説明

回転印ユニット、回転印及び回転制御装置

【課題】回転印の印字部を自動的にかつ正確に合わせることができる回転印ユニット、回転印及び回転制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の回転印ユニットは、回転印が、移動枠又は回転印本体に設けられた第1係合部と、回転印本体又は移動枠に設けられた相対移動被誘導部とを有し、回転制御装置の回転印収納部が、第2係合部と相対移動誘導部とを有する。第2係合部と係合した第1係合部を中心に回動する回転印の相対移動被誘導部と相対移動誘導部との係合位置と、第1係合部との間の距離を変化させるように、相対移動被誘導部が相対移動誘導部に誘導され、移動枠が回転印本体に対して相対移動し、回転印体の回動可能状態又は回動規制状態とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転印ユニット、回転印及び回転制御装置に関し、例えば、内部に回転印体を有する回転印において、回転印体を自動的に回動させて、所望の印面を形成する回転印ユニット、回転印及び回転制御装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から回転印はよく知られており、特にオフィスにおいて幅広く使用されている。以下では、回転印体を有する回転印の一例として日付印を例に挙げて説明する。
従来の一般的な日付印は、日付印本体と、印字面を固定するスライド式の外枠(以下、スライド枠ともいう)とを有しており、利用者が手動でスライド枠を相対移動させ、例えば年、月、日、時等を示す数字や文字などが刻印された複数の印字ベルトを手動で回転させることにより日付合わせを行い、日付合わせ後に、再度手動でスライド枠を移動させることで印字面の日付を固定させるようにしている。
【0003】
このように、一般的な日付印は、利用者が手動で日付合わせを行っているが、利用者の手動による日付合わせの手間を解消するために、例えば特許文献1に記載されているように、自動的に日付印の日付合わせを行う技術がある。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、常時時刻を計時する計時回路と、計時回路の出力信号により日付印の印字面の日付活字を設定する日付設定装置を備え、日付印を装置に押し込む押印力を日付活字変更駆動源に変換して、これにより日付活字を変更するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−48864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、日付印を利用する利用者は、毎日の日付合わせの手間や日付の合わせ間違いなどを回避することが必要であるから、自動的にかつ正確に日付印の日付合わせを行うことを強く望んでいる。
【0007】
例えば、オフィス等の利用者は、前日の退社時にコントローラに日付印をセットしておき、次の日に出社したときには、日付印の日付が自動的に正しい日付になっていることが望まれる。
【0008】
上述した特許文献1の記載技術は、日付印の押印力を利用して機械的に日付合わせを行っているが、日付印の利用時に、日付合わせのために、利用者が日付印を装置に押し込む作業が必要となり、自動的な日付合わせを行うものではない。そのため、特許文献1の記載技術を用いても、利用者の手間を省いて、日付印の日付合わせを自動的に行うことはできないという課題がある。
【0009】
また、上述したように、日付印にはスライド枠があり、このスライド枠を移動させることにより、日付ベルトの回動や印字面の日付の固定を行っている。つまり、コントローラに日付印を装着して印字ベルトを回動させるためには、スライド枠を外しておくことが必要となる。その一方で、コントローラから日付印を取り外して利用するときには、印字面を固定するようにスライド枠が締まっていることが必要となる。そのため、日付印の装着の際又は取り外しの際に、いかにしてスライド枠を可動させるかという課題がある。
【0010】
これは、スライド枠が締まったままで、コントローラに日付印を装着してしまうと、コントローラの印字ベルトの回動駆動の負荷がかかってしまい故障の原因等になり得、またコントローラから日付印を取り外すときに、スライド枠が外れたままだと、印字ベルトが回動してしまうこともあるため、正しく日付合わせができても、取り外しの際に誤って印字ベルトを回動させてしまい日付がずれてしまう場合があるからである。
また、スライド枠を移動させる機構については、利用者による日付印の使いやすさ、デザイン性、壊れにくいこと等を考慮する必要もある。
【0011】
さらに、正確な日付合わせを行うためには、コントローラが、印字ベルトに刻印されている月や日等の刻印位置を正しく把握して、各印字ベルトを回動させることが必要である。
【0012】
例えば、印字ベルトの回動制御において、刻字のピッチに合わせて歯車の回転量を調整する際、歯車の回転量を調整しても、印字ベルトが回動可能な状態においては、少しの負荷が加わっただけで印字ベルトが動いてしまうこともあり、必ずしも印字面に正しく日付を導くことができない場合がある。また、刻印位置が一度ずれてしまうと、その後の印字ベルトの回動もずれてしまい正確な日付合わせができない場合もある。さらに、一般に印字ベルトはゴム等からなるため、利用頻度に応じて印字ベルトが撓んでしまうこともあり得るので、このような場合でも、印字ベルトの刻印位置のずれを防止することが望まれる。
【0013】
またさらに、スライド枠により印字面の日付を固定する必要があるが、スライド枠が締まっている状態であっても、印字ベルトはわずかに回動するので、日付印をコントローラから取り外したときに、印字面の月・日等の印字部がきれいに一列に整列しておらず、僅かに月・日等の印字がずれてしまうことが生じ得る。そのため、日付印を利用する際に、印字面の印字が整列するように微調整して、印字面の印字の位置ずれを補正することが望まれている。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みたものであり、回転印体を有する回転印の回転印体を自動的に回動させて、印面に露出させる回転印体の日付を自動的にかつ正確に合わせることができる回転印ユニット、回転印及び回転制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の回転印ユニットは、(A)回転印本体との相対移動により回転印内部にある回転印体の回動制限又は回動許容を行う移動枠を有する回転印と、(B)内部時計部の時計情報に基づいて、回転印収納部に収納された回転印の回転印体を回動させて所望の印字部に合わせる回転制御装置とを備える回転印ユニットにおいて、(A)回転印は、(A−1)移動枠又は回転印本体に設けられた第1係合部と、(A−2)回転印本体又は移動枠に設けられた相対移動被誘導部とを有し、(B)回転制御装置の回転印収納部は、(B−1)第1係合部と係合する第2係合部と、(B−2)相対移動被誘導部と係合する相対移動誘導部とを有し、第1係合部と第2係合部とが係合して第1係合部を中心に回動する回転印の相対移動被誘導部と相対移動誘導部との係合位置と、第1係合部との間の距離を変化させるように、相対移動被誘導部が相対移動誘導部に誘導され、移動枠が回転印本体に対して相対移動し、回転印体の回動可能状態又は回動規制状態とすることを特徴とする。
【0016】
第2の本発明の回転印は、回転制御装置の回転印収納部に収納され、回転制御装置により、内部にある回転印体が回動されて所望の印字部に合わせられる回転印において、回転印本体と、回転印本体との相対移動により回転印内部にある回転印体の回動制限又は回動許容を行う移動枠とを備え、(1)移動枠又は回転印本体に設けられた、回転印収納部が有する第2係合部と係合する第1係合部と、(2)回転印本体又は移動枠に設けられた、回転印収納部が有する相対移動誘導部と係合する相対移動被誘導部とを有し、第2係合部と係合した第1係合部を中心に回動し、相対移動被誘導部と相対移動誘導部との係合位置と、第1係合部との間の距離が変化するように、相対移動被誘導部が相対移動誘導部に誘導され、移動枠が回転印本体に対して相対移動し、回動可能状態又は回動規制状態とすることを特徴とする。
【0017】
