説明

回転照射装置

【課題】
年間当りの治療人数を増加させることにある。
【解決手段】
回転照射装置は、粒子線治療に使用されるイオンビームを輸送するビーム送装置11及び照射装置4が設けられる回転ガントリー3,回転ガントリー3のフロントリング19を支持するラジアル支持装置61A,61B、及び回転ガントリー3のリアリング20を支持するラジアル支持装置61A,61Bを備えている。これらのラジアル支持装置61A,61Bは、リニアガイド41をそれぞれ設けている。ラジアル支持装置61A,61Bにおいて、リニアガイド41より上方の上部支持体は、リニアガイド41よりも下方の下部支持体に、回転ガントリー3の回転軸方向に移動可能に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転照射装置に係り、特に、イオンビームを患部に照射するのに好適な回転照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子線治療装置であるイオンビーム照射システムは、陽子及び炭素イオンなどのイオンビームを患部に照射してがんを治療する装置である。イオンビーム照射システムは回転照射装置である回転ガントリーを備えている。回転ガントリーは、例えば特許文献1に示されるように、フロントリング,リアリング及びこれらを接続するガントリー胴部を有する。イオンビームを導くビーム輸送装置(ビーム経路)及び照射装置(照射ノズル)がガントリー胴部に設けられる。フロントリング及びリアリングは、それぞれ複数の回転自在なローラを含むラジアル支持装置によってそれぞれ支持されている。具体的には、各ラジアル支持装置に設けられた各ローラがフロントリングまたはリアリングを支持する。リアリングを支持するそれらのローラの一部がモータによって回転されることによって、回転ガントリーが回転される。この回転ガントリーの回転は、患部に対するイオンビームの照射方向に照射装置を向かせるのに貢献する。
【0003】
特許文献2は、粒子線治療装置の回転ガントリーにおいて、リアリングを、ローラを有する支持装置によって支持すること、及びベース部に設置されるフロント支持フレームに旋回環を介してフロントリングを支持することによって、フロントリングを支持することをそれぞれ開示している。旋回環は、リアリングを旋回可能にフロント支持フレームに設置する。フロント支持フレームは、ベース部にピンにより回動自在に接続される脚部に設置されている。脚部は、ピンによって、回転ガントリーの回転軸方向に傾き可能になっている。このため、リアリングも、回転ガントリーの回転軸方向に傾き可能である。これは、ベッドと回転ガントリーとの相対位置のずれを防止できる。
【0004】
特許文献3も、粒子線治療装置の回転ガントリーに言及している。この回転ガントリーは、それぞれローラによって支持された2つの回転リングを備え、長期間安定した回転中心位置精度を保つために、少なくとも一方の回転リングを挟むようにその回転リングの両側面に接触した一対の駆動ローラがその回転リングを回転させる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−47287号公報
【特許文献2】特開2000−140134号公報
【特許文献3】特許第3599995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粒子線治療装置では治療の際に、患部にイオンビームの照射位置が設定される。治療精度を向上させるためには、その照射位置は回転ガントリーの回転に伴って変動しないことが望ましい。しかし、実際には回転ガントリーに設けられた偏向電磁石等の重量による回転ガントリーの変形などが原因で、イオンビームの照射位置は回転ガントリーの回転によって3次元的な振れ回りを生じる。この照射位置の3次元的な振れ回りの中心はアイソセンタ(照射目標中心)と呼ばれている。粒子線治療装置の基本性能として、イオンビーム照射位置の3次元的な振れ回りがこのアイソセンタを中心とする直径数mmの球の内部に収まることが要求される。
【0007】
この要求を満足するためのアイソセンタを高精度化する一つの手段は、フロントリングとリアリングを接続するガントリー胴部に高剛性の構造を採用してガントリー胴部自身の変形量を小さくすることである。この構成は3次元的な振れ回りを大幅に改善できる。
【0008】
回転ガントリー胴部の高剛性化では対処できないもう一つの照射位置の誤差変動要因がある。例えば、ラジアル支持装置の回転自在なローラとフロントリング及びリアリングの回転軸が完全に平行であるならば、回転ガントリーは回転時に自ら軸方向に動くことはない。しかしながら、実際には、(a)回転ガントリーの構成部材の機械加工及び組み立ての誤差、(b)回転ガントリーの据え付け時における調整誤差、(c)建屋の経年変化、及び(d)各リングとローラの磨耗による微小な高さの変化等によって、ラジアル支持装置のローラの回転軸とフロントリング及びリアリングの回転軸とは完全に平行にはならない。このような要因で起こる相互の回転軸のずれにより、リングとローラの軌道面間において図1に示すようなローラ軌道面の回転分力のうち軸方向に働く力(軸方向分力)の作用によりガントリーは軸方向に動こうとする(この動きをスキューと称する)。図1(a)において、ローラB(後述のローラ22に相当)にそれよりも直径の大きなローラA(後述のリアリング20に相当)が接触して回転しているとする。この場合、ローラAの自重をP、ローラAとローラBとの間の摩擦係数をμとすると、Pμのローラ回転力が図1
(a)に示す方向に発生する。上記した理由により、ローラAの回転軸が、図1(b)に示すように、ずれ量eだけずれた場合には、ローラAの回転軸の、軸方向からのずれ角をθとすると、図1(c)に示すように、ローラAの回転軸がずれた状態でのローラ回転力Pμに起因して、ローラAの軸方向に、ローラ回転力Pμの軸方向分力Pμθが発生する。この軸方向分力Pμθの作用により、ローラAは軸方向に動くのである。
【0009】
特許文献1に記載されたラジアル支持装置は据え付け基礎部に固定されているので、ラジアル支持装置は回転ガントリーの軸方向に動き得ない。その結果、回転動作に伴って回転ガントリーが軸方向や水平方向に動くことになり、これが照射位置の3次元的な振れ回りをさらに大きくすることになる。
【0010】
回転ガントリーの軸方向の動きを抑える一つの方法は、2つのスラスト支持装置の間に回転ガントリーを配置してリアリングの外側の側面、及びフロントリングの外側の側面をそれぞれのスラスト支持装置によって回転ガントリーを強制的に軸方向に押え付けて回転ガントリーの軸方向の動きを拘束する方法である。しかし、この方法ではスラスト支持装置が大きな反力を受けるので、スラスト支持装置の剛性を非常に大きくする必要がある。さらに、軸方向を大きなスラスト力で押え付ければ押え付けるほど回転ガントリーのそれらのリングと対応するスラスト指示装置のスラストローラの間に働く摩擦抵抗力が大きくなる。その結果としてより、大きな回転駆動力が必要になる。また、軸方向を大きなスラスト力で押え付ければ押え付ける程、ラジアル支持装置のスラストローラとフロントリング及びリアリングの磨耗も激しくなり、回転ガントリーの軸方向の動きを助長することになる。
【0011】
