回転機構、ドライブ・ベイ、筐体、電子機器
【課題】回転機構の回転軌道を小さくする。
【解決手段】固定部12と固定部に対して回転移動する移動部16を有する回転機構であって、固定部に設けられた第1案内部13と、移動部に固定されるとともに、第1案内部に倣って移動可能に嵌合された軸ピン17と、を有し、第1案内部の領域内において軸ピンの位置を移動させながら、軸ピンを中心に移動部を回転移動する。
【解決手段】固定部12と固定部に対して回転移動する移動部16を有する回転機構であって、固定部に設けられた第1案内部13と、移動部に固定されるとともに、第1案内部に倣って移動可能に嵌合された軸ピン17と、を有し、第1案内部の領域内において軸ピンの位置を移動させながら、軸ピンを中心に移動部を回転移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機構、ドライブ・ベイ、筐体、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、記録媒体を含むドライブ装置など、コンピュータ本体に内蔵する周辺機器を取り付けるために設けられたドライブ・ベイは、ドライブ装置などを収納するケース本体と、ドライブ装置を抜き差し可能とするための回転機構等を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−47019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の回転機構では、回転軸が固定されているため、コンピュータ内部の他の複数の部品や装置の配置によっては、ドライブ・ベイが回転動作の際に、ドライブ・ベイが他の部品等に接触や衝突してしまう、という課題があった。そのため、さらに、回転軌道を小さくする回転機構が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる回転機構は、固定部と前記固定部に対して回転移動する移動部を有する回転機構であって、前記固定部に設けられた第1案内部と、前記移動部に固定されるとともに、前記第1案内部に倣って移動可能に嵌合された軸ピンと、を有し、前記第1案内部の領域内において前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部を回転移動することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、固定部に対して移動部が回転移動する際、軸ピンが第1案内部の領域において移動するので、軸ピンの移動地点ごとに移動部の回転軌道を異ならせることができる。従って、例えば、所望の位置に軸ピンを移動させながら移動部を回転させることにより、移動部の回転軌道を小さくさせることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる回転機構では、前記移動部が回転移動を開始する前における前記軸ピンの第1の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部のある基準点との距離を基準距離として定めた場合に、前記移動部が回転移動を開始した後における前記軸ピンの第2の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部の前記ある基準点との距離が、前記基準距離よりも長くなる方向に前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部が回転移動してもよい。
【0009】
この構成によれば、移動部が回転移動を開始する前における軸ピンと移動部のある基準点を結ぶ基準距離に対して、移動部を回転移動させたときに、軸ピンと移動部のある基準点との距離が基準距離よりも長くなる方向に軸ピンを移動させる。すなわち、軸ピンを移動させた分だけ移動部の回転移動における回転軌道の曲率を大きくすることで、移動部を小回りに回転させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる回転機構において、前記第1案内部は、直方形状を有し、前記軸ピンは、前記直方形状を有する第1案内部に倣って直線移動することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、軸ピンは第1案内部に倣って略直線的に移動することができる。すなわち、軸ピンの移動が容易である。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる回転機構において、前記第1案内部は、雲形形状を有し、前記軸ピンは、前記雲形形状を有する第1案内部に倣って曲線移動させてもよい。
【0013】
このような構成によれば、軸ピンは第1案内部に倣って曲線を描くように移動することで、さらに移動部の回転軌道を小さくすることもできる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる回転機構は、前記固定部に設けられた第2案内部と、前記移動部に固定されるとともに、前記第2案内部に嵌合されたガイドピンと、をさらに設け、前記移動部は、前記第1案内部の領域内において前記軸ピンを移動させながら、かつ、前記ガイドピンを前記第2案内部に倣って移動させながら、前記軸ピンを中心に回転移動させてもよい。
【0015】
このような構成によれば、第2案内部とガイドピンを設けたことにより、軸ピンの第1案内部における移動範囲と移動部の回転移動の軌道を規制することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる回転機構の第2案内部は、複数の曲率を有していることが好ましい。
【0017】
これによれば、移動部の回転軌道を任意に規制することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例にかかる回転機構において、前記第1案内部は、貫通孔を有する第1案内溝であり、前記第2案内部は、貫通孔を有する第2案内溝であり、前記軸ピンは、前記第1案内溝と嵌め合い、前記ガイドピンは、前記第2案内溝と嵌め合うことが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、軸ピンの移動範囲と移動部の回転移動の軌道を規制することができる。
【0020】
[適用例8]本適用例にかかるドライブ・ベイは、上記の回転機構を備えたことを特徴とする。
【0021】
これによれば、ドライブ・ベイが回転移動する際に、他の部品等との接触や衝突を防止することができる。
【0022】
[適用例9]本適用例にかかる筐体は、上記のドライブ・ベイを備えたことを特徴とする。
【0023】
このような筐体では、上記のドライブ・ベイの回転機構を備えるため、回転移動に伴うスペースを省くことができる。
【0024】
[適用例10]本適用例にかかる電子機器は、上記の筐体を備えたことを特徴とする。
【0025】
このように、ドライブ・ベイを備えた筐体を備えることにより、電子機器内の他の部品等にかかる配置の自由度を高めることができる。この場合における電子機器としては、コンピュータ等が該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、好適な具体例を用いた説明なので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限定されるものではない。また、以下の説明で参照する図は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
【0027】
(電子機器の構成)
まず、電子機器としてのコンピュータの構成について説明する。図1は、コンピュータの構成を示す斜視図である。コンピュータ1は、筐体2を備え、筐体2の内部に種々の装置や部材が配置されている。筐体2は、略直方体形状を有している。また、剛性を確保するために、筐体2の外枠部にはフレーム3を備えている。なお、図1においては、コンピュータ1の内部の構成が見えているが、通常の使用時においては、外的保護のため、図示しない蓋材で側面全体を覆っている。
【0028】
コンピュータ1の筐体2の内部には、電源装置4、中央処理装置5、放熱性部材(本実施形態では、ヒートシンク)6、各種スロット部材7、ドライブ・ベイ10、ドライブ・ベイ10を支持する支持体8等が配置され、さらに、図示しない配線部材等が配置されている。なお、ドライブ・ベイ10は、筐体2の内部の端部に配置されている。
【0029】
図2は、ドライブ・ベイ10を回転移動して開放状態となった様子を示す斜視図である。ドライブ・ベイ10は、ハードディスクドライブやCD−ROMドライブ(ドライブ装置)など、コンピュータ1に内蔵する周辺機器を取り付けるために設けられた箱型の空間15のことである。本実施形態では、ドライブ・ベイ10にドライブ装置を取り付けたり、取り外したりする際の操作性を容易にするため、ドライブ・ベイ10には回転移動が可能な回転機構9(固定部12、移動部16)が設けられ、当該回転機構9によりドライブ・ベイ10を筐体2の内部に収納する収納状態(図1参照)と筐体2の外部に開放する開放状態にすることができるようになっている。
【0030】
(回転機構の構成)
