回転軸機構
【課題】回転付勢手段をコンパクトに搭載し、回動可能に2つの部材を連結する組立てを容易な回転軸機構を提供する。
【解決手段】第1部材17の内部にトーションスプリング36、係止リング37を配置する。第1部材17の一対の壁面30、31を第2部材18の一対の平板32、33で挟む。平板32、壁面30、31、平板33の各々に設けられた孔32A、30A、31A、33Aに回転軸部材35をこの順で挿通し、第1部材17内においては、トーションスプリング36、係止リング37を回転軸部材35に装着する。回転軸部材35にネジ38を螺着し、回転軸部材35を第2部材18に固定する。トーションスプリング36の一端を第1部材17に設けられた係止部17Dに係止し、他端を係止リング37の係止部37Bに係止する。
【解決手段】第1部材17の内部にトーションスプリング36、係止リング37を配置する。第1部材17の一対の壁面30、31を第2部材18の一対の平板32、33で挟む。平板32、壁面30、31、平板33の各々に設けられた孔32A、30A、31A、33Aに回転軸部材35をこの順で挿通し、第1部材17内においては、トーションスプリング36、係止リング37を回転軸部材35に装着する。回転軸部材35にネジ38を螺着し、回転軸部材35を第2部材18に固定する。トーションスプリング36の一端を第1部材17に設けられた係止部17Dに係止し、他端を係止リング37の係止部37Bに係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動可能に2つの部材を連結するとともに回転付勢手段を備える回転軸機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ストロボを内蔵したカメラには、ストロボ使用時に内蔵ストロボをカメラ本体からポップアップするものがある。これはストロボを撮影光軸からなるべく離し、ケラレの発生や赤目の発生を防止するためである。ポップアップ機構としては、例えば上下方向にスライドするシャフトを設け、シャフトをバネで上方に付勢し、シャフト上端にストロボ光源を配置したものがある。ストロボ収容時には、シャフトはカメラ本体内で押し下げられ、係止機構によりその位置が固定される。ストロボ使用時に、ユーザがスライドノブなどを操作して係止を解除すると、シャフトはバネの付勢力で上方にスライドされ、ストロボがカメラ本体から跳び出す(特許文献1)。また、ストロボ発光部を回転軸を介して支持部材の一端に連結するとともに、他端を回転軸を介してカメラ本体に連結し、発光時にストロボ発光部をカメラ本体からリフトさせる構成も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−086226号公報
【特許文献2】特開2000−310809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラの小型化にともない、カメラ本体に内蔵されるストロボはレンズ光軸により近い位置に配置されるためケラレや赤目の影響が増大する。特にレンズ交換式のコンパクトカメラでは、例えば焦点距離の短いレンズが装着されるとその影響が大きい。そのため、このようなカメラでは、より遠くにストロボをポップアップさせる必要があるが、カメラ本体が小型化されると、ポップアップ機構のシャフトの長さも短くする必要があるため上記のポップアップ/リフトアップ機構ではストロボをレンズ光軸から十分に離すことができない。
【0005】
このため、ポップアップ機構を複数の部材に分け、これら複数の部材を回転軸で連結しその連動動作によりポップアップ機構の延出長さを増大することが考えられる。しかし、そのためには、回転付勢手段が設けられた極めて小型で薄い回転軸機構を採用する必要がある。また、生産性やコスト等との兼ね合いから回転軸機構の組立ては容易である必要がある。
【0006】
本発明は、回転付勢手段をコンパクトに搭載し、回動可能に2つの部材を連結する組立てを容易な回転軸機構を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回転軸機構は、対面する一対の壁面を有する第1部材と、第1部材の壁面の外側にそれぞれ近接して配置される一対の平板を有する第2部材と、一対の平板および一対の壁面に形成された回転軸取付孔に挿通される回転軸部材と、回転軸部材の回りに巻回され、その一端が第1部材に係止される回転付勢手段と、回転軸部材に固定され、回転付勢手段の他端が係止される係止リングとを備え、第1部材が回転軸部材に対し回動可能とされ、回転軸部材が第2部材に固定されるとともに、回転付勢手段が第1、第2部材間において回転軸部材周りの回転付勢力を与え、回転付勢手段および係止リングが一対の壁面の内側に配置されることを特徴としている。
【0008】
回転軸部材は、円筒形の円筒部と円筒形に第1のDカット加工を施した係止リング固定部と、第1のDカット加工に加え第2のDカット加工を施した第2部材固定部とを備えることが好ましく、係止リングおよび第2部材の平板の一方には、係止リング固定部および第2部材固定部の断面形状に対応する回転軸取付孔が設けられる。
【0009】
回転軸機構は、さらに第2部材の一方の平板に係合して第1、第2部材間の回動範囲を規制するピン部材を備えることが好ましく、ピン部材は第1部材の一対の壁面に設けられるピン取付孔に嵌着されるとともに、壁面の一方から突出して一方の平板に係合する。
【0010】
第1部材の一方の壁面に挿通孔を設け、この挿通孔に対面する第2部材の平板に、回動時にこの挿通孔が平板に沿って描く円弧に沿った穴を設け、第1部材内に配線されるリード線をこの挿通孔およびこの円弧状の穴を通して第2部材へと連絡することが好ましい。
【0011】
回転軸部材の円筒部側の端面に、回転軸部材回転用の溝が設けられることが好ましい。また、回転軸部材の第2部材固定部側の端面には、例えばヘッド付のネジまたはピンを装着する孔が軸に沿って設けられる。またピン取付孔の一方が円弧状の穴に対面し、円弧の中心角が回動範囲の回転角よりも大きいことが好ましい。また、リード線が通される第2部材の平板に設けられた円弧状の穴の一端が、ピン部材と係合して回動範囲を規制してもよい。さらに、第2部材固定部の断面形状は略矩形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転付勢手段をコンパクトに搭載し、回動可能に2つの部材を連結する組立てを容易な回転軸機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの正面図である。
【図2】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの頂面図である。
【図3】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの右側面図である。
【図4】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの斜視図である。
【図5】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの正面図である。
【図6】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの頂面図である。
【図7】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの右側面図である。
【図8】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの斜視図である。
【図9】ポップアップ状態における内蔵ストロボユニットの正面斜視図である。
【図10】ポップアップ状態における内蔵ストロボユニットの側面斜視図である。
【図11】ストロボ収容状態におけるカメラ本体の壁面を一部切除した斜視図である。
【図12】ポップアップ状態におけるカメラ本体の壁面を一部切除した斜視図である。
【図13】内蔵ストロボユニットの機械的な構成を示す模式図である。
【図14】回転部の構成を示す分解斜視図である。
【図15】回転軸部材の構成を示す頂面図、正面図、左右側面図である。
【図16】内部を透視した組立途中の回転部の構成を示す斜視図である。
【図17】内部を透視した組立後の回転部の構成を示す斜視図である。
【図18】トーションスプリングの付勢力により図17の状態から第1部材に対し第2部材が回動された回転部の状態を示す図である。
【図19】図18の状態を反対側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1〜図4は、本発明の一実施形態である回転軸機構が搭載されるコンパクトカメラの正面図、頂面図、右側面図、および正面斜視図であり、本実施形態の回転軸機構は、コンパクトカメラに搭載される内蔵ストロボポップアップ機構の回転軸(回転部)として採用される。なお、図1〜図4において、ポップアップ機構は収容された状態にある。
【0015】
本実施形態のコンパクトカメラは、例えばレンズ交換式のデジタルカメラであり、カメラ本体10の正面中央には、レンズ鏡筒を装着するレンズマウント11が配置される。正面図、頂面図において、カメラ本体10の頂面左側には、モード切替ダイヤル12、電子ダイヤル13、レリーズボタン14等が配置され、右側前面には内蔵ストロボユニット15が配置される。また、カメラ本体10の頂面において、内蔵ストロボユニット15の後ろ側には、内蔵ストロボユニット15をポップアップさせるためのスライドノブ状のポップアップノブ16が設けられる。なお各図は、レンズ鏡筒が取り外された状態で描かれ、図1〜図3には、レンズ鏡筒が装着されたときの光軸Lが一点鎖線で示される。
【0016】
図5〜図8は、内蔵ストロボユニット15がポップアップされた状態のカメラ本体10の正面図、頂面図、右側面図、正面斜視図であり、図1〜図4にそれぞれ対応する。また、図9、図10にポップアップ状態における内蔵ストロボユニット15の正面斜視図および側面斜視図を示す。
【0017】
内蔵ストロボユニット15のポップアップ機構は主にシャフト部材17、アーム部材18、ストロボ保持部材19から構成される。内蔵ストロボユニット15の光源(図示せず)は、ストロボ保持部材19に保持され、ストロボカバー20内に収められる。またストロボカバー20の前面には、ストロボ光を照射する窓21が設けられる。
【0018】
シャフト部材17は、カメラ本体10内において上下方向(第1軸方向)に直動可能であり、コイルバネなどの付勢手段によりカメラ本体10の上方に向けて付勢される。シャフト部材17の上端には、回転部(第2軸)22が設けられ、例えばL字形のアーム部材18の一端が軸支される。また、アーム部材18の他端には回転部(第3軸)23が設けられ、ストロボ保持部材19が軸支される。
