説明

固体高分子型燃料電池およびその製造方法

【課題】薄く・軽く、組み立て性の良い固体高分子型燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】燃料極と酸化剤極とによって固体高分子電解質膜の挟まれた構造を有する膜・電極接合体と、前記燃料極に接合された燃料極用接合枠と、前記燃料極用接合枠に一体に接合され、前記燃料極を燃料保持部を介して被覆するように設けられた燃料極バッグと、を具備する。前記燃料保持部は、燃料の供給及び排出を行うための燃料流路に連通している。前記燃料極バッグは、前記燃料極用接合枠に一体に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子型の燃料電池とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子を電解質膜として用いた固体高分子型燃料電池が知られている。その固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜を燃料極と酸化剤極とで挟持した構造の膜・電極接合体(Membrane and Electrode Assembly 以下、MEAという。)を有している。その固体高分子型燃料電池では、燃料極に燃料として水素やアルコール等が供給され、酸化剤極に空気又は酸素が供給されることで、燃料電池内で電気化学反応が起こる。この電気化学反応で生じた電力が取り出され、利用される。
【0003】
燃料極へ燃料を供給するために、MEAの燃料極側には空間(以下、燃料保持部)が設けられることがある。その燃料保持部が燃料で満たされることで、燃料極へ燃料が供給される。
【0004】
図5は、従来例の固体高分子型燃料電池の構造を示す斜視図、及び分解斜視図である。図5に示されるように、固体高分子型燃料電池は、MEAと、ガスケットと、流路形成枠と、底板と、カソード端子と、アノード端子と、を有している。MEAの両側には、カソード端子とアノード端子が配置されている。アノード端子側には、ガスケットを介して流路形成枠、底板が配置されている。尚、ガスケット、アノード端子、及び流路形成枠は枠状である。流路形成枠は所定の厚みを有しており、流路形成枠の内側は空間となっている。この空間が、燃料保持部である。
【0005】
固体高分子型燃料電池においては、燃料が流体であるため、燃料保持部から流体の漏洩しない気密な構造が求められる。流体が漏洩しないように、カソード端子から底板までの部材は、ネジ止めなどの機械的締結により密着固定されている。ガスケット7を均一に圧縮させるために、その多数のネジは設定された間隔で設けられる。
【0006】
燃料保持部は、流路形成枠に設けられた貫通口を介して、外部に連通している。発電に必要な燃料は、外部タンクからポンプなどにより、チューブを介して供給される。燃料保持部には流入口と流出口の複数の貫通口が設けられ、燃料はMEAの燃料極面全体の燃料濃度が設定された濃度範囲になるようにコントロールされながら循環している。
【0007】
このような構成により、燃料極に水素やアルコールなどの燃料が送り込まれると、燃料は燃料極上に固定された触媒粒子の作用により分解されてプロトン(H)と電子(e)に分離する。そのプロトンは、固体高分子電解質膜を通過して酸化剤極上で空気中の酸素と反応し、水を生成する。このとき、電子が外部負荷を通って燃料極から酸化剤極に移動することにより、電力が取り出される。
【0008】
ところで、このようにネジを用いた固定方式を用いると、部品点数が多いことおよび、各部品の位置決め積層が必要であることから、作業性が悪かった。また、ネジ締めに必要なタップ深さを確保するために、流路形成枠の積層方向厚みを所定の厚さ以上とする必要がある。よって、燃料電池の厚みを薄くするにあたり、限界があった。製造時の作業性が良好になり、積層方向の厚みを薄くすることのできる技術の提供が望まれていた。
【0009】
上記と関連して、特許文献1、2には、ネジ止め以外の手法により電池を組み立てることが記載されている。即ち、特許文献1、2にはラミネートシートを用いることが記載されている。
【0010】
また、特許文献3には、燃料極に燃料を供給するための構造についての記載がある。即ち、特許文献3には、水素吸蔵合金によって発電を行う小型燃料電池システムにおいて、水素吸蔵合金を収納するタンクの側面に、水素流路を具備することが記載されている。
【0011】
また、特許文献4には、アノード触媒層とカソード触媒層の表面夫々に、保護膜が形成された固体高分子電解質燃料電池において、その保護膜の表面を酸素遮断性の高いフィルムシールで全面を覆うことが記載されている。
【0012】
また、特許文献5には、燃料極と、この燃料極に対向して配置され酸化剤ガス取り入れ口を有する酸化剤極と、その燃料極及びその酸化剤極に挟持された電解質層と、その酸化剤ガス取り入れ口を露出させるとともに、その燃料極及びその酸化剤極を覆う外装材と、その外装材から露出しその酸化剤極と電気的に接続された第1のリード端子と、その外装材から露出し、その燃料極と電気的に接続され且つ発生ガス排出孔が形成された第2の外部リード端子とを有することを特徴とする燃料電池、が開示されている。
【0013】
【特許文献1】特開2001−325926号 公報
【特許文献2】特開2001−338695号 公報
【特許文献3】特開2004−241260号 公報
【特許文献4】特開2005−259360号 公報
【特許文献5】特許第3496934号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、薄く・軽く、組み立て性の良い固体高分子型燃料電池及びその製造方法を提供することに有る。
