説明

図面管理システム

【課題】複数の作業員が同じ時間帯にそれぞれ異なる作業場所から並行して、チェック作業に関連する1つの図面やこの図面に記入されたチェック情報を参照し、チェック情報を更新することができる図面管理システムを提供する。
【解決手段】図面管理システムにおいて、確認作業の対象設備の配置及び確認必要箇所を図として表す図面情報と確認必要箇所の確認状態を表す確認情報とを格納するデータベースサーバと、データベースサーバと通信可能に設けられ、データベースサーバの図面情報及び確認情報を参照するとともに、確認作業の結果として変化した確認情報の入力操作を受け付ける携帯端末と、を備え、携帯端末は、確認情報の入力操作を受け付ける都度、入力された確認情報をデータベースサーバへと送信し、データベースサーバは、受信した携帯端末からの確認情報によって格納された確認情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、図面管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライブ装置(駆動用インバータ)等を有する大規模設備の配線チェックを実施する際には、当該配線チェックに使用する図面を紙に印刷して用いていた。この図面には、関連する機器同士の配線等が記載されている。このような紙に印刷された図面を用いた設備の配線チェック手順の一例を示すものが図6である。
【0003】
チェック対象となる設備の規模が大きい場合には、チェックが必要な機器が設置された場所は電気室等の広い室内の様々な箇所に点在していることが多い。そこで、チェックを行う作業員は、まず、第1の作業場1aにて、第1の図面5aを用いてチェック作業を実施する。当該チェック作業が配線が正しく導通しているか否かを確認する配線チェックである場合には、作業員は、正しく導通していることが確認された配線を第1の図面5a上に例えば蛍光ペン等で塗りつぶす等のチェックを入れていく。
【0004】
そして、第1の作業場1aにおけるチェック作業が完了したら、作業員は第2の作業場1bへと移動し先の第1の作業場1aでのチェック作業と同様にして、正しく導通していることが確認された配線について、第1の作業場1aでのチェック結果が記入された第1の図面5a上にチェックを追加して記入していく。このようにして、作業員は、第1の図面5aを持ち各作業場を行き来しながら、第1の図面5aにチェック情報を加えていく。そして、全ての作業場でのチェック作業が終了すると、チェックが完了した完成図面6が得られる。
【0005】
なお、上で説明した図6の例は、複数の作業場について1箇所ずつ逐次的にチェック作業を実施する場合であった。これに対し、従来においては、複数の作業場において同時に並行してチェック作業を実施することも行われていた。この複数の作業場において同時にチェック作業を実施する場合の作業手順の一例を図7に示す。
【0006】
まず、予め、チェック作業に用いる第1の図面5aを複製して、第1の図面5aと同一内容の第2の図面5bを作成して用意しておく。そして、第1の作業場1aにおいては第1の図面5aを用いてチェック作業を実施し、正しく導通していることが確認された配線について、第1の図面5a上にチェック情報を記入していく。また、同時に並行して、第2の作業場1bにおいては第2の図面5bを用いて他の作業員がチェック作業を実施し、第2の図面5b上にチェック情報を記入していく。
【0007】
こうして各作業場におけるチェック作業が終了したら、一方の図面、ここでは第2の図面5bとする、に記入されているチェック情報を他方の図面である第1の図面5aへと写すことにより完成図面6を作成する。なお、こうして完成した全てのチェック情報が記入された完成図面6は、設備の設計者や設備の依頼主等への提出が求められる場合がほとんどである。
【0008】
また、従来においては、紙に印刷された図面ではなくコンピュータ端末等に電子データとして表示される図面を用いて、配線工事で接続試験を行う際のラインの接続状況の管理を行う機器接続管理システムとして、ネットワーク接続された複数のコンピュータとデータベースからなり、電気系統ケーブルの機器間の接続管理を行うものであって、展開接続図や結線図等の図面をデータベースに格納し、作業員は、このデータベースに格納された図面に従ってケーブルを接続して接続実績を蓄積し、接続作業完了後に蓄積した接続実績を確認するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、サーバに保存されている図面に対して複数の端末から同時に編集できるようにすることを目的とした図面編集装置としては、図面毎ではなく図面中の各エンティティ毎やレイヤ毎に排他処理を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