【0019】
回転部22には、例えばトーションスプリングなどの回転付勢手段が設けられ、アーム部材18はシャフト部材17に対して外側に向けて回転するように付勢される。また、回転部23にもトーションスプリングなどの回転付勢手段が設けられ、ストロボ保持部材19は、アーム部材18に対して回転部22での付勢方向とは逆向きに回転付勢される。すなわち、図5において回転部22はアーム部材18に対して時計周りの付勢力を与え、回転部23はストロボ保持部材19に対して反時計周りの付勢力を与える。
【0020】
また回転部22、23には、回転を所定範囲に規制する係止機構がそれぞれ設けられ、各回転付勢手段によるアーム部材18のシャフト部材17に対する回転およびストロボ保持部材19のアーム部材18に対する回転は一定の角度範囲に規制される。また、シャフト部材17の付勢手段による移動も、係止機構により所定の高さ以下に規制される。なお、図5〜図10には、各係止機構により各部材の移動が停止された状態、すなわちポップアップによる移動の最終状態が示される。
【0021】
図8に示されるように、カメラ本体10の頂面左前側角部(図8における右側)には、ストロボカバー20の形状に対応した凹部であるストロボ収容部24が形成される。すなわち、ストロボ収容時、ストロボカバー20は図4に示されるようにストロボ収容部24にピッタリと収められ、ボディ全体は直方体を概ね呈する。
【0022】
ストロボ収容部24には、カメラ本体10の左前側(図8における右側)の辺に沿ってシャフト部材17が嵌挿、収容される縦穴状のシャフト収容部が形成される。シャフト収容部内には、例えば図9に示されるロッド状のガイド部材25Aが縦方向に沿って配置され、シャフト部材17は、ガイド部材25Aに滑動自在に係合される。
【0023】
シャフト部材17には、ガイド部材25Aに平行なバネ保持部材25Bが取り付けられ、その周囲にはコイルバネ(図示せず)が配置される。すなわち、収容時コイルバネは圧縮され、シャフト部材17はコイルバネによりガイド部材25Aに沿ってカメラ本体10の上方に向けて付勢される。シャフト部材17が押し下げられ、ストロボカバー20がストロボ収容部24に収容されると、ストロボ保持部材19はポップアップノブ16とストロボカバー20の間に設けられる係止機構によりその位置を固定され、ポップアップ機構の収容状態が維持される。
【0024】
なお、図10に示されるように、アーム部材18はストロボ保持部材19およびシャフト部材17の後方に配置され、ストロボ収容時、アーム部材18はストロボ保持部材19の後ろ側に重ねられてストロボカバー20内に設けられたアーム収納部20Aに収容される。
【0025】
この状態(図1〜図4の収容状態)においてポップアップノブ16が操作されると、ストロボ保持部材19の係止状態が解除され、各付勢手段の付勢力により、シャフト部材17が図5のようにA方向に押し上げられるとともに、アーム部材18がシャフト部材17に対してB方向に回転され、ストロボ保持部材19がアーム部材18に対してC方向に回転される。
【0026】
なお、図11、図12は、シャフト部材17が挿入されるシャフト収容部内の様子を示すためにカメラ本体10の壁面を一部切除した斜視図であり、ストロボ収容状態およびポップアップ状態におけるカメラ本体10のシャフト収容部内における様子が示される。
【0027】
シャフト収容部は、カメラ本体10の中央側と壁面26、27により隔てられる。壁面26は、ストロボ収容部24からシャフト部材17の側面に添って下向きに延出し、その下端部は底面より少し上に位置する。一方、壁面27は、壁面26よりもカメラ本体10の中央よりに配置され、壁面26に平行に底面から上向きに延出して、その上端は壁面26の下端部よりも少し上側に達する。
【0028】
すなわち、カメラ本体10の中央側の空間とシャフト収容部は、壁面26、27の間に形成される隙間を介して連通され、この隙間を通してカメラ本体10内の電源回路とストロボ本体(図示せず)を連絡するリード線28が配線される。図示されるように、リード線28は、壁面26、27の隙間に沿って略N字形に配置され、シャフト部材17の下端部からシャフト部材17の内部に挿入され、回転部22、アーム部材18、回転部23、ストロボ保持部材19内を通ってストロボ本体(図示せず)に接続される。なお、リード線28の配置は、本実施形態のN字形の配置に限定されるものではなく、シャフト軸方向への伸縮時にリード線28が自由に曲がれば、例えばS字形やU字形の配置でもよい。
【0029】
図12に示されるように、N字形に配置されたリード線28は、ポップアップ状態では略壁面26の下端部に沿って湾曲される。一方ストロボ収容時には、シャフト部材17が下降され、図11に示されるように、壁面26の下端部に沿って湾曲されていたリード線28が略底面と接触する位置で湾曲される。
【0030】
すなわち、壁面26、27の下端部、上端部の位置や、壁面27の上端部からシャフト部材17に至るリード線28の長さは、ポップアップ状態においてリード線28が引っ張られることがなく、かつストロボ収容時にリード線28が弛み過ぎることがないように、シャフト部材17の下端部の位置やそのシフト量などを考慮して決定される。
【0031】
次に図13を本実施形態のポップアップ機構の作用および効果について説明する。図13は、内蔵ストロボユニット15の機械的な構成を示す模式図であり、左側にストロボ収容時の状態が示され、右側にポップアップされた状態が示される。なお、図13では、レンズは内蔵ストロボユニット15の左側に配置される。
【0032】
本実施形態において、アーム部材18はL字形を呈し、短辺18Aの端部が回転部22を介してシャフト部材17の上端部に連結される。ストロボ収容状態において、短辺18Aはシャフト部材17の軸方向に沿って配置され、シャフト収容部内に収められる。このときアーム部材18の長辺18Bは、カメラ本体10の中央に向けて横向きかつカメラ本体横軸Y(図1、図2参照)と平行に配置される。
【0033】
また、ストロボ収容状態において、ストロボ保持部材19は長辺18Bに沿って横向きに配置される。なお、図13では、ストロボ保持部材19が便宜的にアーム部材18の長辺18Bの上側に描かれているが、実際には長辺18Bの前方に重なった状態で配置される。
【0034】
図5を参照して説明したように、シャフト部材17は軸(第1軸)Xに沿って上方(A方向)に付勢され、アーム部材18は回転部22において第1軸Xに垂直な第2軸を中心に時計回り(B方向)に回転付勢される。また、ストロボ保持部材19は回転部23により第1軸Xに垂直な第3軸を中心に反時計周り(C方向)に回転付勢される。なお、ストロボ機構がカメラ本体において本実施形態とは逆側(図1左側)に配置される場合には、上述した回転付勢の方向は逆向きになる。
【0035】
ポップアップノブ16(図4参照)が操作されポップアップ機構を固定する係合が解除されると、シャフト部材17が、上方に距離D1分スライドされるとともに、アーム部材18が、カメラ本体10の外側に向けて角度θ1回転され、ストロボ保持部材19がアーム部材18に対して角度θ2回転される。なお、このポップアップ動作により、ストロボ本体は撮像素子の撮像面に平行な面(光軸L(図1〜図3参照)に垂直な面)内で移動される。
【0036】
本実施形態では、略θ1=θ2とされ、ポップアップ状態においてストロボ保持部材19はカメラ本体10の横軸Y(図1、図2参照)に平行になる。しかし角度θ2は、ストロボ発光部が光軸Lからなるべく離れるとともにストロボ保持部材19を押し下げ操作のみでストロボ収容部24に収容可能であればよく、角度θ2の値はθ1と異なっていてもよい。すなわち、角度θ2は例えばθ1〜θ1+90°の範囲で設定され得る。ただし、ストロボ発光部の横軸とカメラ本体横軸Y(即ち、撮像素子の水平ライン)が略平行でないと、ストロボ発光部の傾きに応じて撮像面の4隅の何れかにケラレが生じる可能性があるため、θ1=θ2とする本実施形態の構成が好ましい。なお、回転量の規制は、回転部22、23に設けられる係止機構(図示せず)により行われる。
【0037】
回転角θ1は、ポップアップ状態において回転部(第3軸)23が、シャフト部材17の軸(第1軸X)に対し回転部(第2軸)22よりも内側(図中左側)に位置するように設定される。このとき回転部23の位置、すなわちストロボ本体は、アーム部材18の回転部22周りのθ1の回転により縦軸に沿って距離D2分上方に移動され、横軸(Y)に沿って距離(L1−L2)分外側に移動される。
【0038】
ここでL1はL字形アーム部材18の長辺18Bの長さであり、ストロボ収容時における回転部23の第1軸Xからの距離に対応する。また、L2はポップアップ状態における回転部23の第1軸Xからの距離である。L字形アーム部材18を用いた本実施形態では、アーム部材18の短辺18Aの長さをL3とすると、L2=L1・cosθ2−L3・sinθ1と表され、D2=L1・sinθ2+L3・(cosθ1−1)と表される。
【0039】
したがって、本実施形態のポップアップ機構では、第1軸方向へのシャフト部材17のスライド動作による距離D1に加え、回転動作による高さ方向に距離D2、横方向に距離(L1−L2)分さらにレンズから離れる方向にストロボ本体を移動できる。これにより、内蔵ストロボをレンズ光軸からより遠ざけることができ、ケラレや赤目の発生を防止できる。
【0040】
また、内蔵ストロボをポップアップされた状態から収容するには、ユーザがストロボカバー20(図5、図8等参照)をストロボ収容部24に向けて上から押し下げる。このとき回転部23が回転部22よりもカメラ本体10の内側にあることから、アーム部材18は回転部22の回転付勢力に抗して図中左側に向けて倒され、図13の左側に示される収容状態に至る。
【0041】
また本実施形態のポップアップ機構では、ユーザが内蔵ストロボユニット15を押し下げると、初めにアーム部材18とストロボ保持部材19が折り畳まれてアーム部材18の長辺18Bが横向きになり、その後にシャフト部材17が押し下げられるように構成される。したがって、回転部22、23の回転付勢力とシャフト部材17に対する上向きの付勢力は、このような順番で各部材が動かされるように設定され、本実施形態ではシャフト部材の上向き付勢力が最も強く設定される。なお、上記順番は、摩擦抵抗・その他手段でも制御可能である。
【0042】
次に図14〜図19を参照して、回転部22、23に採用される本実施形態の回転軸機構の詳細について説明する。
【0043】
