説明

回転ミキシング容器を備えたミキサ

【課題】本発明は、回転するミキシング容器と、少なくとも一部が前記ミキシング容器内に配置され、駆動端とツール(6)用の作動端を有する工具軸(8)と、を備えるミキサに関する。
【解決手段】工具軸(8)が前記駆動端においては、互いに分離された2つの工具軸受けによって支持され、工具軸(8)用の駆動モータ(7)がある。簡素で製作コストの低いミキサを作成するために、できる限り少ない可動消耗部品と、さらに稼動中に発生する横方向の大きな力に耐えうる工具軸(8)を備えることによって、本発明によれば、駆動モータ(7)は、少なくとも一方の側が工具軸受けによって配置されたモータ軸を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキシング容器と、前記ミキシング容器内に少なくとも一部分が配置された工具軸とを備えたミキサと、前記工具軸を駆動するモータ軸を備えた駆動モータとに関する。ここで前記工具軸は、加工工具を固定する、または、固定しうる作業端と2つの互いに分離した工具軸受けによって配置される駆動端とを有する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのミキサは、例えば、特許文献1により公知である。同公報により開示され
た実施形態は、注入開口部と、空にする手段を有する回転ミキシング容器と、前記ミキシング容器の内部にミキシング容器の軸に対して偏心して配置されたミキシングツールと、を有する耐圧ミキサを含む。
【0003】
図1は、前記技術により公知のミキサの概略をミキサの垂直方向の断面により示している。ミキサ1は、ミキサ筐体2内に収容され、垂直な回転軸の周りに回転可能なミキシング容器3を備える。この回転を確実にするために、ミキシング容器3は、ボール軸受け4において回転可能に設置されている。前記ミキシング容器は、その下側に空にするための開口部(不図示)を備えうる。ミキサ筐体2は筐体カバー5を有する。加工工具6は、ミキシングツールとして具現化されており、ミキシング容器3の内部に配置されている。加工工具6は、ミキシング容器3の回転軸から分離して配置された垂直軸の周りに回転可能のようにも見える。この目的で、加工工具6の駆動端は、筐体カバー5を貫通して案内されており、例えば、Vベルト9を介して駆動モータ7により駆動される。
【0004】
加工工具6は、Vベルト9が作用する駆動端と、ミキシングツールとして具現化された加工工具6が固定される作業端とを有する工具軸8に固定されている。工具軸8は、実施形態において2つの部分に形成された状態で図示されており、これら2つの部分は、フランジ継手10によって互いに接続することも分離させることも可能である。このフランジ継手10は、とりわけ、加工工具6を、例えば星形の渦生成部材やピン状の渦生成部材などの他の加工工具6と交換するために設けられている。さらに、加工工具は、磨耗現象が見られる場合には、新品と交換することができる。ミキシング容器3と工具軸8の両者が回転するときに、工具軸8に横方向の大きな力が作用しうる。この横方向の力は回転するミキシング容器3内を材料が流動することによって生じるが、特に、工具軸が筐体カバー5内で片側だけで保持されているためである。この横方向の力の大きさは、とりわけ混合される材料の性質に依存するが、当然ながらミキシング容器3と加工工具6の回転速度にも依存する。
【0005】
直径Dの軸をそれぞれ支える2つの工具軸受け11、12は、従って、工具軸8を保持するために駆動端に設けられている。前記力を吸収するために、工具軸受け11、12は、ミキサ筐体2または筐体カバー5にフランジ13を介してネジ止めされている。そして、Vベルト9は工具軸8の駆動端に作用する。駆動モータ7は、同じく2つのモータ軸受け14、15によって保持されているモータ軸20を有する。モータ軸20の直径d’は、工具軸8の直径Dよりはるかに小さいように見える。
【0006】
前記従来技術では、駆動モータは、主に、Vベルトあるいは歯形ベルト伝達構造を有する3相非同期モータ、あるいは油圧モータの形態、さらには、歯車付きモータの形態をとる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許公開公報DE3520409
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
