説明

回転機の巻線診断システム

【課題】回転子が取り付けられた状態の回転機の固定子巻線の良否を診断できる回転機の巻線診断システムを提供する。
【解決手段】同じ型番で正常な回転機を複数台準備して、回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対してインパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、インパルス電圧発生回路と固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたときの乗算値であるLCとRCを算出して、複数個のLCとRCの値を2次元分布したときに得られる直線の傾きや切片を記憶しておくメモリと、診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られるLCとRCの点と、メモリに記憶されている直線との距離を算出して、その値に基づいて固定子巻線の良否を診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機もしくは発電機などの回転機の巻線診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、巻線の良否を診断する手法としては、巻線の両端にインパルス電圧を印加して、そのとき巻線両端で観測される電圧波形が巻線正常時と異常時とで変わることに着目し、ある時間区間でそれらの波形のずれた部分の面積値を求めて良否判定を行うものが提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】 株式会社電子制御国際 インパルス巻線試験機DXW−01,05 取扱説明書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非特許文献1に開示されている手法(以下、従来手法と呼ぶ)は、巻線そのものの良否判定は可能であるが、固定子に回転子が取り付けられた状態の完成体としての電動機に対しては、その固定子巻線の良否を正しく判定をすることはできないものであった。
これは固定子巻線の状態に変化が見られない場合であっても、回転子の位置が変わることで電動機の内部特性が変化し、その結果として、インパルス電圧を印加した時に固定子巻線の両端で観測される電圧波形も変化するためである。
つまり、従来手法を用いて電動機の固定子巻線の良否を診断する場合には、電動機から回転子を取り外して固定子巻線のみの状態にする必要があるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、回転機から回転子を取り外すことなく、回転子が取り付けられた状態の回転機の固定子巻線の良否を診断できる回転機の巻線診断システムの提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の回転機の巻線診断システムは、
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で正常な回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、そのとき得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに得られる直線の傾きや切片を求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている直線との距離を算出して、その値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の回転機の巻線診断システムでは、回転子が取り付けられた状態の電動機もしくは発電機などの回転機において、その回転子を取り外すなどの解体作業を必要とせず、固定子巻線の良否を診断することができ、保守・メンテナンス時の作業効率が格段に上がる。
【0007】
また、本発明の別の回転機の巻線診断システムは、
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で異常がある回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、そのとき得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに得られる直線の傾きや切片を求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている直線との距離を算出して、その値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを要旨とする。
こうすれば、回転子を取り外すなどの解体作業を必要とせず、固定子巻線の良否を診断することができる。
【0008】
また、本発明の別の回転機の巻線診断システムは、