第3の本発明の回転制御装置は、回転印本体との相対移動により回転印内部にある回転印体の回動制限又は回動許容を行う移動枠を有するものであり、移動枠又は回転印本体に設けられた第1係合部と、回転印本体又は移動枠に設けられた相対移動被誘導部とを有する回転印を収納する回転印収納部と、内部時計部の時計情報に基づいて、回転印収納部に収納された回転印の回転印体を回動させて所望の印字部に合わせる回動制御手段とを備える回転制御装置において、回転印収納部は、(1)第1係合部と係合する第2係合部と、(2)相対移動被誘導部と係合する相対移動誘導部とを有し、第2係合部と係合した第1係合部を中心に回動する回転印の相対移動被誘導部と相対移動誘導部との係合位置と、第1係合部との間の距離が変化するように、相対移動誘導部が相対移動被誘導部を誘導し、移動枠を回転印本体に対して相対移動させ、回転印体を回動可能状態又は回動規制状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、回転制御装置の回転印収納部に回転印を収納させる際又は取り外す際に、簡単な構成で日付印のスライド枠を外したり締めたりすることができ、かつ、日付印の日付を自動的にかつ正確に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態の日付印ユニットの構成を示す構成図である。
【図2】第2の実施形態の日付印の構成を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態の日付印の回転駆動機構の構成を示す構成図である。
【図4】第1の実施形態の位置確認機構の構成を示す構成図である。
【図5】第1の実施形態の位置確認機構が印字ベルトを送り出す様子を説明する説明図である。
【図6】第2の実施形態のスライド枠及び印字面補正機構の構成を示す構成図である。
【図7】第1の実施形態の印字面補正機構2が印字ベルトの印字面の位置を補正する動作を説明する説明図である。
【図8】第1の実施形態のコントローラの構成を示す構成図である。
【図9】第1の実施形態の回転駆動制御部による初期状態の日付合わせの処理を説明するフローチャートである。
【図10】図2に示すコントローラの日付印収納部の断面図及び日付印収納部に収納される日付印を示す図である。
【図11】第2の実施形態の日付印の装着及び取り外しを説明する説明図である。
【図12】変形実施形態の第2凸部及び第2凸部ガイド部を説明する説明図である。
【図13】第1の実施形態の日付印の構成を示す構成図である。
【図14】第1の実施形態のスライド枠及び印字面補正機構の構成を示す構成図である。
【図15】第1の実施形態の日付印の装着及び取り外しを説明する説明図である。
【図16】第1の実施形態の日付印の装着及び取り外しを説明する説明図である。
【図17】第1の実施形態の日付印の装着及び取り外しを説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る回転印ユニット、回転印及び回転制御装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
第1の実施形態では、本発明の回転印の一例として日付印に適用する場合の実施形態であって、日付印の印字ベルトを自動的に調整して、日付印の日付を正確に合わせる日付印ユニットの実施形態を例示する。
【0022】
(A−1)外観構成
図1は、第1の実施形態の日付印ユニットの外観構成のイメージを示す外観図である。図1に示すように、第1の実施形態の日付印ユニット3は、日付印1、コントローラ2を有して構成されるものである。
【0023】
日付印1は、年、月、日等の印字が刻印された複数の印字ベルトを有する回転日付印である。日付印1は、コントローラ2に装着すると、コントローラ2の回転駆動を受け、印字ベルトが回転して日付合わせを行うものである。日付印1は、既存の回転日付印を用いるようにしてもよいが、第1の実施形態では、コントローラ2からの回転駆動力により印字ベルトが回転する専用の回転日付印を用いることとする。この専用の日付印1の構成については後述する。
【0024】
コントローラ2は、内部に有する時計部の日時情報に基づき、装着された日付印1の印字ベルトを回転させ、日付印1の印字面13に現れる日付を自動的に変更するものである。コントローラ2は、日付印1を収納する日付印収納部20を有し、この日付印収納部20に日付印1が収納されると、その日付印1を日付合わせの対象とする。また、コントローラ2は、利用者が初期設定や変更操作等の種々の操作を行う操作部21と、設定画面や日時等を表示する表示部27を有する。
【0025】
図1(A)は、コントローラ2から日付印1を取り出した状態の構成図である。日付印1を使用する場合、図1(A)に示すように、コントローラ2から日付印1を取り外して用いる。
図1(B)は、日付印1をコントローラ2に装着した状態の構成図である。例えば、業務終了後に、日付印1をコントローラ2に収納する際の状態である。この状態にして時計部の日付が変更すると、コントローラ2が日付印1の印字ベルトを回転させて日付を自動的に合わせるようにする。
【0026】
なお、図1(A)及び(B)に示すコントローラ2の外観構成は一例であり、この外観構成に限定されるものではない。従って、図1(A)及び(B)では、コントローラ2の日付印収納部20の位置は、コントローラ2の中央部からずれた位置にある場合を例示するが、例えばコントローラ2の端部(右端又は左端)などとしても良い。また、図1(A)及び(B)では、日付印1の横置き型を例示するが、縦置きや斜めから日付印1を差し入れる構成としてもよい。
【0027】
(A−2)日付印1の構成について
図13は、日付印1の構成を示す構成図である。図13(A)及び図13(B)は、日付印1の側面図であり、図13(C)は、日付印1の上面を破断したときの内部図である。
【0028】
図13(A)及び図13(B)において、日付印1は、日付印本体11と、日付印本体11に対して相対的に移動することができるスライド枠(移動枠ともいう)12と、そのスライド枠12の先端に印字面13を有して構成される。
【0029】
また、図13(C)に示すように、日付印1の内部には印字ベルト17a〜17cが3列に並んでなる回転印体がある。各印字ベルト17a〜17cは、無端印字ベルトである。日付印1の内部には、この各印字ベルト17a〜17cを回転させる回転印体の回転駆動機構(図示しない)も有する。なお、回転駆動機構についての詳細な説明は後述する。
【0030】
図13(A)は、日付印本体11に対してスライド枠12が離れる方向に相対的に移動した状態を示す。図13(A)に示す状態の場合、スライド枠12による印字ベルト17a〜17cの回動固定が解放され、各印字ベルト17a〜17cは回動可能な状態となる(以下、この状態をベルト回動可能状態)という。日付印1がコントローラ2に装着されているとき、日付印1はベルト回動状態となっており、日付印1の回転駆動機能を回転させて日付を調整するコントローラ2は各印字ベルト17a〜17cを回動させることができる。
【0031】
一方、図13(B)は、スライド枠12が日付印本体1と結合している状態を示す。図13(B)に示す状態の場合、印字ベルト17a〜17cの印字部がスライド枠12の先端にある窓部(例えば貫通孔等)に嵌り、印字ベルト17a〜17cの回動が固定される。つまり、スライド枠12が日付印本体11に結合すると、印字ベルト17a〜17cの回動が規制される状態となる(以下、これをベルト回動規制状態という)。日付印1がコントローラ2から取り外されたときには、日付印1はベルト回動規制状態となっており、利用者はこの状態で日付印1を利用する。
【0032】
ベルト回動規制状態にあるとき、スライド枠12の先端にある窓部から印字ベルト17a〜17cの印字部が露出する。そのため、印影は、各印字ベルト17a〜17cの印字部と印字面13に刻印されたマスタ印体とが結合したものとなる。
【0033】
スライド枠12の両側面には、1対の被ガイド部114(114a及び114b)が形成されている。被ガイド部114は、図13(A)及び13(B)に示すように、略C字形状の凸形状であり、受け部115(115a及び115b)及び当接部116(116a及び116b)を有する。被ガイド部114は、例えば、平板を、図13(A)及び図13(B)に例示する形状に形成したものを配設したものである。
【0034】
このような形状の被ガイド部114を設けることで、日付印1の利用に際して、利用者が凸形状の違和感を少なく使いやすいものとするものとすることができる。また、スライド枠12を日付印本体11に対して相対移動させる際に、凸形状を壊れにくくすることができる。
【0035】
日付印本体11の両側面には、1対のガイド溝部117(117a及び117b)が形成されている。ガイド溝部117は、図13(A)及び図13(B)における下部から上部になるにつれ、溝がスライド枠12側に近くなる傾斜部で形成される。また、ガイド溝部117は、その端部に一段深くなった第1凹部118(118a及び118b)を有する。ガイド溝部117のように溝とすることで、利用者の握りやすさをよくすることができる。
【0036】
さらに、日付印本体11は、スライド枠12から離れた側の端部の両側面に、1対の第2凹部119(119a及び119b)を有する。
