説明

固体酸触媒、その製造方法及びゴム防老剤RDの合成方法

【課題】強酸性陽イオン交換樹脂と芳香族スルホン酸系物質を複合して形成される複合固体酸触媒を提供する。
【解決手段】該触媒は強酸触媒反応に適用する。また、本発明は、該複合固体酸触媒を利用してゴム防老剤RDを工業的に合成する方法に係り、該触媒を利用してゴム防老剤を合成すると、工程が簡単で、製品の化学的収率が高く、廃棄物が出ないメリットがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒に関し、具体的には、固体酸触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム防老剤RD(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンのオリゴマーで、二、三、四量体の混合物である)はケトアミン類の防老剤であり、カナリア色から琥珀色までの粉末又はシートであり、国内外での需要量が最も多いゴム防老剤製品中の1つである。
【0003】
防老剤RDは、アニリンとアセトンとを原料に、酸を触媒として、130〜140℃の温度で、縮合と重合反応により合成されたものである。工程形態によって、一段法と二段法とに分けられる。一段法とは、単体の製造と単体の重合反応とを同一の工程にて行った後、反応混合物から余分の反応物を分離し出して製品を得る方法を言う。二段法とは、まず、縮合して単体を得た後、余分の反応物を除去し、その後、酸性条件下で、単体の重合反応を行う方法を言う。二段法は、工程が長く、消耗が大きいが、得られる製品における有効物の含有量が高く、一段法は、工程が簡単で、消耗が小さいが、有効物の含有量が低い。
【0004】
防老剤RDの酸触媒は、プロトン酸触媒とルイス酸触媒との2種類に分けられ、理想的な反応効果を実現するように、単体の縮合と重合の異なる段階において異なる触媒を選択する必要がある(非特許文献1を参照)。該文献に記載のプロトン酸触媒とルイス酸触媒は、回収して利用することが極めて困難である。例えば、既存のRDの製造方法は、通常、塩酸を液体触媒とし(特許文献1)、後処理において、水酸化ナトリウムを利用して塩酸を消耗するため、回収して利用することができない。また、RD製造によく用いられる触媒である塩酸は、アニリンの転化率が低く、製品の品質が悪く、廃棄物の汚染が深刻であり、設備に対する要求が高く、生産周期が長い問題点がある。
【0005】
特許文献2は、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの製造方法を開示しており、該方法によると、大孔の強酸性スルホン酸型のイオン交換樹脂を固体触媒として利用し、アニリンとアセトンの縮合反応を行う。しかし、大孔の強酸性スルホン酸型のイオン交換樹脂の作業条件は最良形態ではない。具体的には、反応温度が高く、反応時間が48時間と長く、さらには、反応方式がバッチ式であるため、生産効率が低い。そして、非特許文献2に、強酸性イオン交換樹脂を利用すると、アニリンの高転化率を実現できることが開示された。このような触媒を利用すると、触媒の分離及び歩留まりの向上に有利であって、環境保護の要求を満たす。しかし、強酸性陽イオン交換樹脂は、有効酸の含有量が低く、耐熱性に欠け、反応時間が約16時間以上と長く、破れやすいので回収に不便であって、消耗が大きく、工業化生産に不利である。
【0006】
特許文献3に、p−トルエンスルホン酸を触媒としてアニリンとアセトンの縮合工程によって、防老剤RDを製造する方法が開示された。該方法は、反応活性に優れているが、触媒の使用量が多く、回収しにくく、反応の収率が低く、コストが高く、単体の生産を制御しにくく、製品の成分が複雑であり、環境に対する汚染が深刻である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58−88363号公報
【特許文献2】米国特許第4515570号明細書
【特許文献3】特開昭55−40661号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】防老剤RDの合成技術分析、王効書、陳志明著、ダイヤ産業、第25巻、2005年12期、第711〜715頁
【非特許文献2】「アニリンとアセトンの縮合反応の触媒スクリーニング」、銭清華、朱建良著、化工時刊、第17巻、2003年第8期、第21〜24頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、既存技術における固体酸触媒の活性が低い問題を解決できる複合固体酸触媒を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、操作の便宜性及び転化率を向上させた防老剤RDの合成方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による固体酸触媒は、強酸性陽イオン交換樹脂と芳香族スルホン酸系物質を複合して形成されたものである。強酸性陽イオン交換樹脂は、スチレン及び/又はアクリル酸(エステル)を基に、ジビニルベンゼンの架橋結合によって形成され、スルホン酸基の酸性基を有することが好ましく、732型、734型、DH型、D001型、D002型、D061型、D072型、JK008型強酸性陽イオン交換樹脂又はその組成物から選択されることが更に好ましい。