本実施形態において、ポップアップ機構は、シャフト部材17、アーム部材18、ストロボ保持部材19の3つの部材を相互に回動可能に連結することにより構成されるため、極めて小型なカメラ本体内にポップアップ機構を収容させるには、その連結部も極めて小型で薄い必要がある。
【0044】
図14は、回転軸機構(22、23)の構成を示す模式的な分解斜視図である。図14において、中央に配置されるのがシャフト部材17またはストロボ保持部材19に対応し(以下第1部材)、それらを両側から挟む部材がアーム部材18に対応する(以下第2部材)。なお図14では、回転部22、23の内部部品の配置を示すために、回転軸方向に第1、第2部材17(19)、18が切り離された状態で示される。
【0045】
第1部材17(19)は、例えば縦または横長の筐体であり、図14では、1つの面が外された状態で描かれる。なお、完成時には通常開口部は蓋で覆われ、筐体は閉じられた状態とされる。回転軸Rx(第2、第3軸)は、例えば第1部材17(19)の筐体の一対の相対する壁面30、31(例えばシャフト部材17の前後面)に対し垂直に設けられる。
【0046】
一方、第2部材18には、第1部材の壁面30、31の外側に近接あるいは略密接して平行に配置される平板32、33が設けられ、平板32、33は例えば連接部34を通して連結される。なお、本実施形態のアーム部材18では、例えば、図8、図12に示されるように、アーム部材18の前面を構成するプレートのL字形の両端部が平板33に対応し、このプレート面(平板33)から垂直に連接部34が略第1部材17(19)の幅長さ分延出する。連接部34の端辺からは、平板32が平板33に対面するように連接部34から垂直に延出し、平板32、33は回転軸Rxに対し垂直に配置される。
【0047】
回転軸Rxは、回転軸部材35によって構成され、第1部材の壁面30、31、第2部材の平板32、33には、回転軸部材35を挿通する孔(回転軸取付孔)30A、31A、32A、33Aがそれぞれ設けられる。また、第1部材17(19)の内部には回転軸部材35と協働するトーションスプリング36と係止リング37が配置され、組立て時、回転軸部材35は、孔34A、孔30Aを通して第1部材17(19)内へと導かれ、トーションスプリング36、係止リング37が取り付けられた後、孔31A、孔33Aを通してその先端が平板33の外側面に達する。回転軸部材35の先端の端面には、その軸に沿ってネジ孔35Dが設けられ、ネジ孔35Dには、ネジ38が螺着され、ネジ38のヘッド部が平板33に当接される。これにより平板33、すなわち第2部材18が回転軸部材35に固定される。なお、ネジ38に替えてピンを孔35Dに圧入する構成であってもよい。
【0048】
次に回転軸部材35の詳細を図15に示す。図15(a)〜(d)は、それぞれ回転軸部材35の平面図、正面図、左側面図、右側面図である。回転軸部材35は、図14、図15に示されるように、円筒形状を呈する円筒部(軸本体)35Aと、この円筒形に平行する2つのDカット加工(第1のDカット加工)を施した係止リング固定部35Bと、係止リング固定部35BのDカット平面に垂直な2つのDカット平面をさらに形成する2つのDカット加工(第2のDカット加工)を施した第2部材固定部35Cとから構成される。なお、第2部材固定部35Cの端面にはネジ孔35Dが設けられ、反対側の円筒部35Aの端面には溝35Eが設けられる。
【0049】
後述するように、係止リング固定部35Bにおいて軸の2方向に施されたDカットは、回転軸部材35に係止リング37を固定して取り付けるためのものであり、第2部材固定部35Cにおいて軸の4方向に施されたDカットは、回転軸部材35を孔33Aに固定的に嵌合させるためのものである。なお本実施形態では、係止リング固定部35Bに2つのDカットを設けることで加工時の誤差により係止リング37との間で発生するガタを抑えている。また、第2部材固定部35Cに設けられた4つのDカットは、回転軸部材35と第2部材18の間において4つの面を介して回転力を伝達するため力が各面に分散され強度が高められる。
【0050】
なお、本実施形態では、係止リング固定部35Bに2つのDカット、第2部材固定部35Cに4つのDカットが施されたが、Dカットの数はこれに限定されるものではなく、例えば係止リング固定部35Bに1つ、第2部材固定部35Cに2つ設ける構成であってもよい。
【0051】
回転軸部材35は、第2部材固定部35C側を先端として孔32A、30A、31A、33Aに順次挿入される。孔32A、30Aは、公差を除き円筒部35Aの外径と略同じ大きさの内径を有し、円筒部35Aの端部は、孔32A、30Aに嵌合される。また、第1部材17(19)内部に配置される円筒部35Aの周囲にはトーションスプリング36が巻回される。
【0052】
係止リング37は、例えば略円形の金属プレート中央に係止リング固定部35BのDカット断面に対応した穴37Aを形成するとともに、外周縁の一箇所から例えばT字形のバネ掛け用ペグを径方向に延出し、ペグの先端(T字の頭部分)をプレートに対し略直角に折り曲げた形状を呈する。なお折り曲げられたペグが、後述するようにトーションスプリング36の一端を係止するための係止部37Bを構成する。また、係止リング37は、係止リング固定部35Bに嵌合され、円筒部35Aと係止リング固定部35Bの間の段部によりその軸方向への移動が規制される。また、回転方向にはDカット平面と穴37Aの係合により回転軸部材35に固定される。
【0053】
第1部材17(19)の壁面31に設けられる孔31Aは、孔30A、32Aと同径の円孔として形成され、回転部が組み立てられると、係止リング固定部35Bの端部は孔31A内に位置し、壁面31の外側に、第2部材固定部35Cが配置される。平板33に設けられた孔33Aは、第2部材固定部35Cの断面形状に合致する形状(例えば略矩形)を呈し、第2部材固定部35Cが孔33Aに嵌合されると、平板33、すなわち第2部材18の運動は、回転軸部材35に対し回転方向に規制され、一体化される。
【0054】
またネジ38が回転軸部材35に確りと螺着されると、平板33が係止リング固定部35Bと第2部材固定部35Cの間に形成される段部と回転軸部材35のヘッド部との間に挟まれる。すなわち回転軸部材35は、第2部材18に対して軸方向、回転方向に運動が規制された状態で固定される。
【0055】
一方、第1部材17(19)は、回転軸部材35に対し、孔30A、31Aを通して回動可能であり、孔31A内においては、係止リング固定部35Bに残された2つの円筒側面によりその回転が支持される。また、トーションスプリング36の一端36Aは、第1部材17(19)内に一体的に設けられた係止部17Dに係止され、他端36Bは係止リング37に設けられた係止部37Bに係止される。
【0056】
すなわち、第1部材17(19)は、第2部材18に固定された回転軸部材35に対し回転自在に支持され、その軸方向の運動は、第2部材18の平板32、33により規制される。したがって、平板32、33の間の間隔は、平板32、33の内側が公差を除いて壁面30、31の外面に略密接する寸法とされる。また、第1部材17(19)と第2部材18間には、一端が第1部材17(19)に係止され、他端が回転軸部材35に固定される係止リング37に係合されたトーションスプリング36により、回転付勢力が与えられる。
【0057】
また、本実施形態の回転部22(23)は、第1部材17(19)と第2部材18間の回動範囲を規制するためのピン部材39を備える。ピン部材39は強度や対衝撃性を高めるために例えば金属製であり、第1部材17(19)の壁面30、31に設けられるピン取付孔30B、31Bに圧入・嵌着される。このとき、ピン部材39のヘッド部が壁面30から外側に突出して平板32の周縁部に設けられた円弧状(例えば中心角60度)の切欠き部(溝や穴でもよい)32Bに嵌め合わせられ、切欠き部32Bの両端においてピン部材39が平板32に係止されることで、回動範囲が切欠き部32Bの円弧の範囲内に規制される。
【0058】
なお、切欠き部32Bの両端に係合するピン部材39の先端の太さを調整することにより回動範囲の微調整が可能であり、例えば図14に示されるように先端部の外径は、中心部よりも細く加工されている。また図14の例では、ピン部材39は、両端が第1部材17(19)の壁面30、31から外側へと突出され、上記切り欠部32Bとは反対側(平板33側)に突出する先端部の外径も細く加工されている。これは、以下に説明する第2部材18の平板33に設けられリード線を通すための円弧状の穴33Bの端部にも、ピン部材39の先端を係合させ、ピン部材39の両端を用いてより安定的に回転の規制を行うためのものであり、切り欠部32B側と規制位置を合わせるためにその外径の大きさが調整されている。なお、回動範囲の規制は、切り欠部32Bのみで行うことも可能であり、その場合、ピン部材39の先端は平板32側(太さが調整された側)のみが突出され、反対側の端部は例えばピン部材39の中央部(本体)と同じ太さとされる。
【0059】
上述したように、本実施形態の回転部22(23)では、組立後、リード線40が第1部材17(19)から第2部材18へと、あるいは第2部材18から第1部材17(19)へと配線される。そのため壁面31には、リード線を通すための円弧状あるいは円形の挿通孔31Cが形成され、平板33には挿通孔31Cに対応する位置、すなわち、回動時に挿通孔31Cが平板33に描く円弧に沿った円弧状の穴33Bが形成される。そしてリード線40は挿通孔31C、円弧状の穴33Bを通って第1部材17(19)の内部から第2部材18へと連絡される。これにより、例えば第2部材18に対し第1部材17(19)が回動されても、リード線40は円弧状の穴33B内を移動し、回転部22(23)においてリード線40に不要な力が掛かることながない。
【0060】
なお、挿通孔31Cの形状は、通されるリード線の数やその配置によって選択され、例えば複数のリード線を並べて通す場合には、並べられた本数分の長さを有する円弧形の孔が好ましく、1本のリード線のみを通す場合や、複数のリード線を断面が略円形になるように束ねた状態で通す場合などには円形の孔が好ましい。
【0061】
次に図16、図17を参照して回転軸機構の組立手順を説明する。図16は、その内部を透視した組立途中の回転部22(23)の構成を示す斜視図であり、図17は組立後の構成を示す斜視図である。
【0062】
前述したように回転軸部材35は、まず平板32側から平板33に向けて挿入され、第1部材17(19)内においてトーションスプリング36、係止リング37が装着される。このとき回転軸部材35の先端である第2部材固定部35Cは、平板33の孔33Aには挿入されず、例えば壁面31の孔31A内に配置される。またこのとき、トーションスプリング36には捩じり力が略加えられない状態にあり、その一端36Aが第1部材17(19)の係止部17Dに当接され、他端36Bが係止リング37に設けられた係止部37Bに当接される。