【0037】
図13(C)において、日付印本体11の内部にある印字ベルト17a〜17cのそれぞれは、例えば32個の凸部を有しており、各凸部には、例えば年、月、日を示す数字や文字等が刻印されている。以下では、印字ベルト17a〜17cの1個の凸部を1コマと表現して説明する。なお、この実施形態では、露出させる凸部の位置調整の観点から、印字ベルト17a〜17cの凸部の数を32個とする場合を例示するが、印字ベルト17a〜17cの凸部の位置調整が可能であれば、凸部の数は特に限定されるものではない。
【0038】
また、第1の実施形態では、日付印1が3本の印字ベルト17a〜17cを備える場合を例示するが、本発明を、回転印体を有する回転印に広く適用することができる。また、この実施形態では、例えば年、月、日を示す3本の印字ベルト17a〜17cを回転印体を有する場合を例示するが、少なくとも1本以上とする印字ベルトを備える回転印にも広く適用することができる。
【0039】
ここで、従来の日付印は、各印字ベルト17a〜17cを回転させる操作回転子が突出しており、利用者は、この操作回転子を手動で回転させることにより、印字ベルト17a〜17cを回転させ、日付合わせを行っている。
【0040】
これに対して、第1の実施形態では、従来の日付印のような各印字ベルト17a〜17cの操作回転子を突出させていない。これは、印字ベルト17a〜17cの操作回転子を突出させないようにすることで、利用者による安易な日付合わせができなくすることができ、日付改竄を防止することができる。また、日付印1をコントローラ2にセットした場合にのみ操作回転子が回転可能なように構成すれば、コントローラ2を用いない日付合わせが不可能になるため、日付改竄防止の観点で有用である。
【0041】
なお、日付改竄防止の観点から、安易に印字ベルト17a〜17cが露出しないように、所定の鍵を設けるようにしてもよい。この鍵は、日付印1をコントローラ2にセットした際にのみ開くようにすれば、鍵を開ける操作が不要になり、かつ、良好な日付改竄防止性能を発揮できる。
【0042】
(A−3)位置確認機構について
図3は、日付印1の印字ベルト17a〜17cを回転させる回転駆動機構の構成を示す構成図である。図3は、ベルト回動可能状態にある日付印1の側面を破断して内部構成を示す内部構成図である。
【0043】
図3において、日付印1は、第1回転輪31、第2回転輪32、位置確認機構33、印面押出部34を少なくとも有する。
【0044】
位置確認機構33は、コントローラ2のベルト回動機構26から回転駆動を受けて、印字ベルト17a〜17cを回転駆動させるものである。また、位置確認機構33は、印字部を1コマずつ送り出すことで、印字ベルト17a〜17cの刻印位置(印字部の位置)を確認しながら、印字ベルト17a〜17cを回動させるものである。
【0045】
第1回転輪31、第2回転輪32及び印面押出部34は、位置確認機構33により回動する各印字ベルト17a〜17cの張力を張りながら、印字ベルト17a〜17cの回動を案内するものである。
【0046】
第1回転輪31及び第2回転輪32は、例えば、ローラなどを適用することができ、第1回転輪31は、スライド枠12に近い側に設けられ、第2回転輪32は、スライド枠12から遠い側に設けられている。
【0047】
また、印面押出部34は、例えば、押板などを適用することができ、ベルト回動可能状態の場合には、日付印1の先端で各印字ベルト17a〜17cの回動を案内するものであり、ベルト回動規制状態の場合には、印字ベルト17a〜17cの印字部を印字面13の窓部41から露出させるものである。
【0048】
図4は、位置確認機構33の構成例を説明する斜視図である。また、図5は、位置確認機構33が印字ベルト17a〜17cを送り出す様子を説明する説明図である。
【0049】
図4に示すように、位置確認機構33は、印字ベルト17a〜17cの凸部を1コマずつ嵌合する嵌合部331と、コントローラ2から回転を受ける歯車部332とが一体的に結合されたものである。
【0050】
日付印1が、コントローラ2に収納され、ベルト回動可能状態となると、位置確認機構33の歯車部332は、コントローラ2のベルト回転機構26を構成する歯車と歯合する。また、歯車部332がコントローラ2のベルト回転駆動機構26から回転駆動を受けると、歯車部332が回転し、歯車部332と一体とする嵌合部331も回転する。
【0051】
このとき、嵌合部331は、図5に示すように、印字ベルト17a〜17cの凸部を1コマずつ嵌合し、回転に伴い1コマずつ送り出しを行う。
【0052】
このように嵌合部331が1コマずつ印字ベルト17a〜17cを送り出すことにより、印字ベルト17a〜17cの刻印位置(凸部)を正確に把握することができる。そのため、コントローラ2による回転制御に係る歯車の回転量と、印字ベルト17a〜17cに印字されている年、月、日を示す数字や文字等の刻印位置との関係を正しく調整することができ、刻印位置のずれを防止することができる。
【0053】
ここで、図4及び図5に示す嵌合部331は、位置確認機構33の1回転につき、7コマの凸部を送り出す場合を例示するが、1回転につき嵌合部331の送り出すコマ数は、コントローラ2の回転制御に係る歯車の回転数との調整が可能であれば、特に限定されるものではない。
【0054】
また、嵌合部331は、軸を中心として放射状に設けた複数の羽から構成され、隣り合う羽同士で形成される形状が台形形状となっている。これは、印字ベルト17a〜17cの凸部が矩形又は台形形状である場合に、第1回転輪31又は第2回転輪32から嵌合部331に送り込まれる際、嵌合部331との嵌り具合が良く、刻印位置を正確に確認することができる。
【0055】
なお、図4に示す位置確認機構33の構成例は、1本の印字ベルト17a〜17cを送り出すものを例示している。上述したように、第1の実施形態の日付印1は、3本の印字ベルト17a〜17cを備えるので、この場合には、それぞれの印字ベルト17a〜17cの送り出しを行う3個の位置確認機構33を並べた構成とすることができる。
【0056】
また、図3では、位置確認機構33が日付印本体11の下部に位置する場合を例示するが、印字ベルト17a〜17cの凸部を嵌合することができれば、位置確認機構33の位置はどこであってもよく、例えば日付印本体の11の上部に配置するようにしてもよい。また、部品数は増える事になるが、嵌合部により印字ベルト17a〜17cを送り出す機構を2個以上備えるようにしてもよい。
【0057】
(A−4)印字面補正機構について
次に、日付印1の印字面13に露出する印字部の位置ずれを補正する印字面補正機構について、図14及び図7を参照しながら説明する。
【0058】
印字面補正機構は、スライド枠12の窓部に回転印体の印字部を露出させる際に、回転印体の回動を抑止して、窓部に露出する印字部の位置を決定するものである。印字面補正機構は、印面押出部34、印字ベルト17a〜17c、及び、スライド枠12の内側機構を構成要素とするものである。
【0059】
以下では、図14を用いてスライド枠12の構成を説明した上で、図7を参照しながら印字面補正機構の構成及び印字面13の位置補正の動作について説明する。
【0060】
図14は、日付印1のスライド枠12の構成を示す構成図である。図14(A)はスライド枠12の正面斜視図であり、図14(B)はスライド枠12の後方正面図であり、図14(C)はスライド枠12の側面断面図である。
【0061】
スライド枠12は、図14(A)に示すように、対向側面に1対の被ガイド部114、印字ベルト17a〜17cの印字部(凸部)を露出させる窓部41を少なくとも有する。また、スライド枠12は、図14(B)に示すように、スライド枠12の内側に位置ずれ防止部42を有する。
【0062】
窓部41は、ベルト回動規制状態において、印面押出部34により押し出された印字ベルト17a〜17cの印字部を露出する窓(開口)である。窓部41の開口は、矩形形状であり、例えば、図14(A)〜図14(B)において、スライド枠12の縦方向をy方向、横方向をx方向とすると、x方向の開口長がy方向の開口長より長い形状である。
【0063】
位置ずれ防止部42は、ベルト回動規制状態において、印字面13の窓部41から露出する印字部の位置ずれを防止するものである。位置ずれ防止部42は、例えば、図14(C)に示すように、スライド枠12の内側において、印字面13の窓部41のx方向の開口の縁に段差となる構造である。
【0064】
位置ずれ防止部42がこのような構成をとることにより、印字ベルト17a〜17cを、窓部41と段差になっている位置ずれ防止部42と、印面押出部34との間に挟むことができるので、印字ベルト17a〜17cの動きを抑止することができ、窓部41から露出する印字部の位置ずれを防止することができる。
【0065】
