回転軸構造
【課題】軸体と筒体との隙間への異物の侵入防止が可能で、また、隙間の異物を排出可能である回転軸構造を提供する。
【解決手段】軸体51,52と、軸体51,52を外側から囲む筒体41とを、互いに相対回転可能なように、且つ、軸体51,52の軸芯L方向に互いに相対移動しないように配設し、軸体51,52と筒体41との隙間Vの外部への開放端部Uaにおいて、軸体51,52の外周面52eに、異物を外部へ排出可能な軸芯L周りの螺旋形状の凹部54又は螺旋形状の凸部を形成してある。
【解決手段】軸体51,52と、軸体51,52を外側から囲む筒体41とを、互いに相対回転可能なように、且つ、軸体51,52の軸芯L方向に互いに相対移動しないように配設し、軸体51,52と筒体41との隙間Vの外部への開放端部Uaにおいて、軸体51,52の外周面52eに、異物を外部へ排出可能な軸芯L周りの螺旋形状の凹部54又は螺旋形状の凸部を形成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸体と、軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設してある回転軸構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1の図2に示されるように、自脱型コンバインにおいて、刈取穀稈を刈幅内の中間部位に搬送して合流させる搬送装置や、搬送装置から受取った刈取穀稈をフィードチェーンの前方に搬送する供給搬送装置などに備えられた回転軸構造があった。例えば、搬送装置のうち、刈取穀稈の株元側を挟持搬送する株元搬送機構における回転軸構造は、例えば図11に示すごとく、駆動スプロケット52が固定された中間縦向き伝動軸51と、中間縦向き伝動軸51を外側から囲む中間出力ケース部41とを、互いに相対回転可能なように、且つ、中間縦向き伝動軸51の回転軸芯L方向に互いに相対移動しないように配設してある。駆動スプロケット52と不図示の従動スプロケットとに搬送チェーンが巻き回されており、搬送チェーンは駆動スプロケット52の回転により周回運動する。刈取穀稈の株元側は、搬送チェーンと不図示の挟持レールとで挟持され、搬送チェーンの周回運動に従って搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−11770号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術では、例えば図11に示すごとく、中間縦向き伝動軸51に固定された駆動スプロケット52のフランジ部52cと、中間出力ケース部41との隙間Vをできるだけ小さく設定し、隙間Vに駆動スプロケット52の側、即ち、外部側から異物が侵入しにくいように構成してある。しかし、隙間Vが外部に開放されている構成である限りは、中間縦向き伝動軸51の回転時に、刈取穀稈の株元側またはその一部、例えばささくれ部分がその開放端部Uaから隙間Vに巻き込まれる虞がある。刈取穀稈またはその一部は一旦隙間Vに巻き込まれると、隙間Vが小さい分、巻き込まれた穀稈は隙間Vから抜け出しにくく、中間縦向き伝動軸51の回転に伴って中間縦向き伝動軸51に巻き付きつつ益々隙間Vに巻き込まれる。結果的に、隙間Vが目詰まりを起こしたり、ベアリング61が損壊したりする可能性がある。また、上述したように隙間Vが小さいため、隙間Vに侵入した泥水等が液体の毛細現象によって残留してしまうこともある。この結果、中間縦向き伝動軸51や中間出力ケース部41の劣化が促進されてしまうこともある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑み、軸体と筒体との隙間への異物の侵入防止が可能で、また、隙間の異物の排出が可能な回転軸構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る回転軸構造の第一特徴構成は、軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記軸体の外周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成した点にある。
【0007】
本構成によると、軸体及び筒体は、互いに相対回転しても軸芯方向に相対移動しないよう構成してある。また、軸体の外周面には、異物を外部へ排出可能な螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部が形成されている。即ち、ネジを切った軸体を、筒体に対する軸芯方向の相対移動を拘束しつつ、筒体に対して相対回転させるものである。この結果、軸体及び筒体が相対回転すると、ネジの螺旋方向と相対回転方向との関係により、軸体と筒体との隙間に入り込んだ異物を開放端部から外部に排出することができる。また、隙間の外部への開放端部から異物が侵入することも可能となる。
【0008】
ただし、ここで言う「相対回転」とは、軸体と筒体とのうち一方が静止し、他方が回転する場合だけではなく、両方が逆方向に回転する場合と、両方が同方向に回転するものの、その回転各速度に差がある場合と、を含むものとする。
【0009】
本発明に係る回転軸構造の第二特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0010】
通常、右ネジの軸体を時計回りに相対回転させると、軸体を筒体に対してねじ込むことができる。しかし、本構成では、右ネジを切った軸体の筒体に対する軸芯方向の相対移動を拘束してある。この結果、軸体の外周部に形成した螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部と、筒体の内周部との間に形成された螺旋状空間に既に侵入した異物は、軸体と筒体との相対回転により、軸体の螺旋形状に沿いつつ筒体に対して外部方向に相対移動する。即ち、異物を開放端部から外部へ排出することができる。また、隙間の異物を外部に排出可能であるということは、外部からの異物の侵入を防止できるということでもある。このように、相対回転によって異物が隙間に巻き込まれる事態を防止できる。
【0011】
本発明に係る回転軸構造の第三特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0012】
本構成では、凹部又は凸部の螺旋方向と相対回転方向との両方が第二特徴構成と反対向きであるため、第二特徴構成と同様の作用効果が得られる。
【0013】
本発明に係る回転軸構造の第四特徴構成は、軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記筒体の内周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成した点にある。
【0014】
本構成によると、軸体及び筒体は、互いに相対回転しても軸芯方向に相対移動しないよう構成してある。また、筒体の内周面には、異物を外部へ排出可能な螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部が形成されている。この結果、軸体及び筒体が相対回転すると、ネジの螺旋方向と相対回転方向との関係により、軸体と筒体との隙間に入り込んだ異物を開放端部から外部に排出することができる。また、隙間の外部への開放端部から異物が侵入することも可能となる。
【0015】
本発明に係る回転軸構造の第五特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0016】
通常、右ネジの筒体を時計回りに相対回転させると、筒体を軸体に対してねじ込むことができる。しかし、本構成では、右ネジを切った筒体の軸体に対する軸芯方向の相対移動を拘束してある。この結果、筒体の内周部に形成した螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部と、軸体の外周部と、の間に形成された螺旋状空間に既に侵入した異物は、軸体と筒体との相対回転により、筒体の螺旋形状に沿いつつ軸体に対して外部方向に相対移動する。即ち、異物を開放端部から外部へ排出することができる。また、隙間の異物を外部に排出可能であるということは、外部からの異物の侵入を防止できるということでもある。このように、相対回転によって異物が隙間に巻き込まれる事態を防止できる。
