説明

固体高分子型燃料電池用膜電極構造体

【課題】固体高分子型燃料電池のカソードの高電位条件下で、カソードのカーボン腐食を抑制し、燃料電池の性能低下を抑制する。
【解決手段】高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒層および拡散層を積層し、高分子電解質膜の他方の面にカソード触媒層および拡散層を積層した燃料電池用膜電極構造体であって、カソード触媒層は少なくともプロトン伝導性物質と、カーボン担体を有さない白金粉末または白金合金粉末とを含み、カソード拡散層は炭素基材からなり、カソード触媒層とカソード拡散層との間でありかつカソード触媒層と接する箇所にカソード隔離層が設けられ、カソード隔離層には少なくとも電子伝導性物質が含まれ、電子伝導性物質は金属酸化物またはカーボンのR値(カーボンをラマン分光法で測定した際のGバンドのピーク強度Iに対するDバンドのピーク強度Iの比I/I)が1.18未満の黒鉛化カーボンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子型燃料電池用膜電極構造体に係り、特に、燃料電池の起動停止時に発生する高電位によるカソード触媒層および拡散層の腐食を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、石油資源の枯渇が重大な問題となっており、さらに、化石燃料の消費による大気汚染や地球温暖化等の環境問題が深刻化している。このような状況にあって、二酸化炭素の発生を伴わないクリーンな電動機用電力源として燃料電池が注目されて広範に開発されるとともに、一部では実用化され始めている。
【0003】
燃料電池を自動車等に搭載する場合には、高電圧と大電流とが得やすいことから、高分子電解質膜を用いる固体高分子型燃料電池が好適に用いられる。固体高分子型燃料電池に用いる膜電極構造体として、イオン伝導可能な高分子電解質膜を一対のアノード触媒層およびカソード触媒層の間に挟持し、各触媒層の上にそれぞれアノード拡散層およびカソード拡散層を積層して、それぞれアノード電極およびカソード電極としたものが知られている。触媒層は、白金等の触媒がカーボンブラック等の触媒担体に担持され、イオン伝導性高分子バインダーにより一体化されることにより形成されている。この膜電極構造体は、さらに各拡散層の上に、ガス通路を兼ねたセパレータを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成する。
【0004】
このような固体高分子型燃料電池では、一方のアノード電極を燃料極として、アノード拡散層を介して水素、メタノール等の還元性ガスをアノード触媒層に導入するとともに、他方のカソード電極を酸素極として、カソード拡散層を介して空気、酸素等の酸化性ガスをカソード触媒層に導入する。
【0005】
燃料極であるアノード側では、触媒層に含まれる触媒の作用により、水素ガスからプロトン及び電子が生成し(H→2H+2e)、電子は外部回路へ供給され、プロトンは高分子電解質膜を介して、酸素極であるカソード側の触媒層に移動する。そして、プロトンは、カソード触媒層で、カソード触媒層に含まれる触媒の作用により、カソードに導入される酸化性ガス及び外部回路からの電子と反応して水を生成する(O+4H+4e→2HO)。したがって、燃料極アノードと酸素極カソードとを導線により接続することにより、アノードで生成した電子をカソードに送る回路が形成され、電流を取り出すことができる。
【0006】
このような燃料電池の運転を停止させて負荷を切り離した状態、所謂燃料電池の起動停止状態においては、アノード極に空気を送り込んで水素を追い出すことが行われている。しかしながら、水素は完全には除去されずに残存し、アノード内は水素と空気が混在した状態となる。このような条件下では、まず水素がプロトンと電子に電離し、プロトンは高分子電解質膜を通ってカソード側へ移動するが、電子は回路が遮断されているためにアノード内で混在する空気と反応してしまう。
【0007】
この反応が進行すると、カソードが高電位となってしまい、カソード触媒層においてカーボンの電気化学的な酸化反応、すなわち白金触媒担持カーボンのカーボン部分の腐食・消失が起こり、白金微粒子が担持カーボンから脱落する。脱落した白金微粒子は凝集して表面積が低下するので、触媒作用が失われ、結果的に全電流域で燃料電池の性能が低下してしまうという問題があった。また、カーボン担体の腐食により、カーボン担体の親水性が増したり、電極構造がつぶれたりすることで、特に、高電流域でフラッディングを発生しやすくなり、燃料電池の性能が大きく低下し、耐久性の大きな課題となっている。
【0008】