図7は、印字面補正機構の構成及び印字面13の位置ずれの補正動作を説明する説明図である。図7(A)はベルト回動可能状態の場合を示し、図7(B)はベルト回動規制状態を示す。
【0066】
図7において、印面押出部34の形状は、先端に近づくほど、その厚みが小さくなるような傾斜構造となっている。そのため、図7(A)に示すように、ベルト回動可能状態のとき、印面押出部34は、印字ベルト17a〜17cの回動を滑らかに案内することができる。
【0067】
また、印面押出部34の先端は、印字ベルト17a〜17cの印字部(凸部)の幅と略等しい長さとなっている。そのため、図7(B)に示すように、ベルト回動規制状態になると、印面押出部34は、印字ベルト17a〜17cの裏側から印字部を正確に押し出し、印字面13の窓部41から印字部を露出させることができる。
【0068】
また、図7(B)に示すように、印字面13から露出する印字部に隣接する2個の印字部(凸部)の側面で、スライド枠12の内側を押さえることで、印字部の位置を正しく決定することができる。つまり、露出する印字部の隣接する印字部(凸部)が、印字ベルト17a〜17cの動きを止めるストッパーとしての役割となるので、露出する印字部の位置を決めることができる。
【0069】
さらに、上述したように、窓部41に対して段差とした位置ずれ防止部42と印面押出部34との間に印字ベルト17a〜17cを挟むことで、印字ベルト17a〜17cの動きを止めることができるので、印字面13に露出させる印字部の位置を固定することができる。
【0070】
なお、図14(C)では、位置ずれ防止部42の形状が、窓部41のx方向の開口の縁で段差となるような構造を例示したが、印字ベルト17a〜17cを、位置ずれ防止部42及び窓部41と、印面押出部34との間に挟み、露出する印字部の位置を固定することができる構成であれば、位置ずれ防止部42の形状については種々の構成を適用することができる。
【0071】
例えば、図7に示すように、先端に近づくほど厚みが小さくなるような傾斜部を有する印面押出部34の形状に合わせて、位置ずれ防止部42の形状が傾斜部として、印字ベルト17a〜17cを挟むような構造としても良い。
【0072】
(A−5)コントローラ2の構成について
次に、コントローラ2の構成について、図1及び図8を参照しながら説明する。
【0073】
図1において、コントローラ2は、外観構成として、日付印1を収納する日付印収納部20、利用者が日付印1の日付や、コントローラ2内部の時計機能の日時を調整するための操作部21を備える。操作部21は、種々の操作手段を広く適用することができ、例えば、操作ボタンやタッチパネルボタン等を適用することができる。
【0074】
また、図8において、コントローラ2の機能構成は、時計部23、調整部22、制御部24、ベルト回動制御部25、ベルト回動機構26などを少なくとも有するものである。
【0075】
時計部23は、時刻計時するものである。少なくとも現在の年月日が分かるものであれば、広く適用することができる。例えば、一般的な電動式時計や電波時計などを適用できる。
【0076】
調整部22は、利用者による操作部21の操作を受けて、日付印1の日付や時計部23の日時の変更調整を行うものである。調整部22による調整の仕方としては、コントローラ2が有する年、月、日のそれぞれについて操作部21を押下することにより、年、月、日をそれぞれ調整する方法を適用できる。
【0077】
制御部24は、コントローラ2の機能を司るものである。制御部24は、時計部23が計時する時刻を監視しており、時計部23の日付変更に応じて、その日付印1の日付合わせを行うものである。
【0078】
ベルト回動制御部25は、制御部24の制御の下、時計部23により日付変更された旨を受けると、日付印1の印字ベルト17a〜17cの回転子を回転させるベルト回動機構26の動作を制御するものである。
【0079】
ベルト回動機構26は、ベルト回動制御部25の制御を受けて、装着された日付印1の各印字ベルト17a〜17cの回転駆動機構に対して回転を伝動するものであり、例えば、駆動源として1又は複数の電動機(例えばモータ等)と、この電動機の駆動力により回転する複数の歯車を有して構成されるものである。
【0080】
ここで、ベルト回動制御部25による日付合わせのアルゴリズムを説明する。図9は、ベルト回動制御部25による初期状態の日付合わせの例を示すフローチャートである。
【0081】
ベルト回動制御部25は、前提として、日付印1の各印字ベルト17a〜17cに刻印された印字部を1コマ変更するための回転数が予め設定されている。
【0082】
まず、製品出荷時の日付印1の印字面には、予め設定された日付が現れるように設定されている(ステップS101)。例えば、製品出荷時には、「09年01月01日」を表す日付が必ず印面に来るように設定されている。
【0083】
そして、初期時、日付印1がコントローラ2に装着され(ステップS102)、利用者による操作部21の操作により所定の初期ボタンが押下されると(ステップS103)、ベルト回動制御部25は、時計部23の計時する現在の「年月日」と、製品出荷時の「年月日」とのそれぞれの差分を計算し(ステップS103)、各差分に相当する回転数だけベルト回動機構26を回転させるように制御する(ステップS104、S105)。
【0084】
例えば、製品出荷時の設定「年月日」が「09年01月01日」であって、初期セット時の「年月日」が「09年07月09日」であれば、ベルト回動制御部25は、「年」については、製造出荷時と現在とで同じであるから回転させないようにし、「月」については、「6月」だけ異なるので、「6月(6コマ)」分だけ回転させるようにし、「日」については、「8日」だけ異なるので、「8日(8コマ)」分だけ回転させるようにする。
【0085】
また、通常使用時においては、日付印1がコントローラ2に装着されると、ベルト回動制御部25が、時計部23が計時する日付が変更したことを受けて(例えば、AM0時になることで)、「日」についての「1日(1コマ)」分だけ回転するようにベルト回動機構26を制御する。
【0086】
ここで、ベルト回動制御部25は、何年何月何日に日付印1の印字ベルト17a〜17cをどれだけ回転させたかを記憶する機能を有する。
【0087】
例えば、各印字ベルト17a〜17cの凸部間のピッチを認識しておき、また各印字ベルト17a〜17cの1ピッチだけ回転させる歯車の回転数を認識しておく。そして、日付印1の各印字ベルト17a〜17cについて、日付合わせのために必要な歯車の回転数だけ歯車を回転させるように制御することで実現することができる。このようにすることで、前回日付合わせを行なった日を記憶することができる。
【0088】
このとき、前回日付合わせを行なった日と現在の日にちとが異なる場合、日付印1の日付合わせのし忘れなどが考えられる。この場合、ベルト回動制御部25は、前回の日付合わせを行った日が現在の日にちと異なる場合、前回の日付合わせを行った日を基準日として時計部23の年月日との差分を求め、その差分に応じた回転数で回転制御するようにしてもよい。
【0089】
また、ベルト回動制御部25は、日付印1が装着されていない場合には、通常の日付合わせを行わないようにする。そのためには、日付印1が装着されたか否かを検知する検知部(図示しない)を備えるようにしても良い。そして、この検知部が日付印1の装着を検出した場合、ベルト回動制御部25はモータを駆動させて必要な回転数だけ歯車を回転させるが、そうでない場合、時計部23による日付変更を検知しても、ベルト回動制御部25はモータを駆動させないようにすることができる。
【0090】
さらに、コントローラ2が装着されている日付印1の印字面13に現れている印字部を認識する方法としては、種々の方法を適用することができるが、例えば、印字面13の画像を取り込み、その画像から印字面13の日付を認識する方法や、また例えば、各印字ベルトに予め印字部を認識させる識別突起を付しておき、コントローラ2がこの識別突起を認識する方法を適用することができる。このように、コントローラ2が日付印1の印字面13に現れている印字部を認識することで、日付印1の印字面13上の日付と時計部23の計時する年月日との差分に応じて回転制御することができる。
【0091】
(A−6)コントローラ2への日付印1の装着及び取り外し機構について
次に、日付印1をコントローラ2に収納する際の、日付印1の装着及び取り外し機構について図面を参照しながら説明する。
【0092】
図15〜図17は、日付印1をコントローラ2の日付印収納部20に収納する際の、日付印1の装着及び取り外しを説明する説明図である。
【0093】