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で正常な回転機と異常がある回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、正常な回転機と異常がある回転機のそれぞれから得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに、正常な回転機と異常がある回転機から得られるそれぞれの直線の傾きや切片を求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている正常な回転機と異常がある回転機から得られるそれぞれの直線との距離を算出して、その値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを要旨とする。
こうすれば、回転子を取り外すなどの解体作業を必要とせず、固定子巻線の良否を診断することができる。
【0009】
また、本発明の別の回転機の巻線診断システムは、
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で正常な回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、そのとき得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに得られる直線の傾きを求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている直線の傾きを用いてその直線の切片を算出して、その切片の値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを要旨とする。
こうすれば、回転子を取り外すなどの解体作業を必要とせず、固定子巻線の良否を診断することができる。
【0010】
また、本発明の回転機の巻線診断システムにおいて、前記特徴量を、抵抗R、インダクタンスL、キャパシタンスCの乗算値であるLCとRCとすることもできる。
こうすれば、直線の傾きや切片を容易に算出できる。
【0011】
また、本発明の回転機の巻線診断システムにおいて、前記LCおよびRCを求める際に用いる電圧としては、電圧値が最小となる時やゼロクロス時といった特徴的な時刻をサンプリング開始として、一周期あたり10点以上の電圧値をサンプリングするとともに、LCおよびRCを求めるために使用する電圧値の時間区間を電圧波形の半周期以上とすることもできる。
こうすれば、正確なLCおよびRCを求めることができる。
【0012】
また、本発明の回転機の巻線診断システムにおいて、前記診断情報記憶部において、正常状態の回転機からLCとRCが分布する直線の傾きと切片を求める場合に、LCとRCの値がおおよそ最大、最小となる点を2つだけ求め、その2点を通る直線がLCとRCが分布する直線とみなして直線の傾きや切片を求め記憶しておくものとすることもできる。
こうすれば、LCとRCが分布する直線の傾きや切片を容易に算出できる。
【0013】
また、回転子の位置を複数通り作り出す手段として、別の回転位置制御用電動機を備え、該回転位置制御用電動機と前記回転機の回転子とをベルトやギアでつなぎ、コンピュータで前記回転位置制御用電動機の回転位置を制御できるように構成することもできる。
こうすれば、前記回転機の回転子の位置を、容易かつ正確に複数通り作り出すことができる。
【0014】
また、本発明の回転機の巻線診断システムにおいて、
前記インパルス電圧発生回路は、直流電圧とコンデンサとスイッチを備えて構成され、前記直流電圧は100V以下の低電圧を用いることもできる。
こうすれば、直流電圧を低圧化することで、コンデンサを耐圧の低い部品に変更することができ、インパルス電圧発生回路を小型化かつ安価に仕上げることが可能となる。また、巻線診断の際に低圧のインパルス電圧を使用することで、巻線診断作業を行う者の感電の危険性を減らすことができる。さらに、巻線に印加するインパルス電圧自身により、診断対象とする巻線の絶縁を破壊する心配がない。
【0015】
また、本発明の回転機の巻線診断システムにおいて、
前記スイッチとして、FETやCMOS、サイリスタなどの高速スイッチング可能な半導体を用いることもできる。
こうすれば、スイッチとして半導体を用いることで、高速な切り替えが可能となり、機械式スイッチを用いた場合に見られるように、スイッチの接点が切り替わった際に、微細で非常に早い機械的振動によって電気信号が断続を繰り返すチャタリングといった問題も取り除くことができる。
【0016】
また、本発明の回転機の巻線診断システムにおいて、前記回転機が、自動車や電車のような移動体に搭載されている電動機もしくは発電機であり、該電動機もしくは発電機が一時停止している状態、もしくはその移動体を始動させるためにエンジンをかける時や電源投入時において、前記回転機の固定子巻線の良否を診断するものとすることもできる。
