説明

回転照射装置

【課題】回転照射装置の照射室床面を、扉式開閉床によって構成する。
【解決手段】回転照射装置(回転ガントリ)のフレーム1を、ビーム輸送機器7の外側に設け、照射装置8をオーバーハングして取り付けることにより、フレーム1のスラスト方向の長さを短くすることができ、治療台9を回転ガントリの内部に収納する必要がないことから、空間的な制約から回避でき、フレーム径が大きくなるために、床より下面にスペースを確保でき、扉式開閉床32という簡単な構造を採用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん治療で使用される放射線治療用の回転照射装置(以下、回転ガントリとする。)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、がん治療を目的とした放射線治療装置では陽子や重イオンを用いたがん治療装置の開発や建設が進められており、患者に対して任意の方向から照射するために回転照射装置(回転ガントリ)が設けられる場合が多い。
回転ガントリは照射装置を360度回転し、患者に対して任意の回転角度から荷電粒子ビームを照射するように構成され、照射装置が患者より下方に来た場合でも照射室内部の床面を確保するために工夫がされている。
【0003】
例えば図7は従来の技術(例えば、特許文献1参照。)を示す構成図である。図は回転ガントリの構造を示し、図において40は回転ガントリ、122は放射線照射部、126は後面パネル、42はガントリフレーム、44はフロントリング、46はリアリング、48は架台、50はサポートロール、52はガントリ駆動モータ、62は固定側リングレール、64はサポートリング、72は移動側リングレール、80は移動床通路、82は移動床、90はマグネットサポートを示す。
【0004】
次に動作について説明する。フロントリング44とリアリング46はガントリフレーム42及びマグネットサポート90によって連結されており、その内部にサポートリング64が設けられている。回転ガントリ40はガントリ駆動モータ52によって駆動され、回転する。この際にサポートリング64の内側に設けられた移動側リングレール72はサポートリング64の内面を回転できるように構成されており、回転ガントリ40の回転に同期して逆方向に回転する。これにより移動側リングレール72の位置は常に一定に保たれ、固定側リングレール62の案内と伴ってリンクで屈曲自在に連結された移動床82はかまぼこ型の形状を維持し、治療用ベッドの下側に水平なアクセスフロアを形成している。
【0005】
しかし、移動床82を案内するための固定側リングレール62や移動側リングレール72を精度よく加工する必要があるほか、移動側リングレール72を回転ガントリ40の回転に同期して回転させる必要があるため、構造が複雑となり製作コストが高くなるという問題がある。
また、移動床82においては回転ガントリ40の回転に応じてフロア面を形成する部分が変化し、結果フロア面であった部分が天井に達するケースも発生するためゴミなどの異物が患者の上に落下するという問題がある。これは移動床82がリンクで連結された多数の板であることから、ゴミなどの異物が引っかかりやすいということも影響している。さらに、移動床82に設けられた車輪が固定側リングレール62や移動側リングレール72の中を転動する際に騒音を発生し好ましくない。これはリングレールの水平と円弧との境目で大きく発生する傾向にある。
【0006】
また、別の従来技術として建屋側からデッキを必要に応じて張り出す方法についても記載されているが、治療台との干渉を避けるために構造が複雑となって製作コストが高くなるため問題である。
【0007】
【特許文献1】特開平11−47287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術における回転ガントリの場合には前述の通り、移動床82を案内するための固定側リングレール62や移動側リングレール72を精度よく加工する必要があるほか、移動側リングレール72を回転ガントリ40の回転に同期して回転させる必要があるなど、構造が複雑となり製作コストが高くなるという問題があった。
【0009】
また、移動床82においては回転ガントリ40の回転に応じてフロア面を形成する部分が変化し、結果フロア面であった部分が天井に達するケースも発生するためゴミなどの異物が患者の上に落下するという問題があった。これは移動床82がリンクで連結された多数の板であることから、ゴミなどの異物が引っかかりやすいということも影響している。
【0010】
また移動床82に設けられた車輪が固定側リングレール62や移動側リングレール72の中を転動する際に騒音を発生し好ましくない。これはリングレールの水平と円弧との境目で大きく発生する傾向にある。
【0011】
また、前述の特開平11−47287号公報の従来技術として建屋側からデッキを必要に応じて張り出す方法についても記載されているが、治療台及びその駆動装置との干渉を避けるために構造が複雑となり、結果、製作コストが高くなるため問題であった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造で最大限のアクセスフロアを確保すると共にゴミなどの落下防止や騒音低減も図ることで好適な回転ガントリを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係わる回転照射装置は、固定の床である治療台ベースに固定された治療台に乗せられる患者に対して、回転自在に荷電粒子ビームを照射する照射装置を有する回転照射装置において、上記照射装置が通過する部分が開閉される開閉式床、上記開閉式床を駆動する駆動機構を有する開閉機構、および荷電粒子ビームを輸送し先端に上記照射装置が配置されるビーム輸送機器を備え、上記回転照射装置のフレームを、上記ビーム輸送機器の外側に設けると共に、上記照射装置を上記フレームに対してオーバーハングするように取り付け、上記開閉式床は、中央部が扉式に構成され、開動作時に上記開閉式床の上記治療台ベースに接する一端を軸として下方に折り込まれる構造であり、両端部がスライド式に構成され、開動作時に上記開閉式床の上面であるフロア面に沿って水平面内を平行移動する構造とするものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の回転照射装置によれば、フレームをビーム輸送機器の外側に設け、照射装置をオーバーハングして取り付けることにより、フレームのスラスト方向の長さを短くすることができ、治療台を回転照射装置の内部に収納する必要がないことから、空間的な制約から回避でき、作業性が向上する。また、フレーム径が大きくなるために、結果、床より下面にスペースを確保でき、扉式開閉床という簡素化した構造を採用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
参考例1.