本発明の他の目的は、燃料の漏洩が防止された信頼性の高い固体高分子型燃料電池及びその製造方法を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数の形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0016】
本発明にかかる固体高分子型燃料電池(1)は、燃料極(12)と酸化剤極(13)とによって固体高分子電解質膜(11)の挟まれた構造を有する膜・電極接合体(10)と、燃料極(12)に接合された燃料極用接合枠(30−1)と、燃料極(12)を燃料保持部(60)を介して被覆するように設けられた燃料極バッグ(40)と、を具備する。燃料保持部(60)は、燃料の供給及び排出を行うための燃料流路に連通しており、燃料極用電極(30−1)に一体に接合されている。
【0017】
このように、燃料極バッグ(40)を燃料極用接合枠(30)に接合させることで燃料保持部(60)を形成させれば、ネジなどの固定具を必要としない。ネジなどの固定具を必要としないので、部品点数を少なくすることができる。また、構成上の制約(ネジ止めするために必要な厚さ、など)も特に無く、軽薄化させることができる。
【0018】
上記の固体高分子型燃料電池(1)において、燃料極用接合枠(30−1)は、枠状であることが好ましい。
【0019】
また、燃料極バッグ(40)は、一の観点から、熱溶着性の樹脂を含むことが好ましい。熱溶着性の樹脂を用いれば、加熱して圧力を加えるだけで、燃料極バッグ(40)を燃料極用接合枠(30−1)に接合させることができる。
【0020】
また、燃料極バッグ(40)は、他の一観点から、金属シートを有していることが好ましい。金属シートは強度が強く、燃料を確実に遮断することができるので、燃料の漏洩することを防止することができる。
【0021】
また、燃料極バッグ(40)は、柔軟性を有していることが好ましい。柔軟性を有している事により、燃料保持部に大量の燃料が流れ込んだとしても、燃料極バッグが膨らむので、燃料が流出したり、燃料電池が破損したりする事がない。
【0022】
また、燃料極用接合枠(30−1)は、熱溶着性の樹脂を含んでいることが好ましい。
熱溶着性の樹脂を用いれば、加熱して圧力を加えるだけで、燃料極バッグ(40)を燃料極用接合枠(30−1)に接合させることができる。
【0023】
上記の固体高分子型燃料電池(1)は、一の観点において、燃料流路を形成する部材(41−1、41−2)が、燃料極バッグ(40)と燃料極用接合枠(30−1)との間に挟まれており、その燃料流路を形成する部材(41−1、41−2)の開放端が、燃料保持部(60)内に配置されていることが好ましい。
【0024】
このような構成に依れば、部材(41−1、41−2)を挟んだ状態で、燃料極バッグ(40)を燃料極用接合枠(30−1)に接合させるだけでよいので、製造時における作業性を向上させることができる。燃料流路形成用の部材を、燃料保持部の開口形成のための部材として兼用できるので、部品点数を更に削減させることができる。
【0025】
上記の固体高分子型燃料電池(1)は、更に、酸化剤極(13)に接合された酸化剤極用接合枠(30−2)と、酸化剤極用接合枠(30−2)に接合され、酸化剤極(13)を酸化剤保持部(70)を介して被覆するように設けられた酸化剤極バッグ(50)と、を具備し、酸化剤保持部(70)は、酸化剤の供給及び排出を行うための酸化剤流路に連通していることが好ましい。
【0026】
このように、酸化剤極バッグ(50)を酸化剤極用接合枠(30−2)に接合させることで酸化剤保持部(70)を形成させれば、酸化剤極用接合枠(30−2)を固定させるためのネジなどを必要としない。ネジなどの固定具を必要としないので、部品点数を少なくすることができる。また、構成上の制約(ネジ止めするために必要な厚さ、など)も特に無く、小型化させることができる。
【0027】
ここで、酸化剤極用接合枠(30−2)は、枠状であることが好ましい。
【0028】
また、酸化剤バッグ(50)は、一観点から、熱溶着性の樹脂を含むことが好ましく、他の一観点からは、金属シートであることが好ましい。
【0029】
また、酸化剤バッグ(50)は、柔軟性を有していることが好ましい。
【0030】
また、酸化剤極用接合枠は、熱溶着性の樹脂を含んでいることが好ましい。
【0031】
本発明にかかる固体高分子型燃料電池(1)の他の1形態は、燃料極(12)と酸化剤極(13)とによって固体高分子電解質膜(11)の挟まれた構造を有する膜・電極接合体(10)と、酸化剤極(13)に接合された酸化剤極用接合枠(30−2)と、酸化剤極用接合枠(30−2)に接合され、酸化剤極(13)を酸化剤保持部(70)を介して被覆するように設けられた酸化剤極バッグ(50)と、を具備する。酸化剤保持部(70)は、燃料の供給及び排出を行うための酸化剤流路に連通している。
【0032】
本発明にかかる固体高分子型燃料電池の製造方法は、固体高分子電解質膜(11)を燃料極(12)と酸化剤極(13)とによって挟んで、膜・電極接合体(10)を形成する工程(ステップS10)と、膜・電極接合体(10)に、燃料極用電極(30−1)を配置する電極配置工程(ステップS20)と、膜・電極接合体(10)に、燃料極用電極(30−1)を一体に接合させる電極接合工程(ステップS30)と、その電極接合工程(S30)の後に、燃料極用電極(30−1)上に、燃料極バッグ(40)を、燃料極(12)が燃料保持部(60)を介して被覆されるように配置するバッグ配置工程(ステップS40)と、燃料極バッグ(40)を、燃料極用電極(30−1)に一体に接合させるバッグ接合工程(ステップSS50)と、を具備する。
【0033】
このように、一体化させることにより、燃料極バッグ(40)と燃料極用接合枠(30−1)との間の隙間を、確実になくすことができる。隙間を確実になくすことで、燃料保持部(60)内の燃料が、隙間から漏洩することが防止される。また、各部材を配置して、これを一体化させるだけでよく、多数のネジ止めなどの工程は必要ない。即ち、組み立て性が良好である。