図15において、コントローラ2は、図1に示すコントローラ2の日付印収納部20のA−A断面である。図15に示すように、コントローラ2の日付印収納部20は、両サイドに、1対のガイド部151(151a及び151b)と、1対の第1凸部152(152a及び152b)と、1対の第2凸部156(156a及び156b)と、1対の固定部157(157a及び157b)とを有する。
【0094】
日付印1をコントローラ2の日付印収納部20に収納する際、利用者により印字面13を下にし、コントローラ2に対して日付印1を略垂直に立てて、日付印1の被ガイド部114がガイド部151に挿入される。
【0095】
ガイド部151は、凸形状の被ガイド部114を挿入できるように凹形状で形成されており、利用者による日付印1の装着又は取り外しを簡単にするため、図15に示すように、挿入口はC字形状の被ガイド部114の外径よりも大きいものとなっている。また、ガイド部151の下部は、略半円形状となっている。
【0096】
また、被ガイド部114がC字形状の凸形状とし、ガイド部151が被ガイド部114を挿入可能な凹形状とすることで、日付印1を垂直にコントローラ2にセットする際に、被ガイド部114の幅を比較的広くすることができるので、比較的安定した状態で日付印1をコントローラ2にセットすることができる。
【0097】
ガイド部151は挿入された日付印1の被ガイド部114を案内し、挿入された被ガイド部114の受け部115は第1凸部152を嵌合する。ここで、第1凸部152は、ガイド部151の下部の略半円形状の中心と中心を同じにする略円柱の凸部である。
【0098】
被ガイド部114の受け部115が第1凸部152を嵌合した状態で、日付印1が日付印収納部20に収められるように日付印1が倒される。このとき、受け部115は第1凸部152を嵌合し、被ガイド部114はC字形状であるから、略半円形状のガイド部151に沿って被ガイド部114が案内される。そのため、日付印1は、第1凸部152を中心に回転させることができる。
【0099】
日付印1が倒されると、図16に示すように、日付印収納部20の第2凸部156が、日付印1のガイド溝部117の挿入口に当接する。
【0100】
さらに利用者により日付印1が下方向に押し込まれると、日付印1のガイド溝部117は、押し込まれる力により、第2凸部156を端部に向けて導き、ガイド溝部117の第1凹部118が第2凸部156を係合する。また、日付印1の被ガイド部114の当接部116は、ガイド部151の係止部153に当接する。
【0101】
ここで、図16に示すように、日付印1の受け部115とガイド溝部117の端部の第1凹部118との間の距離をXとし、日付印収納部20の第1凸部152と第2凸部との間の距離をYとすると、距離Xと距離Yとの関係は、距離Y>距離Xの関係にある。
つまり、受け部115が第1凸部152を嵌合した状態での被ガイド部114からガイド溝部117の挿入口までの距離は距離Yとなるように形成されているから、日付印1の押し込みにより、ガイド溝部117は第2凸部156を溝に取り込むことができる。
そして、日付印1が収納されるように押し込まれ、ガイド溝部117が第2凸部156を端部に向けて誘導することで、被ガイド部114と第2凸部156との間に引っ張り合う力が作用し、スライド枠12が日付印本体11から離れる方向に相対的に移動する。これにより、日付印1はベルト回動可能状態となる。
【0102】
また、図17に示すように、日付印1の第2凹部119は日付印収納部20の固定部157を係合する。固定部157は、コントローラ2の内部から例えばバネ等の弾性体により付勢された凸部である。第2凹部119が固定部157を係合することで、弾性体の付勢を受けて日付印1は固定される。
【0103】
ここで、日付印1の第2凹部119は、被ガイド部114の反対側の端部に形成される。また、日付印収納部20の固定部157も、第2凹部119の位置に合わせて、第1凸部152の反対側の端部に形成される。さらに、日付印1の当接部116が係止部153に当接するように形成されている。
【0104】
このように、被ガイド部114が被ガイド部114から比較的離れた位置に形成され、当接部116が係止部153に当接されることで、収納されている日付印1をしっかりと固定することができる。
日付印1がコントローラ2からベルト回転の駆動力を受ける際に、ベルト回動機構26の回転力に伴い、日付印1が浮き上がってしまい、日付印1が日付印収納部20に正しくセットされず、印字ベルト17a〜17cを正確に回動させることができないおそれがある。そこで、この実施形態では、第2凹部119の位置を第1凸部152から比較的離れた位置に形成することで、固定部157が日付印1を付勢する付勢力を大きくし、コントローラ2から回転力が加わっても日付印1をしっかりと固定する。
【0105】
なお、この実施形態では、日付印1の浮き上がりを防止するために、日付印1及び日付印収納部20が、当接部116及び係止部153と、第2凸部119及び固定部157と(これらを浮き上がり防止部ともいう)の双方を備えるようにしたが、回転力の向きに応じて、これらのいずれか一方を備えるようにしてもよい。また、日付印1の浮き上がりを防止することができれば、当接部116及び係止部153や、第2凸部119及び固定部157に限定されず、種々の構成をとるようにしてもよい。例えば、この実施形態では、日付印1の両端に当接部116及び第2凸部119を設けることで、下向きに作用する反力を大きくし、ベルト回動機構26から回転力を受けても浮き上がらないような構成したが、日付印1の略中央部に浮き上がり防止部を設けるようにしてもよい。また、この実施形態では、2個の浮き上がり防止部を設けたが、3個以上としてもよい。
【0106】
次に、コントローラ2から日付印1を取り外すときには、日付印1を装着するときと逆の工程により日付印1はコントローラ2から外される。
まず、日付印1の日付印本体11側から引き上げられる。これにより、受け部115が嵌合する第1凸部152を中心に、日付印1は上方向に回転する。このとき、第2凹部119は固定部157との係合をやめ、ガイド溝部117の第1凹部118は第2凸部156との係合をやめる。
【0107】
日付印1が上方向に回転されることで、ガイド溝部117が第2凸部156を挿入口のほうに誘導され、ガイド溝部117に挿入されていた第2凸部156が外れる。このとき、日付印1の回転により、第2凸部156が挿入しているガイド溝部117が移動することで、被ガイド部114と第2凸部156との距離がだんだん短くなり、スライド枠12が日付印本体11の方向に移動する。
【0108】
これにより、日付印1をコントローラ2に対して略垂直にする状態のときには、スライド枠12は日付印本体11と結合しており、ベルト回動規制状態となる。
【0109】
(A−7)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、自動的にかつ正確に日付印1の日付合わせを行うことができる。
【0110】
また、第1の実施形態によれば、コントローラ2への日付印の押し込む力又は取り上げる力により、第1凸部152を嵌合する被ガイド部114と第2凸部151との間の距離が変わり、スライド枠12と日付印本体11との相対移動を可能とすることができる。そのため、日付印1をコントローラ2に装着するときには、日付印1をベルト回動可能状態とし、日付印1を取り外したときには、日付印1をベルト回動規制状態とすることができる。
【0111】
第1の実施形態によれば、コントローラ2のベルト回動機構26が、ベルト回動可能状態にある日付印1の印字ベルト17a〜17cを回動するときに、ベルト回動機構26の回転力に伴い、日付印1が浮き上がることを防止するために、日付印1及び日付印収納部が、当接部116及び係止部153、及び又は、第2凸部119及び固定部157を有する。これにより、日付印1の浮き上がりを防止できる。
【0112】
さらに、第1の実施形態では、日付印1が位置確認機構33を備えることにより、各印字ベルト17a〜17cの刻印位置を正確に認識することができるので、正しい印字部を印字面13に導くことができる。
【0113】
また、第1の実施形態では、スライド枠12が、位置ずれ防止部42を備えることにより、印字面13での印字部のずれを補正することができるので、きれいに整列した印字面13を提供することができる。
【0114】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る回転印ユニット、回転印及び回転制御装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0115】
第2の実施形態では、本発明の回転印の一例として日付印に適用する場合の実施形態であって、日付印の印字ベルトを自動的に調整して、日付印の日付を正確に合わせる日付印ユニットの実施形態を例示する。
【0116】