【0017】
本発明に係る回転軸構造の第六特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0018】
本構成では、凹部又は凸部の螺旋方向と相対回転方向との両方が第五特徴構成と反対向きであるため、第五特徴構成と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は、本発明に係るコンバインの全体左側面図である。
【図2】は、本発明に係るコンバインの刈取部の搬送系を示す平面図である。
【図3】は、右側の第一株元挟持搬送装置の一部を示す縦断左側面図である。
【図4】は、第一株元挟持搬送装置に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図5】は、第一の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図6】は、第二の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図7】は、第三の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図8】は、第四の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図9】は、第五の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図10】は、第六の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図11】は、従来技術に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る回転軸構造を自脱型のコンバインの刈取部における補助搬送装置及び供給搬送装置に適用した例を図面に基づいて説明する。
【0021】
〔全体構成〕
本発明に係るコンバインは、稲、麦などを収穫する自脱型のコンバインであって、図1に示すごとく、機体の骨格である機体フレーム1と、機体を支持する左右一対のクローラ式の走行装置2と、機体フレーム1の前部に連結された刈取部3と、機体フレーム1の後側に設けた脱穀装置4及びグレンタンク5と、を備えている。脱穀装置4は、フィードチェーン7を機体の左横側に備えている。また、コンバインは、機体フレーム1の前側において機体右側に運転部6を備え、運転部6が有する運転座席6aの下方に不図示のエンジン及びミッションケースを備えている。
【0022】
〔刈取部〕
刈取部3は、図1に示すごとく、前下がりの傾斜姿勢である刈取フレーム11と、分草フレーム14と、三組の引起し装置15と、バリカン型の切断装置16と、補助搬送装置17と、供給搬送装置18と、を備えている。刈取フレーム11は、引起し装置15、切断装置16、補助搬送装置17、及び、供給搬送装置18を支持する固定フレームとして機能しつつ、これらに動力を伝動する伝動ケースとしても機能する。
【0023】
図示はしないが、エンジンに連動連結された静油圧式の無段変速装置がミッションケースに連結されており、無段変速装置からの正転あるいは逆転の変速動力が、ミッションケースに組み込まれた不図示の副変速機構で複数段にギヤ変速されて走行装置2に伝達される。これにより、コンバインは無段変速の前後進が可能である。無段変速装置からミッションケースに入力された変速動力のうちの正転動力のみが取り出されて主伝動軸に伝達される。主伝動軸の一定方向の回転動力は、刈取フレーム11を介して、引起し装置15、切断装置16、補助搬送装置17、及び供給搬送装置18に伝動され、これらの装置は走行速度と同調した速度で駆動可能である。
【0024】
図1に示すごとく、刈取フレーム11は、横向き軸芯Xを介して機体フレーム1に枢支されている。刈取フレーム11の中央付近と機体フレーム1の前側との間に亘って油圧シリンダ13を備え、油圧シリンダ13の伸縮によって刈取フレーム11は上下揺動可能である。即ち、刈取部3は、油圧シリンダ13の制御により機体フレーム1に対して横向き軸芯X回りに上下揺動し、分草フレーム14の前端部に備えたデバイダ14aが地面近くに下降した下降作業状態と、デバイダ14aが地面から高く上昇した上昇非作業状態とに姿勢変更可能である。
【0025】
分草フレーム14は、刈取フレーム11の先端部に機体前後方向の姿勢で連結されている。分草フレーム14の数は刈取り条数に応じて決定してある。図2に示すごとく、本実施形態に係るコンバインは五条刈り機であり、六本の分草フレーム14が互いに平行な姿勢で備えられている。
【0026】
刈取部3を下降作業状態にして走行機体を走行させると、デバイダ14aが植立穀稈の株元側に作用し、植立穀稈は分草される。分草された植立穀稈は引起し装置15によって引起される。切断装置16は左右両端の分草フレーム14の間に亘って設けられており、引起された植立穀稈の株元側が切断装置16によって刈取り処理される。
【0027】
補助搬送装置17は、図2に示すごとく、五基の回転ベルト機構21と、五基の回転パッカー22と、を備えている。回転ベルト機構21と回転パッカー22とは一体回動するよう構成してある。回転ベルト機構21は、切断装置16によって刈取り処理された刈取穀稈の穂先側を寄せ集めながら後方に向けて係止搬送する。回転パッカー22は、刈取穀稈の株元側を寄せ集めながら後方に向けて係止搬送する。
【0028】
供給搬送装置18は、図2に示すごとく、右側及び左側の穂先側係止搬送装置31R,31Lと、右側、中央側及び左側の第一株元挟持搬送装置32R,32C,32Lと、第二株元挟持搬送装置33と、補助株元挟持搬送装置34と、を備えている。穂先側係止搬送装置31R,31Lは、補助搬送装置17により搬送された刈取穀稈の穂先側を左右中央に寄せ集めながら後方に向けて係止搬送する。第一株元挟持搬送装置32R,32C,32Lは、補助搬送装置17により搬送された刈取穀稈の株元部を機体左右中央側に寄せ集めながら後方に向けて挟持搬送する。第二株元挟持搬送装置33は、第一株元挟持搬送装置32R,32C,32Lにより機体左右方向中央側に寄せ集められた刈取穀稈の株元部を左後方に向けて挟持搬送する。補助株元挟持搬送装置34は、第二株元挟持搬送装置33により搬送された刈取穀稈の株元部を受け取ってフィードチェーン7に供給する。また、供給搬送装置18は、刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に徐々に変更しながらフィードチェーン7に供給搬送するよう配設してある。
【0029】
図示はしないが、第二株元挟持搬送装置33は、その前端側に設定された横軸芯周りに上下揺動自在となるよう構成してある。よって、第二株元挟持搬送装置33が揺動することにより、その後端部の補助株元挟持搬送装置34に対する穀稈受渡し位置が変更される。この結果、脱穀装置4における刈取穀稈の扱深さを調節することができる。
【0030】
図2に示すごとく、第一株元挟持搬送装置32R,32L、第二株元挟持搬送装置33、及び、補助株元挟持搬送装置34は夫々、駆動スプロケットSsと、従動スプロケットSbと、駆動スプロケットSs及び従動スプロケットSbに巻き回された突起付きの無端回動体である搬送チェーンChと、搬送チェーンChの側にバネ付勢された挟持レールRaと、を備えている。上述した主伝動軸の一定方向の回転動力が刈取フレーム11を介して各駆動スプロケットSsに伝動され、駆動スプロケットSsの回転によって搬送チェーンChは駆動スプロケットSsと従動スプロケットSbとの間を周回回転する。この結果、刈取穀稈は挟持レールRaと搬送チェーンChとの間に挟持されて搬送される。
【0031】