【0012】
本発明において、芳香族スルホン酸系物質は、ベンゼンスルホン酸、モノアルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルベンゼンスルホン酸、マルチアルキルベンゼンスルホン酸;ジハロゲノ又はマルチハロゲノベンゼンスルホン酸;ベンゼン環が選択的に置換されたベンゼンジスルホン酸又はトリスルホン酸を含むが、これに限らない。ここで、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、p−フルオロベンゼンスルホン酸、o−フルオロベンゼンスルホン酸、m−フルオロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、o−クロロベンゼンスルホン酸、m−クロロベンゼンスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸及びその混合物が好ましい。
【0013】
本発明の好適の一実施形態において、固体酸触媒はD002強酸性陽イオン交換樹脂とp−トルエンスルホン酸との複合物である。D002樹脂とp−トルエンスルホン酸との重量比は1:0.001〜0.5であることが可能であり、1:0.01〜0.2であることが好ましい。
【0014】
本発明の第2方面によると、(1)強酸性陽イオン交換樹脂、芳香族スルホン酸系物質を希塩酸溶液の中で攪拌する工程と;(2)得られた混合物を一定時間放置する工程と;(3)固体物質を分離して乾燥させる工程と、を含む固体酸触媒の製造方法を提供する。上記塩酸水溶液の濃度は0.1〜7wt%であるが、1〜5wt%であることが好ましい。
【0015】
本発明の第3方面によると、上記固体酸触媒を利用してゴム防老剤RDを製造する方法を提供し、具体的には、アニリン又はその誘導体を、反応床を有する反応塔中に頂部から連続して供給し;気化されたアセトン又はその誘導体を該反応塔の底部から供給し、アニリン又はその誘導体と該反応床において縮合反応を行わせ;余分のアセトン又はその誘導体と反応によって生成される水とを塔頂から蒸留によって回収し、縮合又は重合によって生成された原料液が塔底の受取り装置に流れ込まれる工程を含む。
【0016】
該方法の一具体的な実施形態において、利用する原料はアニリンとアセトンであって、反応塔においてアニリンとアセトンの縮合反応と防老剤RD単体の重合反応とが同時に行われる。
【0017】
該具体的な実施形態において、反応床の温度は100〜135℃に維持され、原料は塔内に15〜20時間放置される。
【0018】
他の実施形態において、反応塔にて縮合反応のみを行って、防老剤単体を生成する。ここで、反応床の温度は100〜135℃であり、アニリンとアセトンは常圧下で塔内に2〜7時間放置される。該反応塔以外で重合反応を行って、防老剤RDを得る。アニリンとアセトンとの重量比が1:5〜7であることが好ましい。
【0019】
この場合、縮合して得た単体を縮合溶液から蒸留して得た後、得られた高純度の単体を二量体又は多量体に重合させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の複合固体酸触媒の酸触媒活性は明らかに向上された。防老剤RDの合成の際の触媒として利用される場合、RD単体の選択性を向上し、副産物を減少すると共に、固体酸触媒のリサイクルを実現し、廃棄物が出ないようにすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例における反応装置を示す図である。
【図2】本発明によるゴム防老剤の製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の固体酸触媒は、強酸性陽イオン交換樹脂と芳香族スルホン酸系物質を複合して形成されるものである。ここで、芳香族スルホン酸系物質は、強極性の物質で、多孔網状構造を有する強酸性陽イオン交換樹脂に容易に吸着され、芳香族のスルホン酸系物質が該網状構造から析出されにくくなる。
【0023】
本発明に用いられる強酸性陽イオン交換樹脂のマトリックスは、スチレン又はアクリル酸(エステル)の重合によって形成されることが可能であり、通常、ジビニルベンゼンの架橋結合によって立体的な網状構造をなす。また、他の有機単体から重合して形成されることもできる。例えば、フェノール系(phenol formaldehydes)(fp)、エボキシ系(epa)、ビニルビリジン系(vp)、尿素樹脂(urea−formaldehydes)(ua)等がある。通常、樹脂中の強酸性基はスルホン酸基である。スルホン酸基以外、樹脂マトリックスに他の酸性基、例えば、−COOHをつるすことができる。強酸性陽イオン交換樹脂は、732型、734型、DH型、D001型、D002型、D061型、D072型、JK008型等又はその組成物から選択することが好ましく、スチレン−ジビニルベンゼン系強酸性陽イオン交換樹脂が更に好ましい。D002系強酸性陽イオン交換樹脂の方がもっとも好ましい。
【0024】