こうすれば、自動車や電車のような移動体に搭載されている電動機もしくは発電機を解体することなく、その固定子巻線の良否を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 回転機の巻線診断システムの構成を示したブロック系統図である。
【図2】 固定子巻線に対してインパルス電圧を印加した場合の固定子巻線の両端に観測される電圧波形図である。
【図3】 正常な固定子巻線のU−V間の電圧波形から得られたLCとRCの分布図である。
【図4】 正常な固定子巻線のV−W間の電圧波形から得られたLCとRCの分布図である。
【図5】 正常な固定子巻線のW−U間の電圧波形から得られたLCとRCの分布図である。
【図6】 1ターン短絡時の固定子巻線のU−V間とV−W間の電圧波形から得られたLCとRCの分布図である。
【図7】 任意の回転子の位置に対する診断結果(U−V間)(固定子巻線は正常)図である。
【図8】 任意の回転子の位置に対する診断結果(V−W間)(固定子巻線は正常)図である。
【図9】 任意の回転子の位置に対する診断結果(W−U間)(固定子巻線は正常)図である。
【図10】 任意の回転子の位置に対する診断結果(U−V間)(固定子巻線のW相に1ターン短絡あり)図である。
【図11】 任意の回転子の位置に対する診断結果(V−W間)(固定子巻線のW相に1ターン短絡あり)図である。
【図12】 任意の回転子の位置に対する診断結果(W−U間)(固定子巻線のW相に1ターン短絡あり)図である。
【図13】 正常な固定子巻線の電圧波形から得られたLCとRCの分布から求めた直線の図である。
【図14】 D点と直線との距離dのイメージ図である。
【図15】 回転位置の決め方の例を示す配置構成図である。
【図16】 LCおよびRCを求めるための電圧のサンプリング図である。
【図17】 正常時と異常時から得られた直線を用いた診断例の図である。
【図18】 異常時から得られた直線を用いた診断例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず先に、本発明の理論を説明する。
回転子が取り付けられた回転機において、その固定子の巻線に対してインパルス電圧発生回路からインパルス電圧を印加した場合、その巻線の両端では図2のような減衰振動波形が観測される。この巻線両端の電圧をν(n)(ただしnはサンプリング数)とする。この電圧値ν(n)を一定の時間間隔でサンプリングして計測する。
図2では、サンプリングする電圧値ν(n)のイメージを●印で示している。
【0019】
回転機は回転子の位置によりその内部特性が変化するが、この回転子が取り付けられた状態での固定子巻線とインパルス電圧発生回路から構成される回路の等価回路定数のレジスタンスをR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとし、この固定子巻線とインパルス電圧発生回路から構成される回路をRLCの直列回路と見なすと、この固定子巻線とインパルス電圧発生回路から構成される回路の各等価回路定数の乗算値LCおよびRCは、擬似逆行列を用いて(1)式のように求めることができる。

ここで

である。また(1)式においてTは転置行列を表す。
【0020】
なお、LCおよびRCを求める際に用いる電圧としては、電圧値が最小となる時や、ゼロクロス時といった特徴的な時刻をサンプリング開始の基準とする。また、LCおよびRCを求める際には、ある時間区間の電圧値が必要となるが、この時間区間を電圧波形の半周期以上とする。また一周期あたり、10点以上の電圧値を用いる。
図16では、電圧値が最小となるときの時刻をサンプリング開始として、一周期あたり10点の電圧値をサンプリングする。そして、LCおよびRCを求めるために使用する電圧値の時間区間として二周期分を用いた例を示している。
【0021】
この回路の各等価回路定数の乗算値LCおよびRCを特徴量と見なして、これらの値を用いて回転子が取り付けられた状態の回転機内部の固定子巻線の診断を行う方法について説明する。
ここでは、回転機として三相交流電動機を用いて説明する。
まず、固定子巻線が正常な電動機について考える。
この電動機の回転子が任意の位置で停止した状態において、ある相間(例えばU−V間)の固定子巻線にインパルス電圧を印加して、そのときの巻線両端の電圧を観測する。その電圧波形に対して、(1)式によりLCとRCを求める。
【0022】
次に、この電動機において回転子を回転させて適当な位置で停止させた状態に対して、上記と同じインパルス電圧を印加して、そのときの電圧波形を観測し、LCおよびRCを算出する。
これを複数通りの回転子の位置に対して実行し、その都度、LCおよびRCを算出する。
さらに、残りの相間(V−W間とW−U間)に対しても同様に行う。
【0023】
このときの結果を図3〜図5にそれぞれ示す。
ここでは回転子の位置を160通り設定し、それぞれの位置に対してLCおよびRCを算出している。
回転子の位置により観測される電圧波形は様々であるため、それによって(1)式で求められるLCとRC値も様々な値を取るが、横軸にLC、縦軸にRCとして2次元プロットすると、それらの点は全体的にはある直線上に分布することが分かる。そして、この直線の傾きと切片は、各相間U−V間、V−W間、W−U間でほぼ一致していることが分かる。