さらにまた、設備点検時に携帯する携帯端末コンピュータの操作性を高めることを目的とするものとして、携帯端末にGPS(Global Positioning System)受信機を内蔵し、GPSデータに基づいて携帯端末を携帯した作業員が目標設備に接近したことが検知されると、施設関連情報が格納されているデータベースから当該目標設備の点検チェックリスト等を当該携帯端末に送信して自動的に表示させるものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−281196号公報
【特許文献2】特開平09−198426号公報
【特許文献3】特開平11−327628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図6に示すような設備の確認作業において紙に印刷された図面を用いる従来の方法においては、1枚の紙に印刷された図面を用いており、異なる作業場にいる各作業員がそれぞれ異なる作業場所から並行してチェック作業を実施することができないという課題がある。また、図7に示す従来の方法においては、図面を複数枚の紙に複製して用いており、別々の図面にチェック情報を記入することになるため、最終的な完成図面を得るために各紙の図面に記入されたチェック情報を集約する工程が必要となり煩雑な手数がかかってしまうという課題がある。
【0013】
また、特許文献1に示された従来における機器接続管理システムは、接続作業時には接続状態や作業に関する情報が一方的に蓄積されていくのみであって、全ての接続作業が完了した後に、試験部門がコンピュータ端末をデータベースに接続して蓄積された接続実績を確認するものである。このため、複数の作業員が同じ時間帯にそれぞれ異なる作業場所から並行して、チェック作業に関連する図面に記入されたチェック情報を参照・更新することができないという課題がある。
【0014】
特許文献2に示された従来における図面編集装置は、図面中の各エンティティ毎やレイヤ毎に排他処理を行うものである。このため、複数の作業員がチェック情報を記入しようとしている図面上の要素が、同一エンティティや同一レイヤに存在するもであった場合には、やはり特許文献1に示されたものと同様、複数の作業員が同じ時間帯にチェック情報を更新することができないという課題がある。
【0015】
そして、特許文献3に示されたものにおいても、複数の作業員が同じ時間帯にチェック作業を行う点は考慮されておらず、特許文献1に示された従来技術と同様の課題がある。
【0016】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、複数の作業員が同じ時間帯にそれぞれ異なる作業場所から並行して、チェック作業に関連する1つの図面やこの図面に記入されたチェック情報を参照し、チェック情報を更新することができる図面管理システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明に係る図面管理システムにおいては、確認作業の対象設備の配置及び前記対象設備に存在する前記確認作業が必要な確認必要箇所を図として表す図面情報と、前記確認必要箇所の確認状態を表す確認情報と、を格納するデータベースサーバと、前記データベースサーバに格納された前記図面情報及び前記確認情報を参照するとともに、前記確認作業の結果として変化した前記確認情報の入力操作を受け付ける携帯端末と、前記データベースサーバと前記携帯端末とを通信可能に接続する通信回線と、を備え、前記携帯端末は、前記確認情報の入力操作を受け付ける都度、入力された前記確認情報を前記データベースサーバへと送信し、前記データベースサーバは、受信した前記携帯端末からの前記確認情報によって、自身に格納された前記確認情報を更新する構成とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る図面管理システムにおいては、複数の作業員が同じ時間帯にそれぞれ異なる作業場所から並行して、チェック作業に関連する1つの図面やこの図面に記入されたチェック情報を参照し、チェック情報を更新することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1に係る図面管理システムの全体構成を模式的に示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る図面管理システムのデータベース及び各端末における情報更新処理を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る図面管理システムのデータベースに格納される内容及び各端末に表示される内容を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る図面管理システムのデータベースに格納される内容及び各端末に表示される内容を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る図面管理システムのデータベース及び各端末における情報更新の具体例を説明する図である。
【図6】従来における設備の確認作業手順の第1の例を示す図である。
【図7】従来における設備の確認作業手順の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0021】
実施の形態1.