五基の回転パッカー22のうち左端の回転パッカー22には従動スプロケットSbが一体的に組み付けられている。左端の回転パッカー22は、搬送チェーンChを介することにより、第一株元挟持搬送装置32Lの駆動スプロケットSsの回転に追従して回転する。左端の回転ベルト機構21は、左端の回転パッカー22の回転に追従して回転する。左から二番目の回転パッカー22は左端の回転パッカー22との噛合いにより回転し、左から二番目の回転ベルト機構21は左から二番目の回転パッカー22の回転に追従して回転する。中央の回転パッカー22は左から二番目の回転パッカー22との噛合いにより回転し、中央の回転ベルト機構21は中央の回転パッカー22の回転に追従して回転する。なお、右端の回転パッカー22及び右端の回転ベルト機構21と、右から二番目の回転パッカー22及び右から二番目の回転ベルト機構21と、の回転の仕組みも同様であるので説明を省略する。
【0032】
第一株元挟持搬送装置32Cは、中央の回転パッカー22に一体的に組み付けられた従動スプロケットSbと、その機体後方の従動スプロケットSbと、両従動スプロケットSbに巻き回された搬送チェーンChと、を備えている。この結果、第一株元挟持搬送装置32Cは、中央の回転パッカー22の回転に追従して駆動する。
【0033】
刈取穀稈は、その株元側を脱穀フィードチェーン7によって挟持されて、機体後側に搬送される。脱穀装置4は、刈取穀稈の穂先側を扱室に供給する。扱室には、走行機体前後方向を軸芯として回動する不図示の扱胴が備えられており、扱胴が回動することにより刈取穀稈の穂先側が扱かれて脱穀処理される。グレンタンク5は、脱穀装置4で脱穀された脱穀粒を貯留する。
【0034】
〔回転軸構造〕
上述のごとき構成のコンバインにおいて、補助搬送装置17及び供給搬送装置18は、夫々に本発明に係る回転軸構造を備えている。ここでは、特に、右側の第一株元挟持搬送装置32Rに係る回転軸構造について説明する。
【0035】
図3に示すごとく、刈取フレーム11に伝動軸12が挿通されている。図示はしないが、伝動軸12の後端部は上述した主伝動軸にベベルギヤ連係されている。図3に示すごとく、刈取フレーム11の前後中間部位に中間出力ケース部41を立設し、中間縦向き伝動軸51を挿通支持してある。中間縦向き伝動軸51の一方の端部にベベルギヤ53を組み付けて、中間縦向き伝動軸51を伝動軸12のベベルギア12aに連係してある。この結果、中間縦向き伝動軸51は、伝動軸12から取り出された動力で回転駆動する。
【0036】
なお、図3に示すごとく、中間縦向き伝動軸51の中間部分にベベルギア51cが備えられると共に、第二株元挟持搬送装置33にベベルギア33aが備えられ、ベベルギア51cとベベルギア33aとは咬み合っている。この結果、中間縦向き伝動軸51の回転動力がベベルギア33aによって取り出される。さらに、第二株元挟持搬送装置33は、ベベルギア33a側のベベルギア33bと、駆動側スプロケットSs側のベベルギア33cと、を備えており、ベベルギア33bとベベルギア33cとは咬み合っている。ベベルギア33aによって取り出された回転動力は、ベベルギア33bとベベルギア33cとを介すことにより、回転軸の傾きを変えつつ駆動側スプロケットSsに伝達される。
【0037】
以下に、中間縦向き伝動軸51の他方の端部の構成を説明する。図4に示すごとく、中間縦向き伝動軸51は段部51bを介して刈取フレーム11とは反対側(以下、「外部側」と称する)に向けて縮径してある。また、中間出力ケース部41の内周面41aに抜け止めリング42を嵌合してある。縮径部51aの外径と略同径の内径を有するインナーレース62を備えたベアリング61を縮径部51aに外装し、段部51bとインナーレース62とが当接した状態で、中間縦向き伝動軸51を中間出力ケース部41に対して刈取フレーム11の側(以下、「内部側」と称する)から挿通してある。ベアリング61のアウターレース63の外径は中間出力ケース部41の内径と略等しい。アウターレース63を介して中間縦向き伝動軸51を抜け止めリング42に内部側から外部側に押接し、上述したように中間縦向き伝動軸51の一方の端部にベベルギア53を組み付けてある。即ち、抜け止めリング42は、中間縦向き伝動軸51の中間出力ケース部41に対する位置決め基準として機能する。
【0038】
そして、ベアリング61よりも外部側に突出した縮径部51aに対して、駆動スプロケット52(Ss)を外部側から外装し、不図示のキーにより連結してある。そして、駆動スプロケット52が縮径部51aから抜け出さないよう、ナット55を締め付けてある。駆動スプロケット52は、縮径部51aの外径と略同径の中空形状に形成してあって、スプロケット部52aと軸部52bとを備えている。さらに、軸部52bの内部側の先端付近の外周にフランジ部52cを形成してある。軸部52bの先端部52dはインナーレース62に当接しており、駆動スプロケット52と中間縦向き伝動軸51とは円滑に回転可能である。
【0039】
図4に示すごとく、駆動スプロケット52を中間縦向き伝動軸51に固定した状態において、フランジ部52cの外部側の面と中間出力ケース部41の端部の外部側の面とは略同一面となっている。また、フランジ部52cの外径は中間出力ケース部41の内径よりも僅かに小さい程度に設定してある。したがって、中間出力ケース部41の内周面41aとフランジ部52cとの隙間Vには、外部側の開放端部Uaから外部の異物が侵入しにくい。図示はしないが、仮に、中間出力ケース部41の端部の外部側の面が、フランジ部52cの外部側の面よりも外部側に突出するよう構成すると、軸部52bの外周面と、フランジ部52cの外部側の面と、フランジ部52cよりも外部側に突出した中間出力ケース部41の内周面41aと、によって、環状の狭い空間が生じる。刈取穀稈の株元側等は、一旦この狭い空間に入り込むと、逃げ道を失って隙間Vに巻込まれやすくなる。図4に示す構成であると、このような事態は生じない。
【0040】
以上の構成により、中間縦向き伝動軸51と、中間縦向き伝動軸51を外側から囲む中間出力ケース部41とは、互いに相対回転可能で、且つ、中間縦向き伝動軸51の回転軸芯L方向に互いに相対移動しない。即ち、駆動スプロケット52を固定した「中間縦向き伝動軸51」が本発明における「軸体」に相当し、「中間出力ケース部41」が本発明における「筒体」に相当し、中間縦向き伝動軸51の「回転軸芯L」が本発明における「軸芯」に相当する。
【0041】
図4に示すごとく、フランジ部52cの外周面52eには、回転軸芯L周りの螺旋形状の凹部54(凹溝)を形成してある。凹部54は、隙間Vに侵入してきた異物を外部へ搬送可能な方向にその巻き方向を設定してある。具体的には、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、右ネジの螺旋形状に形成してある。また、中間縦向き伝動軸51は、図4に矢印で示す方向、即ち、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、時計回りに回転する。しかし、中間縦向き伝動軸51と中間出力ケース部41とは回転軸芯L方向に互いに相対移動しないため、凹部54と中間出力ケース部41の内周面41aとの間に侵入した異物、例えば、隙間Vに巻き込まれた刈取穀稈、隙間Vに侵入した泥水や土砂は、中間縦向き伝動軸51が回転することによって凹部54の螺旋形状に沿って開放端部Uaから外部に排出される。当然に、外部から隙間Vへの異物の侵入も防止できる。したがって、隙間Vの目詰まりやベアリング61の損壊を防止することができる。なお、凹部54の断面形状は、略半円形状に形成してある。ただし、凹部54の断面形状としては、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった、上述の略半円形状とは異なる形状を採用しても良い。
【0042】
〔第一の別実施形態〕