以下、参考例1を図に基づいて説明する。図1〜4は参考例1における構造を示す図であり、図1(a)は、回転ガントリ全体を示す回転ガントリの回転軸に沿う側面図、図1(b)は図1(a)とは別の回転ガントリ全体を示す図であり、回転軸に垂直な方向から回転ガントリを観察した側面図である。図2は開閉機構の側面図、図3は開閉機構のスライド式の開閉式床を示す上面図、図4が複数に細分化された開閉式床の端部を示す断面図である。
【0016】
図1において、符号1は回転ガントリのフレーム、2はフレームに設けられた回転リング、3は回転リング2を受けるローラーと回転駆動するモータや減速機が設けられた回転駆動装置、5は回転リング2を受けるリングとブレーキや減速機が設けられたブレーキ装置、6は360度回転する回転ガントリ内へ配線、配管を供給するケーブルスプール、7は回転ガントリに導入された荷電粒子ビームを照射装置8にまで輸送するビーム輸送機器であり、照射装置8は輸送された荷電粒子ビームを患者の照射患部にあわせて整形して照射するものである。
【0017】
さらに、符号9は患者を乗せる治療台、10はX線画像を得るII管装置、11は照射機器8が通過する部分の床を開閉する開閉機構、12は回転ガントリとII管装置10とともに回転する回転パネル、13は開閉機構11に固定された固定壁、14は回転ガントリと共に回転する回転壁、15は治療台9を設置する治療台ベース、16は建屋を示す。なお、治療台ベース15は固定式の床である。
【0018】
また図2において、符号17は開閉機構11における開閉式床、18は開閉式床17の先端に設けられた位置決めピン、19は開閉式床17に取り付けられたスライドレール、20はベース、21は開閉式床17をスライドさせる駆動機構であるエアーシリンダ、22はベース20に設けられフレーム1の内部を転動するローラー、23はベース20に設けられ開閉機構11のスラスト方向(回転軸方向)の動きと傾きを規制、案内するガイドローラー、24はガイドローラー23を案内するガイドレール、25は開閉式床17に設けられた移動スクレーパ、26は治療台側固定スクレーパを示す。その他の構成要素については図1と同様である。なお、回転ガントリの内面とローラー22によって開閉機構11のラジアル方向(円周方向)の位置規制がなされる。
【0019】
また図3において、符号17a〜17pは16台設けられた開閉式床17を個別に示す。その他の構成要素については図1及び図2と同様である。
また図4において、符号27は開閉機構側固定スクレーパを示す。その他の構成要素については図1、図2、図3と同様である。
【0020】
次に動作について説明する。図1で回転ガントリに導入された荷電粒子ビームは偏向電磁石や四極電磁石などによりなるビーム輸送機器7によって照射機器8まで輸送され、照射機器8で患者の照射患部の形状にあわせて整形された後に照射される。患者は治療台9の上に固定されて位置決めが行われており、所定の照射患部に荷電粒子ビームが照射される。治療台9は患者の照射患部が照射位置であるアイソセンターに一致するように動作させる必要があるため、通常は上下左右、前後、回転など多軸の位置決め動作が可能である。回転ガントリはこれに加えてビーム輸送機器7及び照射機器8を回転させることにより患者に対して360度自在な方向からビームを照射することを可能とするものであり、患者が仰向けの状態のまま様々な方向からビームを照射することができる。このことについては従来技術と同様である。
【0021】
この参考例1による回転ガントリの特徴は照射機器8が患者より下部に来た際に通過する床の部分を開閉させる開閉機構11を建屋側ではなく回転ガントリのフレーム1の内部に設け、開閉式床17の開動作時に占有するスペースなどの必要なスペースを確保したことにより、開閉機構11の構造を簡素化している点である。詳細について図2〜図4を用いて説明する。開閉式床17はエアーシリンダ21によって水平方向にスライドする構造となっており、床を閉じた状態では開閉式床17の先端に設けられた位置決めピン18が治療台ベース15に設けられた位置決め穴に挿入されて接続される。
【0022】
開閉式床17やエアーシリンダ21などが取り付けられたベース20はローラー22によって回転ガントリ内面に荷重が支えられており、回転ガントリが回転してもローラー22の転動と開閉機構11の自重により開閉機構11全体は常にフレーム1の内面中心と一致するように回転ガントリ内部の最下部に位置するように動作する。これには開閉機構11全体の重心が精度良く中心にある必要があり、また回転ガントリの回転中心とフレーム1内面との偏心が少なく、ローラー22による転がり摩擦が少ない方が好ましいため、フレーム1内面の転動する部分は機械加工するなどの処置を施した方が良い。
