説明

固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池モジュール

【課題】本発明は、固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池モジュールに関する。
【解決手段】本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池は、燃料極と、前記燃料極の外周を包むように形成され、前記燃料極を長さ方向に露出させる第1オープン部を有する電解質と、前記電解質の外周を包むように形成され、前記第1オープン部に対応する第2オープン部を有する空気極及び前記第1オープン部を覆うように形成された連結材からなる単位電池と、前記連結材に接するように形成され、前記燃料極の電流を集電する第1集電部材と、前記第1集電部材を覆うように形成された絶縁部材と、前記空気極に接するように形成され、前記空気極の電流を集電する第2集電部材と、前記第1集電部材、絶縁部材及び第2集電部材を前記単位電池と一体化して固定するための固定手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、燃料(水素、LNG、LPGなど)と空気(酸素)の化学エネルギーを電気化学的反応により電気及び熱に直接変換する装置である。既存の発電技術が燃料燃焼、蒸気発生、タービン駆動、発電機駆動などの過程を経ることと異なり、燃料電池は、燃料燃焼やタービン駆動の過程がないため、効率が高いだけでなく、環境問題を誘発しない新しい概念の発電技術である。
このような燃料電池は、SOとNOなどの大気汚染物質をほとんど排出せず、二酸化炭素の発生も少ないため、無公害発電が可能であり、低騷音、無振動などの長所を有している。
【0003】
燃料電池には、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell;PAFC)、アルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell;AFC)、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell;PEMFC)、直接メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell;DMFC)、固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell;SOFC)など様々な種類があり、このうち固体酸化物燃料電池(SOFC)は、高効率発電及び石炭ガス−燃料電池−ガスタービンなどの複合発電が可能であり、発電容量の多様性を有しているため、小型、大型発電所または分散型電源に適している。従って、固体酸化物燃料電池は、今後の水素経済社会への進入のために必須の発電技術である。
一方、固体酸化物燃料電池は、平板型、管型に大別することができる。
【0004】
従来技術による平板型の固体酸化物燃料電池は、韓国特許登録第0341402号に開示されており、管型のうち円筒型の固体酸化物燃料電池は、韓国特許登録第0344936号に開示されている。
従来技術による平板型の固体酸化物燃料電池は、製造コストが低いという長所を有しているが、単電池を積層する際に空気またはガスがもれないようにする高温のシール(seal)が必要であり、このようなシール(seal)は長期耐久性が安定しておらず熱衝撃によるクラック(crack)が発生するという問題がある。
【0005】
また、従来技術による管型の固体酸化物燃料電池は、平板型と異なり、シール(seal)を必要とせず、長期耐久性に優れ、熱衝撃に対して安定である反面、単電池を積層する場合、大きな体積を占めるため、体積当たりの出力密度が相対的に低いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の一側面は、熱衝撃に対して安定であるとともに高出力が可能な固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池モジュールを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の側面は、内部に位置した燃料極の集電及び外部に位置した空気極の集電を同時に外部で行うことができる固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池モジュールを提供することを目的とする
【0008】
本発明のまた他の側面は、単位電池間の直列及び並列連結が容易な固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池は、燃料極と、前記燃料極の外周を包むように形成され、前記燃料極を長さ方向に露出させる第1オープン部とを有する電解質と、前記電解質の外周を包むように形成され、前記第1オープン部に対応する第2オープン部を有する空気極及び前記第1オープン部を覆うように形成された連結材からなる単位電池と、前記連結材に接するように形成され、前記燃料極の電流を集電する第1集電部材と、前記第1集電部材を覆うように形成された絶縁部材と、前記空気極に接するように形成され、前記空気極の電流を集電する第2集電部材と、前記第1集電部材、絶縁部材及び第2集電部材を前記単位電池と一体化して固定するための固定手段と、を含む。
