説明

回転可能なU字形の接続路を備えた分配器

分配器(5)は、中心軸(13)から同じ距離にそれぞれ配置された少なくとも2つの排出路(10、16)と、この軸と平行な供給路(11)と、上記軸について回転可能で、上記軸に沿って配置された供給端(12’)、および回転の半径方向に離間して配置され且つ当該分配器部材の回転によりそれぞれの排出路に選択的に流体接続することが可能な排出端(12”)を有する分配器部材(12、17、18)と、を備え、上記液体供給路は、上記中心軸に沿って延び、且つ上記排出路に沿って延び、上記分配器部材は、上記供給端で上記供給路の延長に回転可能に配置され、且つ上記排出端でそれぞれの上記排出路に流体接続できるように配置されたU字形にされた接続路を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
この発明は、中心軸から同じ距離にそれぞれ配置された少なくとも2つの排出路と、この軸と平行な供給路と、上記軸について回転可能で、上記軸に沿って配置された供給端、および回転の半径方向に離間して配置され且つ当該分配器部材の回転によりそれぞれの排出路に選択的に流体接続することが可能な排出端を有する分配器部材と、を備え、上記液体供給路は、上記中心軸に沿って延び、且つ上記排出路に沿って延び、上記分配器部材は、上記供給端で上記供給路の延長に回転可能に配置され、且つ上記排出端でそれぞれの上記排出路に流体接続できるように配置されたU字形にされた接続路を有する分配器に関する。
【0002】
このタイプの装置において、水は、例えば、貯水タンクから加熱装置へ供給され、この加熱装置から暖かい水が分配器へ供給される。この分配器を介して、暖かい水がユーザーへおよび/或いは1つ或いはそれ以上の飲み物作成装置へ供給される。これは、例えば、NL6000164およびNL6000166に開示されている。
【0003】
EP1245013およびP0811345は、重力に基づいて動作し、且つ決められた量の液体を分配するシステムを開示している。このタイプのシステムは、水のような液体を種々の量で分配するのに適していない。さらに、このような公知のシステムは、単に、制限された量の液体を一定時間毎に分配することを許容する。
【0004】
これら公知のシステムの他の欠点は、種々の部分が互いにより多くの或いは少ない固定された位置にいつも配置されなければならないという事実である。このことは、システムを使用可能とするために常に自由の少ない固定された空間を装置に設けることを必要とし;これは装置のデザインの可能性の制約を意味する。上述した全ての装置のための1つの要求は、比較的少ない量の飲み物や水(0.1から0.2リットル)を分配でき、且つ約1.8リットルの液体容器への速やかな分配が可能であることの両方であり、このような制約はハンディキャップである。この場合、しばしば、装置を可能な限りコンパクト(小さく)する必要もあり、多くの場合、このタイプの分配装置は、複数の材料から非常に多くの飲み物を形成できることをあてにされる。
【0005】
10から90秒の比較的短い時間内に約0.15リットルから約1.8リットルの水および種々の材料で形成された複数の飲み物の分配、および非常にコンパクトなデザイン、の要求の組み合わせは、貯水タンクおよびシステムが、十分に大きくなければならず、しかしながら非常にコンパクトに組み立てられなければないことを意味し、装置内の全ての空間が可能な限り効果的に利用される。
【0006】
請求項1の前提部によるところの分配器は、US3,633,621から知られている。公知の気圧スイッチは、選択的に、複数の排出路を、回転可能なU字形にされた接続路を介して、中央供給路へ接続する。この場合、接続路に接続されたノブを手動で回すことにより、複数の流路が切り換えられる。この公知の装置は、電子モーターによる正確な駆動を提供せず、この装置がどのように空間を確保できるのかが明らかではない。
【0007】
このため、この発明の目的は、液体を比較的多い流量で種々の飲み物作成装置、および/或いはユーザーへ供給できる分配器を提供することにある。さらに、比較的小さな寸法を有する分配器を提供すること目的である。
【0008】
また、この発明の目的は、多くの水を種々の飲み物作成装置、および/或いはユーザーへ自動的且つ正確に供給できる分配器を提供することにある。
【0009】
この目的のため、この発明によるところの分配器は、U字形にされた接続路が、中心軸の延長にある長手軸を有する円筒形の駆動壁へ固定されていることを特徴とし、この駆動壁が、U字形にされた接続路の回転のための駆動部材に作用する歯をその上端側に備えている。
【0010】
供給路が複数の排出路に沿って延びている事実の結果として、分配器の寸法が制限される。また、接続路のU形の結果として、液体が、複数の排出路のエッジから流れたり噴出したりできることなく、比較的高速で供給路から離れて複数の排出路に向かう方向に指向される。この結果、分配器を通して、非常に多数の排出路の1つへ、比較的多量の液体を供給できる。