【0023】
また、フレーム1内部に設けられたガイドレール24を挟み込むようにしてガイドローラ23が設けられており、これが開閉式床17の両端に設けられているため、開閉式床17のスラスト方向の位置と傾きを規制している。
【0024】
次に照射装置8と開閉式床17の動作について図3を用いて説明する。照射装置8は患者に対して垂直上方の位置から±180度回転する。図3では照射装置8は図の上側から移動して最大の回転ストロークつまり真下の状態になる場合を示している。照射装置8が通過する部分にあたる開閉式床17a〜17lは開状態として照射装置8の通路を確保しているが、照射装置8の位置決めが完了し、停止すると通路となっていた17a〜17dについては閉じることが可能であるため、アクセスフロアを最大限に確保するためにこの部分については閉動作を行う。このように回転ガントリを回転させる際(移動時)には照射装置8の通過経路および停止位置となる位置に存在する開閉式床17を開き、回転(移動)が終了した後に閉じることが可能な部分については閉状態とすることでアクセスフロアを最大限に確保することが可能である。
【0025】
図3では開閉式床17を16個としているが、より細分化することにより照射装置8との隙間を小さくすることが可能である。
この様に照射装置8の移動する位置に応じて開閉する床を判断していることになるが、通常回転ガントリは0.1度などの細かな精度で位置決めする必要があり、シーケンサーやコンピューターなどのコントローラーによって制御されるため、この様な判断は容易に行うことが可能である。
また、開閉式床17の開閉について、回転させる前に開閉式床17を開動作させ、回転終了後に閉動作可能な部分を閉動作させるように記述したが、照射装置8の位置に同期させて開閉させても同様の効果を奏する。
【0026】
また、回転停止後に閉動作可能な開閉式床17を判断して閉動作させるように記述したが、エアーシリンダ21の推力で照射装置8を壊さない様に考慮して構成すれば、通路として開動作させた全ての開閉式床17を閉動作させ、照射装置8が停止し存在する位置にある開閉式床17は照射装置8に当たって停止させるという簡単な動作とすることが可能である。
【0027】
上記のように動作させることにより開閉式床17a〜17pのうち少なくとも4個は常に閉状態とすることができるため、開閉式床17の先端にある位置決めピン18によって固定の床となる治療台ベース15と接続固定され、開閉機構11全体の回り止めとしても作用する。これは回転ガントリの回転ストロークを下方での位置決め及び微調整を考慮して±190度程度に延長した場合においても照射装置8の通路または停止位置とならない位置に存在する最低一つの開閉式床17が固定の床である治療台ベース15側と接続できていれば回り止めとしては同様の効果を得ることが可能である。
【0028】
また、最悪の場合、開閉式床17pの位置まで照射装置8が移動するようなケースが発生しても一度真下の状態で停止し、回転の上流側に位置する開閉式床17a〜17dを閉じてから再度回転させるなどの方法で必ず最低一ヶ所を閉じた状態とすることが可能であるので回り止めとしては同様の効果を得ることが可能である。
【0029】
次にゴミなどの異物に関する対策について説明する。まず回転ガントリ内部の治療室の内装については治療台9から見て最も奥にあたる開閉機構11のローラーが転動する部分については固定壁13が内装として設けられており、ベース20に固定されるため回転しない。固定壁13より治療台9側についてはフレーム1に固定されフレーム1と共に回転する回転壁14が設けられている。固定壁13を設けることによりローラー22がフレーム1の内面を転動した際に生じる擦り傷を隠すことが可能である。また、前述の通り、ローラー22が転動する面については精度が要求されるため、治療室の内装をローラー22が摺るように構成すると内装の材質などの選択自由度が低下するため好ましくない。
【0030】
次に開閉式床17の構造についてさらに詳細に説明する。図4は開閉機構11を構成する開閉式床17の端部の断面図を示す図であり、図に示す通り開閉式床17は隣接する開閉式床17と一部がオーバーラップするような形状とされており、フロア面に落下したゴミが直接落下しない様にしている。また、万一ゴミが回転壁14あるいはフレーム1の内面に落下した場合でも回転ガントリの回転によってゴミなどの異物がフロア面より上に行かない様、移動スクレーパ25、治療装置側固定スクレーパ26、開閉機構側スクレーパ27が作用する。