次に、回転機構の構成について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図3及び図4は、本実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示している。
【0031】
ドライブ・ベイ10は、固定部12と、固定部12に対して回転移動する移動部16を備えた回転機構9を有している。本実施形態では、固定部12は、板状の部材であり、移動部16は、立方体の外形を有し、内部にドライブ装置等を収納するための箱型の空間15を有する。
【0032】
固定部12は、図3(a)に示すように、第1案内部としての第1案内溝13と、第2案内部としての第2案内溝14が設けられている。第1案内溝13は、略直方形状を有した溝(長穴)であり、第1案内溝13の長手方向の両端部には面取りが施されており、全体の形状としては紡錘形あるいはコッペパン形状とも言える。また、第1案内溝13は、移動部16の回転移動を規制する規制領域であり、そのため、移動部16の回転移動の起点となる位置に設けられる。本実施形態では、第1案内溝13は、固定部12の端部に配置されている。また、第1案内溝13の長手方向の端部が、固定部12の外周の一端辺と平行になるように配置されている。
【0033】
第2案内溝14は、移動部16が回転移動する際の回転軌道を規制するための溝であり、所定の曲率を有している。第1案内溝13と第2案内溝14との位置関係は移動部16の回転移動に伴う回転軌道によって規定される。なお、本実施形態では、第1案内溝13と第2案内溝14は、固定部12の板状の部材を貫通する貫通孔である。
【0034】
移動部16は、図3(b)に示すように、2本のピン形状の部材が移動部16の一の外枠の上面に固定されている。さらに詳細には、移動部16の回転移動における回転軸となる軸ピン17と、軸ピン17と所定の距離をおいてガイドピン18が設けられている。ガイドピン18は、移動部16の回転移動の軌道を補助するピンである。また、軸ピン17は、移動部16を回転移動させるための起点となる位置に設けられる。本実施形態では、軸ピン17は、移動部16の端部に配置されている。
【0035】
図4(a)は、上記の固定部12と移動部16と組み立てした組立図(ドライブ・ベイ10の収納状態)である。ドライブ・ベイ10は、移動部16の軸ピン17と固定部12の第1案内溝13とが嵌合されるとともに、ガイドピン18と第2案内溝14とが嵌合されている。
【0036】
さらに、詳細には、図4(b)に示すように、軸ピン17の軸部17aが固定部12の第1案内溝13を貫通するとともに、軸部17aの頂部に設けられた留め部17bによって固定部12の第1案内溝13と移動部16の軸ピン17とが嵌合される。なお、軸ピン17の軸部17aの断面幅は、第1案内溝13の幅よりも狭く、また、留め部17bの幅が、第1案内溝13の幅よりも広くなっている。このように、本実施形態では、軸ピン17が第1案内溝13に対して滑り動くように緩くはまり合っている。
【0037】
同様に、ガイドピン18の軸部18aが固定部12の第2案内溝14を貫通するとともに、軸部18aの頂部に設けられた留め部18bによって固定部12の第2案内溝14と移動部16のガイドピン18とが嵌合される。ガイドピン18の軸部18aの断面幅は、第2案内溝14の幅よりも狭く、また、留め部18bの幅が、第2案内溝14の幅よりも広くなっている。このように、本実施形態では、ガイドピン18が第2案内溝14に対して滑り動くように緩くはまり合っている。
【0038】
なお、図4(a)は、ドライブ・ベイ10が収納された状態を示すものであり、この収納状態においては、軸ピン17とガイドピン18が、第1案内溝13と第2案内溝14のそれぞれの一方端に位置している。本実施形態では、軸ピン17とガイドピン18が図面の第1案内溝13と第2案内溝14の右側(始点)に位置している。
【0039】
図4(c)は、ドライブ・ベイ10の開放状態を示す平面図である。上記の図4(a)に示した収納状態(始点)から点線矢印方向に向けて、固定部12に対して移動部16を回転移動し、略90°回転したと位置が終点である。この開放状態においては、軸ピン17とガイドピン18が、第1案内溝13と第2案内溝14のそれぞれ始点とは反対方向の一方端に位置している。本実施形態では、始点から終点に至る過程において、軸ピン17とガイドピン18が第1案内溝13と第2案内溝14をそれぞれに倣って移動することにより、回転移動が行われる。
【0040】
また、本実施形態にかかるドライブ・ベイ10は、ドライブ・ベイ10が開放状態において、固定部12と移動部16とを取り外す取外し機構を有している。具体的には、図4(a)に示すように、第1案内溝13の長手方向における一端部から固定部12の端部に渡って逃げ溝13aと、第2案内溝14の長手方向における一端部から固定部12の端部に渡って逃げ溝14aと、を備えている。これらの逃げ溝13a,14aの幅は、軸ピン17,ガイドピン18のピン幅よりも広く設けられている。したがって、図4(c)に示すように、ドライブ・ベイ10を開放状態とし、移動部16を図中の白抜き矢印方向に引き出すことにより、軸ピン17とガイドピン18が、第1及び第2案内溝13,14から外れるようになっている。なお、本実施形態においては、軸ピン17とガイドピン18を第1及び第2案内溝13,14から外すことなく、ドライブ装置の取り外しを可能とする制止部をさらに備えている。当該制止部については後述する。
【0041】
(回転機構の回転移動方法)
次に、回転機構の回転移動方法について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図5は、ドライブ・ベイの回転移動を示す平面図である。説明を容易にするため、ドライブ・ベイ10の収納状態から回転移動して開放状態の過程を、以下のステップ1〜5に分けて説明する。
【0042】
ステップ1では、図5(a)に示すように、ドライブ・ベイ10の収納状態である始点から、固定部12に対して移動部16を直線方向(図中の矢印方向)に引き出す。当該移動部16の引き出しに伴って、軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣って始点(P1−0)からポイント(P1−1)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣って始点(P2−0)からポイント(P2−1)に移動する。軸ピン17の移動距離は、軸ピン17を中心として移動部16を回転移動する際に、移動部16が筐体2のフレーム3に衝突しない範囲で定めることができる。従って、第1案内溝13は、軸ピン17を移動させる機能と移動部16の回転移動におけるフレーム3との衝突防止機能を有する。
【0043】
ステップ2では、図5(b)に示すように、固定部12に対して移動部16を矢印方向に回転移動させる。軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣ってポイント(P1−1)からポイント(P1−2)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣ってポイント(P2−1)からポイント(P2−2)に移動しながら回転移動する。ここで、当該回転移動に際し、軸ピン17の位置が一点に固定され、固定された軸点を中心に移動部16が回転するのではなく、軸ピン17を移動させながら、軸ピン17を中心に移動部16を回転移動させる。このため、移動部16の回転軌道を任意に選択することが可能である。本実施形態では、軸ピン17は、ポイント(P1−1)から始点(P1−0)方向に向って直線移動する。すなわち、軸ピン17は、始点(P1−0)方向に逆戻りする。一方、ガイドピン18は、図中の矢印の回転方向に移動する。換言すれば、移動部16が回転移動を開始する前における軸ピン17の位置とするポイント(P1−1:第1の位置)と、移動部16が回転移動を開始する前における移動部16のある基準点PSとの距離を基準距離DSとして定めた場合に、移動部16が回転移動を開始した後における軸ピン17の位置とするポイント(P1−2:第2の位置)と、移動部16が回転移動を開始する前における移動部16のある基準点PSとの距離DT1が、基準距離DSよりも長くなる方向に軸ピン17の位置を移動させながら、軸ピン17を中心として移動部16が回転移動する。この移動動作によって、例えば、軸ピン17の位置をポイント(P1−1)を基準にした場合に、移動部16の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、移動部16の回転軌道を小さくすることができる。
【0044】
ステップ3では、図6(c)に示すように、固定部12に対して移動部16を矢印方向にさらに回転移動させる。軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣ってポイント(P1−2)からポイント(P1−3)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣ってポイント(P2−2)からポイント(P2−3)に移動しながら回転移動する。軸ピン17は、再び始点(P1−0)方向とは反対の方向に移動し、また、ガイドピン18は移動部16の回転方向に移動する。
