説明

図面管理システム及び図面管理方法

【課題】本発明の目的は、住宅建築の際に作成される膨大な数の図面を効率的に管理するとともに、竣工までの間に多く発生する手書き修正図面を簡易に図面データとしてデータベースに登録することが可能な図面管理システム及び図面管理方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、識別情報Tを付した識別情報付図面を識別情報付図面データとして管理するための図面管理システムSに関する。図面管理システムSは、識別情報Tを構成する顧客固有情報及び図面種類特定情報を少なくとも使用して識別情報付図面データを分類し、格納するデータベース11を有する管理手段1と、識別情報付図面を取り込んで管理手段1へ送信するデータ取り込み手段3と、を備え、管理手段1は、受信した識別情報付図面データより識別情報Tを抽出して、顧客固有情報及び図面種類特定情報を認識し、これに従ってデータベース11の所定位置に識別情報付図面データを格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅建設の受注から竣工に至るまでに作成される各種図面の管理を行うための図面管理システム及び図面管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客より住宅建設を受注して契約を締結した後、住宅竣工に至るまでには、通常、大量の図面が作成される。
例えば、契約時には、敷地図、配置図、平面図、立面図等が作成され、投入時には基礎伏図等の各種伏図等が作成される。
また、これらの図面は、竣工に至るまでの間に何度か変更が加えられることがあるため、図面の枚数は膨大なものとなり、図面管理が非常に煩雑であるという問題点があった。
つまり、設計業務が多忙であるため、図面管理の時間が確保することが困難であったり、保管図面が膨大なため図面を探す作業が煩雑であるという問題点があった。
【0003】
このような問題を解決し、図面やドキュメントを管理するとともに、簡易に検索できるシステムが開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1には、図面を画像データとして図面登録装置に蓄積する技術が開示されている。
このとき、図面データ(スキャナで読み込んだもの及びCADで作成されたもの)は、図面情報編集装置によって編集された図面属性データに関連付けられて、図面登録装置に蓄積される。図面を出力する際には、この図面登録装置内のデータ記憶装置から、図面属性データをキーに必要な図面を読み出すことができる。
また、図面属性データをコードしたバーコードを出力する出力手段が備えられており、プリントアウトされた図面は、この図面属性データをコードしたバーコードが貼付されて管理される。
また、特許文献2には、CADで作成された図面データを承認のために出力する際に、登録データ(図番号データと出力時間データ)がコードされたバーコードを付して出力し、このバーコードにより図面を管理する技術が開示されている。
つまり、図面承認後に、このバーコードを読み込むことにより、この情報をキーとして承認にかけられた図面を読出し、この図面と実際に承認された図面とを照合する。照合は、登録データの出力時間データを比較し、両者が同一であれば同一図面として認識する。このように、認識された図面は承認済み図面としてデータベース内に格納される。
【0004】
【特許文献1】特開2005−135121号公報(第4頁乃至第10頁、図1)
【特許文献2】特開2003−271680号公報(第4頁乃至第7頁、図1、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2の技術では、バーコードはデータベース内から図面を検索する際に使用されることを主目的としているとともに、図面はCAD上で修正された図面をデータとして扱うことを前提としたものである。
一方、建築業界においては、住宅建設の契約時より竣工に至るまでの間に、顧客提示用や施工用に多数の図面が作成されるとともに、これらの図面は、修正及び変更が加えられることが多く、図面を管理することは非常に困難である。
また、これら修正は、CAD上で実施されるとは限られず、顧客等と打合せを行いながら、プリントアウトした紙図面に直接修正が加えられるという場面も多く想定される。
このような場合、図面を単にデータ化してデータベースで管理するだけのシステムでは、CAD上で修正箇所を再度修正し(紙図面上の修正を反映させる)、最新図面に更新する必要が生じる。しかし、このような作業は2度手間であり、煩雑なものであった。