上述の実施形態においては、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、中間縦向き伝動軸51が時計回りに回転する場合に、フランジ部52cの外周面52eに螺旋形状の凹部54を形成したが、これに限られるものではない。図5に示すごとく、フランジ部52cの外周面52eに螺旋形状の凸部71(凸条)を形成しても良い。凹部54の溝幅が広がれば、その形状は凸形状となるだけであり、凹部54と凸部71とは表裏一体の関係である。このため、上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、凸部71の断面形状は略半円形状に形成してある。ただし、凸部71の断面形状としては、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった、上述の略半円形状とは異なる形状を採用しても良い。
【0043】
〔第二の別実施形態〕
上述の実施形態においては、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、中間縦向き伝動軸51が時計回りに回転する場合の例を示した。図6に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、中間縦向き伝動軸51が反時計回りに回転する回転軸構造であっても良い。この場合は、フランジ部52cの外周面52eに左ネジの螺旋形状の凹部54を形成する。なお、図示はしないが、本実施形態において、左ネジの凹部54の代わりに左ネジの凸部を形成してあっても良い。
【0044】
〔第三の別実施形態〕
上述の実施形態においては、筒体としての中間出力ケース41が静止しており、軸体としての中間縦向き伝動軸51が回転する実施形態を例として説明したが、軸体と筒体とが相対回転する構成であれば、これに限られるものではない。軸体と筒体とを軸芯方向に互いに相対移動しないように配設しつつ、軸体が静止し、筒体が軸体に対して相対回転する構成である回転軸構造であっても良い。この場合は、隙間Vに侵入してきた異物を外部へ搬送可能な方向に螺旋の巻き方向を設定した凹部を筒体側に形成する。具体的には、図7に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に軸芯L方向を観て、軸体81に対して時計回りに相対回転する筒体82の内周面82aに、軸芯L周りの右ネジの螺旋形状である凹部83(凹溝)を形成する。
【0045】
この構成であると、軸体81の外周面81aと筒体82との隙間Vに侵入した異物は、筒体82が回転することによって凹部83の螺旋形状に沿って開放端部Uaから外部に排出される。当然に、外部から隙間Vへの異物の侵入も防止できる。なお、凹部83の断面形状は、略半円形状に形成してある。ただし、凹部83の断面形状としては、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった、上述の略半円形状とは異なる形状を採用しても良い。
【0046】
〔第四の別実施形態〕
図8に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に軸芯L方向を観て、軸体81に対して時計回りに相対回転する筒体82の内周面82aに、軸芯L周りの右ネジの螺旋形状である凸部84(凸条)を形成しても良い。凸部84の断面形状は略半円形状に形成してあるが、これに限られず、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった異なる形状としても良い。
【0047】
〔第五の別実施形態〕
図9に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に軸芯L方向を観て、筒体82が軸体81に対して反時計回りに相対回転する場合は、筒体82の内周面82aに左ネジの螺旋形状の凹部83(凹溝)を形成すると良い。凹部83の断面形状は略半円形状に形成してあるが、これに限られず、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった異なる形状としても良い。なお、図示はしないが、本実施形態において、左ネジの凹部83の代わりに左ネジの凸部を形成してあっても良い。
【0048】
〔第六の別実施形態〕
上述の実施形態では、凹部あるいは凸部に係る螺旋形状が、開放端部Uaに対して倒伏した状態で、軸芯Lの回りに一周以上巻かれている構成であった。しかし、図10に示すごとく、軸体91に形成した凹部93(あるいは凸部)に係る螺旋形状の螺旋が、開放端部Uaに対して起立した状態で、軸芯Lの回りに一周未満の部分的にしか巻かれていない構成であっても良い。図10では、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、凹部93を右ネジの螺旋形状とし、軸体91が筒体92に対して時計回りに回転するよう構成してある。
【0049】
図示はしないが、凹部を筒体92の側に形成しても、凹部93の代わりに凸部を形成しても良い。また、凹部93を左ネジの螺旋形状とし、軸体91が筒体92に対して反時計回りに回転するよう構成しても良い。この場合も、凹部を筒体92の側に形成しても、凹部の代わりに凸部を形成しても良い。なお、図10において、凹部93の断面形状は略半円形状に形成してあるが、これに限られず、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった異なる形状としても良い。
【0050】
〔第七の別実施形態〕
図示はしないが、以上の実施形態において、軸体または筒体は、他方に対して相対回転するものであり、軸体と筒体の両者が互いに逆方向に回転する構成であっても良い。また、軸体と筒体とが、回転数に差が生じるように同方向に回転するよう構成してあっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る回転軸構造は、コンバインの穀稈通過箇所の回転部として、補助搬送装置17や供給搬送装置18に限らず、穀稈等の通過経路となり易い他の箇所、例えば、引起し装置15、切断装置16、フィードチェーン7、走行装置2等の回転駆動部に適用しても良い。さらに、軸体と筒体との間に侵入した泥水や土砂等を排出することもできるため、トラクタ等の他の農業機械、バックホー等の産業機械にも広く利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
41 中間出力ケース部(筒体)
51 中間縦向き伝動軸(軸体)
52 駆動スプロケット(軸体)
52e 外周面
54 凹部
71 凸部
81 軸体
82 筒体
82a 内周面
83 凹部
84 凸部
V 隙間
Ua 開放端部
L 回転軸芯(軸芯)
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸体と、軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設してある回転軸構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1の図2に示されるように、自脱型コンバインにおいて、刈取穀稈を刈幅内の中間部位に搬送して合流させる搬送装置や、搬送装置から受取った刈取穀稈をフィードチェーンの前方に搬送する供給搬送装置などに備えられた回転軸構造があった。例えば、搬送装置のうち、刈取穀稈の株元側を挟持搬送する株元搬送機構における回転軸構造は、例えば図11に示すごとく、駆動スプロケット52が固定された中間縦向き伝動軸51と、中間縦向き伝動軸51を外側から囲む中間出力ケース部41とを、互いに相対回転可能なように、且つ、中間縦向き伝動軸51の回転軸芯L方向に互いに相対移動しないように配設してある。駆動スプロケット52と不図示の従動スプロケットとに搬送チェーンが巻き回されており、搬送チェーンは駆動スプロケット52の回転により周回運動する。