【0031】
結果、回転ガントリを回転させてもゴミなどの異物が上から落下するという問題を防止することできる。また、フロア面だけを清掃すれば良いことになるのでメンテナンスが容易となる。
それぞれのスクレーパはフレーム1、回転壁14の内面を削ぐように内面に沿わせて設けることで埃などの微細な異物もフロア下面に封じ込めることが可能であるが、回転壁14の内装面を保護する意味から微細なギャップを設けて設置しても良い。また、スクレーパの接触面をゴムなどの柔らかい材質で構成するか、ばねを用いて弱い力で押しつけて保護するなどしても良い。
【0032】
上記のように、照射装置8の通過する部分を細分化した開閉式床17とし、開閉式床17およびその駆動機構を有する開閉機構11を回転ガントリのフレーム1内に納められるように構成したので、治療台9およびその駆動装置との干渉を防止することができ、簡単な構成で最大限のアクセスフロアを確保することが可能である。
また、ゴミなど異物の落下を防止することが可能であるとともにメンテナンスも容易とすることが可能である。
【0033】
さらに、リニアガイドでスライドするように構成された開閉式床17をエアーシリンダ21によって開閉するだけであるので、不要な騒音の発生が無く、患者にとって不快感を与えない快適な環境を実現することが可能である。 また、上記の例ではエアーシリンダ21を用いて開閉式床17を駆動する場合を示したが、油圧シリンダやモータシリンダ、モータとボールネジ、モータとチェーンなどの機構や駆動方法としても良い。
【0034】
参考例2.
上記参考例1では、開閉式床17はエアーシリンダ21を用いて個別に動作させていたが、ばねを介することによって複数個の開閉式床17をまとめて動作させてもよい。
図5は参考例2における構成を示す図である。図において、符号28は開閉式床17に取り付けられたばね、29は駆動機構であるエアーシリンダ21によってスライドするスライドベース、30はスライドベース29に取り付けられたスライドベース用スライドレール、31はベースを示す。その他の構成要素については参考例1における図1〜図4に示すものと同様である。
【0035】
次に動作について説明する。図5においてローラー22、ガイドローラー23、ガイドレール24、位置決めピン18などによって開閉機構全体の位置が規制されており、開閉式床17は照射装置8が通過する際に開動作させることについては参考例1と同様である。参考例1と異なるのは開閉式床17がばね28を介してスライドベース29に取り付けられ、エアーシリンダ21はスライドベース29をスライド動作させる点である。またスライドベース29にばねを介して取り付けられる開閉式床17はひとつではなく、複数個取り付けられている。ここで複数個とは例えば4個の開閉式床17をひとつのスライドベース29で動作させることをいう。
【0036】
このばね28を開閉式床17とスライドベース29との間に介在させることによって、複数の開閉式床17をひとつのエアーシリンダ21で動作させた場合でも照射装置8に当たった開閉式床17については、ばね28を圧縮させることでスライドベース29の動作を妨げること無く停止させることができる。照射装置8に当たらなかった開閉式床17については完全に閉動作が行われる。
【0037】
上記のような構成とすることにより、ひとつのエアーシリンダ21で複数の開閉式床17を動作させることが可能であり、構造を簡素化することができ、開閉式床17の分割数を増やす場合においても参考例1と比較してより容易に対応することが可能である。これにより照射装置8と開閉式床17との隙間を小さくしてアクセスフロアを最大限に確保することが可能である。
また、照射装置8の回転停止後に通路に位置した開閉式床17を閉動作させる際に、開動作したスライドベース29全てを閉動作させるだけで良いため、制御ロジックを簡素化することが可能である。
【0038】
なお、照射装置8の回転停止後における開閉式床17の閉動作は、開動作した全てのスライドベース29について行うように記述したが全ての開閉式床17が照射装置8に当たって停止する場合には閉動作を行わないという判断をさせても良い。
また、この参考例2ではエアーシリンダ21を用いて開閉式床17を駆動する例を示したが、油圧シリンダやモータシリンダ、モータとボールネジ、モータとチェーンなどの機構や駆動方法としても良いことは言うまでもない。
【0039】
実施の形態1.
