説明

回転篩式選別機

【課題】従来の選別機はトロンメルの回転を停止させても、トロンメル内の被選別物がそのまま排出口から外にダラダラと排出されてしまう。
【解決手段】切頭円錐筒状のトロンメル5を、側面視でその周面の下側輪郭線Yが水平または広口側が狭口側より下げる横倒し状態で支持しており、広口側が投入口になっている。投入された廃棄物がトロンメル5の回転による遠心力を受けたり持上げ用突起13に載ったり引っ掛けられたりしてトロンメル5の内周面に沿って持ち上げられ、ある程度の高さまで行くと今度は重力により落下する。このようにして、攪拌されながら螺旋軌道を描いて、排出口11に向かって送られ、その途中では、小径の砂等が篩下産物として回収される。回転を停止すると、トロンメル5は水平に横倒しされているので、回転が停止すると、トロンメル5内の廃棄物はそのままトロンメル5内に留まり、排出口11からは排出されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被選別物を選別するための選別機に係り、特にトロンメルを備えた回転篩式選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から砂や金属や廃プラスチックや木や紙等が混ざった産業廃棄物等を選別する選別機として、円筒形のトロンメルを備えた回転篩式選別機が用いられている。このトロンメルの周面は篩目になっており、トロンメルが回転することで攪拌されながら、篩上産物と篩下産物とに篩分けされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−136589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、篩上産物を排出口まで送るために、トロンメルは排出口側が投入口側より低位になるよう傾斜した状態で支持されている。
従って、選別作業を中止するためにトロンメルの回転を停止させても、トロンメル内の廃棄物がダラダラと排出口まで送られそのまま外に排出されてしまう。そのため、排出口側に手選別用コンベア装置を連設させたような場合には、その受入側にトロンメルから排出された廃棄物がそのまま落下して溜まることになり、誠に都合が悪い。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、トロンメルの回転を停止させると、トロンメル内の廃棄物が排出されずにそのままそこに留まる回転篩式選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1の発明は、切頭円錐筒状のトロンメルを、側面視でその周面の下側輪郭線が水平または広口側が狭口側より下がる横倒し状態で支持しており、前記広口側が投入口になっていることを特徴とする回転篩式選別機である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した回転篩式選別機において、トロンメルの頂角は45°以下で、前記トロンメルはその周面の下側輪郭線の傾斜角度は水平面に対して−20°以上0°以下で、且つ上側輪郭線の傾斜角度は水平面に対して0°を超え45°以下になるように設置されていることを特徴とする回転篩式選別機である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した回転篩式選別機において、トロンメルの内周面には持上げ用突起が設けられていることを特徴とする回転篩式選別機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の回転篩式選別機によれば、トロンメルの回転を停止させると、トロンメル内の被選別物がそのままそこに留まって排出されずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転篩式選別機の斜視図である。
【図2】図1の回転篩式選別機の正面図である。
【図3】図1の回転篩式選別機と、その排出口側に連設された手選別用コンベア装置とからなる選別設備の運転中の状態を説明するための一部断面側面図である。
【図4】図3の選別設備の停止中の状態を説明するための一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る選別設備1について図面にしたがって説明する。
この選別設備1は、図3に示すように、回転篩式選別機3と、手選別用コンベア装置41とを備える。
【0012】
先ず、回転篩式選別機3について説明する。
図1において符号5はトロンメルを示し、このトロンメル5は切頭円錐筒状をしており、周面がパンチメタルで構成されて篩目7になっている。
このトロンメル5では、広口端の外方フランジ部にほぼ同径の短い円筒状連結部9の後端の外方フランジ部が合わされて連結されており、この円筒状連結部9の開口端側が投入口になっている。そして、狭口側が排出口11になっている。