また、スキャナで手書き修正図面を取り込むことも可能であるが、その図面の属性を示すデータを入力したり、データベース内での格納場所を指定する等の手間が必要であり、作業に時間がかかり煩雑であるとともに、誤入力・誤指定等の問題が生じる。
更に、竣工図登録の際には、全図面を集めることに多大な時間と労力を要し、登録が遅れてしまうという問題点があった。また、誤って最新の修正が反映されていない図面を竣工図として登録してしまう恐れもあった。
【0006】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、住宅建築の際に作成される膨大な数の図面を効率的に管理するとともに、竣工までの間に多く発生する手書き修正図面を簡易に図面データとしてデータベースに登録することが可能な図面管理システム及び図面管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1に係る発明によれば、住宅施工のために作成される複数の図面に、該図面を特定するための識別情報を付して識別情報付図面とし、該識別情報付図面を識別情報付図面データとして管理するための図面管理システムであって、該図面管理システムは、前記識別情報を構成する顧客固有情報及び図面種類特定情報を少なくとも使用して前記識別情報付図面データを分類し、格納するデータベースを有する管理手段と、前記識別情報付図面を取り込んで前記識別情報付図面データとし、前記管理手段へ送信するデータ取り込み手段と、を備え、前記管理手段は、前記データ取り込み手段から受信した前記識別情報付図面データより前記識別情報を抽出して、該識別情報より前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報を認識し、前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報に従って前記データベースの所定位置に前記識別情報付図面データを格納することにより解決される。
【0008】
上記課題は、請求項7に係る発明によれば、住宅施工のために作成される複数の図面に、該図面を特定するための識別情報を付して識別情報付図面とし、該識別情報付図面を識別情報付図面データとして管理するための図面管理方法であって、該図面管理方法は、前記識別情報付図面を取り込んで、前記識別情報付図面データとして送信するデータ取り込み手段により、前記識別情報付図面データを取り込む第1の工程と、前記識別情報を構成する顧客固有情報及び図面種類特定情報を少なくとも使用することにより前記識別情報付図面データを分類して格納するデータベースを有する管理手段へ、前記データ取り込み手段から、前記識別情報付図面データを送信する第2の工程と、前記管理手段において、前記データ取り込み手段から受信した前記識別情報付図面データから前記識別情報を抽出して、該識別情報より前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報を認識する第3の工程と、前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報に従って前記データベースの所定位置に前記識別情報付図面データを格納する第4の工程と、を備えることにより解決される。
【0009】
本発明に係る図面管理システム及び図面管理方法においては、データ取り込み手段より識別情報付図面を取り込んで、識別情報付図面データとして管理手段へ送信する。管理手段側では、付された識別情報を抽出及び認識してこの識別情報(顧客固有情報及び図面種類特定情報)に従って識別情報付図面データをデータベースの所定位置へ格納する。
このように、識別情報付図面には識別情報(顧客固有情報及び図面種類特定情報)が付されており、この識別情報は識別情報付図面を取り込む際に同時に取り込まれ、管理手段へ送信される。管理手段側では、この識別情報を受信データから抽出して解読することにより顧客固有情報及び図面種類特定情報を認識する。受信した識別情報付図面データは、この顧客固有情報及び図面種類特定情報に従ってデータベースに格納される。
このように、本発明においては、図面に識別情報を付し、この識別情報とともに図面を読取ることにより、管理手段内のデータベース内に図面を簡易に格納することができる。
特に、建築業界のように、プリントアウトされた図面に手書きで修正を加える機会が多い場合には、スキャナ等のデータ取り込み手段により図面のデータ(イメージデータ)を取り込むだけで識別情報も同時に取り込まれ、自動的に管理手段内のデータベース内に整然と格納されるため、修正を加える度に紙図面の差替え・整理等の管理をすることが不要となり、図面の管理が容易となる。また、コンピュータ等の煩雑な情報入力作業も不要であるため好適である。