回転ガントリーの軸方向の動きを抑制するもう一つの方法は、特許文献3に示すように、回転ガントリーの回転駆動機能をラジアル支持装置のローラに与えず、回転駆動と制動を行う機構を別に設ける方法である。この方法は、回転ガントリーのスキュー的な動きを抑えるために、駆動機構とガントリーの自重を支えるラジアル支持装置の機能を分離する方法である。しかしながら、この方法でも、前述の(a)〜(d)の理由により、スキューが発生する。
【0012】
例えば、特許文献3の図4に示す構造は、回転リングの周辺部に歯車を形成し、この歯車とモータに連結したピニオンを噛み合せて、回転ガントリーを回転させる。この構造は、歯車とピニオンの噛み合い部に使用開始初期からバックラッシュが存在し、さらには長期間の使用によって歯車とピニオンの磨耗が進行してバックラッシュが更に大きくなる。このバックラッシュの影響により、回転ガントリー回転精度(例えば、±0.25° 以下の停止精度)の維持が困難である。また、回転ガントリーを所定角度に位置決めした後、患部付近の画像からの位置情報をもとに、回転ガントリーを微小な角度だけ回転させて位置の修正ができる機能(インチング機能)が必要になりつつある。しかし、バックラッシュの存在は、特に回転ガントリーの回転方向が反転するときにバックラッシュの分だけ回転角度を狂わせすため、±0.25° 以下の回転精度の短時間での達成、及びインチング機能の実現は困難となる。
【0013】
特許文献3の図1のように駆動ローラを回転リングの側面と接触させて回転ガントリーを回転させる構造、更には、特許文献2の回転ガントリーの構造でも、(a)〜(d)の理由でスキューが発生する。
【0014】
回転ガントリーのアイソセンタを高精度化し、しかもその精度を維持するためには、その軸方向の動きを発生させる前記した(a)〜(d)の要因を排除する機能を回転ガントリーが装備することが重要である。
【0015】
(a)及び(b)の要因による寸法誤差を出来るだけ吸収できる機能を装備し、容易に精密アライメントが実現できることや、(c)及び(d)の要因による経年的な回転軸のずれをいち早く発見する監視機能とそれを容易に修正できる機能を装備することは、回転ガントリーの据付調整期間またはメンテナンス時間の短縮を図れる点で、よりスループットの高い回転照射装置を実現できる。
【0016】
本発明の目的は、年間当りの治療人数を増加できる回転照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する本発明の特徴は、照射装置が設けられた回転体の、回転体の回転軸方向における動きを拘束する複数のスラスト支持装置と、前記回転体と接触して前記回転体の一端部を支持する回転自在な複数のローラを有する第1回転体支持装置と、前記回転体と接触して前記回転体の他端部を支持する回転自在な複数のローラを有し、前記複数のローラを有する第2回転体支持装置とを備え、
前記第1及び第2回転体支持装置のうち少なくとも前記第1回転体支持装置が、前記回転軸方向に移動可能であることにある。
【0018】
このような特徴を有する本発明は、複数のスラスト支持装置によって、回転体の上記回転軸方向への動きを拘束しており、回転軸方向に移動可能な回転体支持装置(第1及び第2回転体支持装置のうち少なくとも第1回転体支持装置)が回転軸方向に移動可能であるため、回転体を支持するローラの回転軸と回転体の回転軸のずれに起因して生じるローラと回転体の回転軸方向における相対的な動きを上記回転体支持装置が回転軸方向に動くことによって吸収することができる。したがって、回転体自身の回転軸方向の動きは極めて小さくなり、照射位置の3次元的な振れ回りが極めて小さくなる。このため、照射装置から出射されるイオンビームの照射精度が著しく向上し、イオンビームの治療対象への照射を極めて正確に行うことができる。また、治療対象へのイオンビームの照射の集中度が向上するため、治療時間を短縮でき、年間当りの治療人数を増加できる。すなわち、本発明の回転照射装置を適用した粒子線治療装置はスループットを向上することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、年間当りの治療人数を増加できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施例である回転照射装置を、図面を用いて以下に説明する。
【0021】
(実施例1)
本発明の好適な一実施例である実施例1の回転照射装置を、図2〜図6を用いて説明する。本実施例の回転照射装置は、粒子線治療装置(イオンビーム照射システム)に含まれる構造物である。回転照射装置は、回転ガントリー3,回転体支持装置2A,2B、照射装置4,ビーム輸送装置11,回転駆動装置であるモータ30,フロントスラスト支持装置46及びリアスラスト支持装置47を備えている。回転ガントリー3は、円筒形状のガントリー胴部18、このガントリー胴部18のフロント側端部に設けられたフロントリング(第1環状部材)19、及びガントリー胴部18のリア側端部に設けられたリアリング(第2環状部材)20を有している。フロントリング19は、ガントリー胴部18内に形成された治療室(図示せず)内に治療台13を挿入する側に配置される。ビーム輸送装置11がガントリー胴部18に設置される。ガントリー胴部18には、ビーム輸送装置11にて輸送されたイオンビームを患者に照射する照射装置4が設けられる。ビーム輸送装置11及び照射装置4の設置位置とは180°反対側でガントリー胴部18に、回転ガントリー3の回転バランスを取るために、バランスウエイト21が設けられている。
【0022】
回転ガントリー3は、回転体支持装置2A及び回転体支持装置2Bによって支持される。すなわち、回転ガントリー3は、フロントリング19に接触する、回転体支持装置2Aの回転可能な複数のローラ22、及びリアリング20に接触する、回転体支持装置2Bの回転可能な複数のローラ22によって支持される。回転体支持装置2Aと回転体支持装置2Bは構造がほぼ同じであるため、回転体支持装置2Aの構造を以下に説明する。
【0023】
回転体支持装置2Aは、図4に示すように、回転ガントリー3の回転軸を通る垂線に対して対象となるように配置されるラジアル支持装置61A,61Bを有する。
【0024】
ラジアル支持装置61Aは、図2及び図4に示すように、基礎ベース23,中間ベース40,リニアガイド41,台座24,リンクフレーム25及び複数のローラ22を有する。基礎ベース23は、据付け対象部である、粒子線治療装置を内蔵する建屋の床に設置される。中間ベース40は、基礎ベース23に設置されるジャッキ装置44によって支持される。ジャッキ装置44は、高さ方向における回転ガントリー3の回転軸の位置調整を行う。一対のリニアガイド41は、中間ベース40にそれぞれ取り付けられ、台座24を支持する。複数のローラ22が取り付けられるリンクフレーム25は、台座24に設置される。建屋及び地盤の経年変化量が数mm以下と予想される場合は、高さ調整機構として、ジャッキ装置44の替りにテーパライナーを使用しても良い。テーパライナーはジャッキ装置に比べて高さ調整量は小さいが、テーパライナーを用いることによって比較的安価に高さ調整が可能となる。
【0025】
