される拡張領域Aとを備え、この領域Bが表面5上にさまざまに配置されている。
【0018】
穿孔された拡張領域A内の各長円領域Bは、パン1が軸線2周りに回転するときに、製品の山を撹拌するように設計された撹拌/偏向フィン7が、取り付け又は固定されることにより、ある範囲を形成する。
【0019】
詳細には、各フィン7は、その全長に沿って表面5に強固に固定又は接続され、正確にそれぞれの領域Bを覆い、そして図1から図3に良く示されているように、実質的に螺旋輪郭8を備える。
【0020】
このタイプの回転パンは、以下の重要な有利性を提示する。
パン1が、高速度で回転し且つ/又は大量の製品を収容するときでさえ、パン1の内側で製品を最適に且つ効果的に撹拌することは、フィン7自体の有利な螺旋輪郭8のおかげでもある。
【0021】
保守整備の際及び/又は異なった製品に切り替えるときに、特に撹拌/偏向フィン7が、中心本体3の筒状の表面5に取り付けられる領域において、パン1の内部を清掃/洗浄することを容易にし、こうして、製品の残留物が堆積すること防ぐことが出来る。
【0022】
説明した本発明は、その結果、発明の概念の範囲から逸脱することなくさまざまな方法で改変及び適合させることができる。さらに、本発明のすべての技術的な詳細は、技術的に同等の要素によって代用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に円錐台のように形成された端部分(4、4’)を有する中空の筒状の中心本体(3)と、パン(1)それ自体の少なくとも一つの内側表面に取り付けられた撹拌偏向手段(7)とを備えるタイプの回転パン(1)であって、
前記中空の本体(3)の筒状の内周面(5)が、均一に分布した貫通孔(6)によって形成される拡張領域(A)と、前記撹拌偏向手段(7)が前記内周面(5)に取り付け又は固定される領域を形成する前記拡張領域(A)内の少なくとも一つの領域(B)とを備えることを特徴とするパン。
【請求項2】
前記拡張領域(A)内の前記領域(B)は、その領域(B)内に孔を有さない領域である請求項1に記載の回転パン。
【請求項3】
前記領域(B)は、実質的に長円の形状を有する請求項1又は請求項2に記載の回転パン。
【請求項4】
前記撹拌偏向手段(7)は、全長に沿って強固に固定又は接続される少なくとも一つのフィン(7)を備え、該フィン(7)が、正確にそれぞれの領域(B)を覆う請求項1から請求項3の何れか一項に記載の回転パン。
【請求項5】
前記フィン(7)は、実質的に螺旋輪郭(8)を備える請求項4に記載の回転パン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−240145(P2011−240145A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−116942(P2011−116942)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【分割の表示】特願2008−505984(P2008−505984)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(594073646)イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ (29)
【Fターム(参考)】