このようなカーボンの腐食の問題に対し、腐食しやすいカーボン担体を使用せずに白金微粒子(白金ブラック等)を単独で分散させて触媒層に用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、上記のような起動停止時のカソード高電位条件下においても、白金触媒が元々カーボン担体を有していないため、カーボン腐食による触媒作用の低下は起こらないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−185855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、カーボン担体を有さない白金触媒を使用することで白金触媒の触媒作用の低下は抑制することができるものの、実際の電極では、拡散層または中間層にカーボン粒子を含んでおり、触媒層の白金粒子と拡散層のカーボン粒子との接触部が起点となり、拡散層のカーボン粒子が腐食されやすいという次なる問題が生じる。それによって、拡散層または中間層と触媒層の界面でフラッディングが発生しやすくなり、高電流域の性能が大幅に低下することになり、白金ブラック特有の耐久性を十分に発揮することができない問題があった。
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、燃料電池の起動停止時におけるカソードの高電位条件下であっても、カソード側のカーボンの腐食を抑制し、燃料電池の性能低下を長期に亘って抑制することができる固体高分子型燃料電池用膜電極構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒層およびアノード拡散層をこの順に積層し、高分子電解質膜の他方の面にカソード触媒層およびカソード拡散層をこの順に積層した固体高分子型燃料電池用の膜電極構造体であって、カソード触媒層は、少なくともプロトン伝導性物質と、カーボン担体を有さない白金粉末または白金合金粉末とを含み、カソード拡散層は、炭素基材からなり、カソード触媒層とカソード拡散層との間であってかつカソード触媒層と接する箇所に、カソード隔離層が設けられ、カソード隔離層には、少なくとも電子伝導性物質が含まれ、電子伝導性物質は、カーボンの黒鉛化度指標R値が1.18未満の黒鉛化カーボンであることを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明は、高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒層およびアノード拡散層をこの順に積層し、高分子電解質膜の他方の面にカソード触媒層およびカソード拡散層をこの順に積層した固体高分子型燃料電池用の膜電極構造体であって、カソード触媒層は、少なくともプロトン伝導性物質と、カーボン担体を有さない白金粉末または白金合金粉末とを含み、カソード拡散層は、炭素基材からなり、カソード触媒層とカソード拡散層との間であってかつカソード触媒層と接する箇所に、カソード隔離層が設けられ、カソード隔離層には、少なくとも電子伝導性物質が含まれ、電子伝導性物質は、金属酸化物であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カソード触媒層とカソード拡散層を隔離する隔離層としてR値の低い、すなわち黒鉛化度の高いカーボン粒子を使用しているので、カーボン腐食が抑えられ、カーボン担体を使用しない触媒層の耐久性に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。また、カーボン粒子の代わりに電子伝導性酸化物を使用しているので、高電位に対して腐食されにくく、いずれの態様においても性能を長期に亘り維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の隔離層を有する燃料電池を示す模式断面図である。
【図2】本発明の実施形態における膜電極構造体のカソード電極部分の拡大図である。
【図3】従来の膜電極構造体のカソード電極部分の拡大図である。
【図4】本発明の他の実施形態における膜電極構造体のカソード電極部分の拡大図である。
【図5】高電位サイクル試験におけるサイクル数とセル電圧の関係を示すグラフである。
【図6】R値と高電位サイクル試験初期劣化時の電圧保持率の関係を示すグラフである。
【図7】炭素材料のラマン分光法による分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
共通の構成要素
本発明は、カーボン担体を使用しない金属粒子(例えば白金ブラック)をカソード触媒とする燃料電池に関するものであり、図1に、そのような本発明の膜電極構造体を使用した固体高分子型燃料電池の模式図を示す。燃料電池Fは、高分子電解質膜1と、その両側に積層されたカソード電極2およびアノード電極3と、さらにその両側に設けられたカソード側セパレータ4およびアノード側セパレータ5とからなり、さらに、カソード電極2が、カソード触媒層20、カソード拡散層22、および、後述するカソード隔離層21からなることを特徴としている。
【0017】
本発明のカソード隔離層21は、カーボン担体を使用しない金属粒子を触媒とするカソード触媒層20と、公知のカソード拡散層22との中間に形成されていればよい。したがって、カソード拡散層22としては、異なる機能を持たせた複数の拡散層から構成されていてもよいし、拡散層と、拡散層とは異なる炭素材料からなる中間層とから構成されていてもよい。
【0018】
なお、図1ではアノード電極3もアノード触媒層30、アノード隔離層31およびアノード拡散層32の3層から構成されているが、本発明は少なくともカソード電極2に隔離層が設けられている構成に特徴を有するものであり、アノード電極3については隔離層を設けても良いし、隔離層を設けずに公知の触媒層+拡散層の2層構造のみから構成されていてもよく、限定されない。