駆動装置のこれらのすべてのタイプは、トルクの発生、トルクの変換、および荷重の受容のために多数の要素を必要とするという事実を共有する。対応する軸受け配置を有する最も簡素な非同期モータの場合、少なくとも4つの軸受けが必要であり、うち2つの軸受けはモータ軸用、2つの軸受けは工具軸用であり、それらは、重量による力とともに、加工工具からの大きな力および大きなベルト力を受容することが求められる。
【0009】
歯車付きモータまたは別途のギア機構を用いる場合には、さらなる各減速段のために少なくともさらに2つの軸受けを設けることが必要になる。
【0010】
複雑で破損しやすい軸受けに加えて、一般的に複数のVベルトまたは歯形ベルト一式からなるベルト伝達構造は、高度なメンテナンスを要する機械要素である。これらの構成部品は、正しい応力を持つように定期的に点検しなければならず、適宜応力を調整しなければならない。同様に、Vベルトも歯形ベルトも磨耗しやすく、従って定期的に交換しなければならない。
【0011】
上記の従来技術の背景に対して、本発明の目的は、簡素で、製造において経済的で、かつ広範囲の回転速度での可能な限り高いトルクを得るとともに、加工工具を駆動する消耗部品の数が最小となるミキサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、互いに分離された2つの工具軸受けのうち少なくとも1つによってモータ軸を配置することによって達成される。
【0013】
すなわち、これらの軸受けのうち前記工具軸を配置するために設けられた一方の軸受けは、同時に、前記モータ軸を配置するために用いられる。したがって、モータ軸と工具軸は互いに直接接続されている。また、この方策によって、少なくとも1つの軸受けは、不要となる。
【0014】
特に、モータが2つの工具軸受けの間に配置され、モータ軸が好ましく2つの工具軸受けによって配置されている実施形態が好ましい。本実施形態は、工具軸用の軸受けが同時にモータ軸用の軸受けの役割も担うため、2つの軸受けは不要となる。基本的に、本実施形態では、モータ軸と工具軸を区別することはできなくなる。すなわち、軸の一部がモータ軸として機能し、同じ軸の異なる部分が工具軸として作用するからである。
【0015】
このような場合に用いられるモータは、好ましくは直接駆動モータであり、特に好ましくは、3相同期モータ(サーボモータ、トルクモータ、リラクタンスモータ)である。
【0016】
さらに好ましい実施形態においては、工具軸に対向するモータ軸の軸受けは、特に半径方向と軸方向の高い力を受容するのに適している。前記軸受けは、好ましくは結合ラジアルアクシャル軸受け(ラジアックス軸受け)として設計され、例えば、自動調心ころ軸受けまたは自動調心玉軸受けであり、特に好ましくは、双列型自動調心ころ軸受けである。
【0017】
特に、双列型自動調心ころ軸受けは、稼動中に生じる横方向の力を最もよく受容することがわかっている。
【0018】
さらに好ましい実施形態では、モータ軸の直径を2つの工具軸受けにおいて異なるように設定し、好ましくは工具軸から離れた側の工具軸受けにおけるモータ軸の直径d”を、他方の工具軸受けにおけるモータ軸の直径Dより小さく、好ましくは少なくとも30%小さく、特に好ましくは少なくとも50%小さく設定する。
【0019】
単にミキシング容器に対向する軸受けが大きな直径を有する必要があることがわかっている。軸受けの適当な設計において、ミキシング容器から離れている軸受けは、はるかに小さく設計でき、そのため、より経済的になる。
【0020】
モータは、便宜上モータ筐体内に配置され、両工具軸受けはモータ筐体の表面にまたは内部に配置される。この場合、モータ筐体、それにともないモータをミキサ筐体に固定する第1の外部フランジを備えることができる。さらに、特に好ましい実施形態においては、モータ筐体は、第2の外部フランジを備えることができ、第2の外部フランジもミキサ筐体に固定される。第2の外部フランジは好ましくは第1の外部フランジより大きな平均直径を有する。
【0021】
モータ筐体は、例えば円形断面を有することができ、その場合、外部フランジも便宜的に円形断面を有する。しかしながら、原則的に、例えば正方形や長方形のような他の断面も考えられる。第2の外部フランジがより大きい平均直径を有することは、モータが容易にミキサ筐体に固定されることを意味する。例えば、ミキサ筐体は、より小さい平均直径の第1の部分と、より大きい平均直径の第2の部分を有する段付の貫通開口部を備えることができ、前記第2の部分は、第1の外部フランジの平均直径よりも大きく、第2の外部フランジの平均直径よりも小さい平均直径を有する。好ましい実施形態においては、ミキサ筐体内の段付の貫通開口部の最小の平均直径は、加工工具の最大の外形より大きい。この構成によれば、モータを含む加工工具全体を、この段付の貫通開口部から取り出すことができる。