【0045】
ステップ4は、図6(d)に示すように、図6(c)の状態から固定部12に対して移動部16を矢印方向にさらに回転移動させ、回転移動の終点(開放状態)に至る。軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣ってポイント(P1−3)からポイント(P1−4:終点)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣ってポイント(P2−3)からポイント(P2−4:終点)に移動しながら回転移動する。
【0046】
ステップ5は、図7(e)に示すように、ドライブ・ベイ10が開放状態において、移動部16を矢印方向に引き出す。この引き出しにより、固定部12の第1及び第2案内溝13,14の逃げ溝13a,14aからそれぞれ移動部16の軸ピン17及びガイドピン18が外れる。
【0047】
そして、移動部16が引き出された後に、移動部16の空間15に収納されたドライブ装置を取り外したり、取り付けたりすることができる。その後、移動部16を収納する場合には、先述のステップとは反対のステップ(ステップ5〜ステップ1)をたどればよい。
【0048】
(制止部の構成)
次に、制止部の構成について説明する。本実施形態にかかるドライブ・ベイには、移動部16を固定部12から取り外すことなく、ドライブ・ベイ10が開放された状態を維持する制止部30が設けられている。図8は、制止部の構成を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図である。
【0049】
制止部30は、図8(a),(b)に示すように、ドライブ・ベイ10の外側に設けられている。制止部30は、プレート31の一端部に設けられた2つの凸部32(第1凸部32a,第2凸部32b)を有している。第1凸部32a,第2凸部32bは、固定部12の逃げ溝13a,14aに対応する位置に設けられている。本実施形態では、第1凸部32a,第2凸部32bが、逃げ溝13a,14aの深さ方向を覆うように設置されている。なお、第1凸部32a,第2凸部32bは、逃げ溝13a,14aの深さ方向を全て覆う必要はなく、軸ピン17及びガイドピン18の留め部17b,18bにかかるように設置してもよい。
【0050】
このような構成では、ドライブ・ベイ10が開放状態において、移動部16を矢印方向に引き出そうとしても、軸ピン17とガイドピン18が第1凸部32aと第2凸部32bによって制止されるので、移動部16を取り外すことができない。したがって、例えば、ドライブ装置の取り外し作業において、不意に移動部16を落下させてしまうおそれがない。
【0051】
さらに、制止部30には、ドライブ・ベイ10が開放状態であるときの移動部16のがたつきを抑制するための抜差し部材33を備えている。抜差し部材33は、平板で構成され、プレート31の一面に板バネ等によって保持されつつ、プレート31に対して上下移動(図中の矢印方向)が可能となっている。抜差し部材33は、移動部16の貫通孔19に挿入可能で、ほぼ同様の幅寸法をする。そして、ドライブ・ベイ10が収納されている状態では、抜差し部材33は上方に位置し、ドライブ・ベイ10が開放された状態において、抜差し部材33を下方向(移動部16の方向)に移動する。抜差し部材33に対応した移動部16の位置には、貫通孔が19が設けられており、抜差し部材33の一部が貫通孔19に差し込まれる。
【0052】
このような構成では、ドライブ・ベイ10が開放状態において、抜差し部材33を移動部16の貫通孔19に差し込むと、移動部16の縦横移動が規制されるので、移動部16のがたつきを抑制し、ドライブ装置の着脱作業性を向上させることができる。
【0053】
従って、上記の第1実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0054】
(1)軸ピン17を第1案内溝13に倣って移動させるとともに、ガイドピン18を第2案内溝14に倣って移動させながら、固定部12に対して移動部16を回転移動させる。そして、軸ピン17を始点方向に移動させながら移動部16を回転移動させる。従って、始点の方向への移動によって、移動部16の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、移動部16を小回りに回転移動できる。
【0055】
(2)さらに、図9を用いて効果を説明する。図9は、本実施形態にかかる移動部16の回転軌道(二点鎖線)CO1と、軸ピンを固定した場合(P1−1)における移動部16の回転軌道(点線)CO2との違いを示す図である。図9に示すように、軸ピン17を固定して軸ピン17を中心にて移動部16を回転移動させた場合には、移動部16の回転軌道は一定の曲率で回転する。一方、本実施形態における移動部16の回転軌道は、軸ピン17を移動させることにより、回転軌道は一定ではなく、固定した軸ピン17を基準としたときに複数の曲率をもった回転軌道となる。そして、移動部16は、軸ピン17を移動させながら回転移動することにより、回転軌道の曲率が大きくなり、軸ピン17を固定した場合に比べ、移動部16を小回りで回転移動させることができる。
【0056】
(3)図9に示すように、筐体2の内部において移動部16の回転軌道の曲率を大きくしているので、筐体2の内部の省スペース化を図ることができる。
【0057】
(4)本実施形態にかかる回転機構9を備えたドライブ・ベイ10をコンピュータ1に搭載することにより、他の部品等との衝突を防止し、部品や装置の配置の自由度を高めることができる。
【0058】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。
【0059】
なお、コンピュータ、筐体及び制止部におけるそれぞれ基本構成については、第1実施形態体と同様なので説明を省略する。
【0060】
(回転機構の構成)
まず、回転機構の構成について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図10は、本実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示している。
【0061】
図10に示すように、固定部42は、第1案内部としての第1案内溝43と、第2案内部としての第2案内溝44が設けられている。第1案内溝43は、雲形形状を有した溝であり、当該溝の外周が複数の曲線で組み合わせて形成されている。第2案内溝44は、移動部46が回転移動する際の回転軌道を規制するための溝であり、所定の曲率を有する溝を有している。なお、本実形態では、第1案内溝43と第2案内溝44は、固定部42の板状の部材を貫通する貫通孔である。
【0062】
移動部46は、移動部46の一の面に2本のピン形状の部材が固定して設けられている。さらに詳細には、移動部46の回転移動における回転軸となる軸ピン47と、移動部46の回転移動の軌道を補助するガイドピン48とが設けられている(図11参照)。
【0063】
ドライブ・ベイ10は、移動部46の軸ピン47を固定部42の第1案内溝43を介して嵌合されるとともに、ガイドピン48を第2案内溝44を介して嵌合されている。なお、軸ピン47及びガイドピン48と第1案内溝43及び第2案内溝44の配置方法及び嵌合方法については第1実施形態と同様なので説明を省略する(図4参照)。
【0064】
(回転機構の回転移動方法)
次に、回転機構の回転移動方法について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図11は、ドライブ・ベイの回転移動を示す平面図である。説明を容易にするため、ドライブ・ベイ10の収納状態から回転移動して開放状態の過程を、以下のステップ1〜4に分けて説明する。
【0065】
ステップ1では、図11(a)に示すように、ドライブ・ベイ10の収納状態である始点から、固定部42に対して移動部46を直線方向(図中の矢印方向)に引き出す。当該移動部46の引き出しに伴って、軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣って始点(P1−0)からポイント(P1−1)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣って始点(P2−0)からポイント(P2−1)に移動する。
【0066】