図1から図3は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は図面管理システムの全体構成を模式的に示す図、図2は図面管理システムのデータベース及び各端末における情報更新処理を示すフロー図、図3は図面管理システムのデータベースに格納される内容及び各端末に表示される内容を説明する図である。
【0022】
図1において、1a及び1bは、確認作業の対象となる設備が設置された複数の作業場であり、それぞれ、第1の作業場及び第2の作業場である。なお、ここでは、確認作業の一例として、例えば、設備を構成する各機器間で正しく配線されているか否か(配線が正しく導通しているか否か)を確認する配線チェック作業を想定して説明する。これらの第1の作業場1a及び第2の作業場1bで配線チェック作業を行う作業員は、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bをそれぞれ携帯している。
【0023】
第1の作業場1a及び第2の作業場1bには、これらの第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bと無線通信を行うためのアクセスポイント3が設置されている。このアクセスポイント3による通信可能範囲は、これら第1の作業場1a及び第2の作業場1bにある、実際に配線チェック作業を行う全ての場所をカバーしている。
【0024】
アクセスポイント3にはデータベースサーバ4が通信ケーブルにより通信可能に接続されている。こうして、作業員が携帯する第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bは、第1の作業場1a及び第2の作業場1bにおいて、アクセスポイント3を介してデータベースサーバ4とデータ通信が可能なようになっている。
【0025】
データベースサーバ4には図面情報が予め格納されている。この図面情報は、配線チェック作業の対象設備の配置及びこの対象設備にあるチェック必要箇所を図示するものである。すなわち、この図面情報には、対象設備が有する各機器及びこれら機器間の配線が図示されている。そして、この図面情報に含まれている機器間の配線のそれぞれが、配線チェック作業の直接の対象となるチェック必要箇所ということになる。
【0026】
また、データベースサーバ4には、図面情報に含まれている各チェック必要箇所についてのチェック情報も格納されている。このチェック情報は、チェック必要箇所のそれぞれについて、配線チェック作業が完了済みであるのか未だ完了していないのかを示す情報である。なお、データベースサーバ4に格納されている図面情報は、チェック作業の開始前に一度設定されると、チェック作業の最中には原則として更新されることがない性質の情報である。一方、チェック情報は、配線チェック作業の進行に伴って更新されていく性質の情報である。
【0027】
第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bは、アクセスポイント3を介した無線通信によって、データベースサーバ4から送信された図面情報及びチェック情報を受信することができる。この受信した図面情報及びチェック情報は、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bに備えられた表示画面に表示される。第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bの表示画面はタッチパネルになっており、作業員は、表示画面に表示された情報を参照しながら、基本的にはタッチペン(スタイラス)を用いてタッチパネルをタッチ操作する。なお、各携帯端末の操作には、補助的に携帯端末にキーボードやトラックボール等を接続して用いることも可能である。
【0028】
各作業員は、各自が携帯する携帯端末に表示される図面情報及びチェック情報を参照しながら、それぞれの持ち場である各作業場においてチェック必要箇所である配線のチェック作業を行う。そして、作業員は、配線チェック作業の結果をチェック情報として第1の携帯端末2a(又は第2の携帯端末2b)を操作して入力する。すなわち、配線チェック作業によって正しく導通していることが確認された配線について、チェックが完了済みであるというチェック情報を携帯端末に入力する。
【0029】
第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bのいずれかで入力されたチェック情報は、アクセスポイント3を介した無線通信によりデータベースサーバ4へと送信される。データベースサーバ4は、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bのいずれかから送信されたチェック情報を受信すると、自身に格納されているチェック情報をこの受信したチェック情報によって更新する。
【0030】
データベースサーバ4は、この更新された最新のチェック情報をアクセスポイント3を介して第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと送信する。第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bは、このデータベースサーバ4から送信されたチェック情報を受信して表示内容に最新のチェック情報を反映する。そして、各作業員は、各自が携帯する第1の携帯端末2a又は第2の携帯端末2bに表示された最新のチェック情報を確認しながら、まだ配線チェックが終了していないチェック必要箇所の配線チェック作業を行っていく。
【0031】
図2のフロー図は、この第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bとデータベースサーバ4との間でのデータの送受信処理及びデータベースサーバ4でのデータ更新処理を示すものである。
まず、第1の携帯端末2aでチェック情報の変更入力を行うと(ステップS1a)、ステップS2aへと進み、この入力された変更内容が第1の携帯端末2aからデータベースサーバ4へと送信される。また、第2の携帯端末2bにおいても同様に、チェック情報の変更入力を行うと(ステップS1b)、ステップS2bへと進み、この入力された変更内容が第2の携帯端末2bからデータベースサーバ4へと送信される。