【0022】
典型例においては、両フランジが、フランジをミキサ筐体に固定するための孔を有する。この場合、大きい方のフランジは、好ましくはそれらの固定用の孔よりも大きく、ツールが開口部を通して、孔あるいは小さい方のフランジ内の固定手段に近づくことができるように設けられた追加の開口部を有することができる。これによって、モータ筐体を容易にミキサ筐体に固定することができる。
【0023】
さらに好ましい実施形態においては、工具軸は、互いに分離可能に固定された2つの部分で構成されており、一方の部分はモータ軸に一体的に接続され、他方の部分は加工工具を移動させる。この場合、分離可能な接続は、フランジの接続によって行われる。
【0024】
これに代えて、工具軸とモータ軸を1つの部材として形成することもできる。
【発明の効果】
【0025】
モータを、加工工具の力およびモーメントを受容する強固な軸受けユニットに組み込むことは、維持管理コストが最小化され、最高の信頼性を有するユニットを製作することを可能にする。1つの軸だけが2つの軸受けの中に案内される。この軸が、モータの力(例えば重量、残留磁気力)と加工工具(ボルテックスミキサ、ニーダ、など)の力の両方に耐える。周波数変換器を使用することによって、必要な様々な回転速度を容易に可能としてもよい。
【0026】
本発明のさらなる効果、特徴、可能な適用は、以下の好ましい実施形態の記載と、添付図面により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、従来技術のミキサの垂直断面図である。
【図2】図2は、本発明による第1の実施形態における垂直断面図である。
【図3】図3は、本発明による第2の実施形態における垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、すでに最初に記載したように従来技術の実施形態を示す。
【0029】
図2は、本発明による第1の実施形態を示す。可能場合は、すでに図1に示され検討されたミキサと同様の要素に対しては同一の参照番号が付与されている。図2において、駆動モータ7は、モータ筐体16内に収容されており、モータ筐体16は、2つの外部フランジ13、17によってミキサカバー5に固定されている。工具軸8は、その駆動端において、モータ軸21と同時に作動するようにも見られる。モータ軸21は、図示された本実施形態においては部分的に中空の軸として具現化されており、自動調心ころ軸受け18およびラジアル軸受け19で保持されている。第2の外部フランジ13は、製造用空間、すなわちミキシング容器の側に近く配置されており、第1の外部フランジ17より小さな外径を有する。その結果、モータ全体を外部から筐体カバー5内に挿入することができ、それによって、より小さな外径を有する第1の外部フランジが、長さのある孔の底にぶつかるまで、容器カバー内の相応の段差のある孔に挿入される。2つの外部フランジ13、17の間隔は、図2に示す状態において、両フランジが筐体カバー5にネジ止めできるように設計されている。
【0030】
したがってモータは、必要であれば、筐体カバーから容易に取りはずすことができる。
【0031】
図3は、このタイプの1つの状態を示し、同時に本発明によるミキサの第2の実施形態を示す。この場合、加工工具6とともにモータは筐体カバー5から引き離されており、それによって、加工工具6とともにモータを容器カバーの該当する開口部から取り除くことができる。図3に示す実施形態は、フランジ接続部10が設けられていない点で、図2に示す実施形態と異なり、このため、この場合には工具軸とモータ軸は、1つの部材として形成されている。両実施形態において、加工工具の回転軸は、ミキシング容器の回転軸に対して偏心するように配置されている。
【符号の説明】
【0032】
1 ミキサ
2 ミキサ筐体
3 ミキシング容器
4 ボール軸受け
5 筐体カバー
6 加工工具
7 駆動モータ
8 工具軸
9 Vベルト
10 フランジ接続部
11、12 工具軸受け
13 フランジ
14、15 モータ軸受け
16 モータ筐体
17 フランジ
18 自動調心ころ軸受け
19 ラジアル軸受け
20、21 モータ軸
22 アセンブリツール用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキシング容器と、少なくとも一部を前記ミキシング容器内に配置された工具軸(8)であって、加工工具(6)が固定されている、または固定されうる作業端、および、2つの互いに分離された工具軸受けによって支持された駆動端を有する工具軸(8)と、前記工具軸(8)を駆動するモータ軸(21)を有する駆動モータ(7)と、を備えるミキサであって、前記モータ軸(21)が、前記互いに分離された2つの工具軸受けの少なくとも一方によって支持されていることを特徴とするミキサ。
