説明

回転伝達機構または直交型減速機。

【課題】モーター等の入力に対して回転軸の向きを90度変える回転伝達機構と直交型減速機構において、傘歯車やウォームねじを使用せず、ノンバックラッシで、可逆性があり、ロボットの関節や半導体製造ラインでの使用が可能なものを提供する。構造が簡単で安価な減速機を提供する。
【解決手段】減速機の解決手段として、円錐運動軸が、任意の点を起点として伸びており、上述円錐運動軸の端部が描く円の径を偏心量(4)とした揺動機構(6)を入力または出力とする。上述任意の点の近辺に外歯歯車を備え、上述任意の点を軸心とした歯車付き回転軸を入力又は出力とする。前述揺動機構の揺動軸から上述任意の点に向けて堅牢に連結固定された内歯歯車を備えた円筒状部品を、上述歯車付き回転軸の外歯歯車を囲うように配し、上述円筒状部品の内歯と歯車付き回転軸の外歯が、対角にて噛み合うものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
モーター等の入力に対して回転軸の向きを変える回転伝達機構、及び直交型減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モーター等の入力に対して回転軸の向きを90度変える回転伝達機構として、二つの傘歯車を直角に突き合わせた構造の機構が一般的であった。しかし、この伝達機構はバックラッシが大きく、せっかくノンバックラッシの減速機を使用しても意味がなく、ロボットの関節や半導体製造ラインでの使用ができなかった。
【0003】
一方、モーター等の入力に対して回転軸の向きを90度変える直交型減速機構としては、ウォーム減速機が一般的であった。こちらのほうは、ノンバックラッシのものも登場したが、ウォームねじ特有の可逆性言い換えてバックドライバビリティが無く、同じくロボットの関節や半導体製造ラインでの使用ができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、モーター等の入力に対して回転軸の向きを90度変える回転伝達機構と直交型減速機構において、傘歯車やウォームねじを使用せず、ノンバックラッシで、可逆性があり、ロボットの関節や半導体製造ラインでの使用が可能なものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
まず本発明の回転伝達機構においては、以下の通りである。複数の円錐運動軸(1)が、任意の点(2)を起点として別方向に伸びている。上述複数の円錐運動軸のそれぞれの端部が描く円(3)の径を偏心量(4)とした揺動機構をそれぞれ備えている。上述それぞれの揺動機構の揺動軸どうしは堅牢に結合(5)されている。上述複数の揺動機構(6)の一箇所を入力(7)とし、その他の揺動機構(6)の少なくとも一箇所を出力(8)とした回転伝達機構を手段とする。
【0006】
次に、本発明の直交型減速機について以下述べる。円錐運動軸(1)が、任意の点(2)を起点として伸びており、上述円錐運動軸の端部が描く円(3)の径を偏心量(4)とした揺動機構(6)を入力または出力とする。上述任意の点の近辺に外歯歯車(9)を備え、上述任意の点を軸心(10)とした歯車付き回転軸(11)を入力又は出力とする。前述揺動機構(6)の揺動軸(12)から上述任意の点(2)に向けて堅牢に連結固定(13)された内歯歯車(14)を備えた円筒状部品(15)を、上述歯車付き回転軸(11)の外歯歯車(9)を囲うように配し、上述円筒状部品の内歯と歯車付き回転軸の外歯が、対角(16)にて噛み合う減速機を手段とした。
【発明の効果】
【0007】
従来の、モーター等の入力に対して回転軸の向きを90度変える回転伝達機構は、バックラッシが大きく、ロボットの関節や半導体製造ラインでの使用ができなかった。その為、従来のラインは、モーターからノンバックラッシ減速機を介してつながる機器まで一列に並べる必要があり、ラインが長くなっていた。しかし、本発明によれば、モーターまたはモーターとノンバックラッシ減速機を途中で直角に割り込ますことができるので、ラインが短くできるようになった。また騒音が小さくなった。
【0008】
一方、モーター等の入力に対して回転軸の向きを90度変えるウォーム減速機は、構造上バックドライバビリティが無く、同じくロボットの関節や半導体製造ラインでの使用ができなかった。しかし、本発明によれば、内接式歯車を採用しているので、可逆性があり、バックラッシも小さくなっている。そこで、ロボットの関節や半導体製造ラインでの使用が可能となった。
【0009】