上述の参考例1では、開閉機構11を回転ガントリのフレーム内部に組み込むことにより装置として必要なスペースを確保するように構成したが、照射装置8をフレーム1に対してオーバーハングして取付けることでフロア部分のスペースを確保し、そのスペースに開閉機構11を設けても良い。
図6は実施の形態1における構成を示す図である。図において、符号32は扉式開閉床(開閉式床の一種)を示す。その他の構成要素については参考例1における図1〜図4に示すものと同様である。
【0040】
参考例1の場合と異なり、フレーム1はビーム輸送機器7の外側に設けられ、ビーム輸送機器7の先端に位置する照射装置8がフレーム1に対してオーバーハングして取り付けられている。また、回転リング2はフレーム1の両端に設けられておりそれぞれ回転駆動装置3、ブレーキ装置5が設けられている。また、照射装置8をオーバーハングして取り付けるように構成したことにより回転壁14を任意の大きさとすることが可能となり参考例1と比較して大径化している。さらに、治療台9を回転ガントリ内部に入れる必要がなく、空間的な制約から回避でき、作業性が向上する。
これによりフロア面より下部のスペースを確保することが可能となり、この実施の形態1ではこのスペースを利用して建屋側に開閉機構11を設けている。
【0041】
扉式開閉床32は治療台ベース15にピンなどによって回転可能な構成として取り付けられておりエアーシリンダ21によってフロア面を構成したり格納したりして動作する。この様な方式は治療台9及びその駆動装置と干渉する中央部分のみであり、干渉の問題が無い両端については参考例1にあるようなスライド式の開閉式床とし、回転壁14との干渉を防いでいる。
【0042】
上記のような構成とすることにより、開閉機構11を建屋側に設けることが可能となり、より簡素化することが可能である。
また、回転壁14の内径を大きくすることが可能であり、治療の際に医療スタッフの作業性を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】参考例1における回転ガントリ全体を示す側面図である。
【図2】参考例1における開閉機構を示す側面図である。
【図3】参考例1における開閉式床を示す上面図である。
【図4】参考例1における開閉式床を示す断面図である。
【図5】参考例2における開閉機構を示す側面図である。
【図6】この発明の実施の形態1における回転ガントリ全体を示す側面図である。
【図7】従来の技術を示す図である
【符号の説明】
【0044】
1 フレーム、2 回転リング、3 回転駆動装置、
5 ブレーキ装置、6 ケーブルスプール、7 ビーム輸送機器、
8 照射装置、9 治療台、10 II管装置、11 開閉機構、
12 回転パネル、13 固定壁、14 回転壁、15 治療台ベース、
16 建屋、17(a〜p) 開閉式床、18 位置決めピン、
19 スライドレール、20 ベース、21 エアーシリンダ、
22 ローラー、23 ガイドローラー、24 ガイドレール、
25 移動スクレーパ、26 治療台側固定スクレーパ、
27 開閉機構側固定スクレーパ、28 ばね、
29 スライドベース、30 スライドベース用スライドレール、
31 ベース、32 扉式開閉床。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定の床である治療台ベースに固定された治療台に乗せられる患者に対して、回転自在に荷電粒子ビームを照射する照射装置を有する回転照射装置において、上記照射装置が通過する部分が開閉される開閉式床、上記開閉式床を駆動する駆動機構を有する開閉機構、および荷電粒子ビームを輸送し先端に上記照射装置が配置されるビーム輸送機器を備え、上記回転照射装置のフレームを、上記ビーム輸送機器の外側に設けると共に、上記照射装置を上記フレームに対してオーバーハングするように取り付け、上記開閉式床は、中央部が扉式に構成され、開動作時に上記開閉式床の上記治療台ベースに接する一端を軸として下方に折り込まれる構造であり、両端部がスライド式に構成され、開動作時に上記開閉式床の上面であるフロア面に沿って水平面内を平行移動する構造であることを特徴とする回転照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−192297(P2006−192297A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98334(P2006−98334)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【分割の表示】特願2000−71757(P2000−71757)の分割
【原出願日】平成12年3月15日(2000.3.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】