【0063】
その後、溝35Eに例えばドライバなどを装着し、図17に示されるように、トーションスプリング36を付勢する方向へ回転軸部材35を回転する。そして、第2部材固定部35Cの端面形状が平板33の孔33Aに合致する位置において、第2部材固定部35Cを孔33Aに嵌入し、ネジ38により回転軸部材35を第2部材18に固定する。これにより回転部22(23)の組立は終了し、その後、リード線40の配線が行われる。なお、図17の状態において、回転軸部材35の円筒部35A側の端面は、平面32の外面と略同じ高さ、あるいは孔32A内に幾分埋没した位置に配置されることが好ましい。
【0064】
図18、図19は、図17の状態からトーションスプリング36の付勢力により第1部材17(19)に対し第2部材18が回動されたときの回転部22(23)の状態を示し、図18は平板32側から見た図、図19は平板33側から見た図である。なお、図18における破線は、内部構造を示すものである。
【0065】
図18、図19は、回転部22(23)の回動範囲を規制するためのピン部材39が、平板32の周縁部に設けられた円弧状の切欠き部32Bの一方の端に係止された状態、すなわち付勢力により最大回動位置に達した状態が示される。
【0066】
図19の状態における円弧状の穴33Bとピン取付孔31B、挿通孔31Cとの位置関係を説明すると、図19に示されるように、ピン部材39が嵌着されるピン取付孔31Bは、平板33に設けられた円弧状の穴33Bの一方の端に位置する。このように配置することで、平板33側のピン部材39の先端部を一方の側の回動規制に用いることができる。また、挿通孔31Cを通されたリード線40は円弧状の穴33Bを通して平板33の外側へと導かれる。
【0067】
なお、穴33Bの円弧の中心角は、切欠き32Bの円弧の中心角、すなわち回転部22(23)の回動可能な角度よりも大きく設定され、これによりトーションスプリング36の付勢力に抗して第2部材18が図17の状態へ向けて回動されても、挿通孔31Cが円弧状の穴33Bの他方の端部によって塞がれることはない。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、第1部材と第2部材を回動可能に連結する回転軸機構に、回転付勢手段をコンパクトに搭載することができる。特に回転軸部材にDカットの数が異なる領域を設け、係止リングを第1部材内に収めるとともに、第2部材を回転軸部材に位置決め・固定することで、回転軸部材周りの構成を簡略化、小型化できるとともに、組立工程を容易にすることができる。また、回転軸部材の両端を第2部材の平板により保持し、平板の間に第1部材を配置することで回動部の回転を安定させるとともに第1部材、第2部材間の軸方向位置を規制することができる。
【0069】
さらに、第1部材の壁面にリード線を挿通する挿通孔を設けるとともに、これに対応する位置に円弧状の穴を設け、回動範囲より円弧状の穴の中心角を大きくとることで、極めて簡略な構成で回転部にリード線を配線することが可能になる。また、回動範囲を規制するピン部材を取り付けるピン取付孔の位置を、組立後における円弧状の穴に対面する位置に配置することで、ピン部材の取り外しを容易に行うことが可能となる。さらに、ピン部材の先端の外径を調整することで、回動時の係止位置(係止角度)を調整できるため設計の自由度が向上する。
【0070】
また本実施形態の回転部をポップアップ機構に採用することにより、本実施形態のポップアップ機構では、収容時コンパクトでありながらも、並進運動のみ、あるいは回転運動のみを利用したポップアップ動作からなる従来の構成に比べ、ポップアップ状態においてストロボをより遠くまで移動することができる。これによりケラレや赤目の防止をより効果的に行うことができる。特にレンズ交換式のコンパクトカメラのように、スペースが限られ、かつ焦点距離が短いレンズが装着される可能性があるカメラにおいて、本実施形態のポップアップ機構は有効である。
【0071】
また、本実施形態ポップアップ機構では撮像面に平行な面内でストロボを移動させるため無駄なくストロボ光源をレンズ光軸から遠ざけることができる。また、アーム部材をストロボ保持部材、シャフト部材の後ろ(ストロボ発光面の後方)に配置したため内蔵ストロボユニットの前後方向幅が抑えられ、さらに折り畳み時にはアーム部材をストロボ保持部材と重ねることができるため収容時の大きさをよりコンパクトにすることができる。
【0072】
さらに本実施形態では、ポップアップ状態におけるアーム部材の上側の回転部を下側の回転部よりも内側に配置したことで、ユーザは内蔵ストロボユニットを押し下げるだけでストロボを収容位置まで移動することができる。また押し下げる際に、ストロボ保持部材、アーム部材の折り畳みが先に行われ、その後シャフト部材が押し下げられる構成としたことで、より円滑な内蔵ストロボの収容が可能になる。
【0073】
なお本実施形態では、シャフト部材がカメラ本体の上方にスライドされたが、光軸に垂直な面内であれば他の方向にスライドさせることも可能である。また、本実施形態では、レンズ交換式のコンパクトカメラを例に説明を行ったが、本実施形態のポップアップ機構は他のいかなる形式のカメラにも適用できる。また、本実施形態のアーム部材にはL字形の部材を用いたが、アーム部材として、L字形以外にもI字形や、Z字形などの形状を利用し得る。
【0074】
また、内蔵ストロボユニットは、収容状態、ポップアップ状態に関わらず発光可能とされてもよい。また、バネ力制御や摩擦抵抗を設けることで、各部材のポップアップ動作におけるポップアップ順を適宜設定することも可能であるが、ポップアップの順序は本実施形態に限定されるものではない。
【0075】
本実施形態において、2つの回転部(第2、第3軸)における回転付勢力は、互いに逆向きであったが、これらを同じ方向とする構成であってもよい。また、アーム部材の数を増やす事で、ストロボの位置を光軸からさらに遠ざけることができ、例えば、アーム部材をL字、逆L字、L字・・・、と交互に組み合わせることもできるが、コンパクト性の観点からは本実施形態のようにアーム部材を1つとすることが好ましい。
【0076】
なお、本実施形態において回転軸部材の円筒部側の端面に設けられる溝は−形状であったが、+や、四角、六角などの形状でもよく、トーションスプリングの付勢力に抗して回転軸部材を回転させることができればよい。
【0077】
本実施形態の回転軸機構を用いたポップアップ機構は、ストロボのポップアップに使用されたが、それ以外にも、例えばカメラのリモコン受信部や、AF用補助光源、マイクなどのポップアップにも利用できる。例えば、レンズフード等の障害物で受信や、AF、集音が邪魔される際、これらのポップアップ機構は有用である。
【0078】
また本実施形態の回転軸機構(回転部)は、カメラ以外においても、例えば携帯電話などの小型電子器機に取り付けられるアンテナの連結部や、折り畳み式の携帯電話などの小型電子機器に用いられるヒンジ機構などにも適用可能である。
【0079】
本実形態では回転部の回転付勢手段としてトーションスプリングを用いたが、トーションスプリングに代え、例えばゴムの一端を第1部材に固定し、他端を第2部材に固定するとともにゴムを回転軸部材に巻き付けることで回転部に回転付勢力を与えることもできる。
【符号の説明】
【0080】
10 レンズ交換式コンパクトカメラ(カメラ本体)
15 内蔵ストロボユニット
17 シャフト部材(第1部材)
17D 係止部
18 アーム部材(第2部材)
19 ストロボ保持部材(第1部材)
20 ストロボカバー
22 回転部(第2軸)
23 回転部(第3軸)
24 ストロボ収容部
30、31 壁面
32、33 平板
30A、31A、32A、33A 孔
30B、31B ピン取付孔
31C 挿通孔
32B 円弧状の切欠き部
33B 円弧状の穴
34 連接部
35 回転軸部材
35A 円筒部
35B 係止リング固定部
35C 第2部材固定部
36 トーションスプリング
37 係止リング
37A 孔
37B 係止部
38 ネジ
39 ピン部材
40 リード線
L レンズ光軸
Rx 回転軸
X 第1軸
Y カメラ本体横軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動可能に2つの部材を連結するとともに回転付勢手段を備える回転軸機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ストロボを内蔵したカメラには、ストロボ使用時に内蔵ストロボをカメラ本体からポップアップするものがある。これはストロボを撮影光軸からなるべく離し、ケラレの発生や赤目の発生を防止するためである。ポップアップ機構としては、例えば上下方向にスライドするシャフトを設け、シャフトをバネで上方に付勢し、シャフト上端にストロボ光源を配置したものがある。ストロボ収容時には、シャフトはカメラ本体内で押し下げられ、係止機構によりその位置が固定される。ストロボ使用時に、ユーザがスライドノブなどを操作して係止を解除すると、シャフトはバネの付勢力で上方にスライドされ、ストロボがカメラ本体から跳び出す(特許文献1)。また、ストロボ発光部を回転軸を介して支持部材の一端に連結するとともに、他端を回転軸を介してカメラ本体に連結し、発光時にストロボ発光部をカメラ本体からリフトさせる構成も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−086226号公報
【特許文献2】特開2000−310809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラの小型化にともない、カメラ本体に内蔵されるストロボはレンズ光軸により近い位置に配置されるためケラレや赤目の影響が増大する。特にレンズ交換式のコンパクトカメラでは、例えば焦点距離の短いレンズが装着されるとその影響が大きい。そのため、このようなカメラでは、より遠くにストロボをポップアップさせる必要があるが、カメラ本体が小型化されると、ポップアップ機構のシャフトの長さも短くする必要があるため上記のポップアップ/リフトアップ機構ではストロボをレンズ光軸から十分に離すことができない。
【0005】
このため、ポップアップ機構を複数の部材に分け、これら複数の部材を回転軸で連結しその連動動作によりポップアップ機構の延出長さを増大することが考えられる。しかし、そのためには、回転付勢手段が設けられた極めて小型で薄い回転軸機構を採用する必要がある。また、生産性やコスト等との兼ね合いから回転軸機構の組立ては容易である必要がある。