【0034】
ここで、バッグ配置工程(S40)において、燃料保持部(60)を燃料流路に連通させるための連通用部材(41)を挟むようにして、燃料極バッグ(40)を燃料極用電極(30−1)上に配置することが好ましい。
【0035】
また、燃料極バッグ(40)と連通用部材(41)とは、熱溶着性の樹脂を含んでおり、バッグ接合工程(S50)において、連通用部材(41)を、燃料極バッグ(40)に一体化させることが好ましい。
【0036】
また、連通用部材(41)は、燃料流路を形成する部材と同じであることが好ましい。
【0037】
上記の固体高分子型燃料電池の製造方法において、電極配置工程(S20)は、酸化剤極(13)上に酸化剤用電極(30−2)を配置する工程を有し、
バッグ配置工程(S40)は、酸化剤極用電極(30−2)上に、酸化剤極(13)を酸化剤保持部(70)を介して被覆するように、酸化剤極バッグ(50)を配置する工程を有し、
電極接合工程(S30)において、酸化剤極用電極(30−2)を酸化剤極(13)に接合させ、
バッグ接合工程(S50)において、酸化剤極バッグ(50)が酸化剤極用電極(30−2)に接合させることが好ましい。
【0038】
上記の固体高分子型燃料電池の製造方法は、一観点から、電極接合工程(S30)において、加熱プレスにより一体に接合させることが好ましい。また、バッグ接合工程(S50)においても、加熱プレスにより一体に接合させることが好ましい。また、他の一観点からは、電極接合工程(S30)及びバッグ接合工程(S50)において、接着剤を用いて一体に接合させることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明に依れば、薄く・軽く、組み立て性の良い固体高分子型燃料電池及びその製造方法が提供される。
本発明に依れば、更に、燃料の漏洩が防止された信頼性の高い固体高分子型燃料電池及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(第1の実施形態)
本発明にかかる第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
図3(a)は、本実施形態に係る固体高分子型燃料電池システム100の構成を示す概略平面図であり、図3(b)はその概略側面図である。固体高分子型燃料電池システム100は、固体高分子型燃料電池1と、ファン110と、ポンプ120と、輸液チューブ130と、燃料調整部140と、を有している。固体高分子型燃料電池1には、酸化剤供給のための開口(酸化剤極貫通口50−1、50−2)と、燃料の供給排出のための開口(燃料極貫通口40−1、40−2)とが、2箇所づつ設けられている。尚、燃料としては、例えばメタノール水溶液が用いられる。酸化剤としては、例えば空気が用いられる。
【0042】
ファン110は、酸化剤極貫通口51−1を介して固体高分子型燃料電池1に接続されており、例えば空気などの酸化剤ガスを固体高分子型燃料電池1に供給する。固体高分子型燃料電池1で消費されなかった酸化剤ガスは、酸化剤極貫通口51−2を介して外部へ排出される。
【0043】
ポンプ120は、燃料の取り入れ口と排出口を有している。ポンプ120は、燃料の排出口側で、チューブを介して固体高分子型燃料電池1の燃料極貫通口40−1に接続されている。また、取り入れ口側で、輸液チューブ130を介して燃料調整部140に接続されている。即ち、燃料調整部140から燃料を取り入れ、固体高分子型燃料電池1に送出するようになっている。燃料調整部140は、燃料の濃度を調整するシステムである。燃料調整部140は、固体高分子型燃料電池1の燃料極貫通口40−2に接続されている。
【0044】
このように、固体高分子型燃料電池1、燃料調整部140、及びポンプ120が直列に接続されていることにより、固体高分子型燃料電池1の燃料極貫通口40−2から排出された燃料が、燃料調整部140、ポンプ120、燃料極貫通口40−1を介して循環するようになっている。
【0045】
図1、図2を参照して、固体高分子型燃料電池1の構成を説明する。図1は、固体高分子型燃料電池1の分解斜視図である。図2は、(a)固体高分子型燃料電池1の全体断面図と、(b)固体高分子電解質膜の構成を示す部分断面図、である。
【0046】
図1に示されるように、固体高分子型燃料電池1は、膜・電極接合体(以下、MEA10と記載する)と、接合枠30と、燃料極バッグ40と、酸化剤極バッグ50とを有している。MEA10はシート状であり、接合枠30は枠状である。MEA10の周縁部分は、両面側から、接合枠30によって挟まれている。尚、MEA10の一方の面上には燃料制限膜(図1には図示されていない)が配置されており、接合枠30はこの燃料制限膜を介してMEA10の周縁部分を挟んでいる。
【0047】
燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50は、袋状体である。燃料極バッグ40は、MEA10の片面側に配置され、酸化剤極バッグ50はMEA10の他の片面側に配置される。燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50は、バッグの開口縁が接合枠30に対応するように配置されている。
【0048】
このような構成において、接合枠30とMEA10は、接触部分で一体に形成されている。同様に、接合枠30と燃料極バッグ40も、接触部分で一体に形成されている。さらに、接合枠30と酸化剤極バッグ50も、接触部分で一体に形成されている。
【0049】
図2(a)、(b)を参照して、より固体高分子型燃料電池1の詳細な構造を説明する。
【0050】
MEA10は、固体高分子電解質膜11と、燃料極12と、酸化剤極13とを有している。固体高分子電解質膜11は、燃料極12と酸化剤極13とによって挟持されている。