リンクフレーム25は、台座24に設置されたブラケット26,ブラケット26に回転可能に設けられた第1リンク部材27、及び第1リンク部材27に回転可能に設置された一対の第2リンク部材28を有する。複数のローラ22、例えば2個のローラ22がそれぞれの第2リンク部材28に回転可能に取り付けられている。一対の第2リンク部材28に設けられた複数のローラ22が、フロントリング19の外周面に沿って配置され、フロントリング19を支持している。地震などに起因する、回転軸と直交する方向への回転ガントリー3の異常な動きを抑制するために、第1リンク部材27の所定の角度以上の回転を阻止する一対のストッパー(傾き制限装置)38が台座24に設けられている。
【0026】
中間ベース40は、回転ガントリー3の回転軸方向、及び回転軸方向と直交する方向に移動できる。中間ベース40の位置調整装置64が基礎ベース23に設置される。位置調整装置64は、回転ガントリー3の回転軸方向における中間ベース40の位置を調整する第1位置調整装置、及びその回転軸方向と直交する方向における中間ベース40の位置を調整する第2位置調整装置を含んでいる。第1位置調整装置はアイソセンタの位置を軸方向に調整する装置であり、第2位置調整装置は回転ガントリー3の回転軸の位置を上記直交する方向に調整する装置である。第1位置調整装置は、図2に示すように、調整ボルト支持部材63及び位置調整ボルト39bを有する。調整ボルト支持部材63は、上記回転軸方向において、中間ベース40を間に挟んで向かい合って配置され、基礎ベース23に設置されている。位置調整ボルト39bは調整ボルト支持部材63のネジ孔と噛み合っており、位置調整ボルト39bの先端は中間ベース40の一側面と向かい合っている。第2位置調整装置は、図4に示すように、調整ボルト支持部材62及び位置調整ボルト39aを有する。調整ボルト支持部材62は、上記直交する方向において、中間ベース40を間に挟んで向かい合って配置され、基礎ベース23に設置されている。位置調整ボルト39aは調整ボルト支持部材62のネジ孔と噛み合っており、位置調整ボルト39aの先端は中間ベース40の他の一側面と向かい合っている。
【0027】
リニアガイド41の詳細な構成を説明する。リニアガイド41の設置により、リニアガイド41よりも上方に位置する、ラジアル支持装置61Aの上部支持体は、リニアガイド41よりも下方に位置する、ラジアル支持装置61Aの下部支持体に対して、回転ガントリー3の回転軸方向に移動可能となる。すなわち、回転ガントリー3が、その回転軸方向に自在に動き得るようになる。本実施例では、上部支持体は台座24、リンクフレーム
25及びローラ22を有する。また、下部支持体は基礎ベース23及び中間ベース40を有する。一対のリニアガイド41が中間ベース40と台座24の間に設けられる。各リニアガイド41は、図5(a)に示すように、ガイドブロック41a,リニアレール41bを備える。ガイドブロック41aは台座24に取り付けられ、リニアレール41bは中間ベース40に取り付けられる。リニアレール41bは、長手方向が回転ガントリー3の回転軸方向を向くように、中間ベース40に形成された凹部内に配置され、楔形をしたウエッジ57c,57dを操作することによってその凹部の一つの側面に押し付けられて中間ベース40に設置されている。楔形の一対のウエッジ57a,57bは、相互の楔形の側面を対向させてガイドブロック41aと台座24に設けられた突起部65との間に配置され、相反する方向にスライドさせることによって、ガイドブロック41aを、水平方向でかつ回転ガントリー3の回転軸と直交する方向における所定の位置に位置させる。リニアガイド41は、ガイドブロック41aとリニアレール41bとの間に複数のローラ66を配置している。これらのローラ66は、リニアレール41bの側面とガイドブロック41aに形成された上記凹部の側面との間、及びリニアレール41bの頂部と前述の凹部の底面との間に配置され、回転ガントリー3の回転軸方向(リニアレール41bの長手方向)にも複数配置されている(図2参照)。両端部を除いた部分において、ガイドブロック41aとリニアレール41bとの間に空間が形成され、この空間内に複数のローラが配置される。リニアレール41bの頂部上に配置された複数のローラ66は、ガイドブロック41a、すなわち台座24を支持する。リニアガイド41の上記回転軸方向への移動量を規制するために、一対のストッパー(ストッパー部材)35が、その回転軸方向において、ガイドブロック41aを挟むように中間ベース40に取り付けられる。
【0028】
複数のローラを備えたリニアガイド41は、フロントリング19とローラ22との接触面に作用する摩擦係数に比べ小さい摩擦係数を有し、回転ガントリー3の回転軸方向にのみ自在に動き得る構造で、回転軸方向と直交する方向の捩じり剛性も高い。また、ローラを有するリニアガイド41は、質量の重い高剛性の回転ガントリー3を長期間支持でき、これは、一般的なガイドとレールの間をボールで支持した物と同等の摩擦係数を保持しながらも、ガイドブロック41aとボールの間もしくはリニアレール41bとボールの間に作用するヘルツ応力を低くできる。このため、リニアガイド41は、回転軸方向におけるスムーズな動きをより長期間与えることができる。リニアガイド41は、回転軸方向に移動可能な移動部材である。
【0029】
ラジアル支持装置61Bは、以上に述べたラジアル支持装置61Aと同じ構成を有する。ラジアル支持装置61Aとラジアル支持装置61Bは、相互の台座24にディスタンスピース42を取り付けることによって連結される。ディスタンスピース42によってラジアル支持装置61Aとラジアル支持装置61Bが連結されていない場合は、回転ガントリー3の回転軸方向と直交する方向(水平方向で)に回転ガントリー3の自重のその直交する方向の分力が作用するので、リニアガイド41が早期に偏磨耗する可能性がある。本実施例のように、ラジアル支持装置61A,61Bをディスタンスピース42で連結することによって、その直交する方向の分力を打ち消すことができ、リニアガイド41の偏磨耗を防ぐことができる。更に、直交する方向の分力を打ち消すことによって、リニアガイド41をそれぞれ設置したラジアル支持装置61A,61Bを同調して回転軸方向に自由に動かすことができる。ラジアル支持装置61A,61Bは、それぞれ一個のローラ22に回転検出器45を設置している。
【0030】
次に、リアリング20を支持する回転体支持装置2Bを、図2及び図3を用いて説明する。回転体支持装置2Bも、ラジアル支持装置61A,61Bを有する。ラジアル支持装置61Aとラジアル支持装置61Bの各台座24は、ディスタンスピース(連結部材)
42によって連結されている。回転体支持装置2Bにおいては、ラジアル支持装置61A,61Bは、それぞれ1個のローラ22に減速装置(図示せず)を介して回転力を与えるモータ30が連結されている。回転ガントリー3は、モータ30の回転駆動力がリアリング20とローラ22の摩擦によって伝えられることで回転する。回転体支持装置2Bに含まれるラジアル支持装置61A,61Bは、それぞれ残りの3個のローラ22にブレーキ装置32を設置している。ブレーキ装置32は、回転ガントリー3の回転時には供給される空気によってローラ22に対する制動力を開放しており、緊急停止時等には空気の排出によってローラ22に対し制動力を付与する。この制動力がリアリング20とローラ22の摩擦によってリアリング20に伝えられることによって回転ガントリー3の回転を停止させる。ブレーキ装置32へのエアの供給・排出の切り替えは、電磁弁31により行われる。電磁弁31が閉じるとブレーキ装置32に供給された空気が封入され、開くとブレーキ装置32から空気が排出される。