【0019】
カソード触媒層20に用いられる、カーボン担体を有さない触媒粒子としては白金が好ましいが、イリジウム等の他の金属でもよく、また、白金と他の金属と組み合わせた合金や、コアシェルのように合金化していないものでもよい。また、中空構造の粒子やファイバー状のものを使用することもできる。
【0020】
第1実施形態
図2に、本発明の第1実施形態におけるカソード電極2の拡大図を示す。高分子電解質膜1には、カソード触媒層20、カソード隔離層21、カソード拡散層22の順に積層されている。本実施形態では、カソード触媒層20は、カーボン担体を有さない触媒である白金粉末または白金合金粉末24とNafion等のプロトン伝導性物質25の混合物からなり、カソード拡散層22は公知の炭素基材からなり、これらカソード触媒層20とカソード拡散層22は、カソード隔離層21によって隔離されている。また、カソード隔離層21を構成する電子伝導性物質としては、黒鉛化度の指標であるR値が1.18未満の黒鉛化カーボンが使用される。
【0021】
ここで、R値について説明する。図7は、炭素試料をラマン分光法により分析した結果を示すグラフである。ラマン分光法は、ラマン散乱光を解析することにより試料の構造解析を行うものである。炭素材料をラマン分光法により分析すると、図7に示すように、通常1360cm−1付近と1580cm−1付近とにピークが生じる。結晶性の高い黒鉛は、1580cm−1付近にシングルピークを有し、このピークは、通常Gバンドと呼ばれる。一方、結晶性が低くなる(結晶構造欠陥が増す)につれ、通常Dバンドと呼ばれる1360cm−1付近のピークが現れてくる。したがって、DバンドおよびGバンドの強度比R値(I/I)は、炭素材料の黒鉛化度の指標となり、R値が小さいほど黒鉛化度が高いことになる。
【0022】
本発明では、後述する実施例で示すとおり、種々のR値を有する炭素材料について検討した結果、図6のグラフに示すとおりR値が1.18未満であると高電位時の電圧保持率が高いこと、すなわちカーボンの腐食が抑制されることが分かった。このようなR値を満たす炭素材料26として、VGCF(気相成長炭素繊維)、黒鉛化ケッチェン、アセチレンブラック等を使用することが好ましい。
【0023】
また、R値が1.1以下であるとより好ましく、0.8以下であると電圧保持率が80%以上(初期劣化が20%未満)と高く、さらに好ましい。一方で、R値が本発明の範囲を満たさないと、黒鉛化度が十分でなく、高電位が発生すると劣化し、隔離層としての機能を得ることができない。このような炭素材料26の形状は限定されず、粒子状やファイバー状など、任意の形状とすることができる。
【0024】
第2実施形態
本発明の第2の実施形態では、カソード隔離層21を構成する電子伝導性物質として、導電性を有する金属酸化物粒子を使用することを特徴としている。上述したようにカーボン担体を有さない白金粒子をカソード触媒として使用する場合、白金粒子に接触する他のカーボン材料が腐食するため、そのカーボン材料のR値が問題とされるが、本実施態様では、第1実施形態における黒鉛化カーボンの代わりに金属酸化物粒子を使用しているので、カーボン腐食が起こらない。
【0025】
このような金属酸化物粒子としては、導電性と耐食性を兼ね備えていればよく、例えば、NdドープされたTiO、Ti、SnO等が好ましく使用される。導電性金属酸化物粒子の形状は限定されず、粒子状、ファイバー状など、任意の形状とすることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明する。
A.膜電極構造体の作製
[実施例1]
以下の配合によって、実施例1の膜電極構造体を作製した。構造は、図2の模式図に相当する。
・高分子電解質膜:ナフィオン112(膜厚:50μm)
・アノード触媒層:50%白金担持カーボン(Pt担持量:0.4mg/cm、白金粒子の平均径:2nm、カーボンブラック:Vulcan XC72)
・アノード拡散層:東レ製カーボンペーパー
・カソード触媒層:平均粒径7nmの白金ブラック(担体なし)とナフィオンとの混合物で形成(Pt担持量:0.9mg/cm
・カソード隔離層:昭和電工製VGCF(R値=0.17、気相法で合成した高結晶性のカーボンナノファイバー)とPTFE(結着剤と撥水剤の役割)の混合物で形成
・カソード拡散層:東レ製カーボンペーパー
【0027】
[比較例1]
実施例1におけるカソード隔離層の代わりに、ケッチェンブラックEC(R値=1.24)とPTFEの混合物で形成したカソード中間層を設けた以外は実施例1と同様にして比較例1の膜電極構造体を作製した。構造は、図3の模式図に相当する。
【0028】
[比較例2]
比較例1におけるケッチェンブラックEC(R値=1.24)の代わりに、Vulcan XC72(R値=1.18)を使用した以外は比較例1と同様にして比較例2の膜電極構造体を作製した。構造は、図3の模式図に相当する。
【0029】
[実施例2]