刈取穀稈の株元側は、搬送チェーンと不図示の挟持レールとで挟持され、搬送チェーンの周回運動に従って搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−11770号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術では、例えば図11に示すごとく、中間縦向き伝動軸51に固定された駆動スプロケット52のフランジ部52cと、中間出力ケース部41との隙間Vをできるだけ小さく設定し、隙間Vに駆動スプロケット52の側、即ち、外部側から異物が侵入しにくいように構成してある。しかし、隙間Vが外部に開放されている構成である限りは、中間縦向き伝動軸51の回転時に、刈取穀稈の株元側またはその一部、例えばささくれ部分がその開放端部Uaから隙間Vに巻き込まれる虞がある。刈取穀稈またはその一部は一旦隙間Vに巻き込まれると、隙間Vが小さい分、巻き込まれた穀稈は隙間Vから抜け出しにくく、中間縦向き伝動軸51の回転に伴って中間縦向き伝動軸51に巻き付きつつ益々隙間Vに巻き込まれる。結果的に、隙間Vが目詰まりを起こしたり、ベアリング61が損壊したりする可能性がある。また、上述したように隙間Vが小さいため、隙間Vに侵入した泥水等が液体の毛細現象によって残留してしまうこともある。この結果、中間縦向き伝動軸51や中間出力ケース部41の劣化が促進されてしまうこともある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑み、軸体と筒体との隙間への異物の侵入防止が可能で、また、隙間の異物の排出が可能な回転軸構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る回転軸構造の第一特徴構成は、軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記軸体の外周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成した点にある。
【0007】
本構成によると、軸体及び筒体は、互いに相対回転しても軸芯方向に相対移動しないよう構成してある。また、軸体の外周面には、異物を外部へ排出可能な螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部が形成されている。即ち、ネジを切った軸体を、筒体に対する軸芯方向の相対移動を拘束しつつ、筒体に対して相対回転させるものである。この結果、軸体及び筒体が相対回転すると、ネジの螺旋方向と相対回転方向との関係により、軸体と筒体との隙間に入り込んだ異物を開放端部から外部に排出することができる。また、隙間の外部への開放端部から異物が侵入することも可能となる。
【0008】
ただし、ここで言う「相対回転」とは、軸体と筒体とのうち一方が静止し、他方が回転する場合だけではなく、両方が逆方向に回転する場合と、両方が同方向に回転するものの、その回転各速度に差がある場合と、を含むものとする。
【0009】
本発明に係る回転軸構造の第二特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0010】
通常、右ネジの軸体を時計回りに相対回転させると、軸体を筒体に対してねじ込むことができる。しかし、本構成では、右ネジを切った軸体の筒体に対する軸芯方向の相対移動を拘束してある。この結果、軸体の外周部に形成した螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部と、筒体の内周部との間に形成された螺旋状空間に既に侵入した異物は、軸体と筒体との相対回転により、軸体の螺旋形状に沿いつつ筒体に対して外部方向に相対移動する。即ち、異物を開放端部から外部へ排出することができる。また、隙間の異物を外部に排出可能であるということは、外部からの異物の侵入を防止できるということでもある。このように、相対回転によって異物が隙間に巻き込まれる事態を防止できる。
【0011】
本発明に係る回転軸構造の第三特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0012】
本構成では、凹部又は凸部の螺旋方向と相対回転方向との両方が第二特徴構成と反対向きであるため、第二特徴構成と同様の作用効果が得られる。
【0013】
本発明に係る回転軸構造の第四特徴構成は、軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記筒体の内周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成した点にある。
【0014】
本構成によると、軸体及び筒体は、互いに相対回転しても軸芯方向に相対移動しないよう構成してある。また、筒体の内周面には、異物を外部へ排出可能な螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部が形成されている。この結果、軸体及び筒体が相対回転すると、ネジの螺旋方向と相対回転方向との関係により、軸体と筒体との隙間に入り込んだ異物を開放端部から外部に排出することができる。また、隙間の外部への開放端部から異物が侵入することも可能となる。
【0015】
本発明に係る回転軸構造の第五特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0016】
通常、右ネジの筒体を時計回りに相対回転させると、筒体を軸体に対してねじ込むことができる。しかし、本構成では、右ネジを切った筒体の軸体に対する軸芯方向の相対移動を拘束してある。この結果、筒体の内周部に形成した螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部と、軸体の外周部と、の間に形成された螺旋状空間に既に侵入した異物は、軸体と筒体との相対回転により、筒体の螺旋形状に沿いつつ軸体に対して外部方向に相対移動する。即ち、異物を開放端部から外部へ排出することができる。また、隙間の異物を外部に排出可能であるということは、外部からの異物の侵入を防止できるということでもある。このように、相対回転によって異物が隙間に巻き込まれる事態を防止できる。
【0017】
本発明に係る回転軸構造の第六特徴構成は、前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成した点にある。
【0018】
本構成では、凹部又は凸部の螺旋方向と相対回転方向との両方が第五特徴構成と反対向きであるため、第五特徴構成と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は、本発明に係るコンバインの全体左側面図である。
【図2】は、本発明に係るコンバインの刈取部の搬送系を示す平面図である。
【図3】は、右側の第一株元挟持搬送装置の一部を示す縦断左側面図である。
【図4】は、第一株元挟持搬送装置に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図5】は、第一の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図6】は、第二の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図7】は、第三の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図8】は、第四の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図9】は、第五の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図10】は、第六の別実施形態に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【図11】は、従来技術に係る回転軸構造を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る回転軸構造を自脱型のコンバインの刈取部における補助搬送装置及び供給搬送装置に適用した例を図面に基づいて説明する。
