説明

回転筒体の密封装置

【課題】 内容物を収容して回転する回転筒体と、固定式の蓋との密封性を改善する。
【解決手段】 回転筒体1の端部内周面に、立上がり部21を全周に亘り設け、蓋4の内面に、内側に突出して、回転筒体端縁部内面1aを立上がり部21と覆う覆い部24を一部で不連続となるように回転周方向に沿って設ける。立ち上がり部21と覆い部24とで囲まれる空間には、回転筒体1側に掻き出し部25を設ける。掻き出し部は回転方向側が開口した容器形状が望ましい。回転筒体縁部への内容物の侵入が立上がり部と覆い部とで阻止され、それでも侵入した含水率の低い内容物も掻き出し部によって確実に掻き出すことができ、密封部分の目詰まりを防止することができるという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
回転円筒型堆肥製造装置等に用いられる回転筒体の密封装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転円筒型堆肥製造装置は、円筒体の開口部を固定式の蓋で覆い、この円筒体内に堆肥原料を収容して、円筒体を回転させながら原料を発酵させて堆肥化している。この際に円筒体の開口部は蓋で覆われている。両者は操業時には一方は回転し、他方は固定されて停止しているので、両者の隙間から原料が漏れないように密封することが必要である。しかし、堆肥化原料は高水分で粘着性があり、形状も不定である。この原料は操業時に回転円筒内に滞留し、回転円筒の固定蓋との間に密封されるが、原料の侵入圧力に負けて密封部から原料や悪性ガスが外部に漏れるという欠点がある。
【0003】
従来、このような観点から、本願出願人は、回転円筒型堆肥製造装置等において、回転円筒と固定蓋との間に密封装置を設けて上記問題点の解消を図ったものを提案している。該密封装置は、回転円筒の端部内周面に、立上がり部が回転周方向に沿って設け、一方蓋の内面に、軸方向内側に突出して、前記立上がり部との間の回転筒体端縁部内面を覆う覆い部を同じく回転周方向に沿って設け、さらに回転筒体の前記端縁部内面に付着した内容物を取り除くスクレーパを設けたものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−246235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記提案技術によれば、原料の侵入を防いで密閉性を良好に保つことができ、回転駆動源に過度な負担を掛けることもないという利点が得られている。しかし、上記密封装置は、比較的含水量の高い原料の場合には大きな効果があるものの、粘着性の低い低水分原料の場合には回転円筒端部の下方側に堆積するなどした原料をスクレーパにて掻き出すことができず、密封装置から原料や悪臭ガスが外部にもれたり、密閉構造部にて閉塞するという問題がある。
【0005】
この発明は上記事情を背景としてなされたものであり、動力への負荷を増大させることなく、低水分の原料においても回転円筒と固定蓋との密封性を良好に確保することができる密封装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の回転筒体の密封装置のうち、請求項1記載の発明は、内容物を収容して回転する回転筒体と、該回転筒体の軸方向端にあって該回転筒体に固定されることなく回転筒体開口部を塞ぐ蓋との間を密封する密封装置において、前記回転筒体の軸方向端部内周面に内周側に向けて突出した立ち上がり部が回転周方向に沿って全周に亘り設けられているとともに、前記蓋の内面に、軸方向内側に突出して、該蓋と前記立ち上がり部との間の回転筒体端縁部内面を前記立ち上がり部と共同して覆う覆い部が回転周方向に沿い、かつ一部で不連続となるように設けられており、さらに回転筒体端縁部には、前記立ち上がり部と覆い部との間の空間に位置して該空間に付着もしくは堆積した内容物を取り除く掻き出し部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の回転筒体の密封装置の発明は、請求項1記載の発明において、前記掻き出し部は、前記回転筒体の回転方向側が開口した容器形状からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の回転筒体の密封装置の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記覆い部は、前記蓋の下方側から内容物予定収容量高さを超える範囲に亘って配置されているとともに、前記蓋の上方側で配置を欠いて不連続になっていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の回転筒体の密封装置の