【0010】
ここで、前記絶縁部材は、セラミック(ceramic)からなることができる。
また、前記燃料極と連結材との間に形成されたバリア層(barrier layer)をさらに含むことができる。
ここで、前記バリア層(barrier layer)は、ステンレススチール(Stainless steel;SUS)からなることができる。
【0011】
また、前記第1集電部材及び第2集電部材は、金属ストリップ(strip)形態であってもよく、前記金属は、銀(Ag)であってもよい。
また、前記連結材と前記第1集電部材との間に形成されたメッシュ(mesh)状伝導性部材及び伝導性ペースト層をさらに含むことができる。
【0012】
また、前記空気極と第2集電部材との間に形成されたメッシュ(mesh)状伝導性部材及び伝導性ペースト層をさらに含むことができる。
また、前記固定手段は、ワイヤ(wire)であってもよく、前記ワイヤ(wire)は、銀(Ag)からなってもよい。
【0013】
また、本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池モジュールは、燃料極と、前記燃料極の外周を包むように形成され、前記燃料極を長さ方向に露出させる第1オープン部を有する電解質と、前記電解質の外周を包むように形成され、前記第1オープン部に対応する第2オープン部を有する空気極及び前記第1オープン部を覆うように形成された連結材からなる単位電池と、前記連結材に接するように形成され、前記燃料極の電流を集電する第1集電部材と、前記第1集電部材を覆うように形成された絶縁部材と、前記空気極に接するように形成され、前記空気極の電流を集電する第2集電部材と、前記第1集電部材、絶縁部材及び第2集電部材を前記単位電池と一体化して固定するための固定手段と、前記複数個の単位電池を連結するための接合部材と、を含む。
【0014】
ここで、前記接合部材は、前記複数個の単位電池のうち何れか一つの単位電池の第1集電部材及び第2集電部材と、他の単位電池の第2集電部材及び第1集電部材と、をそれぞれ連結することができる。
また、前記接合部材は、前記複数個の単位電池のうち何れか一つの単位電池の第1集電部材及び第2集電部材と、他の単位電池の第1集電部材及び第2集電部材と、をそれぞれ連結することができる。
【0015】
また、前記絶縁部材は、セラミック(ceramic)からなることができる。
また、前記燃料極と連結材との間に形成されたバリア層(barrier layer)をさらに含むことができる。
【0016】
ここで、前記バリア層(barrier layer)は、ステンレススチール(Stainless steel;SUS)からなることができる。
また、前記第1集電部材及び第2集電部材は、金属ストリップ(strip)形態であってもよく、前記金属は、銀(Ag)であってもよい。
また、前記固定手段は、ワイヤ(wire)であってもよく、前記ワイヤ(wire)は、銀(Ag)からなってもよい。
【0017】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に用いられた用語や単語は通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、燃料極の集電部材及び空気極の集電部材が両方とも外部に形成されているため、単位電池間の直列または並列連結を容易に具現できるという効果を有する。
また、本発明は、単位電池から空気極及び電解質を長さ方向に一部除去して燃料極の一部を長さ方向に露出し、露出された燃料極に連結材を形成することにより、燃料極の電流を外部で容易に集電できるという効果を有する。
また、本発明は、燃料極及び空気極の集電のための集電部材を単位電池の長さ方向に長く形成することにより、電流の集電効率が向上するという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。
【0020】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
[固体酸化物燃料電池]
図1は、本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池の単位電池の構造を示す斜視図であり、図2は、本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池の構造を示す斜視図であり、図3は、本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池のA−A´断面を示す断面図である。
【0021】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池200は、単位電池100と、第1集電部材150と、第2集電部材160と、固定手段180と、を含む。
【0022】
単位電池100は、電気エネルギーを生成する基本単位であって、燃料極110と、電解質120と、空気極130と、連結材140と、を含むことができる。単位電池100に含まれる各構成を説明すると次のとおりである。
燃料極110は、外周を包むように形成された電解質120及び空気極130を支持する機能を行う。
【0023】