また、従来のノンバックラッシ減速機と比べ、構造が簡単で部品精度や組み付け精度を必要としないので安価で提供できる。円錐運動軸(1)の揺動角度が大きくなるように歪ませて組み付ければ、バックラッシを除去できる。騒音や振動が少なくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の回転伝達機構について以下述べる。二つの円錐運動軸(1)を、任意の点(2)を起点として90度別方向に伸ばし、上述円錐運動軸のそれぞれの端部が描く円(3)の径を偏心量(4)とした揺動機構をそれぞれ備える。具体的には偏心ベアリング(17)を配するものが考えられる。上述それぞれの揺動機構の揺動軸どうしを堅牢に結合(5)する。上述複数の揺動機構(6)の一箇所を入力(7)とし、回転入力軸(18)を設ける。もう一方の揺動機構(6)を出力(8)とし、回転出力軸(19)を設ける。または円錐運動軸(1)の端部(20)から揺動出力を取り出し揺動式減速機につなげることも考えられる。
【0011】
次に、本発明の直交型減速機について以下述べる。円錐運動軸(1)が、任意の点(2)を起点として対向して伸びており、上述円錐運動軸の端部が描く円(3)の径を偏心量(4)とした揺動機構(6)を入力としている。具体的には揺動ベアリングを使用することが考えられる。その他、上述任意の点を軸心(10)とした歯車付き回転軸(11)を備えている。その回転軸は、上述任意の点の近辺に外歯歯車(9)を備えている。具体的には、上述任意の点を中心に軸方向に対向した一対の外歯歯車を設けている。その回転軸を出力とする。前述揺動機構(6)の揺動軸(12)から上述任意の点(2)に向けて堅牢に連結固定(13)された内歯歯車(14)を備えた円筒状部品(15)を、上述歯車付き回転軸(11)の外歯歯車(9)を囲うように配し、上述円筒状部品の内歯と歯車付き回転軸の外歯が、対角(16)にて噛み合う構造にした。上述外歯歯車と内歯歯車は歯数が異なっており、減速機として成り立つものである。外歯歯車の歯数を内歯歯車より一つ減らすのが望ましい。その他、円錐運動軸(1)の揺動角度が大きくなるように歪ませて組み付ければ、バックラッシを除去できる。
【0012】
その他、本発明の回転伝達機構と直交型減速機の共通事項として、以下述べる。それぞれの円錐運動軸の位置関係は、直角または対向だけに限るものではなく、任意の角度で設計できるものである。また、入力と出力の位置関係も自由にできる。また、それぞれの揺動機構(6)は円錐運動軸(1)の揺動角度が同じならば、同一球面上に配さなくても良い。その他、入力軸(18)または出力軸(19)を備えた揺動機構(6)を複数配置することも考えられる。揺動を安定させる目的の他、取り付け現場での配置の自由度を増す為でもある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】回転伝達機構の複数の円錐運動軸と、円錐運動軸の軌跡を示す透視図の斜視図。
【図2】偏心ベアリングと回転軸を備えた直交軸型回転伝達機構の正面図。
【図3】回転伝達機構の断面図。
【図4】二つの揺動軸の連結固定部を簡素化した構造の回転伝達機構の断面図。
【図5】本発明の直交型減速機の断面図。
【図6】本発明の直交型減速機の減速機構を示す簡略断面図。
【符号の説明】
【0014】
1 円錐運動軸を示す
2 円錐運動軸の頂点を示す
3 円錐運動軸端が描く円軌道を示す
4 円錐運動軸の偏心量を示す
5 揺動軸の結合部を示す
6 揺動機構を示す
7 入力回転軸を示す
8 出力回転軸を示す
9 外歯歯車を示す
10 本発明の直交型減速機の出力軸の軸心を示す
11 本発明の直交型減速機の出力軸を示す
12 本発明の直交型減速機の揺動機構の揺動軸を示す
13 本発明の直交型減速機の対向する二つの揺動機構の揺動軸が結合されている様子を示す
14 内歯歯車を示す
15 円筒状部品を示す
16 対角の位置関係を示す
17 扁芯して回転するベアリングを示す
18 回転を入力とする入力軸を示す
19 回転を出力とする出力軸を示す
20 揺動を出力とする意味での円錐運動軸の端部を示す









【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円錐運動軸が、任意の点を起点として別方向に伸びており、上述複数の円錐運動軸のそれぞれの端部が描く円の径を偏心量とした揺動機構をそれぞれ備え、上述それぞれの揺動機構の揺動軸どうしは堅牢に結合されており、上述複数の揺動機構の一箇所を入力とし、その他の揺動機構の少なくとも一箇所を出力とした回転伝達装置。
【請求項2】
円錐運動軸が、任意の点を起点として伸びており、上述円錐運動軸の端部が描く円の径を偏心量とした揺動機構を入力または出力とし、
上述任意の点の近辺に外歯歯車を備え、上述任意の点を軸心とした歯車付き回転軸を入力又は出力とし、
前述揺動機構の揺動軸から上述任意の点に向けて堅牢に連結固定された内歯歯車を備えた円筒状部品を、上述歯車付き回転軸の外歯歯車を囲うように配し、上述円筒状部品の内歯と歯車付き回転軸の外歯が、対角にて噛み合う減速機または増速機。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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