【0031】
図3に示すように、回転体支持装置2Bは、モータ30に連結された2個のローラ22、及びブレーキ装置32に連結された6個のローラ22が、回転ガントリー3の回転軸を通る垂線に対して左右対称となるように配置されている。このような配置により、モータ30の回転駆動力及びブレーキ装置32の制動力がバランスよく回転ガントリー3に伝えられる。また、モータ30,ブレーキ装置32及び電磁弁31が、回転ガントリー3のリア側に配置されることにより、それらのメンテナンス性が向上する。
【0032】
本実施例では、回転体支持装置2A,2Bは、それぞれの2つのラジアル支持装置に、2個のリニアガイド41をそれぞれ備えている。しかし、回転ガントリー3,ビーム輸送装置11及び照射装置4等のラジアル支持装置に加わる重量が重く、リニアガイド41に作用する荷重がそのリニアガイド41の許容荷重を超える場合、1基のラジアル支持装置2に3個以上のリニアガイド41を設置しても良い。ガイドブロック41aとリニアレール41bの間にローラを配置しているリニアガイド41に替えて、ガイドブロック41aとリニアレール41bの間にボールを配置したリニアガイドを使っても良い。このような構造に採用することで、ラジアル支持装置は軸方向に自由に動き得る。
【0033】
回転体支持装置2A,2Bは、それぞれ、2基の台座24を有しており、各台座24にそれぞれ1つずつリンクフレーム25を設置している。このため、回転体支持装置2A,2Bは、それぞれ8個のローラ22によって、フロントリング19及びリアリング20の周方向の8箇所をそれぞれ支持している。このようなフロントリング19及びリアリング20をそれぞれ8個のローラ22によって支持する構成は、水平方向で回転ガントリー3の回転軸と直交する方向への回転ガントリー3の動きを小さくする。
【0034】
本実施例は、水平方向で回転ガントリー3の回転軸と直交する方向への回転ガントリー3の動きを小さくするために、更に、以下に述べる2つの対策を講じている。その対策の1つは、リンクフレーム25、及びそれを支える台座25の剛性を上げるだけでなく、前述したように、地震などによる回転軸と直角な方向への回転ガントリー3の異常な動きに備え一対のストッパー38を台座24に設けることである。対策の他の1つは、前述したウエッジ57a〜57dを用いてのガイドブロック41a及びリニアレール41bの芯だしを調整できる構造としたことである。ウエッジ57a,57bは、回転軸と直角な方向への回転ガントリー3の動きを拘束する移動拘束装置である。また、ウエッジ57c,
57dも、移動拘束装置である。
【0035】
以上述べた回転ガントリーの回転軸と直角な方向への回転ガントリー3の動きを小さくする装置(または構造)を備えることによって、回転ガントリー3の据付時のミスアライメントまたは建屋及び地盤の経年変化が原因で照射位置の三次元的な振れ回りが大きくなった場合、迅速にアライメント調整することで、軸方向の変位を少なくし三次元的な振れ回りを修正することができる。
【0036】
回転体支持装置2A,2Bは、それぞれの第2リンク部材28にガイドローラ43を設置している。ガイドローラ43は1個の第2リンク部材28に2個ずつ設けられている。これら2個のガイドローラ43は、フロントリング19(またはリアリング20)を間に挟むように配置され(図2参照)、フロントリング19(またはリアリング20)との間に隙間を設けて配置される(図6参照)。この隙間は、フロントリング19及びリアリング20の機械加工時の加工誤差によるリング幅方向の形状変形の影響を、常時、ガイドローラ43を介して各ラジアル支持装置に伝えないようにする上で、大切である。しかし、その隙間は、各リングの機械加工誤差だけでなく、ガイドローラ43を構成する部品の加工誤差及び組立誤差の影響を受けるため、一定に保つことが困難である。そこで、本実施例では図6に示すように、各々のガイドローラ43は、ガイドローラ43を支持する軸とリアリング20(またはフロントリング19)との間の距離を調節できるように、第2リンク部材28に設置されている。すなわち、各ガイドローラ43の軸は、図6(a)に示す軸の移動範囲において、フロントリング19(またはリアリング20)の側面と直交する方向(回転ガントリー3の回転軸方向)に移動できるように第2リンク部材28に設置されている。その距離を調節することによって、ガイドローラ43とリアリング20(またはフロントリング19)との間の隙間を容易に調整することができる。
【0037】
回転体支持装置2Aは、第2リンク部材28にガイドローラ43が2個ずつ設置されているので、フロントリング19(またはリアリング20)は周方向の位置が異なる4箇所で、ガイドローラ43によって軸方向の傾き量を調整できる。このように、ガイドローラ43を各リングの周方向の異なる位置に多数配置することによって、水平方向で回転ガントリー3の回転軸と直交する方向における傾き量を細かく設定できる。ガイドローラ43と各リングの間に設ける隙間は、少なくともラジアル支持装置2A,2Bの回転軸方向に動き得る量を規制するストッパー35の設定値より小さい値でなければならない。回転ガントリー回転軸の水平方向における上記傾き量を細かく設定する必要が無い場合は、全ての第2リンク部材28にガイドローラ43を設ける必要は無く、例えば図6(b)の配置のうち水平方向の両端にのみガイドローラ43を設置しても良い。
【0038】
フロントスラスト支持装置46及びリアスラスト支持装置47は、これらの間に回転ガントリー3を間に挟むように配置され、回転ガントリー3の軸方向の動きを拘束する(図2参照)。フロントスラスト支持装置46は、ローラ48,スラストフレーム49及び座屈管50を有する。スラストフレーム49は、建屋の基礎に据え付けられる。ローラ48は、座屈管50に回転可能に取り付けられ、フロントリング19の建屋基礎に対向する側面に接触している。座屈管50はスラストフレーム49に設置される。座屈管50は、地震などによる異常なスラスト力が回転ガントリー3に作用したときに、ローラ48及びスラストフレーム49が損傷するのを防ぐために設けられている。リアスラスト支持装置
47は、ローラ48,スラストフレーム49,バネ52及びロードセル(スラスト荷重検出器)51を備える。このスラストフレーム49は、建屋の基礎60に設置される。ローラ48は、保持部材に回転可能に取り付けられる。スラストフレーム49に設置されたロードセル51に取り付けられたバネ52が、その保持部材に取り付けられている。リアスラスト支持装置47のローラ48は、リアリング20の基礎60に対向する側面に接触している。バネ52は、回転ガントリー3の回転軸方向に圧縮された状態で据え付けられており、その反力でローラ48がリアリング20に押し付けられている。したがって、バネ52のバネ力によりローラ48がリアリング20に押付けられているため、回転ガントリー3の軸方向の動きは極めて小さくなる。フロントスラスト支持装置46及びリアスラスト支持装置47は、回転ガントリー3の回転軸方向における動きを拘束するスラスト拘束装置である。
【0039】