このように、図面管理が容易となるため、図面管理が設計等の業務を妨げることがなくなるとともに、図面管理を行う人員を削減することができるため作業を効率化することができる。
【0010】
また、前記図面管理システムは、前記識別情報付図面データの作成及び修正を行うための図面作成手段を有し、該図面作成手段は、作成又は修正された前記識別情報付図面データを前記識別情報付図面として印刷出力するとともに、前記識別情報付図面データを前記管理手段へ送信し、前記管理手段は、受信した前記識別情報付図面データを、前記識別情報に従って前記データベースに格納するよう構成されていると好適である。
このように構成されていることによって、図面作成手段により作成された識別情報付図面データもまた同様に、識別情報に従って、管理手段に備えられたデータベースに格納されるため好適である。
【0011】
更に、前記管理手段は、受信した前記識別情報付図面データに、受信時間情報を付して前記データベースに格納するよう構成されていると、同一の識別情報(顧客固有情報及び図面種類特定情報)を有する識別情報付図面データであっても、受信時間毎に管理することができるため、識別情報付図面データの更新・修正履歴管理を行うことができるため好適である。
【0012】
また、前記図面管理システムは、少なくとも一つのデータ取得手段を備え、前記管理手段は、前記データ取得手段又は前記図面作成手段より前記識別情報を指定したデータ送信要求を受信することにより、前記データベースより前記識別情報に対応する前記識別情報付図面データを抽出して前記データ取得手段又は前記図面作成手段へ送信するよう構成されていると好適である。
このように構成されていると、管理手段に備えられたデータベースに格納された識別情報付図面データを、識別情報をキーに検索して抽出することができる。
このため、データ取得手段及び図面作成手段は、必要な識別情報付図面データを検索して、管理手段より受信することができるため好適である。
【0013】
更に、前記管理手段は、受信した前記識別情報付図面データに、受信時間情報を付して前記データベースに格納し、前記データ取得手段又は前記図面作成手段より前記識別情報を指定したデータ送信要求を受信したときには、現在の時刻に直近の受信時間情報を有する識別情報付図面データを前記データベースより抽出して送信するよう構成されていると、最新の識別情報付図面データを受信することができるため好適である。
このため、データ取得手段又は図面作成手段は、最新の修正・追加等の変更が反映された図面を、受信することができるため、間違いが生じることを防止することができる。
更に、竣工図登録の際には、最新の図面(最新の修正及び変更が反映された図面)を簡易に集めることができるため、竣工図登録が迅速かつ簡易になるとともに、最新でない図面を登録することを防止することができる。
【0014】
また、前記識別情報は、バーコードであり、前記データ取り込み手段は、イメージスキャナであると好適である。
バーコードは、簡易な構成で識別情報をコードすることができるため好適である。また、バーコードは単純なパターンであるため、イメージスキャナで図面とともに取り込まれた際に、管理手段においてバーコードイメージを抽出する際の誤読が少なくなり好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、データ取り込み手段より識別情報付図面を取り込んで、識別情報付図面データとして管理手段へ送信し、管理手段側では、付された識別情報を抽出及び認識して、この識別情報(顧客固有情報及び図面種類特定情報)に従って識別情報付図面データをデータベースの所定位置へ格納する。
つまり、識別情報付図面を取り込む際に同時に取り込まれた識別情報(顧客固有情報及び図面種類特定情報)を、管理手段側で受信したデータから抽出して解読することにより顧客固有情報及び図面種類特定情報を認識し、受信した識別情報付図面データは、この顧客固有情報及び図面種類特定情報に従ってデータベースに格納される。
このように、本発明においては、図面に識別情報を付し、この識別情報とともに図面を読取ることにより、管理手段に備えられたデータベース内に、図面を簡易に格納することができる。