【0006】
本発明は、回転付勢手段をコンパクトに搭載し、回動可能に2つの部材を連結する組立てを容易な回転軸機構を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回転軸機構は、対面する一対の壁面を有する第1部材と、第1部材の壁面の外側にそれぞれ近接して配置される一対の平板を有する第2部材と、一対の平板および一対の壁面に形成された回転軸取付孔に挿通される回転軸部材と、回転軸部材の回りに巻回され、その一端が第1部材に係止される回転付勢手段と、回転軸部材に固定され、回転付勢手段の他端が係止される係止リングとを備え、第1部材が回転軸部材に対し回動可能とされ、回転軸部材が第2部材に固定されるとともに、回転付勢手段が第1、第2部材間において回転軸部材周りの回転付勢力を与え、回転付勢手段および係止リングが一対の壁面の内側に配置されることを特徴としている。
【0008】
回転軸部材は、円筒形の円筒部と円筒形に第1のDカット加工を施した係止リング固定部と、第1のDカット加工に加え第2のDカット加工を施した第2部材固定部とを備えることが好ましく、係止リングおよび第2部材の平板の一方には、係止リング固定部および第2部材固定部の断面形状に対応する回転軸取付孔が設けられる。
【0009】
回転軸機構は、さらに第2部材の一方の平板に係合して第1、第2部材間の回動範囲を規制するピン部材を備えることが好ましく、ピン部材は第1部材の一対の壁面に設けられるピン取付孔に嵌着されるとともに、壁面の一方から突出して一方の平板に係合する。
【0010】
第1部材の一方の壁面に挿通孔を設け、この挿通孔に対面する第2部材の平板に、回動時にこの挿通孔が平板に沿って描く円弧に沿った穴を設け、第1部材内に配線されるリード線をこの挿通孔およびこの円弧状の穴を通して第2部材へと連絡することが好ましい。
【0011】
回転軸部材の円筒部側の端面に、回転軸部材回転用の溝が設けられることが好ましい。また、回転軸部材の第2部材固定部側の端面には、例えばヘッド付のネジまたはピンを装着する孔が軸に沿って設けられる。またピン取付孔の一方が円弧状の穴に対面し、円弧の中心角が回動範囲の回転角よりも大きいことが好ましい。また、リード線が通される第2部材の平板に設けられた円弧状の穴の一端が、ピン部材と係合して回動範囲を規制してもよい。さらに、第2部材固定部の断面形状は略矩形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転付勢手段をコンパクトに搭載し、回動可能に2つの部材を連結する組立てを容易な回転軸機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの正面図である。
【図2】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの頂面図である。
【図3】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの右側面図である。
【図4】内蔵ストロボが収容された状態のコンパクトカメラの斜視図である。
【図5】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの正面図である。
【図6】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの頂面図である。
【図7】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの右側面図である。
【図8】内蔵ストロボがポップアップされた状態のコンパクトカメラの斜視図である。
【図9】ポップアップ状態における内蔵ストロボユニットの正面斜視図である。
【図10】ポップアップ状態における内蔵ストロボユニットの側面斜視図である。
【図11】ストロボ収容状態におけるカメラ本体の壁面を一部切除した斜視図である。
【図12】ポップアップ状態におけるカメラ本体の壁面を一部切除した斜視図である。
【図13】内蔵ストロボユニットの機械的な構成を示す模式図である。
【図14】回転部の構成を示す分解斜視図である。
【図15】回転軸部材の構成を示す頂面図、正面図、左右側面図である。
【図16】内部を透視した組立途中の回転部の構成を示す斜視図である。
【図17】内部を透視した組立後の回転部の構成を示す斜視図である。
【図18】トーションスプリングの付勢力により図17の状態から第1部材に対し第2部材が回動された回転部の状態を示す図である。
【図19】図18の状態を反対側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1〜図4は、本発明の一実施形態である回転軸機構が搭載されるコンパクトカメラの正面図、頂面図、右側面図、および正面斜視図であり、本実施形態の回転軸機構は、コンパクトカメラに搭載される内蔵ストロボポップアップ機構の回転軸(回転部)として採用される。なお、図1〜図4において、ポップアップ機構は収容された状態にある。
【0015】
本実施形態のコンパクトカメラは、例えばレンズ交換式のデジタルカメラであり、カメラ本体10の正面中央には、レンズ鏡筒を装着するレンズマウント11が配置される。正面図、頂面図において、カメラ本体10の頂面左側には、モード切替ダイヤル12、電子ダイヤル13、レリーズボタン14等が配置され、右側前面には内蔵ストロボユニット15が配置される。また、カメラ本体10の頂面において、内蔵ストロボユニット15の後ろ側には、内蔵ストロボユニット15をポップアップさせるためのスライドノブ状のポップアップノブ16が設けられる。なお各図は、レンズ鏡筒が取り外された状態で描かれ、図1〜図3には、レンズ鏡筒が装着されたときの光軸Lが一点鎖線で示される。
【0016】
図5〜図8は、内蔵ストロボユニット15がポップアップされた状態のカメラ本体10の正面図、頂面図、右側面図、正面斜視図であり、図1〜図4にそれぞれ対応する。また、図9、図10にポップアップ状態における内蔵ストロボユニット15の正面斜視図および側面斜視図を示す。
【0017】
内蔵ストロボユニット15のポップアップ機構は主にシャフト部材17、アーム部材18、ストロボ保持部材19から構成される。内蔵ストロボユニット15の光源(図示せず)は、ストロボ保持部材19に保持され、ストロボカバー20内に収められる。またストロボカバー20の前面には、ストロボ光を照射する窓21が設けられる。
【0018】
シャフト部材17は、カメラ本体10内において上下方向(第1軸方向)に直動可能であり、コイルバネなどの付勢手段によりカメラ本体10の上方に向けて付勢される。シャフト部材17の上端には、回転部(第2軸)22が設けられ、例えばL字形のアーム部材18の一端が軸支される。また、アーム部材18の他端には回転部(第3軸)23が設けられ、ストロボ保持部材19が軸支される。
【0019】
回転部22には、例えばトーションスプリングなどの回転付勢手段が設けられ、アーム部材18はシャフト部材17に対して外側に向けて回転するように付勢される。また、回転部23にもトーションスプリングなどの回転付勢手段が設けられ、ストロボ保持部材19は、アーム部材18に対して回転部22での付勢方向とは逆向きに回転付勢される。すなわち、図5において回転部22はアーム部材18に対して時計周りの付勢力を与え、回転部23はストロボ保持部材19に対して反時計周りの付勢力を与える。
【0020】
また回転部22、23には、回転を所定範囲に規制する係止機構がそれぞれ設けられ、各回転付勢手段によるアーム部材18のシャフト部材17に対する回転およびストロボ保持部材19のアーム部材18に対する回転は一定の角度範囲に規制される。また、シャフト部材17の付勢手段による移動も、係止機構により所定の高さ以下に規制される。なお、図5〜図10には、各係止機構により各部材の移動が停止された状態、すなわちポップアップによる移動の最終状態が示される。
【0021】
図8に示されるように、カメラ本体10の頂面左前側角部(図8における右側)には、ストロボカバー20の形状に対応した凹部であるストロボ収容部24が形成される。すなわち、ストロボ収容時、ストロボカバー20は図4に示されるようにストロボ収容部24にピッタリと収められ、ボディ全体は直方体を概ね呈する。
【0022】
ストロボ収容部24には、カメラ本体10の左前側(図8における右側)の辺に沿ってシャフト部材17が嵌挿、収容される縦穴状のシャフト収容部が形成される。シャフト収容部内には、例えば図9に示されるロッド状のガイド部材25Aが縦方向に沿って配置され、シャフト部材17は、ガイド部材25Aに滑動自在に係合される。
【0023】
シャフト部材17には、ガイド部材25Aに平行なバネ保持部材25Bが取り付けられ、その周囲にはコイルバネ(図示せず)が配置される。すなわち、収容時コイルバネは圧縮され、シャフト部材17はコイルバネによりガイド部材25Aに沿ってカメラ本体10の上方に向けて付勢される。シャフト部材17が押し下げられ、ストロボカバー20がストロボ収容部24に収容されると、ストロボ保持部材19はポップアップノブ16とストロボカバー20の間に設けられる係止機構によりその位置を固定され、ポップアップ機構の収容状態が維持される。
【0024】
なお、図10に示されるように、アーム部材18はストロボ保持部材19およびシャフト部材17の後方に配置され、ストロボ収容時、アーム部材18はストロボ保持部材19の後ろ側に重ねられてストロボカバー20内に設けられたアーム収納部20Aに収容される。
【0025】
この状態(図1〜図4の収容状態)においてポップアップノブ16が操作されると、ストロボ保持部材19の係止状態が解除され、各付勢手段の付勢力により、シャフト部材17が図5のようにA方向に押し上げられるとともに、アーム部材18がシャフト部材17に対してB方向に回転され、ストロボ保持部材19がアーム部材18に対してC方向に回転される。
【0026】
なお、図11、図12は、シャフト部材17が挿入されるシャフト収容部内の様子を示すためにカメラ本体10の壁面を一部切除した斜視図であり、ストロボ収容状態およびポップアップ状態におけるカメラ本体10のシャフト収容部内における様子が示される。
【0027】
シャフト収容部は、カメラ本体10の中央側と壁面26、27により隔てられる。壁面26は、ストロボ収容部24からシャフト部材17の側面に添って下向きに延出し、その下端部は底面より少し上に位置する。一方、壁面27は、壁面26よりもカメラ本体10の中央よりに配置され、壁面26に平行に底面から上向きに延出して、その上端は壁面26の下端部よりも少し上側に達する。
【0028】