従って、燃料極110は、支持力を確保するために電解質120及び空気極130より相対的に厚くてもよく、射出工程などにより形成されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0024】
また、燃料極110は、図1に図示したように、円筒型に形成され、マニホールド(不図示)から燃料である水素(H)の供給を受け、電極反応によりマイナス(−)電流を生成する。
【0025】
ここで、燃料極110は、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(Yttria Stabilized Zirconia;YSZ)を用いて形成され、酸化ニッケル(NiO)が水素(H)により金属ニッケルに還元されて電子伝導性を発揮し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)は酸化物としてイオン伝導性を発揮する。
【0026】
ここで、燃料極110を形成する酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の重量比は、例えば、50:50または40:60であってもよく、特にこれに限定されるものではない。
【0027】
電解質120は、空気極130から発生した酸素イオンを燃料極110に伝達する機能を行うものであって、燃料極110の外周を包むように形成されることができる。
ここで、電解質120は、プラズマスプレー法(plasma spray)、電気化学蒸着法、スパッタリング法(sputtering)、イオンビーム法、イオン注入法などの乾式法や、テープキャスティング法(tape casting)、スプレーコーティング法(spray coating)、ディップコーティング法(dip coating)、スクリーンプリンティング法(screen printing)、ドクターブレード法(doctor blade)などの湿式法でコーティングした後、1,300℃〜1,500℃で焼結して形成することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0028】
ここで、電解質120は、イットリア安定化ジルコニア(Yttria Stabilized Zirconia;YSZ)またはスカンジウム安定化ジルコニア(Scandium Stabilized Zirconia;ScSZ)、ドープランタンガレート酸化物(Doped Lanthanum gallate oxides;LSGM)などを用いて形成されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
一方、電解質120は、イオン伝導率が低く、抵抗分極による電圧降下の発生が少ないため、できるだけ薄く形成するのが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0029】
また、電解質120に気孔が生じると、燃料(水素)と空気(酸素)が直接反応するクロスオーバー(cross over)現象が発生し、効率が低下するため、欠陥が発生しないように気を付けなければならない。
【0030】
空気極130は、酸化雰囲気が組成された外部から空気(酸素)の供給を受けて、電極反応によりプラス(+)電流を生成するものであって、電解質120の外周を包むように形成されることができる。
【0031】
ここで、空気極130は、電子伝導性が高いランタンストロンチウムマンガナイト((La0.84Sr0.16)MnO)などを電解質120と類似した乾式法または湿式法でコーティングした後、1,200℃〜1,300℃で焼結して形成することができる。
【0032】
一方、空気極130は特にこれに制限されるものではなく、例えば、空気(酸素)がランタンストロンチウムマンガナイト(Lanthanum Strontium Manganite;LSM)、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(Lanthanum Strontium Cobalt Ferrite;LSCF)などの触媒作用により、酸素イオンに転換され、電解質120を介して燃料極110に伝達されることができる。
【0033】
図1及び図3に図示されたように、本実施例による単位電池100の電解質120には燃料極110を長さ方向に長く露出させる第1オープン部125が形成されることができ、空気極130には第1オープン部125に対応する第2オープン部135が形成されることができる。
ここで、第1オープン部125の幅及び長さは、第2オープン部135の幅及び長さより小さく形成されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0034】
本実施例による単位電池100は、前記第1オープン部125及び第2オープン部135により内部に配置された燃料極110を長さ方向に長く露出させる構造を有する。
前記のように露出された燃料極110は電解質120が除去された状態であるため、前記露出された燃料極110上に、燃料極110内部の水素(H)燃料が電解質120が除去された部分からもれないようにする機能を行うバリア層(barrier layer)115(図3参照)を形成することができる。
【0035】