トロンメル5の内周面には持上げ用突起13が所定の間隔をおいて複数設けられている。各持上げ用突起13は上面方向から見て断面L字状をなしており、直立部が内方に向かって起立するようにトロンメル5の内周面に固定されている。
【0013】
次に、上記した形状のトロンメル5を回転自在に支持する支持機構について説明する。
トロンメル5の円筒状連結部9には前方側にも一対の外方フランジ部14が設けられており、その一対の外方フランジ部14にはそれぞれ内面側に複数のガイドローラー15が取り付けられている。ガイドローラー15は外方フランジ部14に一定の間隔をおいて8箇所ずつ設けられており、一方の内面側のガイドローラー15は他方の内面側のガイドローラー15に対向している。
符号16は無端状チェーンを示し、この無端状チェーン16が上記した円筒状連結部9の一対の外方フランジ部14間の外周面に巻き回され固定されている。
【0014】
一方、符号17は支持フレームを示し、この支持フレーム17の前面側には矩形状部分18があるが、この矩形状部分18の左右上側にはそれぞれ斜めに補強材19が取り付けられている。この矩形状部分18は、図3に示すように、後方に向かって倒れた姿勢になっている。符号20は環状ガイドレールを示す。この環状ガイドレール20には前後方向にはそれぞれ外方に延びる外方フランジ部21が備えられて、断面コの字状をなしている。上記した環状ガイドレール20はこの支持フレーム17の矩形状部分18や補強材19に対してその内側に取り付けられ固定されている。
矩形状部分18の下部二箇所には左右対称に支持ローラー22を回転自在に支持したローラー受部23が前後一対で設けられている。また、下部中央寄りの一箇所には軸受部が固定されている。この軸受部には、駆動用スプロケット25が連結されたシャフトが回転自在に支持されている。このシャフトには別のスプロケット26も連結されており、ギヤードモーター27からの回転力がチェーン29とスプロケット26を介して駆動用スプロケット25に伝達されるようになっている。
【0015】
トロンメル5側の円筒状連結部9の一対の外方フランジ部14の両外側の外周面が支持ローラー22により持ち上げて支持させている。また、環状ガイドレール20が無端状チェーン16に対して上側から若干の隙間をあけて被り、その前後の外方フランジ部21にトロンメル5側のガイドローラー15を両側から挟み込ませている。
また、駆動用スプロケット25にトロンメル5側の無端状チェーン16が噛合っている。
上記支持機構により、トロンメル5は支持フレーム17に対して安定式に支持され、ギヤードモーター27から回転力を受けると回転するようになっている。
【0016】
トロンメル5の頂角(A)は36°になっており、広口側の直径は2,000mm、狭口側の直径は600mm、軸線方向の長さは2,000mmに設定されている。また、トロンメル5は支持フレーム17の後倒した矩形状部分18に対して、図3の側面図に示すように横倒され水平に寝た姿勢で設置されており、その上側輪郭線Xの水平面に対する傾斜角度(α)は頂各(A)と同じで36°になっている。また、その下側輪郭線Yの水平面に対する傾斜角度(β)は、0°になっている。
なお、トロンメル5の設計仕様に応じてトロンメル5の設置角度は異なり、特に排出口11である狭口側の直径にトロンメル5の設置角度は影響されるものであり、上記のトロンメル5の設置角度はあくまでの上記設計仕様でのみ有効であることは理解されたい。
【0017】
廃棄物に含まれる各種分別物の大きさや重さや割合等を考慮して、トロンメル5の狭口側の排出口11の面積や長さ寸法が設定されている。
また、傾斜角度の設定可能範囲は、0°<α≦45°、−20°≦β≦0°である。この範囲は、被選別物のトロンメル5内でのスムーズな送りを考慮して設定されたものであり、その範囲内でいずれの傾斜角度(α)、(β)に設定するかは、被選別物に含まれる各種分別物の大きさや重量や割合により変わるが、現在までに市販されている回転篩式選別機を用いて選別されているような種類のものであれば、この範囲内で頂角(A)を45°以下に設定し、トロンメル5の回転速度を適宜にすることでより、被選別物の送りは可能である。
この実施の形態で設定された頂角(A)、傾斜角度(α)、(β)はいずれも上記した範囲内に収まっている。
【0018】
図3において符号31は投入用ホッパーを示す。この投入用ホッパー31は支持プレート33の開口部に内嵌されており、投入用ホッパー31の基端部が円筒状連結部9の投入口側から中に若干入り込んでいる。
トロンメル5には上側からカバー39が被せられており、周囲に粉塵が舞ったりしないようになっているが、上記した投入用ホッパー31側の支持プレート33がこのカバー39に対して取り付けられており、トロンメル5が回転しても投入用ホッパー31は常時同じ姿勢になっている。
なお、投入用ホッパー31は、図1、図2ではトロンメル5の構造の説明の便宜のため省略している。
【0019】
トロンメル5を支持する支持フレーム17はフレーム機台35上に載置されており、排出口11もある程度の高さ位置にある。
また、トロンメル5の篩目7の下方には、回収容器37が臨んでおり、篩目7を通過した篩下産物が回収されるようになっている。