【0032】
ステップS2a及びステップS2bで第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bから送信されたチェック情報の変更内容を受信したデータベースサーバ4は、ステップS11において、この受信したチェック情報の変更内容によってデータベースサーバ4に格納されているチェック情報を更新する。そして、ステップS12へと進み、データベースサーバ4は、ステップS11で更新された最新のチェック情報を第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと送信する。
【0033】
データベースサーバ4から送信された最新のチェック情報は、ステップS3a及びステップS3bで、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bのそれぞれで受信される。そして、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bには、共通の最新のチェック情報が反映された図面情報が表示される。
【0034】
第1の携帯端末2aにおいてはステップS3aの後にステップS1aに戻り、第2の携帯端末2bにおいてはステップS3bの後にステップS1bへと戻る。また、データベースサーバ4においてはステップS12の後にステップS11へと戻る。このようにして、データベースサーバ4において、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bから送信されたチェック情報の更新と、更新された最新のチェック情報の第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへの送信が繰り返され、各第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bにおいて入力された最新のチェック情報は、データベースサーバ4を介して第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bにより共有される。
【0035】
ここで、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bからデータベースサーバ4へのチェック情報の変更内容の送信は、第1の携帯端末2a(又は第2の携帯端末2b)において、チェック情報の変更操作がなされた時に行われる。そして、データベースサーバ4に格納されたチェック情報の更新は、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bから送信されたチェック情報の変更内容を受信する都度行われる。
【0036】
この際、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bからの変更内容の送信タイミングが重なった場合に備えて、データベースサーバ4に変更内容の反映待ちデータを一時的に保管するバッファ領域を設けるようにしてもよい。この場合、データを受信した順序でバッファ領域に格納していき、バッファ領域に格納された順序でデータベースサーバ4にデータ内容を反映していく、先入れ先出し法(FIFO:First In First Out)を採用する。
【0037】
また、データベースサーバ4から第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへの最新のチェック情報の送信は、次に述べる3つの方法のうち、少なくとも1つの方法が採用されている。なお、これら3つの方法のうち2つあるいは3つ全部を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0038】
まず、第1の方法は、予め定めた一定周期で最新のチェック情報を第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと送信する方法である。次に、第2の方法は、データベースサーバ4に格納されているチェック情報が更新された時に、その都度最新のチェック情報を第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと送信する方法である。なお、これら第1及び第2の方法においては、データベースサーバ4から最新のチェック情報を送信する対象は原則として全ての携帯端末となる。ここで「原則として」としたのは、特に第2の方法においては、データベースサーバ4のチェック情報が更新された際に、当該更新されたチェック情報の入力が行われた携帯端末を除く他の携帯端末にだけ最新のチェック情報を送信するようにもし得るからである。しかし、出来れば全ての携帯端末に最新のチェック情報を送信するようにすることが望ましい。
【0039】
そして、3つめの方法は、第1の携帯端末2a又は第2の携帯端末2bが操作された時に、その操作の都度、データベースサーバ4から第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと最新のチェック情報を第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと送信する方法である。この3つめの方法においては、データベースサーバ4は、チェック情報の送信タイミングを決めるために、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bで操作されたか否かを知る必要がある。そこで、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bは、作業員により操作がなされると操作があった旨の操作信号又は最新のチェック情報の送信要求をデータベースサーバ4へと送信するようになっている。ここでいう操作とは、先に述べたチェック情報の更新操作のみならず、携帯端末の表示を拡大・縮小したり、表示範囲を移動させたりという一般操作も含まれている。
【0040】