ここで、バリア層(barrier layer)115にステンレススチール(Stainless steel;SUS)のように密度の高い物質が使用されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0036】
本実施例による露出された燃料極110上に形成されたバリア層(barrier layer)115上には、燃料極110から生成されたマイナス(−)電流を単位電池100の外部に伝達するための連結材140が形成されることができる。
【0037】
ここで、連結材140は、燃料極110から生成されたマイナス(−)電流を集電するための部材であるため、電気伝導性物質からなるべきであり、本実施例ではランタンストロンチウムコバルト酸化物(Lanthanum Strontium Cobalt oxides;LSC)、ドープランタンクロマイト(Doped Lanthanum chromite)などを使用しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0038】
連結材140は、前記バリア層(barrier layer)115を覆うように形成されることができる。
このように、本実施例による固体酸化物燃料電池200は、燃料極110を長さ方向に長く露出させ、露出された燃料極110を覆う連結材140を形成することにより、連結材140もまた、図1に図示したように、単位電池100に対して長さ方向に長く形成されることができ、これにより集電面積が広くなり、燃料極110から生成されたマイナス(−)電流の集電効率を向上させることができる。
【0039】
本実施例による固体酸化物燃料電池200は、連結材140を介して燃料極110から生成されたマイナス(−)電流を集電するために連結材140上に形成される第1集電部材150と、空気極130から生成されたプラス(+)電流を集電するために空気極130表面に形成される第2集電部材160と、を含むことができる。
【0040】
ここで、第1集電部材150及び第2集電部材160は、図2に図示したように、金属からなるストリップ(strip)形態、リボン(ribbon)形態またはワイヤ(wire)形態であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0041】
ここで、前記金属は、銀(Ag)であってもよいが、特にこれに限定されるものではなく、800℃の高温で耐酸化性を有し、且つ電気伝導度に優れた物質であれば何でも適用することができる。
【0042】
本実施例では、図2及び図3に図示されたように、前記第1集電部材150上に、第1集電部材150を覆うように形成された絶縁部材170をさらに含むことができる。
ここで、絶縁部材170としてはセラミック(ceramic)を用いることができるが、特にこれに限定されるものではなく、800℃の高温で変形及び焼失しない耐熱性を有する絶縁物質であれば何でも適用することができる。
【0043】
本実施例では、前記第1集電部材150と連結材140との間に、接触抵抗を減少させるとともに集電効率を向上させるための伝導性部材をさらに含むことができる。
例えば、前記伝導性部材は、メッシュ(mesh)状伝導性部材及び伝導性ペーストを含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0044】
即ち、図面に図示してはいないが、連結材140に伝導性ペーストを印刷し、前記伝導性ペースト上にメッシュ(mesh)状伝導性部材を接合した後、その上に第1集電部材150を接合することができる。
ここで、前記伝導性部材は金属からなることができ、前記金属は銀(Ag)が使用されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0045】
また、本実施例では、空気極130の表面を高温耐酸化性金属メッシュ(mesh)(不図示)で包んだ後、前記金属メッシュ(mesh)上に第2集電部材160を形成することができる。
【0046】
ここで、空気極130の表面と前記金属メッシュ(mesh)(不図示)との間の接触効率を向上させるために、空気極130の表面と金属メッシュ(mesh)(不図示)との間に伝導性物質、例えば、金属ペーストを塗布することができる。ここで、前記金属は銀(Ag)が使用されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0047】
本実施例による固体酸化物燃料電池200は、燃料極110に連結された連結材140と、第1集電部材150及び絶縁部材170、空気極130上に配置された第2集電部材160を単位電池100に一体化して固定するための固定手段180をさらに含むことができる。
【0048】
即ち、図2〜図3に図示されたように、単位電池100上に第1集電部材150及び第2集電部材160を配置し、前記第1集電部材150を絶縁部材170で覆った後、固定手段180でこれらを包んで単位電池100に固定する。
【0049】
ここで、固定手段180には伝導性を有する金属ワイヤ(wire)を用いることができ、前記金属としては銀(Ag)が使用されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0050】
ここで、固定手段180は、図2に図示したように、単位電池100及びその上に配置された第1集電部材150及び第2集電部材160を単位電池100の長さ方向に包むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0051】