すなわち、カメラ本体10の中央側の空間とシャフト収容部は、壁面26、27の間に形成される隙間を介して連通され、この隙間を通してカメラ本体10内の電源回路とストロボ本体(図示せず)を連絡するリード線28が配線される。図示されるように、リード線28は、壁面26、27の隙間に沿って略N字形に配置され、シャフト部材17の下端部からシャフト部材17の内部に挿入され、回転部22、アーム部材18、回転部23、ストロボ保持部材19内を通ってストロボ本体(図示せず)に接続される。なお、リード線28の配置は、本実施形態のN字形の配置に限定されるものではなく、シャフト軸方向への伸縮時にリード線28が自由に曲がれば、例えばS字形やU字形の配置でもよい。
【0029】
図12に示されるように、N字形に配置されたリード線28は、ポップアップ状態では略壁面26の下端部に沿って湾曲される。一方ストロボ収容時には、シャフト部材17が下降され、図11に示されるように、壁面26の下端部に沿って湾曲されていたリード線28が略底面と接触する位置で湾曲される。
【0030】
すなわち、壁面26、27の下端部、上端部の位置や、壁面27の上端部からシャフト部材17に至るリード線28の長さは、ポップアップ状態においてリード線28が引っ張られることがなく、かつストロボ収容時にリード線28が弛み過ぎることがないように、シャフト部材17の下端部の位置やそのシフト量などを考慮して決定される。
【0031】
次に図13を本実施形態のポップアップ機構の作用および効果について説明する。図13は、内蔵ストロボユニット15の機械的な構成を示す模式図であり、左側にストロボ収容時の状態が示され、右側にポップアップされた状態が示される。なお、図13では、レンズは内蔵ストロボユニット15の左側に配置される。
【0032】
本実施形態において、アーム部材18はL字形を呈し、短辺18Aの端部が回転部22を介してシャフト部材17の上端部に連結される。ストロボ収容状態において、短辺18Aはシャフト部材17の軸方向に沿って配置され、シャフト収容部内に収められる。このときアーム部材18の長辺18Bは、カメラ本体10の中央に向けて横向きかつカメラ本体横軸Y(図1、図2参照)と平行に配置される。
【0033】
また、ストロボ収容状態において、ストロボ保持部材19は長辺18Bに沿って横向きに配置される。なお、図13では、ストロボ保持部材19が便宜的にアーム部材18の長辺18Bの上側に描かれているが、実際には長辺18Bの前方に重なった状態で配置される。
【0034】
図5を参照して説明したように、シャフト部材17は軸(第1軸)Xに沿って上方(A方向)に付勢され、アーム部材18は回転部22において第1軸Xに垂直な第2軸を中心に時計回り(B方向)に回転付勢される。また、ストロボ保持部材19は回転部23により第1軸Xに垂直な第3軸を中心に反時計周り(C方向)に回転付勢される。なお、ストロボ機構がカメラ本体において本実施形態とは逆側(図1左側)に配置される場合には、上述した回転付勢の方向は逆向きになる。
【0035】
ポップアップノブ16(図4参照)が操作されポップアップ機構を固定する係合が解除されると、シャフト部材17が、上方に距離D1分スライドされるとともに、アーム部材18が、カメラ本体10の外側に向けて角度θ1回転され、ストロボ保持部材19がアーム部材18に対して角度θ2回転される。なお、このポップアップ動作により、ストロボ本体は撮像素子の撮像面に平行な面(光軸L(図1〜図3参照)に垂直な面)内で移動される。
【0036】
本実施形態では、略θ1=θ2とされ、ポップアップ状態においてストロボ保持部材19はカメラ本体10の横軸Y(図1、図2参照)に平行になる。しかし角度θ2は、ストロボ発光部が光軸Lからなるべく離れるとともにストロボ保持部材19を押し下げ操作のみでストロボ収容部24に収容可能であればよく、角度θ2の値はθ1と異なっていてもよい。すなわち、角度θ2は例えばθ1〜θ1+90°の範囲で設定され得る。ただし、ストロボ発光部の横軸とカメラ本体横軸Y(即ち、撮像素子の水平ライン)が略平行でないと、ストロボ発光部の傾きに応じて撮像面の4隅の何れかにケラレが生じる可能性があるため、θ1=θ2とする本実施形態の構成が好ましい。なお、回転量の規制は、回転部22、23に設けられる係止機構(図示せず)により行われる。
【0037】
回転角θ1は、ポップアップ状態において回転部(第3軸)23が、シャフト部材17の軸(第1軸X)に対し回転部(第2軸)22よりも内側(図中左側)に位置するように設定される。このとき回転部23の位置、すなわちストロボ本体は、アーム部材18の回転部22周りのθ1の回転により縦軸に沿って距離D2分上方に移動され、横軸(Y)に沿って距離(L1−L2)分外側に移動される。
【0038】
ここでL1はL字形アーム部材18の長辺18Bの長さであり、ストロボ収容時における回転部23の第1軸Xからの距離に対応する。また、L2はポップアップ状態における回転部23の第1軸Xからの距離である。L字形アーム部材18を用いた本実施形態では、アーム部材18の短辺18Aの長さをL3とすると、L2=L1・cosθ2−L3・sinθ1と表され、D2=L1・sinθ2+L3・(cosθ1−1)と表される。
【0039】
したがって、本実施形態のポップアップ機構では、第1軸方向へのシャフト部材17のスライド動作による距離D1に加え、回転動作による高さ方向に距離D2、横方向に距離(L1−L2)分さらにレンズから離れる方向にストロボ本体を移動できる。これにより、内蔵ストロボをレンズ光軸からより遠ざけることができ、ケラレや赤目の発生を防止できる。
【0040】
また、内蔵ストロボをポップアップされた状態から収容するには、ユーザがストロボカバー20(図5、図8等参照)をストロボ収容部24に向けて上から押し下げる。このとき回転部23が回転部22よりもカメラ本体10の内側にあることから、アーム部材18は回転部22の回転付勢力に抗して図中左側に向けて倒され、図13の左側に示される収容状態に至る。
【0041】
また本実施形態のポップアップ機構では、ユーザが内蔵ストロボユニット15を押し下げると、初めにアーム部材18とストロボ保持部材19が折り畳まれてアーム部材18の長辺18Bが横向きになり、その後にシャフト部材17が押し下げられるように構成される。したがって、回転部22、23の回転付勢力とシャフト部材17に対する上向きの付勢力は、このような順番で各部材が動かされるように設定され、本実施形態ではシャフト部材の上向き付勢力が最も強く設定される。なお、上記順番は、摩擦抵抗・その他手段でも制御可能である。
【0042】
次に図14〜図19を参照して、回転部22、23に採用される本実施形態の回転軸機構の詳細について説明する。
【0043】
本実施形態において、ポップアップ機構は、シャフト部材17、アーム部材18、ストロボ保持部材19の3つの部材を相互に回動可能に連結することにより構成されるため、極めて小型なカメラ本体内にポップアップ機構を収容させるには、その連結部も極めて小型で薄い必要がある。
【0044】
図14は、回転軸機構(22、23)の構成を示す模式的な分解斜視図である。図14において、中央に配置されるのがシャフト部材17またはストロボ保持部材19に対応し(以下第1部材)、それらを両側から挟む部材がアーム部材18に対応する(以下第2部材)。なお図14では、回転部22、23の内部部品の配置を示すために、回転軸方向に第1、第2部材17(19)、18が切り離された状態で示される。
【0045】
第1部材17(19)は、例えば縦または横長の筐体であり、図14では、1つの面が外された状態で描かれる。なお、完成時には通常開口部は蓋で覆われ、筐体は閉じられた状態とされる。回転軸Rx(第2、第3軸)は、例えば第1部材17(19)の筐体の一対の相対する壁面30、31(例えばシャフト部材17の前後面)に対し垂直に設けられる。
【0046】
一方、第2部材18には、第1部材の壁面30、31の外側に近接あるいは略密接して平行に配置される平板32、33が設けられ、平板32、33は例えば連接部34を通して連結される。なお、本実施形態のアーム部材18では、例えば、図8、図12に示されるように、アーム部材18の前面を構成するプレートのL字形の両端部が平板33に対応し、このプレート面(平板33)から垂直に連接部34が略第1部材17(19)の幅長さ分延出する。連接部34の端辺からは、平板32が平板33に対面するように連接部34から垂直に延出し、平板32、33は回転軸Rxに対し垂直に配置される。
【0047】
回転軸Rxは、回転軸部材35によって構成され、第1部材の壁面30、31、第2部材の平板32、33には、回転軸部材35を挿通する孔(回転軸取付孔)30A、31A、32A、33Aがそれぞれ設けられる。また、第1部材17(19)の内部には回転軸部材35と協働するトーションスプリング36と係止リング37が配置され、組立て時、回転軸部材35は、孔34A、孔30Aを通して第1部材17(19)内へと導かれ、トーションスプリング36、係止リング37が取り付けられた後、孔31A、孔33Aを通してその先端が平板33の外側面に達する。回転軸部材35の先端の端面には、その軸に沿ってネジ孔35Dが設けられ、ネジ孔35Dには、ネジ38が螺着され、ネジ38のヘッド部が平板33に当接される。これにより平板33、すなわち第2部材18が回転軸部材35に固定される。なお、ネジ38に替えてピンを孔35Dに圧入する構成であってもよい。
【0048】
次に回転軸部材35の詳細を図15に示す。図15(a)〜(d)は、それぞれ回転軸部材35の平面図、正面図、左側面図、右側面図である。回転軸部材35は、図14、図15に示されるように、円筒形状を呈する円筒部(軸本体)35Aと、この円筒形に平行する2つのDカット加工(第1のDカット加工)を施した係止リング固定部35Bと、係止リング固定部35BのDカット平面に垂直な2つのDカット平面をさらに形成する2つのDカット加工(第2のDカット加工)を施した第2部材固定部35Cとから構成される。なお、第2部材固定部35Cの端面にはネジ孔35Dが設けられ、反対側の円筒部35Aの端面には溝35Eが設けられる。
【0049】
後述するように、係止リング固定部35Bにおいて軸の2方向に施されたDカットは、回転軸部材35に係止リング37を固定して取り付けるためのものであり、第2部材固定部35Cにおいて軸の4方向に施されたDカットは、回転軸部材35を孔33Aに固定的に嵌合させるためのものである。なお本実施形態では、係止リング固定部35Bに2つのDカットを設けることで加工時の誤差により係止リング37との間で発生するガタを抑えている。また、第2部材固定部35Cに設けられた4つのDカットは、回転軸部材35と第2部材18の間において4つの面を介して回転力を伝達するため力が各面に分散され強度が高められる。