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記立ち上がり部の軸方向外側の回転筒体端縁部に、該立ち上がり部と間隙を有して、内周側に突出した第2立ち上がり部が回転周方向に沿って全周に亘り設けられており、前記立ち上がり部と前記第2立ち上がり部との間で前記掻き出し容器による内容物の取り除きが行われるように、前記掻き出し容器が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の回転筒体の密封装置の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記回転筒体端縁部と前記蓋との間を封止するシール部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の回転筒体の密封装置の発明は、請求項5記載の発明において、前記シール部は、前記第2立ち上がり部の軸方向外側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の密封装置によれば、回転筒体の軸方向端部に周方向に沿って設けられた立ち上がり部と、蓋の内面に回転周方向に沿って設けられた覆い部とで回転筒体端縁部が覆われて密封され、該端縁部から回転筒体内に収容された内容物が漏れ出したり、ガスが漏れるのを極力防止する。そして、立ち上がり部と覆い部とで囲まれる空間には、回転筒体側に掻き出し部が設けられており、回転筒体の回転に伴って該空間内に付着、堆積している前記内容物を掻き出すことができる。掻き出された内容物は、不連続になっている覆い部を通して上記空間から回転筒体の主となる内部空間へと送り出される。これにより、比較的粘着性の低い低水分原料の場合にも、回転筒体端縁部に堆積する内容物を効果的に排除して密封性が阻害されるのを防止する。
【0013】
本発明の密封装置は、内容物を収容して回転する回転筒体と、この回転筒体の軸方向端開口部を覆う蓋との間を密封することを目的とする。上記回転筒体に収容される内容物としては、形状が不定で石、金属等の異物が混入しているおそれがある、発酵用原料が代表的に例示され、本発明としてはこの原料を内容物とする回転筒体が好適な対象となる。ただし、本発明としては、内容物の種別が発酵用原料に限定されるものではなく、上記装置に収容され、回転時に回転筒体と蓋との間で漏れの問題が発生し、または発生するおそれのあるものであれば適用可能である。
【0014】
また、上記回転筒体には、通常、円筒形のものが使用されるが、本発明はこれに限定したものではなく、例えば多角形筒体形状とすることも可能である。
該回転筒体は適宜の回転駆動源によって回転される。この回転筒体は軸方向端部の一方または両方が開口しており、この開口部は必要に応じて蓋で塞がれる。
本発明は開口部に回転筒体に固定されない蓋が設置されるものに適用される。本発明が適用される回転筒体は、開口部が一端部にあるものでも両端部にあるものでもよく、また、蓋のすべてが回転筒体に固定されない蓋である必要はなく、少なくとも一つの蓋が回転筒体に固定されない蓋であれば良い。回転筒体に固定されない蓋は通常は、原料の投入部や排出部が設けられ、基台等に固定され、回転筒体が回転する際にも回転することなく定位置にとどまる。ただし、本発明としては、蓋自体が回転するものを適用範囲から排除するものではなく、蓋が回転筒体と同期しない状態で回転するものであれば適用可能であり、初期の効果を得ることができる。
【0015】
本発明では、上記回転筒体の軸方向端部内周面に、回転筒体の回転周方向に沿って全周に亘って立ち上がり部が設けられるが、該立ち上がり部は回転筒体に一体に形成されたものであってもよく、また、別部材を回転筒体に固定したものであっても良い。該立ち上がり部の高さも適宜定めることができる。一方、前記蓋の内面には、軸方向内側に突出する覆い部が設けられる。該覆い部も蓋に一体に形成されたものでも良く、また、別部材を蓋内面に固定したものであっても良い。なお。覆い部の突出方向は軸方向内側に向けたものであれば良く、必ずしも軸方向そのものに沿っていることが必要とされるものではない。特に蓋の基端側から軸方向内側に向けて徐々に外周側に拡がるように伸張するものが望ましい。これにより覆い部は軸方向内側に向けて外周方向に拡がる傾斜面を形成するので、これに接触する内容物を内側に押し戻す作用が働き、内容物が回転筒体端縁部側に堆積して密封装置への侵入圧力を高めることを防止できる。
【0016】
上記覆い部は立ち上がり部近傍にまで達し、この立ち上がり部とともに立ち上がり部の軸方向外側にある回転筒体端縁部内面を覆う。この際に覆い部は立ち上がり部との間にできるだけ隙間が生じないように位置させる。ただし、両者が強い力で接触すると回転筒体の駆動源に負荷を与えるので、通常、両者が密着するように配置されることが要求されるものではない。これら立ち上がり部と覆い部とは軸方向または径方向に一部重なり合っても良いが、隙間を小さくできれば重なりを有することが要求されるものではない。