【0011】
U字形にされた接続路が、中心軸の延長にある長手軸を有するとともに当該接続路の回転のための駆動部材に作用する歯をその上端側に備えている円筒形の駆動壁へ固定されている事実に基づいて、分配器の幅寸法が、駆動壁の上端側に歯を設けた結果として、小さくされることができる。この駆動部材は、駆動壁を回転させるため、電気モーターによって駆動されて駆動壁の垂直に向けられた歯に作用するウォーム歯車を有することができる。
【0012】
上記U字形にされた接続路は、この接続路の周囲の壁を通って当該接続路内への流れの方向に延びた通気路を、その上端側に近接して備えている。流入する水は、接続路内における流れの方向に部分的に延びた通気路に沿って通ることができ、上昇する空気や蒸気は、U字形にされた接続路の上端側に集められることができ、通気装置或いは大気中に通気開口を介して排出される。
【0013】
さらなる実施例において、U字形にされた接続路は、その上端側に近接して環状の軸受壁を備え、この軸受壁は、U字形にされた接続路の外壁にある通気開口を囲んで延び、且つ該壁内へ届くカムに作用し或いは当該分配器のカバーキャップ内の開口内へ突出する。軸受壁の結果として、U字形にされた接続路が、一方で供給路と、他方で分配器のカバーキャップと、の間で回転可能に搭載される。下側で、U字形にされた接続路は、供給路の周りの溝内へ落とし込まれる肩部を有する環状の軸受壁を備えることができ、肩部は供給路の端面上に置かれる。このことは、簡単な液密な回転可能な接続路の供給路への接続を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
この発明によるところの分配器のいくつかの実施例は、添付された図面を参照して、例示によりより詳細に説明される。
【図1】図1は、この発明によるところの分配器が適用可能な飲み物分配装置の概略図である。
【図2】図2は、この発明によるところの分配器の垂直線II-IIに沿った断面図である。
【図3】図3は、図2の分配器の線III-IIIに沿った断面図である。
【図4】図4は、図2および図3によるところの分配器の斜視図である。
【図5】図5は、U字形の接続路、駆動壁、歯、および通気開口を備えた分配器ディスクの斜視図である。
【図6】図6は、図5によるところの分配器ディスクを通る断面図である。
【0015】
図1は、貯水タンク2、熱交換器3、ポンプ4、分配器5、および飲み物作成装置6、7を備えた、例えばコーヒーマシーンなどの飲み物分配システム1を示す。貯水タンク2からポンプ4によって水が供給されて、熱交換器3で例えば80℃の温度へ加熱され、分配器5の入口へ供給される。流量は、この場合、0.1リットル/分と0.2リットル/分の間であり、出口8を介してユーザーへ、或いは飲み物作成装置6、7へ、直接的に分配される。飲み物作成装置6、7は、例えば、コーヒー、或いは他の暖かいスープのような飲み物を作成するためのものである。また、この流量は、暖かい水を出口8を介して液体容器へ分配するため、約1.8リットル/分或いはそれ以上であることができる。この高い流量は、所望する場合、飲み物作成装置6、7へ供給することもできる。
【0016】
上記分配器5は、図2に示されるように、中央に置かれて下方に指向された入口11を有し、この入口11を通って下方から、液体、すなわち水が、分配器へ流入する。
【0017】
逆さにされたU字の管状ガイド12が中央入口11に隣接して取り付けられている。U字の一方の脚が入口11に取り付けられ、他方の脚が、分配器の排出路10、16の流出部14、15の一方の上へ、中心軸13の周りを回転されることができる。この分配器は、入口11を中心にして円形に配置された2つから例えば6つの排出路を有することができる。
【0018】
このU字形にされたガイド12は、その上に歯付きリム18を有するプレート17に固定されている。歯付きリム18は、モーター19によって駆動されるウォーム歯車20によって回転される。さらに、検出器用のリム21がプレート17に設けられ、このリムによって、プレート17、すなわちU字ガイド12の流出部が、検出器およびモーター19の電子制御部によって、流出部14、15のちょうど上に配置されることができる。
【0019】
カム25を介して、プレート17は、カバーキャップ27の凹部26で回転可能に支持されている。この凹部26は、そのデザインによって、カバー27においていくらか弾力的に配置されている。凹部26の周りには、蒸気や空気を逃がすことができる複数の開口(図面上では見えない)がある。この目的のため、通気開口がU字形にされたガイド12に形成されることができる。
【0020】
図5および図6において、(ここでは1つの実施例が示されている)水が流れない方法で設けられた通気開口32が、U字形にされたガイド12の曲げ部30の上部に形成されている。これは、水がその移動のイナーシャによって通気開口に沿っておよび通気開口の周りを通るような方法で、通気開口を形成することによって、たやすく可能である。通気開口32の流路は、図2−4によるところの実施例に効果的に適用されることもできる。