本実施例による固体酸化物燃料電池200における単位電池100の上部、即ち、図4において単位電池100の上側に位置する第1集電部材150及び第2集電部材160は、後工程で他の固体酸化物燃料電池200と容易に連結されるように折り曲げられた形態であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0052】
また、図面上に図示してはいないが、図4に基づき、単位電池100の下側にも第1集電部材150及び第2集電部材160が長く突出して折り曲げられた形態に形成されることができる。
【0053】
[固体酸化物燃料電池モジュール]
図4は、本発明の一実施例により、固体酸化物燃料電池を直列に連結した固体酸化物燃料電池モジュールの構造を示す斜視図であり、図5は、図4に示した固体酸化物燃料電池モジュールを示す平面図であり、図6は、本発明の一実施例により固体酸化物燃料電池を並列に連結した固体酸化物燃料電池モジュールの構造を示す斜視図であり、図7は、図6に示した固体酸化物燃料電池モジュールを示す平面図である。
【0054】
本実施例では、前記固体酸化物燃料電池に対応する構成に対する説明は省略し、複数個の固体酸化物燃料電池及び該燃料電池の各構成に対して区別するために、最初の符号にA〜Dをさらに付記する。
また、前記構成と重複する構成に対する説明は本実施例では省略する。
【0055】
図4及び図5を参照すると、複数個の固体酸化物燃料電池200A、200B、200C、200Dを直列に連結した固体酸化物燃料電池モジュール400が開示されている。
それぞれの固体酸化物燃料電池200A、200B、200C、200Dに対する説明は前記固体酸化物燃料電池で詳細に説明したため、本実施例では省略する。
通常、直列連結は、プラス(+)電極とマイナス(−)電極、即ち、相違する電極どうしが連結された状態を意味する。
【0056】
従って、直列に連結された固体酸化物燃料電池モジュール400は、図5に図示されたように、第1の固体酸化物燃料電池200Aでマイナス(−)電流が集電された(燃料極110から生成された)第1集電部材150Aと、第2の固体酸化物燃料電池200Bでプラス(+)電流が集電された(空気極130から生成された)第2集電部材160Bとが第1接合部材300Aによって連結されることができる。
【0057】
同様に、第2の固体酸化物燃料電池200Bでマイナス(−)電流が集電された第1集電部材150Bと、第3の固体酸化物燃料電池200Cでプラス(+)電流が集電された第2集電部材160Cとが第2接合部材300Bによって連結されることができる。
【0058】
また、第3の固体酸化物燃料電池200Cでマイナス(−)電流が集電された第1集電部材150Cと、第4の固体酸化物燃料電池200Dでプラス(+)電流が集電された第2集電部材160Dとが第3接合部材300Cによって連結されることができる。
【0059】
このように連結することにより、第1の固体酸化物燃料電池200A、第2の固体酸化物燃料電池200B、第3の固体酸化物燃料電池200C及び第4の固体酸化物燃料電池200Dが直列に連結されることができる。
【0060】
また、直列に連結された第1〜第4の固体酸化物燃料電池200A、200B、200C、200Dのプラス(+)端子とマイナス(−)端子は、それぞれ、図5に図示されたように、第1の固体酸化物燃料電池200Aの第2集電部材160Aと、第4の固体酸化物燃料電池200Dの第1集電部材150Dと、であってもよい。
【0061】
ここで、第1接合部材300A、第2接合部材300B及び第3接合部材300Cには、耐酸化性及び電気伝導性に優れた物質が使用されることができるが、特にこれに限定されるものではなく、非伝導性物質もまた使用することができる。
【0062】
また、図6〜図7を参照すると、複数個の固体酸化物燃料電池200A、200B、200C、200Dを並列に連結した固体酸化物燃料電池モジュール600が開示されている。
【0063】
通常、並列連結は、プラス(+)電極とプラス(+)電極、マイナス(−)電極とマイナス(−)電極、即ち、同一の電極どうしが連結された状態を意味する。
従って、並列に連結された固体酸化物燃料電池モジュール600は、図7に図示されたように、第1の固体酸化物燃料電池200Aでマイナス(−)電流が集電された(燃料極110から生成された)第1集電部材150Aと、第2の固体酸化物燃料電池200Bでマイナス(−)電流が集電された(燃料極110から生成された)第1集電部材150Bとが第1接合部材500Aによって連結されることができる。
【0064】
同様に、第2の固体酸化物燃料電池200Bでプラス(+)電流が集電された第2集電部材160Bと、第3の固体酸化物燃料電池200Cでプラス(+)電流が集電された第2集電部材160Cとが第2接合部材500Bによって連結されることができる。
【0065】
また、第3の固体酸化物燃料電池200Cでマイナス(−)電流が集電された第1集電部材150Cと、第4の固体酸化物燃料電池200Dでマイナス(−)電流が集電された第1集電部材150Dとが第3接合部材500Cによって連結されることができる。
【0066】