特に、プリントアウトされた図面に手書きで修正を加えた場合には、スキャナ等のデータ取り込み手段により図面のデータ(イメージデータ)を取り込むだけで識別情報も同時に取り込まれ、自動的に管理手段内のデータベース内に整然と格納される。このため、修正を加える度に紙図面の差替え・整理等の管理をすることが不要となり、図面の管理が容易となる。また、コンピュータ等の煩雑な情報入力作業も不要であるため、入力ミス等を防止することができる。
このように、図面管理が容易となるため、図面管理が設計等の業務を妨げることがなくなるとともに、図面管理を行う人員を削減することができるため作業を効率化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
図1乃至図5は、本発明の一実施形態を示すものであり、図1は図面管理システムの構成図、図2は図面管理装置の構成を示す説明図、図3はデータベースの構成を示す概念図、図4は竣工までの期間の各図面の流れを示す説明図、図5は図面管理装置の処理を示すフローチャートである。
【0017】
本実施形態は、図面管理装置を使用することにより、簡易かつ確実に図面をデータとして管理することができる図面管理システムSに関するものである。
本実施形態において、「コンピュータ」とは、演算装置を備えた情報端末全てを含む意味である。
例えば、スーパーコンピュータ、汎用コンピュータ、オフィスコンピュータ、制御用コンピュータ、ワークステーション、パソコンのほか、携帯情報端末、演算装置を備えた携帯電話等をも含む。
【0018】
なお、本実施形態においては、情報通信網としてインターネット回線13を使用しているが、LAN、WANによりコンピュータを接続したプライベートの情報通信網、専用線による通信、携帯端末の公衆情報通信網、その他の公衆情報通信網によるものであってもよい。
【0019】
本実施形態において、「バーコード」とは、公知の自動認識システムに使用される各種データをコードしたシンボルであって、1次元バーコード、2次元バーコード等、全ての形態のバーコードを含む。
なお、本実施形態では、図面を管理するための自動認識システムとしてバーコードを使用したが、これに限られるものではなく、RFID(Radio Frequency Identification)、磁気ストライプ(Magnetic Stripe)、OCR(Optical Character Recognition)、マシンビジョン(Machine Vision)等を利用してもよい。
【0020】
また、請求項記載の「識別情報付図面」は、本実施形態において、紙に印刷された図面を指し、この紙に印刷された図面には、識別情報としてのバーコードTが付されているものとする。
また、請求項記載の「識別情報付図面データ」は、本実施形態において、識別情報付図面をデータ化したものであり、設計コンピュータ2(CAD)から送信されるもの及びスキャナ3から送信されるもの双方を指す。
【0021】
図1は、本実施形態に係る図面管理システムSのシステム構成図である。
本実施形態の図面管理システムSは、管理手段としての図面管理装置1と、図面作成手段としての設計コンピュータ2と、データ取り込み手段としてのスキャナ3と、データ取得手段としての工場コンピュータ4,工事コンピュータ5,業者コンピュータ6と、を主要構成としている。
【0022】
本実施形態における図面管理装置1は、図面管理システムSにおいて図面データを統括管理するためのコンピュータであり、例えば、住宅供給業者内の図面管理を行う部門等に設置される。
なお、本実施形態に係る住宅供給業者とは、住宅及び住宅関連商品等の受注、販売、建築等、住宅に関する業務を総合的に行う。
また、本実施形態では、住宅供給業者を、一般的な住宅建築販売メーカーで構成しているが、設計事務所、住宅建築販売メーカーから委託された業者として構成してもよい。
【0023】
この図面管理装置1は、インターネット回線13を介して、設計コンピュータ2,スキャナ3,工場コンピュータ4,工事コンピュータ5,業者コンピュータ6と接続されており、図面データを格納するデータベース11が備えられている。
本実施形態に係る図面管理装置1は、汎用コンピュータであり、その構成は後述する。
【0024】
本実施形態における設計コンピュータ2は、各種図面の作成,修正等を行うためのコンピュータであり、例えば、住宅供給業者内の設計を行なう部門に設置される。
本実施形態において、この設計コンピュータ2は、いわゆるCADシステム(Computer Aided Design System)として構成されている。
【0025】
本実施形態に係るスキャナ3は、イメージスキャナであり、図面からの光を光学系で撮像素子に導くことにより図面をスキャニングする。
本実施形態においては、エリア・センサタイプ(CCD)が使用されているが、ライン・センサタイプ(CIS)を使用してもよい。