また、同じ型番で別の電動機を用いて同様に試験した場合であっても、その直線の傾きと切片はほぼ同じになる。
【0024】
一方、上記と同じ型番の電動機において、その固定子巻線のW相に1ターン分の短絡が発生したものを準備して、上記と同様の試験を実施する。
そのとき各相間の巻線から得られたLCとRCの値の分布を図6に示す。
ここでも回転子の位置を160通り設定し、それぞれの位置に対してLCおよびRCを算出している。ここでは煩雑になるのを避けるために、U−V間とV−W間のみの分布を示す。
U−V間の巻線は正常であるため、その直線は、固定子巻線が正常時に得られる直線とほぼ一致するが、短絡相を含むV−W間では、直線の傾きはほぼ一致しているが、切片が明らかに異なることが分かる。また、W−U間はV−W間の分布とほぼ同じ領域にかたまる傾向にある。この現象を用いて巻線の良否診断を行う。
【0025】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、回転機の巻線診断システム1の構成を示したブロック系統図である。
図1に示すように、端子T1,T2には、例えば電動機の固定子巻線を診断対象とする診断対象巻線2Aと、診断対象巻線2Aを診断する場合に必要な診断情報を求めるときに用いられる試験用巻線2Bが接続される。なお、診断対象巻線2Aと試験用巻線2Bは同特性に製作されている。
さらに図1では、診断対象巻線2Aと試験用巻線2Bは「巻線」として表現されているが、回転子が付いた状態での電動機の固定子巻線を意味する。
また、端子T1,T2に接続された診断対象巻線2Aまたは試験用巻線2Bに対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路3が設けられている。インパルス電圧発生回路3は、主に直流電圧EとコンデンサC1、スイッチSから成る。
【0026】
最初に、スイッチSを1にしておくことで、コンデンサC1を直流電圧Eで充電する。そして、スイッチSを1から2に切り替えることで、コンデンサC1に蓄えられた電荷を放電させ、急峻な電圧を巻線に印加する仕組みとなっている。
直流電圧Eの電圧としては、100V以下の低電圧を用いる。直流電圧Eを低圧化することで、コンデンサC1を耐圧の低い部品に変更することができるなど、結果的にインパルス電圧発生回路3の全体を小型化かつ安価に仕上げることが可能となる。また、巻線診断の際に低圧のインパルス電圧を使用することで、巻線診断作業を行う者の感電の危険性を減らすことができる。さらに、巻線に印加するインパルス電圧自身により、診断対象とする巻線の絶縁を破壊する心配がないといったいくつかの利点が出てくる。
【0027】
今回の実施の形態では、巻線両端で観測される電圧のピーク値が50Vとなるような低圧の直流電圧Eを使用する。
スイッチSとしては、FETやCMOS、サイリスタなどの高速スイッチング可能な半導体を用いる。
スイッチSとして半導体を用いることで、高速な切り替えが可能となり、機械式スイッチを用いた場合に見られるように、スイッチの接点が切り替わった際に、微細で非常に早い機械的振動によって電気信号が断続を繰り返すチャタリングといった問題も取り除くことができる。
【0028】
さらに、診断対象巻線2A,試験用巻線2Bにインパルス電圧発生回路3から所定特性のインパルス電圧が印加された場合に、診断対象巻線2A,試験用巻線2Bの両端の電圧を計測する電圧計測部4が設けられている。
上記電圧計測部4で計測される電圧はアナログ値であるため、そのアナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換回路5が設けられており、A/D変換回路5から出力されたデジタル信号は診断部7に出力される。
【0029】
巻線の良否診断を行う前の診断情報記憶部(メモリ6)について説明する。
ここでは同じ型番の正常な電動機(試験用巻線2B)を複数台準備して、電動機毎に回転子が様々な位置で停止している時に、端子間の固定子巻線にインパルス電圧を印加して、そのとき観測される電圧波形からLCとRCを算出しておく。そして、LCとRCが分布する直線の傾きと切片を求めて記憶させておく。この傾きと切片は、最小二乗法などを用いることで、簡単に求めることができる。
また、この直線の傾きや切片を求める演算は、診断部7で実行して求めても良いが、外部のPCを用いて求めても良い。
電動機が正常時にLCとRCが分布する直線の傾きや切片は、診断時にこの直線と診断対象電動機から得られるLCとRCの点との距離を求める際のプログラム中に書き込んでおいても良い。
【0030】
次に、診断部7について説明する。
診断部7では、同じ型番で任意の位置で停止した診断対象の電動機(診断対象巻線2A)に対して、その相間(U−V間、V−W間、W−U間)にそれぞれ順番にインパルス電圧を印加して、そのときの電圧波形から得られたLCとRCの値と、上記診断情報記憶部(メモリ6)に事前に記憶させておいた直線との距離を求める。そして、この距離の値に対して閾値を設けるなどして良否を判定する。