【0017】
また、覆い部を可撓性ある材料で構成するとともに、その先端を立ち上がり部の内周面、またはさらにはこれを越えて立ち上がり部の軸方向内側にまで伸張させると、内容物の圧力によって覆い部と立ち上がり部とが密着するので、立ち上がり部の外側に内容物が進出するのをより有効に阻止できる。この際の密着力は両者が通常時にも強い力で接触している場合にくらべれば十分に小さいので、回転駆動装置に対する負荷は小さいものとなる。
【0018】
なお、覆い部は回転周方向全周に亘って設けられるものではなく、周方向で少なくとも一部が欠けて不連続となっている。この不連続部分の範囲や位置は特定のものに限定されないが、少なくとも蓋の下方部側においては、覆い部が連続しているのが望ましく、さらには蓋の下方部側から内容物予定収容量高さを超える範囲に亘って連続して配置されているのがより望ましい。これは、内容物が堆積する下方部側で覆い部を連続させて、立ち上がり部の軸方向外側に内容物が侵入するのを効果的に阻止するためである。そして、覆い部の配置を部分的に欠いて不連続になっているのは、蓋の上方部側とするのが望ましい。これは後述する掻き出し部によって内容物を取り除いた際に内容物が自重で落下して密封装置よりも軸方向内側に排除するのに好適であるからである。さらに、覆い部の配置高さは左右対称でなくてもよく、むしろ回転に伴って材料が持ち上げられる側が高くなることが望ましい。
【0019】
密封装置では、上述したように、立ち上がり部の軸方向外側の回転筒体端縁部内面に付着または堆積した内容物を取り除く掻き出し部を備えている。簡易構造の掻き出し部では端縁部内面付近に掻き取り部が位置し、回転筒体の回転にともなって端縁部内面に付着した内容物を掻き取る。掻き出し部の固定は、例えば、回転筒体に行うことができる。ただし、本発明としては、掻き出し容器を回転筒体に固定するものに限定されるものではなく、自身で回転移動を伴うものであっても良い。要は回転筒体が回転している際に、回転筒体内面に堆積した内容物を回転しつつ取り除くことができるものであれば良い。
【0020】
掻き出し部は、好適には、回転筒体の回転方向側が開口した容器で構成する。これにより回転筒体の端縁部のうち、下方側に堆積した内容物を容器内に収容して確実に掻き出すことができる。また、容器構造においては、立ち上がり部や後述する第2立ち上がり部を壁面として利用するものであってもよい。
また、掻き取り部によって取り除いた内容物は上記覆い部の不連続部を通して、回転筒体の内方へと排除される。従って内容物取り除き位置と不連続部との位置の関係はこの観点から定めることが重要である。通常は不連続部で内容物取り除きを行うものとし、回転筒体の回転位置頂点よりも回転方向手前側で内容物の取り除きを行うのが望ましい。
【0021】
さらに、立ち上がり部の軸方向外側にある回転筒体端縁部には、該立ち上がり部と軸方向に距離を隔てて第2の立ち上がり部を設けるのが望ましい。設置位置は端縁部内面でも縁部でもよい。この第2立ち上がり部も第1の立ち上がり部と同様に、回転筒体と一体に形成されているもので良く、また別部材を回転筒体に固定したものでも良い。さらに、立ち上がり部と第2の立ち上がり部を回転筒体端縁部側に設けた連結片で連結したものを回転筒体に固定するようなものであっても良い。なお、第2の立ち上がり部を設ける場合には、掻き出し部による内容物の取り除きは、第1の立ち上がり部と第2の立ち上がり部との間に形成される溝部で行う。好適には、この溝部に掻き出し部をはめ込む。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の密封装置によれば、内容物を収容して回転する回転筒体と、該回転筒体の軸方向端にあって該回転筒体に固定されることなく回転筒体開口部を塞ぐ蓋との間を密封する密封装置において、前記回転筒体の軸方向端部内周面に内周側に向けて突出した立ち上がり部が回転周方向に沿って全周に亘り設けられているとともに、前記蓋の内面に、軸方向内側に突出して、該蓋と前記立ち上がり部との間の回転筒体端縁部内面を前記立ち上がり部と共同して覆う覆い部が回転周方向に沿い、かつ一部で不連続となるように設けられており、さらに回転筒体端縁部には、前記立ち上がり部と覆い部との間の空間に位置して該空間に付着もしくは堆積した内容物を取り除く掻き出し部が設けられているので、含水率の低い内容物が密封部分に入り込んだ場合にも、原料を確実に掻き出すことができ、密封部分の目詰まりを防止することができるという効果がある。また、密封部分への内容物の侵入を妨げることができるので駆動部に過度な負荷をかけないという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