ステップ2では、図11(b)に示すように、固定部42に対して移動部46を矢印方向に回転移動させる。軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣ってポイント(P1−1)からポイント(P1−2)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣ってポイント(P2−1)からポイント(P2−2)に移動する。ここで、当該回転移動に際し、軸ピン47の位置が一点に固定され、固定された軸点を中心に移動部46が回転するのではなく、本実施形態では、軸ピン47を移動させながら、軸ピン47を中心に移動部46が回転移動する。このため、移動部46の回転軌道を任意に選択することが可能である。本実施形態では、軸ピン47は、ポイント(P1−1)から始点(P1−0)方向に向って曲線を描くように移動する。換言すれば、移動部46が回転移動を開始する前における軸ピン47の位置とするポイント(P1−1)と、移動部46が回転移動を開始する前における移動部46のある基準点PSとの距離を基準距離DSとして定めた場合に、移動部46が回転移動を開始した後における軸ピン47の位置とするポイント(P1−2)と、移動部46が回転移動を開始する前における移動部46のある基準点PSとの距離DT2が、基準距離DSよりも長くなる方向に軸ピン47の位置を移動させながら、軸ピン47を中心として移動部46が回転移動する。一方、ガイドピン48は、矢印の回転方向に移動している。この移動動作によって、例えば、軸ピン47の位置をポイント(P1−1)を基準にした場合に、移動部46の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、移動部46の回転軌道を小さくすることができる。
【0067】
ステップ3では、図12(c)に示すように、固定部42に対して移動部46を矢印方向にさらに回転移動させる。軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣ってポイント(P1−2)からポイント(P1−3)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣ってポイント(P2−2)からポイント(P2−3)に移動しながら回転移動する。軸ピン47は、再び始点(P1−0)方向とは反対の方向に移動し、また、ガイドピン48は移動部46の回転方向に移動する。
【0068】
ステップ4は、図12(d)に示すように、図12(c)の状態から固定部42に対して移動部46を矢印方向にさらに回転移動させ、回転移動の終点(開放状態)に至る。軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣ってポイント(P1−3)からポイント(P1−4:終点)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣ってポイント(P2−3)からポイント(P2−4:終点)に移動しながら回転移動する。
【0069】
なお、ドライブ・ベイ10を筐体2の内部に収納する場合には、上記ステップとは反対のステップを行えばよい。
【0070】
従って、上記の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果がある。
【0071】
(1)軸ピン47を第1案内溝43に倣って曲線を描いて移動させるとともに、ガイドピン48を第2案内溝44に倣って移動させながら、固定部42に対して移動部46を回転移動させる。従って、軸ピン47の曲線的な移動によって、例えば、軸ピン47を直線的に移動させる場合に比べて移動部46の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、さらに、移動部46を小回りに回転移動できる。
【0072】
なお、上記の実施形態に限定されず、以下のような変形例も適用することができる。
【0073】
(変形例1)ガイドピン18(48)と第2案内溝14(44)を省略してもよい。この場合であっても、軸ピン17(47)を移動させながら、移動部16(46)を回転移動させれば、移動部16(46)の回転軌道を小さくすることができる。
【0074】
(変形例2)上記の実施形態では、移動部16の天井の外部面に軸ピン17とガイドピン18を配置したが、これに限定されない。例えば、移動部16の底の外部面に軸ピン17とガイドピン18を配置し、軸ピン17とガイドピン18の位置に対応するように固定部12を配置してもよい。すなわち、実施形態における固定部12の位置に移動部16の位置を上下方向逆にした構成であってもよい。このようにしても、固定部12に対して移動部16を回転移動させることができる。
【0075】
(変形例3)上記の実施形態おいて、第1案内部と第2案内部は、貫通孔とする第1案内溝13と第2案内溝14としたが、これに限定されない。例えば、第1案内部と第2案内部をレール形状とし、軸ピンとガイドピンを前記レールに嵌合させる構成であってもよい。このようにしても、軸ピンとガイドピンを移動させながら、移動部を回転移動させることができる。
【0076】
(変形例4)上記の実施形態において、ドライブ・ベイ10に回転機構9を備えた構成ついて説明したが、これに限定されない。他の部材に回転機構9を備えてもよい。さらに、この場合において、移動部としての部材は立方体の部材に限定されず、例えば、円柱形、円錐形や球形の部材であってもよい。このようにしても、移動部の回転軌道を小さくすることができる。
【0077】
(変形例5)上記の実施形態において、電子機器としてのコンピュータについて説明したが、これに限定されない。例えば、テレビ受像機、プロジェクタ装置、プリンタ装置等の電子機器にも本発明の回転機構を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】コンピュータの構成を示す斜視図。
【図2】コンピュータにおいてドライブ・ベイが開放された状態を示す斜視図。
【図3】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示す平面図。
【図4】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示す平面図。
【図5】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図6】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図7】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図8】(a)は制止機構部の平面図、(b)は制止機構部の側面図。
【図9】第1実施形態の効果を説明するための説明図。
【図10】第2実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示す平面図。
【図11】第2実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図12】第2実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【符号の説明】
【0079】
1…電子機器としてのコンピュータ、2…筐体、3…フレーム、8…支持体、9…回転機構、10…ドライブ・ベイ、12,42…固定部、13,43…第1案内部としての第1案内溝、14,44…第2案内部としての第2案内溝、16,46…移動部、17,47…軸ピン、18,48…ガイドピン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機構、ドライブ・ベイ、筐体、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、記録媒体を含むドライブ装置など、コンピュータ本体に内蔵する周辺機器を取り付けるために設けられたドライブ・ベイは、ドライブ装置などを収納するケース本体と、ドライブ装置を抜き差し可能とするための回転機構等を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−47019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の回転機構では、回転軸が固定されているため、コンピュータ内部の他の複数の部品や装置の配置によっては、ドライブ・ベイが回転動作の際に、ドライブ・ベイが他の部品等に接触や衝突してしまう、という課題があった。そのため、さらに、回転軌道を小さくする回転機構が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる回転機構は、固定部と前記固定部に対して回転移動する移動部を有する回転機構であって、前記固定部に設けられた第1案内部と、前記移動部に固定されるとともに、前記第1案内部に倣って移動可能に嵌合された軸ピンと、を有し、前記第1案内部の領域内において前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部を回転移動することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、固定部に対して移動部が回転移動する際、軸ピンが第1案内部の領域において移動するので、軸ピンの移動地点ごとに移動部の回転軌道を異ならせることができる。従って、例えば、所望の位置に軸ピンを移動させながら移動部を回転させることにより、移動部の回転軌道を小さくさせることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる回転機構では、前記移動部が回転移動を開始する前における前記軸ピンの第1の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部のある基準点との距離を基準距離として定めた場合に、前記移動部が回転移動を開始した後における前記軸ピンの第2の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部の前記ある基準点との距離が、前記基準距離よりも長くなる方向に前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部が回転移動してもよい。