上記の芳香族スルホン酸系物質は、通常、1つのベンゼン環を有し、且つ該ベンゼン環は1つ又は2つのスルホン酸基を有し、ここで、該ベンゼン環は選択的に置換されることができる。利用可能なのは、ベンゼンスルホン酸と、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸などのモノアルキルベンゼンスルホン酸と、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、3,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,6−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,3−ジメチルベンゼンスルホン酸等のジメチルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン酸等のジアルキルベンゼンスルホン酸及びマルチアルキルベンゼンスルホン酸と、p−(o−,m−)フルオロベンゼンスルホン酸、p−(o−,m−)クロロベンゼンスルホン酸等のジハロゲノ又はマルチハロゲノベンゼンスルホン酸と、p−(o−,m−)ベンゼンジスルホン酸等の対応するジスルホン酸又はマルチスルホン酸系物質、又はその組成物があるが、これらに限らない。p−(o−,m−)トルエンスルホン酸、p−フルオロ(クロロ)ベンゼンスルホン酸、p−(o−,m−)ベンゼンジスルホン酸、又はその混合物を利用することが好ましい。p−(o−,m−)トルエンスルホン酸又はその混合物を利用することが更に好ましく、p−トルエンスルホン酸が最も好ましい。
【0025】
触媒の用途によって、イオン交換樹脂に導入される芳香族スルホン酸系物質の量を設計することができる。通常、導入される芳香族スルホン酸系物質は、交換樹脂重量の0.001〜0.5倍を占め、0.4倍を超えないことが好ましく、0.3倍を超えないことが更に好ましく、0.01〜0.2倍であることが最も好ましい。本発明による具体的な一実施形態において、複合固体酸触媒は、D002系強酸性陽イオン交換樹脂とp−トルエンスルホン酸の複合物であり、通常、重量比は、D002:p−トルエンスルホン酸=1:0.001〜0.5である。重量比が、D002:p−トルエンスルホン酸=1:0.001〜0.3であることが好ましい。重量比がD002:p−トルエンスルホン酸=1:0.01〜0.2であることがもっとも好ましい。
【0026】
本発明による固体酸触媒を利用して酸触媒反応を行って、防老剤RDの単体である2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンを合成する場合、触媒と反応混合物との分離に有利であるが、これは該触媒が反応混合物に殆ど溶解しないため、これにより、複雑な触媒の回収プロセスを回避でき、廃棄物の排出も回避できる。同時に、該触媒は、長時間において高い触媒活性を有する。
【0027】
上記の触媒を製造するため、強酸性陽イオン交換樹脂を芳香族スルホン酸系の物質の水溶液に投入して適宜の時間攪拌する。また、該水溶液の中に適量の塩酸を投入することが好ましいが、水溶液の塩酸含有量は0.01〜10wt%であることが可能であり、0.1〜7wt%であることが好ましく、1〜5wt%であることが更に好ましい。常温で常圧下で、約30分攪拌した後、2時間放置し、1〜2回繰り返してから、ろ過、干して乾燥させ又はオーブンで2〜4時間乾燥させる。
【0028】
応用に当たっては場合によって、上記触媒を長期間利用した後、再活性化する必要がある。この時、上記触媒を希塩酸の中で適宜の時間攪拌すればよい。
【0029】
本発明の触媒は、バッチ釜式触媒反応に適用できれば、連続釜式反応(固定床又は流動床反応とも呼ばれる)にも適用できる。後者の方において、触媒は気体液体反応相に充分に浸漬され、触媒中の複合された芳香族スルホン酸系物質はマトリックスから析出されず、これにより、触媒の寿命は大幅に延長され、且つ、複雑な触媒の分離、回収、再利用のための計量などの工程を省略することができ、連続した生産を実現し、生産能力を向上すると共に、エネルギー消耗を低下し、コストを低下することができるため、後者の方が好ましい。
【0030】
バッチ式反応を行う場合、アニリンと触媒とを一回に反応釜に投入し、アセトンは連続滴下する方法によって供給する。アニリンと固体酸触媒の重量比は、アニリン:複合固体酸触媒=1:0.01〜0.5である。アニリン:複合固体酸触媒=1:0.01〜0.25であることが好ましい。アニリン:複合固体酸触媒=1:0.15〜0.2であることが最も好ましい。触媒の用量が少なすぎると、活性が不充分となり、アニリンのワンパス転化率が低く、産業化する価値に欠けることになり、触媒の量が多すぎると、触媒を浪費すると共に、バッチ式の生産にも不利である。
【0031】
バッチ工程において、通常、アニリンとアセトンの投入重量比は、アニリン:アセトン=1:1.25〜10である。アニリン:アセトン=1:3〜7であることが好ましく、アニリン:アセトン=1:5〜7であるが最も好ましい。アセトンが少なすぎると、反応が行われる際に生成された水を適時に除去することができず、反応の収率を低下し、副反応が増える。一方、アセトンが多すぎると、アセトンの回収コストを向上させ、原料の浪費をもたらす。原料を投入して反応させる時間は4〜12時間であり、4〜6時間であることが最も好ましく、反応圧は常圧で、反応温度は80〜150℃であり、120〜140℃であることが好ましく、130〜135℃であることが最も好ましい。アセトンと反応中に生成された水は共に蒸留し出され、蒸留塔を介して直接分離して回収し、アセトンは原料貯蓄タンクに戻される。