【0051】
図2(b)に示されるように、燃料極12は、固体高分子電解質膜11に設けられたアノード触媒層12−1と、このアノード触媒層12−1上に設けられたアノードガス拡散電極12−2と、を有している。また、酸化剤極13も、固体高分子電解質膜11上に設けられたカソード触媒層13−1と、このカソード触媒層13−1上に設けられたカソードガス拡散電極13−2とを有している。また、アノードガス拡散電極12−2上には、燃料制限膜20が密着して設けられている。
【0052】
尚、燃料極用接合枠30−1は、アノードガス拡散電極12−2の接合枠浸透部31にて、MEA10と一体に接合している。この接合枠浸透部31は、燃料極用接合枠30−1の熱溶着性の樹脂成分がアノードガス拡散電極12−2に浸透した箇所である。同様に、酸化剤極用接合枠30−2も、カソードガス拡散電極13−2の接合枠浸透部32にて、MEAと一体に接合している。
【0053】
固体高分子電解質膜11としては、燃料に対する耐食性を有すると共に、水素イオン(プロトン)の伝導性が高く、かつ、電子伝導性をもたない高分子膜が好ましい。このような高分子膜として、スルホン基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基等の強酸基や、カルボキシル基等の弱酸基等の極性基を有するイオン交換樹脂がより好ましい。具体例としては、パーフルオロスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリエーテルスルホン酸系樹脂、スルホン化ポリイミド系樹脂等が挙げられる。より具体的には、例えば、スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリイミド、アルキルスルホン化ポリベンゾイミダゾール等の芳香族系高分子を含むものを挙げることができる。
【0054】
固体高分子電解質膜11の膜厚は、その材質や燃料電池の用途等に応じて、10〜300μm程度の範囲内で適宜選定可能である。
【0055】
アノードガス拡散電極12−2及びカソードガス拡散電極13−2としては、燃料分子(メタノール分子)及び酸素分子が透過可能な連続気泡(空隙)を有する導電性素材を用いる事ができる。このようなものとして、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属等、導電性を有する多孔質体、金属のパンチング板、及び金属細線を有する不織シート、などが例示される。その発泡金属としては、SUS316の発泡金属マットが例示される。また、100μm〜300μmの厚みであり、気孔率が40%〜90%のものが好適に用いられる。
【0056】
燃料制限膜20は、燃料として例えばメタノール等の液体燃料を用いた場合に、気化成分のみを選択的に燃料極へ供給させるためのものである。燃料制限膜20としては、多孔質膜等を用いる事ができる。
【0057】
図2(a)に戻り、説明を続ける。接合枠30は、燃料極用接合枠30−1と、酸化剤極用接合枠30−1と、燃料極用接合枠30−1及び酸化剤極用接合枠30−2とを一体化させている抱合部30−3と、を有している。燃料極用接合枠30−1は、MEA10の燃料極12側に、燃料制限膜20の端部を挟むようにして配置されている。酸化剤極用接合枠30−2は、MEA10の酸化剤極13側に配置されている。燃料極用接合枠30−1と酸化剤極用接合枠30−2とは、少なくとも一部でMEA10からはみ出している。抱合部30−3は、このMEAからはみ出した部分で、燃料極用接合枠30−1と酸化剤極用接合枠30−2とを一体化させている。
【0058】
抱合部30−3の内側(MEA10側)には、空洞が設けられており、ガス排出口14となっている。ガス排出口14は、燃料極12の側部と後述する酸化剤保持部70とを接続するように設けられている。また、ガス排出口14の途中には、気液分離膜14が配置されている。尚、ガス排出口15は、接合枠30の全周に沿って設けられている必要はなく、少なくとも一部に設けられていればよい。気液分離膜14は、燃料制限膜20と同じく、燃料の気体成分のみを選択的に透過させることのできるものであればよい。気液分離膜14としては、例えば多孔質膜が用いられる。
【0059】
このように、ガス排出口15を設けておく事で、燃料電池の発電時に燃料極12で発生する二酸化炭素を、燃料極12の側部から酸化剤保持部70へ排出させる事ができる。これにより、燃料極12側の内圧が上昇して、燃料の供給が阻害される事が防止される。また、気液分離膜14を設けておく事によって、燃料の液体成分が酸化剤保持部70側へ流入することを防止できる。すなわち、気体成分のみを選択的に酸化剤保持部70へ排出することができる。
【0060】
燃料極用接合枠30−1とアノードガス拡散電極12−2との接合部分では、接合枠30−1を構成する成分がアノードガス拡散電極12−2の空隙部分に浸透しており、接合枠浸透部31を形成している。このようにして、燃料極用接合枠30−1は、アノードガス拡散電極12−2に一体に接合している。
【0061】
酸化剤極用接合枠30−2も、燃料極用接合枠30−1と同様に、カソードガス拡散電極13−2に一体に接合している。すなわち、酸化剤極用接合枠30−2の構成成分の一部がカソードガス拡散電極13−2に浸透して、接合枠浸透部32を形成している。
【0062】
接合枠30の材質としては、熱溶着性の樹脂を含んだものを用いることが好ましい。このような熱溶着性の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びアイオノマーを挙げることができる。また、接合枠30は、燃料極と酸化剤極とがショートしないように、絶縁性である必要がある。
【0063】