【0021】
〔全体構成〕
本発明に係るコンバインは、稲、麦などを収穫する自脱型のコンバインであって、図1に示すごとく、機体の骨格である機体フレーム1と、機体を支持する左右一対のクローラ式の走行装置2と、機体フレーム1の前部に連結された刈取部3と、機体フレーム1の後側に設けた脱穀装置4及びグレンタンク5と、を備えている。脱穀装置4は、フィードチェーン7を機体の左横側に備えている。また、コンバインは、機体フレーム1の前側において機体右側に運転部6を備え、運転部6が有する運転座席6aの下方に不図示のエンジン及びミッションケースを備えている。
【0022】
〔刈取部〕
刈取部3は、図1に示すごとく、前下がりの傾斜姿勢である刈取フレーム11と、分草フレーム14と、三組の引起し装置15と、バリカン型の切断装置16と、補助搬送装置17と、供給搬送装置18と、を備えている。刈取フレーム11は、引起し装置15、切断装置16、補助搬送装置17、及び、供給搬送装置18を支持する固定フレームとして機能しつつ、これらに動力を伝動する伝動ケースとしても機能する。
【0023】
図示はしないが、エンジンに連動連結された静油圧式の無段変速装置がミッションケースに連結されており、無段変速装置からの正転あるいは逆転の変速動力が、ミッションケースに組み込まれた不図示の副変速機構で複数段にギヤ変速されて走行装置2に伝達される。これにより、コンバインは無段変速の前後進が可能である。無段変速装置からミッションケースに入力された変速動力のうちの正転動力のみが取り出されて主伝動軸に伝達される。主伝動軸の一定方向の回転動力は、刈取フレーム11を介して、引起し装置15、切断装置16、補助搬送装置17、及び供給搬送装置18に伝動され、これらの装置は走行速度と同調した速度で駆動可能である。
【0024】
図1に示すごとく、刈取フレーム11は、横向き軸芯Xを介して機体フレーム1に枢支されている。刈取フレーム11の中央付近と機体フレーム1の前側との間に亘って油圧シリンダ13を備え、油圧シリンダ13の伸縮によって刈取フレーム11は上下揺動可能である。即ち、刈取部3は、油圧シリンダ13の制御により機体フレーム1に対して横向き軸芯X回りに上下揺動し、分草フレーム14の前端部に備えたデバイダ14aが地面近くに下降した下降作業状態と、デバイダ14aが地面から高く上昇した上昇非作業状態とに姿勢変更可能である。
【0025】
分草フレーム14は、刈取フレーム11の先端部に機体前後方向の姿勢で連結されている。分草フレーム14の数は刈取り条数に応じて決定してある。図2に示すごとく、本実施形態に係るコンバインは五条刈り機であり、六本の分草フレーム14が互いに平行な姿勢で備えられている。
【0026】
刈取部3を下降作業状態にして走行機体を走行させると、デバイダ14aが植立穀稈の株元側に作用し、植立穀稈は分草される。分草された植立穀稈は引起し装置15によって引起される。切断装置16は左右両端の分草フレーム14の間に亘って設けられており、引起された植立穀稈の株元側が切断装置16によって刈取り処理される。
【0027】
補助搬送装置17は、図2に示すごとく、五基の回転ベルト機構21と、五基の回転パッカー22と、を備えている。回転ベルト機構21と回転パッカー22とは一体回動するよう構成してある。回転ベルト機構21は、切断装置16によって刈取り処理された刈取穀稈の穂先側を寄せ集めながら後方に向けて係止搬送する。回転パッカー22は、刈取穀稈の株元側を寄せ集めながら後方に向けて係止搬送する。
【0028】
供給搬送装置18は、図2に示すごとく、右側及び左側の穂先側係止搬送装置31R,31Lと、右側、中央側及び左側の第一株元挟持搬送装置32R,32C,32Lと、第二株元挟持搬送装置33と、補助株元挟持搬送装置34と、を備えている。穂先側係止搬送装置31R,31Lは、補助搬送装置17により搬送された刈取穀稈の穂先側を左右中央に寄せ集めながら後方に向けて係止搬送する。第一株元挟持搬送装置32R,32C,32Lは、補助搬送装置17により搬送された刈取穀稈の株元部を機体左右中央側に寄せ集めながら後方に向けて挟持搬送する。第二株元挟持搬送装置33は、第一株元挟持搬送装置32R,32C,32Lにより機体左右方向中央側に寄せ集められた刈取穀稈の株元部を左後方に向けて挟持搬送する。補助株元挟持搬送装置34は、第二株元挟持搬送装置33により搬送された刈取穀稈の株元部を受け取ってフィードチェーン7に供給する。また、供給搬送装置18は、刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に徐々に変更しながらフィードチェーン7に供給搬送するよう配設してある。
【0029】
図示はしないが、第二株元挟持搬送装置33は、その前端側に設定された横軸芯周りに上下揺動自在となるよう構成してある。よって、第二株元挟持搬送装置33が揺動することにより、その後端部の補助株元挟持搬送装置34に対する穀稈受渡し位置が変更される。この結果、脱穀装置4における刈取穀稈の扱深さを調節することができる。
【0030】
図2に示すごとく、第一株元挟持搬送装置32R,32L、第二株元挟持搬送装置33、及び、補助株元挟持搬送装置34は夫々、駆動スプロケットSsと、従動スプロケットSbと、駆動スプロケットSs及び従動スプロケットSbに巻き回された突起付きの無端回動体である搬送チェーンChと、搬送チェーンChの側にバネ付勢された挟持レールRaと、を備えている。上述した主伝動軸の一定方向の回転動力が刈取フレーム11を介して各駆動スプロケットSsに伝動され、駆動スプロケットSsの回転によって搬送チェーンChは駆動スプロケットSsと従動スプロケットSbとの間を周回回転する。この結果、刈取穀稈は挟持レールRaと搬送チェーンChとの間に挟持されて搬送される。
【0031】
五基の回転パッカー22のうち左端の回転パッカー22には従動スプロケットSbが一体的に組み付けられている。左端の回転パッカー22は、搬送チェーンChを介することにより、第一株元挟持搬送装置32Lの駆動スプロケットSsの回転に追従して回転する。左端の回転ベルト機構21は、左端の回転パッカー22の回転に追従して回転する。左から二番目の回転パッカー22は左端の回転パッカー22との噛合いにより回転し、左から二番目の回転ベルト機構21は左から二番目の回転パッカー22の回転に追従して回転する。中央の回転パッカー22は左から二番目の回転パッカー22との噛合いにより回転し、中央の回転ベルト機構21は中央の回転パッカー22の回転に追従して回転する。なお、右端の回転パッカー22及び右端の回転ベルト機構21と、右から二番目の回転パッカー22及び右から二番目の回転ベルト機構21と、の回転の仕組みも同様であるので説明を省略する。
【0032】
第一株元挟持搬送装置32Cは、中央の回転パッカー22に一体的に組み付けられた従動スプロケットSbと、その機体後方の従動スプロケットSbと、両従動スプロケットSbに巻き回された搬送チェーンChと、を備えている。この結果、第一株元挟持搬送装置32Cは、中央の回転パッカー22の回転に追従して駆動する。
【0033】
刈取穀稈は、その株元側を脱穀フィードチェーン7によって挟持されて、機体後側に搬送される。脱穀装置4は、刈取穀稈の穂先側を扱室に供給する。扱室には、走行機体前後方向を軸芯として回動する不図示の扱胴が備えられており、扱胴が回動することにより刈取穀稈の穂先側が扱かれて脱穀処理される。グレンタンク5は、脱穀装置4で脱穀された脱穀粒を貯留する。
【0034】
〔回転軸構造〕
上述のごとき構成のコンバインにおいて、補助搬送装置17及び供給搬送装置18は、夫々に本発明に係る回転軸構造を備えている。ここでは、特に、右側の第一株元挟持搬送装置32Rに係る回転軸構造について説明する。
【0035】