ロードセル51は、回転ガントリー3のスラスト力(スラスト荷重)をモニタリングする。このモニタリングによって、回転ガントリー3の据え付け精度の調整及び確認を実施する。すなわち、回転ガントリー3,回転体支持装置2A,2Bの据付が完了した後、回転ガントリー3の回転軸の位置調整が行われる。回転体支持装置2A,2Bに設けられたジャッキ装置44を用いてその回転軸の高さ方向の位置調整を行う。回転体支持装置2A,2Bのそれぞれのラジアル支持装置61A,61Bに設けられた第1位置調整装置の位置調整ボルト39b及び第2位置調整装置の位置調整ボルト39aを操作して、その回転軸の、水平方向での回転軸に直交する方向での位置調整、及び回転ガントリー3の、回転軸方向における位置調整が行われる。回転ガントリー3の回転軸の位置調整には、ロードセル51で検出されたスラスト力の測定値が用いられる。回転ガントリー3の回転軸が曲がって配置されていると、回転ガントリー3を一回転したときに、ロードセル51で検出されたスラスト力の測定値のばらつきが大きくなる。回転ガントリー3が回転したときでもそのスラスト力の測定値が一様になるまで、位置調整ボルト39b,39aの操作によりその回転軸の位置が行われる。ロードセル51及び位置調整ボルト39b,39aを用いて、回転ガントリー3の回転軸の振れを最小限に抑えることができる。ロードセル51によるスラスト力のモニタリングは、建屋変形による回転ガントリー3のアライメント不良発生の監視にも貢献する。
【0040】
ロードセル51で検出されたスラスト荷重は、制御装置(図示せず)に入力される。その制御装置は、回転ガントリー3の回転時において、検出されたスラスト荷重がその設定値を超えたとき、モータ30の回転を停止させる。これにより、回転ガントリー3の回転が停止される。
【0041】
本実施例は、座屈管50をフロントスラスト支持装置46に、バネ51及びロードセル52をリアスラスト支持装置47に配置している。他の構成部品との干渉などが原因でこのような配置が難しい場合には、バネ51及びロードセル52をフロントスラスト支持装置46に、座屈管50をリアスラスト支持装置に配置しても良い。
【0042】
本実施例の回転照射装置を適用した粒子線治療装置を用いた患者の癌治療の概略について説明する。その粒子線治療装置は、加速器としてシンクロトロン(またはサイクロトロン)を備えている。回転ガントリー3を回転させて、照射装置4内のビーム経路を、患者の患部にイオンビームを照射する方向と一致させる。患者が横たわっている治療台13を移動させて、その患部が上記ビーム経路と一致するように患部の位置決めを行う。その後、加速器で加速されたイオンビームを加速器から出射し、出射したイオンビームが図示されていないビーム輸送装置を通って回転ガントリー3に設けられたビーム輸送装置11内に達する。更に、イオンビームは、照射装置4を通って、治療第13上の患者の患部に照射される。
【0043】
以上に述べた本実施例の回転照射装置によって得られる主な効果は、以下の通りである。
【0044】
(1)本実施例は、フロントスラスト支持装置46及びリアスラスト支持装置47が設けられているため、回転ガントリー3の軸方向への動きが拘束される。また、回転体支持装置2A,2B、具体的には、それぞれに含まれるラジアル支持装置61A,61Bが、それぞれリニアガイド41を設けていることによって、回転ガントリー3の回転軸方向に移動可能な構成となっている。このように、回転ガントリー3の回転軸方向への動きを拘束する構造、及びラジアル支持装置61A,61Bの回転軸方向への移動可能な構成が備わっているため、本実施例は、回転ガントリー3を支持するローラ22の回転軸と回転ガントリー3の回転軸のずれに起因して生じるローラ22と回転ガントリー3の回転軸方向における相対的な動きをそれぞれのラジアル支持装置が軸方向に動くことによって吸収することができる。したがって、回転ガントリー3自身の軸方向の動きは極めて小さく、照射位置の3次元的な振れ回りが極めて小さくなる。このため、照射装置4から出射されるイオンビームの照射精度が著しく向上し、イオンビームの、治療台13上の患者の患部への照射が極めて正確に行うことができる。また、患部へのイオンビームの照射の集中度が向上するため、患者1人当りの治療時間を短縮でき、年間当りの治療人数が増加できる。すなわち、本実施例の回転照射装置を適用した粒子線治療装置はスループットを向上することができる。
【0045】
本実施例は、回転ガントリー3をフロントスラスト支持装置46とリアスラスト支持装置の間に配置しているため、回転ガントリー3を回転軸方向に強固に拘束することができる。このため、回転ガントリー3の回転軸方向への動きを著しく抑制できる。このような状態で、ラジアル支持装置が軸方向に移動できるため、スキューの発生に基づいたローラ22と回転ガントリー3の回転軸方向における相対的な動きを著しく抑制できる。
【0046】
中間ベース40と台座24の間ではなく、ラジアル支持装置の基礎ベース23と建屋の床との間にリニアガイド41を配置しても、ラジアル支持装置を回転軸方向に移動させることができ、従来よりもイオンビームの照射精度が向上する。本実施例におけるラジアル支持装置61A,61Bは、上部支持体及び下部支持体を含んでおり、リニアガイド41を使用して上部支持体が回転軸方向に移動できる構成となっている。このような本実施例では、上部支持体の重量がリニアガイドを基礎ベース23と建屋の床との間に配置した実施例における基礎ベース23及びこれよりも上方の構造物を含むラジアル支持装置よりの重量よりも著しく軽いため、リニアガイド41も小型のものを使用でき、リニアガイド
41の摩擦係数も著しく小さくなる。このため、本実施例は、上部支持体を有するラジアル支持装置では、上記したローラ22及び回転ガントリー3の回転軸のずれに起因して生じるローラ22と回転ガントリー3の回転軸方向における相対的な動きに対するローラ
22の追従性がより向上する。
【0047】
(2)本実施例は、水平方向で回転ガントリー3の回転軸と直交する方向への回転ガントリー3の移動を拘束する移動拘束装置(例えば、ウエッジ57a及び57b,ウエッジ
57c及び57dのそれぞれの組合せ)を設けているため、ラジアル支持装置61A,
61Bのそれぞれのローラ22の回転軸と回転ガントリー3の回転軸との平行度のずれを著しく低減できる。また、回転ガントリー3の自重を支えるローラを含むラジアル支持装置は、ガントリー3自重による回転軸と直交する方向に働く分力の影響を受けてその方向に動こうとする。本実施例は、移動拘束装置を有するため、そのような分力が作用しても、回転ガントリー3の回転軸がその直交方向に移動することを抑制することができる。したがって、位置決めされた治療第13上の患者の患部に対するイオンビームの照射精度が向上する。
【0048】
(3)本実施例は、ラジアル支持装置61A,61Bのそれぞれの台座24を連結部材であるディスタンスピース42を備えている。このため、本実施例では、ラジアル支持装置61A,61Bが回転ガントリー3から受ける力のうち、水平方向で回転軸と直交する方向の力を連結部材で受け持つことになる。ラジアル支持装置61A,61Bから連結部材に作用するその力は連結部材で打ち消されるので、ラジアル支持装置61A,61Bは、連結部材が設置していないときに比べて、単独に動きにくくなる。その結果、連結部材で結合されたラジアル支持装置61A,61Bは回転軸方向には平行かつ同調して動くことになる。また、ラジアル支持装置61A,61Bは、回転軸に直交する方向の力が作用しないため、より軸方向に動き易くなる。