接合枠30の一辺では、MEA10が接合枠30からはみ出している。そして、接合枠30からはみ出したMEA10には、取り出し用電極16が接続されている。取り出し用電極16は、燃料極12側に接続された燃料極用取り出し電極と、酸化剤極13側に接続された酸化剤極用取り出し電極とを有している。取り出し用電極16は、アノードガス拡散電極12−2又はカソードガス拡散電極に接合されている。これにより、MEA10で発生した電力が、取り出し用電極16を介して外部へ取り出される。なお、取り出し用電極16としては、例えば、SUS316などの金属製のものを用いることができる。
【0064】
燃料極用接合枠30−1上には、燃料極バッグ40が配置されている。燃料極バッグ40は、袋状体であり、開口縁を燃料極用接合枠30−1の全周に対応させて設けられている。
【0065】
燃料極バッグ40とMEA10(燃料制限膜20)とで形成された空間は、燃料保持部60となっている。燃料極バッグ40には、2箇所に開口が設けられており、これらが既述した燃料極貫通口40−1と40−2とになっている。即ち、燃料は、燃料極貫通口40−1から燃料保持部60に導入され、燃料極貫通口40−2から排出される。
【0066】
燃料極バッグ40の材質としては、燃料を保持できる物性を有し、熱溶着や接着の可能な素材が用いられる。また、燃料の沸点以上の耐熱性を有している物を用いる事が好ましい。例えば、燃料としてメタノールを用いる場合には、100℃以上の耐熱性を有していればよい。燃料保持部や燃料流路における燃料温度は、高くても燃料の沸点近傍までであるので、燃料の沸点以上の温度に耐えられる素材を用いていれば、発電時による発熱で損傷してしまうこともない。
【0067】
また、燃料極バッグ40は、例えば点滴パックに用いられる素材のように、柔軟性(可とう性)を有していることが好ましい。具体的には、燃料保持部60に急激に燃料が流れ込んだ場合に、燃料の流入量に応じて膨らむ程度に十分に柔らかい事が好ましい。燃料の流入量に応じて膨らむ事ができれば、燃料の流入量が急激に増大したとしても燃料が漏れにくくなる。また、燃料の流入量が急激に減少したとしても、容積に応じて縮小するので、気泡などが発生しづらくなる。更に、燃料電池が落下などした際に、割れやひびなどが発生する怖れがないので、耐衝撃性の観点から有利となる。
【0068】
上述のような性質を持つ燃料極バッグ40の素材として、熱溶着性の樹脂と、金属シートとを含んだものが好適に用いられる。熱溶着性の樹脂フィルムを含んでいる事によって、後述するように加熱プレスするだけで燃料極バッグ40を接合枠30に一体化させる事ができる。また、金属シートを含んでいる事により、揮発性の燃料を用いた場合でも、燃料保持部60内の燃料が揮発して燃料バッグ40を透過してしまう事がない。
【0069】
熱溶着性の樹脂と金属シートとを含んだものとしては、金属シートが熱溶着性の樹脂フィルムによって挟まれた積層フィルムが挙げられる。その熱溶着性の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びアイオノマーを挙げることができる。また、その金属シートとしては、金属箔や、金属の蒸着されたフィルムが挙げられる。これらの熱溶着性樹脂や金属シートは、燃料成分や発電反応の過程で生成する成分に対する対薬品耐性の点からも、好ましい。
【0070】
酸化剤極バッグ50も、燃料極バッグ40と同様に、袋状体である。その開口縁で、酸化剤極用接合枠30−2に一体に接合されている。酸化剤極バッグ40とMEA10とで形成された空間は、酸化剤保持部70となっている。
【0071】
酸化剤極バッグ50には、2箇所に開口が設けられており、これらが既述した酸化剤極貫通口50−1と50−2とになっている。即ち、酸化剤ガスは、酸化剤極貫通口50−1から酸化剤保持部70に導入され、酸化剤極貫通口50−2から排出される。
【0072】
酸化剤極バッグ50の材質としては、燃料極バッグ40と同様に、酸化剤を保持できる物性を有し、熱溶着や接着の可能な素材が用いられる。また、酸化剤極バッグ50も柔軟性を有していることが好ましい。
【0073】
尚、図1、2では、燃料極貫通口40−2と酸化剤極貫通口50−2とは別々の形状をしているが、貫通口であればその形状などは必要に応じて変更可能である。
【0074】
以上説明した本実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の構成は、燃料極バッグ40や酸化剤極バッグ50が、接合枠30と一体に接合されており、ネジなどの機械的締結を行うための部材は用いられていない。従って、部品点数が少なくなっており、軽薄化されている。また、一体に接合されていることにより、燃料保持部60内の燃料が、部材間の隙間などを介して漏洩することも防止されている。
【0075】
また、接合枠30、燃料極バッグ40、及び酸化剤極バッグ50として、熱溶着性の樹脂を用いれば、加熱してプレスするだけで、接合枠30に対して燃料極バッグ40や酸化剤極バッグ50を一体に接合させることができる。
【0076】
続いて、上述のような構成を有する固体高分子型燃料電池1の動作方法について説明する。
【0077】
図3において、ポンプ120が始動すると、燃料調整部140で濃度調整された燃料が、燃料極貫通口40−1を介して燃料保持部60に導入される。また。ファン110が始動すると酸化剤ガスが酸化剤極貫通口51−1を介して、酸化剤保持部70bに導入される。
【0078】
図2(a)を参照する。燃料保持部60に導入された燃料は、燃料制限膜20を介して、燃料極12に供給される。一方、酸化剤保持部70に導入された酸化剤ガスは、直接に酸化剤極13に供給される。燃料極12に供給された燃料は、アノード触媒層2aで分解されてプロトン(H)と電子(e)に分離する。生成したプロトンは、固体高分子電解質膜1を通過してカソード触媒層13−1上で酸化剤ガスと反応し、水を生成する。このとき、電子が外部負荷(図示せず)を通って燃料極12から酸化剤極13に移動することにより、電力が取り出される。尚、消費されなかった燃料や酸化剤ガスは、燃料極貫通口40−2や酸化剤極貫通口50−2を介して排出される。