【0050】
なお、本実施形態では、係止リング固定部35Bに2つのDカット、第2部材固定部35Cに4つのDカットが施されたが、Dカットの数はこれに限定されるものではなく、例えば係止リング固定部35Bに1つ、第2部材固定部35Cに2つ設ける構成であってもよい。
【0051】
回転軸部材35は、第2部材固定部35C側を先端として孔32A、30A、31A、33Aに順次挿入される。孔32A、30Aは、公差を除き円筒部35Aの外径と略同じ大きさの内径を有し、円筒部35Aの端部は、孔32A、30Aに嵌合される。また、第1部材17(19)内部に配置される円筒部35Aの周囲にはトーションスプリング36が巻回される。
【0052】
係止リング37は、例えば略円形の金属プレート中央に係止リング固定部35BのDカット断面に対応した穴37Aを形成するとともに、外周縁の一箇所から例えばT字形のバネ掛け用ペグを径方向に延出し、ペグの先端(T字の頭部分)をプレートに対し略直角に折り曲げた形状を呈する。なお折り曲げられたペグが、後述するようにトーションスプリング36の一端を係止するための係止部37Bを構成する。また、係止リング37は、係止リング固定部35Bに嵌合され、円筒部35Aと係止リング固定部35Bの間の段部によりその軸方向への移動が規制される。また、回転方向にはDカット平面と穴37Aの係合により回転軸部材35に固定される。
【0053】
第1部材17(19)の壁面31に設けられる孔31Aは、孔30A、32Aと同径の円孔として形成され、回転部が組み立てられると、係止リング固定部35Bの端部は孔31A内に位置し、壁面31の外側に、第2部材固定部35Cが配置される。平板33に設けられた孔33Aは、第2部材固定部35Cの断面形状に合致する形状(例えば略矩形)を呈し、第2部材固定部35Cが孔33Aに嵌合されると、平板33、すなわち第2部材18の運動は、回転軸部材35に対し回転方向に規制され、一体化される。
【0054】
またネジ38が回転軸部材35に確りと螺着されると、平板33が係止リング固定部35Bと第2部材固定部35Cの間に形成される段部と回転軸部材35のヘッド部との間に挟まれる。すなわち回転軸部材35は、第2部材18に対して軸方向、回転方向に運動が規制された状態で固定される。
【0055】
一方、第1部材17(19)は、回転軸部材35に対し、孔30A、31Aを通して回動可能であり、孔31A内においては、係止リング固定部35Bに残された2つの円筒側面によりその回転が支持される。また、トーションスプリング36の一端36Aは、第1部材17(19)内に一体的に設けられた係止部17Dに係止され、他端36Bは係止リング37に設けられた係止部37Bに係止される。
【0056】
すなわち、第1部材17(19)は、第2部材18に固定された回転軸部材35に対し回転自在に支持され、その軸方向の運動は、第2部材18の平板32、33により規制される。したがって、平板32、33の間の間隔は、平板32、33の内側が公差を除いて壁面30、31の外面に略密接する寸法とされる。また、第1部材17(19)と第2部材18間には、一端が第1部材17(19)に係止され、他端が回転軸部材35に固定される係止リング37に係合されたトーションスプリング36により、回転付勢力が与えられる。
【0057】
また、本実施形態の回転部22(23)は、第1部材17(19)と第2部材18間の回動範囲を規制するためのピン部材39を備える。ピン部材39は強度や対衝撃性を高めるために例えば金属製であり、第1部材17(19)の壁面30、31に設けられるピン取付孔30B、31Bに圧入・嵌着される。このとき、ピン部材39のヘッド部が壁面30から外側に突出して平板32の周縁部に設けられた円弧状(例えば中心角60度)の切欠き部(溝や穴でもよい)32Bに嵌め合わせられ、切欠き部32Bの両端においてピン部材39が平板32に係止されることで、回動範囲が切欠き部32Bの円弧の範囲内に規制される。
【0058】
なお、切欠き部32Bの両端に係合するピン部材39の先端の太さを調整することにより回動範囲の微調整が可能であり、例えば図14に示されるように先端部の外径は、中心部よりも細く加工されている。また図14の例では、ピン部材39は、両端が第1部材17(19)の壁面30、31から外側へと突出され、上記切り欠部32Bとは反対側(平板33側)に突出する先端部の外径も細く加工されている。これは、以下に説明する第2部材18の平板33に設けられリード線を通すための円弧状の穴33Bの端部にも、ピン部材39の先端を係合させ、ピン部材39の両端を用いてより安定的に回転の規制を行うためのものであり、切り欠部32B側と規制位置を合わせるためにその外径の大きさが調整されている。なお、回動範囲の規制は、切り欠部32Bのみで行うことも可能であり、その場合、ピン部材39の先端は平板32側(太さが調整された側)のみが突出され、反対側の端部は例えばピン部材39の中央部(本体)と同じ太さとされる。
【0059】
上述したように、本実施形態の回転部22(23)では、組立後、リード線40が第1部材17(19)から第2部材18へと、あるいは第2部材18から第1部材17(19)へと配線される。そのため壁面31には、リード線を通すための円弧状あるいは円形の挿通孔31Cが形成され、平板33には挿通孔31Cに対応する位置、すなわち、回動時に挿通孔31Cが平板33に描く円弧に沿った円弧状の穴33Bが形成される。そしてリード線40は挿通孔31C、円弧状の穴33Bを通って第1部材17(19)の内部から第2部材18へと連絡される。これにより、例えば第2部材18に対し第1部材17(19)が回動されても、リード線40は円弧状の穴33B内を移動し、回転部22(23)においてリード線40に不要な力が掛かることながない。
【0060】
なお、挿通孔31Cの形状は、通されるリード線の数やその配置によって選択され、例えば複数のリード線を並べて通す場合には、並べられた本数分の長さを有する円弧形の孔が好ましく、1本のリード線のみを通す場合や、複数のリード線を断面が略円形になるように束ねた状態で通す場合などには円形の孔が好ましい。
【0061】
次に図16、図17を参照して回転軸機構の組立手順を説明する。図16は、その内部を透視した組立途中の回転部22(23)の構成を示す斜視図であり、図17は組立後の構成を示す斜視図である。
【0062】
前述したように回転軸部材35は、まず平板32側から平板33に向けて挿入され、第1部材17(19)内においてトーションスプリング36、係止リング37が装着される。このとき回転軸部材35の先端である第2部材固定部35Cは、平板33の孔33Aには挿入されず、例えば壁面31の孔31A内に配置される。またこのとき、トーションスプリング36には捩じり力が略加えられない状態にあり、その一端36Aが第1部材17(19)の係止部17Dに当接され、他端36Bが係止リング37に設けられた係止部37Bに当接される。
【0063】
その後、溝35Eに例えばドライバなどを装着し、図17に示されるように、トーションスプリング36を付勢する方向へ回転軸部材35を回転する。そして、第2部材固定部35Cの端面形状が平板33の孔33Aに合致する位置において、第2部材固定部35Cを孔33Aに嵌入し、ネジ38により回転軸部材35を第2部材18に固定する。これにより回転部22(23)の組立は終了し、その後、リード線40の配線が行われる。なお、図17の状態において、回転軸部材35の円筒部35A側の端面は、平面32の外面と略同じ高さ、あるいは孔32A内に幾分埋没した位置に配置されることが好ましい。
【0064】
図18、図19は、図17の状態からトーションスプリング36の付勢力により第1部材17(19)に対し第2部材18が回動されたときの回転部22(23)の状態を示し、図18は平板32側から見た図、図19は平板33側から見た図である。なお、図18における破線は、内部構造を示すものである。
【0065】
図18、図19は、回転部22(23)の回動範囲を規制するためのピン部材39が、平板32の周縁部に設けられた円弧状の切欠き部32Bの一方の端に係止された状態、すなわち付勢力により最大回動位置に達した状態が示される。
【0066】
図19の状態における円弧状の穴33Bとピン取付孔31B、挿通孔31Cとの位置関係を説明すると、図19に示されるように、ピン部材39が嵌着されるピン取付孔31Bは、平板33に設けられた円弧状の穴33Bの一方の端に位置する。このように配置することで、平板33側のピン部材39の先端部を一方の側の回動規制に用いることができる。また、挿通孔31Cを通されたリード線40は円弧状の穴33Bを通して平板33の外側へと導かれる。
【0067】
なお、穴33Bの円弧の中心角は、切欠き32Bの円弧の中心角、すなわち回転部22(23)の回動可能な角度よりも大きく設定され、これによりトーションスプリング36の付勢力に抗して第2部材18が図17の状態へ向けて回動されても、挿通孔31Cが円弧状の穴33Bの他方の端部によって塞がれることはない。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、第1部材と第2部材を回動可能に連結する回転軸機構に、回転付勢手段をコンパクトに搭載することができる。特に回転軸部材にDカットの数が異なる領域を設け、係止リングを第1部材内に収めるとともに、第2部材を回転軸部材に位置決め・固定することで、回転軸部材周りの構成を簡略化、小型化できるとともに、組立工程を容易にすることができる。また、回転軸部材の両端を第2部材の平板により保持し、平板の間に第1部材を配置することで回動部の回転を安定させるとともに第1部材、第2部材間の軸方向位置を規制することができる。
【0069】
さらに、第1部材の壁面にリード線を挿通する挿通孔を設けるとともに、これに対応する位置に円弧状の穴を設け、回動範囲より円弧状の穴の中心角を大きくとることで、極めて簡略な構成で回転部にリード線を配線することが可能になる。また、回動範囲を規制するピン部材を取り付けるピン取付孔の位置を、組立後における円弧状の穴に対面する位置に配置することで、ピン部材の取り外しを容易に行うことが可能となる。さらに、ピン部材の先端の外径を調整することで、回動時の係止位置(係止角度)を調整できるため設計の自由度が向上する。
【0070】
また本実施形態の回転部をポップアップ機構に採用することにより、本実施形態のポップアップ機構では、収容時コンパクトでありながらも、並進運動のみ、あるいは回転運動のみを利用したポップアップ動作からなる従来の構成に比べ、ポップアップ状態においてストロボをより遠くまで移動することができる。これによりケラレや赤目の防止をより効果的に行うことができる。特にレンズ交換式のコンパクトカメラのように、スペースが限られ、かつ焦点距離が短いレンズが装着される可能性があるカメラにおいて、本実施形態のポップアップ機構は有効である。