【0049】
(4)回転駆動機構(モータ30)及び制動機構(ブレーキ装置32)を備えたラジアル支持装置61A,61Bにおいて、機械加工及び組み立ての誤差、及び据え付け時の調整誤差等により、ローラ22と回転ガントリー3の回転軸方向における相対的な動きを発生させる分力が大きく現れる。したがって、回転駆動機構及び制動機構を備えたラジアル支持装置61A,61Bを、少なくとも回転軸方向に移動できる構成とすることによって、上記の(1)で述べた効果を得ることができる。
【0050】
(5)ストッパー38の設置は、地震等に起因する第1リンク部材27の回転を許容範囲内に抑えることができる。
【0051】
(6)ローラ22の回転軸方向への移動を抑制するストッパー部材(ストッパー35)が設けられているため、地震によりガイドローラ43が破損しても、ラジアル支持装置61A,61Bのそれぞれの回転軸方向への移動量を規制できる。このため、ローラ22が、回転軸方向において、リアリング20(またはフロントリング19)の外周面から外れることを防止でき、常時、回転ガントリー3を各ローラ20で支持することができる。但し、ストッパー35にて規制する回転ガントリー3の回転軸方向における動き量は、回転軸の水平方向における回転ガントリー3の傾き量を抑えるために設置されたガイドローラ43とフロントリング19(またはリアリング20)の間に形成される隙間より大きな値であることが必要である。何故なら、スキューによって回転軸方向に動いた回転ガントリー3によってストッパー35に荷重がかかると、軸方向にラジアル支持装置が回転軸方向に動かなくなるので、ローラフレームを変形させる動きが発生し、スキューを増大させてしまうからである。
【0052】
(7)スラスト支持装置、具体的にはリアスラスト支持装置47がロードセル(スラスト荷重検出器)51を備えているため、ロードセル51で検出したスラスト荷重に基づいて回転ガントリー3の据え付け精度の確認及び調整が実施できる。また、回転ガントリー3の据付当初に位置決めした際のスラスト荷重と、モニタリングしているときのスラスト荷重の測定値を比較することによって、建屋変形によるアライメント不良の発生を知ることができる。
【0053】
(8)位置調整装置64の設置によって、水平方向で回転軸と直交する方向における回転ガントリー3の回転軸の位置、及び回転軸方向における回転ガントリー3の位置を調整することができ、回転ガントリー3を精度良く据付けることができる。建屋等の経年変化によって、回転ガントリー3の設置位置がずれた場合でも、位置調整装置64を操作することによってその位置ずれを簡単に調整できる。回転ガントリー3の据付時において、上記したロードセル51で検出したスラスト荷重を用いることによって、回転ガントリー3の一調整精度がより向上する。
【0054】
(9)ラジアル支持装置61A,61Bは、第1リンク部材27及び第2リンク部材28を備えているため、回転ガントリー3の自重を支える各ローラ22が受け持つ荷重の偏りを軽減することができる。したがって、ローラ22の直径を小さくできる。ロー22の直径が小さくなれば、ローラ22と回転ガントリー3の減速比を大きくできるので、モータ30の容量を小さくでき、さらにブレーキ装置32も小型化できる。また、ローラ22と回転ガントリー3のリアリング20(またはフロントリング19)との接触による摩擦力によって回転ガントリー3が回転,制動することによって、歯車によって回転,制動を伝達する場合に比べてガタが無く滑らかな回転制御が可能である。さらに、本実施例は、このような摩擦による駆動力伝達方式を採用しているため、回転ガントリー3の極微小な角度の位置決め運転も可能になる。
【0055】
(10)ロードセル51からのスラスト荷重の測定値が設定値を超えたときに、制御装置がモータ30を停止させるため、万が一、回転ガントリー等の危機損傷の拡大を防止できる。また、スラスト荷重の測定値が設定値を超えたときに、警報を発するように構成することも可能である。
【0056】
(11)モータ30が設置されていないフロントリング19側に位置するラジアル支持装置61A,61Bのローラ22に、それぞれ回転検出器45が設置されているので、モータ30による回転ガントリー3の回転制御を2個以上の回転検出器45の出力に基づいて行うことができるため、1個の回転検出器45の故障あるいは、ラジアル支持装置の軸受けの破損などによる異常監視ができ、安全な回転制御を可能にする。本実施例では、回転機構及び制動機構を備えたリアリング20側のラジアル支持装置61A,61Bではなく、フロントリング19側のラジアル支持装置61A,61Bのローラ22に回転検出器
45を設置しているので、ローラ22と回転ガントリー3のスリップなどの影響をなくして、正確に回転角度を検出することができる。
【0057】
(12)フロントリング19及びリアリング20を挟み込むように配置された複数のガイドローラ43を、そのリングの周方向に、適正な隙間を持って配置することによって、水平方向で、回転ガントリー3の回転軸と直交する方向における傾き量を小さく抑えることができる。また、回転軸方向における回転ガントリー3の動きを軽減させることができる。これらによって、照射位置の3次元的な振れ回りを小さくできる。ガイドローラ43は、理論的にはラジアル支持装置のローラ22に垂直で、フロントリング19(またはリアリング20)との間に隙間を形成しない状態で設置されることで、常に回転ガントリー3の回転軸を平行に保持できる。
【0058】
しかしながら、本実施例の回転照射装置を構成する大きな機械加工部品は特に、大きな機械加工誤差で生じる誤差変形を持っている。そうしたことから、上記の隙間を持たない状態でガイドローラ43を設置した場合、上記リングの幅方向に生じた誤差変形に、ガイドローラ43が常に追従して動くため、常時相互の回転軸のずれを生み出すことになる。そこで、該ガイドに機械加工誤差によって生じる回転ガントリー側に備えたリング幅方向の誤差変形を吸収できるように、ガイドと回転ガントリー側に備えたローラの隙間を微調整できる機構を持たせ、常に適正な隙間を保つように調整することで、回転ガントリー3の回転軸の水平方向の傾き量を抑制して、回転軸方向の動きを更に低減することができる。
【0059】
(実施例2)
本発明の他の実施例である回転照射装置を、図7を用いて説明する。本実施例の回転照射装置は、実施例1の回転ガントリー3を回転ガントリー3Aに替えた構成を有し、回転ガントリー3A以外の構成は実施例1と同じである。回転ガントリー3Aは、ガントリー胴部18Aの両端にフロントリング19及びリアリング20を設置している。ガントリー胴部18Aは、実施例1のガントリー胴部18とは異なり、トラス構造となっている。ガントリー胴部18Aは、トラス構造であるため、ガントリー胴部18に比べて合成は劣るが重量が軽減されている。回転ガントリー3Aの重量が軽減されるため、回転体支持装置2A,2Bも小型化できる。
【0060】
本実施例も、実施例1で生じる(1)〜(12)の効果を得ることができる。
【0061】
(実施例3)