【0026】
また、本実施形態に係る工場コンピュータ4と、工事コンピュータ5と、業者コンピュータ6は、汎用コンピュータであり、インターネット回線13を介して図面管理装置1に接続されている。
これらのコンピュータ群は、図面管理装置1に対して受注番号を指定した図面データ送信要求を行なうことにより、図面管理装置1から各種図面データを取得し、使用することができる。
本実施形態において、工場コンピュータ4は、住宅供給業者が所有する住宅建築部品の製造を行うための工場に設置されたコンピュータであり、工事コンピュータ5は、住宅施工現場に設置されたコンピュータである。また、業者コンピュータ6は、住宅供給業者と取引のある部品メーカー等に設置されたコンピュータである。
【0027】
以上のように、本実施形態においては、図面管理装置1、設計コンピュータ2、スキャナ3、工場コンピュータ4、工事コンピュータ5、業者コンピュータ6は、インターネット回線13を介して接続されており、図面データの送受信が可能な構成となっている。
図面管理装置1は、設計コンピュータ2及びスキャナ3より図面データを受信して、管理する。また、設計コンピュータ2、工場コンピュータ4、工事コンピュータ5、業者コンピュータ6は、必要に応じて図面管理装置1より図面データを受信することが可能な構成となっている。
【0028】
次いで、図2により本実施形態に係る図面管理装置1のハード構成について説明する。
本実施形態に係る図面管理装置1は、汎用コンピュータであり、図2に示すように、CPU32、HDD33、RAM34、ROM35、記憶媒体装置37、通信装置36を有して構成されている。
【0029】
CPU32は、データの演算・制御を行う中央演算処理装置であり、RAM34、ROM35、HDD33及び記憶媒体装置37は、記憶装置である。
CPU32は、ROM35又はHDD33に記憶されているプログラムにしたがって各種の処理を実行するようになされ、各機能構成群の動作管理や各信号の入出力制御など、所定の処理を実行するための中枢的役割を担うものである。
RAM34には、CPU32が各種処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
【0030】
記憶媒体装置37は、外付けハードディスク、光磁気ディスク、CD−R、DVD、メモリスティック等により構成されている。
通信装置36は、インターネット回線13に対してデータを送信し、またインターネット回線13を介して受信されたデータを適宜記憶する。
HDD33には、各種図面データが格納されたデータベース11が備えられており、このデータベース11のファイルには、各種図面データが、受注番号毎のレコードとして格納されている。
【0031】
図3は、データベース11の構成を示す概念図である。
図面の原図は、通常、設計部門に設置される設計コンピュータ2で作成される。
このように、設計コンピュータ2で作成された図面は、インターネット回線13を介して図面管理装置1に送信される。
このとき、設計コンピュータ2は、受注番号データ、図面種類データとともに、図面データを図面管理装置1に送信する。
図面管理装置1のHDD33には、データベース11が構築されており、設計コンピュータ2で作成された図面は、受注番号毎のレコードとしてデータベース11内に格納される。
【0032】
また、住宅受注番号毎に複数の図面が作成されるが、これらは、図面種類に応じて振分けられて格納される。
本実施形態においては、配置図、平面図、立面図、仕様書、外構図、設備図、基礎伏図、梁伏図、小屋伏図等がそれぞれ、受注番号毎に格納されている。
また、図面は、各々受信時間データが付加された状態で格納され、データの送信要求があった場合には、最新の図面が送信される。ただし、構成はこれに限られるものではなく、受信時間を指定して前段階の図面を出力できるように構成されていてもよいし、更新された図面を上書きすることにより、常時最新の図面データのみを格納するように構成されていてもよい。
【0033】
また、設計コンピュータ2から作成した図面を印刷出力する際には、受注番号データ、図面種類データをコードしたバーコードTを所定箇所に付した状態で図面が出力される。
なお、バーコードTの種類は特に限定されるものではなく、1次元コード、2次元コード等、どのような種類のものでもよいし、JAN、EAN、NW−7、CODE39等どのような形式のものであってもよい。
紙に印刷された図面に手書きで修正を加えた場合には、スキャナ3により図面をスキャニングすることにより図面データが読み込まれ、この図面データは図面管理装置1に送信される。