【0009】
この構成によれば、移動部が回転移動を開始する前における軸ピンと移動部のある基準点を結ぶ基準距離に対して、移動部を回転移動させたときに、軸ピンと移動部のある基準点との距離が基準距離よりも長くなる方向に軸ピンを移動させる。すなわち、軸ピンを移動させた分だけ移動部の回転移動における回転軌道の曲率を大きくすることで、移動部を小回りに回転させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる回転機構において、前記第1案内部は、直方形状を有し、前記軸ピンは、前記直方形状を有する第1案内部に倣って直線移動することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、軸ピンは第1案内部に倣って略直線的に移動することができる。すなわち、軸ピンの移動が容易である。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる回転機構において、前記第1案内部は、雲形形状を有し、前記軸ピンは、前記雲形形状を有する第1案内部に倣って曲線移動させてもよい。
【0013】
このような構成によれば、軸ピンは第1案内部に倣って曲線を描くように移動することで、さらに移動部の回転軌道を小さくすることもできる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる回転機構は、前記固定部に設けられた第2案内部と、前記移動部に固定されるとともに、前記第2案内部に嵌合されたガイドピンと、をさらに設け、前記移動部は、前記第1案内部の領域内において前記軸ピンを移動させながら、かつ、前記ガイドピンを前記第2案内部に倣って移動させながら、前記軸ピンを中心に回転移動させてもよい。
【0015】
このような構成によれば、第2案内部とガイドピンを設けたことにより、軸ピンの第1案内部における移動範囲と移動部の回転移動の軌道を規制することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる回転機構の第2案内部は、複数の曲率を有していることが好ましい。
【0017】
これによれば、移動部の回転軌道を任意に規制することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例にかかる回転機構において、前記第1案内部は、貫通孔を有する第1案内溝であり、前記第2案内部は、貫通孔を有する第2案内溝であり、前記軸ピンは、前記第1案内溝と嵌め合い、前記ガイドピンは、前記第2案内溝と嵌め合うことが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、軸ピンの移動範囲と移動部の回転移動の軌道を規制することができる。
【0020】
[適用例8]本適用例にかかるドライブ・ベイは、上記の回転機構を備えたことを特徴とする。
【0021】
これによれば、ドライブ・ベイが回転移動する際に、他の部品等との接触や衝突を防止することができる。
【0022】
[適用例9]本適用例にかかる筐体は、上記のドライブ・ベイを備えたことを特徴とする。
【0023】
このような筐体では、上記のドライブ・ベイの回転機構を備えるため、回転移動に伴うスペースを省くことができる。
【0024】
[適用例10]本適用例にかかる電子機器は、上記の筐体を備えたことを特徴とする。
【0025】
このように、ドライブ・ベイを備えた筐体を備えることにより、電子機器内の他の部品等にかかる配置の自由度を高めることができる。この場合における電子機器としては、コンピュータ等が該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、好適な具体例を用いた説明なので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限定されるものではない。また、以下の説明で参照する図は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
【0027】
(電子機器の構成)
まず、電子機器としてのコンピュータの構成について説明する。図1は、コンピュータの構成を示す斜視図である。コンピュータ1は、筐体2を備え、筐体2の内部に種々の装置や部材が配置されている。筐体2は、略直方体形状を有している。また、剛性を確保するために、筐体2の外枠部にはフレーム3を備えている。なお、図1においては、コンピュータ1の内部の構成が見えているが、通常の使用時においては、外的保護のため、図示しない蓋材で側面全体を覆っている。
【0028】
コンピュータ1の筐体2の内部には、電源装置4、中央処理装置5、放熱性部材(本実施形態では、ヒートシンク)6、各種スロット部材7、ドライブ・ベイ10、ドライブ・ベイ10を支持する支持体8等が配置され、さらに、図示しない配線部材等が配置されている。なお、ドライブ・ベイ10は、筐体2の内部の端部に配置されている。
【0029】
図2は、ドライブ・ベイ10を回転移動して開放状態となった様子を示す斜視図である。ドライブ・ベイ10は、ハードディスクドライブやCD−ROMドライブ(ドライブ装置)など、コンピュータ1に内蔵する周辺機器を取り付けるために設けられた箱型の空間15のことである。本実施形態では、ドライブ・ベイ10にドライブ装置を取り付けたり、取り外したりする際の操作性を容易にするため、ドライブ・ベイ10には回転移動が可能な回転機構9(固定部12、移動部16)が設けられ、当該回転機構9によりドライブ・ベイ10を筐体2の内部に収納する収納状態(図1参照)と筐体2の外部に開放する開放状態にすることができるようになっている。
【0030】
(回転機構の構成)
次に、回転機構の構成について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図3及び図4は、本実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示している。
【0031】
ドライブ・ベイ10は、固定部12と、固定部12に対して回転移動する移動部16を備えた回転機構9を有している。本実施形態では、固定部12は、板状の部材であり、移動部16は、立方体の外形を有し、内部にドライブ装置等を収納するための箱型の空間15を有する。
【0032】
固定部12は、図3(a)に示すように、第1案内部としての第1案内溝13と、第2案内部としての第2案内溝14が設けられている。第1案内溝13は、略直方形状を有した溝(長穴)であり、第1案内溝13の長手方向の両端部には面取りが施されており、全体の形状としては紡錘形あるいはコッペパン形状とも言える。また、第1案内溝13は、移動部16の回転移動を規制する規制領域であり、そのため、移動部16の回転移動の起点となる位置に設けられる。本実施形態では、第1案内溝13は、固定部12の端部に配置されている。また、第1案内溝13の長手方向の端部が、固定部12の外周の一端辺と平行になるように配置されている。
【0033】
第2案内溝14は、移動部16が回転移動する際の回転軌道を規制するための溝であり、所定の曲率を有している。第1案内溝13と第2案内溝14との位置関係は移動部16の回転移動に伴う回転軌道によって規定される。なお、本実施形態では、第1案内溝13と第2案内溝14は、固定部12の板状の部材を貫通する貫通孔である。
【0034】
移動部16は、図3(b)に示すように、2本のピン形状の部材が移動部16の一の外枠の上面に固定されている。さらに詳細には、移動部16の回転移動における回転軸となる軸ピン17と、軸ピン17と所定の距離をおいてガイドピン18が設けられている。ガイドピン18は、移動部16の回転移動の軌道を補助するピンである。また、軸ピン17は、移動部16を回転移動させるための起点となる位置に設けられる。本実施形態では、軸ピン17は、移動部16の端部に配置されている。
【0035】
図4(a)は、上記の固定部12と移動部16と組み立てした組立図(ドライブ・ベイ10の収納状態)である。ドライブ・ベイ10は、移動部16の軸ピン17と固定部12の第1案内溝13とが嵌合されるとともに、ガイドピン18と第2案内溝14とが嵌合されている。
【0036】
さらに、詳細には、図4(b)に示すように、軸ピン17の軸部17aが固定部12の第1案内溝13を貫通するとともに、軸部17aの頂部に設けられた留め部17bによって固定部12の第1案内溝13と移動部16の軸ピン17とが嵌合される。なお、軸ピン17の軸部17aの断面幅は、第1案内溝13の幅よりも狭く、また、留め部17bの幅が、第1案内溝13の幅よりも広くなっている。このように、本実施形態では、軸ピン17が第1案内溝13に対して滑り動くように緩くはまり合っている。
【0037】
同様に、ガイドピン18の軸部18aが固定部12の第2案内溝14を貫通するとともに、軸部18aの頂部に設けられた留め部18bによって固定部12の第2案内溝14と移動部16のガイドピン18とが嵌合される。ガイドピン18の軸部18aの断面幅は、第2案内溝14の幅よりも狭く、また、留め部18bの幅が、第2案内溝14の幅よりも広くなっている。このように、本実施形態では、ガイドピン18が第2案内溝14に対して滑り動くように緩くはまり合っている。