本発明の他の実施例である実施例3の回転照射装置を、図8及び図9を用いて説明する。本実施例の回転照射装置は、実施例1の回転照射装置の構成のうち回転体支持装置2A,2Bを回転体支持装置2C,2Dに替えた構成を有する。すなわち、本実施例の回転照射装置は、回転体支持装置2A,2Bが回転体支持装置2C,2Dになっている以外は実施例1の回転照射装置と同じ構成である。回転体支持装置2C,2Dは、図8に示されたラジアル支持装置61C、及び図8に図示されていないラジアル支持装置61Dをそれぞれ有する。ラジアル支持装置61Cは図3及び図4に示すラジアル支持装置61Aと同じ位置にそれぞれ配置され、ラジアル支持装置61Dは図3及び図4に示すラジアル支持装置61Bと同じ位置にそれぞれ配置されている。ラジアル支持装置61C,61Dは、ラジアル支持装置61A,61Bに設けられたリニアガイド41を有していなく、替りにローラ移動装置を備えている。ローラ移動装置は、バネ53,支持部材55及びバネ押さえ部材67を有する。1つのローラ22に対して、2つのローラ移動装置が設けられる。1つのローラ移動装置はローラ22の回転軸56の一端部側に、もう1つのローラ移動装置は回転軸56の他端部側に配置される(図8,図9参照)。回転軸56は、回転可能に、第2リンク部材28を貫通している。支持部材55は第2リンク部材28に設置されている。一方のローラ移動装置68Aの支持部材55に設けられた軸受け(ベアリング)54が回転軸56の一端部を保持し、他方のローラ移動装置68Bの支持部材55に設けられた軸受け54が回転軸56の他端部を保持している。バネ押え部材67は、第2リンク部材28と軸受け54との間に配置され、回転軸56に取り付けられる。バネ53は、バネ押え部材67と軸受け54との間に配置され、回転軸56の周りを取り囲んでいる。本実施例は、ストッパー35を備えていないが、第2リンク部材28が、実施例1におけるストッパー35の機能を発揮している。
【0062】
ローラ移動装置68A,68Bを設けることによって、ラジアル支持装置61C,61Dは、基礎ベース23,台座24,リンクフレーム25及び複数のローラ22を有する。建屋の床に設置される基礎ベース23に台座24が取り付けられ、リンクフレーム25が台座24に取り付けられる。リンクフレーム25は、実施例1と同様に、ブラケット26,第1リンク部材27及び第2リンク部材28を有する。ローラ22は、前述したように、支持部材67を介して第2リンク部材28に取り付けられる。ラジアル支持装置61C,61Dも、台座24にストッパー38を設置している。
【0063】
ローラ移動装置68A,68Bは、回転体支持装置2C,2Dに設けられた全てのローラ22に対して設けられている。ローラ移動装置を設けることによって、ローラ22は、ラジアル支持装置61C,61Dの支持体に対して回転ガントリー3の回転軸方向に移動可能となる。この支持体は、基礎ベース23,台座24及びリンクフレーム25を含んでいる。ラジアル支持装置61C,61Dは、ラジアル支持装置61A,61Bに比べて中間ベース40が不要となって部品数が少なくなるため、据付に要する時間が短縮できる。
【0064】
バネ53の設置によって、ローラ22は回転軸方向に自在に動くことができ、かつローラ22はフロントリング19(またはリアリング20)の外周面から逸脱することがない。ただし、バネ53のバネ定数は、ローラ22とリングとの接触面で軸方向のスリップが生じるのに要する力と比較して、小さい力でローラ22が軸方向に動けるような値に設定されている必要がある。ローラ移動装置68A,68Bは、スキュー発生の要因となりやすい回転駆動機構及び制動機構を有する回転体支持装置2Cのラジアル支持装置61C,61Dに設けられたローラ22に対してのみ設置しても良い。
【0065】
本実施例は、ローラ移動装置68A,68Bを備えているため、ローラ22が回転軸方向にのみ自在に動くことができ、回転ガントリー3とローラ22の回転軸のずれが原因でスキューが生じたときには、ローラ22が回転軸方向に移動することによって回転ガントリー3の回転軸方向の動きを抑制できる。その結果、本実施例は、実施例1と同様に、スキューによる照射位置の3次元的な振れ回りが小さい回転照射装置が実現できる。
【0066】
ローラ移動装置の他の例を、図10を用いて説明する。この例は、支持部材55を、リアリング20(またはフロントリング19)の周方向に隣り合う例えば2つのローラ22で共用している。支持部材55の数が少なくなり、支持部材5の第2リンク部材28への取り付けに要する時間を短縮できる。
【0067】
本実施例も、実施例1で生じる(1)〜(12)の効果を得ることができる。
【0068】
(実施例4)
図9に示したローラ移動装置68A,68Bを、適用した回転照射装置の他の実施例を、図11を用いて説明する。本実施例の回転照射装置は、実施例3の回転照射装置において、回転ガントリー3を実施例2(図7参照)で用いた回転ガントリー3Aに替えた構成を有する。本実施例の回転照射装置では、回転ガントリー3A以外の構成は実施例3と同じである。
【0069】
本実施例も、実施例1で生じる(1)〜(12)の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態による回転照射装置においてスキューの発生メカニズムを 説明する図であり、(a)はローラAとローラBが接触して回転している状態を示す図、(b)はローラAの回転軸のずれを示す図、(c)はローラAの上方から見た状態であってローラAの回転軸がずれたときにおける軸方向分力の発生状態を示す説明図である。
【図2】本発明の好適な一実施例である実施例1の回転照射装置の構成図である。
【図3】図2に示す回転照射装置のリア側から見た側面図である。
【図4】図2に示す回転照射装置のフロント側から見た側面図である。
【図5】リニアガイドの詳細構成図であり、(a)は図3及び図4に示すリニアガイド付近の拡大図、(b)は(a)のII−II断面図、(c)は(a)のIII−III断面図である。
【図6】図2に示すガイドローラの配置を示す説明図であり、(a)はガイドローラの第2リンク部材への取り付け状態を示す構成図、(b)ガイドローラ配置の平面図である。
【図7】本発明の他の実施例である実施例2の回転照射装置の構成図である。
【図8】本発明の他の実施例である実施例3の回転照射装置の構成図である。
【図9】図8に示すラジアル支持装置のローラ付近の拡大図である。
【図10】図9に示すローラ支持構造の他の構成を示す構成図である。
【図11】本発明の他の実施例である実施例4の回転照射装置の構成図である。
【符号の説明】
【0071】
2A,2B…回転体支持装置、3…回転ガントリー、4…照射装置、11…ビーム輸送装置、18…ガントリー胴部、19…フロントリング、20…リアリング、22,48,66…ローラ、23…基礎ベース、24…台座、25…リンクフレーム(ローラ支持部材)、27…第1リンク部材、28…第2リンク部材、30…モータ、35,38…ストッパー、39a,39b…位置調整ボルト、40…中間ベース、41…リニアガイド、41a…ガイドブロック、41b…リニアレール、42…ディスタンスピース、43…ガイドローラ、46…フロントスラスト支持装置、47…リアスラスト支持装置、51…ロードセル、52,53…バネ、55…支持部材、61A,61B…ラジアル支持装置、63…調整ボルト支持部材、64…位置調整装置、、68A,68B…ローラ移動装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを出射する照射装置、及び前記照射装置に前記イオンビームを導くビーム輸送装置が取り付けられ、回転可能な回転体と、