そして、データベースサーバ4は、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bのいずれかから操作信号(又はチェック情報送信要求)を受信すると、受信した時点でデータベースサーバ4に格納されている最新のチェック情報を第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと送信する。この際、操作信号(チェック情報送信要求)が送信された(操作された)携帯端末がいずれであっても全ての携帯端末に最新のチェック情報を送信するようにしてもよいし、操作信号(チェック情報送信要求)が送信された(操作された)携帯端末にのみ最新のチェック情報を送信するようにしてもよい。
【0041】
図3は、このように構成された図面管理システムにおける、データベースサーバ4に格納されるチェック情報及び各携帯端末の表示内容の具体例を説明するものである。
まず、データベースサーバ4に格納されているチェック情報について説明する。チェック必要箇所である各配線については、それぞれを一意に識別するための線番号が割り振られている。そして、チェック情報としてこれらの各線番号についてチェックが「済」であるのか「未」であるのかが格納されている。
【0042】
第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bには、データベースサーバ4から送信された対象設備の各機器の配置及びチェック必要箇所の位置を示す図面情報と、チェック情報とが重ね合わされて表示される。チェック情報は、対応するチェック必要箇所の近傍にチェックボックスとして表示される。また、チェック必要箇所の近傍には、対応する線番号も表示される。
【0043】
そして、チェック「済」であるチェック必要箇所に対応するチェックボックスには、チェックが入った状態で表示され、チェック「未」であるチェック必要箇所に対応するチェックボックスには、チェックが入っていない状態で表示される。また、チェック済であるか否かをより判り易くするため、チェック済の配線を太く表示したり色を変えて表示したりするようにしてもよい。
【0044】
第1の携帯端末2a又は第2の携帯端末2bを携帯する作業員は、この表示画面上のチェックボックスをスタイラスで例えばタップすることにより、チェック状態をトグル入力することができる。すなわち、チェック「未」である配線のチェックボックスをタップすると、当該配線についてチェック「済」とするチェック情報を入力することができ、逆に、チェック「済」である配線のチェックボックスをタップすると、当該配線についてチェック「未」とするチェック情報を入力することができる。
【0045】
ここで、例えば、L1からL6まで全部で6箇所のチェック必要箇所である配線があり、はじめはこれら全ての配線が未チェック状態であったとする。
そして、第1の携帯端末2aを携帯する作業員が第1の作業場1aにあるL1及びL2の配線のチェックを完了し、これらL1及びL2のチェックボックスをタップしてチェック「済」に更新するチェック情報を入力すると、第1の携帯端末2aからデータベースサーバ4へとこの更新されたチェック情報が送信される。この更新されたチェック情報を受信したデータベースサーバ4は、線番号L1及びL2のチェック状態を「未」から「済」へと更新する。
【0046】
また、第2の携帯端末2bを携帯する作業員が第2の作業場1bにあるL5及びL6の配線のチェックを完了し、これらL5及びL6のチェックボックスをタップしてチェック「済」に更新するチェック情報を入力すると、第2の携帯端末2bからデータベースサーバ4へとこの更新されたチェック情報が送信される。この更新されたチェック情報を受信したデータベースサーバ4は、線番号L5及びL6のチェック状態を「未」から「済」へと更新する。
【0047】
このようにして、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bに入力された各チェック必要箇所のチェック情報が、データベースサーバ4に格納されたチェック情報として蓄積されていく。そして、データベースサーバ4に格納されている最新のチェック情報は、定期的に、あるいは、データベースサーバ4に格納されたチェック情報の更新時や第1の携帯端末2a又は第2の携帯端末2bの操作時に、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bへと送信される。
【0048】
ここで説明した例では、第1の携帯端末2aによりL1及びL2がチェック「済」とされ、第2の携帯端末2bによりL5及びL6がチェック「済」とされたため、データベースサーバ4から送信される最新のチェック情報ではL1、L2、L5及びL6がチェック「済」となっている。従って、この最新のチェック情報を受信した第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bの双方において、L1、L2、L5及びL6の配線がチェック「済」となったチェック情報が表示される。すなわち、他の携帯端末から更新されたチェック情報が共有されて、各携帯端末における表示に反映される。
【0049】
そして、以上のようにして配線チェック作業を進めていくことでチェック情報がデータベースサーバ4に蓄積されていき、全てのチェック必要箇所のチェックが終わった段階で、データベースサーバ4に格納されている図面情報及びチェック情報から最終的な完成図面をほぼ自動的に得ることができる。
【0050】
以上のように構成された図面管理システムは、確認作業の対象設備の配置及び対象設備に存在する確認作業が必要な確認必要箇所を図として表す図面情報と、確認必要箇所の確認状態を表す確認情報と、をデータベースサーバに格納し、このデータベースサーバに格納された図面情報及び確認情報を参照するとともに、確認作業の結果として変化した確認情報の入力操作を受け付ける携帯端末を各作業員が携帯し、通信回線によりデータベースサーバと携帯端末とが通信可能に接続されている。そして、携帯端末は、確認情報の入力操作を受け付ける都度、入力された確認情報をデータベースサーバへと送信し、データベースサーバは、受信した携帯端末からの確認情報によって、自身に格納された確認情報を更新する。
【0051】
このため、複数の作業員が同じ時間帯にそれぞれ異なる作業場所から並行して、チェック作業に関連する1つの図面やこの図面に記入されたチェック情報を参照し、チェック情報を更新することが可能である。
【0052】
実施の形態2.