実施例1におけるVGCF(R値=0.17)の代わりに電子伝導性酸化物Tiを使用してカソード隔離層を形成し、さらにカソード隔離層とカソード拡散層との間にVulcan XC72とPTFEの混合物で形成したカソード中間層を設けた以外は実施例1と同様にして実施例2の膜電極構造体を作製した。構造は、図4の模式図に相当する。
【0030】
[実施例3]
実施例1におけるVGCF(R値=0.17)の代わりにライオン社製黒鉛化ケッチェン(R値=0.36)を使用してカソード隔離層を形成した以外は実施例1と同様にして実施例3の膜電極構造体を作製した。構造は、図2の模式図に相当する。
【0031】
[実施例4]
実施例1におけるVGCF(R値=0.17)の代わりに昭和電工製アセチレンブラック(R値=0.7)を使用してカソード隔離層を形成した以外は実施例1と同様にして実施例4の膜電極構造体を作製した。構造は、図2の模式図に相当する。
【0032】
B.高電位サイクル試験
実施例1〜2および比較例1〜2の膜電極構造体の両拡散層側にそれぞれセパレータを設けて燃料電池セルを作製した。セル温度80℃、相対湿度100%RH、大気圧下でセルのアノードから水素を、カソードから空気を供給して運転を開始すると共に、1.3Vで10秒、0.8Vで30秒の電圧印加を1サイクルとしてこれを繰り返し、高電位サイクル試験を行った。
【0033】
この試験結果を、図5のグラフに示す。図に示すように、約500サイクル目に、比較例1および2では初期に性能が低下してその後回復して飽和する、所謂初期劣化が深刻であったが、実施例1および2では初期劣化は抑制された。また、比較例1および2ではその後も徐々に性能低下が観察されたが、実施例1および2では飽和したまま長期に亘り性能を維持した。
【0034】
C.R値と電圧保持率
実施例1、3、4および比較例1〜2の高電位サイクル試験時の初期劣化時の電圧保持率と、隔離層に使用した炭素材料のR値の関係を、図6のグラフに示す。図に示すように、R値が1.18以上では電圧保持率が急激に低下するが、R値が1.18未満では、電圧保持率を70%以上に維持することができた。なお、実施例2は炭素材料の代わりに金属酸化物を使用していてR値が定義できないため、図中に示していない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
起動停止時等の高電位条件下においても性能低下が抑制された燃料電池を提供することができる。
【符号の説明】
【0036】
F…燃料電池(膜電極構造体+セパレータ)、1…高分子電解質膜、2…カソード電極、20…カソード触媒層、21…カソード隔離層、22…カソード拡散層、23…中間層、24…白金(合金)粉末、25…プロトン伝導性物質、26…本発明のR値を有する炭素材料(VGCF等)、27…本発明のR値を有さない炭素材料(カーボンブラック等)、28…電子伝導性金属酸化物、3…アノード電極、30…アノード触媒層、31…アノード隔離層、32…アノード拡散層、4…カソード側セパレータ、40…流路、5…アノード側セパレータ、50…流路。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒層およびアノード拡散層をこの順に積層し、前記高分子電解質膜の他方の面にカソード触媒層およびカソード拡散層をこの順に積層した固体高分子型燃料電池用の膜電極構造体であって、
前記カソード触媒層は、少なくともプロトン伝導性物質と、カーボン担体を有さない白金粉末または白金合金粉末とを含み、
前記カソード拡散層は、炭素基材からなり、
前記カソード触媒層と前記カソード拡散層との間であってかつ前記カソード触媒層と接する箇所に、カソード隔離層が設けられ、
前記カソード隔離層には、少なくとも電子伝導性物質が含まれ、
前記電子伝導性物質は、カーボンの黒鉛化度指標R値(カーボンをラマン分光法で測定した際に1580cm−1付近に出現するGバンドのピーク強度Iに対する1360cm−1付近に出現するDバンドのピーク強度Iの比I/I)が1.18未満の黒鉛化カーボンであることを特徴とする膜電極構造体。
【請求項2】
高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒層およびアノード拡散層をこの順に積層し、前記高分子電解質膜の他方の面にカソード触媒層およびカソード拡散層をこの順に積層した固体高分子型燃料電池用の膜電極構造体であって、
前記カソード触媒層は、少なくともプロトン伝導性物質と、カーボン担体を有さない白金粉末または白金合金粉末とを含み、
前記カソード拡散層は、炭素基材からなり、
前記カソード触媒層と前記カソード拡散層との間であってかつ前記カソード触媒層と接する箇所に、カソード隔離層が設けられ、
前記カソード隔離層には、少なくとも電子伝導性物質が含まれ、
前記電子伝導性物質は、金属酸化物であることを特徴とする膜電極構造体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−272347(P2010−272347A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123084(P2009−123084)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】