回転筒体である回転筒体1はローラ2…2に回転可能で支えられ、図に明示されていない駆動装置により、回転駆動される。回転円筒1の両端開口部には固定蓋3および4がそれぞれ本発明の密封装置20を介して取り付けられ、回転円筒の1の内部と外部が遮断されている。一方の固定蓋3には原料投入口5が設けられ、また他方の固定蓋4には排出口6が設けられている。
【0024】
次に上記密封装置20の詳細を説明する。
図5に詳細を示すように回転円筒1の両端部内周面には内周側に突出するようにリング状形状の立ち上がり部21が全周に亘って配置されて固定されており、さらにこの立ち上がり部21の外側(回転円筒軸方向に対し)の回転円筒縁部に同じくリング板形状の第2の立ち上がり部22が全周に亘って配置され固定されており、両者は互いに所定の距離を隔てている。これにより、立ち上がり部21、第2立ち上がり部22、回転円筒1の端縁部内面1aとによって溝構造が得られる。
【0025】
一方、蓋3、4の内面には、第2立ち上がり部22の内周側から、立ち上がり部21の内周面に向けて外周方向に拡がりつつ伸張するシールリング(覆い部に装置)24が回転円筒1の回転周方向に沿って配置されており、シールリング24の基台24aが蓋3、4の内面に固定されている。ただし、シールリング24は蓋3、4の上方部側において、1/4円周程度欠けており、円周方向において不連続になっている。なお、シールリング24の上端高さは、回転円筒1の回転に伴って円筒1内の材料が持ち上がる方向が、材料が落下する部分に比べ高く設置されることにより、材料がシール部分の内部に入ることを妨げる。
【0026】
なお、シールリング24の先端と立ち上がり部21の内周面とは密着することなく、ごく僅かな隙間を有している。また、基台24aの外周面と第2立ち上がり部22の内周面との間も密着することなく、ごく僅かな隙間を有している。すなわち、上記基台24aは第2覆い部としての機能を有している。これらの構造により、上記した溝はシールリング24によって内周側が覆われてチューブ状の室構造の空間Aが構成されている。
【0027】
また、空間Aの内部に溜まった発酵材料を空間Aから排出させるために、円筒部の内側に本発明の掻き出し部に相当する掻き出し容器25を取り付ける。該掻き出し容器25は、回転円筒1の回転方向側が開口部25aとして開口しており、さらに立ち上がり部21側が開口して立ち上がり部21の壁面で一側側が塞がれている。この掻き出し容器25の後方壁25b(回転方向に対し後方側)によって、回転円筒1の回転とともに、発酵材料を空間Aから排出することができ、この後方壁25bと内周壁25cとで掻き出した発酵材料を保持しつつ空間A外に持ち出すことができる。すなわち、掻き出し部を容器形状としたことで発酵材料を確実に保持・持ち出しができる。さらに、掻き出しを確実にするために容器25は同心円上に複数個設けることが望ましい。
【0028】
さらに、第2立ち上がり部22の外周面には2つのリング溝22a、22bが全周に亘って同心状に形成されており、これらリング溝22a、22bにはリング状のリング材26、27が配置固定されている。これらのシール材26、27には軸方向外方に突き出したシール片26a、27aが全周に亘って形成されており、該シール片26a、27aは蓋3、4の内面に密着可能に形成されている。すなわち、上記該シール部26、27によって回転筒体の縁部と蓋とを封止するシール部が構成されている。
【0029】
次に、密封機構の作用について説明する。回転円筒1内には、原料投入口5から原料7が投入される。この原料7の規定収容量は回転円筒1の容積の約70%強であり、したがって、前記したシールリング24は図4に示すように、原料7の収容高さを超えた位置まで配置されている。回転円筒1内に滞留する原料7は、殆どが回転円筒1の両端で立ち上がり部21とシールリング24の内周側に堆積し、自重圧力によって立ち上がり部21とシールリング24との隙間より空間A内に侵入しようとするが、回転円筒1が静止状態では原料7自身の摩擦や粒子の大きさなどに制限され、侵入量はわずかである。
【0030】
しかし、回転円筒1が回転することにより、空間A内への侵入力は増大する。ただし、この時、空間Aの外方側は、第2立ち上がり部22と基台24aとでほぼ塞がれているので、侵入した原料7aはさらに外側に移動することはなく、空間A内にとどまる。そして、空間Aに侵入した原料7aは、図6(a)に示すように、回転円筒1が回転(図4示反時計まわり)することにより、開口部25aを通して掻き出し容器25の内部に徐々に掻き取られ、さらに回転円筒1が回転すると、図6(b)に示すように、掻き出し容器25に収まっていた原料7aは後方壁25bおよび内周壁25cで支持されつつ上方に持ち上げられ、シールリング24の不連続部に位置した時、その一部は回転側の開口を通して溝内から落下し、原料7中に投下される。