【0038】
なお、図4(a)は、ドライブ・ベイ10が収納された状態を示すものであり、この収納状態においては、軸ピン17とガイドピン18が、第1案内溝13と第2案内溝14のそれぞれの一方端に位置している。本実施形態では、軸ピン17とガイドピン18が図面の第1案内溝13と第2案内溝14の右側(始点)に位置している。
【0039】
図4(c)は、ドライブ・ベイ10の開放状態を示す平面図である。上記の図4(a)に示した収納状態(始点)から点線矢印方向に向けて、固定部12に対して移動部16を回転移動し、略90°回転したと位置が終点である。この開放状態においては、軸ピン17とガイドピン18が、第1案内溝13と第2案内溝14のそれぞれ始点とは反対方向の一方端に位置している。本実施形態では、始点から終点に至る過程において、軸ピン17とガイドピン18が第1案内溝13と第2案内溝14をそれぞれに倣って移動することにより、回転移動が行われる。
【0040】
また、本実施形態にかかるドライブ・ベイ10は、ドライブ・ベイ10が開放状態において、固定部12と移動部16とを取り外す取外し機構を有している。具体的には、図4(a)に示すように、第1案内溝13の長手方向における一端部から固定部12の端部に渡って逃げ溝13aと、第2案内溝14の長手方向における一端部から固定部12の端部に渡って逃げ溝14aと、を備えている。これらの逃げ溝13a,14aの幅は、軸ピン17,ガイドピン18のピン幅よりも広く設けられている。したがって、図4(c)に示すように、ドライブ・ベイ10を開放状態とし、移動部16を図中の白抜き矢印方向に引き出すことにより、軸ピン17とガイドピン18が、第1及び第2案内溝13,14から外れるようになっている。なお、本実施形態においては、軸ピン17とガイドピン18を第1及び第2案内溝13,14から外すことなく、ドライブ装置の取り外しを可能とする制止部をさらに備えている。当該制止部については後述する。
【0041】
(回転機構の回転移動方法)
次に、回転機構の回転移動方法について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図5は、ドライブ・ベイの回転移動を示す平面図である。説明を容易にするため、ドライブ・ベイ10の収納状態から回転移動して開放状態の過程を、以下のステップ1〜5に分けて説明する。
【0042】
ステップ1では、図5(a)に示すように、ドライブ・ベイ10の収納状態である始点から、固定部12に対して移動部16を直線方向(図中の矢印方向)に引き出す。当該移動部16の引き出しに伴って、軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣って始点(P1−0)からポイント(P1−1)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣って始点(P2−0)からポイント(P2−1)に移動する。軸ピン17の移動距離は、軸ピン17を中心として移動部16を回転移動する際に、移動部16が筐体2のフレーム3に衝突しない範囲で定めることができる。従って、第1案内溝13は、軸ピン17を移動させる機能と移動部16の回転移動におけるフレーム3との衝突防止機能を有する。
【0043】
ステップ2では、図5(b)に示すように、固定部12に対して移動部16を矢印方向に回転移動させる。軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣ってポイント(P1−1)からポイント(P1−2)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣ってポイント(P2−1)からポイント(P2−2)に移動しながら回転移動する。ここで、当該回転移動に際し、軸ピン17の位置が一点に固定され、固定された軸点を中心に移動部16が回転するのではなく、軸ピン17を移動させながら、軸ピン17を中心に移動部16を回転移動させる。このため、移動部16の回転軌道を任意に選択することが可能である。本実施形態では、軸ピン17は、ポイント(P1−1)から始点(P1−0)方向に向って直線移動する。すなわち、軸ピン17は、始点(P1−0)方向に逆戻りする。一方、ガイドピン18は、図中の矢印の回転方向に移動する。換言すれば、移動部16が回転移動を開始する前における軸ピン17の位置とするポイント(P1−1:第1の位置)と、移動部16が回転移動を開始する前における移動部16のある基準点PSとの距離を基準距離DSとして定めた場合に、移動部16が回転移動を開始した後における軸ピン17の位置とするポイント(P1−2:第2の位置)と、移動部16が回転移動を開始する前における移動部16のある基準点PSとの距離DT1が、基準距離DSよりも長くなる方向に軸ピン17の位置を移動させながら、軸ピン17を中心として移動部16が回転移動する。この移動動作によって、例えば、軸ピン17の位置をポイント(P1−1)を基準にした場合に、移動部16の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、移動部16の回転軌道を小さくすることができる。
【0044】
ステップ3では、図6(c)に示すように、固定部12に対して移動部16を矢印方向にさらに回転移動させる。軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣ってポイント(P1−2)からポイント(P1−3)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣ってポイント(P2−2)からポイント(P2−3)に移動しながら回転移動する。軸ピン17は、再び始点(P1−0)方向とは反対の方向に移動し、また、ガイドピン18は移動部16の回転方向に移動する。
【0045】
ステップ4は、図6(d)に示すように、図6(c)の状態から固定部12に対して移動部16を矢印方向にさらに回転移動させ、回転移動の終点(開放状態)に至る。軸ピン17の位置が第1案内溝13に倣ってポイント(P1−3)からポイント(P1−4:終点)に移動するとともに、ガイドピン18の位置が第2案内溝14に倣ってポイント(P2−3)からポイント(P2−4:終点)に移動しながら回転移動する。
【0046】
ステップ5は、図7(e)に示すように、ドライブ・ベイ10が開放状態において、移動部16を矢印方向に引き出す。この引き出しにより、固定部12の第1及び第2案内溝13,14の逃げ溝13a,14aからそれぞれ移動部16の軸ピン17及びガイドピン18が外れる。
【0047】
そして、移動部16が引き出された後に、移動部16の空間15に収納されたドライブ装置を取り外したり、取り付けたりすることができる。その後、移動部16を収納する場合には、先述のステップとは反対のステップ(ステップ5〜ステップ1)をたどればよい。
【0048】
(制止部の構成)
次に、制止部の構成について説明する。本実施形態にかかるドライブ・ベイには、移動部16を固定部12から取り外すことなく、ドライブ・ベイ10が開放された状態を維持する制止部30が設けられている。図8は、制止部の構成を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図である。
【0049】
制止部30は、図8(a),(b)に示すように、ドライブ・ベイ10の外側に設けられている。制止部30は、プレート31の一端部に設けられた2つの凸部32(第1凸部32a,第2凸部32b)を有している。第1凸部32a,第2凸部32bは、固定部12の逃げ溝13a,14aに対応する位置に設けられている。本実施形態では、第1凸部32a,第2凸部32bが、逃げ溝13a,14aの深さ方向を覆うように設置されている。なお、第1凸部32a,第2凸部32bは、逃げ溝13a,14aの深さ方向を全て覆う必要はなく、軸ピン17及びガイドピン18の留め部17b,18bにかかるように設置してもよい。
【0050】
このような構成では、ドライブ・ベイ10が開放状態において、移動部16を矢印方向に引き出そうとしても、軸ピン17とガイドピン18が第1凸部32aと第2凸部32bによって制止されるので、移動部16を取り外すことができない。したがって、例えば、ドライブ装置の取り外し作業において、不意に移動部16を落下させてしまうおそれがない。
【0051】
さらに、制止部30には、ドライブ・ベイ10が開放状態であるときの移動部16のがたつきを抑制するための抜差し部材33を備えている。抜差し部材33は、平板で構成され、プレート31の一面に板バネ等によって保持されつつ、プレート31に対して上下移動(図中の矢印方向)が可能となっている。抜差し部材33は、移動部16の貫通孔19に挿入可能で、ほぼ同様の幅寸法をする。そして、ドライブ・ベイ10が収納されている状態では、抜差し部材33は上方に位置し、ドライブ・ベイ10が開放された状態において、抜差し部材33を下方向(移動部16の方向)に移動する。抜差し部材33に対応した移動部16の位置には、貫通孔が19が設けられており、抜差し部材33の一部が貫通孔19に差し込まれる。
【0052】