第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、日付印1の外観構成と、その外観構成が異なることで日付印1をコントローラ2の装着又はコントローラ2から取り外す機構である。
【0117】
そこで、以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態を詳細に説明する。
【0118】
(B−1)日付印1の構成について
図2は、日付印1の構成を説明する説明図である。図2(A)及び(B)は、日付印1の外観図であり、図2(C)は、日付印1の内部を上から見た透視図である。
【0119】
図2(A)及び(B)において、日付印1の外観構成は、日付印本体11、スライド枠12、印字面13、対向側面に1対の第1凸部14、対向側面に1対の第2凸部15、長孔16、軸体18を少なくとも有するものである。
【0120】
また、図2(C)において、日付印1は、その内部に、例えば年、月、日等の印字を刻印した3本の印字ベルト17a〜17cが3列に並べてなる回転印体が組み込まれている。各印字ベルト17a〜17cを回転させる回転印体の回転駆動機構については後述する。
【0121】
日付印本体11の先端部には、スライド枠12が結合されている。スライド枠12は、印字ベルト17a〜17cの印字部分を突出するための窓部(例えば貫通孔部等)を有している。スライド枠12の先端部には、印字面13が固着されており、スライド枠12の窓部から露呈する印字ベルト17a〜17cとマスタ印体とが結合することで、日付が付された印体を提供できる。
【0122】
なお、第1の実施形態では、マスタ印体がスライド枠12に固着されている日付印1を例示するが、マスタ印体が固着されていない回転印にも広く適用することができる。
【0123】
また、スライド枠12は、対向する両側面に1対の第1凸部14を有している。また、日付印本体11は、対向する両側面に1対の第2凸部15を有している。
【0124】
なお、図2(A)及び(B)において、第1凸部14はスライド枠12の中央部付近、第2凸部15は日付印本体11の下部付近に位置している場合を例示するが、第1凸部14及び第2凸部15の配置位置は、特に限定されるものではない。
【0125】
第1凸部14及び第2凸部15は、日付印1をコントローラ2に収納する際に、コントローラ部2の日付印収納部20が有する第1凸部ガイド部51及び第2凸部ガイド部52に案内される被ガイド部として機能するものであり、スライド枠12と日付印本体11とを相対移動させて、印字ベルト17a〜17cを回転可能な状態にする際に寄与するものである。
【0126】
また、第1凸部14及び第2凸部15は、コントローラ2から日付印11を取り外す際に、スライド枠12を元の位置まで相対移動させて、印字ベルト17a〜17cの回転を制限する状態にする際に寄与するものである。
【0127】
さらに、スライド枠12は、軸体18(例えばボルト)と対向側面に長孔16とを有している。ここで、日付印本体11とスライド枠12との結合は、例えば、日付印本体11に孔があり、スライド枠12の一方の長孔16に軸体18を挿入し、日付印本体11の孔に軸体18を貫通させ、スライド枠12の他方の長孔16から軸体18を貫通させて軸体18にネジを螺合することにより結合させる。
【0128】
日付印本体11にスライド枠12を結合させることにより、スライド枠12は、日付印本体11に対して相対移動ができるものとなる。
【0129】
図2(A)に示すように、スライド枠12が相対的に日付印本体11の方向へ移動した場合、スライド枠12の窓部が印字ベルト17a〜17cに嵌り、印字面が固定される。このとき、それぞれの印字ベルト17a〜17cは、日付合わせのための回転が規制される状態(以下、ベルト回動規制状態という)となる。
【0130】
一方、図2(B)に示すように、スライド枠12が相対的に日付印本体11から離れる方向に移動した場合、スライド枠12による印字ベルト17a〜17cの固定が開放される。このとき、印字ベルト17a〜17cは、日付合わせのための回転が可能な状態(以下、ベルト回動可能状態という)となる。
【0131】
日付印本体11の内部には、年、月、日等が刻印されている複数の印字ベルト17a〜17cと、印字ベルト17a〜17cを回転駆動させる回転駆動機構とがある。
【0132】
印字ベルト17a〜17cのそれぞれは、例えば32個の凸部を有する構成であり、それぞれの凸部には、年、月、日が刻印されている。以下では、印字ベルト17a〜17cの1個の凸部を1コマと表現して説明する。なお、印字ベルト17a〜17cの凸部の数は、特に限定されるものではない。
【0133】
第1の実施形態では、日付印1が3本の印字ベルト17a〜17cを備える場合を例示するが、本発明を回転印に適用するような場合には、少なくとも1本以上とする印字ベルトを備える回転印に広く適用することができる。
【0134】
ここで、従来の日付印は、各印字ベルト17a〜17cを回転させる操作回転子が突出しており、利用者は、この操作回転子を手動で回転させることにより、印字ベルト17a〜17cを回転させ、日付合わせを行っている。
【0135】
これに対して、第1の実施形態では、従来の日付印のような各印字ベルト17a〜17cの操作回転子を突出させていない。これは、印字ベルト17a〜17cの操作回転子を突出させないようにすることで、利用者による安易な日付合わせができなくすることができ、日付改竄を防止することができる。また、日付印1をコントローラ2にセットした場合にのみ操作回転子が回転可能なように構成すれば、コントローラ2を用いない日付合わせが不可能になるため、日付改竄防止の観点で有用である。
【0136】
なお、日付改竄防止の観点から、安易に印字ベルト42が露出しないように、所定の鍵を設けるようにしてもよい。この鍵は、日付印1をコントローラ2にセットした際にのみ開くようにすれば、鍵を開ける操作が不要になり、かつ、良好な日付改竄防止性能を発揮できる。
【0137】
また、第2の実施形態に係る日付印1のスライド枠12の印字面補正機構については、図6に示す。スライド枠12の印字面補正機構は、第1の実施形態と同様である。
【0138】
(B−2)コントローラ2への日付印1の装着及び取り外し機構について
次に、日付印1をコントローラ2に収納する際の、日付印1の装着及び取り外し機構について図面を参照しながら説明する。
【0139】
図10は、図1に示すコントローラ2の日付印収納部20のA−A断面を示す断面図及び日付印収納部20に収納される日付印1とを示す図である。
【0140】
図11は、日付印1のスライド枠12を装着及び取り外しを説明する説明図である。
【0141】
図10において、コントローラ2の日付印収納部20は、両サイドに、日付印1を日付印1のスライド枠12が有する第1凸部14を挿入する1対の第1凸部ガイド部51と、日付印本体11が有する第2凸部15を挿入する1対の第2凸部ガイド部52とを有する。
【0142】
第1凸部ガイド部51は、挿入されたスライド枠12の第1凸部14を案内する鉛直方向の溝からなるものである。コントローラ2の日付印収納部20に日付印1を装着する際、第1凸部ガイド部51は、スライド枠12の第1凸部14が挿入される。
【0143】
第2凸部ガイド部52は、挿入された日付印本体11の第2凸部15を案内する溝からなるものである。第2凸部ガイド部52は、挿入口付近の傾斜部521と、挿入口から奥側にある鉛直方向の端部522とからなる。第1凸部14が第1凸部ガイド部51に挿入された後、第2凸部ガイド部52には、日付印本体11の第2凸部15が挿入される。
【0144】
例えば、日付印1の第1凸部14と第2凸部15との間の距離が距離Xとする。この場合、第1凸部ガイド部51及び第2凸部ガイド部52の位置関係は、第1凸部ガイド部51の奥側のある位置から、第2凸部ガイド部52の挿入口までの2点間距離を距離Xとなるように設ける。
【0145】
図11(A)に示すように、日付印1を日付印収納部20に収納する際、利用者により、第1凸部14が第1凸部ガイド部51の挿入口に挿入され、第1凸部14が、第1凸部ガイド部51に案内されて、第1凸部ガイド部51の奥側に差し込まれる。
【0146】
さらに、利用者により、第2凸部15が第2凸部ガイド部52に挿入され、日付印1が下向きに押し込まれる。
【0147】
このとき、例えば、第2凸部ガイド部52の傾斜部521のある位置と、第1凸部ガイド部51との間の水平方向の距離を距離Zとすると、距離Zと距離Xとの関係は、距離Z<距離Xとの関係にある。
【0148】
そのため、日付印1が押し込まれることにより、第2凸部15が第2凸部ガイド部52の傾斜部521を移動し、第1凸部ガイド部51に挿入されている第1凸部14の位置を中心として日付印1が回転する。
【0149】