【0032】
連続塔式反応(固定床又は流動床の反応とも呼ばれる)を行う場合、複合固体酸触媒を塔中に一回に投入した後、アニリンは塔頂から連続して供給し、アセトンは気化された後、塔底から気体相になって供給され、塔内で連続反応が行われる。
【0033】
図1は、連続塔式の一実施例に係る反応装置を示す図である。図1に示すように、該反応装置は、反応原料液受取槽1と、アセトン気化後供給口2と、触媒収容の反応塔3と、アニリン供給口4と、反応後のアセトンと水蒸気の排出口5と、を備える。
【0034】
連続反応形式は、一段法と二段法とに分けることができる。一段法とは、反応条件を制御することによって、縮合反応を行うと共に重合反応も行わせ、反応混合物が他の特定の処理を経ないまま、直接蒸留して製品を得る方法を言う。二段法において、縮合後の混合物に処理を施し、高純度の単体を得た後、単体を重合させる。
【0035】
一段法において、複合固体酸触媒は塔中に一回に投入され、アニリンは塔頂から連続して供給され、アセトンは気化された後、塔底から気体相になって供給され、塔中で連続した反応が行われ、反応圧は常圧で、塔中の反応床の温度は80〜150℃であるが、100〜135℃であることが好ましく、120〜130℃であることが最も好ましい。原料の塔内での放置時間を調節することによって、縮合と重合を一回に行う目的を実現するが、通常は8〜25時間であり、15〜20時間であることが好ましく、16〜18時間であることが最も好ましい。同時に、アセトンの投入量を制御するが、通常、アニリンとアセトンとの重量比は1:2〜5であり、1:2〜3であることが好ましく、1:2〜2.5であることが最も好ましい。過量となるアセトンと反応中に生成される水は反応塔の塔頂に接続された蒸留塔を介して回収され、反応によって生成される防老剤RDの原料液(liquid mixture)は塔底の受取り槽に連続して流れ込まれ、その後、直接、−0.098MPaの真空で反応していないアニリンを回収するが、蒸留温度は、220〜250℃に、最も好ましくは220〜230℃に制御して、反応していないアニリンと単体とを回収する。釜中の原料を冷却し粒子化して防老剤RD製品を得る。得られた防老剤RD製品において、二量体の含有量は25〜35%であり、二、三、四量体の含有量は50〜60%である。
【0036】
二段法において、縮合して得たRD単体を含有する原料液に、直接、次の重合反応を行わせる。図2は、このような実施形態のフローチャートを示す。具体的には、アニリンとアセトンを1:2〜10、好ましくは1:3〜7、更に好ましくは1:5〜7の重量比でそれぞれ供給口6、7を介し、常圧の反応塔8に投入し、塔内で0.5〜10時間、好ましくは1〜8時間、最も好ましくは2〜6時間放置し、塔内の反応床の温度は80〜150℃、好ましくは100〜135℃、更に好ましくは120〜130℃に設定し、アニリンとアセトンが上記固体酸触媒が収容された反応床において反応するようにする。余分のアセトンと反応中に生成された水は塔頂に接続された蒸留塔10を介して連続して回収される。得られた縮合液(その中、防老剤RD単体と、アニリンと、少量のRD二量体と三量体等を含有)は塔底の受取り槽9に連続して流れ込まれ、第一蒸留釜11で減圧によって余分のアニリン14を回収し、釜内の原料は重合釜12の中に移送され、酸度を調節した後、常圧下で重合反応を行い、重合反応の温度は70〜130℃、好ましくは80〜110℃、最も好ましくは95〜105℃であり、反応時間は4〜10時間、好ましくは4〜8時間、最も好ましくは4〜6時間である。
【0037】
後処理において、混合物における酸性物質、例えば、導入した塩酸を除去する必要があるとともに、第二蒸留釜13で反応していないアニリン14を回収する必要もある。酸性物質を除去するために、少量のアルカリ性溶液を利用して酸を中和することができる。中和する際、有機溶剤を導入することによって、単体又はポリマーの水溶液における溶解量を低減することが好ましい。具体的の一実施形態において、トルエンを利用して反応後の原料液を希釈した後、希釈したアルカリ性溶液を添加して中和し、水分層を除去し、常圧下で油層からトルエンを回収し、−0.098MPa真空、220〜250℃、最も好ましくは220〜230℃で蒸留して完全に重合していない単体を回収する。釜中の原料を冷却し粒子化して防老剤RD製品15を得る。二量体の含有量は50〜60%であり、二、三、四量体の含有量は70〜80%である。
【0038】
二段法である他の実施形態によると、縮合して得られた単体を混合物から蒸留して得た後、高純度の単体を二量体又は多量体に重合させる。具体的には、縮合反応後に、塔底の受取り槽に流れ込んだ縮合液を減圧蒸留することによって、反応していないアニリンを回収した後、継続して、2,2,4−トリエステル−1,2−ジヒドロキノリン単体16を回収するが、その単体の含有量を≧85%、好ましくは≧90%、最も好ましくは≧94%に制御し、その後、回収した単体を直接塩酸中に入れて原料液の酸度を調節した後、常圧下で重合反応を行わせる。このようにして得られた製品品質は更に向上され、二量体の含有量は60〜70%であり、二、三、四量体の含有量は80〜90%である。図2に示すように、回収された単体16は重合釜12に運ばれ、重合反応を行う。