図3に示すごとく、刈取フレーム11に伝動軸12が挿通されている。図示はしないが、伝動軸12の後端部は上述した主伝動軸にベベルギヤ連係されている。図3に示すごとく、刈取フレーム11の前後中間部位に中間出力ケース部41を立設し、中間縦向き伝動軸51を挿通支持してある。中間縦向き伝動軸51の一方の端部にベベルギヤ53を組み付けて、中間縦向き伝動軸51を伝動軸12のベベルギア12aに連係してある。この結果、中間縦向き伝動軸51は、伝動軸12から取り出された動力で回転駆動する。
【0036】
なお、図3に示すごとく、中間縦向き伝動軸51の中間部分にベベルギア51cが備えられると共に、第二株元挟持搬送装置33にベベルギア33aが備えられ、ベベルギア51cとベベルギア33aとは咬み合っている。この結果、中間縦向き伝動軸51の回転動力がベベルギア33aによって取り出される。さらに、第二株元挟持搬送装置33は、ベベルギア33a側のベベルギア33bと、駆動側スプロケットSs側のベベルギア33cと、を備えており、ベベルギア33bとベベルギア33cとは咬み合っている。ベベルギア33aによって取り出された回転動力は、ベベルギア33bとベベルギア33cとを介すことにより、回転軸の傾きを変えつつ駆動側スプロケットSsに伝達される。
【0037】
以下に、中間縦向き伝動軸51の他方の端部の構成を説明する。図4に示すごとく、中間縦向き伝動軸51は段部51bを介して刈取フレーム11とは反対側(以下、「外部側」と称する)に向けて縮径してある。また、中間出力ケース部41の内周面41aに抜け止めリング42を嵌合してある。縮径部51aの外径と略同径の内径を有するインナーレース62を備えたベアリング61を縮径部51aに外装し、段部51bとインナーレース62とが当接した状態で、中間縦向き伝動軸51を中間出力ケース部41に対して刈取フレーム11の側(以下、「内部側」と称する)から挿通してある。ベアリング61のアウターレース63の外径は中間出力ケース部41の内径と略等しい。アウターレース63を介して中間縦向き伝動軸51を抜け止めリング42に内部側から外部側に押接し、上述したように中間縦向き伝動軸51の一方の端部にベベルギア53を組み付けてある。即ち、抜け止めリング42は、中間縦向き伝動軸51の中間出力ケース部41に対する位置決め基準として機能する。
【0038】
そして、ベアリング61よりも外部側に突出した縮径部51aに対して、駆動スプロケット52(Ss)を外部側から外装し、不図示のキーにより連結してある。そして、駆動スプロケット52が縮径部51aから抜け出さないよう、ナット55を締め付けてある。駆動スプロケット52は、縮径部51aの外径と略同径の中空形状に形成してあって、スプロケット部52aと軸部52bとを備えている。さらに、軸部52bの内部側の先端付近の外周にフランジ部52cを形成してある。軸部52bの先端部52dはインナーレース62に当接しており、駆動スプロケット52と中間縦向き伝動軸51とは円滑に回転可能である。
【0039】
図4に示すごとく、駆動スプロケット52を中間縦向き伝動軸51に固定した状態において、フランジ部52cの外部側の面と中間出力ケース部41の端部の外部側の面とは略同一面となっている。また、フランジ部52cの外径は中間出力ケース部41の内径よりも僅かに小さい程度に設定してある。したがって、中間出力ケース部41の内周面41aとフランジ部52cとの隙間Vには、外部側の開放端部Uaから外部の異物が侵入しにくい。図示はしないが、仮に、中間出力ケース部41の端部の外部側の面が、フランジ部52cの外部側の面よりも外部側に突出するよう構成すると、軸部52bの外周面と、フランジ部52cの外部側の面と、フランジ部52cよりも外部側に突出した中間出力ケース部41の内周面41aと、によって、環状の狭い空間が生じる。刈取穀稈の株元側等は、一旦この狭い空間に入り込むと、逃げ道を失って隙間Vに巻込まれやすくなる。図4に示す構成であると、このような事態は生じない。
【0040】
以上の構成により、中間縦向き伝動軸51と、中間縦向き伝動軸51を外側から囲む中間出力ケース部41とは、互いに相対回転可能で、且つ、中間縦向き伝動軸51の回転軸芯L方向に互いに相対移動しない。即ち、駆動スプロケット52を固定した「中間縦向き伝動軸51」が本発明における「軸体」に相当し、「中間出力ケース部41」が本発明における「筒体」に相当し、中間縦向き伝動軸51の「回転軸芯L」が本発明における「軸芯」に相当する。
【0041】
図4に示すごとく、フランジ部52cの外周面52eには、回転軸芯L周りの螺旋形状の凹部54(凹溝)を形成してある。凹部54は、隙間Vに侵入してきた異物を外部へ搬送可能な方向にその巻き方向を設定してある。具体的には、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、右ネジの螺旋形状に形成してある。また、中間縦向き伝動軸51は、図4に矢印で示す方向、即ち、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、時計回りに回転する。しかし、中間縦向き伝動軸51と中間出力ケース部41とは回転軸芯L方向に互いに相対移動しないため、凹部54と中間出力ケース部41の内周面41aとの間に侵入した異物、例えば、隙間Vに巻き込まれた刈取穀稈、隙間Vに侵入した泥水や土砂は、中間縦向き伝動軸51が回転することによって凹部54の螺旋形状に沿って開放端部Uaから外部に排出される。当然に、外部から隙間Vへの異物の侵入も防止できる。したがって、隙間Vの目詰まりやベアリング61の損壊を防止することができる。なお、凹部54の断面形状は、略半円形状に形成してある。ただし、凹部54の断面形状としては、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった、上述の略半円形状とは異なる形状を採用しても良い。
【0042】
〔第一の別実施形態〕
上述の実施形態においては、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、中間縦向き伝動軸51が時計回りに回転する場合に、フランジ部52cの外周面52eに螺旋形状の凹部54を形成したが、これに限られるものではない。図5に示すごとく、フランジ部52cの外周面52eに螺旋形状の凸部71(凸条)を形成しても良い。凹部54の溝幅が広がれば、その形状は凸形状となるだけであり、凹部54と凸部71とは表裏一体の関係である。このため、上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、凸部71の断面形状は略半円形状に形成してある。ただし、凸部71の断面形状としては、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった、上述の略半円形状とは異なる形状を採用しても良い。
【0043】
〔第二の別実施形態〕
上述の実施形態においては、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、中間縦向き伝動軸51が時計回りに回転する場合の例を示した。図6に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、中間縦向き伝動軸51が反時計回りに回転する回転軸構造であっても良い。この場合は、フランジ部52cの外周面52eに左ネジの螺旋形状の凹部54を形成する。なお、図示はしないが、本実施形態において、左ネジの凹部54の代わりに左ネジの凸部を形成してあっても良い。
【0044】
〔第三の別実施形態〕
上述の実施形態においては、筒体としての中間出力ケース41が静止しており、軸体としての中間縦向き伝動軸51が回転する実施形態を例として説明したが、軸体と筒体とが相対回転する構成であれば、これに限られるものではない。軸体と筒体とを軸芯方向に互いに相対移動しないように配設しつつ、軸体が静止し、筒体が軸体に対して相対回転する構成である回転軸構造であっても良い。この場合は、隙間Vに侵入してきた異物を外部へ搬送可能な方向に螺旋の巻き方向を設定した凹部を筒体側に形成する。具体的には、図7に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に軸芯L方向を観て、軸体81に対して時計回りに相対回転する筒体82の内周面82aに、軸芯L周りの右ネジの螺旋形状である凹部83(凹溝)を形成する。