図4及び図5は、この発明の実施の形態2に係るもので、図4はデータベースに格納される内容及び各端末に表示される内容を説明する図、図5はデータベース及び各端末における情報更新の具体例を説明する図である。
【0053】
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、データベースサーバは、チェック情報として各チェック必要箇所についてチェック状態と合わせてチェック状態が最後に更新された変更時刻も記憶するようにしたものである。従って、各携帯端末からデータベースサーバへと送信されるチェック状態の更新情報にも、そのチェック状態の変更時刻が付加されている。そして、データベースサーバは、同一の線番号に関するチェック情報が複数の携帯端末から送信されてきた場合には、これらのチェック情報におけるチェック状態の変更時刻が最新のものを、データベースサーバに格納されているチェック情報に反映する。
【0054】
すなわち、データベースサーバ4に格納されているチェック情報は、図4に示すように、各線番号のそれぞれについてチェック状態(済/未)とチェック状態の最終変更時刻とが記憶される構成となっている。この図4の例においては、線番号L1及びL2は、第1の携帯端末2aからチェック「済」に更新されており、これらの変更時刻はそれぞれ1:00と1:01である。線番号L5及びL6は、第2の携帯端末2bからチェック「済」に更新されており、これらの変更時刻はそれぞれ1:22と1:23である。
【0055】
なお、線番号L3及びL4については、この図4だけからでは最後に更新されたのが第1の携帯端末2aからなのか第2の携帯端末2bからなのかは定かではないが、チェック「未」に更新された変更時刻はそれぞれ1:20と1:21であると、データベースサーバ4のチェック情報には記録されている。
【0056】
そして、時刻1:23以降においてデータベースサーバ4から第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bに送信される最新のチェック情報では、L1、L2、L5及びL6がチェック「済」の状態となり、他の携帯端末から更新されたチェック情報が共有されて、各携帯端末における表示に反映される。
【0057】
次に、図5を参照しながら具体例を挙げて、データベースサーバ4におけるチェック状態の変更時刻を用いたチェック情報の更新処理について説明する。まず、変更前の状態は、L1、L2、L3及びL4がチェック「済」であり、L5及びL6がチェック「未」である。また、L1〜L6の変更時刻は、それぞれ、1:00、1:01、1:02、1:03、1:04及び1:05であるとする。従って、変更前においては、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bの表示画面には、L1、L2、L3及びL4のチェックボックスにチェックが入っており、L5及びL6のチェックボックスにはチェックが入っていない状態が表示されている。
【0058】
この変更前の状態から、まず、作業員が第1の携帯端末2aにおいて、時刻1:10にL5のチェックボックスにチェックを入れ、時刻1:11にL6のチェックボックスにチェックを入れる操作を行ったとする。すると、この第1の携帯端末2aにおいて、L5がチェック「済」にされたという変更内容のチェック情報に1:10の変更時刻情報(タイムスタンプ)が付与されて、この変更時刻情報を含む変更内容のチェック情報がデータベースサーバ4へと送信される。また、L6についても同様に、L6がチェック「済」にされたという変更内容のチェック情報に1:11の変更時刻情報(タイムスタンプ)が第1の携帯端末2aにおいて付与された上で、データベースサーバ4へと送信される。
【0059】
次に、同じく第1の携帯端末2aにおいて、作業員が、時刻1:21にL5のチェックボックスのチェックを外し、時刻1:22にL6のチェックボックスのチェックを外す操作を行ったとする。すると、L5がチェック「未」にされたという変更内容のチェック情報に1:21の変更時刻情報が第1の携帯端末2aにおいて付与された上で、データベースサーバ4へと送信される。また、L6についても同様に、L6がチェック「未」にされたという変更内容のチェック情報に1:22の変更時刻情報が第1の携帯端末2aにおいて付与された上で、データベースサーバ4へと送信される。
【0060】