【0039】
このように、本発明の製造方法において、二段法によると、二量体の含有量が向上され、二、三、四量体の総含有量も一段法より向上されるので、二段法の方が好ましい。
【0040】
上記の複合固体酸触媒を利用した防老剤RDの製造工程によると、アニリンを基準に、縮合化学転化率は75%以上に達し、単体純度は75〜94%以上に達し、RD製品における二量体の含有量は50〜70%に、二、三、四量体の含有量は70〜85%に達している。
【0041】
既存の合成方法に比べ、本発明による触媒を利用すると、工程が簡単で、反応条件が穏やかで、製品の化学的収率が高く、防老剤RDにおける二量体の含有量が高く、防老効果に優れ、廃棄物が無く、コストが低く、連続化が可能であり、グリーン工程の要求に符合し、産業化生産に適合する等の効果における少なくとも1つを生じ得る。
【実施例】
【0042】
実施例1
100gのD002強酸性陽イオン交換樹脂を、ミキサー、温度計、排気システム(排気ガスを冷却、吸収するシステム)が接続された500mlの三口のフラスコに投入し、7.5gのp−トルエンスルホン酸と、250gの5%の塩酸を添加して、常温常圧下で30分攪拌した後、2時間静止し、1〜2回繰り返した後、ろ過、干して乾燥又はオーブンで2〜4時間乾燥させ、冷却して置く。
【0043】
実施例2(バッチ式反応)
250gのアニリンと50gの実施例1による触媒を一回に、ミキサー、温度計、原料排出管路(1つの蒸留塔に接続され、アセトンと反応中に生成される水を蒸留塔に流れ込ませる)が接続された1000mlの四口のフラスコに投入し、1750gのアセトンを計量ポンプを利用して連続して供給し、原料供給及び反応時間は8時間で、反応圧は常圧であって、反応温度は135〜140℃であり、反応中に生成される水と余分のアセトンとは蒸留塔を介して同時に回収され、縮合反応されたアニリンのワンパス転化率は78%で、防老剤RDの縮合原料液から、−0.098MPaの真空下でアニリンを回収した後、直接、17.5gの塩酸(30%)を添加して原料液の酸度を調節し、常圧下で重合反応を行うが、反応温度は95〜100℃であり、反応時間は6時間であって、その後、50gのトルエンを添加して原料液を希釈した後、30%のアルカリ性溶液を添加して中和し、静止させて水分層を除去し、油層から常圧下でトルエンを回収し、−0.098MPaと220〜230℃で蒸留することによって完全に重合していない単体を回収して再利用し、単体のワンパス重合転化率は70%に達し、釜中の原料を冷却し粒子化し防老剤RD製品を得る。135gの防老剤RD製品が得られ、そのワンパス収率は54%で、アニリンと単体を縮合及び重合反応に利用した後の製品RDの有効収率は98%に達し、分析の結果、防老剤RD中の二量体の含有量は52%であり、二、三、四量体の含有量は74%に達することが分かった。
【0044】
実施例3(連続塔式の二段法)
実施例1にて得られた固体酸触媒を利用し、連続塔式の反応形式に従って反応を行った。50gの複合固体酸触媒を塔中に一回に投入し、アニリンとアセトンとの重量比を1:5〜7に制御した。アニリンは塔頂から連続して供給し、アセトンは気化された後、塔底から気体相になって供給され、塔内において連続して反応され、反応圧は常圧で、反応温度は120〜130℃である。原料の塔中での放置時間を4時間に調整し、反応塔頂に接続された蒸留塔を介して余分のアセトンを回収すると共に、反応中に生成された水を分離する。反応によって生成された防老剤RDの原料液は塔底の受取り槽に連続して流れ込まれる。図2に本実施例によるフローチャートを示す。分析の結果、アニリンの転化率は82%に達することが分かった。175gの防老剤RDの縮合原料液から、−0.098MPaの真空下でアニリンを回収した後、直接、17.5gの塩酸(30%)を添加して原料液の酸度を調整し、常圧下で、重合反応を行うが、反応温度は95〜100℃で、反応時間は6時間であって、その後、50gのトルエンを添加して原料液を希釈し、30%のアルカリ性溶液を添加し中和した後、静止させて水分層を除去し、油層から、常圧下でトルエンを回収し、−0.098MPaの真空、220〜230℃で、蒸留することによって完全に重合していない単体を回収して再利用するが、単体のワンパス重合転化率は73%に達し、釜中の原料を冷却し粒子化して防老剤RD製品を得る。140gの防老剤RD製品が得られ、ワンパス収率は61%に達し、再利用したアニリンと単体とを考慮する場合、製品RDの総収率は99%に達し、分析の結果、防老剤RD中の二量体の含有量は54%に、二、三、四量体の含有量は76%に達することが分かった。
【0045】
実施例2はバッチ式を、実施例3は連続式を採っているが、実施例2に比べ、実施例3によると、アニリンの転化率及び最終製品中の二量体の含有量がより高い。実施例3によると、触媒のろ過、再利用のための計量などの工程を省略することができ、これらの工程による消耗及び環境汚染を防止し、工業化生産に最も適合する。
【0046】