【0045】
この構成であると、軸体81の外周面81aと筒体82との隙間Vに侵入した異物は、筒体82が回転することによって凹部83の螺旋形状に沿って開放端部Uaから外部に排出される。当然に、外部から隙間Vへの異物の侵入も防止できる。なお、凹部83の断面形状は、略半円形状に形成してある。ただし、凹部83の断面形状としては、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった、上述の略半円形状とは異なる形状を採用しても良い。
【0046】
〔第四の別実施形態〕
図8に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に軸芯L方向を観て、軸体81に対して時計回りに相対回転する筒体82の内周面82aに、軸芯L周りの右ネジの螺旋形状である凸部84(凸条)を形成しても良い。凸部84の断面形状は略半円形状に形成してあるが、これに限られず、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった異なる形状としても良い。
【0047】
〔第五の別実施形態〕
図9に示すごとく、開放端部Uaの側から内部側に軸芯L方向を観て、筒体82が軸体81に対して反時計回りに相対回転する場合は、筒体82の内周面82aに左ネジの螺旋形状の凹部83(凹溝)を形成すると良い。凹部83の断面形状は略半円形状に形成してあるが、これに限られず、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった異なる形状としても良い。なお、図示はしないが、本実施形態において、左ネジの凹部83の代わりに左ネジの凸部を形成してあっても良い。
【0048】
〔第六の別実施形態〕
上述の実施形態では、凹部あるいは凸部に係る螺旋形状が、開放端部Uaに対して倒伏した状態で、軸芯Lの回りに一周以上巻かれている構成であった。しかし、図10に示すごとく、軸体91に形成した凹部93(あるいは凸部)に係る螺旋形状の螺旋が、開放端部Uaに対して起立した状態で、軸芯Lの回りに一周未満の部分的にしか巻かれていない構成であっても良い。図10では、開放端部Uaの側から内部側に回転軸芯L方向を観て、凹部93を右ネジの螺旋形状とし、軸体91が筒体92に対して時計回りに回転するよう構成してある。
【0049】
図示はしないが、凹部を筒体92の側に形成しても、凹部93の代わりに凸部を形成しても良い。また、凹部93を左ネジの螺旋形状とし、軸体91が筒体92に対して反時計回りに回転するよう構成しても良い。この場合も、凹部を筒体92の側に形成しても、凹部の代わりに凸部を形成しても良い。なお、図10において、凹部93の断面形状は略半円形状に形成してあるが、これに限られず、略三角形状、略矩形状、略台形形状等といった異なる形状としても良い。
【0050】
〔第七の別実施形態〕
図示はしないが、以上の実施形態において、軸体または筒体は、他方に対して相対回転するものであり、軸体と筒体の両者が互いに逆方向に回転する構成であっても良い。また、軸体と筒体とが、回転数に差が生じるように同方向に回転するよう構成してあっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る回転軸構造は、コンバインの穀稈通過箇所の回転部として、補助搬送装置17や供給搬送装置18に限らず、穀稈等の通過経路となり易い他の箇所、例えば、引起し装置15、切断装置16、フィードチェーン7、走行装置2等の回転駆動部に適用しても良い。さらに、軸体と筒体との間に侵入した泥水や土砂等を排出することもできるため、トラクタ等の他の農業機械、バックホー等の産業機械にも広く利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
41 中間出力ケース部(筒体)
51 中間縦向き伝動軸(軸体)
52 駆動スプロケット(軸体)
52e 外周面
54 凹部
71 凸部
81 軸体
82 筒体
82a 内周面
83 凹部
84 凸部
V 隙間
Ua 開放端部
L 回転軸芯(軸芯)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、
前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記軸体の外周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成してある回転軸構造。
【請求項2】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成してある請求項1に記載の回転軸構造。
【請求項3】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成してある請求項1に記載の回転軸構造。
【請求項4】
軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、
前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記筒体の内周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成してある回転軸構造。
【請求項5】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成してある請求項4に記載の回転軸構造。
【請求項6】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成してある請求項4に記載の回転軸構造。
【請求項1】
軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、
前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記軸体の外周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成してある回転軸構造。
【請求項2】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成してある請求項1に記載の回転軸構造。
【請求項3】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記軸体が前記筒体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成してある請求項1に記載の回転軸構造。
【請求項4】
軸体と前記軸体を外側から囲む筒体とを、互いに相対回転可能なように、且つ、前記軸体の軸芯方向に互いに相対移動しないように配設し、
前記軸体と前記筒体との隙間の外部への開放端部において、前記筒体の内周面に、異物を外部へ排出可能な前記軸芯周りの螺旋形状の凹部又は螺旋形状の凸部を形成してある回転軸構造。
【請求項5】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を右ネジの螺旋形状に形成してある請求項4に記載の回転軸構造。
【請求項6】
前記開放端部の側から前記軸芯方向を観て、前記筒体が前記軸体に対して反時計回りに相対回転し、前記凹部又は前記凸部を左ネジの螺旋形状に形成してある請求項4に記載の回転軸構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−55788(P2011−55788A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210861(P2009−210861)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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