これにより、スライド枠12の第1凸部14と日付印本体11の第2凸部15との間に引っ張り合う力が作用して、スライド枠12が日付印本体11から離れる方向に相対移動しながら、第2凸部ガイド部52の傾斜部521に沿って第2凸部15が移動する。
【0150】
さらに、日付印1が下向き方向に押し込まれることにより、第2凸部15が第2凸部ガイド部52の鉛直方向の端部522へ移動することにより、スライド枠12が完全に日付印本体11から離れた状態となり、図11(B)に示すように日付印1はベルト回動可能状態となる。
【0151】
例えば、第2凸部ガイド部52の鉛直方向の端部522と、第1凸部ガイド部51との間の水平方向の距離を距離Yとすると、距離Yは、スライド枠12が解除するのに充分な距離であり、距離Yと距離Xとの関係は、距離Y>距離Xとの関係にある。
【0152】
そのため、日付印1が完全に押し込まれ、第2凸部15が第2凸部ガイド部52の端部522に移動したときには、日付印1はベルト回動可能状態となり、かつ、日付印1の歯車部332がコントローラ部2のベルト回動機構26と嵌合した状態となる。
【0153】
ここで、コントローラ2の日付印収納部20は、日付印1のスライド枠12の回動を許容する構成となっている。例えば、図11(A)及び図11(B)に示すように、日付印1が押し込まれると、第1凸部14を中心に日付印1は回動するので、日付印収納部20の第1凸部ガイド部51である鉛直下向きの溝の末端は、日付印収納部20の縦方向の長さの中央付近までに位置させるような構成を適用することができる。
【0154】
次に、コントローラ2から日付印1を取り外す場合、日付印1の装着のときとは逆の工程により日付印1はコントローラ2から取り外される。
【0155】
まず、日付印1の日付印本体11側から引き上げられる。これにより、第2凸部15が第2凸部ガイド部52の鉛直方向の端部522に沿って上方向に移動する。
【0156】
そして、第2凸部15が第2凸部ガイド部52の傾斜部521に沿って挿入口に向かって移動していくことで、第1凸部14と第2凸部15との間の距離が狭くなり、だんだんスライド枠12が日付印本体11の方向に相対移動する。
【0157】
そして、第2凸部15が第2凸部ガイド部52の挿入口付近に辿り着くときには、スライド枠12が元に戻った状態となり、日付印1はベルト回動規制状態となる。
【0158】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、コントローラ2の第2凸部ガイド部52が傾斜部521を備えることにより、コントローラ2への日付印の押し込む力又は取り上げる力により、第2凸部15が第2凸部ガイド部52の傾斜部521に沿って移動させ、スライド枠12と日付印本体11との相対移動を可能とすることができる。そのため、日付印1をコントローラ2に装着するときには、日付印1をベルト回動可能状態とし、日付印1を取り外したときには、日付印1をベルト回動規制状態とすることができる。
【0159】
(C)他の実施形態
上述した第1及び第2の実施形態においても種々の変形実施形態を挙げたが、それ以外の変形実施形態を以下で説明する。
【0160】
(C−1)日付印本体11又はスライド枠12が、ベルト回動規制状態において、スライド枠12を日付印本体11に係止する係止機構を備えるようにしてもよい。これにより、ベルト回動規制状態において、スライド枠12を日付印本体11と係止させることができる。
【0161】
係止機構の係合力は、スライド枠12と日付印本体11との間で、スライド枠12が日付印本体11から離れない程度のものでよく、強固な係合力を必要としない。
【0162】
すなわち、第2の実施形態の例の場合、日付印1をコントローラ2に装着する際に、日付印1が押し込まれ、第2凸部が第2凸部ガイド部52に沿って移動することで、係止機構によるスライド枠12と日付印本体11との係止が解かれ、スライド枠12が日付印本体11から離れる方向に相対移動できる程度の係合力であってもよい。
【0163】
係止機構としては、例えば、スライド枠12が凸部又は凹部を有し、日付印本体11が凹部又は凸部を備え、両者の凸部と凹部とが係合するような構成としても良いし、又例えば、日付印本体11又はスライド枠12が、スライド枠12又は日付印本体11を引き合わせる磁石などとすることができる。
【0164】
(C−2)第2の実施形態では、第2凸部15が日付印本体11に一体として備えられる場合を例示したが、第2凸部15が日付印本体11と一体的でなく、図12(A)に示すように、2個の第2凸部15の間を、例えばバネ等の弾性体61で固定したものを、日付印本体11の内側から挿入し、この弾性体の弾性力により、両サイドの第2凸部15が内側方向と外側方向に可動な構造体としてもよい。
【0165】
この場合、コントローラ2の第2凸部ガイド部52は、奥側の端部に一段深い凹部である日付印固定部62を備える。そして、日付印1をコントローラ2に装着する際に、第2凸部15が、第2凸部ガイド部52に沿って日付印固定部62まで挿入されると、弾性体61の弾性力により日付印固定部62に嵌るような構成としてもよい。
【0166】
(C−3)第2の実施形態では、スライド枠12及び日付印本体11が、第1凸部14及び第2凸部15を備える場合を例示した。
【0167】
しかし、第1凸部14及び第2凸部15に代えて、スライド枠12及び日付印本体11がそれぞれ第1凹部及び第2凹部を備えるようにしてもよい。この場合、コントローラ2は、第1凸部ガイド部51及び第2凸部ガイド部52に変えて、第1凹部ガイド部及び第2凹部ガイド部を備えるようにしてもよい。
【0168】
(C−4)第1及び第2の実施形態では、日付印1とコントローラ2とを1対1で対応付けた場合を前提として説明するが、コントローラ2が複数の日付印1にも対応できるようにしても良い。
【0169】
この場合、複数の日付印1のそれぞれに自己を特定する識別情報(例えばID等)をICチップなどに記憶させておき、コントローラ2が記憶された識別情報を読み取り、この識別情報に基づいて各日付印1の日付合わせ管理を行うようにしてもよい。例えば、日付印1ごとに前回の日付合わせを行った日を記憶したり、日付合わせを行う時間(例えば、ある日付印はAM0時とし、別の日付印1はAM1時としてもよい)や、制限(例えば、土日は行なわない)などの情報も設定できようにしても良い。
【0170】
また、コントローラ2は、された日付印1の識別情報に基づいて、当該日付印1が管理していないものであると判断した場合、当該された日付印1の日付合わせを行わないようにすることができる。
【0171】
(C−5)印面と対向する位置に印面を撮像する画像センサを設け、制御部24は例えば日付調整作業後に当該画像センサを用いて印字面13に現されている日付を確認し、設定(現在の日付)と印面に現されている日付とが同一であるか否か判断してもよい。そして、同一でない場合には両者の差分を計算し、当該差分に応じただけベルト回動制御部25に日付印1の回転子を回転させるよう指示するとよい。これにより、印字面13をより正確な状態にし得る。
【0172】
(C−6)上記日付印1を回転印に適用することも当然に可能である。この場合、時計部23は特に必要はなく、制御部24が所定のルールに従って印字面13を調整すればよい。また、調整部22から入力された利用者の指示に基づいて印字面13を調整してもよい。
【0173】
(C−7)第1の実施形態では、移動枠12が被ガイド部114を有し、日付印本体11がガイド溝部を有する場合を例示したが、この逆に、移動枠12がガイド溝部を有し、日付印本体11が被ガイド部を有するようにしてもよい。また、日付印1は、両側面に1対の被ガイド部114及びガイド溝部117を備える場合を例示したが、いずれかの側面に備え、日付印収納部20も、いずれかの壁面にガイド部151及び固定部157を備えるようにしてもよい。
【0174】
(C−8)第1の実施形態では、移動枠12の被ガイド部114が凸形状で、日付印収納部20のガイド部151が凹形状である場合を例示したが、この逆に、移動枠12の被ガイド部114が凹形状で、日付印収納部20のガイド部151が凸形状であってもよい。
【0175】
(C−9)第1の実施形態で説明した日付印1の第2凹部119が固定部157を係合する構成に代えて、日付印1が図12に例示する構成を有するようにしてもよい。また、日付印1は、いずれかの側面に第2凸部119に備え、日付印収納部20も、いずれかの壁面に固定部157を備えるようにしてもよい。
【0176】
(C−10)第1及び第2の実施形態では、説明便宜上、日付印1が長方体形状とする場合を示したが、これに限られることなく、例えば、利用者が日付印を握る把持部を略筒形状としてもよい。
【符号の説明】
【0177】
1…日付印、2…コントローラ、3…日付印ユニット、
11…日付印本体、12…スライド枠、13…印字面、14…第1凸部、