【0034】
図面管理装置1には、図面内からバーコードTを認識してデコードするためのソフトが組み込まれており、このソフトによりバーコードTを認識して、データベース11内の所定アドレスに図面データを格納する。
このソフトは公知のソフトを使用することができる。
例えば、図面管理装置1は、図面のPDFデータをスキャナ3により取り込み、この取り込んだPDF内の画像オブジェクトからバーコードTを自動認識し、TIFF形式で抽出してデコードする。自動認識は、想定されるバーコードパターンと、類似パターンを認識することにより行うとよい。
また、例えば、PDFデータに原点及び2次元座標を設定し、バーコードTが付される付近の範囲指定を行ってもよい。このように、範囲指定を行うことにより、デコード時間を短縮されるとともに、誤読の可能性も減少する。
【0035】
図4に、竣工までの期間の各図面の流れの一例を示す。
契約時には、付近見取図・案内図、敷地図、配置図、平面図・立面図、仕様書、屋内外設備図が作成される。
投入時には、更に、実際に住宅施工のために必要な基礎伏図、小屋・梁伏図、パネル伏図等の各伏図が作成される。また、このとき、必要に応じて、平面・立面図、仕様書、屋内外設備図等に変更が加えられる可能性がある。
なお、竣工に至るまでには、これら平面・立面図、仕様書、屋内外設備図等は、更に数回にわたり変更される可能性がある。
【0036】
このとき、設計コンピュータ2により修正された図面は、図面データとしてそのまま、図面管理装置1に送信され、紙に印刷された図面に手書きで修正を加えた図面は、上述のようにスキャナ3によりスキャニングされて、バーコードTがコードする受注番号及び図面種類に応じてデータベース11の所定箇所に格納される。
よって、手書きで修正を加えた図面もまた、簡易に図面管理装置1に備えられたデータベース11内の格納することができるため、図面の管理が簡易になる。
【0037】
以上のように、契約時から竣工時にいたるまでの間に、図面管理装置1のデータベース11には、図4に示す通り、多くの図面が格納されることとなるが、前述の通り、本実施形態においては、これら図面は図面データとして、図面管理装置1において、受注番号毎に管理されているため、大量の図面(紙図面)を保存するためのスペースが不要であるとともに、大量の図面データを受注番号毎に簡易に管理することができる。
また、前述の通り、図面管理装置1では、図面データに受信時間データを付して管理しているため、最終的な竣工時には、全ての図面のうち最新の図面を集めて竣工図とすることができる。よって、大量の図面のなかから、最新の図面を探し出す手間を省くことができるとともに、誤って最新の図面ではない図面を竣工図とするミスを防止することができる。
【0038】
次いで、図5により、図面管理装置1の処理について説明する。
図5は、図面管理装置1の処理の流れを示すフローチャートであり、この処理は、CPU32により制御される。
まず、図面管理装置1に外部からアクセスがあったことを条件として、図5の処理はスタートする。
【0039】
外部からアクセスがあると、ステップS1で、そのアクセスが設計コンピュータ2からのアクセスであるか否かを判定する。
ステップS1で、認識したアクセスが設計コンピュータ2からのアクセスであると判定した場合(ステップS1:Yes)、ステップS2で、認識したアクセスが設計コンピュータ2からの図面データ受信要求であるか否かを判定する。
【0040】
認識したアクセスが、設計コンピュータ2からの図面データ受信要求であると判定した場合(ステップS2:Yes)、ステップS3で受信した図面データを受信時間データとともにデータベース11へ格納して処理を終了する。このとき、設計コンピュータ2からは、受注番号及び図面種類を示すデータも共に送信されるよう構成されており、図面管理装置1は、この受注番号及び図面種類に従って、データベース11の所定位置に受信した図面データを格納する。
【0041】
ステップS2で、認識したアクセスが、設計コンピュータ2からの図面データ受信要求ではないと判定した場合(ステップS2:No)、認識したアクセスは、設計コンピュータ2からの受注番号及び図面種類を指定したデータ送信要求であると判定することができるため、ステップS4で要求された図面データがデータベース11内に存在するか否かを検索する。
【0042】
要求された図面データが存在すると判定した場合(ステップS4:Yes)、ステップS5で要求された図面データを、設計コンピュータ2に送信して処理を終了する。このとき、図面データは、最新のもの(更新日が直近のもの)が送信される。