【0079】
続いて、上述の固体高分子型燃料電池1の製造方法について説明する。図6は、固体高分子型燃料電池1の製造方法のフローチャートである。図6に示されるステップS20〜S50までの工程によって、固体高分子型燃料電池1が製造される。各工程の動作について、以下に説明する。
【0080】
ステップS10;MEAの形成
まず、固体高分子電解質膜11を燃料極12と酸化剤極13とで挟んだMEA10を形成する。MEA10は、公知の方法によって形成することができる。
【0081】
ステップS20;接合枠の配置
続いて、接合枠30をMEA10の両面に配置する。図7A(a)は、この時の配置の様子を示す側面図である。MEA10の燃料極側には、燃料制限膜20と燃料極側接合枠30−1とが配置される。一方、MEA10の酸化剤極側には、酸化剤極側接合枠30−2と気液分離膜14とが配置される。燃料極側接合枠30−1と酸化剤極側接合枠30−2には、貫通口が設けられている。この貫通口は、ガス排出口15形成用のものである。気液分離膜14は、MEA10と酸化剤極側接合枠30−2の間において、貫通口に対応する位置に配置される。
【0082】
ステップS30;接合枠の接合
ステップS20で所定の位置に配置されたMEA10と接合枠30との積層体を、加熱プレスする。図7A(b)は、加熱プレス後の接合枠付きMEA10の構造を示す断面図である。加熱プレスにより、接合枠30の熱溶着樹脂成分が溶融し、多孔質体であるMEA10のアノードガス拡散電極12−2、カソードガス拡散電極13−2に浸透して、接合枠浸透部31、32を形成する。すなわち、接合枠30がMEA10に一体に接合される。また、燃料極側接合枠30−1と酸化剤極側接合枠30−2のうち、MEA10からはみ出した部分は、両者が一体化して抱合部30−3となる。さらに、貫通口の部分は、気液分離膜14の介在したガス排出口15を形成する。
【0083】
尚、固体高分子電解質膜11と接合枠30が仮に熱融着しない(融点が違う)場合であっても、複数の位置でMEA10の側部を接合枠30で抱合させるようにすれば、一体化させることができる。
【0084】
ステップS40;バッグの配置
続いて、燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50を配置する。図7B(a)は、燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50を配置した様子を示す側面図である。燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50は、それらのバッグの開口縁が接合枠30に一致するように配置される。ここで、燃料極バッグ40は、その開口縁がガス排出口15の開口を覆う様に配置される。燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50の夫々には、予め、二箇所に貫通口が形成されている。
【0085】
ステップS50;バッグの接合
燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50の配置された積層体を、加熱プレスする。図7B(b)は、バッグの接合された後の様子を示す断面図である。加熱プレスにより、燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50の熱溶着樹脂成分が溶融し、接合枠30に接合して一体化する。
【0086】
以上のステップS10〜50の工程により、MEA10、接合枠30、燃料極バッグ40、酸化剤極バッグ50が一体に接合した固体高分子型燃料電池1が製造される。尚、取り出し用電極16は、MEA10のうち、接合枠30からはみ出した部分に接合される。取り出し用電極16の接合のタイミングは特に限定されず、接合枠30やバッグ40がMEA10に接合される前後のどちらでもよい。
【0087】
以上説明してきたように、本実施の形態に依れば、MEA10、接合枠、燃料極バッグ40、及び酸化剤極バッグ40を一体に接合させることで、ネジなどの機構部品を用いずに済む。これにより、固体高分子型燃料電池1を軽薄化できる。これは、機構部品に必要な締結部材が不要となることによって、部品点数が削減できるからである。
【0088】
また、部品点数が少なくできるので、作業工数も削減できる。また、接合にあたり、熱溶着性の樹脂による溶着を用いれば、接合部位を確実に一体化させることができ、燃料や酸化剤ガスなどの漏洩を防止することができる。
【0089】
尚、本実施形態では、燃料極バッグ40及び酸化剤極バッグ50に、予め貫通口が形成されている場合について説明したが、予めバッグに貫通口が形成されていなくても、バッグを接合枠30に接合させる際に連通用部材を介在させ、燃料極貫通口40−1、40−2や酸化剤極貫通口50−1、50−2を形成してもよい。図8は、燃料極貫通口40−1、40−2を連通用部材によって形成する際の各部材の配置を示す斜視図である。図8に示されるように、円筒状の連通用部材を、燃料極バッグ40と接合枠30との間の少なくとも二箇所に配置しておき、この状態で加熱プレスを行えば、燃料極貫通口40−1、40−2が形成される。ここで、連通用部材41の素材としては、加熱プレス時に接合枠30及び燃料極バッグ40に一体化するように、熱溶着性の樹脂を含んでいることが好ましい。酸化剤極バッグ50についても同様である。
【0090】
また、本実施形態では、各部材を一体に接合させるにあたり、熱溶着を用いた場合について説明したが、一体化できる工法であれば、例えば接着などの他の手法でも構わない。
【0091】