このような構成では、ドライブ・ベイ10が開放状態において、抜差し部材33を移動部16の貫通孔19に差し込むと、移動部16の縦横移動が規制されるので、移動部16のがたつきを抑制し、ドライブ装置の着脱作業性を向上させることができる。
【0053】
従って、上記の第1実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0054】
(1)軸ピン17を第1案内溝13に倣って移動させるとともに、ガイドピン18を第2案内溝14に倣って移動させながら、固定部12に対して移動部16を回転移動させる。そして、軸ピン17を始点方向に移動させながら移動部16を回転移動させる。従って、始点の方向への移動によって、移動部16の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、移動部16を小回りに回転移動できる。
【0055】
(2)さらに、図9を用いて効果を説明する。図9は、本実施形態にかかる移動部16の回転軌道(二点鎖線)CO1と、軸ピンを固定した場合(P1−1)における移動部16の回転軌道(点線)CO2との違いを示す図である。図9に示すように、軸ピン17を固定して軸ピン17を中心にて移動部16を回転移動させた場合には、移動部16の回転軌道は一定の曲率で回転する。一方、本実施形態における移動部16の回転軌道は、軸ピン17を移動させることにより、回転軌道は一定ではなく、固定した軸ピン17を基準としたときに複数の曲率をもった回転軌道となる。そして、移動部16は、軸ピン17を移動させながら回転移動することにより、回転軌道の曲率が大きくなり、軸ピン17を固定した場合に比べ、移動部16を小回りで回転移動させることができる。
【0056】
(3)図9に示すように、筐体2の内部において移動部16の回転軌道の曲率を大きくしているので、筐体2の内部の省スペース化を図ることができる。
【0057】
(4)本実施形態にかかる回転機構9を備えたドライブ・ベイ10をコンピュータ1に搭載することにより、他の部品等との衝突を防止し、部品や装置の配置の自由度を高めることができる。
【0058】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。
【0059】
なお、コンピュータ、筐体及び制止部におけるそれぞれ基本構成については、第1実施形態体と同様なので説明を省略する。
【0060】
(回転機構の構成)
まず、回転機構の構成について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図10は、本実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示している。
【0061】
図10に示すように、固定部42は、第1案内部としての第1案内溝43と、第2案内部としての第2案内溝44が設けられている。第1案内溝43は、雲形形状を有した溝であり、当該溝の外周が複数の曲線で組み合わせて形成されている。第2案内溝44は、移動部46が回転移動する際の回転軌道を規制するための溝であり、所定の曲率を有する溝を有している。なお、本実形態では、第1案内溝43と第2案内溝44は、固定部42の板状の部材を貫通する貫通孔である。
【0062】
移動部46は、移動部46の一の面に2本のピン形状の部材が固定して設けられている。さらに詳細には、移動部46の回転移動における回転軸となる軸ピン47と、移動部46の回転移動の軌道を補助するガイドピン48とが設けられている(図11参照)。
【0063】
ドライブ・ベイ10は、移動部46の軸ピン47を固定部42の第1案内溝43を介して嵌合されるとともに、ガイドピン48を第2案内溝44を介して嵌合されている。なお、軸ピン47及びガイドピン48と第1案内溝43及び第2案内溝44の配置方法及び嵌合方法については第1実施形態と同様なので説明を省略する(図4参照)。
【0064】
(回転機構の回転移動方法)
次に、回転機構の回転移動方法について説明する。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、回転機構を備えたドライブ・ベイを例にして説明する。図11は、ドライブ・ベイの回転移動を示す平面図である。説明を容易にするため、ドライブ・ベイ10の収納状態から回転移動して開放状態の過程を、以下のステップ1〜4に分けて説明する。
【0065】
ステップ1では、図11(a)に示すように、ドライブ・ベイ10の収納状態である始点から、固定部42に対して移動部46を直線方向(図中の矢印方向)に引き出す。当該移動部46の引き出しに伴って、軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣って始点(P1−0)からポイント(P1−1)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣って始点(P2−0)からポイント(P2−1)に移動する。
【0066】
ステップ2では、図11(b)に示すように、固定部42に対して移動部46を矢印方向に回転移動させる。軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣ってポイント(P1−1)からポイント(P1−2)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣ってポイント(P2−1)からポイント(P2−2)に移動する。ここで、当該回転移動に際し、軸ピン47の位置が一点に固定され、固定された軸点を中心に移動部46が回転するのではなく、本実施形態では、軸ピン47を移動させながら、軸ピン47を中心に移動部46が回転移動する。このため、移動部46の回転軌道を任意に選択することが可能である。本実施形態では、軸ピン47は、ポイント(P1−1)から始点(P1−0)方向に向って曲線を描くように移動する。換言すれば、移動部46が回転移動を開始する前における軸ピン47の位置とするポイント(P1−1)と、移動部46が回転移動を開始する前における移動部46のある基準点PSとの距離を基準距離DSとして定めた場合に、移動部46が回転移動を開始した後における軸ピン47の位置とするポイント(P1−2)と、移動部46が回転移動を開始する前における移動部46のある基準点PSとの距離DT2が、基準距離DSよりも長くなる方向に軸ピン47の位置を移動させながら、軸ピン47を中心として移動部46が回転移動する。一方、ガイドピン48は、矢印の回転方向に移動している。この移動動作によって、例えば、軸ピン47の位置をポイント(P1−1)を基準にした場合に、移動部46の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、移動部46の回転軌道を小さくすることができる。
【0067】
ステップ3では、図12(c)に示すように、固定部42に対して移動部46を矢印方向にさらに回転移動させる。軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣ってポイント(P1−2)からポイント(P1−3)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣ってポイント(P2−2)からポイント(P2−3)に移動しながら回転移動する。軸ピン47は、再び始点(P1−0)方向とは反対の方向に移動し、また、ガイドピン48は移動部46の回転方向に移動する。
【0068】
ステップ4は、図12(d)に示すように、図12(c)の状態から固定部42に対して移動部46を矢印方向にさらに回転移動させ、回転移動の終点(開放状態)に至る。軸ピン47の位置が第1案内溝43に倣ってポイント(P1−3)からポイント(P1−4:終点)に移動するとともに、ガイドピン48の位置が第2案内溝44に倣ってポイント(P2−3)からポイント(P2−4:終点)に移動しながら回転移動する。
【0069】
なお、ドライブ・ベイ10を筐体2の内部に収納する場合には、上記ステップとは反対のステップを行えばよい。
【0070】
従って、上記の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果がある。
【0071】
(1)軸ピン47を第1案内溝43に倣って曲線を描いて移動させるとともに、ガイドピン48を第2案内溝44に倣って移動させながら、固定部42に対して移動部46を回転移動させる。従って、軸ピン47の曲線的な移動によって、例えば、軸ピン47を直線的に移動させる場合に比べて移動部46の回転軌道の曲率が大きくなり、その結果、さらに、移動部46を小回りに回転移動できる。
【0072】
なお、上記の実施形態に限定されず、以下のような変形例も適用することができる。
【0073】
(変形例1)ガイドピン18(48)と第2案内溝14(44)を省略してもよい。この場合であっても、軸ピン17(47)を移動させながら、移動部16(46)を回転移動させれば、移動部16(46)の回転軌道を小さくすることができる。
【0074】
(変形例2)上記の実施形態では、移動部16の天井の外部面に軸ピン17とガイドピン18を配置したが、これに限定されない。例えば、移動部16の底の外部面に軸ピン17とガイドピン18を配置し、軸ピン17とガイドピン18の位置に対応するように固定部12を配置してもよい。すなわち、実施形態における固定部12の位置に移動部16の位置を上下方向逆にした構成であってもよい。このようにしても、固定部12に対して移動部16を回転移動させることができる。