ステップS4で要求された図面データが存在しないと判定した場合(ステップS4:No)、ステップS6でエラー信号を設計コンピュータ2に送信して処理を終了する。
【0043】
ステップS1で、認識したアクセスが設計コンピュータ2からのアクセスではないと判定した場合(ステップS1:No)、ステップS7で、認識したアクセスがスキャナ3からのアクセスか否かを判定する。
ステップS7で、認識したアクセスがスキャナ3からのアクセスであると判定した場合(ステップS7:Yes)、ステップS8で図面データとともにスキャニングしたバーコードデータをデコードする。
【0044】
前述した通り、スキャナ3から送信される図面は、主として紙に印刷された図面に手書きで修正を加えたものであり、スキャナ3により図面をスキャニングすることにより図面データが読み込まれ、この図面データが図面管理装置1に送信される。
図面管理装置1には、図面内からバーコードTを認識してデコードするためのソフトが組み込まれており、このソフトによりバーコードTを認識して、データベース11内の所定アドレスに図面データを格納する。例えば、図面管理装置1は、図面のPDFデータをスキャナ3により取り込み、この取り込んだPDF内の画像オブジェクトからバーコードTを自動認識し、TIFF形式で抽出してデコードする。
【0045】
このように、ステップS8でバーコードがデコードされた後、ステップS3で、受信した図面データを受信時間データとともにデータベース11へ格納して処理を終了する。このとき、図面管理装置1は、デコードされた受注番号及び図面種類に従って、データベース11の所定位置に受信した図面データを格納する。
【0046】
ステップS7で、認識したアクセスがスキャナ3からのアクセスではないと判定した場合(ステップS7:No)、認識したアクセスは、外部のコンピュータ(工場コンピュータ4、工事コンピュータ5、業者コンピュータ6)からの図面データ送信要求であると判定できるため、ステップS9で、要求された図面データがデータベース11内に存在するか否かを判定する。
【0047】
要求された図面データがデータベース11内に存在すると判定した場合(ステップS9:Yes)、ステップS10で、要求された図面データをアクセスのあったコンピュータ(本実施形態においては、工場コンピュータ4、工事コンピュータ5、業者コンピュータ6のいずれか)へ送信して処理を終了する。
要求された図面データがデータベース11内に存在しないと判定した場合(ステップS9:No)、ステップS11でエラー信号をアクセスのあったコンピュータ(本実施形態においては、工場コンピュータ4、工事コンピュータ5、業者コンピュータ6のいずれか)へ送信して処理を終了する。
【0048】
以上のように、本実施形態においては、図面管理装置1において、図面データを管理することができる。特に、紙に印刷出力された図面に手書き修正・更新を加えた場合には、スキャナ3で図面及び図面に付されたバーコードTを同時に読み込むことにより、このバーコードTが指定するデータベース内の所定位置へ図面データを格納することができる。
よって、紙図面を簡易かつ確実にデータベース11内に格納し、管理することができる。
なお、本実施形態においては、バーコードTは、受注番号及び図面種類をコードしたが、バーコードTがコードする情報は、これに限られるものではなく、図面データの格納位置を指定することができる情報であればどのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係る図面管理システムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る図面管理装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るデータベースの構成を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る竣工までの期間の各図面の流れを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る図面管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 図面管理装置(管理手段)
2 設計コンピュータ(図面作成手段)
3 スキャナ(データ取り込み手段)
4 工場コンピュータ(データ取得手段)
5 工事コンピュータ(データ取得手段)
6 業者コンピュータ(データ取得手段)
11 データベース
13 インターネット回線
32 CPU
33 HDD
34 RAM
35 ROM