【0031】
つまり空間Aに侵入した原料7aは回転円筒1が回転するごとに溝から掻き出されるので、溝内に原料7aが堆積することはない。このため原料7aが空間Aからさらに外方に進出することはなく、基台24aと第2立ち上がり部22との間の隙間では通過する原料は皆無であり、シール26、27に被害を与えない。シール26,27は悪性ガスのみを密封する役目だけを果たしており、シール片26a、27aによって臭気が外部に漏れ出すのを確実に防止する。しかも原料の侵入がないので、原料による損傷をうけず、長い寿命が得られる。なお、掻き出し部は、必ずしも容器形状に限定されず、上記のように内容物の掻き出しがなされるものであれば、例えば、上記の後方壁と内周壁のみによって構成することができる。側方への漏出防止は、立ち上がり部21と第2立ち上がり部22の壁面を利用することができる。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態を含む回転円筒型発酵装置を示す正面図である。
【図2】同じく、右側面図である。
【図3】同じく、縦断面図である。
【図4】同じく、図3のIV−IV線断面図であって立上がり部21を省略した側面図である。
【図5】同じく、密封装置の上方側(図4のV−V線断面図)と下方側を示す正面における拡大縦断面図であり、(a)図は、下方側、(b)図は上方側を示す。
【図6】同じく、発酵材料掻き出し時の一部を示す拡大側面図であり、(a)図は、下方側、(b)図は上方側を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 回転円筒
2 ローラ
3 固定蓋
4 固定蓋
5 原料投入口
6 排出口
7 原料
20 密封装置
21 第1立上がり部
22 第2立上がり部
24 シールリング
25 掻き出し容器
25a 開口部
25b 後方壁
25c 内周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容して回転する回転筒体と、該回転筒体の軸方向端にあって該回転筒体に固定されることなく回転筒体開口部を塞ぐ蓋との間を密封する密封装置において、前記回転筒体の軸方向端部内周面に内周側に向けて突出した立ち上がり部が回転周方向に沿って全周に亘り設けられているとともに、前記蓋の内面に、軸方向内側に突出して、該蓋と前記立ち上がり部との間の回転筒体端縁部内面を前記立ち上がり部と共同して覆う覆い部が回転周方向に沿い、かつ一部で不連続となるように設けられており、さらに回転筒体端縁部には、前記立ち上がり部と覆い部との間の空間に位置して該空間に付着もしくは堆積した内容物を取り除く掻き出し部が設けられていることを特徴とする回転筒体の密封装置。
【請求項2】
前記掻き出し部は、前記回転筒体の回転方向側が開口した容器形状からなることを特徴とする請求項1記載の回転筒体の密封装置。
【請求項3】
前記覆い部は、前記蓋の下方側から内容物予定収容量高さを超える範囲に亘って配置されているとともに、前記蓋の上方側で配置を欠いて不連続になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転筒体の密封装置。
【請求項4】
前記立ち上がり部の軸方向外側の回転筒体端縁部に、該立ち上がり部と間隙を有して、内周側に突出した第2立ち上がり部が回転周方向に沿って全周に亘り設けられており、前記立ち上がり部と前記第2立ち上がり部との間で掻き出し容器による内容物の取り除きが行われるように、前記掻き出し容器が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回転筒体の密封装置。
【請求項5】
前記回転筒体端縁部と前記蓋との間を封止するシール部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回転筒体の密封装置。
【請求項6】
前記シール部は、前記第2立ち上がり部の軸方向外側に設けられていることを特徴とする請求項5記載の回転筒体の密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−21359(P2007−21359A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206779(P2005−206779)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】