診断部7は、上記のように診断対象巻線2Aを診断した結果を、表示部8に表示させる。これにより、診断担当者は、診断対象巻線2Aの状態を容易に認識することができる。また、診断結果を記録することができる。
【0031】
また、良否の判定としては、閾値設定の他に次のようなものもある。
診断対象とする電動機において、ある相間(例えば、U−V間)の固定子巻線に対してインパルス電圧を印加して、LCとRCの値を求め、その点と事前に診断情報記憶部(メモリ6)に記憶させておいた直線との距離を求める。それを残りの相間(V−W間、W−U間)に対しても順番に行う。そして、得られた3つの距離のうち、1つだけが他の2つの値と比較して明らかに小さい場合には、その小さい値の相は正常な巻線で、残りの相が短絡と診断しても良い。
【0032】
例えば、U−V間から得られた特徴量と直線との距離が約0.1で、V−W間、W−U間から得られた特徴量と直線との距離が約1.0であったとすると、その場合は、U−V間は健全相となり、V−W間とW−U間のどちらにも含まれる相、すなわちW相が短絡、もしくは何らかの異常があると判定することができる。
また、正常状態の電動機からLCとRCが分布する直線の傾きと切片を求めておく場合には、LCとRCの値がおおよそ最大、最小となる点を2つだけ求め、その2点を通る直線がLCとRCが分布する直線とみなしても良い。
【0033】
実施例について、実際の試験結果を用いて詳しく説明する。
今回の試験には、三相誘導電動機(定格出力2.2kW、定格電流200V、定格電流8.6A、4極)の固定子巻線を試料として用いる。この誘導電動機の固定子のスロットは36個、巻線はダブル・スター結線である、1スロットあたり45本のコイルが挿入されている。
【0034】
この電動機において、回転子を複数回、任意の位置にした状態で、それぞれの位置の状態に対して、相間の固定子巻線にインパルス電圧を印加したときに得られるLCとRCの直線の傾きと切片を最小二乗法により求めると、傾きが0.79、切片が−1.79と求まる。
つまり、LCをx軸、RCをy軸にとると、

と表わすことができる。
ここで(2)式はU−V、V−W、W−U間のLCおよびRCの分布から求めた直線であり、その直線を図13に点線で示す。
また、(2)式では、直線の式を簡単にするために、LCの値を10倍、RCの値を10倍して計算している。
【0035】
次に、診断を行う。
いま、診断対象とする電動機のある相間の固定子巻線から得られたLCとRCの2次元

公式

で求められる。

できる。

10倍、10倍する。
また、D点と(2)式との距離dのイメージ図を図14に示す。
【0036】
診断結果について具体的なデータを用いて説明する。
上記と同じ型番で正常な電動機を準備して、これを診断対象の電動機とする。この電動機において、回転子が任意の位置で停止した状態で、ある相間(例えば、U−V間)の固定子巻線に同特性のインパルス電圧を印加し、そのとき観測される電圧波形からLCとRCの値を求める。そして、この点と(2)式で表わされる直線との距離を算出する。残りの相間(例えば、V−W間、W−U間)に対しても同様にインパルス電圧を印加し、そのとき得られるLCとRCの値を求め、その点と(2)式で表わされる直線との距離を求める。
【0037】
今回は、回転子を様々な位置で停止した状態を160回以上再現し、それぞれの回転子の位置に対して、各端子間から得られるLCとRCの点と(2)式で表わされる直線との距離を求める試験を行う。
【0038】
U−V間、V−W間、W−U間の巻線に対する結果をそれぞれ図7〜図9に示す。
各図とも横軸は試験回数、縦軸は(2)式の直線との距離を表す。
この結果から分かるように、各相間の巻線から得られる特徴量の点と直線との距離は、回転子の停止位置によらず、どの相間の巻線も同じような値であり、さらにゼロに近いことが分かる。
【0039】
次に、同じ型番の電動機の固定子巻線のW相に1ターン短絡が発生していたものを準備して、これを診断対象電動機として、上記と同じことを行う。
そのときの各相間の巻線に対する結果をそれぞれ図10〜図12に示す。
健全相であるU−V間の巻線に対して得られるLCとRCの点と直線の距離は、回転子がどの位置で停止していても、ほぼゼロに近い。その一方で、短絡相を含むV−W間や、W−U間の巻線に対して各試験時に得られるLCとRCの点の距離は、U−V間の値よりも明らかに大きくなることが分かる。そこで、閾値の値を、例えば0.3と設定し、距離が0.3未満なら正常、0.3以上だと短絡等の異常とすることで、巻線の良否を判定することができる。また、V−W間とW−U間の距離は、ほぼ同じ値となる。このことから、V−W間とW−U間のどちらにも含まれる相のW相に短絡などの異常が発生したと判定することができる。
【0040】