また、本実施形態では、接合枠の接合(S30)とバッグの接合(S50)とを別工程で行う場合について説明したが、接合枠とバッグとを同時に配置し、接合枠とバッグとを同一工程で接合させる事で、MEA、接合枠、及びバッグを一体化させてもよい。
【0092】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、燃料極貫通口40−1、40−2の構成が更に工夫されている。燃料極貫通口40−1、40−2以外の点については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
図4は、固体高分子型燃料電池1の燃料極12側の構成を示す分解斜視図である。本実施形態では、ポンプ120と燃料保持部70とを接続する燃料流路が、弾性を有するチューブ41−1により形成されている。また、燃料保持部70から燃料調整部140までの燃料流路も、チューブ41−2によって形成されている。チューブ41−1、41−2は、燃料極バッグ40と接合枠30とによって挟まれている。そして、チューブ41−1、41−2の開放端は接合枠30の内側、即ち燃料保持部70内、に配置されている。
【0094】
このような構成とすれば、燃料流路形成用の部材と、貫通口形成用の部材とを別部品にする必要が無いので、部品点数を更に少なくすることができる。
【0095】
以上、第1と第2の実施形態について説明した。但し、これらの実施形態の工夫は、必要に応じて組み合わせて使用することもできる。また、燃料極12側で例示した構成の工夫を、酸化剤極13側の構成に適用することも、当業者にとっては自明的であろう。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1の実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の分解斜視図である。
【図2】第1の実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の断面模式図である。
【図3】本発明にかかる固体高分子型燃料電池システムの模式図である。
【図4】第2の実施形態にかかる固体高分子型燃料電池の分解斜視図である。
【図5】従来の固体高分子型燃料電池の分解斜視図である。
【図6】固体高分子型燃料電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図7A】接合枠を配置する際の様子を示す説明図である。
【図7B】バッグを配置する際の様子を示す説明図である。
【図8】連通用部材の配置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
1 固体高分子型燃料電池
10 MEA
11 固体高分子電解質膜
12 燃料極
12−1 アノード触媒層
12−2 アノードガス拡散電極
13 酸化剤極
13−1 カソード触媒層
13−2 カソードガス拡散電極
14 気液分離膜
15 ガス排出口
16 取出用電極
20 燃料制限膜
30 接合枠
30−1 燃料極用接合枠
30−2 酸化剤極用接合枠
30−3 抱合部
31 接合枠浸透部
32 接合枠浸透部
40 燃料極バッグ
40−1 燃料極貫通口
40−2 燃料極貫通口
41 連通用部材
41−1 チューブ
41−2 チューブ
50 酸化剤極バッグ
50−1 酸化剤極貫通口
50−2 酸化剤極貫通口
51 連通用部材
60 燃料保持部
70 酸化剤保持部
100 燃料電池システム
110 ファン
120 ポンプ
130 輸液チューブ
140 燃料調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極と酸化剤極とによって固体高分子電解質膜が挟まれた構造を有する膜・電極接合体と、
前記燃料極に一体に接合された燃料極用接合枠と、
前記燃料極を、燃料保持部を介して被覆するように設けられた燃料極バッグと、
を具備し、
前記燃料保持部は、燃料の供給及び排出を行うための燃料流路に連通し、
前記燃料極バッグは、前記燃料極用接合枠に一体に接合されている
固体高分子型燃料電池。
【請求項2】
請求項1に記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記燃料極用接合枠は、枠状である
固体高分子型燃料電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記燃料極バッグは、熱溶着性の樹脂を含んでいる
固体高分子型燃料電池。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記燃料極バッグは、柔軟性を有している
固体高分子型燃料電池。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記燃料極バッグは、金属シートを含んでいる
固体高分子型燃料電池。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記燃料極用接合枠は、熱溶着性の樹脂を含んでいる
固体高分子型燃料電池。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記燃料流路を形成する部材が、前記燃料極バッグと前記燃料極用接合枠との間に挟まれており、
前記燃料流路を形成する部材の開放端が、前記燃料保持部内に配置されている
固体高分子型燃料電池。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
更に、
前記酸化剤極に接合された酸化剤極用接合枠と、
前記酸化剤極用接合枠に接合され、前記酸化剤極を酸化剤保持部を介して被覆するように設けられた酸化剤極バッグと、
を具備し、
前記酸化剤保持部は、酸化剤の供給及び排出を行うための酸化剤流路に連通している
固体高分子型燃料電池。
【請求項9】