15…第2凸部、16…長孔、17a〜17c…印字ベルト、18…軸体、
20…日付印収納部、31…第1回転輪、32…第2回転輪、33…位置確認機構、
331…嵌合部、332…歯車部、41…窓部、42…印字面補正機構、
421…位置調整部、422…ガイド部、423…位置固定部、
51…第1凸部ガイド部、52…第2凸部ガイド部、
61…弾性体、62…日付印固定部、
114…被ガイド部、115…受け部、116…当接部、117…ガイド溝部、
118…第1凹部、119…第2凹部、151…ガイド部、152…第1凸部、
153…係止部、156…第2凸部、157…固定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転印本体との相対移動により回転印内部にある回転印体の回動制限又は回動許容を行う移動枠を有する回転印と、内部時計部の時計情報に基づいて、回転印収納部に収納された上記回転印の上記回転印体を回動させて所望の印字部に合わせる回転制御装置とを備える回転印ユニットにおいて、
上記回転印は、
上記移動枠又は上記回転印本体に設けられた第1係合部と、
上記回転印本体又は上記移動枠に設けられた相対移動被誘導部と
を有し、
上記回転制御装置の上記回転印収納部は、
上記第1係合部と係合する第2係合部と、
上記相対移動被誘導部と係合する相対移動誘導部と
を有し、
上記第1係合部と上記第2係合部とが係合して上記第1係合部を中心に回動する上記回転印の上記相対移動被誘導部と上記相対移動誘導部との係合位置と、上記第1係合部との間の距離を変化させるように、上記相対移動被誘導部が上記相対移動誘導部に誘導され、上記移動枠が上記回転印本体に対して相対移動し、上記回転印体の回動可能状態又は回動規制状態とすることを特徴とする回転印ユニット。
【請求項2】
上記相対移動誘導部が凸部であり、
上記相対移動被誘導部が、ガイド口から延長方向に傾斜部を有する第1ガイド部であり、
上記回転印の回動により、上記凸部が上記ガイド口に嵌り、上記傾斜部に沿って上記凸部が上記ガイド口から上記第1ガイド部の端部に向けて案内することで、上記移動枠が上記回転印本体から相対的に離れるように移動し、上記傾斜部に沿って上記凸部が上記第1ガイド部の端部から上記ガイド口に向けて案内することで、上記移動枠が上記回転印本体に相対的に近づくように移動することを特徴とする請求項1に記載の回転印ユニット。
【請求項3】
上記相対移動被誘導部が凸部であり、
上記相対移動誘導部が、ガイド口から延長方向に傾斜部を有する第2ガイド部であり、
上記回動印の回動により、上記凸部が上記ガイド口に嵌り、上記凸部が上記傾斜部に沿って上記ガイド口から上記第2ガイド部の端部に向けて変位することで、上記移動枠が上記回転印本体から相対的に離れるように移動し、上記凸部が上記傾斜部に沿って上記第2ガイド部の端部から上記ガイド口に向けて変位することで、上記移動枠が上記回転印本体に相対的に近づくように移動することを特徴とする請求項1に記載の回転印ユニット。
【請求項4】
上記回転印収納部に収納され回動可能状態にある上記回転印が、上記回転制御装置から上記回転印体に加えられる回転力による浮き上がりを防止する1又は複数の浮き上がり防止部を有し、
上記回転印収納部が上記各浮き上がり防止部と係合する1又は複数の第3係合部を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回転印ユニット。
【請求項5】
上記回転印収納部は、上記第2係合部に嵌め込まれた上記第1係合部を中心に回動すること許容する構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回転印ユニット。
【請求項6】
上記第1係合部が、嵌合部を有する被ガイド部を有し、
上記第2係合部が、
壁面の上下方向に延びた、上記被ガイド部を案内する第3ガイド部と、
上記第3ガイド部の下部に、上記嵌合部により嵌合され上記回転印の回動を可能とする被嵌合部とを有する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の回転印ユニット。
【請求項7】
上記浮き上がり防止部の1つが上記第1係合部に形成され、上記第3係合部の1つが上記第2係合部に形成され、当該第3係合部が上記浮き上がり防止部を係止することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の回転印ユニット。
【請求項8】
上記第3係合部の1つが、上記回転印を固定するものであり、
上記浮き上がり防止部の1つが、上記回転印における上記第1係合部と反対側の端部に形成され、上記第3係合部により固定されるものである
ことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の回転印ユニット。
【請求項9】
上記回転印の上記回転印体は、
所定間隔毎に複数の凸部を有する複数の印字ベルトと
上記各印字ベルトを回動駆動させる回動駆動機構と、
上記回動駆動機構により回動する上記各印字ベルトの上記凸部を嵌合しながら上記各印字ベルトを送り出し、上記各印字ベルトの位置を確認する位置確認機構と
を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の回転印ユニット。
【請求項10】
上記回転印は、上記移動枠の窓部に上記回転印体の印字部を露出させる際に、上記回転印体の回動を抑止して、上記窓部に露出する上記印字部の位置を決定する印字面位置補正機構を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の回転印ユニット。
【請求項11】
回転制御装置の回転印収納部に収納され、上記回転制御装置により、内部にある回転印体が回動されて所望の印字部に合わせられる回転印において、
回転印本体と、上記回転印本体との相対移動により上記回転印体の回動制限又は回動許容を行う移動枠とを備え、
上記移動枠又は上記回転印本体に設けられた、上記回転印収納部が有する第2係合部と係合する第1係合部と、
上記回転印本体又は上記移動枠に設けられた、上記回転印収納部が有する相対移動誘導部と係合する相対移動被誘導部と
を有し、
上記第2係合部と係合した上記第1係合部を中心に回動し、上記相対移動被誘導部と上記相対移動誘導部との係合位置と、上記第1係合部との間の距離が変化するように、上記相対移動被誘導部が上記相対移動誘導部に誘導され、上記移動枠が上記回転印本体に対して相対移動し、回動可能状態又は回動規制状態とすることを特徴とする回転印。
【請求項12】
上記回転印収納部が1又は複数の第3係合部を有し、
上記回転印収納部に収納され回動可能状態にある上記回転印が、上記各第3係合部と係合して上記回転制御装置から上記回転印体に加えられる回転力による浮き上がりを防止する1又は複数の浮き上がり防止部を有することを特徴とする請求項11に記載の回転印。
【請求項13】
回転印本体との相対移動により回転印内部にある回転印体の回動制限又は回動許容を行う移動枠を有するものであり、上記移動枠又は上記回転印本体に設けられた第1係合部と、上記回転印本体又は上記移動枠に設けられた相対移動被誘導部とを有する回転印を収納する回転印収納部と、
内部時計部の時計情報に基づいて、上記回転印収納部に収納された上記回転印の上記回転印体を回動させて所望の印字部に合わせる回動制御手段と
を備える回転制御装置において、
上記回転印収納部は、
上記第1係合部と係合する第2係合部と、
上記相対移動被誘導部と係合する相対移動誘導部と
を有し、
上記第2係合部と係合した上記第1係合部を中心に回動する上記回転印の上記相対移動被誘導部と上記相対移動誘導部との係合位置と、上記第1係合部との間の距離が変化するように、上記相対移動誘導部が上記相対移動被誘導部を誘導し、上記移動枠を上記回転印本体に対して相対移動させ、上記回転印体を回動可能状態又は回動規制状態とすることを特徴とする回転制御装置。
【請求項14】
上記回転印収納部に収納され回動可能状態にある上記回転印が、上記回転制御装置から上記回転印体に加えられる回転力による浮き上がりを防止する1又は複数の浮き上がり防止部を有するものであり、
上記回転印収納部が、上記1又は複数の浮き上がり防止部と係合する1又は複数の第3係合部を有することを特徴とする請求項13に記載の回転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−136553(P2011−136553A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267086(P2010−267086)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【出願人】(394026116)伊藤電子工業株式会社 (11)