これまでの実施の形態では、特徴量分布から得られる直線と診断対象巻線から得られる特徴量の点との距離を計算して求めるものであった。この変形例として、次のような判定手法でも良い。
これまでの実施の形態では、直線として傾きと切片を同時に求めておいた。ここでは直線の傾きだけを事前に求めておき、診断情報記憶部に記憶させておく。
ここでは、図13を用いて求めた傾きの値を用いて説明する。いま、特徴量分布から得られる直線の切片をbとすると、

と表わすことができる。

値を設けることで、巻線の良否を診断しても良い。
【0041】
具体的なデータを用いて説明する。
診断対象巻線が正常なときの回転子の位置を5通りに設定したときの切片bの値と、診断対象巻線に短絡が生じているときの回転子の位置を5通りに設定したときの切片bの値とを表1に示す。
このように巻線正常時と異常時とでは、切片の値が異なる。この切片bの値に対して閾値を、例えば−1.2と設け、切片が−1.2未満だと正常、−1.2以上だと短絡等の異常とすることで、巻線の良否判定を行うことができる。
【0042】
【表1】

【0043】
これまでに説明した実施の形態では、巻線正常時に得られる特徴量分布の直線と、診断時に得られるD点との距離を求めて、その距離の値に基づいて巻線の良否判定を行う実施例を示した。つまり、試験用巻線2Bとして、正常な巻線を用いた。
別の実施例として、試験用巻線2Bとして正常な巻線だけでなく、異常のある巻線も用いる例を述べる。
【0044】
図17に示すように、巻線正常時に得られる特徴量分布の直線(直線1)と同様に、短絡等の異常時に得られる特徴量分布の直線(直線2)も予め求めておく。そして、診断時に診断対象とする巻線から得られる特徴量の点(D点)と、上記正常時の直線1と短絡時の直線2とのそれぞれの距離dと距離dを求め、距離が近い方の直線の状態を診断対象巻線の状態と判定することもできる。
図17の例では、距離dの方が距離dよりも近いので、この診断巻線は正常であると判定する。
【0045】
試験用巻線2Bとして、異常のある巻線を用いる別の実施例について説明する。
異常のある巻線を用いて、図18に示すように、短絡等の異常時に得られる特徴量分布の直線(直線2)を予め求めておく。そして、診断時に診断対象とする巻線から得られる特徴量の点(D点)と、上記直線2との距離を求め、その値に基づいて巻線の良否判定を行うこともできる。
【0046】
なお、自動車や電車のような移動体に搭載されている電動機もしくは発電機に対して、その電動機もしくは発電機が一時停止している状態、もしくはその移動体を始動させるためにエンジンをかける時や電源投入時において、本発明の回転機の巻線診断システムを用いることで、電動機や発電機の巻線の良否を診断することができる。
【0047】
また、前記回転機(試験用巻線2B)において、様々な回転子の位置を作り出して直線の傾きや切片を求める際に、例えば図15に配置構成図で示すように、別電動機9を準備して(ここでは便宜上、回転位置制御用電動機と呼ぶ)、この回転位置制御用電動機9と前記回転機(試験用巻線2B)の回転子をベルトやギアでつなぐ。そして回転位置制御用電動機9の回転位置をコンピュータ10で制御することで、前記回転機(試験用巻線2B)の回転子の様々な回転位置を作り出しても良い。
こうすることで、前記回転機(試験用巻線2B)の回転子のあらゆる回転位置を正確に作り出すことができるようになる。
【符号の説明】
【0048】
1 回転機の巻線診断システム
2A 診断対象巻線
2B 試験用巻線
3 インパルス電圧発生回路
4 電圧計測部
5 A/D変換回路
6 診断情報記憶部(メモリ)
7 診断部
8 表示部
9 回転位置制御用電動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で正常な回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、そのとき得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに得られる直線の傾きや切片を求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている直線との距離を算出して、その値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを特徴とする回転機の巻線診断システム。
【請求項2】
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で異常がある回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、そのとき得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに得られる直線の傾きや切片を求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている直線との距離を算出して、その値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを特徴とする回転機の巻線診断システム。