比較例1
バッチ式反応によって、250gのアニリンと、50gのD002強酸性樹脂を一回に、ミキサー、温度計、原料排出管路が接続された1000mlの四口のフラスコに投入し、1750gのアセトンは計量ポンプを利用して連続して供給し、原料供給および反応時間は8時間で、反応圧は常圧で、反応温度は135〜140℃であって、反応中に生成される水と余分のアセトンとは蒸留して同時に回収し、縮合反応したアニリンのワンパス転化率は32%に達し、防老剤RDの縮合原料液から、−0.098MPaの真空下でアニリンを回収した後、直接、8gの塩酸(30%)を添加して原料液の酸度を調整し、常圧下で重合反応を行い、反応温度は95〜100℃で、反応時間は6時間で、その後、50gのトルエンを添加して原料液を希釈し、30%のアルカリ性溶液を添加して中和し、静止させて水分層を除去し、油層から、常圧下でトルエンを回収した後、−0.098MPaの真空下で蒸留によって完全に重合していない単体を回収して再利用し、単体のワンパス重合転化率は68%に達し、原料液の温度を220〜230℃に制御して、釜中の原料を冷却し粒子化して防老剤RD製品を得る。50gの防老剤RDが得られて、ワンパス収率は20%に達し、分析の結果、防老剤RD中の二量体の含有量は50%で、二、三、四量体の含有量は72%に達することが分かった。
【0047】
実施例2と比較例1とを比較して見ると、本発明による固体酸触媒を利用すると、縮合反応後のアニリンのワンパス転化率を1.5倍程度向上させたことが分かった。
【0048】
実施例4(連続塔式の二段法)
実施例1によって得られた固体酸触媒を利用し、連続塔式の反応形式に従って、50gの複合固体酸触媒を塔中に一回に投入し、アニリンとアセトンとの重量比を1:3〜4に制御し、アニリンは塔頂から連続して供給し、アセトンは気化した後、塔底から気体相になって供給し、塔内で連続して反応させ、反応圧は常圧で、反応温度は120〜130℃で、原料の塔内での放置時間を4時間に調整し、余分のアセトンと反応中に生成される水を、反応塔頂に接続された蒸留塔を介して同時に回収し、反応によって生成される防老剤RDの原料液は塔底の受取り槽に連続して流れ込まれる。分析の結果、アニリンの転化率は74%に達することが分かった。175gの防老剤RDの縮合原料液から、−0.098MPaの真空下でアニリンを回収した後、直接、14gの塩酸(30%)を添加して原料液の酸度を調節し、常圧下で重合反応を行い、反応温度は95〜100℃で、反応時間は6時間で、その後、50gのトルエンを添加して原料液を希釈し、30%のアルカリ性溶液を添加して中和し、静止させて水分層を除去し、油層から、常圧下でトルエンを回収し、−0.098MPaの真空下で蒸留によって完全に重合していない単体を回収して再利用し、単体のワンパス重合転化率は70%に達し、原料液の温度を220〜230℃に制御し、釜中の原料を冷却し粒子化して防老剤RD製品を得る。120gの防老剤RDが得られ、ワンパス収率は52%に達し、再利用されたアニリンと単体とを考慮した場合、RDの総収率は98%に達し、分析の結果、防老剤RD中の二量体の含有量は53%に、二、三、四量体の含有量は75%に達することが分かった。
【0049】
実施例3と4を比較して見ると、アセトンの比率を高めることによって、アニリンのワンパス転化率及び最終製品のワンパス収率を向上可能であることが分かる。
【0050】
実施例5(連続塔式の二段法)
実施例3の連続反応方法によって、得られた175gの防老剤RDの縮合原料液から、−0.098MPaの真空下でアニリンを回収した後、継続して蒸留し、240〜250℃の釜温度で防老剤RDの単体を120g収集し、分析の結果、単体の含有量は85%に達し、その後、単体に12gの塩酸(30%)を添加して原料液の酸度を調整し、常圧下で重合反応を行い、反応温度は95〜100℃で、反応時間は6時間で、その後、50gのトルエンを添加して原料液を希釈した後、30%のアルカリ性溶液を添加して中和し、静止させて水分層を除去し、油層から、常圧下でトルエンを回収し、−0.098MPaの真空、220〜230℃で蒸留することによって、完全に重合していない単体を回収し、単体の重合転化率は70%に達し、釜中の原料を冷却し粒子化して防老剤RD製品を得る。89gの防老剤RD製品が得られ、ワンパス収率は40%に達し、再利用されたアニリンと単体とを考慮する場合、RDの総収率は97%に達し、分析の結果、防老剤RD中の二量体の含有量は60%に、二、三、四量体の含有量は80%に達することが分かった。
【0051】
実施例6(連続塔式の一段法)
実施例1によって得られた固体酸触媒を利用して、連続塔式の反応形式で、50gの複合固体酸触媒を塔中に一回に投入し、アニリンとアセトンとの重量比を1:1.5に制御し、アニリンは塔頂から連続して供給し、アセトンは気化された後、塔底から気体相になって供給し、塔内で連続して反応させ、反応圧は常圧で、反応温度は120〜130℃で、原料の塔内での放置時間を16〜18時間に調整して、余分のアセトンと反応中に生成される水とを反応塔頂に接続された蒸留塔を介して同時に回収して再利用し、反応によって生成される防老剤RDの原料液は塔底の受取り槽に連続して流れ込まれる。分析の結果、アニリンの転化率が80%に達することが分かった。
【0052】