また、第4の固体酸化物燃料電池200Dでプラス(+)電流が集電された第2集電部材160Dと、第1の固体酸化物燃料電池200Aでプラス(+)電流が集電された第2集電部材160Aとが第4接合部材500Dによって連結されることができる。
【0067】
また、図7を参照すると、マイナス(−)電流が集電される第1集電部材を連結した第1接合部材500A及び第3接合部材500Cを連結する第1連結部材150Eと、プラス(+)電流が集電される第2集電部材を連結した第2接合部材500B及び第4接合部材500Dを連結する第2連結部材160Eと、をさらに含むことができる。
ここで、第1連結部材150Eと第2連結部材160Eは、互いに接しないように形成されなければならない。
【0068】
このように連結することにより、第1の固体酸化物燃料電池200A、第2の固体酸化物燃料電池200B、第3の固体酸化物燃料電池200C及び第4の固体酸化物燃料電池200Dが並列に連結されることができ、並列に連結された第1〜第4の固体酸化物燃料電池200A、200B、200C、200Dの前記マイナス(−)端子及びプラス(+)端子は、それぞれ第1連結部材150E及び第2連結部材160Eであってもよい。
【0069】
ここで、第1接合部材500A、第2接合部材500B、第3接合部材500C及び第4接合部材500Dは、耐酸化性及び電気伝導性に優れた物質が使用されることができるが、特にこれに限定されず、非伝導性物質もまた使用することができる。
【0070】
前記のように、本実施例による固体酸化物燃料電池モジュール400、600は、燃料極110から生成されたマイナス(−)電流を集電する第1集電部材150、150A、150B、150C、150Dと、空気極130から生成されたプラス(+)電流を集電する第2集電部材160、160A、160B、160C、160Dとが両方とも燃料電池の外部に露出されているため、接合部材を用いて容易に直列または並列に連結することができる。
【0071】
また、本実施例では、4個の固体酸化物燃料電池を用いたモジュールを実施例として説明したが、これは単に実施例に過ぎず、より少数またはより多数の固体酸化物燃料電池を前記方法で連結してモジュールを製造できることは当業者であれば周知の事項である。
【0072】
このように、本実施例による固体酸化物燃料電池モジュールは、各燃料電池で燃料極の電流を集電する第1集電部材と、空気極の電流を集電する第2集電部材とを両方とも外部に露出して形成することにより、露出された第1集電部材及び第2集電部材を外部で容易に連結することができる。
【0073】
以上、本発明を好ましい実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池モジュールはこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池の単位電池の構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池の構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例による固体酸化物燃料電池のA−A´断面を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例より固体酸化物燃料電池を直列に連結した固体酸化物燃料電池モジュールの構造を示す斜視図である。
【図5】図4に示した固体酸化物燃料電池モジュールを示す平面図である。
【図6】本発明の一実施例より固体酸化物燃料電池を並列に連結した固体酸化物燃料電池モジュールの構造を示す斜視図である。
【図7】図6に示した固体酸化物燃料電池モジュールを示す平面図である。
【符号の説明】
【0075】
100 単位電池
110 燃料極
115 バリア層(barrier layer)
120 電解質
125 第1オープン部
130 空気極
135 第2オープン部
140 連結材
150、150A、150B、150C、150D 第1集電部材
160、160A、160B、160C、160D 第2集電部材
150E 第1連結部材
160E 第2連結部材
170 絶縁部材
180 固定手段
200 固体酸化物燃料電池
200A 第1の固体酸化物燃料電池
200B 第2の固体酸化物燃料電池
200C 第3の固体酸化物燃料電池
200D 第4の固体酸化物燃料電池
300A 第1接合部材
300B 第2接合部材
300C 第3接合部材
400 固体酸化物燃料電池モジュール
500A 第1接合部材
500B 第2接合部材
500C 第3接合部材
500D 第4接合部材
600 固体酸化物燃料電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極と、前記燃料極の外周を包むように形成され、前記燃料極を長さ方向に露出させる第1オープン部を有する電解質と、前記電解質の外周を包むように形成され、前記第1オープン部に対応する第2オープン部を有する空気極及び前記第1オープン部を覆うように形成された連結材からなる単位電池と、
前記連結材に接するように形成され、前記燃料極の電流を集電する第1集電部材と、
前記第1集電部材を覆うように形成された絶縁部材と、
前記空気極に接するように形成され、前記空気極の電流を集電する第2集電部材と、
前記第1集電部材、絶縁部材及び第2集電部材を前記単位電池と一体化して固定するための固定手段と、
を含む固体酸化物燃料電池。