請求項8に記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記酸化剤極用接合枠は、枠状である
固体高分子型燃料電池。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記酸化剤バッグは、熱溶着性の樹脂を含んでいる
固体高分子型燃料電池。
【請求項11】
請求高8乃至10のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記酸化剤バッグは、柔軟性を有している
固体高分子型燃料電池。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記酸化剤バッグは、金属シートを含んでいる
固体高分子型燃料電池。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
前記酸化剤極用接合枠は、熱溶着性の樹脂を含んでいる
固体高分子型燃料電池。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池であって、
更に、
前記燃料極の側部を、前記酸化剤保持部に連通させるように設けられたガス排出口
を具備し、
前記膜・電極接合体の側部の少なくとも一部は、前記ガス排出口を挟んで、前記燃料極用接合枠と前記酸化剤極用接合枠とにより覆われている
固体高分子型燃料電池。
【請求項15】
請求項13に記載された固体高分子方燃料電池であって、
前記ガス排出口には、気液分離膜が設けられている
固体高分子型燃料電池。
【請求項16】
燃料極と酸化剤極とによって固体高分子電解質膜の挟まれた構造を有する膜・電極接合体と、
前記酸化剤極に接合された酸化剤極用接合枠と、
前記酸化剤極用接合枠に接合され、前記酸化剤極を酸化剤保持部を介して被覆するように設けられた酸化剤極バッグと、
を具備し、
前記酸化剤保持部は、燃料の供給及び排出を行うための酸化剤流路に連通している
固体高分子型燃料電池。
【請求項17】
燃料極と酸化剤極とによって固体高分子電解質膜が挟まれた構造を有する膜・電極接合体と、
前記燃料極に一体に接合された燃料極用接合枠と、
前記燃料極を、燃料保持部を介して被覆するように設けられた燃料極バッグと、
を具備し、
前記燃料保持部は、燃料の供給及び排出を行うための燃料流路に連通し、
前記燃料極バッグは、柔軟性を有している
固体高分子型燃料電池。
【請求項18】
固体高分子電解質膜を燃料極と酸化剤極とによって挟んで、膜・電極接合体を形成する工程と、
前記膜・電極接合体に、燃料極用電極を配置する電極配置工程と、
前記膜・電極接合体に、前記燃料極用電極を一体に接合させる電極接合工程と、
前記電極接合工程の後に、前記燃料極用電極上に、燃料極バッグを、前記燃料極が燃料保持部を介して被覆されるように配置するバッグ配置工程と、
前記燃料極バッグを、前記燃料極用電極に一体に接合させるバッグ接合工程と、
を具備する
固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
前記バッグ配置工程において、前記燃料保持部を燃料流路に連通させるための連通用部材を挟むようにして、前記燃料極バッグを前記燃料極用電極上に配置する
固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
前記燃料極バッグと前記連通用部材とは、熱溶着性の樹脂を含んでおり、
前記バッグ接合工程において、前記連通用部材を、前記燃料極バッグに一体化させる
固体高分子電解質型燃料電池の製造方法。
【請求項21】
請求項19又は20に記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
前記連通用部材の材質は、前記燃料流路を形成する部材と同じである
固体高分子型燃料電池。
【請求項22】
請求項18乃至21のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
前記電極配置工程は、前記酸化剤極上に酸化剤用電極を配置する工程を有し、
前記バッグ配置工程は、前記酸化剤極用電極上に、前記酸化剤極を酸化剤保持部を介して被覆するように、酸化剤極バッグを配置する工程を有し、
前記電極接合工程において、前記酸化剤極用電極を前記酸化剤極に接合させ、
前記バッグ接合工程において、前記酸化剤極バッグを前記酸化剤極用電極に接合させる
固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項23】
請求項18乃至22のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
前記電極接合工程において、加熱プレスにより一体に接合させる
固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項24】
請求項18乃至23のいずれかに記載された固体項分子型燃料電池の製造方法であって、
前記バッグ接合工程において、加熱プレスにより一体に接合させる
固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項25】
請求項18乃至22のいずれかに記載された固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
前記電極接合工程及び前記バッグ接合工程において、接着剤を用いて一体化に接合させる
固体高分子型燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−77954(P2008−77954A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255362(P2006−255362)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】