原料液に対し直接−0.098MPa下の真空で処理を行い、反応していないアニリンを回収し、原料温度を220℃に制御し、釜中の原料を冷却し粒子化して防老剤RD製品を得る。得られた防老剤RD製品中の二量体の含有量は35%で、二、三、四量体の含有量は56%である。
【0053】
実施例6から分かるように、固定床の反応塔の一段法によると、アセトンとアニリンとの縮合のワンパス転化率は二段法に比べ顕著な差異を有しないが、最終製品中の二量体の含有量が低く、三、四量体の含有量が高い比率を占める。その原因の一つは、一段法において、使用されるアセトンの比率が低く、大量の余分のアセトンを蒸留することによる反応中に生成された水の大量蒸出がないため、縮合の進度が抑制されることになるからである。
【0054】
比較例2
D002樹脂の代わりに同量の732型強酸性陽イオン交換樹脂を利用した以外、実施例1と同様にして本発明による固体酸触媒を製造し、対照品1を得た。
【0055】
実施例2における触媒として対照品1を利用し、実施例2を重複し、その結果、縮合反応のアニリンのワンパス転化率は39%に、単体のワンパス重合転化率は70%に達し、67.5gの防老剤RD製品が得られ、ワンパス収率は27%に達し、アニリンと単体を縮合及び重合反応に利用した後のRD製品の有効収率は98%に達し、分析の結果、防老剤RD中の二量体の含有量は52%に、二、三、四量体の含有量は74%に達することが分かった。
【0056】
比較例3
D002樹脂の代わりに同量のJK008型強酸性陽イオン交換樹脂を利用した以外、実施例1と同様にして本発明による固体酸触媒を製造し、対照品2を得た。
【0057】
実施例2における触媒として対照品2を利用し、実施例2を重複し、その結果、縮合反応のアニリンのワンパス転化率は30%に、単体のワンパス重合転化率は70%に達し、51.9gの防老剤RD製品が得られ、ワンパス収率は20.8%に達し、アニリンと単体を縮合及び重合反応に利用した後のRD製品の有効収率は97%に達し、分析の結果、防老剤RD中の二量体の含有量は50%に、二、三、四量体の含有量は70%に達することが分かった。
【0058】
また、本発明の方法は上記の具体的なアニリンとアセトンに限定されず、アニリンの誘導体及び/又はアセトンの誘導体を利用することもできる。例えば、アセトンの誘導体として、ジアセトンアルコール(diacetone alcohol)とメシチルオキシド(mesityl oxide)を利用することができる。アニリンとアセトン以外の原料を利用する場合、縮合反応又は重合反応の工程条件を適切に調整する必要がある。このような原料の変更は本発明の同等置換に属する。
【0059】
図面及び好適の実施例を参照して本発明を説明したが、当業者なら、本発明の精神や原則内で様々な修正や変形を行うことが可能である。このような修正、変形は特許請求の範囲及びその同等置換に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
反応原料液受取槽…1 アセトン気化後供給口…2
反応塔…3 アニリン供給口…4
反応後のアセトンと水蒸気の排出口…5 供給口…6、7
反応塔…8 受取り槽…9
蒸留塔…10 第一蒸留釜…11
重合釜…12 第二蒸留釜…13
アニリン…14 防老剤RD製品…15
2,2,4−トリエステル−1,2−ジヒドロキノリン単体…16

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強酸性陽イオン交換樹脂と芳香族スルホン酸系物質を複合して形成されることを特徴とする固体酸触媒。
【請求項2】
前記強酸性陽イオン交換樹脂は、スチレン及び/又はアクリル酸(エステル)を基に、ジビニルベンゼンの架橋結合によって形成され、スルホン酸基を有することを特徴とする請求項1に記載の固体酸触媒。
【請求項3】
前記強酸性陽イオン交換樹脂は、732型、734型、DH型、D001型、D002型、D061型、D072型、JK008型強酸性陽イオン交換樹脂又はその組成物から選択されることを特徴とする請求項2に記載の固体酸触媒。
【請求項4】
前記芳香族スルホン酸系物質は前記触媒の重量の0.01−3%であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸触媒。
【請求項5】
前記芳香族スルホン酸系物質は、ベンゼンスルホン酸、モノアルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルベンゼンスルホン酸、マルチアルキルベンゼンスルホン酸、ハロゲノベンゼンスルホン酸、ベンゼン環が選択的に置換されたベンゼンジスルホン酸又はトリスルホン酸の中の1つ又は複数であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸触媒。
【請求項6】
前記芳香族スルホン酸系物質は、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、p−フルオロベンゼンスルホン酸、o−フルオロベンゼンスルホン酸、m−フルオロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、o−クロロベンゼンスルホン酸、m−クロロベンゼンスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項5に記載の固体酸触媒。