【0021】
空気および蒸気は、U字形にされたガイドの丸い流出部と分配装置の流出部との間の空間またはクラックを通って逃げることもできる。後者は、ガイド側で、角のある台形(円形の扇形)の形を有し;さらにそこから離れて、長軸の方向にじょうご形にされた丸い形へ移行する。ユーザー、飲み物作成装置、或いは装置の外への直接的な流出部を介して、液体をガイドする複数本のホースが、排出路10、16へ接続されている。
【0022】
その中にU字形にされたガイド12を含む回転ディスク17は、図5および図6によるところの実施例において、U字の中央脚37のエッジ36の形で旋回軸点/軸受を有する。エッジ36は、入口11の上端側にある溝39内に落とし込まれる。溝39の円周にある一致する段形に対向して、エッジの円周に段上の肩部40を形成することによって、水が肩部に沿って流れて漏れるのに十分な迷路を製造し、いくらかの潤滑油がある場合には適したグリースとして与えられ、動きを容易にして摩耗を減少する。
【0023】
図5および図6によるところの実施例において、下側の軸受構造の同じ中心軸13上の上側に突起35が設けられ、この突起が分配装置の上部カバー27の穴内に落とし込まれ、ディスク17が、所望の動きを妨げることなく、支持される。
【0024】
この突起35は、実施例において中空であることが可能であり、逆U字12の通気開口32の排出口を形成することができる。そして、上部カバー27の凹部は、欧州特許1462040に開示されているように、ホースによって通気システムへ接続されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(13)から同じ距離にそれぞれ配置された少なくとも2つの排出路(10、16)と、
この軸と平行な供給路(11)と、
上記軸について回転可能で、上記軸に沿って配置された供給端(12’)、および回転の半径方向に離間して配置され且つ当該分配器部材(12、17、18)の回転によりそれぞれの排出路(10、16)に選択的に流体接続することが可能な排出端(12”)を有する分配器部材(12、17、18)と、を備えた分配器(5)であって、
上記液体供給路(11)は、上記中心軸(13)に沿って延び、且つ上記排出路(10、16)に沿って延び、
上記分配器部材は、上記供給端(12’)で上記供給路(11)の延長に回転可能に配置され、且つ上記排出端(12”)でそれぞれの上記排出路(10、16)に流体接続できるように配置されたU字形にされた接続路(12)を有し、
上記U字形にされた接続路(12)は、上記中心軸(13)の延長にある長手軸を有する円筒形の駆動壁(18)に固定され、この駆動壁は、上記U字形にされた接続路の回転のため駆動部材(19、20)に作用する歯を上端側に沿って備えていることを特徴とする分配器。
【請求項2】
上記U字形にされた接続路(12)は、上記中心軸(13)に沿って設けられたカム(25)を介して、カバーキャップ(27)の弾性凹部(26)に接続されている、請求項1によるところの分配器(5)。
【請求項3】
上記U字形にされた接続路(12)は、この接続路(12)の周囲の壁を通って上記U字形にされた接続路(12)内への流れの方向に延びた通気路(32)を、その上端側に近接して備えている、請求項1或いは請求項2によるところの分配器(5)。
【請求項4】
上記U字形にされた接続路は、その上端側に近接して環状の軸受壁(35)を備え、この軸受壁は、上記U字形にされた接続路(12)の外壁にある上記通気開口を囲んで延び、且つ該壁(35)内へ届くカムに作用し或いは当該分配器(5)のカバーキャップ(27)内の開口内へ突出する、請求項3によるところの分配器(5)。
【請求項5】
U字形にされた接続路(12)は、上記供給路(11)を囲む溝(39)内に落とし込まれる肩部(40)を有する環状の軸受壁(36)を備えている、請求項1乃至請求項4のいずれか1項によるところの分配器(5)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−519789(P2011−519789A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508431(P2011−508431)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050240
【国際公開番号】WO2009/136785
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(508122091)ブレイビロア・ホールディング・ビー.ブイ. (9)
【氏名又は名称原語表記】Bravilor Holding B.V.
【住所又は居所原語表記】Pascalstraat 20, NL−1704 RD Heerhugowaard, the Netherlands
【Fターム(参考)】