一方、第2の携帯端末2bにおいては、作業員が、時刻1:20及び時刻1:21にそれぞれL3及びL4のチェックボックスのチェックを外し、時刻1:22及び時刻1:23にそれぞれL5及びL6のチェックボックスにチェックを入れる操作を行ったとする。すると、L3及びL4がチェック「未」にされたという変更内容のチェック情報にそれぞれ1:20及び1:21の変更時刻情報が第2の携帯端末2bにおいて付与された上で、データベースサーバ4へと送信される。また、L5及びL6がチェック「済」にされたという変更内容のチェック情報にそれぞれ1:22及び1:23の変更時刻情報が第2の携帯端末2bにおいて付与された上で、データベースサーバ4へと送信される。
【0061】
これらの第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bから送信された変更時刻情報(タイムスタンプ)付きの更新されたチェック情報を受信したデータベースサーバ4は、受信したチェック情報に含まれる変更時刻情報を参照しながら、自身に格納されたチェック情報の更新処理を実施する。このチェック情報の更新処理は、原則として、データベースサーバ4においてデータを受信した順序でもって行われる。
【0062】
ただし、同一の線番号に関するチェック情報については、データベースサーバ4における受信順序よりも、チェック情報を含まれている変更時刻の時系列的な順序が優先される。すなわち、同一の線番号に関するチェック情報については、変更時刻情報が示す変更時刻がより新しい方のデータが最終的なチェック情報としてデータベースサーバ4に残るように、常に変更時刻が新しい情報で変更時刻が古い情報を上書きするようにして、チェック情報の更新が行われる。
【0063】
さらに詳しくは、ある線番号のチェック情報を第1の携帯端末2a又は第2の携帯端末2bから受け取ったデータベースサーバ4は、データベースサーバ4に格納されているチェック情報における当該線番号の変更時刻と受信したチェック情報の変更時刻とを比較して、受信したチェック情報の変更時刻の方が新しい場合には、当該線番号のチェック情報を受信したデータで上書き更新する。一方、受信したチェック情報の変更時刻の方が古い場合には、当該受信したチェック情報は破棄される。
【0064】
従って、この図5の例においては、例えば、第1の携帯端末2aから変更時刻1:10にL5がチェック「済」となったチェック情報がデータベースサーバ4に受信されると、データベースサーバ4は自身に格納されているL5の変更時刻1:04と受信したデータの変更時刻1:10とを比較する。そして、この場合には受信したデータの変更時刻の方が新しいものであるため受信したデータで上書きして、データベースサーバ4には、L5が変更時刻1:10にチェック「済」となったチェック情報が格納されることになる。
【0065】
また、例えば、仮に何らかの事情によって、第2の携帯端末2bから送信された変更時刻1:22にL5がチェック「済」となったチェック情報が先にデータベースサーバ4に受信されてデータベースサーバ4に格納されたチェック情報に反映された後に、第1の携帯端末2aから送信された変更時刻1:21にL5がチェック「未」となったチェック情報がデータベースサーバ4に送られてきた場合、データベースサーバ4は自身に格納されているL5の変更時刻1:22と受信したデータの変更時刻1:21とを比較する。そして、この場合には受信したデータの変更時刻の方が古いものであるため受信したデータを破棄して、データベースサーバ4に格納されている、L5が変更時刻1:22にチェック「済」となったチェック情報を保持することになる。
【0066】
以上のようにして、データベースサーバ4は、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bからのチェック情報を受信すると、変更時刻情報を確認し自身に格納されているチェック情報の変更時刻よりも新しいデータの更新内容を、格納されているチェック情報に反映していく。この図5の例では、最終的に、L1、L2、L5及びL6がチェック「済」、L3及びL4がチェック「未」であり、L1〜L6の変更時刻は、それぞれ、1:00、1:01、1:20、1:21、1:22及び1:23となる。
【0067】
なお、第1の携帯端末2a及び第2の携帯端末2bには、チェック情報の送信時にタイムスタンプである変更時刻情報を付与するために、時計が内蔵されている。そして、より正確なチェック情報更新処理を期すため、これらの時計について時計合わせを行っておくことが望ましい。この時計合わせの方法としては、各携帯端末にいわゆる電波時計機能を持たせて送信局から送信される標準電波に基づいて時計を合わせるようにしてもよいし、データベースサーバ4にNTP(Network Time Protocol)サーバ機能を持たせ、データベースサーバ4の有する時計を基準にして、各携帯端末の時計を合わせるようにしてもよい。
【0068】