【0075】
(変形例3)上記の実施形態おいて、第1案内部と第2案内部は、貫通孔とする第1案内溝13と第2案内溝14としたが、これに限定されない。例えば、第1案内部と第2案内部をレール形状とし、軸ピンとガイドピンを前記レールに嵌合させる構成であってもよい。このようにしても、軸ピンとガイドピンを移動させながら、移動部を回転移動させることができる。
【0076】
(変形例4)上記の実施形態において、ドライブ・ベイ10に回転機構9を備えた構成ついて説明したが、これに限定されない。他の部材に回転機構9を備えてもよい。さらに、この場合において、移動部としての部材は立方体の部材に限定されず、例えば、円柱形、円錐形や球形の部材であってもよい。このようにしても、移動部の回転軌道を小さくすることができる。
【0077】
(変形例5)上記の実施形態において、電子機器としてのコンピュータについて説明したが、これに限定されない。例えば、テレビ受像機、プロジェクタ装置、プリンタ装置等の電子機器にも本発明の回転機構を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】コンピュータの構成を示す斜視図。
【図2】コンピュータにおいてドライブ・ベイが開放された状態を示す斜視図。
【図3】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示す平面図。
【図4】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示す平面図。
【図5】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図6】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図7】第1実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図8】(a)は制止機構部の平面図、(b)は制止機構部の側面図。
【図9】第1実施形態の効果を説明するための説明図。
【図10】第2実施形態にかかるドライブ・ベイの構成を示す平面図。
【図11】第2実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【図12】第2実施形態にかかるドライブ・ベイの回転移動を示す平面図。
【符号の説明】
【0079】
1…電子機器としてのコンピュータ、2…筐体、3…フレーム、8…支持体、9…回転機構、10…ドライブ・ベイ、12,42…固定部、13,43…第1案内部としての第1案内溝、14,44…第2案内部としての第2案内溝、16,46…移動部、17,47…軸ピン、18,48…ガイドピン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と前記固定部に対して回転移動する移動部を有する回転機構であって、
前記固定部に設けられた第1案内部と、
前記移動部に固定されるとともに、前記第1案内部に倣って移動可能に嵌合された軸ピンと、を有し、
前記第1案内部の領域内において前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部を回転移動することを特徴とする回転機構。
【請求項2】
請求項1に記載の回転機構において、
前記移動部が回転移動を開始する前における前記軸ピンの第1の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部のある基準点との距離を基準距離として定めた場合に、
前記移動部が回転移動を開始した後における前記軸ピンの第2の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部の前記ある基準点との距離が、前記基準距離よりも長くなる方向に前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部が回転移動することを特徴とする回転機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転機構において、
前記第1案内部は、直方形状を有し、
前記軸ピンは、前記直方形状を有する第1案内部に倣って直線移動することを特徴とする回転機構。
【請求項4】
請求項1または2に記載の回転機構において、
前記第1案内部は、雲形形状を有し、
前記軸ピンは、前記雲形形状を有する第1案内部に倣って曲線移動することを特徴とする回転機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転機構において、
前記固定部に設けられた第2案内部と、
前記移動部に固定されるとともに、前記第2案内部に嵌合されたガイドピンと、をさらに設け、
前記移動部は、前記第1案内部の領域内において前記軸ピンを移動させながら、かつ、前記ガイドピンを前記第2案内部に倣って移動させながら、前記軸ピンを中心に回転移動することを特徴とする回転機構。
【請求項6】
請求項5に記載の回転機構において、
前記第2案内部は、複数の曲率を有していることを特徴とする回転機構。
【請求項7】
請求項5または6に記載の回転機構において、
前記第1案内部は、貫通孔を有する第1案内溝であり、
前記第2案内部は、貫通孔を有する第2案内溝であり、
前記軸ピンは、前記第1案内溝と嵌め合い、前記ガイドピンは、前記第2案内溝と嵌め合うことを特徴とする回転機構。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の回転機構を備えたドライブ・ベイ。
【請求項9】
請求項8に記載のドライブ・ベイを備えた筐体。
【請求項10】
請求項9に記載の筐体を備えた電子機器。
【請求項1】
固定部と前記固定部に対して回転移動する移動部を有する回転機構であって、
前記固定部に設けられた第1案内部と、
前記移動部に固定されるとともに、前記第1案内部に倣って移動可能に嵌合された軸ピンと、を有し、
前記第1案内部の領域内において前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部を回転移動することを特徴とする回転機構。
【請求項2】
請求項1に記載の回転機構において、
前記移動部が回転移動を開始する前における前記軸ピンの第1の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部のある基準点との距離を基準距離として定めた場合に、
前記移動部が回転移動を開始した後における前記軸ピンの第2の位置と、前記移動部が回転移動を開始する前における前記移動部の前記ある基準点との距離が、前記基準距離よりも長くなる方向に前記軸ピンの位置を移動させながら、前記軸ピンを中心として前記移動部が回転移動することを特徴とする回転機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転機構において、
前記第1案内部は、直方形状を有し、
前記軸ピンは、前記直方形状を有する第1案内部に倣って直線移動することを特徴とする回転機構。
【請求項4】
請求項1または2に記載の回転機構において、
前記第1案内部は、雲形形状を有し、
前記軸ピンは、前記雲形形状を有する第1案内部に倣って曲線移動することを特徴とする回転機構。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転機構において、
前記固定部に設けられた第2案内部と、
前記移動部に固定されるとともに、前記第2案内部に嵌合されたガイドピンと、をさらに設け、
前記移動部は、前記第1案内部の領域内において前記軸ピンを移動させながら、かつ、前記ガイドピンを前記第2案内部に倣って移動させながら、前記軸ピンを中心に回転移動することを特徴とする回転機構。
【請求項6】
請求項5に記載の回転機構において、
前記第2案内部は、複数の曲率を有していることを特徴とする回転機構。
【請求項7】
請求項5または6に記載の回転機構において、
前記第1案内部は、貫通孔を有する第1案内溝であり、
前記第2案内部は、貫通孔を有する第2案内溝であり、
前記軸ピンは、前記第1案内溝と嵌め合い、前記ガイドピンは、前記第2案内溝と嵌め合うことを特徴とする回転機構。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の回転機構を備えたドライブ・ベイ。
【請求項9】
請求項8に記載のドライブ・ベイを備えた筐体。
【請求項10】
請求項9に記載の筐体を備えた電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−283747(P2009−283747A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135165(P2008−135165)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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