【請求項2】
前記モータが前記2つの工具軸受けの間に配置され、前記モータ軸(21)は、前記工具軸が前記モータ軸としても機能するように、好ましくは前記2つの工具軸受けによって支持されていることを特徴とする請求項1に記載のミキサ。
【請求項3】
前記モータは直接駆動モータであり、好ましくは、3相同期モータ、好ましくは、トルクモータ、サーボモータ、またはリラクタンスモータであることを特徴とする請求項1または2に記載のミキサ。
【請求項4】
一方の前記軸受け、好ましくは前記工具軸(8)の前記作業端により近く配置されている軸受けが、結合ラジアルアクシャル軸受け (ラジアックス軸受け)(19)であり、好ましくは自動調心ころ軸受けまたは自動調心玉軸受けであり、特に好ましくは双列自動調心ころ軸受け(18)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のミキサ。
【請求項5】
前記モータ軸(21)の直径が前記2つの工具軸受けにおいて異なり、好ましくは前記工具軸(8)から離れた側の工具軸受けにおける前記モータ軸(21)の直径がより小さく、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%前記他方の工具軸受けにおける前記モータ軸(21)の直径より小さいことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のミキサ。
【請求項6】
前記モータがモータ筐体(16)内に配置され、両工具軸受けが前記モータ筐体(16)の表面または内部に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のミキサ。
【請求項7】
前記モータ筐体(16)が第1の外部フランジ(13)を有し、前記ミキサは、前記ミキシング容器(3)が内部に配置されたミキサ筐体(2)を有し、前記外部フランジが前記ミキサ筐体に固定され、特に好ましくは前記筐体カバー(5)に固定されていることを特徴とする請求項6に記載のミキサ。
【請求項8】
前記モータ筐体(16)は、同じく前記ミキサ筐体に固定されている第2の外部フランジ(17)を有し、前記第2の外部フランジ(17)が好ましくは前記第1の外部フランジ(13)より大きい平均直径を有することを特徴とする請求項7に記載のミキサ。
【請求項9】
前記ミキサ筐体がより小さい平均直径を有する第1の部分と、より大きい平均直径を有する第2の部分と、を備えた段差のある貫通孔を有し、前記第2の部分が、前記第1の外部フランジ(13)の平均直径より大きく、前記第2の外部フランジ(17)の平均直径より小さい平均直径を有することを特徴とする請求項8に記載のミキサ。
【請求項10】
前記貫通孔の最も小さい段差部分が、前記加工工具(6)の最も大きい外径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のミキサ。
【請求項11】
前記工具軸(8)が分離可能に互いに固定された2つの部分を有し、一方の前記部分が前記モータ軸(21)と1つの部材として形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のミキサ。
【請求項12】
前記工具軸(8)と前記モータ軸(21)が1つの部材として形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のミキサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−512017(P2012−512017A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541307(P2011−541307)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066458
【国際公開番号】WO2010/076120
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(510337908)マシネンファブリーク グスタフ アイリッヒ ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】MASCHINENFABRIK GUSTAV EIRICH GMBH & CO.KG
【Fターム(参考)】