36 通信装置
37 記憶媒体装置
S 図面管理システム
T バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅施工のために作成される複数の図面に、該図面を特定するための識別情報を付して識別情報付図面とし、該識別情報付図面を識別情報付図面データとして管理するための図面管理システムであって、
該図面管理システムは、
前記識別情報を構成する顧客固有情報及び図面種類特定情報を少なくとも使用して前記識別情報付図面データを分類し、格納するデータベースを有する管理手段と、
前記識別情報付図面を取り込んで前記識別情報付図面データとし、前記管理手段へ送信するデータ取り込み手段と、
を備え、
前記管理手段は、前記データ取り込み手段から受信した前記識別情報付図面データより前記識別情報を抽出して、該識別情報より前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報を認識し、前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報に従って前記データベースの所定位置に前記識別情報付図面データを格納することを特徴とする図面管理システム。
【請求項2】
前記図面管理システムは、前記識別情報付図面データの作成及び修正を行うための図面作成手段を有し、
該図面作成手段は、作成又は修正された前記識別情報付図面データを前記識別情報付図面として印刷出力するとともに、前記識別情報付図面データを前記管理手段へ送信し、
前記管理手段は、受信した前記識別情報付図面データを、前記識別情報に従って前記データベースに格納することを特徴とする請求項1に記載の図面管理システム。
【請求項3】
前記管理手段は、受信した前記識別情報付図面データに、受信時間情報を付して前記データベースに格納することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の図面管理システム。
【請求項4】
前記図面管理システムは、少なくとも一つのデータ取得手段を備え、
前記管理手段は、前記データ取得手段又は前記図面作成手段より前記識別情報を指定したデータ送信要求を受信することにより、前記データベースより前記識別情報に対応する前記識別情報付図面データを抽出して前記データ取得手段又は前記図面作成手段へ送信することを特徴とする請求項2に記載の図面管理システム。
【請求項5】
前記管理手段は、受信した前記識別情報付図面データに、受信時間情報を付して前記データベースに格納し、前記データ取得手段又は前記図面作成手段より前記識別情報を指定したデータ送信要求を受信したときには、現在の時刻に直近の受信時間情報を有する前記識別情報付図面データを前記データベースより抽出して送信することを特徴とする請求項4に記載の図面管理システム。
【請求項6】
前記識別情報は、バーコードであり、前記データ取り込み手段は、イメージスキャナであることを特徴とする請求項1に記載の図面管理システム。
【請求項7】
住宅施工のために作成される複数の図面に、該図面を特定するための識別情報を付して識別情報付図面とし、該識別情報付図面を識別情報付図面データとして管理するための図面管理方法であって、
該図面管理方法は、
前記識別情報付図面を取り込んで、前記識別情報付図面データとして送信するデータ取り込み手段により、前記識別情報付図面データを取り込む第1の工程と、
前記識別情報を構成する顧客固有情報及び図面種類特定情報を少なくとも使用することにより前記識別情報付図面データを分類して格納するデータベースを有する管理手段へ、前記データ取り込み手段から、前記識別情報付図面データを送信する第2の工程と、
前記管理手段において、前記データ取り込み手段から受信した前記識別情報付図面データから前記識別情報を抽出して、該識別情報より前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報を認識する第3の工程と、
前記顧客固有情報及び前記図面種類特定情報に従って前記データベースの所定位置に前記識別情報付図面データを格納する第4の工程と、を備えることを特徴とする図面管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−21025(P2008−21025A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190739(P2006−190739)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】