なお、ここでは、説明の便宜上、変更時刻は時分の単位までしか表示していないが、秒単位やさらに細かい単位で記録するようにしてもよいことは、もちろんである。
他の構成や動作については実施の形態1と同様であり、その詳細説明は省略する。
【0069】
以上のように構成された図面管理システムは、実施の形態1の構成において、各携帯端末は、チェック情報の入力操作が行われた時刻を変更時刻情報として入力情報に付与した上でデータベースサーバへと送信し、データベースサーバは、受信した情報の変更時刻情報が、自身に格納されたチェック情報の変更時刻情報よりも新しいものである場合に、受信した情報によって、自身に格納されたチェック情報を更新するものである。
【0070】
このため、各携帯端末から送信された情報が錯綜し、各携帯端末での繰作順序とデータベースサーバでの受信順序とに不一致が発生してしまった場合であっても、データベースサーバは各携帯端末での操作時において付与されたタイムスタンプに従ってチェック情報の更新処理を行うため、同時に異なる複数の端末からのチェック情報の入力は許容しつつも、複数の端末から入力された情報の競合を避け、最終的な配線のチェック状態がデータベースサーバに格納されたチェック情報に反映されていることを保証することができる。
【符号の説明】
【0071】
1a 第1の作業場
1b 第2の作業場
2a 第1の携帯端末
2b 第2の携帯端末
3 アクセスポイント
4 データベースサーバ
5a 第1の図面
5b 第2の図面
6 完成図面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
確認作業の対象設備の配置及び前記対象設備に存在する前記確認作業が必要な確認必要箇所を図として表す図面情報と、前記確認必要箇所の確認状態を表す確認情報と、を格納するデータベースサーバと、
前記データベースサーバに格納された前記図面情報及び前記確認情報を参照するとともに、前記確認作業の結果として変化した前記確認情報の入力操作を受け付ける携帯端末と、
前記データベースサーバと前記携帯端末とを通信可能に接続する通信回線と、を備え、
前記携帯端末は、前記確認情報の入力操作を受け付ける都度、入力された前記確認情報を前記データベースサーバへと送信し、
前記データベースサーバは、受信した前記携帯端末からの前記確認情報によって、自身に格納された前記確認情報を更新することを特徴とする図面管理システム。
【請求項2】
前記データベースサーバは、予め定めた一定周期で自身に格納されている前記確認情報を前記携帯端末へと送信することを特徴とする請求項1に記載の図面管理システム。
【請求項3】
前記データベースサーバは、自身に格納されている前記確認情報の更新時に、前記確認情報を前記携帯端末へと送信することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の図面管理システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、操作される都度、確認情報送信要求を前記データベースサーバへと送信し、
前記データベースサーバは、前記携帯端末からの前記確認情報要求の受信時に、自身に格納されている前記確認情報を前記携帯端末へと送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の図面管理システム。
【請求項5】
前記データベースサーバは、前記携帯端末からの前記確認情報を受信した順序で反映させて、自身に格納された前記確認情報を更新することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の図面管理システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記入力操作が行われた時刻を変更時刻情報として入力された前記確認情報に付与した上で前記データベースサーバへと送信し、
前記データベースサーバは、受信した前記確認情報の前記変更時刻情報が、自身に格納された前記確認情報の前記変更時刻情報よりも新しいものである場合に、前記受信した前記確認情報によって、自身に格納された前記確認情報を更新することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の図面管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−12008(P2013−12008A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143786(P2011−143786)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】