【請求項2】
前記絶縁部材はセラミック(ceramic)からなる請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項3】
前記燃料極と連結材との間に形成されたバリア層(barrier layer)をさらに含む請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項4】
前記バリア層(barrier layer)は、ステンレススチール(Stainless steel;SUS)からなる請求項3に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項5】
前記第1集電部材及び第2集電部材は、金属ストリップ(strip)形態である請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項6】
前記金属は銀(Ag)である請求項5に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項7】
前記連結材と前記第1集電部材との間に形成されたメッシュ(mesh)状伝導性部材及び伝導性ペースト層をさらに含む請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項8】
前記空気極と第2集電部材との間に形成されたメッシュ(mesh)状伝導性部材及び伝導性ペースト層をさらに含む請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項9】
前記固定手段はワイヤ(wire)である請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項10】
前記ワイヤ(wire)は銀(Ag)からなる請求項9に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項11】
それぞれ燃料極と、前記燃料極の外周を包むように形成され、前記燃料極を長さ方向に露出させる第1オープン部を有する電解質と、前記電解質の外周を包むように形成され、前記第1オープン部に対応する第2オープン部を有する空気極及び前記第1オープン部を覆うように形成された連結材からなる複数個の単位電池と、
前記連結材に接するように形成され、前記燃料極の電流を集電する第1集電部材と、
前記第1集電部材を覆うように形成された絶縁部材と、
前記空気極に接するように形成され、前記空気極の電流を集電する第2集電部材と、
前記第1集電部材、絶縁部材及び第2集電部材を前記単位電池と一体化して固定するための固定手段と、
前記複数個の単位電池を連結するための接合部材と、
を含む固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項12】
前記接合部材は、前記複数個の単位電池のうち何れか一つの単位電池の第1集電部材及び第2集電部材と、他の単位電池の第2集電部材及び第1集電部材と、をそれぞれ連結する請求項11に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項13】
前記接合部材は、前記複数個の単位電池のうち何れか一つの単位電池の第1集電部材及び第2集電部材と、他の単位電池の第1集電部材及び第2集電部材と、をそれぞれ連結する請求項11に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項14】
前記絶縁部材はセラミック(ceramic)からなる請求項11に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項15】
前記燃料極と連結材との間に形成されたバリア層(barrier layer)をさらに含む請求項11に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項16】
前記バリア層(barrier layer)はステンレススチール(Stainless steel;SUS)からなる請求項15に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項17】
前記第1集電部材及び第2集電部材は金属ストリップ(strip)形態である請求項11に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項18】
前記金属は銀(Ag)である請求項17に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項19】
前記固定手段はワイヤ(wire)である請求項11に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。
【請求項20】
前記ワイヤ(wire)は銀(Ag)からなる請求項19に記載の固体酸化物燃料電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−73932(P2013−73932A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285267(P2011−285267)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】