【0071】
また、本実施形態ポップアップ機構では撮像面に平行な面内でストロボを移動させるため無駄なくストロボ光源をレンズ光軸から遠ざけることができる。また、アーム部材をストロボ保持部材、シャフト部材の後ろ(ストロボ発光面の後方)に配置したため内蔵ストロボユニットの前後方向幅が抑えられ、さらに折り畳み時にはアーム部材をストロボ保持部材と重ねることができるため収容時の大きさをよりコンパクトにすることができる。
【0072】
さらに本実施形態では、ポップアップ状態におけるアーム部材の上側の回転部を下側の回転部よりも内側に配置したことで、ユーザは内蔵ストロボユニットを押し下げるだけでストロボを収容位置まで移動することができる。また押し下げる際に、ストロボ保持部材、アーム部材の折り畳みが先に行われ、その後シャフト部材が押し下げられる構成としたことで、より円滑な内蔵ストロボの収容が可能になる。
【0073】
なお本実施形態では、シャフト部材がカメラ本体の上方にスライドされたが、光軸に垂直な面内であれば他の方向にスライドさせることも可能である。また、本実施形態では、レンズ交換式のコンパクトカメラを例に説明を行ったが、本実施形態のポップアップ機構は他のいかなる形式のカメラにも適用できる。また、本実施形態のアーム部材にはL字形の部材を用いたが、アーム部材として、L字形以外にもI字形や、Z字形などの形状を利用し得る。
【0074】
また、内蔵ストロボユニットは、収容状態、ポップアップ状態に関わらず発光可能とされてもよい。また、バネ力制御や摩擦抵抗を設けることで、各部材のポップアップ動作におけるポップアップ順を適宜設定することも可能であるが、ポップアップの順序は本実施形態に限定されるものではない。
【0075】
本実施形態において、2つの回転部(第2、第3軸)における回転付勢力は、互いに逆向きであったが、これらを同じ方向とする構成であってもよい。また、アーム部材の数を増やす事で、ストロボの位置を光軸からさらに遠ざけることができ、例えば、アーム部材をL字、逆L字、L字・・・、と交互に組み合わせることもできるが、コンパクト性の観点からは本実施形態のようにアーム部材を1つとすることが好ましい。
【0076】
なお、本実施形態において回転軸部材の円筒部側の端面に設けられる溝は−形状であったが、+や、四角、六角などの形状でもよく、トーションスプリングの付勢力に抗して回転軸部材を回転させることができればよい。
【0077】
本実施形態の回転軸機構を用いたポップアップ機構は、ストロボのポップアップに使用されたが、それ以外にも、例えばカメラのリモコン受信部や、AF用補助光源、マイクなどのポップアップにも利用できる。例えば、レンズフード等の障害物で受信や、AF、集音が邪魔される際、これらのポップアップ機構は有用である。
【0078】
また本実施形態の回転軸機構(回転部)は、カメラ以外においても、例えば携帯電話などの小型電子器機に取り付けられるアンテナの連結部や、折り畳み式の携帯電話などの小型電子機器に用いられるヒンジ機構などにも適用可能である。
【0079】
本実形態では回転部の回転付勢手段としてトーションスプリングを用いたが、トーションスプリングに代え、例えばゴムの一端を第1部材に固定し、他端を第2部材に固定するとともにゴムを回転軸部材に巻き付けることで回転部に回転付勢力を与えることもできる。
【符号の説明】
【0080】
10 レンズ交換式コンパクトカメラ(カメラ本体)
15 内蔵ストロボユニット
17 シャフト部材(第1部材)
17D 係止部
18 アーム部材(第2部材)
19 ストロボ保持部材(第1部材)
20 ストロボカバー
22 回転部(第2軸)
23 回転部(第3軸)
24 ストロボ収容部
30、31 壁面
32、33 平板
30A、31A、32A、33A 孔
30B、31B ピン取付孔
31C 挿通孔
32B 円弧状の切欠き部
33B 円弧状の穴
34 連接部
35 回転軸部材
35A 円筒部
35B 係止リング固定部
35C 第2部材固定部
36 トーションスプリング
37 係止リング
37A 孔
37B 係止部
38 ネジ
39 ピン部材
40 リード線
L レンズ光軸
Rx 回転軸
X 第1軸
Y カメラ本体横軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面する一対の壁面を有する第1部材と、
前記第1部材の前記壁面の外側にそれぞれ近接して配置される一対の平板を有する第2部材と、
前記一対の平板および前記一対の壁面に形成された回転軸取付孔に挿通される回転軸部材と、
前記回転軸部材の回りに巻回され、その一端が前記第1部材に係止される回転付勢手段と、
前記回転軸部材に固定され、前記回転付勢手段の他端が係止される係止リングとを備え、
前記第1部材が前記回転軸部材に対し回動可能とされ、前記回転軸部材が前記第2部材に固定されるとともに、前記回転付勢手段が前記第1、第2部材間において前記回転軸部材周りの回転付勢力を与え、前記回転付勢手段および前記係止リングが前記一対の壁面の内側に配置される
ことを特徴とする回転軸機構。
【請求項2】
前記回転軸部材が、円筒形の円筒部と前記円筒形に第1のDカット加工を施した係止リング固定部と、前記第1のDカット加工に加え第2のDカット加工を施した第2部材固定部とを備え、前記係止リングには前記係止リング固定部の断面形状に対応する穴が設けられ、前記第2部材の平板の一方には前記第2部材固定部の断面形状に対応する回転軸取付孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の回転軸機構。
【請求項3】
前記第2部材の一方の平板に係合して前記第1、第2部材間の回動範囲を規制するピン部材を備え、前記ピン部材が前記第1部材の一対の壁面に設けられるピン取付孔に嵌着されるとともに、前記壁面の一方から突出して前記一方の平板に係合することを特徴とする請求項2に記載の回転軸機構。
【請求項4】
前記第1部材の一方の壁面に挿通孔を設け、前記挿通孔に対面する前記第2部材の平板に、回動時に前記挿通孔が前記平板に沿って描く円弧に沿った穴を設け、前記第1部材内に配線されるリード線を前記挿通孔および円弧状の前記穴を通して前記第2部材へと連絡することを特徴とする請求項3に記載の回転軸機構。
【請求項5】
前記回転軸部材の前記円筒部側の端面に、前記回転軸部材回転用の溝が設けられることを特徴とする請求項4に記載の回転軸機構。
【請求項6】
前記回転軸部材の前記第2部材固定部側の端面に、ヘッド付のネジまたはピンを装着する孔が軸に沿って設けられることを特徴とする請求項5に記載の回転軸機構。
【請求項7】
前記ピン取付孔の一方が前記円弧状の穴に対面し、前記円弧の中心角が回動範囲の回転角よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の回転軸機構。
【請求項8】
前記リード線が通される前記第2部材の平板に設けられた前記円弧状の穴の一端が、前記ピン部材と係合して前記回動範囲を規制することを特徴とする請求項4に記載の回転軸機構。
【請求項9】
前記第2部材固定部の断面形状が略矩形であることを特徴とする請求項2に記載の回転軸機構。
【請求項1】
対面する一対の壁面を有する第1部材と、
前記第1部材の前記壁面の外側にそれぞれ近接して配置される一対の平板を有する第2部材と、
前記一対の平板および前記一対の壁面に形成された回転軸取付孔に挿通される回転軸部材と、
前記回転軸部材の回りに巻回され、その一端が前記第1部材に係止される回転付勢手段と、
前記回転軸部材に固定され、前記回転付勢手段の他端が係止される係止リングとを備え、
前記第1部材が前記回転軸部材に対し回動可能とされ、前記回転軸部材が前記第2部材に固定されるとともに、前記回転付勢手段が前記第1、第2部材間において前記回転軸部材周りの回転付勢力を与え、前記回転付勢手段および前記係止リングが前記一対の壁面の内側に配置される
ことを特徴とする回転軸機構。
【請求項2】
前記回転軸部材が、円筒形の円筒部と前記円筒形に第1のDカット加工を施した係止リング固定部と、前記第1のDカット加工に加え第2のDカット加工を施した第2部材固定部とを備え、前記係止リングには前記係止リング固定部の断面形状に対応する穴が設けられ、前記第2部材の平板の一方には前記第2部材固定部の断面形状に対応する回転軸取付孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の回転軸機構。
【請求項3】
前記第2部材の一方の平板に係合して前記第1、第2部材間の回動範囲を規制するピン部材を備え、前記ピン部材が前記第1部材の一対の壁面に設けられるピン取付孔に嵌着されるとともに、前記壁面の一方から突出して前記一方の平板に係合することを特徴とする請求項2に記載の回転軸機構。
【請求項4】
前記第1部材の一方の壁面に挿通孔を設け、前記挿通孔に対面する前記第2部材の平板に、回動時に前記挿通孔が前記平板に沿って描く円弧に沿った穴を設け、前記第1部材内に配線されるリード線を前記挿通孔および円弧状の前記穴を通して前記第2部材へと連絡することを特徴とする請求項3に記載の回転軸機構。
【請求項5】
前記回転軸部材の前記円筒部側の端面に、前記回転軸部材回転用の溝が設けられることを特徴とする請求項4に記載の回転軸機構。
【請求項6】
前記回転軸部材の前記第2部材固定部側の端面に、ヘッド付のネジまたはピンを装着する孔が軸に沿って設けられることを特徴とする請求項5に記載の回転軸機構。
【請求項7】
前記ピン取付孔の一方が前記円弧状の穴に対面し、前記円弧の中心角が回動範囲の回転角よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の回転軸機構。
【請求項8】
前記リード線が通される前記第2部材の平板に設けられた前記円弧状の穴の一端が、前記ピン部材と係合して前記回動範囲を規制することを特徴とする請求項4に記載の回転軸機構。
【請求項9】
前記第2部材固定部の断面形状が略矩形であることを特徴とする請求項2に記載の回転軸機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−3537(P2013−3537A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137733(P2011−137733)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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