【請求項7】
前記固体酸触媒は、D002強酸性陽イオン交換樹脂とp−トルエンスルホン酸との複合物であることを特徴とする請求項3に記載の固体酸触媒。
【請求項8】
前記D002強酸性陽イオン交換樹脂とp−トルエンスルホン酸との重量比は1:0.01〜0.2であることを特徴とする請求項7に記載の固体酸触媒。
【請求項9】
(1)強酸性陽イオン交換樹脂、芳香族スルホン酸系物質を希塩酸溶液の中で攪拌する工程と;(2)得られた混合物を一定時間静止し放置する工程と;(3)固体物質を分離して乾燥させる工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の固体酸触媒の製造方法。
【請求項10】
前記希塩酸溶液の濃度は1〜5wt%であることを特徴とする請求項9に記載の固体酸触媒の製造方法。
【請求項11】
防老剤RDの製造における請求項1に記載の固体酸触媒の用途。
【請求項12】
原料を、強酸性陽イオン交換樹脂と芳香族スルホン酸系物質とから複合して形成された固体酸触媒を収容している反応塔に連続して供給し、固体酸触媒を触媒として反応物を縮合反応させ、塔頂からアニリン又はその誘導体を供給し、塔底から気化したアセトン又はその誘導体を供給し、余分のアセトン又はその誘導体と反応中に生成された水とを、反応塔の塔頂に接続された蒸留塔を介して回収し、縮合又は重合によって生成された原料液は塔底の受取り装置に流れ込まれることを特徴とするゴム防老剤RDの製造方法。
【請求項13】
使用する原料はアニリンとアセトンであって、
前記反応塔内で、
防老剤RDの単体である2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンを生成するアニリンとアセトンとの縮合反応と、
防老剤RDを生成する前記防老剤RD単体の重合反応と、を同時に行うことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応塔内の反応床の温度は100〜135℃に維持され、原料の塔内での放置時間は15〜20時間であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応塔内において縮合反応を行って、防老剤単体を生成し、その中、反応床の温度は100〜135℃であって、アニリンとアセトンは常圧下で塔内に2〜7時間放置され、前記反応塔以外で重合反応を行うことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
アニリンとアセトンの重量比は1:5〜7であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
重合反応後の原料液を220〜230℃の温度及び減圧状態に維持することを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
【請求項18】
縮合液から縮合して得られた単体を蒸留して得た後、高純度の単体を二量体又は多量体に重合することを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
前記強酸性陽イオン交換樹脂は、スチレン及び/又はアクリル酸(エステル)を基に、ジビニルベンゼンの架橋結合によって形成され、スルホン酸基を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記芳香族スルホン酸系物質は、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、ジメチルベンゼンスルホン酸、p−フルオロベンゼンスルホン酸、o−フルオロベンゼンスルホン酸、m−フルオロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、o−クロロベンゼンスルホン酸、m−クロロベンゼンスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記芳香族スルホン酸系物質を含む塩酸溶液に、前記強酸性陽イオン交換樹脂を導入する段階と、得られた混合物を一定の時間攪拌する段階と、前記混合物を一定の時間静止しておく段階と、前記混合物から固体物質を分離し、乾燥させる段階と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の固体酸触媒の製造方法。
【請求項22】
前記塩酸溶液の濃度が重量比1−5%であることを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−136330(P2011−136330A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262798(P2010−262798)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(510311702)ジャンス シノルクケム テクノロジー カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】