【0020】
手選別用コンベア装置41について説明する。
図3に示すように、この手選別用コンベア装置41の選別用ベルト43はトロンメル5の排出口11よりも低位置で周回走行しており、その前端部はトロンメル5の排出口11から出た篩上産物を受け取るようになっている。
【0021】
上記した選別設備1の動作による選別作業の進展を説明する。
この選別設備1は、砂、金属、廃プラスチック、木、紙等が混ざった産業廃棄物の選別作業に用いるものであり、先ず、回転篩式選別機3側の投入用ホッパー31に廃棄物を投入しておく。
その後に、回転篩式選別機3と手選別用コンベア装置41を起動させて、回転篩式選別機3のトロンメル5を回転させると共に、手選別用コンベア装置41の選別用ベルト43を周回走行させる。
すると、廃棄物がトロンメル5の回転による遠心力を受けたり持上げ用突起に載ったり引っ掛けられたりしてトロンメル5の内周面に沿って持ち上げられ、ある程度の高さまで行くと今度は重力により落下する。このようにして、攪拌されながら螺旋軌道を描いて、排出口11に向かって送られる。その途中では、トロンメル5の篩効果により、小径の砂等が篩下産物として篩目7を通って落下して回収容器37に回収される。従って、排出口11からは残りの有る程度の大きさの金属、廃プラスチック、木、紙等が篩上産物として排出される。
排出された篩上産物は手選別用コンベア装置41の移動中の選別用ベルト43上に順次落下する。選別用ベルト43の上面の全長にわたって落下すると、装置を停止して手選別を行い、終了すると、回転篩式選別機3と手選別用コンベア装置41を再起動させる。
このように起動と停止を繰り返しながら、選別作業を進めていく。
【0022】
トロンメル5が円錐筒状になっており、その広口の投入側が水平または狭口の排出側より下がるように配置されているので、投入用ホッパー31には溢れるように被選別物を投入することができ、投入効率が良くなっている。
【0023】
装置を停止させて、回転篩式選別機3のトロンメル5の回転や手選別用コンベア装置41の選別用ベルト43の周回走行を停止させると、トロンメル5は水平に寝た状態で横倒しされているので、トロンメル5内の廃棄物はそのままトロンメル5内に留まり、排出口11からは排出されない。
このように、運転中は、廃棄物の選別がスムーズに進行し、運転停止後は篩選別前の廃棄物はそのままトロンメル5内に留まるので、特に、手選別ラインを後続側とした選別設備1では都合が誠に良い。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態では、側面視でトロンメル5がその周面の下側輪郭線Yが水平になるように配置されているが、投入口側を排出口11側より下げてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の回転篩式選別機は産業廃棄物等の選別作業、特に手選別ラインが後続している選別設備を用いた選別作業に有用である。
【符号の説明】
【0026】
1…選別設備
3…回転篩式選別機
5…トロンメル 7…篩目
9…円筒状連結部 11…排出口
13…持上げ用突起 14…(円筒状連結部の)外方フランジ部
15…ガイドローラー 16…無端状チェーン
17…支持フレーム 18…矩形状部分
19…補強材 20…環状ガイドレール
21…(環状ガイドレールの)外方フランジ部
22…支持ローラー 23…ローラー受部
25…駆動用スプロケット 26…スプロケット
27…ギヤードモーター 29…チェーン
31…投入用ホッパー 33…支持プレート
35…フレーム機台 37…回収容器
39…カバー
41…手選別用コンベア装置 43…選別用ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切頭円錐筒状のトロンメルを、側面視でその周面の下側輪郭線が水平または広口側が狭口側より下がる横倒し状態で支持しており、前記広口側が投入口になっていることを特徴とする回転篩式選別機。
【請求項2】
請求項1に記載した回転篩式選別機において、
トロンメルの頂角は45°以下で、前記トロンメルはその周面の下側輪郭線の傾斜角度は水平面に対して−20°以上0°以下で、且つ上側輪郭線の傾斜角度は水平面に対して0°を超え45°以下になるように設置されていることを特徴とする回転篩式選別機。
【請求項3】
請求項1または2に記載した回転篩式選別機において、
トロンメルの内周面には持上げ用突起が設けられていることを特徴とする回転篩式選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−240310(P2011−240310A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117248(P2010−117248)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(505175939)株式会社プラントシステム (4)
【Fターム(参考)】