前記回転体と接触して前記回転体の一端部を支持する回転自在な複数のローラを有する第1回転体支持装置と、
前記回転体と接触して前記回転体の他端部を支持する回転自在な複数のローラを有し、前記複数のローラを有する第2回転体支持装置と、
前記第1回転体支持装置の前記複数のローラの一部を回転させる駆動装置と、
前記回転体の前記回転軸方向における動きを拘束する複数のスラスト支持装置とを備え、
前記第1及び第2回転体支持装置のうち少なくとも前記第1回転体支持装置が、前記回転軸方向に移動可能であることを特徴とする回転照射装置。
【請求項2】
前記回転軸方向に移動可能な回転体支持装置は、前記複数のローラを含む上部支持体と、前記上部支持体を支持する下部支持体とを有し、
前記上部支持体が、前記下部支持体に、前記回転軸方向に移動可能に設置されている請求項1記載の回転照射装置。
【請求項3】
前記上部支持体は、前記回転軸方向に移動可能な移動部材を介して前記下部支持体に設置されている請求項2記載の回転照射装置。
【請求項4】
前記回転軸方向に移動可能な回転体支持装置は、前記複数のローラを支持する支持体を有し、前記ローラが、前記支持体に、前記回転軸方向に移動可能に設置されている請求項1記載の回転照射装置。
【請求項5】
前記回転軸方向に移動可能な回転体支持装置は、前記回転体の回転軸と直交する方向への移動を拘束する移動拘束装置を備えている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の回転照射装置。
【請求項6】
前記回転軸方向に移動可能な回転体支持装置は、一部の前記ローラに取り付けられた制動装置を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の回転照射装置。
【請求項7】
前記回転軸方向に移動可能な回転体支持装置は、前記ローラを支持するローラ支持部材と、前記ローラ支持部材の、前記回転体の回転軸の周りにおける傾きを制限する傾き制限装置を備えている請求項1記載の回転照射装置。
【請求項8】
前記回転軸方向に移動可能な回転体支持装置は、前記ローラによって支持される環状部材を前記回転体に設けており、前記ローラの回転軸方向への移動を抑制するストッパー部材を設置している請求項1記載の回転照射装置。
【請求項9】
前記第1及び第2回転体支持装置は、前記回転軸方向、及び前記回転体の回転軸に直交する方向における前記回転体の位置を調整する位置調整装置を備えている請求項1記載の回転照射装置。
【請求項10】
前記第1回転体支持装置はそれぞれ複数の前記ローラを有する第1ラジアル支持装置及び第2ラジアル支持装置を含んでおり、
前記第2回転体支持装置は前記第1ラジアル支持装置及び前記第2ラジアル支持装置を含んでおり、
前記駆動装置は前記第1回転体支持装置の前記第1ラジアル支持装置及び前記第2ラジアル支持装置にそれぞれにおいて一部の前記ローラに連結され、
前記回転軸方向に移動可能な回転体支持装置の前記第1ラジアル支持装置及び前記第2ラジアル支持装置が、前記回転軸方向に移動可能である請求項1記載の回転照射装置。
【請求項11】
前記回転軸方向に移動可能な第1及び第2ラジアル支持装置は、それぞれ前記複数のローラを含む上部支持体と、前記上部支持体を支持する下部支持体とを有し、
前記上部支持体が、前記下部支持体に、前記回転軸方向に移動可能に設置されている請求項10記載の回転照射装置。
【請求項12】
前記上部支持体は、前記回転軸方向に移動可能な移動部材を介して前記下部支持体に設置されている請求項11記載の回転照射装置。
【請求項13】
前記回転軸方向に移動可能な第1及び第2ラジアル支持装置は、それぞれ前記複数のローラを支持する支持体を有し、前記ローラが、それぞれの前記支持体に、前記回転軸方向に移動可能に設置されている請求項1記載の回転照射装置。
【請求項14】
前記回転軸方向に移動可能な第1及び第2ラジアル支持装置は、前記回転体の回転軸と直交する方向への移動を拘束する移動拘束装置を備えている請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の回転照射装置。
【請求項15】
前記第1及び第2回転体支持装置において、前記第1ラジアル支持装置の前記上部支持体と前記第2ラジアル支持装置の前記上部支持体とを連結する連結部材を備えた請求項11記載の回転照射装置。
【請求項16】
前記回転軸方向に移動可能な第1及び第2ラジアル支持装置は、一部の前記ローラに取り付けられた制動装置を有する請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の回転照射装置。
【請求項17】
前記回転軸方向に移動可能な第1及び第2ラジアル支持装置は、前記ローラを支持するローラ支持部材と、前記ローラ支持部材の、前記回転体の回転軸の周りにおける傾きを制限する傾き制限装置を備えている請求項10記載の回転照射装置。
回転照射装置。
【請求項18】
前記回転軸方向に移動可能な第1及び第2ラジアル支持装置は、それぞれ、前記ローラによって支持される環状部材を前記回転体に設けており、前記ローラの回転軸方向への移動を抑制するストッパー部材を設置している請求項10記載の回転照射装置。
【請求項19】
前記第1及び第2ラジアル支持装置は、前記回転軸方向、及び前記回転体の回転軸に直交する方向における前記回転体の位置を調整する位置調整装置を備えている請求項10記載の回転照射装置。
【請求項20】
前記回転体が前記複数のスラスト支持装置の間に配置されている請求項1または請求項10記載の回転照射装置。
【請求項21】
前記スラスト支持装置がスラスト荷重検出器を有している請求項20記載の回転照射装置。
【請求項22】
前記スラスト荷重検出器で検出されたスラスト荷重が設定値を超えたときに前記ローラを回転させる前記駆動装置を停止させる制御装置を備えた請求項21記載の回転照射装置。
【請求項23】
前記第1回転体支持装置が前記回転体に含まれた第1環状部材を支持し、前記第2回転体支持装置が前記回転体に含まれた第2環状部材を支持しており、
前記回転体の軸方向で間隔を置いて配置された一対のガイドレールが、前記第1及び第2回転体支持装置にそれぞれ設置され、
前記第1回転体支持装置に設置された前記一対のガイドレールの間に前記第1環状部材が配置され、前記第2回転体支持装置に設置された前記一対のガイドレールの間に前記第2環状部材が配置されている請求項1記載の回転照射装置。
【請求項24】
前記対になったガイドローラが、前記第1及び第2環状部材の周方向に複数対配置されている請求項23記載の回転照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−7112(P2007−7112A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190880(P2005−190880)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】