【請求項3】
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で正常な回転機と異常がある回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、正常な回転機と異常がある回転機のそれぞれから得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに、正常な回転機と異常がある回転機から得られるそれぞれの直線の傾きや切片を求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている正常な回転機と異常がある回転機から得られるそれぞれの直線との距離を算出して、その値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを特徴とする回転機の巻線診断システム。
【請求項4】
電動機もしくは発電機などの回転機の固定子巻線に対して所定特性のインパルス電圧を印加するインパルス電圧発生回路と、
前記回転機の固定子巻線に対して前記所定特性のインパルス電圧が印加された場合に当該固定子巻線の両端の電圧を計測する電圧計測手段と、
同じ型番で正常な回転機を複数台準備して、それぞれの回転機において回転子の位置を複数通り作り出した状態のそれぞれの位置の状態に対して前記インパルス電圧を各相間の固定子巻線に印加して、そのとき観測される電圧波形から、前記インパルス電圧発生回路と回転子の位置によりその回転機の特性が変化する前記固定子巻線から構成される回路の等価回路定数の抵抗をR、インダクタンスをL、キャパシタンスをCとしたとき、それらを用いた特徴量を算出して、そのとき得られる複数個の特徴量の値を2次元分布したときに得られる直線の傾きを求めて記憶しておく診断情報記憶部と、
診断時には、前記回転機と同じ型番の回転機において、前記インパルス電圧と同じインパルス電圧を印加して、そのとき得られる特徴量の点と、前記診断情報記憶部に記憶されている直線の傾きを用いてその直線の切片を算出して、その切片の値に基づいて固定子巻線の良否を診断する診断手段と、
を備えたことを特徴とする回転機の巻線診断システム。
【請求項5】
前記特徴量を、抵抗R、インダクタンスL、キャパシタンスCの乗算値であるLCとRCとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4何れかに記載の回転機の巻線診断システム。
【請求項6】
前記LCおよびRCを求める際に用いる電圧としては、電圧値が最小となる時やゼロクロス時といった特徴的な時刻をサンプリング開始として、一周期あたり10点以上の電圧値をサンプリングするとともに、LCおよびRCを求めるために使用する電圧値の時間区間を電圧波形の半周期以上とする
ことを特徴とする請求項5に記載の回転機の巻線診断システム。
【請求項7】
前記診断情報記憶部において、回転機からLCとRCが分布する直線の傾きと切片を求めておく場合に、LCとRCの値がおおよそ最大、最小となる点を2つだけ求め、その2点を通る直線がLCとRCが分布する直線とみなして直線の傾きや切片を求め記憶しておく
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の回転機の巻線診断システム。
【請求項8】
回転子の位置を複数通り作り出す手段として、別の回転位置制御用電動機を備え、該回転位置制御用電動機と前記回転機の回転子とをベルトやギアでつなぎ、コンピュータで前記回転位置制御用電動機の回転位置を制御できるように構成した
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4何れかに記載の回転機の巻線診断システム。
【請求項9】
前記インパルス電圧発生回路は、直流電圧とコンデンサとスイッチを備えて構成され、前記直流電圧は100V以下の低電圧を用いる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4何れかに記載の回転機の巻線診断システム。
【請求項10】
前記スイッチとして、FETやCMOS、サイリスタなどの高速スイッチング可能な半導体を用いることを特徴とする請求項9に記載の回転機の巻線診断システム。
【請求項11】
前記回転機が、自動車や電車のような移動体に搭載されている電動機もしくは発電機であり、該電動機もしくは発電機が一時停止している状態、もしくはその移動体を始動させるためにエンジンをかける時や電源投入時において、前記回転機の固定子巻線の良否を診断する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10何れかに記載の回転機の巻線診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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